JP6410532B2 - 船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶 - Google Patents

船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶 Download PDF

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Description

本発明は、船舶の2以上の区画が損傷した時の復原性を確保するための船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶に関する。
船舶は、船体の複数区画が損傷した場合にも、一定の復原性能を保つことを規則で義務付けられている。特に舷側の複数区画の非対称浸水の場合は、多大な横傾斜が発生し、損傷時復原性が著しく損なわれることがわかっている。
従来は、損傷時の復原性能を満足させるため、区画の細分化を基本としている。それでも過大な横傾斜が発生する場合は、浸入した水(海水を含む)を損傷時導水区画となる反対舷側の区画へ移動させ横傾斜を抑えるクロスフラッディング装置、もしくは浸入した水を損傷時導水区画となる下方の区画へ移動させるダウンフラッディング装置で対応していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−201308号公報(図3、図4)
しかしながら、区画の細分化は船殻重量増、艤装品増となり、コスト増、重量増につながる。
また、クロスフラッディング装置やダウンフラッディング装置は、損傷時に乗組員が水密扉やバルブを遠隔操作によって開くことで作動するため、水が損傷時導水区画へ移動し、傾斜が回復するまでに時間がかかる。
また、クロスフラッディング装置やダウンフラッディング装置は、緊急時に作動しないリスクがあり、かつ装置そのものの費用も嵩む。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、新たな区画を設けることなく、船体の前後で隣接する区画の損傷時に、特別な操作が不要で、自動的かつ短時間で復原性を改善させることができる船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項1)は、複数の区画を有する船体の前後で隣接する区画の境界の舷側外板に面する部分に、これら区画とは別の損傷時導水区画と同一の区画を形成するダクトを備え、前記ダクトは、前記区画の境界となる隔壁と前記舷側外板とで形成されるコーナー部に船殻部材を設けて形成され、前記舷側外板の一部と前記隔壁の一部とが当該ダクトの一部を構成していることを特徴とする。
(2)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項2)は、前記(1)において、前記損傷時導水区画が、前記ダクトが設けられた前記舷側外板に面する区画よりも下方に位置する区画であることを特徴とする。
(3)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項3)は、前記(1)又は(2)において、前記複数の区画が、少なくとも、前記船体の前後方向に複数設けられた左舷側区画と、前記船体の前後方向に複数設けられた右舷側区画と、前記左舷側区画の下方から前記右舷側区画の下方に至る範囲に形成されて前記船体の前後方向に複数設けられた船底側区画と、を有しており、前記ダクトが設けられる区画は、前記左舷側区画と前記右舷側区画であり、前記損傷時導水区画は、前記船底側区画であることを特徴とする。
(4)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項4)は、前記(1)において、前記複数の区画が、少なくとも、前記船体の前後方向に複数設けられた左舷側区画と、前記船体の前後方向に複数設けられた右舷側区画と、前記左舷側区画と前記右舷側区画との間に形成されて前記船体の前後方向に複数設けられた中央区画と、を有しており、前記ダクトが設けられる区画は、前記左舷側区画と前記右舷側区画であり、前記損傷時導水区画は、前記中央区画であることを特徴とする。
(5)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項5)は、前記(1)において、前記複数の区画は、少なくとも、前記船体の前後方向に複数設けられた左舷側区画と、前記船体の前後方向に複数設けられた右舷側区画と、を有しており、前記ダクトは、前記左舷側区画又は前記右舷側区画のうち少なくとも一方に設けられ、該ダクトを設けた舷側区画とは反対側に位置する前記左舷側区画又は前記右舷側区画に連通する連通部材を有しており、前記損傷時導水区画は、前記ダクトを設けた区画とは反対側に位置する前記右舷側区画又は前記左舷側区画であることを特徴とする。
(6)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項6)は、前記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記損傷時導水区画は、隣接する前記隔壁間ごとに形成されていることを特徴とする。
)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項)は、前記(1)〜()のいずれかにおいて、前記ダクトが、上部に空気抜き穴を有することを特徴とする。
)本発明に係る船舶の復原力回復構造(請求項)は、前記(1)〜()のいずれかにおいて、前記ダクトが、前記前後で隣接する区画の境界となる隔壁の両端面にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
)本発明に係る船舶(請求項)は、前記(1)〜()のいずれかの船舶の復原力回復構造を備えたものである。
本発明に係る船舶の復原力回復構造によれば、船体の前後で隣接する区画が損傷すると、それらの区画の境界にあるダクトも同時に破損する。すると、ダクトの破損した箇所から水が瞬時にダクト内に流入し、ダクトを通り、損傷時導水区画に流入し、重心を下げ、傾斜を抑える。このように、新たな区画を設けることなく、船体の前後で隣接する区画の損傷時に、特別な操作が不要で、自動的かつ短時間で復原性を改善させることができる。
また、本発明に係る船舶は、前記のような船舶の復原力回復構造を備えたので、信頼性及び安全性の確保が容易となる。
本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造を備えた船舶におけるダクトと区画部との関係を示す平面視の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造を備えた船舶における区画部を示す側面視の断面図である。 本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造の要部を透過的に示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造の要部を示す平面図である。 図4のA−A線断面図である。 図4のB−B線断面図である。 図4のC−C線断面図である。 本発明の実施の形態2に係る船舶の復原力回復構造の要部を示す平面図である。 図8のD−D線断面図である。 図8のE−E線断面図である。 図8のF−F線断面図である。 本発明の実施の形態3に係る船舶の復原力回復構造の要部を示す平面図である。 図12のG−G線断面図である。 図13のH−H線断面図である。 図12のI−I線断面図である。 図12のJ−J線断面図である。 本発明の実施の形態4に係る船舶の復原力回復構造を備えた船舶の要部を示す平面図である。 図17のK−K線断面図である。 図18のL−L線断面図である。 図17のM−M線断面図である。 図17のN−N線断面図である。 図17のO−O線断面図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造を備えた船舶におけるダクトと区画部との関係を示す平面視の断面図である。図2は本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造を備えた船舶における区画部を示す側面視の断面図である。図3は本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造の要部を透過的に示す斜視図である。図4は本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造の要部を示す平面図である。図5は図4のA−A線断面図である。図6は図4のB−B線断面図である。図7は図4のC−C線断面図である。
図1〜図7に示すように、本発明の実施の形態1に係る船舶100Aは、船体が隔壁60によって前後方向に複数の区画(第1区画、第2区画、第3区画…)に画成されている。すなわち、船舶100Aは、船体の左舷側が、隔壁60によって、第1左舷側区画11、第2左舷側区画12、第3左舷側区画13に画成されている。また、船舶100Aは、船体の右舷側が、隔壁60によって、第1右舷側区画21、第2右舷側区画22、第3右舷側区画23に画成されている。また、船舶100Aは、船体の中央部が、隔壁60によって、第1中央区画31、第2中央区画32、第3中央区画33に画成されている。また、船舶100Aは、船体の船底側が、隔壁60によって、第1船底区画41、第2船底区画42、第3船底区画43に画成されている。なお、区画は、図1及び図2に示すように、それ以外にも存在するが、ここではこれら12区画を例に挙げて説明する。
また、本発明の実施の形態1に係る船舶100Aは、船体の前後で隣接する区画の境界の左舷側外板51および右舷側外板52に面する部分に、それぞれ復原性を改善させるダクト1a,1b,2a,2bが設けられている。なお、ダクトは、図1〜図3では第2区画部と第3区画部に示し、図4及び図5では第2区画部のみに示してあるが、それ以外の区画部にも存在している。このことは、後述の他の実施の形態においても同様である。以下の説明では、第2区画部のダクト1a,2aをとり挙げて説明するが、他の区画部のダクトも同様の構成を有している。
ダクト1aは、断面矩形状を呈し、その断面矩形状の1辺が前後の区画を隔てる隔壁60で形成され、これに隣接する1辺が左舷側外板51で形成され、その断面矩形状の他の2辺が鋼板などの船殻部材70で形成されている。
ダクト2aは、ダクト1aと同様に構成されている。すなわち、ダクト2aは、断面矩形状を呈し、その断面矩形状の1辺が前後の区画を隔てる隔壁60で形成され、これに隣接する1辺が右舷側外板52で形成され、その断面矩形状の他の2辺が鋼板などの船殻部材70で形成されている。
すなわち、ダクト1a,2aは、いずれも船体の前後で隣接する区画、ここでは第1左舷側区画11と第2左舷側区画12、および第1右舷側区画21と第2右舷側区画22、の境界の左舷側外板51および右舷側外板52に面する部分に、それぞれ上下方向に延出して設けられており、左舷側外板51がダクト1aの一部を形成し、右舷側外板52がダクト2aの一部を形成している。そのため、舷側の隣接する2区画が損傷する場合には、損傷した位置の高さと、船幅方向の深さとに関係なくダクトは必ず破損するようになっている。
また、ダクト1a,2aは、いずれも上下端が開口しており、下端の開口を通じて損傷時導水区画となる第2船底区画42と常時連通している。第2船底区画42は、第2左舷側区画12の下方から第2右舷側区画22の下方に至る範囲に形成されている。他の第1船底区画41および第3船底区画43も第2船底区画42と同様に左舷側区画の下方から右舷側区画の下方に至る範囲に形成されている。
また、ダクト1a,2aは、上端の開口が第2船底区画42への導水時の空気抜き穴10として構成されている。つまり、ダクト1a,2aは、通常時は空気を抜くための空気管として機能し、隣接する2区画が損傷する場合には、導水路および空気を抜くための空気管として機能する。
したがって、本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においては、船体の前後で隣接する区画、例えば第1左舷側区画11と第2左舷側区画12とが損傷すると、損傷した位置の高さと、船幅方向の深さとに関係なくダクト1aも同時に破損する。そして、ダクト1aの破損した箇所から水が瞬時にダクト1a内に流入し、ダクト1aを通り、第1左舷側区画11および第2左舷側区画12よりも下方に位置する損傷時導水区画となる第2船底区画42に流入し、船体の重心を下げ、また船体の傾斜を抑える。つまり、浮力の作用線と船体の中心線の交点であるメタセンタ(M)と重心(G)との距離であるメタセンタ高さ(GM)を高くし、復原力を働かせる。船舶は、船体の舷側の1区画ではなく、船体の舷側の前後で隣接する2区画が損傷し浸水すると、船の傾き(横傾斜)が大きくなる。このとき、本実施の形態1に係るダクト1aが役に立つ。なお、船体横傾斜を抑えるのは、必ずしもメタセンタ高さ(GM)が高くなるからだけでなく、片舷のみ浸水の場合より、両舷側とも浸水するほうが、傾斜モーメントが小さくなることにもよる。
このように、本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶によれば、船体の前後で隣接する区画の損傷時に、特別な操作が不要で、自動的かつ短時間で復原性を改善することができ、信頼性及び安全性の確保が容易となる。
また、本発明の実施の形態1に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶によれば、船体の前後で隣接する区画の境界部に、新たな区画を設けて区画の細分化を図るものではないので、船殻重量および艤装品が大きく増えることがなく、コストおよび船殻重量の増大を抑制することができる。
なお、ダクト1a,2aの上端は、必ずしも開口とする必要はなく、甲板などで閉塞してもよい。その場合、空気抜き穴10は、ダクト1a,2aの上部の周面に設ける。
また、ダクト1a,2aは、船舶の復原性能によっては必ずしも舷側区画の上面と同じ高さまで延出させる必要もなく、途中の高さレベルまでとしてもよい。
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2に係る船舶の復原力回復構造の要部を示す平面図である。図9は図8のD−D線断面図である。図10は図8のE−E線断面図である。図11は図8のF−F線断面図である。なお、各図中、前述の実施の形態1に相当する部分には同一符号を付してある。
図8〜図11に示すように、本発明の実施の形態2に係る船舶100Bは、船体の前後で隣接する区画、ここでも第1左舷側区画11と第2左舷側区画12、および第1右舷側区画21と第2右舷側区画22、の境界となる隔壁60の両端面の左舷側外板51および右舷側外板52に面する部分に、それぞれ復原性を改善させるダクト1a,1cおよびダクト2a,2cを設けている。そして、第2区画側のダクト1a,2aは、前述の実施の形態1と同様に、いずれも下端の開口を通じて損傷時導水区画となる第2船底区画42と常時連通している。また、第1区画側のダクト1c,2cは、いずれも下端の開口を通じて損傷時導水区画となる第1船底区画41と常時連通させたものである。それ以外の構成は前述の実施の形態1のものと同様である。
本発明の実施の形態2に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においては、船体の前後で隣接する区画、例えば第1左舷側区画11と第2左舷側区画12とが損傷すると、損傷した位置の高さと、船幅方向の深さとに関係なくダクト1a,1cも同時に破損する。そして、ダクト1aの破損した箇所からは、水が瞬時にダクト1a内に流入し、ダクト1aを通り、第2左舷側区画12よりも下方に位置する損傷時導水区画となる第2船底区画42に流入する。また、ダクト1cの破損した箇所からは、水が瞬時にダクト1c内に流入し、ダクト1cを通り、第1左舷側区画11よりも下方に位置する損傷時導水区画となる第1船底区画41に流入する。これにより、前述の実施の形態1のものよりも船体の重心を下げることができ、メタセンタ高さ(GM)を高くして、復原力を働かせ、船体の傾斜を抑えることができる。
このように、本発明の実施の形態2に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においても、船体の前後で隣接する区画の損傷時に、特別な操作が不要で、自動的かつ短時間で復原性を改善することができ、信頼性及び安全性の確保が容易となる。
また、本発明の実施の形態2に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においても、船体の前後で隣接する区画の境界部に、新たな区画を設けて区画の細分化を図るものではないので、船殻重量および艤装品が増えることがなく、コストおよび船殻重量を抑制することができる。
実施の形態3.
図12は本発明の実施の形態3に係る船舶の復原力回復構造の要部を示す平面図である。図13は図12のG−G線断面図である。図14は図13のH−H線断面図である。図15は図12のI−I線断面図である。図16は図12のJ−J線断面図である。なお、各図中、前述の実施の形態1に相当する部分には同一符号を付してある。
図12〜図16に示すように、本発明の実施の形態3に係る船舶100Cは、船体の前後で隣接する区画、ここでは第1区画部と第2区画部の境界の左舷側外板51および右舷側外板52に面する部分に、それぞれ復原性を改善させるダクト1d,2dを設けている。すなわち、ダクト1dは、第2左舷側区画12における隔壁60と左舷側外板51とで形成されるコーナー部に形成されている。また、ダクト2dは、第2右舷側区画22における隔壁60と右舷側外板52とで形成されるコーナー部に形成されている。
ダクト1d,2dは、図14および図15に示すように、いずれも下端に水平方向に屈曲された内向きの横ダクト部1e,2eを有するL字形に形成されている。また、ダクト1d,2dは、いずれも横ダクト部1e,2eの先端の開口を通じて損傷時導水区画となる第2中央区画32と常時連通している。第2中央区画32は、第2左舷側区画12と第2右舷側区画22との間、つまり船体中央部に形成されている。それ以外の構成は前述の実施の形態1のものと同様である。
本発明の実施の形態3に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においては、船体の前後で隣接する区画、例えば第1左舷側区画11と第2左舷側区画12とが損傷すると、損傷した位置の高さと、船幅方向の深さとに関係なくダクト1dも同時に破損する。そして、ダクト1dの破損した箇所からは、水が瞬時にダクト1d内に流入し、ダクト1dの縦ダクト部から横ダクト部1eを通り、船体中央部に位置する損傷時導水区画となる第2中央区画32に流入する。これにより、船体の重心の位置を船体中央部寄り(船体軸線寄り)とすることができ、復原力を働かせ、船体の傾斜を抑えることができる。
このように、本発明の実施の形態3に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においても、船体の前後で隣接する区画の損傷時に、特別な操作が不要で、自動的かつ短時間で復原性を改善することができ、信頼性及び安全性の確保が容易となる。
また、本発明の実施の形態3に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においても、船体の前後で隣接する区画の境界部に、新たな区画を設けて区画の細分化を図るものではないので、船殻重量および艤装品が増えることがなく、コストおよび船殻重量を抑制することができる。
実施の形態4.
図17は本発明の実施の形態4に係る船舶の復原力回復構造を備えた船舶の要部を示す平面図である。図18は図17のK−K線断面図である。図19は図18のL−L線断面図である。図20は図17のM−M線断面図である。図21は図17のN−N線断面図である。図22は図17のO−O線断面図である。なお、各図中、前述の実施の形態1に相当する部分には同一符号を付してある。
図17〜図22に示すように、本発明の実施の形態4に係る船舶100Dは、船体の前後で隣接する区画、ここでは第1区画部と第2区画部の境界の左舷側外板51および右舷側外板52に面する部分に、それぞれ復原性を改善させるダクト1f,2fを設けている。すなわち、ダクト1fは、第2左舷側区画12における隔壁60と左舷側外板51とで形成されるコーナー部に形成されている。また、ダクト2fは、第2右舷側区画22における隔壁60と右舷側外板52とで形成されるコーナー部に形成されている。
ダクト1f,2fは、図19〜図21に示すように、いずれも下端に水平方向に屈曲された内向きの横ダクト部1g,2gを有するL字形に形成されている。また、ダクト1f,2fは、いずれも横ダクト部1g,2gの先端の開口を通じて損傷時導水区画となる反対側の舷側区画と常時連通している。すなわち、第2左舷側区画12側のダクト1fは、横ダクト部1gの先端の開口を通じて第2右舷側区画22と常時連通している。また、第2右舷側区画22側のダクト2fは、横ダクト部2gの先端の開口を通じて第2左舷側区画12と常時連通している。それ以外の構成は前述の実施の形態1のものと同様である。
本発明の実施の形態4に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においては、船体の前後で隣接する区画、例えば第1左舷側区画11と第2左舷側区画12とが損傷すると、損傷した位置の高さと、船幅方向の深さとに関係なくダクト1fも同時に破損する。そして、ダクト1fの破損した箇所からは、水が瞬時にダクト1f内に流入し、ダクト1fの縦ダクト部から横ダクト部1gを通り、損傷時導水区画となる反対側の第2右舷側区画22に流入する。これにより、傾斜モーメントを小さくすることができ、船体の傾斜の軽減を図ることができる。
このように、本発明の実施の形態4に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においても、船体の前後で隣接する区画の損傷時に、特別な操作が不要で、自動的かつ短時間で復原性を改善することができ、信頼性及び安全性の確保が容易となる。
また、本発明の実施の形態4に係る船舶の復原力回復構造及びこれを備えた船舶においても、船体の前後で隣接する区画の境界部に、新たな区画を設けて区画の細分化を図るものではないので、船殻重量および艤装品が増えることがなく、コストおよび船殻重量を抑制することができる。
1a〜1d,1f,2a〜2d,2f ダクト
1e,2e,1g,2g 横ダクト部
10 空気抜き穴
11 第1左舷側区画
12 第2左舷側区画
13 第3左舷側区画
21 第1右舷側区画
22 第2右舷側区画
23 第3右舷側区画
31 第1中央区画
32 第2中央区画
33 第3中央区画
41 第1船底区画
42 第2船底区画
43 第3船底区画
51 左舷側外板(舷側外板)
52 右舷側外板(舷側外板)
60 隔壁
70 船殻部材
100A〜100D 船舶

Claims (9)

  1. 複数の区画を有する船体の前後で隣接する区画の境界の舷側外板に面する部分に、これら区画とは別の損傷時導水区画と同一の区画を形成するダクトを備え、
    前記ダクトは、前記区画の境界となる隔壁と前記舷側外板とで形成されるコーナー部に船殻部材を設けて形成され、前記舷側外板の一部と前記隔壁の一部とが当該ダクトの一部を構成していることを特徴とする船舶の復原力回復構造。
  2. 前記損傷時導水区画は、前記ダクトが設けられた前記舷側外板に面する区画よりも下方に位置する区画であることを特徴とする請求項1記載の船舶の復原力回復構造。
  3. 前記複数の区画は、少なくとも、
    前記船体の前後方向に複数設けられた左舷側区画と、
    前記船体の前後方向に複数設けられた右舷側区画と、
    前記左舷側区画の下方から前記右舷側区画の下方に至る範囲に形成されて前記船体の前後方向に複数設けられた船底側区画と、を有しており、
    前記ダクトが設けられる区画は、前記左舷側区画と前記右舷側区画であり、
    前記損傷時導水区画は、前記船底側区画であることを特徴とする請求項1又は2記載の船舶の復原力回復構造。
  4. 前記複数の区画は、少なくとも、
    前記船体の前後方向に複数設けられた左舷側区画と、
    前記船体の前後方向に複数設けられた右舷側区画と、
    前記左舷側区画と前記右舷側区画との間に形成されて前記船体の前後方向に複数設けられた中央区画と、を有しており、
    前記ダクトが設けられる区画は、前記左舷側区画と前記右舷側区画であり、
    前記損傷時導水区画は、前記中央区画であることを特徴とする請求項1記載の船舶の復原力回復構造。
  5. 前記複数の区画は、少なくとも、
    前記船体の前後方向に複数設けられた左舷側区画と、
    前記船体の前後方向に複数設けられた右舷側区画と、を有しており、
    前記ダクトは、前記左舷側区画又は前記右舷側区画のうち少なくとも一方に設けられ、該ダクトを設けた舷側区画とは反対側に位置する前記左舷側区画又は前記右舷側区画に連通する連通部材を有しており、
    前記損傷時導水区画は、前記ダクトを設けた区画とは反対側に位置する前記右舷側区画又は前記左舷側区画であることを特徴とする請求項1記載の船舶の復原力回復構造。
  6. 前記損傷時導水区画は、隣接する前記隔壁間ごとに形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の船舶の復原力回復構造。
  7. 前記ダクトは、上部に空気抜き穴を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の船舶の復原力回復構造。
  8. 前記ダクトは、前記前後で隣接する区画の境界となる隔壁の両端面にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶の復原力回復構造。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の船舶の復原力回復構造を備えたことを特徴とする船舶。
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