JP6410150B2 - 積層造形用顆粒及びその製造方法並びにそれを用いたインサートの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)平均粒径
本発明の積層造形用顆粒の平均粒径は60〜130μmである。本発明書では「積層造形用顆粒」を単に「顆粒」ともいう。
本発明の積層造形用顆粒の粒径分布は少なくとも150μmアンダーである。粒径分布が150μm以上では上記貫通孔の形成が困難になるからである。
JISZ2502に準拠して測定した流動度は10〜25sec/50gである。本発明の積層造形用顆粒は図1に例示するように流動性の良い球状粒子だからである。流動度が10sec/50g未満では前記顆粒を構成するWC粒子が造粒後の焼結工程で顕著に粗大化し、この粗大WC粒子を含む顆粒に電子ビームを照射して得られた積層造形体(積層焼結体)は粒成長した粗大なWC粒子を含み、低強度になる。一方、流動度が25sec/50gを超えると、図9に示すように顆粒を所定厚みに敷き詰められない。
後述の条件で測定した本発明の積層造形用顆粒の破壊強度は100〜2000MPaであるのが好ましい。破壊強度の測定は微小圧縮強度試験機(MCT510、島津製作所製)を用いて、本発明の顆粒を任意にサンプリングし、207.4mN/secの負荷速度にて破壊強度を計5回測定し、得られた測定値を算術平均して破壊強度とした。破壊強度が100MPa未満の場合、積層造形後の造形体を取り出すときに前記造形体に付着した顆粒が破壊して顆粒のリサイクル使用が困難になり実用性が低下する。破壊強度が2000MPaを超える場合、Tsを1.0以上とする必要があり、低強度になる。
本発明の積層造形用顆粒の組成は、5〜15質量%のCo、11質量%以下の4a、5a及び6a族元素のうちの少なくとも一種の元素の炭化物、窒化物又は炭窒化物、残部WC及び不可避的不純物からなることが好ましい。前記組成は蛍光X線分析値を「Co+(前記の炭化物、窒化物又は炭窒化物)+WC=100質量%」に換算して求めた。
4a、5a及び6a族元素のうちの少なくとも一種の炭化物、窒化物又は炭窒化物の含有量が11質量%を超えると焼結性が劣化し、積層造形体の相対密度(真密度に対する実測した密度の比率)を95%以上にするのが困難になる。4a、5a及び6a族元素のうちの少なくとも一種の元素の炭化物、窒化物又は炭窒化物の含有量は、6質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
顆粒表面のWC粒子の形状がWCの結晶構造である六方最密充填構造に起因して多角形であること、即ち六方最密充填構造の基本結晶格子である三角柱形状の断面である、三角形、四角形又は六角形等の多角形状であることが好ましい。
(1)原料WC粉末の平均粒径
原料WC粉末の平均粒径を10μm以下にするのが好ましい。平均粒径が10μm超では積層造形体中のWC粒子が粗大になる。より好ましくは5μm以下であり、更に好ましくは2μm以下であり、最も好ましくは0.1〜1μmである。
(2)積層造形用顆粒の焼結温度
上記の多角形状のWC粒子を得るために、後述の図2〜図4に示すように、本発明の積層造形用顆粒の製造に使用した造粒粉末をプレスし、得られた成形体を焼結し、得られた焼結体の断面をCIS006C−2007に準拠して測定した残留気孔がA04以下になる焼結温度(Ts)に対し、本発明の積層造形用顆粒の焼結温度を0.85〜1.0Tsにすることが必要である。具体的にTsは1350〜1450℃にするのが好ましく、1370〜1430℃にするのがより好ましい。0.85Ts未満では焼結が不十分であり、顆粒表面のWC粒子が多角形ではなく丸みを帯びた形状(図5、図6を参照。)になり、流動性及び破壊強度が大きく低下する。一方、1.0Ts超ではWC粒子の粒成長が顕著(図7を参照。)になり、低性能になる。
本発明の積層造形用顆粒を得るために、焼結後の顆粒を目開き106〜150μmの篩で分級することが好ましい。前記目開きの特定範囲を外れると平均粒径60〜130μmに調整するのが困難になる。
特に限定されないが、図8の電子ビーム方式の積層造形装置により積層造形体を作製する方法を以下に説明する。図8(a)において、真空チャンバーI内で、ホッパーDよりステージK上に排出された本発明の顆粒Eを、ステージK上においてブレードHにより右側に搬送して中央の基板G上に、図9の(a)に示すように、顆粒1粒の厚みで敷き詰めてなる1層(以後、「顆粒1層」という。)を形成する。次に図9の(b)に示すように、顆粒1層の造形したい部分に、CADデータに基づき、フィラメントAから発生し、レンズ群Bにより集光された電子ビームCを走査しながら照射し、顆粒1層を焼結せしめて造形体1層を形成する。次に基板Gを1層分下方向に移動した後、前記と同様にホッパーDから排出された顆粒Eを基板G上に搬送して顆粒1層を形成(図9の(c)を参照。)し、再度電子ビームを照射(図9の(d)を参照。)して造形体の2層目を積層する。造形体の3層目以降も前記手順を繰り返すことにより、図8(b)に示すように基板G上に1層ずつ積層してなる所定厚みの一体造形体(焼結体)を形成することができる。
原料粉末として平均粒径0.6μmのWC粉末、Co粉末、Cr3C2粉末、及びTaC粉末を使用し、残部WC−10質量%Co−0.8質量%Cr3C2−0.25質量%TaCの組成に配合した。得られた配合粉末を湿式混合後、スプレードライヤーにより造粒した。得られた造粒粉末を0.9Ts(1260℃)、真空雰囲気中(1〜2Pa)で焼結して顆粒を作製した。得られた顆粒を目開き106μm(実施例1)、125μm(実施例2)、及び150μm(実施例3)の篩で分級し、得られた分級後の各顆粒の平均粒径、流動度及び破壊強度を測定した。また得られた各顆粒表面のWC粒子の形状をSEMにより観察した。これらの結果を表1に示す。
分級篩の目開きを63μm(比較例1)、75μm(比較例2)、及び180μm(比較例3)に変更した以外は実施例1と同様にして顆粒を作製し、得られた顆粒について実施例1と同様の評価を行った。更に得られた各顆粒を用いた以外は実施例1と同様に積層造形体を作製し、評価した。これらの評価結果を表1、2に示す。
実施例1と同様にしてスプレードライヤーにより造粒した。得られた造粒粉末を0.75〜1.06Ts(1050〜1428℃)、真空雰囲気中(1〜2Pa)で焼結して顆粒を作製した。得られた顆粒を125μmの篩で分級して本発明の顆粒を作製した。表1に各例の顆粒の平均粒径、流動度、破壊強度及び顆粒表面のWC粒子の形状を示す。
3:貫通孔
3a、3b、13a、13b:貫通孔の一端
3c、3d、13c:貫通孔の他端
5、15、16、17:貫通孔の湾曲部
6a、6b、16a、16b:円弧状切れ刃
8、18:ねじ挿通孔
J:顆粒
A:フィラメント
B:レンズ群
C:電子ビーム
D:ホッパー
E:顆粒
F:積層造形体(WC基超硬合金の積層焼結体)
G:基板
H:ブレード
I:真空チャンバー
J:未固化粒子
K:ステージ
Claims (5)
- 平均粒径が60〜130μmであるとともに少なくとも粒径分布が150μmアンダーである球状であり、JISZ2502に準拠して測定した流動度が10〜25sec/50gであって、5〜15質量%のCo、11質量%以下の周期律表の4a、5a及び6a族元素のうちの少なくとも一種の元素の炭化物、窒化物又は炭窒化物、残部WC及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするWC基超硬合金用の積層造形用顆粒。
- 請求項1に記載のWC基超硬合金用の積層造形用顆粒において、表面のWC粒子の形状が多角形であることを特徴とするWC基超硬合金用の積層造形用顆粒。
- 5〜15質量%のCo、11質量%以下の周期律表の4a、5a及び6a族元素のうちの少なくとも一種の元素の炭化物、窒化物又は炭窒化物、残部WC及び不可避的不純物からなる組成を有するWC基超硬合金の積層造形用顆粒の製造方法であって、
前記WC基超硬合金を構成する粉末を混合して原料粉末を得る混合工程、得られた原料粉末を造粒する造粒工程、得られた造粒粉末を焼結して顆粒を得る焼結工程、及び得られた顆粒を目開き106〜150μmの篩で分級する工程を有し、
前記焼結工程の焼結温度は、前記顆粒の製造に使用した前記造粒粉末をプレスし、得られた成形体を焼結し、得られた焼結体の断面をCIS006C−2007に準拠して測定した残留気孔がA04以下になる焼結温度(Ts)の0.85〜1.0Tsにしたことを特徴とするWC基超硬合金用の積層造形用顆粒の製造方法。 - 請求項3に記載のWC基超硬合金用の積層造形用顆粒の製造方法において、前記原料粉末に配合するWC粉末の平均粒径が10μm以下であることを特徴とするWC基超硬合金用の積層造形用顆粒の製造方法。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載のWC基超硬合金用の積層造形用顆粒を用いた焼結体インサートの製造方法。
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