JP6410582B2 - ウエハ加工用テープ - Google Patents

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Description

本発明は、ウエハ加工用テープに関し、特に、ダイシングテープとダイボンディングフィルムの2つの機能を有するウエハ加工用テープに関する。
近時、半導体ウエハを個々のチップに切断分離(ダイシング)する際に半導体ウエハを固定するためのダイシングテープと、切断された半導体チップをリードフレームやパッケージ基板等に接着するため、又は、スタックドパッケージにおいては、半導体チップ同士を積層、接着するためのダイボンディングフィルム(ダイアタッチフィルムともいう)との2つの機能を併せ持つダイシング・ダイボンディングテープが開発されている。
このようなダイシング・ダイボンディングテープとしては、ウエハへの貼り付けや、ダイシングの際のリングフレームへの取り付け等の作業性を考慮して、プリカット加工が施されたものがある。
プリカット加工されたダイシング・ダイボンディングテープの例を、図4及び図5に示す。図4は、ダイシング・ダイボンディングテープをロール状に巻き取った状態を示す図であり、図5(a)は、ダイシング・ダイボンディングテープの平面図であり、図5(b)は、図5(a)の線B−Bによる断面図である。ダイシング・ダイボンディングテープ50は、離型フィルム51と、接着剤層52と、粘着フィルム53とからなる。接着剤層52は、ウエハの形状に対応する円形に加工されたものであり、円形ラベル形状を有する。粘着フィルム53は、ダイシング用のリングフレームの形状に対応する円形部分の周辺領域が除去されたものであり、図示のように、円形ラベル部53aと、その外側を囲むような周辺部53bとを有する。接着剤層52と粘着フィルム53の円形ラベル部53aとは、その中心を揃えて積層され、また、粘着フィルム53の円形ラベル部53aは、接着剤層52を覆い、且つ、その周囲で離型フィルム51に接触している。
ウエハをダイシングする際には、積層状態の接着剤層52及び粘着フィルム53から離型フィルム51を剥離し、図6に示すように、接着剤層52上に半導体ウエハWの裏面を貼り付け、粘着フィルム53の円形ラベル部53aの外周部にダイシング用リングフレームRを粘着固定する。この状態で半導体ウエハWをダイシングし、その後、粘着フィルム53に紫外線照射等の硬化処理を施して半導体チップをピックアップする。このとき、粘着フィルム53は、硬化処理によって粘着力が低下しているので、接着剤層52から容易に剥離し、半導体チップは裏面に接着剤層52が付着した状態でピックアップされる。半導体チップの裏面に付着した接着剤層52は、その後、半導体チップをリードフレームやパッケージ基板、あるいは他の半導体チップに接着する際に、ダイボンディングフィルムとして機能する。
ところで、上記のようなダイシング・ダイボンディングテープ50は、接着剤層52と粘着フィルム53の円形ラベル部53aとが積層した部分は、粘着フィルム53の周辺部53bよりも厚い。このため、製品としてロール状に巻かれた際に、接着剤層52と粘着フィルム53の円形ラベル部53aの積層部分と、粘着フィルム53の周辺部53aとの段差が重なりあい、柔軟な接着剤層52表面に段差が転写される現象、すなわち図7に示すような転写痕(ラベル痕、シワ、又は、巻き跡ともいう)が発生する。このような転写痕の発生は、特に、接着剤層52が柔らかい樹脂で形成される場合や厚みがある場合、及びテープ50の巻き数が多い場合などに顕著である。そして、転写痕が発生すると、接着剤層と半導体ウエハとの接着不良により、ウエハの加工時に不具合が生じるおそれがある。
このような問題を解決するために、離型フィルムの、接着剤層及び粘着フィルムが設けられた第1の面とは反対の第2の面上であって、且つ、離型フィルムの短手方向両端部に支持部材を設けたウエハ加工用テープが開発されている(例えば、特許文献1参照)。このようなウエハ加工用テープは、支持部材が設けられているため、ウエハ加工用テープをロール状に巻き取った際に、テープに加わる巻き取り圧を分散する、或いは、支持部材に集めることができるので、接着剤層への転写跡の形成を抑制することができる。
特許第4360653号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のウエハ加工用テープでは、接着剤層への転写跡の形成を十分に抑制するためには、支持部材の厚さを接着剤層の厚さ以上にする必要があるため、支持部材の選定に制約があるという問題があった。また、粘着フィルムは、接着剤層を覆い、かつ、その周囲で離型フィルムに接触しているが、接着剤層の厚みにより、離型フィルムと粘着フィルムの間にごくわずかな空隙が生じ、空気(エア)が残る場合がある。上記特許文献1に記載のウエハ加工用テープは、離型フィルムの短手方向両端部に支持部材が設けられているため、ウエハ加工用テープをロール状に巻き取った状態では、ラベル部とその上に巻き取られた離型フィルムとの間が中空構造になるため、上記空気(エア)が移動して接着剤層と粘着フィルムとの間に侵入してしまう可能性があるという問題があった。接着剤層と粘着フィルムとの間に侵入した空気(エア)は、ボイドとも呼ばれ、半導体ウエハWに対する貼合不良を生じさせ、その後の半導体ウエハWのダイシング工程やチップのピックアップ工程、ボンディング工程での歩留まりの低下をもたらすおそれがある。
そこで、本発明は、ラベル痕の発生を低減することができ、かつ、接着剤層の厚さに関係なく支持部材を選定できるとともに、接着剤層と粘着フィルムとの間に空気(エア)を巻き込むのを低減することができるウエハ加工用テープを提供することを課題とする。
以上の課題を解決するため、本発明に係るウエハ加工用テープは、長尺の離型フィルムと、前記離型フィルムの第1の面上に設けられた所定の平面形状を有する接着剤層と、前記接着剤層を覆い、且つ、前記接着剤層の周囲で前記離型フィルムに接触するように設けられた所定の平面形状を有するラベル部と、前記ラベル部の外側を囲むような周辺部とを有する粘着フィルムと、前記離型フィルムの、前記接着剤層および前記粘着フィルムが設けられた第1の面とは反対の第2の面上であって、且つ、前記接着剤層に対応する部分を含み前記ラベル部の前記離型フィルムの短手方向における端部に対応する部分を含まない領域内に、前記離型フィルムの長手方向に沿って設けられた支持部材とを有することを特徴とする。
また、上記半導体加工用テープは、前記支持部材が、前記離型フィルムの短手方向の中央部に設けられていることが好ましい。
また、上記半導体加工用テープは、前記支持部材が、2前記離型フィルムの短手方向の幅が10〜50mmであることが好ましい。
本発明によれば、ラベル痕の発生を低減することができ、かつ、接着剤層の厚さに関係なく支持部材を選定できるとともに、接着剤層と粘着フィルムとの間に空気を巻き込むのを低減することができる。
(a)は、本発明の実施形態に係るウエハ加工用テープの平面図であり、(b)は、(a)の線A−Aによる断面図である。 本発明の他の実施形態に係るウエハ加工用テープの断面図である。 本発明のさらに他の実施形態に係るウエハ加工用テープの断面図である。 従来のウエハ加工用テープの斜視図である。 (a)は、従来のウエハ加工用テープの平面図であり、(b)は、(a)の線B−Bによる断面図である。 ウエハ加工用テープとダイシング用リングフレームとが貼り合わされた状態を示す断面図である。 従来のウエハ加工用テープの不具合を説明するための模式図である。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係るウエハ加工用テープ(ダイシング・ダイボンディングテープ)の平面図、図1(b)は、図1(a)の線A−Aによる断面図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、ウエハ加工用テープ10は、長尺の離型フィルム11と、接着剤層12と、粘着フィルム13と、支持部材14とを有する。
接着剤層12は、離型フィルムの第1の面上に設けられ、ウエハの形状に対応した円形ラベル形状を有している。粘着フィルム13は、接着剤層12を覆い、且つ、接着剤層12の周囲で離型フィルムに接触するように設けられた円形ラベル部13aと、この円形ラベル部13aの外側を囲むような周辺部13bとを有する。周辺部13bは、円形ラベル部13aの外側を完全に囲む形態と、図示のような完全には囲まない形態とを含む。円形ラベル部13aは、ダイシング用のリングフレームに対応する形状を有する。そして、支持部材14は、離型フィルム11の、接着剤12及び粘着フィルム13が設けられた第1の面11aとは反対の第2の面11bであって、且つ、接着剤層12に対応する部分を含み円形ラベル部13aの離型フィルム11の短手方向における端部に対応する部分を含まない領域rに設けられている。
以下、本実施形態のウエハ加工用テープ10の各構成要素について詳細に説明する。
(離型フィルム)
本発明のウエハ加工用テープ10に用いられる離型フィルム11としては、ポリエステル(PET、PBT、PEN、PBN、PTT)系、ポリオレフィン(PP、PE)系、共重合体(EVA、EEA、EBA)系、またこれらの材料を一部置換して、更に接着性や機械的強度を向上したフィルム使用することができる。また、これらのフィルムの積層体であってもよい。
離型フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、25〜50μmが好ましい。
(接着剤層)
本発明の接着剤層12は、上述のように、離型フィルム11の第1の面11a上に形成され、ウエハの形状に対応する円形ラベル形状を有する。
接着剤層12は、半導体ウエハ等が貼合されダイシングされた後、チップをピックアップする際に、チップ裏面に付着しており、チップを基板やリードフレームに固定する際の接着剤として使用されるものである。接着剤層12としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂から選択される少なくとも1種を含む粘接着剤等を好ましく使用することができる。この他、ポリイミド系樹脂やシリコーン系樹脂を使用することもできる。その厚さは適宜設定してよいが、5〜100μm程度が好ましい。
(粘着フィルム)
本発明の粘着フィルム13は、上述のように、ダイシング用のリングフレームの形状に対応する円形ラベル部13aと、その外側を囲むような周辺部13bとを有する。このような粘着フィルムは、プリカット加工により、フィルム状粘着剤から円形ラベル部13aの周辺領域を除去することで形成することができる。
粘着フィルム13としては、特に制限はなく、ウエハをダイシングする際にはウエハが剥離しないように十分な粘着力を有し、ダイシング後にチップをピックアップする際には容易に接着剤層から剥離できるよう低い粘着力を示すものであればよい。例えば、基材フィルムに粘着剤層を設けたものを好適に使用できる。
粘着フィルム13の基材フィルムとしては、従来公知のものであれば特に制限することなく使用することができるが、後述の粘着剤層として放射線硬化性の材料を使用する場合には、放射線透過性を有するものを使用することが好ましい。
例えば、その材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのα−オレフィンの単独重合体または共重合体あるいはこれらの混合物、ポリウレタン、スチレン−エチレン−ブテンもしくはペンテン系共重合体、ポリアミド−ポリオール共重合体等の熱可塑性エラストマー、およびこれらの混合物を列挙することができる。また、基材フィルムはこれらの群から選ばれる2種以上の材料が混合されたものでもよく、これらが単層又は複層化されたものでもよい。
基材フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、適宜に設定してよいが、50〜200μmが好ましい。
粘着フィルム13の粘着剤層に使用される樹脂としては、特に限定されるものではなく、粘着剤に使用される公知の塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
粘着剤層13の樹脂には、アクリル系粘着剤、放射線重合性化合物、光重合開始剤、硬化剤等を適宜配合して粘着剤を調製することが好ましい。粘着剤層13の厚さは特に限定されるものではなく適宜に設定してよいが、5〜30μmが好ましい。
放射線重合性化合物を粘着剤層に配合して放射線硬化により接着剤層から剥離しやすくすることができる。その放射線重合性化合物は、例えば光照射によって三次元網状化しうる分子内に光重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有する低分量化合物が用いられる。
具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートや、オリゴエステルアクリレート等が適用可能である。
また、上記のようなアクリレート系化合物のほかに、ウレタンアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物と、多価イソシアナート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアナートなど)を反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいはメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなど)を反応させて得られる。
粘着剤層には、上記の樹脂から選ばれる2種以上が混合されたものでもよい。
光重合開始剤を使用する場合、例えばイソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等を使用することができる。これら光重合開始剤の配合量はアクリル系共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
(支持部材)
支持部材14は、離型フィルム11の、接着剤層12及び粘着フィルム13が設けられた第1の面11aとは反対の第2の面11bであって、且つ、接着剤層12に対応する部分を含み円形ラベル部13aの離型フィルム11の短手方向における端部に対応する部分を含まない領域r内に、離型フィルム11の長手方向に沿って設けられている。このような支持部材14を設けることで、ウエハ加工用テープ10をロール状に巻き取った際に、支持部材14が存在する部分に圧力がかかるため、接着剤層12と粘着フィルム13の円形ラベル部13aの積層部分と、粘着フィルム13の周辺部13aとの段差が重なりあって接着剤層12表面に段差がラベル痕として転写されることがない。また、ウエハ加工用テープ10をロール状に巻き取った状態では、支持部材14が存在する部分に圧力がかかり、円形ラベル部13aの離型フィルム11の短手方向における端部は拘束されていないため、接着剤層12の厚みにより、離型フィルム11と円形ラベル部13aの間に生じた隙間に残った空気(エア)が円形ラベル部13aの外側へ排出される。
支持部材14を設ける位置は、領域r内であればよく、図1に示すように、領域rの全域に設けてもよいし、領域rの一部の任意の位置に設けてもよい。領域rの一部に設ける場合は、図2,3に示すように、離型フィルムの短手方向の中央部に支持部材14',14''を設けることが好ましい。なお、領域rの一部に支持部材14を設けた場合、接着剤層12に支持部材14の転写痕が発生する場合があるが、この場合の転写痕は、離型フィルム11の長手方向に直線状に発生するので、ウエハ貼合時にボイドを巻込んでしまった場合でも貼合ローラによりしごかれて、ボイドがラベル外に排出されるため、ランダムに発生するラベル痕とは異なり、問題にはならない。
なお、領域rは、図1に示すよりも外側、すなわち円形ラベル部13aの離型フィルム11の短手方向における端部に対応する部分の近傍まで含まれていてもよいが、接着剤層12の厚みにより、離型フィルム11と円形ラベル部13aの間に生じた隙間に残った空気(エア)を円形ラベル部13aの外側へより速やかに排出されやすくするためには、接着剤層12から離れすぎないほうがよい。
離型フィルムの短手方向の幅は、領域r内に相当する大きさであればよく、特に限定されるものではないが、10〜50mmであることが好ましい。
支持部材14の厚さは、接着剤層12と粘着フィルム13の円形ラベル部13aとの積層部分と粘着フィルム13の周辺部13bとの段差に相当する厚さ、すなわち接着剤層12と同じか、又は、それ以上とする必要はなく、適宜選択することができる。ウエハ加工用テープ10は、ロール状に巻き取った際には、支持部材14が存在する部分に圧力がかかるため、支持部材14と接触しないラベル部分には圧力がかからず、中空状態となっているので、接着剤層12の厚さに関係なく、ラベル痕を防止することができる。ただし、接着剤層12と同じか、又は、それ以上の厚さとすることもできる。また、図3に示すように、薄い粘着テープを積層させた支持部材14''を設けてもよい。
支持部材14は、離型フィルム11の長手方向に沿って、断続的又は連続的に設けることができるが、転写痕の発生をより効果的に抑制する観点からは、基材フィルム11の長手方向に沿って連続的に設けることが好ましい。
また、支持部材14は、ウエハ加工用テープ10の巻きズレを防止する観点から、粘着フィルム13に対してある程度の摩擦係数を有する材質のものが好ましい。これにより、ウエハ加工用テープ10の巻きズレを防止でき、高速巻取りや巻取り数を増大させることができるといった効果が得られる。
支持部材14と粘着フィルム13の基材フィルムとの間の静摩擦係数は、0.2〜2.0であることが好ましく、0.6〜1.6であることがより好ましい。ウエハ加工用テープをロール状に巻き取ると、離型フィルム11の第1の面11a側に設けられた粘着フィルム13の周辺部13aと、離型フィルム11の第2の面11b側に設けられた支持部材14とが接触することから、支持部材14と粘着フィルム13の基材フィルムとの間の静摩擦係数が0.2未満と小さい場合には、製造時や使用時に巻きズレが発生し易くなりハンドリング性が悪化する。一方、2.0より大きい場合には、粘着フィルム13の基材フィルムと支持部材14との間の抵抗が大きすぎて、製造工程でのハンドリング性が悪化したり、高速巻き取り時等に蛇行したりする原因となる。したがって、両者間の静摩擦係数を上記範囲に設定することで、ウエハ加工用テープ10の巻きズレを防止でき、高速巻取りを可能とし、巻取り数を増大させることができるといった効果が得られる。
本発明において、支持部材14と粘着フィルム13の基材フィルムとの間の静摩擦係数は、JIS K7125に準拠し、以下のような測定方法により得ることができる。
25mm(幅)×100mm(長さ)にそれぞれカットされた粘着フィルム13の基材フィルムと支持部材14の両フィルムサンプルを重ね合わせ、下側のフィルムを固定する。次いで、積層されたフィルムの上に重量200gのおもりを荷重Wとして乗せ、上側のフィルムを200mm/minの速度で引張り、滑り出す際の力Fd(g)を測定し、以下の式から静摩擦係数(μd)を求める。
μd=Fd/W
支持部材14としては、例えば、樹脂フィルム基材に粘接着剤を塗布した粘接着テープを好適に使用することができる。このような粘接着テープを、離型フィルム11の第2の面11bの両端部分の所定位置に貼り付けることで、本実施形態のウエハ加工用テープ10を形成することができる。
粘接着テープの基材樹脂としては、上記線膨張係数の範囲を満たし、且つ、巻き圧に耐え得るものであれば特に限定はないが、耐熱性、平滑性、及び、入手し易さの点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、及び高密度ポリエチレンから選択されることが好ましい。
粘接着テープの粘着剤の組成及び物性については、特に限定はなく、テープ10の巻き取り工程及び保管工程において、離型フィルム11から剥離しないものであればよい。
また、支持部材14としては、着色された支持部材を用いてもよい。このような着色支持部材を用いることで、ウエハ加工用テープをロール状に巻き取った際に、テープの種類を明確に識別することができる。例えば、着色支持部材14の色を、ウエハ加工用テープの種類や厚さによって異ならせることで、容易にテープの種類や厚さを識別することができ、人為的なミスの発生を抑制、防止することができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)粘着フィルムの作製
(粘着フィルム1A)
溶媒のトルエン400g中に、n−ブチルアクリレート128g、2−エチルヘキシルアクリレート307g、メチルメタアクリレート67g、メタクリル酸1.5g、重合開始剤としてベンゾイルペルオキシドの混合液を、適宜、滴下量を調整し、反応温度および反応時間を調整し、官能基をもつ化合物(1)の溶液を得た。
次にこのポリマー溶液に、放射線硬化性炭素−炭素二重結合および官能基を有する化合物(2)として、別にメタクリル酸とエチレングリコールから合成した2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.5g、重合禁止剤としてハイドロキノンを適宜滴下量を調整して加え反応温度および反応時間を調整して、放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)の溶液を得た。続いて、化合物(A)溶液中の化合物(A)100質量部に対してポリイソシアネート(B)として日本ポリウレタン社製:コロネートLを1質量部を加え、光重合開始剤として日本チバガイギー社製:イルガキュアー184を0.5質量部、溶媒として酢酸エチル150質量部を化合物(A)溶液に加えて混合して、放射線硬化性の粘着剤組成物を調製した。
続いて、調製した粘着剤層組成物を厚さ100μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体基材フィルムに、乾燥膜厚が20μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥し、粘着フィルム1Aを作製した。
(2)離型フィルム
以下に示す離型フィルム2Aを用いた。
離型フィルム2A:厚さ38μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム
(3)接着剤層の形成
(接着剤層3A)
エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量197、分子量1200、軟化点70℃)50質量部、シランカップリング剤としてγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.5質量部、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン3質量部、平均粒径16nmのシリカフィラー30質量部からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて攪拌混合し、更にビーズミルを用いて90分混練した。
これにアクリル樹脂(質量平均分子量:80万、ガラス転移温度−17℃)100質量部、6官能アクリレートモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体0.5質量部、キュアゾール2PZ(四国化成(株)製商品名、2−フェニルイミダゾール)2.5質量部を加え、攪拌混合し、真空脱気し、接着剤を得た。
上記接着剤を離型フィルム2A上に塗布し、110℃で1分間加熱乾燥して、膜厚が20μmのBステージ状態(熱硬化性樹脂の硬化中間状態)の塗膜を形成し、離型フィルム2A上に接着剤層3Aを形成し、冷蔵保管した。
(接着剤層3B)
上記接着剤を離型フィルム2A上に塗布し、110℃で1分間加熱乾燥して、膜厚が60μmのBステージ状態(熱硬化性樹脂の硬化中間状態)の塗膜を形成し、離型フィルム2A上に接着剤層3Bを形成し、冷蔵保管した。
(接着剤層3C)
上記接着剤を離型フィルム2A上に塗布し、110℃で1分間加熱乾燥して、膜厚が120μmのBステージ状態(熱硬化性樹脂の硬化中間状態)の塗膜を形成し、離型フィルム2A上に接着剤層3Cを形成し、冷蔵保管した。
(4)支持部材の作製
(支持部材4A)
アクリル樹脂(質量平均分子量:60万、ガラス転移温度−20℃)100質量部、硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン(株)製、商品名:コロネートL)10質量部を混合して粘着剤組成物を得た。
上記粘着剤組成物を厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムに、乾燥膜厚が20μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥し、得られた粘接着テープを幅10mmに切断して、支持部材4Aを作製した。
(支持部材4B)
上記粘着剤組成物を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥膜厚が30μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥し、得られた粘接着テープを幅25mmに切断して、支持部材4Bを作製した。
(支持部材4C)
得られた粘接着テープを幅25mmに切断した以外は、支持部材4Aと同様にして、支持部材4Cを作製した。
(支持部材4D)
得られた粘接着テープを幅50mmに切断した以外は、支持部材4Aと同様にして、支持部材4Dを作製した。
(実施例1)
冷蔵保管していた接着剤層3Aが形成された離型フィルム2Aを常温に戻し、接着剤層に対して、離型フィルムへの切り込み深さが10μm以下になるように調整して直径220mmの円形プリカット加工を行った。その後、接着剤層の不要部分を除去し、粘着フィルム1Aをその粘着剤層が接着剤層と接するように、離型フィルム2A室温でラミネートした。そして、粘着フィルム1Aに対して、離型フィルムへの切り込み深さが10μm以下となるように調節して接着剤層と同心円状に直径290mmの円形プリカット加工を行った。次に、離型フィルム2Aの接着剤層及び粘着フィルムが設けられた第1の面とは反対の第2の面であって、且つ、離型フィルム2Aの短手方向中央部に支持部材4Aを貼合して、図2に示す構造を有する実施例1のウエハ加工用テープを作製した。
(実施例2)
支持部材4Aに換えて支持部材4Bを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2のウエハ加工用テープを作製した。
(実施例3)
接着剤層3Aに換えて接着剤層3Bを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3のウエハ加工用テープを作製した。
(実施例4)
接着剤層3Aに換えて接着剤層3Bを用いた以外は実施例2と同様にして、実施例4のウエハ加工用テープを作製した。
(実施例5)
接着剤層3Aに換えて接着剤層3Cを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5のウエハ加工用テープを作製した。
(実施例6)
接着剤層3Aに換えて接着剤層3Cを用いた以外は実施例2と同様にして、実施例6のウエハ加工用テープを作製した。
(実施例7)
支持部材4Aに換えて支持部材4Cを用いた以外は実施例3と同様にして、実施例7のウエハ加工用テープを作製した。
(実施例8)
支持部材4Cに換えて支持部材4Dを用いた以外は実施例7と同様にして、実施例8のウエハ加工用テープを作製した。
(比較例1)
冷蔵保管していた接着剤層3Aが形成された離型フィルム2Aを常温に戻し、接着剤層に対して、離型フィルムへの切り込み深さが10μm以下になるように調整して直径220mmの円形プリカット加工を行った。その後、接着剤層の不要部分を除去し、粘着フィルム1Aをその粘着剤層が接着剤層と接するように、離型フィルム2Aを室温でラミネートした。そして、粘着フィルム1Aに対して、離型フィルムへの切り込み深さが10μm以下となるように調節して接着剤層と同心円状に直径290mmの円形プリカット加工を行い、円形ラベル部および周辺部を残し、その他の不要部分を除去した。次に、離型フィルム2Aの接着剤層及び粘着フィルムが設けられた第1の面とは反対の第2の面であって、且つ、離型フィルム2Aの短手方向両端部に支持部材4Aを貼合して、先行特許文献1の図1に示す構造を有する比較例1のウエハ加工用テープを作製した。
(比較例2)
支持部材4Aに換えて支持部材4Bを用いた以外は比較例1と同様にして、比較例2のウエハ加工用テープを作製した。
(比較例3)
接着剤層3Aに換えて接着剤層3Bを用いた以外は比較例1と同様にして、比較例3のウエハ加工用テープを作製した。
(比較例4)
支持部材4Aに換えて支持部材4Bを用いた以外は比較例3と同様にして、比較例4のウエハ加工用テープを作製した。
(比較例5)
接着剤層3Aに換えて接着剤層3Cを用いた以外は比較例2と同様にして、比較例5のウエハ加工用テープを作製した。
(比較例6)
支持部材を設けなかった以外は比較例3と同様にして、比較例6のウエハ加工用テープを作成した。
(比較例7)
支持部材を設けなかった以外は比較例5と同様にして、比較例7のウエハ加工用テープを作成した。
[ラベル痕の抑制性の評価]
実施例及び比較例のウエハ加工用テープを、円形形状の粘着フィルムの数が300枚になるように、ロール状に巻き取り、ウエハ加工用テープロールを作製した。得られたウエハ加工用テープロールを1ヶ月間冷蔵庫内(5℃)で保管した。その後、ウエハ加工用テープロールを室温に戻してからロールを解き、目視にてラベル痕の有無を観察し、以下の評価基準に従って、○、△、×の3段階でウエハ加工用テープの転写痕の抑制性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
○(良品):様々な角度から目視観察してもラベル痕が確認出来ない
△(許容品):ラベル痕は確認出来るが半導体装置の加工工程に影響を与えるほどではない
×(不良品):半導体装置の加工工程に影響を与えるラベル痕が確認できる
[エアの巻き込みの抑制性の評価]
実施例及び比較例のウエハ加工用テープを、円形形状の粘着フィルムの数が200枚になるように、ロール状に巻き取り、ウエハ加工用テープロールを作製した。得られたウエハ加工用テープロールを包装袋に入れ、1ヶ月間冷蔵庫内(5℃)で保管後、テープ表面が−50℃となるドライアイス雰囲気下にて3日間保管した。その後、ウエハ加工用テープロールを常温に戻してから包装袋を開封し、ロールを解き、目視にて接着剤層と粘着フィルムの円形ラベル部との間にエアの巻き込みがあるか否かを観察し、エアの巻込みが無いものを○(良品)、エアの巻込みが有るものを×(不良品)として、ウエハ加工用テープのエアの巻き込みの抑制性の評価をした。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0006410582
Figure 0006410582
表1に示すように、実施例1〜8に係るウエハ加工用テープは、離型フィルムの第1の面とは反対の第2の面上であって、且つ、接着剤層に対応する部分を含みラベル部の離型フィルムの短手方向における端部に対応する部分を含まない領域内に、離型フィルムの長手方向に沿って支持部材が設けられているため、ラベル痕の抑制性、エアの巻き込みの抑制性ともに優れた結果となった。
これに対して、支持部材が離型フィルムの両端部に設けられている比較例1〜4に係るウエハ加工用テープは、表2に示すように、エアの巻き込みの抑制性に劣る結果となった。支持部材が設けられていない比較例6,7に係るウエハ加工用テープは、エアの巻き込みの抑制性は優れる結果となったが、ラベル痕の抑制性において劣る結果となった。
なお、接着剤層と支持部材の厚みが同じである比較例3に係るウエハ加工用テープは、半導体装置の加工工程に影響を与えるほどではないもののラベル痕が確認された。これに対して、実施例3に係るウエハ加工用テープでは、接着剤層と支持部材の厚みが同じであっても、ラベル痕が発生しなかった。
10:ウエハ加工用テープ
11:離型フィルム
12:接着剤層
13:粘着フィルム
13a:円形ラベル部
13b:周辺部
14,14',14":支持部材

Claims (3)

  1. 長尺の離型フィルムと、
    前記離型フィルムの第1の面上に設けられた所定の平面形状を有する接着剤層と、
    前記接着剤層を覆い、且つ、前記接着剤層の周囲で前記離型フィルムに接触するように設けられた所定の平面形状を有するラベル部と、前記ラベル部の外側を囲むような周辺部とを有する粘着フィルムと、
    前記離型フィルムの、前記接着剤層および前記粘着フィルムが設けられた第1の面とは反対の第2の面上であって、且つ、前記接着剤層に対応する部分を含み前記ラベル部の前記離型フィルムの長手方向における少なくとも中央部においては前記離型フィルムの短手方向における前記ラベル部の端部に対応する部分を含まない領域内に、前記離型フィルムの長手方向に沿って設けられた支持部材とを有することを特徴とするウエハ加工用テープ。
  2. 前記支持部材は、前記離型フィルムの短手方向の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のウエハ加工用テープ。
  3. 前記支持部材は、前記離型フィルムの短手方向の幅が10〜50mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウエハ加工用テープ。
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