JP6666219B2 - 船舶、船舶の復原性確保方法 - Google Patents
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Description
そこで、特許文献1には、機器が配置された一方の区画と、一方の区画に配置された機器とは異なる機器が配置された他方の区画とを、流路で接続した構成が開示されている。このような構成によれば、一方の区画と他方の区画とに互いに異なる種類の機器が配置されているため、同種の機器の全てが使用不能になることを回避できる。
また、一方の区画から他方の区画に水を移動させても、十分な復原性が得られない場合もあり得る。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、浸水していない機器が使用不能になることを抑えつつ、船舶の復原性を確保することができる船舶、船舶の復原性確保方法を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、船舶は、左舷及び右舷を有する船体と、前記船体内に設けられ、前記左舷及び前記右舷のそれぞれに沿って配置された複数の区画室と、前記左舷及び前記右舷に配置されたそれぞれの前記区画室と船幅方向反対側に配置された複数の前記区画室とを連通する接続管と、各前記接続管を開閉する開閉弁と、を備え、前記左舷に配置された複数の区画室と、前記右舷に配置された複数の区画室とは、それぞれ少なくとも一つの空所を含み、前記左舷に配置された区画室のそれぞれに、前記右舷に配置された少なくとも一つの前記空所が前記接続管を介して連通され、前記右舷に配置された区画室のそれぞれに、前記左舷に配置された少なくとも一つの前記空所が前記接続管を介して連通されている。
このように構成することで、左舷及び右舷のそれぞれに配置された複数の区画室同士を接続する接続管の数を抑えることができる。これによって、船体内のスペースの有効利用性を高めるとともに、接続管や開閉弁の設置コスト、メンテナンスの手間等を抑えることができる。
このように構成することで、例えば接続管自体が損傷した場合、開閉弁と第二の開閉弁とを閉じることで、接続管から船体内の水密区画室以外のエリアへの水の漏れを抑えることができる。
このように構成することで、いずれかの区画室が浸水した場合、船幅方向反対側の複数の区画室のうち、予め設定した第一優先順位の区画室に対し、選択的に水を送り込むことができる。したがって、複数の区画室のうち、例えば機器が収容された機器室には水を極力送り込まず、船舶の航行に影響の少ない空所等、他の用途の区画室に送り込むことができる。
このように構成することで、第一優先順位に設定された区画室だけでは浸水した水の収容量が不足した場合等には、第二優先順位に設定された区画室に水を送り込むことができる。これによって、復原性能を高めることが可能となる。
このように構成することで、液体収容室に、浸水した水を送り込むことができない場合に、第三優先順位に設定された区画室に水を送り込むことで、復原性能を高めることができる。
(第一実施形態)
図1は、この実施形態の船舶の船体内の構成を示す平面図である。図2は、図1に示した船舶の断面図である。
図1、図2に示すように、この実施形態の船舶1は、船体2を備えている。船舶1の船種は特定のものに限られず、例えばフェリー、RORO船(Roll−on/Roll−off船)、PCTC(Pure Car & Truck Carrier)等、種々の船種を採用できる。
左舷側の水密区画室S11,S12は、左舷側の舷側3Aと、舷側3Aに対して船体2の船幅方向内側に間隔を空けて設けられた隔壁8Aと、船体2の船首尾方向に間隔を空けて設けられた二枚の隔壁9Aと、乾舷甲板5と、甲板7、とに囲まれて形成されている。
右舷側の水密区画室S21,S22は、右舷側の舷側3Bと、舷側3Bに対して船体2の船幅方向内側に間隔を空けて設けられた隔壁8Bと、船体2の船首尾方向に間隔を空けて設けられた二枚の隔壁9Bと、乾舷甲板5と、甲板7、とに囲まれて形成されている。
左舷側の水密区画室S11と水密区画室S12、右舷側の水密区画室S21と水密区画室S22は、それぞれ船首尾方向に前後して配置されている。ここで、左舷側の水密区画室S11と水密区画室S12、右舷側の水密区画室S21と水密区画室S22とは、船首尾方向において隔壁9A,9Bを挟んで互いに隣接していてもよい。さらに、左舷側の水密区画室S11と水密区画室S12、右舷側の水密区画室S21と水密区画室S22は、上下方向に積層されて配置されていてもよい。
この船舶1の復原性確保方法では、舷側3A及び舷側3Bの一方に配置された複数の水密区画室S11,S12、S21,S22の少なくとも一つが浸水した場合、舷側3A及び舷側3Bの他方に配置された複数の水密区画室S11,S12、S21,S22に連通させる優先順位を予め設定しておく。この実施形態において、第一優先順位は、空所Sである水密区画室S12,S22であり、第二優先順位は液体収容室Lである水密区画室S13,S23である。
また、例えば機器室Mである右舷側の水密区画室S21が浸水した場合、バルブ31Cを開き、接続管30Cを介して空所Sである左舷側の水密区画室S12を水密区画室S21に連通させる。これにより、水密区画室S21に浸入した水が、水密区画室S12に流れ込む。
さらに、空所Sである左舷側の水密区画室S12が浸水した場合、バルブ31Dを開き、接続管30Dを介して空所Sである右舷側の水密区画室S22を水密区画室S12に連通させる。これにより、水密区画室S12に浸入した水が、水密区画室S22に流れ込む。
また、空所Sである右舷側の水密区画室S22が浸水した場合、バルブ31Dを開き、接続管30Dを介して空所Sである左舷側の水密区画室S12を水密区画室S22に連通させる。これにより、水密区画室S22に浸入した水が、水密区画室S12に流れ込む。
次に、この発明に係る船舶、船舶の復原性確保方法の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と区画室の数のみが異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図3に示すように、この実施形態の船舶1の船体2内には、乾舷甲板5(図2参照)と甲板7(図2参照)との間に、複数の水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23が設けられている。ここで、水密区画室S11,S12,S13と、水密区画室S21,S22,S23とは、船体2の中心Cを挟んで船幅方向に対称に配置されている。水密区画室S11,S12,S13とは、船体2の中心Cを挟んで左舷側に配置され、水密区画室S21,S22,S23は右舷側に配置されている。
左舷側の水密区画室S11,S12,S13は、左舷側の舷側3Aと、舷側3Aに対して船体2の船幅方向内側に間隔を空けて設けられた隔壁8Aと、船体2の船首尾方向に間隔を空けて設けられた二枚の隔壁9Aと、乾舷甲板5(図2参照)と、甲板7(図2参照)(図2参照)、とに囲まれて形成されている。
右舷側の水密区画室S21,S22,S23は、右舷側の舷側3Bと、舷側3Bに対して船体2の船幅方向内側に間隔を空けて設けられた隔壁8Bと、船体2の船首尾方向に間隔を空けて設けられた二枚の隔壁9Bと、乾舷甲板5(図2参照)と、甲板7(図2参照)、とに囲まれて形成されている。
水密区画室S13,S23は、例えば燃料タンク、清水タンク等の液体収容室Lとされている。
これら左舷側の水密区画室S11,S12,S13及び右舷側の水密区画室S21,S22,S23は、それぞれ船首尾方向に並んで配置されている。
この船舶1の復原性確保方法では、舷側3A及び舷側3Bの一方に配置された複数の水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23の少なくとも一つが浸水した場合、舷側3A及び舷側3Bの他方に配置された複数の水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23に連通させる優先順位を予め設定しておく。この実施形態において、第一優先順位は、空所Sである水密区画室S12,S22であり、第二優先順位は液体収容室Lである水密区画室S13,S23であり、第三優先順位は機器室Mである水密区画室S11,S21である。
さらに復原力が必要な場合、バルブ31Hを開き、接続管30Hを介して液体収容室Lである右舷側の水密区画室S13を水密区画室S22に連通させる。なお、このとき、水密区画室S13が満タンク状態である等して、水密区画室S13における液体の収容レベルが予め定めた基準以上である場合には、バルブ31Hを開かず、水密区画室S13を水密区画室S22に連通させない。
このように構成することで、第一優先順位に設定された水密区画室S12,S22だけでは浸入した水の収容量が不足した場合等には、第二優先順位に設定された水密区画室S13,S23に水を送り込むことができる。これによって、復原性能を高めることが可能となる。
その結果、浸水していない機器が使用不能になるのを抑えつつ、船舶1の復原性を確保することが可能となる。
次に、この発明に係る船舶、船舶の復原性確保方法の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第二実施形態と接続管50A〜50Fの構成のみが異なるので、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図4は、この発明の第三施形態における船舶の船体内の構成を示す平面図である。
図4に示すように、この実施形態の船舶1の船体2内には、乾舷甲板5(図2参照)と甲板7(図2参照)との間に、複数の水密区画室S11,S12,S13、S21,S22,S23が設けられている。ここで、水密区画室S11,S12,S13と、水密区画室S21,S22,S23とは、船体2の中心Cを挟んで船幅方向に対称に配置されている。水密区画室S11,S12,S13とは、船体2の中心Cを挟んで左舷側に配置され、水密区画室S21,S22,S23は右舷側に配置されている。
左舷側の水密区画室S11,S12,S13、右舷側の水密区画室S21,S22,S23は、それぞれ船首尾方向に並んで配置されている。
このようにして、左舷側の水密区画室S11,S12,S13と、右舷側の水密区画室S21,S22,S23とは、接続管50A〜50F及び集合接続部52を介して互いに連通可能となっている。
この船舶1の復原性確保方法では、舷側3A及び舷側3Bの一方に配置された複数の水密区画室S11,S12,S13、S21,S22,S23の少なくとも一つが浸水した場合、舷側3A及び舷側3Bの他方に配置された複数の水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23に連通させる優先順位を予め設定しておく。この第三実施形態においても、第二実施形態と同様に、第一優先順位は、空所Sである水密区画室S12,S22であり、第二優先順位は液体収容室Lである水密区画室S13,S23である。さらに、第三優先順位は機器室Mである水密区画室S11,S21である。
図5は、上記第三施形態における船舶の変形例の構成を示す平面図である。
この図5に示すように、接続管50A〜50Fに設けたバルブ51A〜51Iは、集合接続部52側の端部に配置するとともに、接続管50A〜50Fにおいて、水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23側の端部に、バルブ53A〜53Iを設けるようにしてもよい。
このような構成においては、例えば接続管50Aを連通させるには、その両端部のバルブ51A,53Aの双方を開く。
次に、この発明に係る船舶、船舶の復原性確保方法の第四実施形態について説明する。以下に説明する第四実施形態においては、第三実施形態の構成に、バルブ51A〜51Iを自動的に開閉する制御部60を備えた構成のみが異なるので、第三実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図6は、この発明の第四施形態における船舶の船体内の構成を示す平面図である。
図6に示すように、この実施形態の船舶1の船体2内には、乾舷甲板5(図2参照)と甲板7(図2参照)との間に、複数の水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23が設けられている。
水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23のそれぞれには、接続管50A〜50Fの一端が接続されている。水密区画室S11に接続された接続管50A、水密区画室S12に接続された接続管50B、水密区画室S13に接続された接続管50C、水密区画室S21に接続された接続管50D、水密区画室S22に接続された接続管50E、水密区画室S23に接続された接続管50Fは、集合接続部52にそれぞれ接続されている。
このようにして、左舷側の水密区画室S11,S12,S13と、右舷側の水密区画室S21,S22,S23とは、接続管50A〜50F及び集合接続部52を介して互いに連通可能となっている。
これらバルブ51A〜51Fは、制御部60によって、その開閉動作が自動的に制御される。制御部60は、水密区画室S11,S12,S13,S21,S22,S23のそれぞれに設けた液面計(図示無し)や、船体2の傾斜を検出する傾斜計(図示無し)等の検出結果に基づいて、バルブ51A〜51Fの開閉動作を制御する。
なお、このとき、液面計(図示無し)によって検出される水密区画室S23の液面レベルが満タンクに近い状態である場合等には、制御部60は、バルブ51Fを開かず、水密区画室S23を水密区画室S11,S12,S13に連通させないようにすることもできる。この場合、制御部60は、バルブ51Dを開き、機器室Mである水密区画室S21に浸入した水を流れ込ませることもできる。
また、上述した制御部60による制御は、上記第一から第三実施形態およびそれらの変形例に対しても同様に適用することが可能である。
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、浸入した水を送り込む先の水密区画室S11〜S13,S21〜S23について、空所S、液体収容室L、機器室Mの順で優先順位を設定したが、上記に例示した以外の優先順位で浸入した水を送り込む先を設定すること可能である。
2 船体
3A 舷側(左舷)
3B 舷側(右舷)
4 船底
5 乾舷甲板
7 甲板
8A、8B、9A、9B 隔壁
30A〜30I、50A〜50F 接続管
31A〜31I、51A〜51I バルブ(開閉弁)
53A〜53I バルブ(開閉弁)
52 集合接続部
60 制御部
C 中心
L 液体収容室
M 機器室
S 空所
S11〜S13、S21〜S23 水密区画室
Claims (7)
- 左舷及び右舷を有する船体と、
前記船体内に設けられ、前記左舷及び前記右舷のそれぞれに沿って配置された複数の区画室と、
前記左舷及び前記右舷に配置されたそれぞれの前記区画室と船幅方向反対側に配置された複数の前記区画室とを連通する接続管と、
各前記接続管を開閉する開閉弁と、
を備え、
前記左舷に配置された複数の区画室と、前記右舷に配置された複数の区画室とは、それぞれ少なくとも一つの空所を含み、
前記左舷に配置された区画室のそれぞれに、前記右舷に配置された少なくとも一つの前記空所が前記接続管を介して連通され、
前記右舷に配置された区画室のそれぞれに、前記左舷に配置された少なくとも一つの前記空所が前記接続管を介して連通されている船舶。 - 前記接続管は、一端が前記区画室のそれぞれに接続されるとともに、
複数の前記区画室に前記一端が接合された前記接続管の他端同士を集合させて接続する集合接続部をさらに備える請求項1に記載の船舶。 - 前記接続管は、前記開閉弁よりも前記区画室側に、第二の開閉弁をさらに備える請求項1又は2に記載の船舶。
- 請求項1から3の何れか一項に記載の船舶の復原性確保方法であって、
前記左舷及び前記右舷の一方に配置された複数の前記区画室の少なくとも一つが浸水した場合、
予め設定した優先順位に基づいて、前記左舷及び前記右舷の他方に配置された複数の前記区画室のうち、第一優先順位に設定された前記区画室に連通する前記接続管の前記開閉弁を開き、
前記第一優先順位に設定される前記区画室は、機器室及び液体収容室以外の空所である船舶の復原性確保方法。 - 前記第一優先順位に設定された前記区画室に連通する前記接続管の前記開閉弁を開いた後、第二優先順位に設定された前記区画室に連通する前記接続管の前記開閉弁を開く請求項4に記載の船舶の復原性確保方法。
- 前記第二優先順位に設定される前記区画室は、液体が収容される液体収容室である請求項5に記載の船舶の復原性確保方法。
- 前記液体収容室に収容された前記液体のレベルが予め定めた基準以上である場合、第三優先順位に設定された前記区画室に連通する前記接続管の前記開閉弁を開く請求項6に記載の船舶の復原性確保方法。
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