JP5515692B2 - 表皮材 - Google Patents
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Description
また、アルデヒド吸着能を長期に亘り発揮させることができる吸着剤として、環状飽和第二アミンと不揮発性酸等とを活性炭に担持させてなる低級アルデヒド類の吸着剤が知られている(下記特許文献2)。
〈1〉表皮層と、難燃層と、消臭層と、をこの順に積層して備え、
前記難燃層は、第1樹脂成分と、難燃剤と、を含み、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭を実質的に含まず、
前記難燃剤が、金属水酸化物及び/又はリン系難燃剤であり、
前記消臭層は、第2樹脂成分と、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭と、を含み、難燃剤を実質的に含まないことを特徴とする表皮材。
〈2〉前記表皮層は、繊維が集成されてなる前記〈1〉に記載の表皮材。
〈3〉更に、バッキング層を備え、
前記バッキング層は、前記消臭層の前記難燃層が配された側の面とは反対の面側に配されている前記〈1〉又は〈2〉に記載の表皮材。
〈4〉前記難燃剤が、リン系難燃剤であり、
更に、非通気性のバッキング層を備え、
前記非通気性のバッキング層は、前記消臭層の前記難燃層が配された側の面とは反対の面側に配されている前記〈1〉又は〈2〉に記載の表皮材。
繊維が集成されてなる表皮層を備える場合には、特に前記本発明による作用を効果的に得ることができる。
バッキング層が消臭層の難燃層が配された側の面とは反対の面側に配されている場合においても、本発明の表皮材によれば、優れた消臭効果を得ることができる。特にバッキング層が非通気性であっても、優れた消臭効果を発揮できる。
前記難燃層12は、第1樹脂成分121と、難燃剤122と、を含み、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭132を実質的に含まず、
前記難燃剤122が、金属水酸化物及び/又はリン系難燃剤であり、
前記消臭層13は、第2樹脂成分131と、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭132と、を含み、難燃剤122を実質的に含まないことを特徴とする。
更にその他、フックカーペット、段通カーペット等を用いることもできる。
前記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの金属水酸化物は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、難燃層12全体を100質量%とした場合に、通常、第1樹脂成分121と難燃剤122とは合計で90〜100質量%含有され、93〜100質量%が好ましく、95〜100質量%がより好ましい。
その機構は、(1)金属水酸化物では、アミン系物質を添着成分として活性炭の表面に安定的に存在させるために利用されている酸性成分と金属水酸化物とが反応することに起因して、添着活性炭の機能を低下させてしまうものと考えられる。一方、(2)リン系難燃剤では、水の介在下でリン系難燃剤の一部が加水分解されて酸性成分を生じ、添着成分であるアミン系物質とこの酸性成分とが反応して、添着活性炭の機能を低下させてしまうものと考えられる。
即ち、金属水酸化物及びリン系難燃剤のいずれも、添着活性炭132と併存されると、添着活性炭132の機能を阻害するという問題があることが分かった。
これに対して、本発明の表皮材では、難燃剤122及び添着活性炭132の各々を、難燃層12と消臭層13との2層に別々に配合していることで前記問題が解消される。加えて、消臭層13よりも難燃層12を表皮層11に近い側へ配置させることで、消臭層13に含まれる消臭剤132の色(黒色)が表皮層11に現れることを防止でき、表皮材としての美観を向上させることができる。
また、難燃層12は、前述のように、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭を実質的に含まない。即ち、通常、難燃層12全体を100質量%とした場合に、前記添着活性炭の含有量が1質量%以下(0質量%を含む)である。
尚、前記分散体の分散媒の種類は特に限定されず、有機分散媒を用いてもよいが、水系分散媒を用いることが好ましく、特に水が好ましい。
更に、この第2樹脂成分131は、どのような形態で消臭層13内に含まれていてもよいが、消臭層13内の添着活性炭132をより効果的に機能させるために、適度な通気性(多孔性)を有することが好ましい。この通気性はどのように付与されていてもよいが、例えば、発泡状態とすることにより連泡構造が得られ、表皮層11を構成する繊維に対する目止め機能を有しながら、層内の通気を得ることができ、層内に含まれる添着活性炭132をより効果的に機能させることができる。
尚、上記アミン系物質以外に、前記不揮発性酸や、その他、酸化剤(活性炭の活性を促す機能を有する)アルカリ又はアルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム)などを添着できる。
更に、活性炭の粒径は特に限定されないが、1〜300μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。この範囲では、消臭層13において、第2樹脂成分131により被覆され難く且つ添着活性炭132の脱落を十分に抑制でき、添着活性炭132をより効果的に機能させることができる。尚、添着活性炭132の好ましい粒径は、前記添着基材としての活性炭の好ましい粒径と同じである。
この添着活性炭132の吸着に適した成分としては、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド系物質が挙げられる。尚、添着活性炭132は、添着基材としての活性炭が元来適正を有している吸着成分に対しての吸着性能も維持している。この吸着成分としては、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の炭化水素系物質が挙げられる。
更に、消臭層13は、前述のように、難燃剤122を実質的に含まない。即ち、通常、消臭層13全体を100質量%とした場合に、前記難燃剤122の含有量が1質量%以下(0質量%を含む)である。
尚、前記分散体の分散媒の種類は特に限定されず、有機分散媒を用いてもよいが、水系分散媒を用いることが好ましく、特に水が好ましい。
また、pH調整を施す場合、pH調整剤としては、酸性側へpH調整を行う場合には、クエン酸、リン酸、硫酸、塩酸等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。一方、塩基性側へpH調整を行う場合には、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、アンモニア等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、無添着活性炭としては、前記アミン系物質を添着成分とする添着活性炭における添着基材としての活性炭をそのまま適用できる。また、その他の添着活性炭としては、アルカリ金属の炭酸塩が添着された添着活性炭が挙げられる。アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用しても、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウムの炭酸塩が好ましく、更には、炭酸カリウムがより好ましい。
このアルカリ金属の炭酸塩が添着された添着活性炭が吸着できる成分としては、各種の酸性ガスが挙げられる。酸性ガスとしては、酢酸、硫化水素、メルカプタン及び酪酸等が挙げられる。尚、添着基材としての活性炭が元来適正を有している吸着成分に対しての吸着性能も維持している。この吸着成分としては、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の炭化水素系物質が挙げられる。
〈1〉表皮層11の準備
目付350g/m2のニーパン不織布(ニードルパンチで表面を起毛させた)を表皮層11とした。
(1)難燃層用ラテックスの調製
ラテックス(第1樹脂成分121としてアクリル樹脂を含む水系エマルジョン、固形分濃度50質量%、pH8.5)と、難燃剤122(水酸化アルミニウム)と、を混合して難燃層用エマルジョンを調製した。難燃層用エマルジョンは、固形分全体を100質量%とした場合に、50質量%の第1樹脂成分と、50質量%の難燃剤と、を含む。
(2)難燃層12の形成
表皮層11の裏面(起毛させていない側)に、難燃層用ラテックスを発泡させた発泡ラテックスをロールコーターで、固形分質量換算70g/m2(即ち、第1樹脂成分35g/m2と難燃剤35g/m2)の塗工量で塗工した。その後、温度170℃で5分間乾燥させて難燃層12を形成した。
(1)消臭層用ラテックスの調製
ラテックス(第2樹脂成分131としてアクリル樹脂を含む水系エマルジョン、固形分濃度50質量%、pH8.5)と、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭132と、を混合して消臭層用エマルジョンを調製した。消臭層用エマルジョンは、固形分全体を100質量%とした場合に、50質量%の第2樹脂成分と、50質量%の消臭剤と、を含む。尚、添着活性炭132は、無添着活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製、品名「白鷺G2c」)を基材とし、アミン系物質としてモノエタノールアミンと、酸化剤としてアルカリ金属のハロゲン化物(KI)と、不揮発性酸としてリン酸と、が添着された添着活性炭を用いた。
(2)消臭層13の形成
難燃層12の裏面に、消臭層用ラテックスを発泡させた発泡ラテックスをロールコーターで、固形分質量換算80g/m2(即ち、第2樹脂成分40g/m2と添着活性炭40g/m2)の塗工量で塗工した。その後、温度170℃で5分間乾燥させて消臭層13を形成した。
上記〈3〉までに得られ3層積層物の裏面(消臭層13の表面)に、Tダイ溶融押出機を用いてオレフィン系樹脂(ポリエチレン)をフィルム状に直接、押し出してロール圧着した。更に、その後、成形加熱を180℃で2分間行い、冷却して、非通気性のバッキング層を形成し、表皮材10(実施例品)を得た。
〈1〉表皮層11の準備
目付350g/m2のニーパン不織布(ニードルパンチで表面を起毛させた)を表皮層11とした。
(1)併存層用ラテックスの調製
ラテックス(樹脂成分としてアクリル樹脂を含む水系エマルジョン、固形分濃度50質量%、pH8.5)と、難燃剤(水酸化アルミニウム)と、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭132と、を混合して併存層用エマルジョンを調製した。得られた併存層用エマルジョンは、固形分全体を100質量%とした場合に、40質量%の樹脂成分と、30質量%の難燃剤と、30質量%の添着活性炭と、を含む。
尚、添着活性炭132は、無添着活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製、品名「白鷺G2c」)を基材とし、アミン系物質としてモノエタノールアミンと、酸化剤としてアルカリ金属のハロゲン化物(KI)と、不揮発性酸としてリン酸と、が添着された添着活性炭を用いた。
(2)併存層の形成
表皮層11の裏面(起毛させていない側)に、併存層用ラテックスを発泡させた発泡ラテックスをロールコーターで、固形分質量換算60g/m2(即ち、樹脂成分24g/m2と難燃剤18g/m2と添着活性炭18g/m2)の塗工量で塗工した。その後、温度170℃で5分間乾燥させて併存層を形成した。
上記〈3〉までに得られ2層積層物の裏面(併存層の表面)に、Tダイ溶融押出機を用いてオレフィン系樹脂(ポリエチレン)をフィルム状に直接、押し出してロール圧着した。更に、その後、成形加熱を180℃で2分間行い、冷却して、非通気性のバッキング層を形成し、表皮材(比較例品)を得た。
前記[1]〜[2]で得られた各表皮材(実施例品、及び、比較例品)を100mm×80mmに裁断して試験片とした。次いで、容積10リットルのガスバック(ジーエルサイエンス株式会社)内に前記各試験片を投入し、更に、100ppmのアセトアルデヒドを含むアセトアルデヒドガス4リットル(温度35℃)を注入して、各試験ガスが各々含まれた環境を形成した。そして、注入直後、注入してから1時間経過後、2時間経過後、及び、4時間経過後、の各々時刻におけるアセトアルデヒドの濃度の検知管式測定器(株式会社ガステック製)を用いて測定した。アセトアルデヒドの測定にはアセトアルデヒドに対応する検知管を用いた。この結果を表1に示した。
前記[1]〜[2]で得られた各表皮材(実施例品、及び、比較例品)を100mm×80mmに裁断して試験片とした。これらの試験片を各々、表皮層(ベージュ淡色)が外側に向くように2つ折りにして現れる折り目と、折っていない部分との色の差異を目視にして確認した。
その結果、比較例品では、折っていない部分に比べて、折り目において表皮層下の併存層に起因する黒色の染み出しが認められた。これに対して、実施例品では、折り目と、折っていない部分との差異が認められず、黒色の染み出しが認められなかった。
11;表皮層、111;基布、112;パイル糸、
12;難燃層、121;第1樹脂成分、122;難燃剤、
13;消臭層、131;第2樹脂成分、132;添着活性炭、
14;バッキング層。
Claims (4)
- 表皮層と、難燃層と、消臭層と、をこの順に積層して備え、
前記難燃層は、第1樹脂成分と、難燃剤と、を含み、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭を実質的に含まず、
前記難燃剤が、金属水酸化物及び/又はリン系難燃剤であり、
前記消臭層は、第2樹脂成分と、アミン系物質を添着成分とする添着活性炭と、を含み、難燃剤を実質的に含まないことを特徴とする表皮材。 - 前記表皮層は、繊維が集成されてなる請求項1に記載の表皮材。
- 更に、バッキング層を備え、
前記バッキング層は、前記消臭層の前記難燃層が配された側の面とは反対の面側に配されている請求項1又は2に記載の表皮材。 - 前記難燃剤が、リン系難燃剤であり、
更に、非通気性のバッキング層を備え、
前記非通気性のバッキング層は、前記消臭層の前記難燃層が配された側の面とは反対の面側に配されている請求項1又は2に記載の表皮材。
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