JP2004259930A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】高容量引き出しを達成すると共にショート発生を防止して電気特性の安定化を図ることができる固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】陽極リード1を接続した陽極箔にセパレータを重ねて巻回し、かつ誘電体酸化皮膜上に固体電解質層が形成されたコンデンサ素子5を金属ケース4に収納して封止し、金属ケース4の内底面に導電性部材6を設けて陽極リード1と金属ケース4に接合された陰極リード2によりコンデンサの容量を引き出すように構成したことにより、陰極箔が不要なために多くの陽極箔を収納でき、しかも容量引き出しの陰極が金属ケース4のために陽極と陰極の距離が長くなって高容量引き出しが達成でき、かつ、ショート発生を防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】陽極リード1を接続した陽極箔にセパレータを重ねて巻回し、かつ誘電体酸化皮膜上に固体電解質層が形成されたコンデンサ素子5を金属ケース4に収納して封止し、金属ケース4の内底面に導電性部材6を設けて陽極リード1と金属ケース4に接合された陰極リード2によりコンデンサの容量を引き出すように構成したことにより、陰極箔が不要なために多くの陽極箔を収納でき、しかも容量引き出しの陰極が金属ケース4のために陽極と陰極の距離が長くなって高容量引き出しが達成でき、かつ、ショート発生を防止できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に使用される導電性高分子を固体電解質とする固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の高周波化に伴い、電子部品の一つである電解コンデンサにも、より高周波領域でのESR特性に優れた大容量の電解コンデンサが求められてきており、最近ではこの高周波領域のESR低減のために、電気伝導度の高い導電性高分子を電解質に用いた電解コンデンサが検討されている。また、大容量化の要求に対しては、電極箔を積層させる場合と比較して構造的に大容量化が容易な巻回形(陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回した構造のもの)の電解コンデンサへの導電性高分子電解質(具体的には電解重合性導電性高分子電解質および化学重合性導電性高分子電解質など)の応用が成されている。
【0003】
しかしながら上記巻回形のコンデンサ素子の電極間の隙間に導電性高分子を電気化学的に重合して(電解重合性導電性高分子)電極間の隙間を充填し、ESRを下げることは困難であり、多くの場合、化学重合性導電性高分子の検討が主流となっているものであった。
【0004】
図2はこの種の導電性高分子電解質を用いた従来の巻回形の固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、図2において7はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子7は陽極リード8と陰極リード9が夫々接続された図示しない陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより形成されたものであり、上記陽極箔と陰極箔間には化学重合性導電性高分子電解質(図示せず)が形成されているものである。10は上記コンデンサ素子7を収納した有底円筒状の金属ケース、11は上記陽極リード8と陰極リード9が夫々挿通する孔を備えて上記金属ケース10の開口部に嵌め込まれ、金属ケース10の開放端を絞り加工することによって封止を行う封口部材である。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−150314号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサでは、陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することによりコンデンサ素子7を形成する構成であるために、容量を高めるためにはこの巻回数を多くする必要があり、このためにコンデンサ素子7の外径が大きくなって小型化が図り難いという課題があった。
【0008】
また、セパレータの厚みにより決定される陽極箔と陰極箔の間の距離を大きくしてショート発生を防止しようとするとコンデンサ素子7の外径が大きくなり、また逆に、セパレータの厚みを薄くして陽極箔と陰極箔の間の距離を小さくするとショート発生を防止することができないという課題もあった。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決し、電解コンデンサの高容量引き出しを達成すると共にショート発生を防止して電気特性の安定化を図ることができる固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、誘電体酸化皮膜を形成すると共に容量引き出し用のリードを接続した陽極箔にセパレータを重ねて巻回し、かつ上記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質層が形成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納した有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封止した封口部材により構成され、上記金属ケースの内底面に導電性の層を設けてコンデンサ素子の固体電解質層と電気的に接続することにより、上記容量引き出し用のリードと金属ケースにより容量を引き出すようにした構成の固体電解コンデンサというものであり、これにより、コンデンサ素子を形成する際に陰極箔を介在させる必要がないため、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回する従来品に比べて多くの陽極箔を収納することができ、また、容量を引き出すための陰極が金属ケースであるために陽極と陰極の距離が長くなってコンデンサの高容量引き出しが達成でき、かつ、ショート発生を防止することができるという作用効果を有する。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリエチレンジオキシチオフェンおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなる構成にしたものであり、これにより、請求項1に記載の発明により得られる作用効果をより効率良く得ることができるという作用効果を有する。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリピロールおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなる構成にしたものであり、これにより、請求項2に記載の発明により得られる作用効果と同様の作用効果を有する。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリアニリンおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなる構成にしたものであり、これにより、請求項2に記載の発明により得られる作用効果と同様の作用効果を有する。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、金属ケースの内底面に形成された導電性の層が、銀ペースト、カーボンペースト、有機導電性接着剤のいずれか一つ以上からなる構成にしたものであり、これにより、請求項1に記載の発明により得られる作用効果をより効率良く得ることができるという作用効果を有する。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、金属ケースにリード線を接合し、このリード線により金属ケースからの陰極の引き出しを行うようにした構成のものであり、これにより、金属ケースから確実に陰極を引き出すことができるために、安定した性能を発揮することができるという作用効果を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を用いて、本発明の請求項1〜6に記載の発明について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、図1において5はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子5は陽極リード1が接続された図示しない陽極箔とセパレータを重ねて巻回することにより形成されたものであり、上記陽極箔間には化学重合性導電性高分子電解質(図示せず)が形成されているものである。4は上記コンデンサ素子5を収納した有底円筒状の金属ケース、3は上記陽極リード1が挿通する孔を備えて上記金属ケース4の開口部に嵌め込まれ、金属ケース4の開放端を絞り加工することによって封止を行う封口部材である。2は一端が上記金属ケース4に接合された陰極リード、6は金属ケース4の内底面に設けられた導電性部材である。
【0018】
このように構成された本発明の固体電解コンデンサは、コンデンサ素子5を構成する陽極箔に接続された陽極リード1と、同じくコンデンサ素子5を構成する図示しない化学重合性導電性高分子電解質に導電性部材6、金属ケース4を介して電気的に接続された陰極リード2により容量引き出しを行うようにしたものであり、以下に、詳細な実施の形態を説明する。
【0019】
(実施の形態1)
誘電体酸化皮膜の耐電圧が12Vの陽極アルミニウム箔とポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ50μm、秤量25g/m2)を重ねて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは140mmであった)。
【0020】
このコンデンサ素子を複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを陽極アルミニウム箔間に形成した。
【0021】
このコンデンサ素子を、内底面に銀ペーストを入れた金属ケース内に入れ、200℃で10分間乾燥した後、樹脂加硫ブタルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])を装着した後、カーリング処理により開口部を封止し、金属ケースに陰極リード線を抵抗溶接により溶接し、固体電解コンデンサを作製した。
【0022】
(実施の形態2)
上記実施の形態1において、コンデンサ素子をカーボンペーストに浸漬し、150℃で5分間乾燥した後に、内底面に銀ペーストを入れた金属ケース内に入れた以外は実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0023】
(実施の形態3)
上記実施の形態1において、誘電体酸化皮膜の耐電圧が60Vの陽極アルミニウム箔とポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ30μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは140mmであった)以外は実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0024】
(比較例1)
誘電体酸化皮膜の耐電圧が12Vの陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔とをその間にポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ50μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは70mmであった)。
【0025】
このコンデンサ素子を複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを電極箔間に形成した。
【0026】
このコンデンサ素子に樹脂加硫ブタルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])を装着した後、金属ケース内に収納し、この金属ケースをカーリング処理することにより開口部を封止して固体電解コンデンサを作製した。
【0027】
(比較例2)
誘電体酸化皮膜の耐電圧が60Vの陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔とをその間にポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ30μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは70mmであった)以外は比較例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0028】
このようにして作製した実施の形態1,2と比較例1の固体電解コンデンサについて、エージング後の静電容量(測定周波数120Hz)、ESR(測定周波数100kHz)を測定した結果を(表1)に示す。なお、試験個数はいずれも50個であり、静電容量、ESRは平均値で示した。
【0029】
【表1】
【0030】
また、実施の形態3と比較例2の固体電解コンデンサについて、エージング後の静電容量(測定周波数120Hz)、ESR(測定周波数100kHz)、及び105℃において25Vを印加したときのショート発生状況を測定した結果を(表2)に示す。なお、試験個数はいずれも50個であり、静電容量、ESRは平均値で示した。
【0031】
【表2】
【0032】
(表1)から明らかなように、実施の形態1,2の固体電解コンデンサにおいては、比較例1の固体電解コンデンサに比べて静電容量が高くなっていることが分かる。これは、実施の形態1,2の固体電解コンデンサは比較例1の固体電解コンデンサに比べて陰極箔を介在させる必要がないために、セパレータを介在させるものと比較して多くの陽極箔を収納することができるためである。
【0033】
また、(表2)から明らかなように、実施の形態3の固体電解コンデンサにおいては、比較例2の固体電解コンデンサに比べてショートの発生が起こらなかった。これは実施の形態3の固体電解コンデンサは比較例2の固体電解コンデンサに比べて容量を引き出すための陰極が金属ケースであることから陽極と陰極の距離が長くなるためにショート発生を防止することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明による固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を形成すると共に容量引き出し用のリードを接続した陽極箔にセパレータを重ねて巻回し、かつ上記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を有底筒状の金属ケース内に収納し、この金属ケースの開口部を封口部材で封止して構成され、上記金属ケースの内底面に導電性の層を設けてコンデンサ素子の固体電解質層と電気的に接続することにより、上記容量引き出し用のリードと金属ケースにより容量を引き出すように構成したことにより、コンデンサ素子を形成する際に陰極箔を介在させる必要がないため、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回する従来品に比べて多くの陽極箔を収納することができ、また、容量を引き出すための陰極が金属ケースであるために陽極と陰極の距離が長くなってコンデンサの高容量引き出しが達成でき、かつ、ショート発生を防止することができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図2】従来の固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【符号の説明】
1 陽極リード
2 陰極リード
3 封口部材
4 金属ケース
5 コンデンサ素子
6 導電性部材
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に使用される導電性高分子を固体電解質とする固体電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の高周波化に伴い、電子部品の一つである電解コンデンサにも、より高周波領域でのESR特性に優れた大容量の電解コンデンサが求められてきており、最近ではこの高周波領域のESR低減のために、電気伝導度の高い導電性高分子を電解質に用いた電解コンデンサが検討されている。また、大容量化の要求に対しては、電極箔を積層させる場合と比較して構造的に大容量化が容易な巻回形(陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回した構造のもの)の電解コンデンサへの導電性高分子電解質(具体的には電解重合性導電性高分子電解質および化学重合性導電性高分子電解質など)の応用が成されている。
【0003】
しかしながら上記巻回形のコンデンサ素子の電極間の隙間に導電性高分子を電気化学的に重合して(電解重合性導電性高分子)電極間の隙間を充填し、ESRを下げることは困難であり、多くの場合、化学重合性導電性高分子の検討が主流となっているものであった。
【0004】
図2はこの種の導電性高分子電解質を用いた従来の巻回形の固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、図2において7はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子7は陽極リード8と陰極リード9が夫々接続された図示しない陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することにより形成されたものであり、上記陽極箔と陰極箔間には化学重合性導電性高分子電解質(図示せず)が形成されているものである。10は上記コンデンサ素子7を収納した有底円筒状の金属ケース、11は上記陽極リード8と陰極リード9が夫々挿通する孔を備えて上記金属ケース10の開口部に嵌め込まれ、金属ケース10の開放端を絞り加工することによって封止を行う封口部材である。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−150314号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサでは、陽極箔と陰極箔とをその間にセパレータを介在させて巻回することによりコンデンサ素子7を形成する構成であるために、容量を高めるためにはこの巻回数を多くする必要があり、このためにコンデンサ素子7の外径が大きくなって小型化が図り難いという課題があった。
【0008】
また、セパレータの厚みにより決定される陽極箔と陰極箔の間の距離を大きくしてショート発生を防止しようとするとコンデンサ素子7の外径が大きくなり、また逆に、セパレータの厚みを薄くして陽極箔と陰極箔の間の距離を小さくするとショート発生を防止することができないという課題もあった。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決し、電解コンデンサの高容量引き出しを達成すると共にショート発生を防止して電気特性の安定化を図ることができる固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の発明は、誘電体酸化皮膜を形成すると共に容量引き出し用のリードを接続した陽極箔にセパレータを重ねて巻回し、かつ上記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質層が形成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納した有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封止した封口部材により構成され、上記金属ケースの内底面に導電性の層を設けてコンデンサ素子の固体電解質層と電気的に接続することにより、上記容量引き出し用のリードと金属ケースにより容量を引き出すようにした構成の固体電解コンデンサというものであり、これにより、コンデンサ素子を形成する際に陰極箔を介在させる必要がないため、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回する従来品に比べて多くの陽極箔を収納することができ、また、容量を引き出すための陰極が金属ケースであるために陽極と陰極の距離が長くなってコンデンサの高容量引き出しが達成でき、かつ、ショート発生を防止することができるという作用効果を有する。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリエチレンジオキシチオフェンおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなる構成にしたものであり、これにより、請求項1に記載の発明により得られる作用効果をより効率良く得ることができるという作用効果を有する。
【0012】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリピロールおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなる構成にしたものであり、これにより、請求項2に記載の発明により得られる作用効果と同様の作用効果を有する。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリアニリンおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなる構成にしたものであり、これにより、請求項2に記載の発明により得られる作用効果と同様の作用効果を有する。
【0014】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、金属ケースの内底面に形成された導電性の層が、銀ペースト、カーボンペースト、有機導電性接着剤のいずれか一つ以上からなる構成にしたものであり、これにより、請求項1に記載の発明により得られる作用効果をより効率良く得ることができるという作用効果を有する。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、金属ケースにリード線を接合し、このリード線により金属ケースからの陰極の引き出しを行うようにした構成のものであり、これにより、金属ケースから確実に陰極を引き出すことができるために、安定した性能を発揮することができるという作用効果を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を用いて、本発明の請求項1〜6に記載の発明について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサの構成を示した断面図であり、図1において5はコンデンサ素子を示し、このコンデンサ素子5は陽極リード1が接続された図示しない陽極箔とセパレータを重ねて巻回することにより形成されたものであり、上記陽極箔間には化学重合性導電性高分子電解質(図示せず)が形成されているものである。4は上記コンデンサ素子5を収納した有底円筒状の金属ケース、3は上記陽極リード1が挿通する孔を備えて上記金属ケース4の開口部に嵌め込まれ、金属ケース4の開放端を絞り加工することによって封止を行う封口部材である。2は一端が上記金属ケース4に接合された陰極リード、6は金属ケース4の内底面に設けられた導電性部材である。
【0018】
このように構成された本発明の固体電解コンデンサは、コンデンサ素子5を構成する陽極箔に接続された陽極リード1と、同じくコンデンサ素子5を構成する図示しない化学重合性導電性高分子電解質に導電性部材6、金属ケース4を介して電気的に接続された陰極リード2により容量引き出しを行うようにしたものであり、以下に、詳細な実施の形態を説明する。
【0019】
(実施の形態1)
誘電体酸化皮膜の耐電圧が12Vの陽極アルミニウム箔とポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ50μm、秤量25g/m2)を重ねて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは140mmであった)。
【0020】
このコンデンサ素子を複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを陽極アルミニウム箔間に形成した。
【0021】
このコンデンサ素子を、内底面に銀ペーストを入れた金属ケース内に入れ、200℃で10分間乾燥した後、樹脂加硫ブタルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])を装着した後、カーリング処理により開口部を封止し、金属ケースに陰極リード線を抵抗溶接により溶接し、固体電解コンデンサを作製した。
【0022】
(実施の形態2)
上記実施の形態1において、コンデンサ素子をカーボンペーストに浸漬し、150℃で5分間乾燥した後に、内底面に銀ペーストを入れた金属ケース内に入れた以外は実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0023】
(実施の形態3)
上記実施の形態1において、誘電体酸化皮膜の耐電圧が60Vの陽極アルミニウム箔とポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ30μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは140mmであった)以外は実施の形態1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0024】
(比較例1)
誘電体酸化皮膜の耐電圧が12Vの陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔とをその間にポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ50μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは70mmであった)。
【0025】
このコンデンサ素子を複素環式モノマーであるエチレンジオキシチオフェン1部と酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄2部と重合溶剤であるn−ブタノール4部を含む溶液に浸漬して引き上げた後、85℃で60分間放置することにより化学重合性導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェンを電極箔間に形成した。
【0026】
このコンデンサ素子に樹脂加硫ブタルゴム封口材(ブチルゴムポリマー30部、カーボン20部、無機充填剤50部から構成、封口体硬度:70IRHD[国際ゴム硬さ単位])を装着した後、金属ケース内に収納し、この金属ケースをカーリング処理することにより開口部を封止して固体電解コンデンサを作製した。
【0027】
(比較例2)
誘電体酸化皮膜の耐電圧が60Vの陽極アルミニウム箔と陰極アルミニウム箔とをその間にポリエチレンテレフタレート製のセパレータ(厚さ30μm、秤量25g/m2)を介在させて巻回することにより、外径が5.8mmの巻回形のコンデンサ素子を形成した(このときの陽極アルミニウム箔の長さは70mmであった)以外は比較例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
【0028】
このようにして作製した実施の形態1,2と比較例1の固体電解コンデンサについて、エージング後の静電容量(測定周波数120Hz)、ESR(測定周波数100kHz)を測定した結果を(表1)に示す。なお、試験個数はいずれも50個であり、静電容量、ESRは平均値で示した。
【0029】
【表1】
【0030】
また、実施の形態3と比較例2の固体電解コンデンサについて、エージング後の静電容量(測定周波数120Hz)、ESR(測定周波数100kHz)、及び105℃において25Vを印加したときのショート発生状況を測定した結果を(表2)に示す。なお、試験個数はいずれも50個であり、静電容量、ESRは平均値で示した。
【0031】
【表2】
【0032】
(表1)から明らかなように、実施の形態1,2の固体電解コンデンサにおいては、比較例1の固体電解コンデンサに比べて静電容量が高くなっていることが分かる。これは、実施の形態1,2の固体電解コンデンサは比較例1の固体電解コンデンサに比べて陰極箔を介在させる必要がないために、セパレータを介在させるものと比較して多くの陽極箔を収納することができるためである。
【0033】
また、(表2)から明らかなように、実施の形態3の固体電解コンデンサにおいては、比較例2の固体電解コンデンサに比べてショートの発生が起こらなかった。これは実施の形態3の固体電解コンデンサは比較例2の固体電解コンデンサに比べて容量を引き出すための陰極が金属ケースであることから陽極と陰極の距離が長くなるためにショート発生を防止することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明による固体電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜を形成すると共に容量引き出し用のリードを接続した陽極箔にセパレータを重ねて巻回し、かつ上記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質層が形成されたコンデンサ素子を有底筒状の金属ケース内に収納し、この金属ケースの開口部を封口部材で封止して構成され、上記金属ケースの内底面に導電性の層を設けてコンデンサ素子の固体電解質層と電気的に接続することにより、上記容量引き出し用のリードと金属ケースにより容量を引き出すように構成したことにより、コンデンサ素子を形成する際に陰極箔を介在させる必要がないため、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回する従来品に比べて多くの陽極箔を収納することができ、また、容量を引き出すための陰極が金属ケースであるために陽極と陰極の距離が長くなってコンデンサの高容量引き出しが達成でき、かつ、ショート発生を防止することができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【図2】従来の固体電解コンデンサの構成を示した断面図
【符号の説明】
1 陽極リード
2 陰極リード
3 封口部材
4 金属ケース
5 コンデンサ素子
6 導電性部材
Claims (6)
- 誘電体酸化皮膜を形成すると共に容量引き出し用のリードを接続した陽極箔にセパレータを重ねて巻回し、かつ上記誘電体酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質層が形成されたコンデンサ素子と、このコンデンサ素子を収納した有底筒状の金属ケースと、この金属ケースの開口部を封止した封口部材により構成され、上記金属ケースの内底面に導電性の層を設けてコンデンサ素子の固体電解質層と電気的に接続することにより、上記容量引き出し用のリードと金属ケースにより容量を引き出すようにした固体電解コンデンサ。
- 誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリエチレンジオキシチオフェンおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなるものである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリピロールおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなるものである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層を構成する導電性高分子が、ポリアニリンおよびその誘導体および/またはそれらの化合物からなるものである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 金属ケースの内底面に形成された導電性の層が、銀ペースト、カーボンペースト、有機導電性接着剤のいずれか一つ以上からなる請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 金属ケースにリード線を接合し、このリード線により金属ケースからの陰極の引き出しを行うようにした請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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CN103280320A (zh) * | 2013-05-08 | 2013-09-04 | 佛山市三水日明电子有限公司 | 聚合物固体铝电解电容器及其制造方法 |
CN103310983A (zh) * | 2013-05-08 | 2013-09-18 | 佛山市三水日明电子有限公司 | 一种聚合物固体铝电解电容器及其制造方法 |
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-
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- 2003-02-26 JP JP2003048920A patent/JP2004259930A/ja active Pending
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