次に、本発明の実施形態に係る炊飯器について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、内釜を加熱する加熱手段として電磁誘導式の電気炊飯器を例に挙げて説明するが、電気ヒータや、ガスバーナなどの別の加熱手段を適用することもできる。また、便宜上、図1に示す炊飯器1の状態において、操作ノブ13が配置される方向を「前」、電源コード12が配置される方向を「後」、外蓋4が配置される鉛直上方側を「上」、本体2が配置される鉛直下方側を「下」、幅方向を「左」、「右」として説明する。
図1に示すように、炊飯器1は、主に米を炊いて飯にするための調理器具である。炊飯器1の外観は、内釜3(図2参照)が収納される本体2と、開口した本体2の上部を開閉する蓋体10と、本体2に軸支されたハンドル11と、本体2の後部に配置された電源コード12と、を主に備えて構成されている。
前記炊飯器1は、縦断面視して、図2に示すように、内釜3と、内釜3を挿脱自在に収納する本体2と、本体2の上方に、外蓋回動軸44を支点として開閉可能に配置された外蓋4と、外蓋4に着脱自在に装着された内蓋5と、内釜3内から外部に排出される蒸気を規制する蒸気回収ユニット6と、内蓋5の下側に配置され結露受皿7と、を主に備えている。
本体2は、内釜3を着脱可能に収容する内釜収容部2aを有する有底円筒状の部材である。本体2の外側には、蓋体10と本体2とのロック及びロック解除を行う操作ノブ13と、ハンドル11及び電源コード12と、が設けられている(図1参照)。本体2の内部には、上面が開口した保護枠21と、断熱材22(図3参照)と、制御部(図示省略)等が設けられている。
図1に示すように、ハンドル11は、その両端部が本体2の左右側面側に回動自在に支持されており、前向きから後向きまでの範囲で回動するように構成されている。
電源コード12は、本体2から引き出し、巻き戻し自在に設けられている。
操作ノブ13には、後記するロック部材47(図5参照)と係合して蓋体10をロックする爪部(図示省略)が設けられている。
図2に示すように、保護枠21は、有底円筒状の内釜収容部2aを形成する耐熱樹脂製の容器等から成る。保護枠21の底部には、鍋底温度センサ23、加熱手段24等が配置されている。
断熱材22は、真空断熱材で構成され、内釜収容部2aの周囲全体を囲むように構成されている。
図2及び図3に示すように、内釜3は、上部開口3aの全周に内釜フランジ部3bを有する有底筒状の部材である。内釜3は、上端部が本体2から着脱操作がし易いように外向きに略水平な内釜フランジ部3bが折曲されて、本体2の開口縁部上に載置されている。内釜3は、例えば、厚さが2.5mm程度のアルミニウム合金等の金属で形成されて、表面全体がフッ素等によってコーティングされている。そして、加熱手段24に誘導加熱を使用する時は、少なくとも前述した内釜3の底面外側に、誘導加熱によって発熱する磁性金属を設けるものである。
前記蓋体10は、内釜3の上部開口3a、及び本体開口2bを開閉する部材である。図4及び図5に示すように、蓋体10は、上面部に配置された外蓋4と、外蓋4の下側に配置された内蓋5と、外蓋4と内蓋5との間に介在された蒸気回収ユニット6と、内蓋5の下側に配置された結露受皿7と、が着脱可能に一体に組み付けられている。蓋体10全体は、本体2の後端部に配置された外蓋回動軸44を支点として回動可能に配置されている。
外蓋4は、蓋体10の上部外側を形成している樹脂製の部材である。外蓋4は、外面側に配置された外蓋外面部材41と、外蓋外面部材41のパネル設置凹部41aに装着された外蓋外面カバー42と、内面側を形成する外蓋内面部材43と、後端部に配置された外蓋回動軸44と、斜め前端部に配置されたフックレバー45と、フックレバー45を付勢するフックレバー付勢部材46(図9参照)と、前端部に配置されたロック部材47と、外蓋内面部材43の下面に設けられた蓋ヒータ48と、を備えている。
図5に示すように、外蓋外面部材41は、蓋体10の外側外周部を形成する部材である。外蓋外面部材41には、外側上面中央部に形成されたパネル設置凹部41aと、後端部寄りの上部に形成された排出筒部挿設部41bと、が形成されている。
パネル設置凹部41aは、外蓋外面部材41の上面に、外蓋外面カバー42を面一に収容する窪みである。
排出筒部挿設部41bは、上ケース62から上方向に向けて突出形成された排出筒状部62jが遊挿される開口部である。
外蓋外面カバー42は、液晶表示装置及びスイッチ類が設けられた部材であり、平面視して略枠状の外蓋外面部材41内に装着されている。外蓋外面カバー42は、運転状態等を表示する表示部42aと、各種設定を行うスイッチ類を有する操作パネルから成る操作部42bと、後記する蒸気回収ユニット6の排出筒状部62jが挿設される排出口設置孔42cと、を有している(図1参照)。
表示部42aは、液晶表示装置から成り、外蓋4の上面の前寄り中央部に配置されている(図1参照)。
操作部42bは、表示部42aの左右に複数配置されたタッチ式スイッチから成る(図1参照)。
排出口設置孔42cは、排出筒部挿設部41bが内嵌される貫通孔である。
図5に示すように、外蓋内面部材43は、内蓋5及び蒸気回収ユニット6に対向配置される部材である。外蓋内面部材43は、内蓋5等が収納された内蓋収納凹部43aと、内蓋収納凹部43aの前側(一端部側)の内壁43bに形成された係止爪43cと、内蓋収納凹部43aの後側(他端部側)の内壁43bに形成された係止突起43dと、フックレバー45(図4参照)が軸支されたフックレバー設置部43e(図4参照)と、後記する内蓋付け忘れ防止機構40(図3、図4、図8及び図9参照)と、圧力調整部8と、を有している。
図5に示すように、内蓋収納凹部43aは、内蓋5、蒸気回収ユニット6、結露受皿7、蓋ヒータ48等が収容された窪みであり、外蓋内面部材43の下面に形成されている。
内壁43bは、内蓋収納凹部43a内に収容された内蓋5及び蒸気回収ユニット6の外周部に対して、隙間を介して対向するように配置されている。内壁43bは、下面視して内蓋5の外周部に形成されている(図4参照)。
係止爪43cは、内蓋収納凹部43a内に配置された内蓋5を保持するための部位である。係止爪43cは、内蓋5の後端部側の係止部52aを係止突起43dに係止させて、内蓋5の前端部を内蓋収納凹部43a内に押し込むと、内蓋5の前端部に回動可能に配置された内蓋係止レバー53の爪部53aが引っ掛かるように形成されている。
図4に示すように、前記係止突起43dは、内蓋収納凹部43a内に装着した内蓋5の後端部を支持する部位である。係止突起43dは、開放した蓋体10の外蓋内面部材43に内蓋5を取り付ける際に、後端部側の内壁43bに内蓋5の後端部を載置したときに、内蓋5が内壁43bから落下するのを抑制する機能を備えている。係止突起43dは、蓋体10を開放した際に水平になる後端部の内壁43bに形成された左右一対の突起から成る。
フックレバー設置部43eは、フックレバー45と、フックレバー45を内蓋収納凹部43a内側に押し戻すためのフックレバー付勢部材46(図9参照)と、を外蓋4に配置するための部位である。フックレバー設置部43eは、内蓋収納凹部43aの前側斜め左側の内壁43bに形成されている。図9に示すように、フックレバー設置部43eには、フックレバー軸部45bが挿入された軸孔(図示省略)と、フックレバー45の回動範囲を規制する回動規制部43fと、が形成されている。
回動規制部43fは、フックレバー45を回動したときに、フックレバー本体45aの左右のストッパ45cが当接することによって、フックレバー45の回動範囲を規制する部位である。
図2に示すように、外蓋回動軸44は、外蓋4の後端部に設けられて、蓋体10全体の回動軸を形成している。
図3に示すように、内蓋付け忘れ防止機構40は、内蓋5を外蓋4(外蓋内面部材43)に付け忘れたときに、蓋体10で内釜3の上部開口3aを閉塞できないようにして、内蓋5を蓋体10に付け忘れるのを防止する装置である。内蓋付け忘れ防止機構40は、突起52b(図4参照)を有する内蓋5(図4参照)と、内蓋5を外蓋4に取り付けたときに突起52bが当接して回動するフックレバー45と、フックレバー45を突起52bに当接する側方向(矢印b方向)に付勢するフックレバー付勢部材46と、外蓋4に内蓋5を取り付けていないときに、フックレバー45に当接する内釜3と、を備えて構成されている。
図4に示すように、フックレバー45は、内蓋5を外蓋内面部材43の内蓋収納凹部43aに着脱すると、突起52bによる押圧と、フックレバー付勢部材46(図9参照)による付勢力とで、フックレバー軸部45b(図8参照)を中心として外方向及び内方向(矢印a,b方向)に回動して内蓋収納凹部43a内の出没する回動部材である(図6参照)。前記したように、図3に示すフックレバー45は、内蓋5を内蓋収納凹部43aに装着しないで蓋体10を閉塞した場合に、フックレバー45が内釜3の内釜フランジ部3b(開口縁)に当接して、ロック部材47(図5参照)が操作ノブ13(図2参照)の係止爪に係止不能となり、内釜3を閉塞できないように構成されている。
図4に示すように、フックレバー45は、内蓋5を外蓋内面部材43の内蓋収納凹部43aに装着した際に、突起52bに押圧されてフックレバー軸部45b(図9参照)を中心として外方向(矢印a方向)に回動して、内蓋収納凹部43a内からフックレバー設置部43e内に入り込む。図2に示すように、内蓋5を内蓋収納凹部43aに装着した状態で蓋体10を閉塞した場合に、フックレバー45(図3参照)は、蓋体10で内釜3を閉塞しても、内釜フランジ部3bに当接せず、ロック部材47(図5参照)が操作ノブ13の係止爪に係止状態となって、内釜3を閉塞するように構成されている。
図8または図9に示すように、フックレバー45は、突起52bと対向する位置の外蓋4の内壁43bに、突起52bに当接及び離間する方向(矢印a,b方向)に回動可能に軸支されている。フックレバー45は、樹脂製のフックレバー本体45aと、フックレバー本体45aを回動可能に軸支するフックレバー軸部45bと、フックレバー本体45aの回動を規制するストッパ45cと、フックレバー付勢部材46を挿設するための付勢部材支持突起45dと、突起52bが当接する突起当接部45eと、内釜フランジ部3b(図3参照)が当接する内釜当接部45fと、を備えている。
図8に示すように、フックレバー本体45aは、フックレバー設置部43eに配置された樹脂製の部材である。
フックレバー軸部45bは、フックレバー設置部43eの外側寄りの位置に設けられて、軸孔(図示省略)に軸合された軸棒である。フックレバー軸部45bは、例えば、フックレバー本体45aに一体形成されている。
図9に示すように、ストッパ45cは、フックレバー本体45aの左右側面に突出形成された突出片である。ストッパ45cは、フックレバー45がフックレバー軸部45bを中心として予め設定された回動範囲まで回動すると、回動規制部43fに当接してフックレバー45の回動を抑止するように形成されている。
フックレバー軸部45bを回動自在に両端軸支する軸受(図示省略)を設けることで、フックレバー45の位置決めが可能であり、摩擦などの外的要因を低減して小さな力で容易に回動させることが可能となる。
付勢部材支持突起45dは、例えば、円筒コイルばねから成るフックレバー付勢部材46内に遊挿されて、フックレバー付勢部材46を伸縮自在に支持する部位である。付勢部材支持突起45dは、フックレバー本体45aの内壁43b側寄りの中央部に形成された棒状突起から成る。
図4に示すように、突起当接部45eは、内蓋5が外蓋4に取り付けてあるときに、突起52bが押し当たる部位である。図8に示すように、突起当接部45eは、フックレバー本体45aの内蓋収納凹部43a寄りの下端部に、縦断面視して下方向に略山状に形成されている(図3参照)。
内釜当接部45fは、内蓋5が外蓋4に取り付けてない場合に、蓋体10を閉めた際に、内釜フランジ部3bに当接する部位である(図3参照)。内釜当接部45fは、突起当接部45eに対して、隣接した位置から更に下方向に大きく突出して形成された側面視して三角形状の舌片から成る。
内蓋5と内釜3を装着していない時は、内釜当接部45fが当接する位置に内釜3の内釜フランジ部3bが存在しないため、蓋体10の閉動作は規制されることがない。よって、内蓋5と内釜3を装着していない時は閉成する事ができる。具体的に、内釜3を形成している板厚約2.5mmの内釜フランジ部3bが、内釜当接部45fの当接位置に存在しないことで、内釜当接部45fは内釜フランジ部3bの厚みの寸法分、蓋体10を閉成する方向に移動させることができ、ロック部材47(図5参照)を操作ノブ13(図2参照)の係止爪に係止できる構成である。
そのため、内蓋5と内釜3を取り外して洗っている場合でも、蓋体10を閉じることができる。また、蓋体10を閉じることができるので、衛生上も都合が良く、見栄えも良い。
ロック部材47(図5参照)は、図2に示すように、蓋体10で内釜3を閉塞した際に、本体2の前端部に配置された操作ノブ13と係合してロックする部材である。図4に示すように、ロック部材47は、外蓋4の前側中央部に配置された内蓋係止レバー53の左右に配置された一対の部材から成る。なお、ロック部材47は、公知の方法によって構成することができる。
図5に示すように、蓋ヒータ48は、外蓋内面部材43と内蓋5との空間等に貯留した結露を加熱して蒸気にするための加熱部材である。蓋ヒータ48は、外蓋内面部材43の下面に取り付けられている。蓋ヒータ48は、例えば、ニッケルクロム線の抵抗体をシリコーンゴムの絶縁体で覆ったヒータ線を平面状に貼り付けて構成されている。
内蓋5は、蓋体10を閉じたときに、内釜3の上部開口3aを覆う部材である(図2参照)。内蓋5は、内蓋5の中央部に配置された内蓋本体51(図10参照)と、内蓋本体51の外周部に固定された内蓋枠52と、内蓋枠52の前端部に設けられた内蓋係止レバー53及び係止レバー付勢部材54と、外周縁部の全体に亘って設けられたシールパッキン55と、結露受皿7を支持する受皿支持部材57,58と、内蓋本体51の下面に取り付けられた結露受皿7と、内蓋本体51の上面中央部に取り付けられた調圧弁63と、内蓋本体51の上面に調圧弁63を覆うようにして取り付けられた蒸気回収ユニット6の下ケース61と、を備えている。
図12に示すように、内蓋本体51は、ステンレス鋼等の金属製薄板材によって形成された有底円筒形状の部材である。内蓋本体51は、上面に蒸気回収ユニット6及び調圧弁63が設けられ、下面に結露受皿7(図13及び図12参照)が設けられている。内蓋本体51には、後記する調圧弁設置孔51a(図12参照)が形成されている。
図10及び図11に示すように、内蓋枠52は、内蓋5の外周枠を形成する樹脂製の環状部材である。内蓋枠52は、例えば、複数の部材を内蓋本体51の外周縁部にねじ止めされている。内蓋枠52には、後端部(他端部)に形成された係止部52aと、前側の左寄りの外周部に形成された突起52bと、内蓋係止レバー53を配置するための内蓋レバー設置部52cと、内蓋係止レバー53と、が設けられている。
係止部52aは、内蓋本体51から後方向に突出形成された平面視して矩形の板状突出片である(図4参照)。図4に示すように、内蓋5を外蓋内面部材43に取り付ける際、及び取り付けた際に、係止部52aの左右後端部を、係止突起43dと外蓋内面部材43の下面との間に差し込むことによって支持する部位である。
前記したように突起52bは、内蓋5を外蓋内面部材43に取り付けた際に、フックレバー45を押圧するための部位であり、内蓋5の外周部に外方向に向けて突出して形成されている。
図12に示すように、内蓋係止レバー53は、内蓋5を外蓋内面部材43(図4参照)の係止爪43cに係止させたり、外蓋内面部材43から取り外したりするための操作レバー部材である。内蓋係止レバー53には、前端部に形成された爪部53aと、下端部に形成された操作部53bと、上端部に形成された付勢部材受部53cと、内蓋係止レバー53を外方向に摺動自在に支持するためのガイド部(図示省略)と、が形成されている。内蓋係止レバー53は、縦断面視して略L字状の樹脂製部材であり、内蓋5の前端部(一端部)に操作部53bを露出した状態に摺動可能(移動可能)に配置されている。内蓋5を着脱するための内蓋係止レバー53は、外蓋内面部材43の内壁43bの内側に配置されて、蓋体10を開放した状態で、操作部53bを引き上げるように操作すれば、ロック状態を解除して内蓋5を外すことができるように構成されている。
爪部53aは、内蓋5の前端に配置されて、前方に対向配置された外蓋内面部材43の係止爪43cの方向(矢印c方向)に内蓋係止レバー53が、係止レバー付勢部材54によって付勢されて、係止爪43cに係止されるように配置されている。
操作部53bは、内蓋5を外蓋内面部材43から取り外す際に、係止レバー付勢部材54の付勢力に抗して内蓋係止レバー53を後方向に操作して、爪部53aを係止爪43cから離間させるための部位である。
付勢部材受部53cは、係止レバー付勢部材54の前端部を受け止めて支持する部位であり、係止レバー付勢部材54の前端部が係合する凸部を有している。
係止レバー付勢部材54は、例えば、前記フックレバー付勢部材46と同様に、圧縮円筒コイルばねから成り、内蓋レバー設置部52c内に伸縮自在に配置されている。係止レバー付勢部材54は、内蓋係止レバー53を係止爪43cに係止する方向(矢印c方向)に付勢している。
シールパッキン55は、内蓋本体51の下側外周部と、内蓋枠52の内周縁部とによって挟持された環状のゴム部材であり(図13参照)、内釜3の内部を略密閉状態に保つために設けられている。
図12に示すように、受皿支持部材57,58は、結露受皿7の前端部及び後端部を係止する樹脂製の部材である。受皿支持部材57,58は、下面視して略円弧状に形成されて、結露受皿7の前端部及後端部の受皿係止レバー72及び受皿係止爪71cに対向する位置に爪57a,58aが形成されて係止されるようになっている。
図12に示すように、結露受皿7は、内蓋5の下面側に、蒸気流路56を介して着脱自在に取り付けられた部材である。結露受皿7は、略円板状の樹脂製の受皿本体71と、受皿本体71の前端部に設けられた受皿係止レバー72及び受皿係止レバー付勢部材73と、受皿係止レバー72及び受皿係止レバー付勢部材73を支持する支持部材74と、蒸気流路56の外周縁部の全体に亘って設けられたシール部材75と、を備えている。
図12に示すように、受皿本体71には、上面側に形成されて結露を貯留する皿部71aと、皿部71aを区画する立ち上げ壁71bと、後端部に配置された受皿支持部材58の爪部58aに係止する受皿係止爪71cと、複数形成された蒸気流通穴71dと、落下する結露が蒸気流路56内に入り込む結露回収孔71eと、受皿支持部材57,58が配置される切欠部71f,71g(図13参照)と、が形成されている。
受皿係止レバー72は、結露受皿7の下面から突出して配置される操作部72aと、受皿係止レバー付勢部材73を受け止める付勢部材受部72bと、受皿係止レバー72の前後方向の移動をガイドするガイド部72cと、爪57aに係止する着脱用爪部72dと、を有している。
受皿係止レバー付勢部材73は、着脱用爪部72dが爪57aに係止する方向(矢印e方向)に受皿係止レバー72を付勢する弾性体であり、例えば、圧縮円筒コイルばねから成る。
支持部材74は、内蓋本体51と結露受皿7との間の前端部に配置されて、受皿係止レバー72及び受皿係止レバー付勢部材73を移動自在に支持している。
シール部材75は、内蓋5と結露受皿7との間の支持部材74の内縁部に固定された環状のゴム製部材であり、蒸気流路56内を密閉状態にしている。
図12に示すように、調圧弁63は、閉じられた内釜3内、及び蒸気流路56内の気圧を適宜な圧力に調整するための調整バルブである。調圧弁63は、調圧弁設置孔51aに内嵌されたシール部材65と、シール部材65を介在して調圧弁設置孔51aに取り付けられた調圧弁筐体66と、調圧弁筐体66に形成された貫通孔から成る弁座66aを開閉する弁体63aと、弁体63aを支持する下ケース61の弁体支持部61bと、外蓋4に設けられた圧力調整部8(図5参照)と、を備えて構成されている。
シール部材65は、調圧弁筐体66の外側下端部に外嵌された環状ゴム部材から成る。
調圧弁筐体66は、弁体63aを下側から支持すると共に、弁座66aを上端面に有する部材である。
弁体63aは、弁座66aを閉弁、開弁させる球体であり、例えば、鋼球から成る。
弁座66aは、湾曲状に窪んだ面に貫通孔を形成して成る。
弁体支持部61bは、弁体63aの後面側を囲むようにして支持する部位であり、前面側が開口している。
その開口には、図5に示すように、シール材8aに固定された圧力調整部8の後端部が入り込んで、弁体63aに当接した状態に配置されている。圧力調整部8は、弁体63aが開弁する圧力を予め設定した蒸気圧にするための調整装置である。
蒸気回収ユニット6は、調圧弁63から排出された蒸気を一時的に貯留して外部に排出するための部材であり、後記する下ケース61と上ケース62とで略ボックス状に形成されている。蒸気回収ユニット6は、内蓋5に設けられて内釜3内の蒸気が入り込む調圧弁63を備えた下ケース61と、下ケース61に着脱自在に連結されて蒸気を外部に排出する排出口62dを有する上ケース62と、を備えて構成されている。蒸気回収ユニット6内の下ケース61と上ケース62との間には、調圧弁63から排出口62dに向かって流れる蒸気の蒸気流路64が形成されている。
図11に示すように、下ケース61は、上側が開口した容器形状の下ケース本体61aと、下ケース本体61aの前端部寄りの位置に形成された弁体支持部61bと、調圧弁筐体66の凹部66bに係合して下ケース61を内蓋5に固定するための係止爪61cと、上ケース62の連結片62bに係合される係合部61dと、上ケース62の係合片62cに係合される係止片61eと、内底面61fに形成された結露排出口61gと、を有している。下ケース61は、内蓋5の上面の後端部に着脱可能に載設されている。
下ケース本体61aは、下面が内蓋5の上面の後端部側に固定される半ケース体である。下ケース本体61aは、平面視して略正方形、縦断面視して略凹部状に形成されて、蒸気回収ユニット6内の結露を一時的に溜める機能を果す。下ケース本体61aは、内底面61fの前端部側に結露が溜まるように、縦断面視して後側から前側に向かって下がるように傾斜して形成されている。
弁体支持部61bは、弁体63aと調圧弁筐体66とを覆うようにして支持する部位である。弁体支持部61bは、下ケース本体61aの内底面61fの最も低い位置から上方向に逆U字状に突出して形成されている。
係止爪61cは、弁体支持部61bの外周の側壁に複数形成された弾性を有する複数の舌片である。係止爪61cは、弁体支持部61bの外周面に上方向に向けて形成されている。
係合部61dは、下ケース61の前側側面から前方向に突出形成された左右一対の部位であり、平面視して逆凹形状(門形状)に形成されている。係合部61dの先端部には、縦断面視して半円状の連結片62bの先端部が係合されている。
係止片61eは、下ケース61の後側側面から上方向に向けて突出形成された左右一対の部位であり、側面視して略鉤状に形成されている。
図12に示すように、上ケース62は、下ケース61の開口端にシール部材67を介して密閉するように取り付けられるケース半体である。上ケース62には、それぞれ後記する上ケース本体62aと、連結片62bと、係合片62cと、排出口62dと、仕切62n,62oと、天井面62eと、内壁62f(図15)と、調圧弁配置空間62gと、蒸気貯留空間62hと、排出口配置空間62iと、排出筒状部62jと、圧力調整部設置孔62kと、パッキン装着溝62m(図15)と、が形成されている。
上ケース本体62aは、蒸気回収ユニット6の上側部位を形成するケース半体であり、縦断面視して下ケース61を覆うように略逆凹部形状に形成されている。図15(b)に示すように、上ケース本体62aは、下ケース本体61aとで、蒸気が一時的に籠って流れる蒸気流路64を形成している。上ケース本体62a内には、前端部側に調圧弁63が配置されて、後端部上側に排出口62dが形成され、調圧弁63と排出口62dとの間に、縦断面視して3つの略凹部形状(窪み形状)の空間が前後方向に並べた状態に形成されている。
図15(a)、(b)に示すように、連結片62bは、上ケース62の開口縁の前端部外側に突出形成された左右一対の突出部位である。連結片62bの前端部には、係合部61d(図10及び図11参照)の前端に合致する側面視して半円状の溝が形成されている。
図15(b)に示すように、係合片62cは、上ケース62の開口縁の後端部外側から下方向に突出形成された突起である。係合片62cの先端部は、係合部61d(図10参照)に内嵌するように形成されている。
図15(a)に示すように、排出口62d及び排出筒状部62jは、蒸気回収ユニット6内の蒸気を外部に排出するための部位である。排出筒状部62jは、先細形状に形成された管状部位であり、その先端に排出口62dが、後部上方に向けて蒸気が流れるように形成されている。図2に示すように、排出口62d及び排出筒状部62jは、内釜3の上部開口3aよりも外蓋回動軸44寄りの位置に配置されている。
図15(b)に示すように、仕切62n,62oは、上ケース62内を区画して、上ケース62内の天井面62eに向けて上昇する蒸気を前後方向に複数に分離して貯留させるための隔壁である。仕切62n,62oは、少なくとも、上ケース62内を調圧弁63が配置される調圧弁配置空間62gと、排出口62dが配置される排出口配置空間62iと、の3つ以上の空間を区画形成している。仕切62n,62oは、上ケース62内を手指が入る間隔を介して天井面62eから下方向に向けて上ケース62の高さと同じ高さだけ突出形成されている。
図15(b)に示すように、天井面62eは、前端部が斜めに形成され、略中央部から後端に亘って水平に形成されている。天井面62eには、調圧弁63から排出口62dに向かって流れる蒸気の流れを規制する2つの仕切62n,62oが、手指を入れることが可能な間隔以上に離間して突出形成されている。このように仕切62n,62oを備えて構成された上ケース62は、内部が複雑でないため、洗浄し易い構造になっている。
内壁62fは、全体が下ケース61の上方に、調圧弁配置空間62gと、蒸気貯留空間62hと、排出口配置空間62iとの3つの空間を形成するように形成されている。
調圧弁配置空間62gは、上ケース62内の前端部に形成された蒸気を貯留させる空間であり、中央部に調圧弁63が配置されている(図12参照)。
蒸気貯留空間62hは、調圧弁配置空間62g内の蒸気が充満したら、次に流れ込む貯留空間である。
排出口配置空間62iは、蒸気貯留空間62h内の蒸気が充満したら、次に流れ込む貯留空間である。
図15(a)に示すように、圧力調整部設置孔62kは、調圧弁配置空間62gの傾斜した天井面62eに形成された長円形の貫通孔であり、圧力調整部8がシール材8a(図5参照)を介在して圧力調整部設置孔62k内に進退するように配置されている。
図5に示すように、蒸気流路56,64は、内釜3内の蒸気が排出口62dから排出される流路である。蒸気流路56は、結露受皿7と内蓋5との間に形成された空間であり、蒸気が蒸気流通穴71d及び結露回収孔71eから流れ込むと共に、蓋体10を開放した際に、結露が結露回収孔71eから流れ込んで貯留されるようになっている。
次に、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係る炊飯器1の作用を説明する。
まず、飯を炊く場合を説明する。
飯を炊く場合は、図2に示すように、内釜3内に研いだ米及び水を入れて、蓋体10を閉塞した状態で炊く。内釜3内で発生した蒸気は、図5に示すように、蒸気流通穴71d及び結露回収孔71eから結露受皿7と内蓋5との間の蒸気流路56内に入り込む。
蒸気流路56内の内圧が所定圧力以上に上昇すると、蒸気圧で調圧弁63を開弁させる。すると、蒸気流路56内の蒸気は、調圧弁63を通って調圧弁配置空間62g内の天井面62eに向けて流れ込む。調圧弁配置空間62g内が蒸気で充満すると、仕切62nを越えて蒸気貯留空間62h内の天井面62eに向けて入り込む。蒸気貯留空間62h内が蒸気で充満すると、蒸気は、仕切62oを越えて排出口配置空間62i内の天井面62eに向けて入り込んで、排出口62dから外部に排出される。
このように、蒸気は、蒸気流路56,64を左右、上下方向に蛇行するように流れると共に、調圧弁配置空間62g、蒸気貯留空間62h、及び排出口配置空間62i内に一時的に籠って貯留されるので、外部に排出され難い。
また、蓋体10を開放した際には、図13に示すように、結露受皿7の下面に付着した結露が下降して結露回収孔71eから前記蒸気流路56内に入り込む。図5に示すように、蒸気流路56内に入り込んだ結露は、結露受皿7の皿部71a上に貯留する。また、蒸気流路64内の結露は、下ケース61内に一時的に貯留されてから結露排出口61gから内蓋5上に流れ出る。
そして、蒸気流路56内及び内蓋5上の結露は、蓋ヒータ48によって加熱されて蒸気となり、その蒸気で蒸気流路56内を逆流して内釜3内に戻って飯を蒸らすことができる。
このように本発明の炊飯器1は、飯を炊いているときに発生する蒸気を炊飯器1の外部に排出するのを抑制して、蒸気が炊飯器1内に適宜な状態で籠るようにすることができる。また、炊飯器1は、蓋体10を解放した際に落下する結露を蓋体10内に流れ込むようにすると共に、流れ込んだ結露を蓋ヒータ48で再び蒸気にさせて内釜3内に戻すことによって、内釜3内の蒸気圧を良好な状態に保つことができる。このため、飯が乾燥した状態になるのを抑制することができる。
次に、蓋体10に取り付けてある蒸気回収ユニット6、内蓋5、及び結露受皿7を洗浄する場合を説明する。
この場合は、まず、図2に示す操作ノブ13を操作して操作ノブ13の爪(図示省略)からロック部材47(図5参照)を解除させて蓋体10を解放する。
次に、図4に示すように、内蓋係止レバー53を前方向(矢印c方向)に引き上げると、蒸気回収ユニット6と結露受皿7とが取り付けてある内蓋5を外蓋4から容易に取り外すことができる。このとき、フックレバー45は、突起52bから解放されるので、フックレバー付勢部材46の付勢力でフックレバー軸部45bを中心として蓋体10の中央側方向(矢印b方向)に回動して図6に示す状態になる(図8及び図9参照)。
次に、図12に示すように、受皿係止レバー72を前方向(矢印e方向)に引き上げ操作して、結露受皿7の着脱用爪部72dを内蓋5の爪57aから解放させることによって、結露受皿7を内蓋5から容易に取り外すことができる。
さらに、蒸気回収ユニット6の上ケース62の係合片62cを下ケース61の係止爪61cから解放させれば、連結片62bが係止爪61cから離れるので、容易に上ケース62を下ケース61から分離させることができる。
このようにして、内蓋5、結露受皿7、及び蒸気回収ユニット6は一体で、外蓋4から容易に一度に取り外しが可能となった。また、洗い場で各内蓋5、結露受皿7、及び蒸気回収ユニット6の上ケース62を分解が可能となったので、結露受皿7や及び蒸気回収ユニット6内に残っている炊飯後の水滴などを、不用意に炊飯器の周囲にこぼすことが無くなり、洗浄時の手間がかからない。さらに、図15に示すように、上ケース62は、仕切62n,62oが複数形成されているが、その間には、スポンジを入れることが容易な寸法としているので洗浄作業が行い易い。また、蒸気回収ユニット6の下ケース61には仕切り板を設けていないので容易に洗浄することができる。
内蓋5、結露受皿7、及び蒸気回収ユニット6は、外蓋4に組み付ける場合は、図12に示すように、下ケース61の前側の係合部61dに上ケース62の連結片62bを係合させて、上ケース62の後端部を下ケース61側に押し込む。すると、下ケース61の係止片61eに上ケース62の係合片62cが係止されて、蒸気回収ユニット6を内蓋5に容易に取り付けることができる。
その内蓋5の後側の受皿支持部材58に結露受皿7の受皿係止爪71cを係止させて、結露受皿7の前端部を内蓋5側に押し込む。すると、結露受皿7は、受皿係止レバー72の着脱用爪部72dが爪57aに係止されて、内蓋5に取り付けることができる。
前述したように結露受皿7と蒸気回収ユニット6を内蓋5に一体に装着した後、一体となった内蓋5を外蓋4に組み付ける場合、図4に示すように、内蓋5の後端部の係止部52aを開放した外蓋4の係止突起43dに係止させて、内蓋5の前端部を外蓋側に押し込む。すると、内蓋5は、図5に示すように、内蓋係止レバー53の爪部53aが外蓋内面部材43の係止爪43cに係止されて、外蓋4に容易に取り付けることができる。
このように、蒸気回収ユニット6、結露受皿7、及び内蓋5は、それぞれを容易に組み付けて、外蓋内面部材43に着脱することができるため、それらを洗浄する際にスピーディに洗浄作業を行うことができる。
内蓋付け忘れ防止機構40のフックレバー45は、外蓋4に内蓋5が装着されるときに、突起52bに押圧されて外蓋4側に回動し、外蓋4による内釜3の閉塞を可能な状態にし、外蓋4に内蓋5が装着されていないときに、フックレバー付勢部材46によって内蓋側方向に回動されて、外蓋4で内釜3を閉塞しようとした際に、フックレバー45が内釜3の開口縁に当接する。
このため、蓋体10に内蓋5を付け忘れて蓋体10を閉めるのを完全に防止することができる。
また、内蓋5と内釜3を取り外した状態では、フックレバー45の当接する内釜3が蓋体10の回動範囲に存在しないので、蓋体10を閉成する事ができる。
上記した本実施例によれば、本体2と、本体2内に着脱する内釜3と、本体2の上方を開状態と閉状態の間で回動する外蓋4と、外蓋4に着脱する内蓋5と、を備え、外蓋4は、外蓋4から内蓋5を外した際に突出するフックレバー45を備え、外蓋4から内蓋5を外した状態で外蓋4を閉方向に回動させた場合、突出した状態のフックレバー45が内釜3に当接して、外蓋4の閉動作が規制されて、外蓋4から内蓋5を外した状態、かつ本体2から内釜3を外した状態で外蓋4を閉方向に回動させた場合、外蓋4は閉鎖される。これにより、内蓋5を装着忘れした時は蓋体10を閉められないことで知らせ、内蓋5と内釜3を洗う時は蓋体10を閉められる炊飯器を提供することができる。
また、内蓋5は、内蓋5を外蓋4に取り付けた場合にフックレバー45に当接して回動させる突起52bを備え、外蓋4は、フックレバー45を突起52bに当接する方向に付勢するフックレバー付勢部材46を備える。これにより、内蓋5の外蓋4に対する着脱が容易であり、内蓋5を外蓋4から取り外した際、フックレバー45を確実に外部に突出させることで、内釜3を本体2に設置した状態では外蓋4の閉動作を確実に規制できる。
また、フックレバー45は、回動自在に軸支されたフックレバー軸部45bと、側面に突出するストッパ45cと、を備え、外蓋4はストッパ45cと当接してフックレバー45の回動を規制する回動規制部43fを備える。これにより、フックレバー45の動作がより確実になり、内蓋5を外蓋4から取り外して、内釜3を本体2に設置した状態では外蓋4の閉動作を確実に規制できる。