JP7367327B2 - 壁紙用の消臭防汚シート材料 - Google Patents
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Description
本発明の消臭防汚シート材料は、消臭性と防汚性を要求される様々な分野の製品に適用することができ、特に臭いを発したり、浸透したりする汚物が関与する生活環境、介護・医療現場における壁紙用の消臭防汚シート材料として好適に用いることができる。
よって、ガス透過層と、ガス吸着性と、水分を透過しない防汚特性と、吸着対象のガス成分の多様性とを備えた積層体の開発が望まれている。
1.少なくとも、ガス透過層と、押出接着層と、防汚層とを有する、壁紙用の消臭防汚シート材料であって、
該ガス透過層は、該消臭防汚シート材料の片面の表面層であり、繊維材料を用いた布からなる層であり、
該ガス透過層と該押出接着層とは隣接しており、
該押出接着層および/または該防汚層は、消臭剤を含有し、
該押出接着層は、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする、壁紙用の消臭防汚シート材料。
2.前記押出接着層に含有される前記消臭剤が、無機臭気分解剤、無機多孔体からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、
上記1に記載の、消臭防汚シート材料。
3.前記防汚層に含有される前記消臭剤が、無機臭気分解剤、無機多孔体、化学臭気吸着剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする、
上記1に記載の、消臭防汚シート材料。
4.前記消臭剤を含有する層中の、前記消臭剤の含有量が、0.1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする、
上記1~3の何れかに記載の、消臭防汚シート材料。
5.前記消臭剤は、最大粒子径が25μm以下であり、数平均粒子径が0.05μm以上、20μm以下であることを特徴とする、
上記1~4の何れかに記載の、消臭防汚シート材料。
6.前記防汚層は、粘着性樹脂を含有し、自己粘着性を有し、前記消臭防汚シートの片側の表面層であり、
前記粘着性樹脂が、0.88g/cm3以上、0.915g/cm3以下の密度を有する、LLDPEを含有することを特徴とする、
上記1~5の何れかに記載の、消臭防汚シート材料。
7.前記消臭防汚シートの前記防汚層同士を対向して重ねて、40℃において0.18MPaの圧力を12時間かけた後に、300mm/minの速度で、剪断方向に剥がした時の粘着力が、1.5N/15mm以上であることを特徴とする、
上記6に記載の、消臭防汚シート材料。
8.前記防汚層は、水蒸気透過率が、2000g/m2/day以下であることを特徴とする、
上記1~7の何れかに記載の、消臭防汚シート材料。
9.上記1~8の何れかに記載の消臭防汚シート材料から作製された、壁紙用の消臭防汚シート資材。
10.上記1~8の何れかに記載の消臭防汚シート材料から作製された、消臭防汚壁紙。
本発明の壁紙用の消臭防汚シート材料は、漏洩や飛散した、ジュース、コーヒー、醤油、ソース等の飲食物や屎尿や吐瀉物等の汚物そのものまたは該汚物からの臭気の浸透を抑制し、且つ消臭することができるシート材料であって、優れた消臭性と防汚性を有する。
消臭防汚シート材料は、少なくとも、ガス透過層と、押出接着層と、防汚層とを有する積層体であり、ガス透過層は消臭防汚シート材料の片面の表面層であり、且つ押出接着層と隣接している。
該押出接着層および/または該防汚層が消臭剤を含有し、消臭効果を発揮する。
消臭防汚シート材料は、例えば、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を含有することができる。その含有量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に含有することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を含有することができる。
消臭防汚シート材料の作製は、予め作製されたガス透過層を構成するフィルムと、防汚層を構成するフィルム等とを、押出形成された押出接着層を介して積層することが好ましい。
例えば、予め作製されたガス透過層の接着面上に、加熱によって溶融した押出接着層用の組成物をTダイス等で必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出して流下させて、押出接着層の厚みをコントロールしながら、防汚層等を重ねて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで圧着して、接着と積層を同時に行うことができる。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
ガス透過層は、繊維材料を用いたガス透過布からなる層である。該ガス透過布は不織布であってもよく、織布であってもよいが、不織布が好ましい。
ガス透過層は湿気や空気や臭気等のガスを通過することができる層であり。消臭性も防汚性も防水性も有していなくてよい。
ガス透過層は、1層構成であっても、構成が同一または異なる2層以上で構成されていてもよい。
ガス透過層を構成する布の目付量は、10~200g/m2が好ましい。上記範囲よりも小さいとガス透過シートとしての強度が低下し易く、安定した加工特性が得ることが困難であり、上記範囲よりも大きいと、ガス透過性が低下し易く、さらには、ガス透過シートの剛性が高くなり過ぎて、製品としての適用範囲が限定される可能性がある。
ガス透過層に用いられる繊維としては、ガス透過層と押出接着層の両者間に高いラミネート強度を有することができる材料であれば、公知の材料が適用できる。
ガス透過層に用いられる繊維材料の具体例としては、綿花・絹・羊毛・麻・パルプ・ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリスチレン繊維、ポリエステル‐ポリエチレン2重構造繊維、パルプ‐ポリエチレン‐ポリプロピレン複合繊維、およびこれらの併用等が挙げられる。
上記の繊維材料の中でも、パルプ、ポリエチレン繊維、ポリエステル‐ポリエチレン2重構造繊維、パルプ‐ポリエチレン‐ポリプロピレン複合繊維が、接着性が良好であり、好ましい。
押出接着層は、押出(エクストルージョン)形成された接着層である。
押出接着層は、ポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましく、さらには、消臭剤を含有することができる。
[押出接着層中のポリオレフィン系樹脂]
押出接着層に含まれるポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の低溶出化されたもの及びそれらの樹脂の混合物が挙げられる。
上記の中でも、ポリエチレン系の樹脂が好ましく、ポリエチレン系の樹脂の中でも、LDPEおよび/またはLLDPEがより好ましく、LDPEがさらに好ましい。
押出接着層に含有される消臭剤は、無機臭気分解剤、無機多孔体からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することが好ましい。汚物が屎尿の場合には、臭気成分は硫化水素とアンモニアを含有するが、上記の消臭剤はこれらの臭気成分を効率よく消臭することができる。収容物の汚物の臭気の種類によって、消臭剤を選択することが好ましい。また、必要に応じて、上記以外の消臭剤を併用することもできる。
上記の消臭剤は粉体で用いられる場合、粉体の最大粒子径は25μm以下が好ましく、数平均粒子径は0.05μm以上、20μm以下が好ましい。数平均粒子径が上記範囲よりも小さいと、消臭剤が凝集し易くなり、最大粒子径または数平均粒子径が上記範囲よりも大きいと、25μm以下のフィルム厚または層厚の場合に、フィルム厚または層厚よりも大きい粒子が存在して均質性に劣ることになり易く、消臭性能も劣り易くなり、ラミネート強度を低下させ易くなる。
無機臭気分解剤は、金属担持無機酸化物、または金属カチオンと無機酸アニオンからなる塩が、金属酸化物と混合されたものが挙げられ、具体的には、リン酸塩銅ガラスや、焼ミョウバン(AlK(SO4)2)をCaOおよびZnOと混合したもの等が挙げられる。
無機臭気分解剤は、無機臭気分解剤中の金属成分等がイオン化して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進する触媒作用を発揮する。
粉体状の金属担持無機酸化物は、原料の金属酸化物やリン化合物等を混合して、瓶ガラスなどの汎用ガラス作製と同様な常法により溶融して均質化して、冷却後に粉砕して粉体状にし、金属塩を担持することによって、得ることができる。あるいは、原料の溶融前に、金属塩を一緒に予め混合しておいてもよい。
無機多孔体は、その表面に多数の細孔を有する物質であり、例えば、活性白土や活性化ベントナイト、ゼオライト、ジルコニウム化合物、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、活性炭、チタニア、燐酸カルシウム等の無機燐酸塩、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
活性白土は、天然に産出するモンモリロナイトを主成分とする酸性白土を硫酸や塩酸等の無機酸で熱処理して得られる、多孔質で大きな比表面積を持ち、吸着性に優れる粘土の一種である。
上記の中でも、臭気吸着性能や、臭気物質の分子サイズやクラスターサイズに対して有効な孔サイズの多孔状態を有することや安全面の観点から、活性白土や活性化ベントナイト、ゼオライトが好ましく用いられる。
ここで、ベントナイトとは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分し、不純物として石英や長石などの鉱物を含むものであり、Na+イオンを多く含むNa型ベントナイトと、Ca2+イオンを多く含むCa型ベントナイトの2種類に大別される。
疎水性ゼオライトは、シートまたはシート材料が230℃以上に晒された場合であっても、臭気吸着能を喪失することは無く、臭気物質の吸着による消臭効果を発揮することができる。
疎水性ゼオライトは、疎水性である為に、極性の高い水分子等は吸着し難く、逆に極性の低い、臭い分子、疎水性ガス、親油性ガス(溶剤系ガスも含む)との親和性が高く、これらを吸着し易い。更に、ゼオライト表面に存在する、Ca、Na、K等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の効果によりゼオライト表面は塩基性を示し、酸性ガスを中和反応によって吸着し易い。
防汚層は、防汚性を有する層である。
防汚層は、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、さらには、消臭剤を含有することができる。
そして、防汚層の水蒸気透過率は、2000g/m2/day以下が好ましい。上記範囲よりも大きい水蒸気透過率だと、防汚層を臭気や汚水が透過してしまう虞がある。下限値は低いほど好ましく、0g/m2/dayが最も好ましい。
また、防汚層は、ヒートシール性樹脂、粘着性樹脂、接着剤を含有して、ヒートシール性、粘着性、接着性を高めることができ、これら各々からなるヒートシール層、粘着層、接着層を有することができる。これらの層は消臭防汚シート材料の片側の表面層であることが好ましい。
防汚層は、1層構成であっても、構成が同一または異なる2層以上で構成されていてもよい。例えば、ヒートシール性の異なる3層から構成されていてもよい。特に、防汚層を防汚フィルムから形成する場合には、防汚フィルムの両面にヒートシール性の高い層を積層しておくと積層時の接着性に優れることから防汚層の形成を容易に行うことができ、且つ、防汚層が表面層である場合には、ヒートシール性に優れた消臭防汚シート材料を得ることができる。
防汚層において、上記のような水蒸気透過率を示したり、防汚性、ヒートシール性、接着性に優れたりする熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系の樹脂の中でもポリエチレン系樹脂がより好ましく、ポリエチレン系の樹脂の中でもLLDPEまたはLDPEが更に好ましい。
粘着層は粘着性樹脂を含有するが、防汚層が消臭剤を含有する場合であっても、消臭剤を含有しない層である。粉体である消臭剤を含有しないことで、優れた自己粘着性を発揮することができる。
防汚層が充分な自己粘着性を有している場合には特に設ける必要が無い層であるが、
防汚層に含有される熱可塑性樹脂の粘着性が不十分であったり、消臭層に大量の消臭剤を高濃度に含有して消臭層が充分な自己粘着性を発揮できない場合に、粘着層を防汚層の外部表面に設けることによって、消臭防汚シート材料は優れた自己粘着性を有することができる。
粘着層の厚みに特に制限は無いが、1μm以上、30μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと自己粘着性を発揮し難く、上記範囲よりも厚くても自己粘着性はそれほど向上せず、粘着層が変形し易くて均質な層構成を維持し難くなり易い。
粘着性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、EVA、NBRゴム、SBRゴム等の粘着性を有するグレードが好ましく、ポリオレフィン系樹脂の粘着性を有するグレードがより好ましく、LLDPEの粘着性を有するグレード(以下、粘着性LLDPEと記載する)がさらに好ましい。
LLDPEは、JIS K6899-1:2000において、密度は0.910g/cm3以上、0.925g/cm3以下であるとされているが、本発明において、粘着性LLDPEは、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の中でも、特に良好な粘着性を有するLLDPEのことであり、密度が0.88g/cm3以上、0.915g/cm3以下のLLDPEを指す。
密度が上記範囲よりも小さいと、粘着性が強過ぎたり、軟化点が低すぎて、層構造を維持することが困難になり易い。密度が上記範囲よりも大きいと、充分な粘着性を発揮することが困難になり易い。
粘着性は、消臭防汚シートの防汚層同士を対向して重ねて、40℃において、0.18MPaの圧力を12時間かけた後に、300mm/minの速度で剪断方向に剥がした時の粘着力が、1.5N/15mm以上が好ましい。
前記防汚層に含有される前記消臭剤が、無機臭気分解剤、無機多孔体、化学臭気吸着剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
(無機臭気分解剤)
無機臭気分解剤は、金属担持無機酸化物、金属酸化物、金属カチオンと無機酸アニオンからなる塩が、金属酸化物と混合されたもの等が挙げられ、具体的には、リン酸塩銅ガラスや、焼ミョウバン(AlK(SO4)2)をCaOおよびZnOと混合したもの等が挙げられる。
無機臭気分解剤は、無機臭気分解剤中の金属成分等がイオン化して、硫黄系悪臭物質の分解反応を促進する触媒作用を発揮する。
粉体状の金属担持無機酸化物は、原料の金属酸化物やリン化合物等を混合して、瓶ガラスなどの汎用ガラス作製と同様な常法により溶融して均質化して、冷却後に粉砕して粉体状にし、金属塩を担持することによって、得ることができる。あるいは、原料の溶融前に、金属塩を一緒に予め混合しておいてもよい。
無機多孔体は、その表面に多数の細孔を有する物質であり、例えば、活性白土や活性化ベントナイト、ゼオライト、ジルコニウム化合物、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、活性炭、チタニア、燐酸カルシウム等の無機燐酸塩、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
活性白土は、天然に産出するモンモリロナイトを主成分とする酸性白土を硫酸や塩酸等の無機酸で熱処理して得られる、多孔質で大きな比表面積を持ち、吸着性に優れる粘土の一種である。
上記の中でも、臭気吸着性能や、臭気物質の分子サイズやクラスターサイズに対して有効な孔サイズの多孔状態を有することや安全面の観点から、活性白土や活性化ベントナイト、ゼオライトが好ましく用いられる。
ここで、ベントナイトとは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分し、不純物として石英や長石などの鉱物を含むものであり、Na+イオンを多く含むNa型ベントナイトと、Ca2+イオンを多く含むCa型ベントナイトの2種類に大別される。
疎水性ゼオライトは、シートまたはシート材料が230℃以上に晒された場合であっても、臭気吸着能を喪失することは無く、臭気物質の吸着による消臭効果を発揮することができる。
疎水性ゼオライトは、疎水性である為に、極性の高い水分子等は吸着し難く、逆に極性の低い、臭い分子、疎水性ガス、親油性ガス(溶剤系ガスも含む)との親和性が高く、これらを吸着し易い。更に、ゼオライト表面に存在する、Ca、Na、K等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の効果によりゼオライト表面は塩基性を示し、酸性ガスを中和反応によって吸着し易い。
本発明において、化学臭気吸着剤とは、臭気物質と化学反応を起こして結合する反応性官能基を有する化合物であり、例えば、種々のアルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類等の臭気物質と結合する反応性を有する官能基を有する化合物である。
この際、化学吸着であることにより、一旦吸着した臭気物質は脱離することがなく、効率的に臭気吸着を行うことができる。
さらに、臭気と水蒸気とが同一の吸着部位に吸着される物理吸着剤とは異なり、臭気物質は化学臭気吸着剤の特定の官能基と結合するため、臭気吸着能を低下させる種々の物質、例えば水蒸気等の影響を受けにくい。
例えば、化学臭気吸着剤のヒドロキシル基は、臭気物質のカルボキシル基と化学反応を起こし、化学臭気吸着剤のアミノ基は、臭気物質のアルデヒド基と化学反応を起こしし、臭気象物質を吸着し易い。
上記の中でも、アミノ基を有する化合物、例えばポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン等が特に優れた吸着効果を発揮する。
担持方法としては、公知または慣用の担持方法を適用することができ、例えば、化学臭気吸着剤を含有する溶液を、無機多孔体に含浸させて、乾燥することにより、担持させることができる。
化学臭気吸着剤を無機多孔体に担持させることにより、化学臭気吸着剤の単位質量当たりの吸着能を大幅に高めることができ、積層体中の化学臭気吸着剤の含有率を減らすことができる。また無機多孔体の孔部分に対する物理吸着特性も期待できる。また、化学臭気吸着剤を粉体として扱うことができる。
消臭防汚シート資材は、本発明の壁紙用の消臭防汚シート材料を用いて作製したシート資材であり、消臭性と防汚性とを有し、必要に応じてヒートシール性、自己粘着性、接着性等を有することができる。
消臭防汚シート資材の具体例としては、消臭防汚シート材料のロール巻等が挙げられる。
消臭防汚壁紙は、本発明の消臭防汚シート材料を用いて作製した壁紙であり、消臭性と防汚性とを有し、必要に応じてヒートシール性、自己粘着性、接着性等を有することができる。
実施例に用いた原料の詳細は下記の通りである。
[消臭剤]
(化学臭気吸着剤)
・化学臭気吸着剤1:東亞合成(株)社製アミノ基含有化合物担持無機多孔体、ケスモンNS-241。平均粒子径3.5μm。
・化学臭気吸着剤2:東亞合成(株)社製ヒドロキシル基担持ジルコニウム、ケスモンNS-80E。平均粒子径2μm。
・化学臭気吸着剤3:東亞合成(株)社製、リン酸ジルコニウム化合物、ケスモンNS-10。平均粒子径1μm。
(無機臭気分解剤)
・無機臭気分解剤1:石塚硝子(株)社製、銅混錬硝子、デオグラ。平均粒子径=3~4μm。
・無機臭気分解剤2:(株)シナネンゼオミック社製、酸化銅・酸化亜鉛複合化アルミノケイ酸、ダッシュライトCZU。平均粒子径=3~5μm。
・無機臭気分解剤3:大日精化工業(株)社製、AlK(SO4)2とCaOとZnOの混合物/LDPE=30/70質量比のマスターバッチダイムシュー。
(無機多孔体)
・無機多孔体1:水澤化学工業(株)社製、活性白土、ガレオンアースSH。平均粒子径=5μm。
・無機多孔体2:水澤化学工業(株)社製、ゼオライト、シルトンMT100。SiO2/AL2O3モル比=100/1、平均粒子径3~4.5μm。
・ガス透過布1:ユニチカ(株)社製、エルブス。目付量;40g/m2、スパンボンドタイプ、ポリエステル‐ポリエチレン2重構造繊維使用。
・ガス透過布2:三和製紙(株)社製、サンモアソフト。目付量;70g/m2、長繊維湿式不織布タイプ、パルプ‐ポリエチレン‐ポリプロピレン複合繊維使用。
・ガス透過布3:東洋紡(株)社製、エクレール3401A。目付量;40g/m2、スパンボンドタイプ、ポリエステル系繊維使用。
・LLDPE1:、プライムポリマー(株)社製LLDPE、エボリューSP0511。密度0.903g/cm3、MFR1.2g/10分、水蒸気透過率33g/m2/day(50μmフィルムで評価)。
・LLDPE2:プライムポリマー(株)社製LLDPE、ウルトゼックス1520L、密度0.916g/cm3、MFR2.3g/10分、水蒸気透過率23g/m2/day(50μmフィルムで評価)。
・LDPE1:日本ポリエチレン(株)社製LDPE、ノバテックLC600A。密度0.918g/cm3、MFR7.0g/10分。
・LDPE2:日本ポリエチレン(株)社製LDPE、ノバテックLC520。MFR3.6g/10分、密度0.923g/cm3。
マスターバッチを下記のように調整した。
[マスターバッチ1の調整]
LDPE1と、化学臭気吸着剤1とを下記割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
LDPE1 90質量部
化学臭気吸着剤1 10質量部
[マスターバッチ2~13の調整]
表1の配合に従って、マスターバッチ1と同様に、メルトブレンドし、マスターバッチ2~12(MB2~13)を得た。
[防汚層用フィルムの作製]
上記で得たMB1、MB2、MB3とLLDPE1とを下記割合でドライブレンドして、消臭層樹脂組成物1を得た。
マスターバッチ1 16.7質量部
マスターバッチ2 33.3質量部
マスターバッチ3 33.3質量部
LLDPE1 16.7質量部
そして、上記で得た消臭層樹脂組成物1と、ヒートシール層用のLLDPE1とを、160℃でインフレーション製膜によって積層し、下記3層構成の防汚層用フィルム1を得た。
ヒートシール層1(10μm)/消臭層(30μm)/ヒートシール層2(10μm)
[消臭防汚シートの作製]
次に、ガス透過布1と、上記で得られた防汚層用フィルム1とを、LDPE1を用いてエクストルージョンコート法により320℃で接着して、下記層構成の消臭防汚シートを得て、臭気吸着性能、防汚特性を評価した。
ガス透過布層(40g/m2)/押出接着層(15μm)/防汚層[ヒートシール層1(10μm)/消臭層(30μm)/ヒートシール層2(10μm)]
表2、表3の記載に従ってマスターバッチを選択して用いて防汚層消臭層樹脂組成物を作製し、ガス透過布を選択し、実施例1と同様に操作して、防汚層用フィルム、消臭防汚シートを作製し、同様に評価した。
[押出接着層樹脂組成物の作製]
上記で得たMB4、MB8とLDPE2とを下記割合でドライブレンドして、押出接着層樹脂組成物11を得た。
マスターバッチ4 33.3質量部
マスターバッチ8 50質量部
LDPE2 16.7質量部
[防汚層用フィルムの作製]
LLDPE1を、160℃でインフレーション製膜によって製膜し、50μmの防汚層用フィルム11を得た。
[消臭防汚シートの作製]
次に、ガス透過布1と、上記で得られた防汚層用フィルム11とを、上記で得られた押出接着層樹脂組成物11を用いてエクストルージョンコート法により320℃で接着して、下記層構成の消臭防汚シートを得て、実施例1と同様に評価した。
ガス透過布層(40g/m2)/押出接着層(20μm)/防汚層(50μm)
表3、表4の記載に従ってマスターバッチを選択して用いて押出接着層樹脂組成物を作製し、実施例11と同様に操作して、防汚層用フィルム、消臭防汚シートを作製し、同様に評価した。
[押出接着層樹脂組成物の作製]
上記で得たMB4、MB8とLDPE2とを下記割合でドライブレンドして、押出接着層樹脂組成物17を得た。
マスターバッチ4 33.3質量部
マスターバッチ8 50質量部
LDPE2 16.7質量部
[防汚層用フィルムの作製]
上記で得たMB1、MB2、MB3とLLDPE1とを下記割合でドライブレンドして、消臭層樹脂組成物17を得た。
マスターバッチ1 16.7質量部
マスターバッチ2 33.3質量部
マスターバッチ3 33.3質量部
LLDPE1 16.7質量部
そして、上記で得た消臭層用の消臭層樹脂組成物17と、ヒートシール層用のLLDPE1とを、160℃でインフレーション製膜によって積層し、下記3層構成の防汚層用フィルム17を得た。
ヒートシール層1(10μm)/消臭層(30μm)/ヒートシール層2(10μm)
[消臭防汚シートの作製]
次に、ガス透過布1と、上記で得られた防汚層用フィルム17とを、上記で得られた押出接着層樹脂組成物17を用いてエクストルージョンコート法により320℃で接着して、下記層構成の消臭防汚シートを得て、実施例1と同様に評価した。
ガス透過層(40g/m2)/押出接着層(20μm)/防汚層[ヒートシール層1(10μm)/消臭層(30μm)/ヒートシール層2(10μm)]
表4の記載に従ってマスターバッチを選択して用いて、押出接着層樹脂組成物と防汚層の消臭層樹脂組成物を作製し、実施例17と同様に操作して、防汚層用フィルム、消臭防汚シートを作製し、同様に評価した。
押出接着層と防汚層を形成せず、ガス透過層のガス透過布1のみを使用し、実施例1と同様に評価した。
押出接着層をLDPE2で形成したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、防汚層用フィルム、消臭防汚シートを作製し、同様に評価した。
ガス透過布3を使用した以外は、実施例17と同様の操作を行い、防汚層用フィルム、消臭防汚シートを作製し、同様に評価した。
本願発明の実施例の消臭防汚シートは、良好なラミネート特性、消臭性能、防汚特性を示した。一方、本願発明に該当しない比較例1~4では、ラミネート特性、消臭性能、防汚特性の何れかの特性で不十分な性能を示した。
[ラミネート特性]
○:押出接着剤層を介したガス透過層/消臭防汚層間の接着性が良好である。
×:押出接着剤層を介したガス透過層/消臭防汚層間の接着性が弱く、容易に剥がれる。
消臭防汚シートを20×20cmにカットし、1000mlをガスサンプリングバック(層構成:IB-PET-PIR12μm/接着層/ONy15μm/接着層/LLDPEフィルム60μm)に入れ、2日放置後の臭気変化を官能評価により測定した。臭気成分としては、アセトアルデヒド:200ppm、酢酸:30ppm、硫化水素:20ppm、アンモニア:30ppmとなる様に調整した。
評価基準は以下のとおりである。
・1=初期と変化無く臭い。
・2=初期から多少臭いが緩和された。
・3=初期と比較して大幅に臭いが緩和された。
・4=全く臭いがしない。
消臭防汚シートのガス透過層側を内面にして、インパルスシーラーにより4方シールを行い、13cm×17cmのパウチを作製し、このパウチ内に100mlの水を充填し、1時間保管後における漏れの有無を評価した。
〇:パウチから水漏れが無く、充填水が維持された。
×:パウチから水漏れが発生。
2 ガス透過層
3 押出接着層
4 防汚層
4a ヒートシール層
4b 消臭層
4c 粘着層、接着層
Claims (8)
- 少なくとも、ガス透過層と、押出接着層と、防汚層とを有する、壁紙用の消臭防汚シート材料であって、
該ガス透過層は、該消臭防汚シート材料の片面の表面層であり、繊維材料を用いた布からなる層であり、
該繊維材料は、ポリエステル‐ポリエチレン2重構造繊維、またはパルプ‐ポリエチレン‐ポリプロピレン複合繊維であり、
該ガス透過層と該押出接着層とは隣接しており、
該押出接着層および/または該防汚層は、消臭剤(但し、消臭剤がリン系無機酸のアミン塩である場合を除く。)を含有し、
該押出接着層に含有される消臭剤は、無機臭気分解剤、無機多孔体からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有し、該防汚層に含有される消臭剤は、無機臭気分解剤、無機多孔体、化学臭気吸着剤からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有し、
該無機臭気分解剤は、リン酸塩銅ガラス及び/または焼ミョウバン(AlK(SO4)2)を、CaOおよびZnOと混合したものであり、
該無機多孔体は、活性白土、活性化ベントナイト、ゼオライト、ジルコニウム化合物、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、活性炭、チタニア、燐酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上を含有したものであり、
該化学臭気吸着剤は、アルキルアミン、テトラメチレンジアミン、エタノールアミン、ピペリジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有したものであり、
該押出接着層は、ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする、壁紙用の消臭防汚シート材料。 - 前記消臭剤を含有する層中の、前記消臭剤の含有量が、0.1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする、
請求項1に記載の、消臭防汚シート材料。 - 前記消臭剤は、最大粒子径が25μm以下であり、数平均粒子径が0.05μm以上、20μm以下であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の、消臭防汚シート材料。 - 前記防汚層は、粘着性樹脂を含有し、自己粘着性を有し、前記消臭防汚シート材料の片側の表面層であり、
前記粘着性樹脂が、0.88g/cm3以上、0.915g/cm3以下の密度を有する、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含有することを特徴とする、
請求項1~3の何れか1項に記載の、消臭防汚シート材料。 - 前記消臭防汚シート材料の前記防汚層同士を対向して重ねて、40℃において0.18MPaの圧力を12時間かけた後に、300mm/minの速度で、剪断方向に剥がした時の粘着力が、1.5N/15mm以上であることを特徴とする、
請求項4に記載の、消臭防汚シート材料。 - 前記防汚層は、水蒸気透過率が、2000g/m2/day以下であることを特徴とする、
請求項1~5の何れか1項に記載の、消臭防汚シート材料。 - 請求項1~6の何れか1項に記載の消臭防汚シート材料から作製された、壁紙用の消臭防汚シート資材。
- 請求項1~6の何れか1項に記載の消臭防汚シート材料から作製された、消臭防汚壁紙。
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