JP6410643B2 - 曇り止めシート及び曇り止めシート部材 - Google Patents
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Description
しかし、これらの設備は、その運転にエネルギー(電気)を要するため、運転コストが高くなる。また、設備化にもコストを要する。
また、雨天時や朝晩の気温変化によって発生する、自動車室内の窓ガラスの曇りは、特許文献2に記載の輸送機関用内装部材を用いても、効果的に防止できないことがあった。
(1)吸水ポリマー10〜90質量%及び非加硫ゴム5〜70質量%を少なくとも含有する非加硫ゴムシートと、前記非加硫ゴムシートの両面に圧着され、前記非加硫ゴムシートと繊維とが絡みあった不織布とを有し、
前記不織布の少なくとも1つがレーヨン製不織布又はポリエステル製不織布である、曇り止めシート。
(2)前記非加硫ゴムシートが、前記不織布の空隙に、前記不織布の厚さに対して1/2〜2/3まで侵入している、(1)に記載の曇り止めシート。
(3)前記吸水ポリマーが、アクリル酸塩系架橋物である(1)又は(2)に記載の曇り止めシート。
(4)前記非加硫ゴムが、アクリルゴムである(1)〜(3)のいずれか1項に記載の曇り止めシート。
(5)前記非加硫ゴムシートの厚さが0.3〜3.0mmであり、前記不織布の目付け量が15〜100g/m2である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の曇り止めシート。
(6)前記不織布の表面に貼付した可逆性の湿度センサーラベルを有する(1)〜(5)のいずれか1項に記載の曇り止めシート
(7)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の曇り止めシートを、湿分透過性材料からなる袋状物内に収納してなる曇り止めシート部材。
(8)前記袋状物の表面に貼付した可逆性の湿度センサーラベルを有する(7)に記載の曇り止めシート部材。
<曇り止めシート>
本発明の好ましい曇り止めシート1は、図1に示されるように、吸水ポリマー10〜90質量%及び非加硫ゴム5〜70質量%を少なくとも含有する非加硫ゴムシート11と、非加硫ゴムシート11の両面に圧着した不織布12a及び12bとを有する。
曇り止めシート1の寸法は、用途等に応じて適宜に決定される。例えば、厚さは、0.3〜3.0mmであることが、シート強度と不織布との圧着性の点で、好ましい。より好ましくは0.5〜2.5mmであり、さらに好ましくは0.8〜2.3mmである。
なお、図1において、理解のため、不織布12a及び12bの空隙12c、及び、この空隙12cに侵入したゴム組成物を模式的に矩形で示してある。したがって、ゴム組成物の進入状態は、実際の状態をそのまま示すものではない。また、図1において、各部材のサイズ若しくは相対的な大小関係等は、説明の便宜上、変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。
また、非加硫シート11の空隙12c内への侵入量は、特に限定されないが、例えば、不織布の厚さの1/2〜2/3程度がよい。これにより、非加硫ゴムシート11と不織布12a及び12bとがより強固に一体化し、良好な投錨効果(アンカー効果)が得られる。
非加硫シート11の侵入量は、圧着条件、不織布の目付け量、非加硫ゴムの硬さ等により、上記所定の範囲に設定できる。
非加硫ゴムシート11のベースとなる非加硫ゴムは、所定の分子量のものを非加硫の状態で用いる。非加硫ゴムを非加硫のまま用いることにより、後述するように、吸水ポリマーの吸湿性を十分に発揮させることができる。用いるゴムを加硫すると、ゴムの緊縛力が強くなり、吸水ポリマーの膨張を阻害して、その湿度調整能力を低下させることになる。
合成ゴムとしては、特に限定されず、例えば、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー等が挙げられる。
これらのなかでも、吸水ポリマーとの相溶性、及び、吸水性に関して極性の大きい点で、アクリルゴムが特に好ましい。通常、炭素原子と水素原子からなるゴムは極性が小さい。しかし、ゴム分子の中に、窒素原子、酸素原子、塩素原子又は硫黄原子等を含むものは、シリコーンを例外として、極性が大きくなる。水は代表的な極性分子であるため、極性の大きいゴムとは親和性が高くなる。したがって、アクリルゴムのような極性が大きいゴムは水分(湿度)を吸収して膨潤する傾向を示す。
このような吸水ポリマーとしては、特に限定されず、例えば、アクリル酸塩系架橋物(重合体)、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸反応物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル共重合体等が挙げられる。これらのなかでも、吸水率、吸水ゲル状態での安定性、価格の点から、アクリル酸塩系架橋物が特に好ましい。
吸水ポリマーは、公知のものを特に制限されることなく使用することができる。例えば、アクリル酸塩系架橋物に用いられるアクリル酸塩としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムが汎用されており、例えば、下記の構造を有する。下記構造式中nは1000〜1,000,000の整数を表す。アクリル酸塩系架橋物は、このポリアクリル酸ナトリウムを公知の架橋法により架橋して得られる架橋物である。
[−CH2−CH(CO2Na)−]n
ゴム組成物中の、吸水ポリマーの含有率は、10〜90質量%である。この含有率が10質量%未満であると、吸水ポリマーの吸湿能力が小さくなることがある。一方、90質量%を超えると、非加硫ゴムの含有率が相対的に少なくなり、非加硫ゴムシート11の形状が保持できなくなり、成形が困難となることがある。非加硫ゴムの含有率は、好ましくは20〜80質量%であり、さらに好ましくは30〜75質量%である。
芳香剤としては、特に限定されず、例えば、石油化学製品、天然のテルペン化合物からなる化学合成品や、ラベンダー、バラ等の花木、りんご、レモン又は桃等の果物から抽出される天然成分、その他、石鹸、緑茶、竹又は木炭等が挙げられる。
本発明の曇り止めシート1は、消臭又は脱臭作用(悪臭防止機能)をも有するが、消臭又は脱臭作用を補強するため等に、脱臭剤又は消臭剤を含有していてもよい。このような脱臭剤又は消臭剤としては、特に限定されず、例えば、有機酸、無機化合物、天然抽出物を主成分とした化学反応(中和)や化学吸着による消臭、活性炭、カーボンブラック、竹炭等による物理的吸着による消臭剤等が挙げられる。
芳香剤の含有率は、ゴム組成物中、0.1〜3質量%が好ましい。0.1質量%未満ではその効果が弱く、3質量%を超えると臭いが強すぎてかえって不快に感じることがある。
なかでも、水分との相溶性が高く、曇り止めシート1の高い吸放湿性能が長期間に及ぶ点で、レーヨン製不織布がさらに好ましい。すなわち、不織布がレーヨン製不織布であると、曇り止めシート1に、例えば結露した水滴が接触、付着しても水分が速やかに不織布中に拡散して、特定の場所に水分が滞留しにくくなる。これにより、非加硫ゴムシート11中の吸水ポリマーが不織布表面に滲出することがなく、曇り止めシート1の高い吸放湿性能が長期間に及ぶ。このように、レーヨン製不織布が圧着された曇り止めシート1は、水滴との接触によっても、その機能を損なわず、優れた湿度調整能力を発揮できる。
本発明の曇り止めシート1は周辺環境の湿度が高くなると吸湿し、低くなると放湿する。雨天等に機能して窓ガラスの曇り取りをすると、曇り止めシート1は吸湿し、膨張する。しかし、晴天等で低湿度になれば自然に放湿して収縮し元に形状及び寸法に復帰する。このとき、曇り止めシート1の吸湿状態を目で確認することができるが、可逆性の湿度センサーラベルを不織布に貼り付けておくと有効である。すなわち、曇り止めシート1が湿度センサーを備えていると、曇り止めシート1の吸湿状態を確認できる。
特に、本発明においては、曇り止めシート1は非加硫ゴムシート11の表面に圧着された不織布12a又は12bに湿度センサーラベルが設けられる。したがって、非加硫ゴムシート11と湿度センサーラベルとの間に不織布が介在する。これにより、非加硫ゴムシート11に直接湿度センサーラベルを設ける場合よりも、湿度センサーラベルの信頼性が向上する。
湿度センサーラベル14は、例えば図3に示されるように、インジケーター15と粘着フィルム16との積層構造となっている。インジケーター15は、湿度変化を標示可能な材料を紙に含浸させたものが一般的である。このようなインジケーター15としては、例えば、湿度変化を標示可能な材料として塩化コバルトや臭化コバルトの、乾燥時と含湿時での色変化が発生する現象を利用したもの、又は、非コバルト製品等を用いたものが挙げられる。
粘着フィルム16は、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製基材16aと、基材16a上に設けられた粘着剤層16bとを有する。図3に示す湿度センサーラベル14は、インジケーター15が粘着剤層16b中に埋め込まれ、インジケーター15の表面が粘着剤層33bの表面に露出している。この湿度センサーラベル14は、通常、粘着剤層23に剥離紙が貼付されている。湿度センサーラベル14は、剥離紙17が剥離され、粘着剤層16bにより、曇り止めシート1(不織布)に貼付される。
湿度センサーラベル14は、例えば、商品名「KP−COF−HIC」(共同印刷社製)、商品名「HUMIDITY INDICATOR」(ピアテック社製)、商品名「湿度インジケーター(可逆)」(アセイ工業社製)等が挙げられる。
カレンダーロールの間隔又は圧延(圧着)ロールの間隔は、基本的には曇り止めシート1の総厚に設定し、投入するゴム組成物及び不織布の総厚は設定値に対して、好ましくは110〜180%、より好ましくは115%〜170%、さらに好ましくは120%〜160%に設定する。これにより、ゴム組成物が空隙12cに侵入した状態に不織布12a及び12bを非加硫ゴムシート11に圧着できる。その他の条件として、例えば、ゴム組成物を柔らかくするために熱入れ(加温)処理する等が挙げられる。
また、曇り止めシート1は、上記のように、結露した水滴に接触してもその高い吸放湿性能を長期間発揮できることがある。したがって、この曇り止めシート1は、結露が発生しやすい窓ガラスの曇り止めシートとしても好適に用いられる。
本発明の好ましい曇り止めシート部材2は、図2に示されるように、曇り止めシート1を湿分透過性材料からなる袋状物13内に収納してなる。曇り止めシート1は上記の通りである。図2(a)は曇り止めシート部材2の平面図であり、図2(b)は曇り止めシート部材2の正面図である。
袋状物13を形成する湿分透過性材料は、湿分(水分)を透過させる材料であれば特に限定されない。例えば、上記不織布、織布、網状織物、和紙、ポリビニルアルコール等の湿分透過性フィルムが挙げられる。
この湿分透過性材料の湿分透過性は、曇り止めシート1の吸放湿機能を損なわない程度であればよく、例えば、後述の吸湿性評価試験法による吸湿率が、袋状物無しの測定結果の70%以上であることが好ましい。
なかでも、湿分透過性材料は、不織布が好ましく、レーヨン製不織布又はポリエステル製不織布がより好ましく、レーヨン製不織布がさらに好ましい。
また、曇り止めシート部材2のように、曇り止めシート1を袋状物13内に収納した態様で使用すると、曇り止めシート1の耐外傷性を向上させ、取り扱い性が向上する。
なお、非加硫ゴムシートは、通常、粘着性を有しており、袋状物13内への挿入性が悪いが、両面を不織布で貼り合せた曇り止めシート1は袋状物13内への挿入性にも優れる。
本例は、図1に示す曇り止めシート1を製造し、その特性を評価した。
下記表1に示す材料を密閉型混合機(加圧型ニーダー)にて混合してゴム組成物を調製した。このゴム組成物をカレンダーロールにてシート状に成形しながら、さらに圧着ロールにて成形されたシート状物(厚さ1.4mm)の両面にレーヨン製不織布(商品名:ボンリック4030、目付量30g/m2、厚さは約0.20mm、金星製紙社製)12a及び12bをそれぞれ圧着し、貼り合わせて(圧着ロールの間隔は1.4mm、投入したゴム組成物と不織布の総厚は1.8mmで、設定値の128%)、総厚1.4mmの曇り止めシート1を製造した。
得られた曇り止めシート1において、非加硫ゴムシート11(ゴム組成物)は、不織布12a及び12bの空隙12c内に侵入していたものの、不織布12a及び12bの表面から漏出していない(非加硫ゴムシート11の空隙12c内への侵入量は、不織布12a又は12bの厚さの60%)。このように実施例1の曇り止めシート1は、不織布12a及び12bの両表面に粘着のない、非加硫ゴムシート11と不織布12a及び12bとが一体に圧着されたシートであった。
用いたアクリルゴムのムーニー粘度は、35(ML1+4(100℃))であった。
製造した曇り止めシートの質量は、5cm×5cmで4.5g、5cm×10cmで9g、5cm×60cmで54gであった。
上記不織布に代えて、目付量50g/m2のポリエステル製不織布(三井化学社製、シンテックスPS112(商品名))を用いた以外は、実施例1と同様にして、曇り止めシート1を製造した。
<実施例3>
表2に示す配合2(質量%)のゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、曇り止めシート1を製造した。
<実施例4>
表2に示す配合3(質量%)のゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、曇り止めシート1を製造した。
<実施例5>
シート状物及び曇り止めシート1の総厚を2.5mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、曇り止めシート1を製造した。
<実施例6>
表2に示す配合4(質量%)のゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、曇り止めシート1を製造した。実施例6において、香料は、森林14−Z−1068(商品名、日進香料社製)を用いた。
<実施例7>
表2に示す配合5(質量%)のゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、曇り止めシート1を製造した。実施例7において、充填剤は、白艶華CC(商品名、白石カルシウム社製、炭酸カルシウム)を用いた。
実施例1〜7で製造した曇り止めシートは、いずれも、実施例1と同様に、不織布12a及び12bの両表面に粘着のない、非加硫ゴムシート11と不織布12a及び12bとが一体に圧着されたシートであった。
実施例1と同じ質量分のシリカゲルを目付量30g/m2のポリエステル製不織布に封入して、比較のための試料とした。
<比較例2>
実施例1と同じ質量分のゼオライトを目付量30g/m2のポリエステル製不織布に封入して、比較のための試料とした。
<比較例3>
表2に示す配合6(質量%)のゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、曇り止めシート1を製造した。比較例3で用いた充填剤は白艶華CCである。
各実施例及び比較例3で製造した各曇り止めシートを50mm×50mmの寸法に切り出して試験体を作製した。また、比較例1及び2については、シリカゲル又はゼオライトの質量を実施例1の試験体の質量と同じとなるように調整して、試験体とした。
作製した各試験体を、80℃で1時間真空乾燥して質量(乾燥質量)M1を測定した。その後、各試験体を30℃、90%RHの恒温恒湿槽中に入れ、所定時間経過ごとにその質量M2を測定し、下記式により質量増加の割合を吸湿率(%)として、算出した。
吸湿率(%)=[(M2−M1)/M1]×100
吸湿率は、5時間経過後で5%以上、24時間経過後で20%以上、かつ168時間経過後で40%以上であった場合を、本試験の合格とした。
上記[吸湿率試験]において168時間経過後の各試験体を、30℃、40%RHに設定した恒温恒湿槽に入れ、24時間経過後に、各試験体の質量を測定した。上記[吸湿率試験]において168時間経過後の質量増加量からの質量減量の割合を下記式により放湿率(%)を算出した。
放湿率(%)=((W2−W3)/(W2−W1))×100
式中、W1は乾燥質量
W2は、上記[吸湿率試験]において168時間経過後の質量
W3は、放湿性試験24時間経過後の質量
を表す。
放湿率は、50%以上を本発明の合格とした。
各実施例及び比較例3で製造した各曇り止めシートを5cm×10cmの寸法に切り出して曇り止め評価用試験体Aを作製した。また、比較例1及び2については、シリカゲル又はゼオライトの質量を実施例1の試験体の質量と同じとなるように調整して、曇り止め評価用試験体Aを作製した。各曇り止め評価用試験体Aを、25℃×60%RHで24時間放置した後に、曇り止め評価Aを行った。
温度30℃、相対湿度95%の恒温恒湿試験機内で容量5Lのガラス容器(デシケーター)の蓋を開けて2時間放置した後、ガラス容器中に曇り止め評価用試験体Aを入れ、密閉した。その後、ガラス容器ごと、温度5℃の低温室に移し、2時間経過後、ガラス容器に曇りがあるかどうかを目視で確認した。
曇り止め評価Aは、ガラス容器に曇りがなかったものを本試験の合格とした。
各実施例及び比較例3で製造した各曇り止めシートを5cm×60cmの寸法に切り出して曇り止め評価用試験体B(フロントガラスの表面積に対する、試験体Bの表面積の割合は3%)を作製した。また、比較例1及び2については、シリカゲル又はゼオライトの質量を、実施例1の試験体の質量と同じとなるように調整して、曇り止め評価用試験体Bを作製した。作製した各曇り止め評価用試験体Bを、25℃×60%RHで24時間放置した後に、曇り止め評価Bを行った。
昼間、自家用車室内運転席前のダッシュボード上に各曇り止め評価用試験体Bを置き、車内をエアコンで25℃にした後、エアコンを停止し、加湿器で90%RHまで加湿し、翌朝(気温0〜5℃)、フロントガラスに曇りが発生するかどうかを目視で確認した。
曇り止め評価Bは、フロントガラスに曇りが発生しなかったものを本試験の合格とした。
自家用車室内運転席前のダッシュボード上に[曇り止め評価B]で作製、調湿した各曇り止め評価用試験体B(フロントガラスの表面積に対する、試験体Bの表面積の割合は3%)を置き、実際に3ヶ月間エアコン等の曇り止め防止設備を稼働させることなく、通常に走行し、フロントガラスに曇りが発生するかどうかを目視で確認した。
曇り止め評価Cは、3か月間の走行中に一度もフロントガラスに曇りが発生しなかったものを、本試験の合格とした。
実施例1で製造した曇り止めシート1を10cm×10cmの寸法に切り出して、アンモニアガス吸収評価試験体を作製した。このアンモニアガス吸収評価試験体を、2Lの密閉容器中に入れ、100PPMのアンモニアガスを封入した。この状態で2時間経過後に検知管にて密閉容器中のアンモニア濃度を測定したところ、アンモニアガス濃度は4PPMまで低下しており、消臭効果が確認された。
また、このアンモニアガス吸収評価試験体を密閉容器から取り出し、アンモニアガスを充填していない2Lの密閉容器中に入れた。この状態で2時間経過した後に、密閉容器内のアンモニアガス濃度を測定したところ、アンモニアガス濃度は6PPMとなっており、アンモニアガス吸収評価試験体が吸着したアンモニアガスはほとんど放出されてなく、消臭効果の継続性も確認された。
本例は、図2に示す曇り止めシート部材2を製造して、上記[曇り止め評価C]を行った。
実施例1で製造した曇り止めシート1(寸法:50mm×600mm、フロントガラスの表面積に対する、曇り止めシート1の表面積の割合は3%、質量54g)を、目付量50g/m2のポリエステル製不織布の袋状物13に収納した。次いで、この袋状物13の表面に、湿度センサーラベル14(商品名:インジケーターカードPHI、ピアテック社製)を、粘着剤層16bにより、貼付けて、曇り止めシート部材2を製造した。
この湿度センサーラベル14は、相対湿度70%で色が変化するタイプで、その湿度前後で(湿度が65〜75%になると)、青色から白色を経て桃色へと変化する。
この曇り止めシート部材2を用いて上記[曇り止め評価C]を行ったところ、フロントガラスに曇りは発生せず、合格であった。このとき、湿度センサーラベル14の色は、白色まで変化したが、桃色にはならなかった。つまり、湿度は70%前後までとなったが、それ以上の高湿度までにはならなかったということであった。
本発明の曇り止めシート1は、いずれも、吸放湿性が優れており、曇り止め効果も長時間持続した。特に、自家用車室内運転席前のダッシュボード上に置いておくだけで、フロントガラスの曇りを少なくとも3か月の長期にわたり防止できた。
また、本発明の曇り止めシート部材2は、曇り止め評価Cに合格しており、曇り止めシート1と同様に優れた特性を有していた。しかも、湿度センサーラベル14は所期の機能を発揮(色変化)し、その高い信頼性が確認された。
これに対して、従来の吸収剤を用いた比較例1及び2、また吸水ポリマーの含有率が少ない比較例3は、十分な吸放湿性を発揮せず、曇り止め効果が劣るものであった。
2 曇り止めシート部材
11 非加硫ゴムシート
12a及び12b 不織布
12c 空隙(網目)
13 袋状物
14 湿度センサーラベル
15 インジケーター
16 粘着フィルム
16a 樹脂製基材(基材)
16b 粘着剤層
17 剥離紙
Claims (8)
- 吸水ポリマー10〜90質量%及び非加硫ゴム5〜70質量%を少なくとも含有する非加硫ゴムシートと、前記非加硫ゴムシートの両面に圧着され、前記非加硫ゴムシートと繊維とが絡みあった不織布とを有し、
前記不織布の少なくとも1つがレーヨン製不織布又はポリエステル製不織布である、曇り止めシート。 - 前記非加硫ゴムシートが、前記不織布の空隙に、前記不織布の厚さに対して1/2〜2/3の深さまで侵入している、請求項1に記載の曇り止めシート。
- 前記吸水ポリマーが、アクリル酸塩系架橋物である請求項1又は2に記載の曇り止めシート。
- 前記非加硫ゴムが、アクリルゴムである請求項1〜3のいずれか1項に記載の曇り止めシート。
- 前記非加硫ゴムシートの厚さが0.3〜3.0mmであり、前記不織布の目付け量が15〜100g/m2である請求項1〜4のいずれか1項に記載の曇り止めシート。
- 前記不織布の表面に貼付した可逆性の湿度センサーラベルを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の曇り止めシート。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の曇り止めシートを、湿分透過性材料からなる袋状物内に収納してなる曇り止めシート部材。
- 前記袋状物の表面に貼付した可逆性の湿度センサーラベルを有する請求項7に記載の曇り止めシート部材。
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