JPH1088311A - タングステンカーバイド/コバルト溶射粉末及びその製造方法 - Google Patents
タングステンカーバイド/コバルト溶射粉末及びその製造方法Info
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- JPH1088311A JPH1088311A JP8266670A JP26667096A JPH1088311A JP H1088311 A JPH1088311 A JP H1088311A JP 8266670 A JP8266670 A JP 8266670A JP 26667096 A JP26667096 A JP 26667096A JP H1088311 A JPH1088311 A JP H1088311A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】中空率が低く、流動性に優れ、HVOF溶射に
おいて、コバルトが軟化しやすく、ボイドの少ない緻密
な溶射皮膜を形成することができるタングステンカーバ
イド/コバルト溶射粉末及びその製造方法を提供する。 【解決手段】平均粒径1〜7μmのタングステンカーバ
イド粉末75〜93重量%と、平均粒径0.5〜10μ
mのコバルト粉末7〜25重量%を焼結したタングステ
ンカーバイド/コバルト溶射粉末であって、流動度が2
2秒/50g以下である球形のタングステンカーバイド
/コバルト溶射粉末、及び、タングステンカーバイド粉
末とコバルト粉末の混合物100重量部に対し、有機バ
インダー及び水を添加し、スラリー濃度が65〜82重
量%になるように水中に分散し、スラリーを噴霧造粒す
ることにより球形に造粒し、減圧下又はアルゴン気流
下、1,100〜1,300℃において焼結したのち、解
砕することを特徴とする該溶射粉末の製造方法。
おいて、コバルトが軟化しやすく、ボイドの少ない緻密
な溶射皮膜を形成することができるタングステンカーバ
イド/コバルト溶射粉末及びその製造方法を提供する。 【解決手段】平均粒径1〜7μmのタングステンカーバ
イド粉末75〜93重量%と、平均粒径0.5〜10μ
mのコバルト粉末7〜25重量%を焼結したタングステ
ンカーバイド/コバルト溶射粉末であって、流動度が2
2秒/50g以下である球形のタングステンカーバイド
/コバルト溶射粉末、及び、タングステンカーバイド粉
末とコバルト粉末の混合物100重量部に対し、有機バ
インダー及び水を添加し、スラリー濃度が65〜82重
量%になるように水中に分散し、スラリーを噴霧造粒す
ることにより球形に造粒し、減圧下又はアルゴン気流
下、1,100〜1,300℃において焼結したのち、解
砕することを特徴とする該溶射粉末の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末及びその製造方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、中空率が低く、流動性に優
れ、HVOF溶射(High Velocity Ox
y−Fuel Spraying)において、コバルト
が軟化しやすく、ボイドの少ない緻密な皮膜を形成する
ことができるタングステンカーバイド/コバルト溶射粉
末及びその製造方法に関する。
バイド/コバルト溶射粉末及びその製造方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、中空率が低く、流動性に優
れ、HVOF溶射(High Velocity Ox
y−Fuel Spraying)において、コバルト
が軟化しやすく、ボイドの少ない緻密な皮膜を形成する
ことができるタングステンカーバイド/コバルト溶射粉
末及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶射は、基材の寸法に制限がなく、広い
面積の基材に対して一様な溶射皮膜を形成できること、
皮膜の形成速度が大きいこと、現場施工が容易であるこ
となどの特徴を有するため、近年、各種の産業にその適
用が拡大し、極めて重要な表面改質技術となってきた。
溶射法についても、数多くの技術が開発されているが、
その中でHVOF溶射は、粉末粒子の飛行速度が大き
く、高速度で基材に衝突するので、緻密で基材への密着
性の高い皮膜が得られること、フレーム中への大気の混
入が比較的少なく、しかも粉末粒子の飛行速度が大きい
ので、フレーム中での滞留時間が短くなり、粉末粒子が
過熱されることが少なく、溶射材料の変質が少ないこと
などの特徴を有している。溶射材料の中で、タングステ
ンカーバイド(WC)は、硬度が極めて高く、耐摩耗性
に優れているが、純粋なタングステンカーバイドの溶射
は困難で、これを溶射するとW2CとCに分解しやす
く、通常はコバルト(Co)が結合剤として併用され
る。タングステンカーバイド/コバルト溶射粉末には、
図1(a)に示されるような、タングステンカーバイド粉
末1とコバルト粉末2を所定の比率で機械的に混合した
のみの製品があるが、タングステンカーバイドとコバル
トが複合化されていないため溶射中にそれぞれが分離
し、皮膜中にタングステンカーバイドとコバルトの偏析
を生じ、均一な組織と組成の皮膜を形成することが困難
である。タングステンカーバイドとコバルトを混合して
溶融、鋳造したのち、粉砕、分級する方法があるが、溶
融時に固体のタングステンカーバイドと溶融したコバル
トが反応し、タングステンカーバイドが脱炭されて脱炭
相(W2C)が生じたり、脆化相(Co3W3C)が生成
したりして、品質が低下してしまう。また、原料のタン
グステンカーバイド粉末とコバルト粉末を混合、成形
し、焼結したのち、粉砕、分級する方法もあるが、製品
粉末の形状が球形とならないために流動性が悪く、溶射
効率が低い。そこで、原料のタングステンカーバイド粉
末とコバルト粉末を混合し、スラリー状として噴霧造粒
し、流動性のよい球形顆粒を作り、焼結、解砕、分級す
る方法が試みられた。しかし、この方法では、図1(b)
に示されるような中空率の高い、形の崩れた顆粒が多く
なり、期待どおりに流動性が向上しないばかりでなく、
形成される皮膜の中にボイドを生じてしまう。また、タ
ングステンカーバイド粉末とコバルト粉末を含有するス
ラリーの濃度を高くして噴霧造粒し、焼結、解砕、分級
すると、図1(c)に示されるような球形の粉末が得られ
るが、この粉末は1,300℃以下の温度では熱的に安
定であり、コバルトを軟化させるためには飛行粒子温度
で1,300℃以上という高い温度が必要となり、通常
のHVOF溶射では十分な特性を有する溶射皮膜が得ら
れにくい。
面積の基材に対して一様な溶射皮膜を形成できること、
皮膜の形成速度が大きいこと、現場施工が容易であるこ
となどの特徴を有するため、近年、各種の産業にその適
用が拡大し、極めて重要な表面改質技術となってきた。
溶射法についても、数多くの技術が開発されているが、
その中でHVOF溶射は、粉末粒子の飛行速度が大き
く、高速度で基材に衝突するので、緻密で基材への密着
性の高い皮膜が得られること、フレーム中への大気の混
入が比較的少なく、しかも粉末粒子の飛行速度が大きい
ので、フレーム中での滞留時間が短くなり、粉末粒子が
過熱されることが少なく、溶射材料の変質が少ないこと
などの特徴を有している。溶射材料の中で、タングステ
ンカーバイド(WC)は、硬度が極めて高く、耐摩耗性
に優れているが、純粋なタングステンカーバイドの溶射
は困難で、これを溶射するとW2CとCに分解しやす
く、通常はコバルト(Co)が結合剤として併用され
る。タングステンカーバイド/コバルト溶射粉末には、
図1(a)に示されるような、タングステンカーバイド粉
末1とコバルト粉末2を所定の比率で機械的に混合した
のみの製品があるが、タングステンカーバイドとコバル
トが複合化されていないため溶射中にそれぞれが分離
し、皮膜中にタングステンカーバイドとコバルトの偏析
を生じ、均一な組織と組成の皮膜を形成することが困難
である。タングステンカーバイドとコバルトを混合して
溶融、鋳造したのち、粉砕、分級する方法があるが、溶
融時に固体のタングステンカーバイドと溶融したコバル
トが反応し、タングステンカーバイドが脱炭されて脱炭
相(W2C)が生じたり、脆化相(Co3W3C)が生成
したりして、品質が低下してしまう。また、原料のタン
グステンカーバイド粉末とコバルト粉末を混合、成形
し、焼結したのち、粉砕、分級する方法もあるが、製品
粉末の形状が球形とならないために流動性が悪く、溶射
効率が低い。そこで、原料のタングステンカーバイド粉
末とコバルト粉末を混合し、スラリー状として噴霧造粒
し、流動性のよい球形顆粒を作り、焼結、解砕、分級す
る方法が試みられた。しかし、この方法では、図1(b)
に示されるような中空率の高い、形の崩れた顆粒が多く
なり、期待どおりに流動性が向上しないばかりでなく、
形成される皮膜の中にボイドを生じてしまう。また、タ
ングステンカーバイド粉末とコバルト粉末を含有するス
ラリーの濃度を高くして噴霧造粒し、焼結、解砕、分級
すると、図1(c)に示されるような球形の粉末が得られ
るが、この粉末は1,300℃以下の温度では熱的に安
定であり、コバルトを軟化させるためには飛行粒子温度
で1,300℃以上という高い温度が必要となり、通常
のHVOF溶射では十分な特性を有する溶射皮膜が得ら
れにくい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、中空率が低
く、流動性に優れ、HVOF溶射において、コバルトが
軟化しやすく、ボイドの少ない緻密な溶射皮膜を形成す
ることができるタングステンカーバイド/コバルト溶射
粉末及びその製造方法を提供することを目的としてなさ
れたものである。
く、流動性に優れ、HVOF溶射において、コバルトが
軟化しやすく、ボイドの少ない緻密な溶射皮膜を形成す
ることができるタングステンカーバイド/コバルト溶射
粉末及びその製造方法を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、微細なタングス
テンカーバイド粉末とコバルト粉末を高濃度のスラリー
として噴霧造粒することにより、中空率の低い球形の顆
粒を作製することができ、さらにこの顆粒を、焼結、解
砕、分級することによって、顆粒密度が高く、流動性の
良好なタングステンカーバイド/コバルト溶射粉末が得
られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、(1)平均粒径
1〜7μmのタングステンカーバイド粉末75〜93重
量%と、平均粒径0.5〜10μmのコバルト粉末7〜
25重量%を焼結したタングステンカーバイド/コバル
ト溶射粉末であって、JIS Z 2502にしたがって
測定した流動度が、22秒/50g以下である球形のタ
ングステンカーバイド/コバルト溶射粉末、(2)タン
グステンカーバイド粉末がx重量%であり、コバルト粉
末が(100−x)重量%であるとき、JIS Z 25
04にしたがって測定した見掛け密度が、−0.5+0.
045x g/cm3以上、0.3+0.045x g/cm3以
下である第(1)項記載のタングステンカーバイド/コバ
ルト溶射粉末、(3)示差熱分析において、昇温過程で
850〜950℃の温度範囲に吸熱ピークを示す第(1)
項又は第(2)項記載のタングステンカーバイド/コバル
ト溶射粉末、及び、(4)平均粒径1〜7μmのタング
ステンカーバイド粉末75〜93重量%と平均粒径0.
5〜10μmのコバルト粉末7〜25重量%の混合物1
00重量部に対し、有機バインダー0.3〜5.0重量部
及び水を添加し、スラリー濃度が65〜82重量%にな
るように水中に分散し、スラリーを60〜300℃にお
いて噴霧造粒することにより球形に造粒し、10-5〜1
0-1Torrの減圧下又はアルゴン気流下、1,100〜1,
300℃において焼結したのち、さらに解砕することを
特徴とする第(1)項、第(2)項又は第(3)項記載のタン
グステンカーバイド/コバルト溶射粉末の製造方法、を
提供するものである。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、微細なタングス
テンカーバイド粉末とコバルト粉末を高濃度のスラリー
として噴霧造粒することにより、中空率の低い球形の顆
粒を作製することができ、さらにこの顆粒を、焼結、解
砕、分級することによって、顆粒密度が高く、流動性の
良好なタングステンカーバイド/コバルト溶射粉末が得
られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、(1)平均粒径
1〜7μmのタングステンカーバイド粉末75〜93重
量%と、平均粒径0.5〜10μmのコバルト粉末7〜
25重量%を焼結したタングステンカーバイド/コバル
ト溶射粉末であって、JIS Z 2502にしたがって
測定した流動度が、22秒/50g以下である球形のタ
ングステンカーバイド/コバルト溶射粉末、(2)タン
グステンカーバイド粉末がx重量%であり、コバルト粉
末が(100−x)重量%であるとき、JIS Z 25
04にしたがって測定した見掛け密度が、−0.5+0.
045x g/cm3以上、0.3+0.045x g/cm3以
下である第(1)項記載のタングステンカーバイド/コバ
ルト溶射粉末、(3)示差熱分析において、昇温過程で
850〜950℃の温度範囲に吸熱ピークを示す第(1)
項又は第(2)項記載のタングステンカーバイド/コバル
ト溶射粉末、及び、(4)平均粒径1〜7μmのタング
ステンカーバイド粉末75〜93重量%と平均粒径0.
5〜10μmのコバルト粉末7〜25重量%の混合物1
00重量部に対し、有機バインダー0.3〜5.0重量部
及び水を添加し、スラリー濃度が65〜82重量%にな
るように水中に分散し、スラリーを60〜300℃にお
いて噴霧造粒することにより球形に造粒し、10-5〜1
0-1Torrの減圧下又はアルゴン気流下、1,100〜1,
300℃において焼結したのち、さらに解砕することを
特徴とする第(1)項、第(2)項又は第(3)項記載のタン
グステンカーバイド/コバルト溶射粉末の製造方法、を
提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において使用するタングス
テンカーバイド粉末の平均粒径は1〜7μmであり、よ
り好ましくは2〜4μmである。本発明において使用す
るコバルト粉末の平均粒径は0.5〜10μmであり、
より好ましくは1〜5μmである。タングステンカーバ
イド粉末の平均粒径が1μm未満であると、溶射中に熱
の影響を過度に受けて、脱炭により脱炭相(W2C)又
は脆化相(Co3W3C)に変質するタングステンカーバ
イドが増えるおそれがある。タングステンカーバイド粉
末の平均粒径が7μmを超えると、噴霧造粒により球形
の顆粒を得ることが困難になり、また、溶射中にコバル
ト粒子が軟化しがたくなるおそれがある。コバルト粒子
は溶射フレームにより熱せられて軟化し、粒径が小さい
ほど軟化しやすいが、平均粒径0.5μm未満のコバル
ト粉末を得るためには、製造コストが非常に高くなり好
ましくない。コバルト粉末の平均粒径が10μmを超え
ると、噴霧造粒により球形の顆粒を得ることが困難にな
り、また、溶射中にコバルト粒子が軟化しがたくなるお
それがある。本発明においては、タングステンカーバイ
ド粉末75〜93重量%と、コバルト粉末7〜25重量
%を焼結する。タングステンカーバイド粉末が75重量
%未満であり、コバルト粉末が25重量%を超えると、
溶射により形成される皮膜の硬度と耐摩耗性の低下が著
しく、実用に供せられないおそれがある。タングステン
カーバイド粉末が93重量%を超え、コバルト粉末が7
重量%未満であると、タングステンカーバイド粒子のバ
インダーとして作用するコバルト粒子の量が不足し、溶
射により形成される皮膜の靭性が低下するとともに、基
材との密着性が低下して剥離しやすくなるおそれがあ
る。
テンカーバイド粉末の平均粒径は1〜7μmであり、よ
り好ましくは2〜4μmである。本発明において使用す
るコバルト粉末の平均粒径は0.5〜10μmであり、
より好ましくは1〜5μmである。タングステンカーバ
イド粉末の平均粒径が1μm未満であると、溶射中に熱
の影響を過度に受けて、脱炭により脱炭相(W2C)又
は脆化相(Co3W3C)に変質するタングステンカーバ
イドが増えるおそれがある。タングステンカーバイド粉
末の平均粒径が7μmを超えると、噴霧造粒により球形
の顆粒を得ることが困難になり、また、溶射中にコバル
ト粒子が軟化しがたくなるおそれがある。コバルト粒子
は溶射フレームにより熱せられて軟化し、粒径が小さい
ほど軟化しやすいが、平均粒径0.5μm未満のコバル
ト粉末を得るためには、製造コストが非常に高くなり好
ましくない。コバルト粉末の平均粒径が10μmを超え
ると、噴霧造粒により球形の顆粒を得ることが困難にな
り、また、溶射中にコバルト粒子が軟化しがたくなるお
それがある。本発明においては、タングステンカーバイ
ド粉末75〜93重量%と、コバルト粉末7〜25重量
%を焼結する。タングステンカーバイド粉末が75重量
%未満であり、コバルト粉末が25重量%を超えると、
溶射により形成される皮膜の硬度と耐摩耗性の低下が著
しく、実用に供せられないおそれがある。タングステン
カーバイド粉末が93重量%を超え、コバルト粉末が7
重量%未満であると、タングステンカーバイド粒子のバ
インダーとして作用するコバルト粒子の量が不足し、溶
射により形成される皮膜の靭性が低下するとともに、基
材との密着性が低下して剥離しやすくなるおそれがあ
る。
【0006】本発明のタングステンカーバイド/コバル
ト溶射粉末は、球形に焼結してなるものである。タング
ステンカーバイド/コバルト粉末を球形に焼結する方法
には特に制限はないが、タングステンカーバイド粉末及
びコバルト粉末を混合し、有機バインダーと水を添加し
てスラリーとし、噴霧造粒機を用いて造粒することによ
り、球形の顆粒を得ることができ、さらにこの顆粒を焼
結することにより、球形のタングステンカーバイド/コ
バルト溶射粉末を得ることができる。タングステンカー
バイド粉末又はコバルト粉末の粒径が大きいと、噴霧造
粒機により形の整った球形の顆粒を得ることが困難とな
るが、本発明においては、微細なタングステンカーバイ
ド粉末及び微細なコバルト粉末を用いるので、真球形に
近い形状の溶射粉末を得ることができる。本発明のタン
グステンカーバイド/コバルト溶射粉末は、JIS Z
2502にしたがって測定した流動度が22秒/50g
以下であり、より好ましくは流動度が20秒/50g以
下である。溶射粉末の流動度が22秒/50gを超える
と、徐々にHVOF溶射において、溶射粉末がフレーム
中心に入りにくくなり、軟化することなく本来の軌道か
ら外れて、溶射効率が低下する傾向が大きくなるおそれ
がある。また、溶射粉末の流動度が22秒/50gを超
えると、溶射粉末が粉末供給装置から溶射ガンまでの細
い管の中で詰まったり、固まったりして、基材に不均一
に付着する原因となる傾向が大きくなるおそれがある。
本発明のタングステンカーバイド/コバルト溶射粉末
は、溶射粉末を構成するタングステンカーバイド粉末が
x重量%であり、コバルト粉末が(100−x)重量%
であるとき、JIS Z 2504にしたがって測定した
見掛け密度が、−0.5+0.045x g/cm3以上、
0.3+0.045x g/cm3以下であることが好まし
い。タングステンカーバイド溶射粉末の見掛け密度が−
0.5+0.045x g/cm3未満であると、溶射により
形成される皮膜中のボイドが増えて、皮膜の機械的強
度、耐食性、耐熱性などが低下するおそれがある。タン
グステンカーバイド溶射粉末の見掛け密度が 0.3+
0.045x g/cm3を超えると、溶射粉末の製造が困
難となるおそれがある。本発明のタングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末は、示差熱分析において、昇温過
程で850〜950℃の温度範囲に吸熱ピークを有する
ことが好ましい。850〜950℃の温度範囲に吸熱ピ
ークがあると、吸熱温度においてコバルト粒子に一次転
移が生じて軟化するので、溶射粉末を確実に基材に付着
せしめることができる。示差熱分析は、通常は昇温速度
5℃/分の条件で行う。
ト溶射粉末は、球形に焼結してなるものである。タング
ステンカーバイド/コバルト粉末を球形に焼結する方法
には特に制限はないが、タングステンカーバイド粉末及
びコバルト粉末を混合し、有機バインダーと水を添加し
てスラリーとし、噴霧造粒機を用いて造粒することによ
り、球形の顆粒を得ることができ、さらにこの顆粒を焼
結することにより、球形のタングステンカーバイド/コ
バルト溶射粉末を得ることができる。タングステンカー
バイド粉末又はコバルト粉末の粒径が大きいと、噴霧造
粒機により形の整った球形の顆粒を得ることが困難とな
るが、本発明においては、微細なタングステンカーバイ
ド粉末及び微細なコバルト粉末を用いるので、真球形に
近い形状の溶射粉末を得ることができる。本発明のタン
グステンカーバイド/コバルト溶射粉末は、JIS Z
2502にしたがって測定した流動度が22秒/50g
以下であり、より好ましくは流動度が20秒/50g以
下である。溶射粉末の流動度が22秒/50gを超える
と、徐々にHVOF溶射において、溶射粉末がフレーム
中心に入りにくくなり、軟化することなく本来の軌道か
ら外れて、溶射効率が低下する傾向が大きくなるおそれ
がある。また、溶射粉末の流動度が22秒/50gを超
えると、溶射粉末が粉末供給装置から溶射ガンまでの細
い管の中で詰まったり、固まったりして、基材に不均一
に付着する原因となる傾向が大きくなるおそれがある。
本発明のタングステンカーバイド/コバルト溶射粉末
は、溶射粉末を構成するタングステンカーバイド粉末が
x重量%であり、コバルト粉末が(100−x)重量%
であるとき、JIS Z 2504にしたがって測定した
見掛け密度が、−0.5+0.045x g/cm3以上、
0.3+0.045x g/cm3以下であることが好まし
い。タングステンカーバイド溶射粉末の見掛け密度が−
0.5+0.045x g/cm3未満であると、溶射により
形成される皮膜中のボイドが増えて、皮膜の機械的強
度、耐食性、耐熱性などが低下するおそれがある。タン
グステンカーバイド溶射粉末の見掛け密度が 0.3+
0.045x g/cm3を超えると、溶射粉末の製造が困
難となるおそれがある。本発明のタングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末は、示差熱分析において、昇温過
程で850〜950℃の温度範囲に吸熱ピークを有する
ことが好ましい。850〜950℃の温度範囲に吸熱ピ
ークがあると、吸熱温度においてコバルト粒子に一次転
移が生じて軟化するので、溶射粉末を確実に基材に付着
せしめることができる。示差熱分析は、通常は昇温速度
5℃/分の条件で行う。
【0007】本発明方法においては、平均粒径1〜7μ
mのタングステンカーバイド粉末75〜93重量部と、
平均粒径0.5〜10μmのコバルト粉末7〜25重量
部の混合物100重量部に対し、有機バインダー0.3
〜5.0重量部及び水を添加してスラリーとする。使用
する有機バインダーには特に制限はなく、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、カルボキシ
セルロース、水溶性イソバンなどの水溶性高分子を使用
することができる。有機バインダーの添加量が、タング
ステンカーバイド粉末とコバルト粉末の混合物100重
量部当たり0.3重量部未満であると、噴霧造粒の際に
タングステンカーバイド粉末とコバルト粉末の結合強度
が弱く、顆粒が破壊されやすくなるおそれがある。有機
バインダーの添加量が、タングステンカーバイド粉末と
コバルト粉末の合計量100重量部当たり5.0重量部
を超えると、噴霧造粒機内で顆粒が装置の壁面に付着し
やすくなり、収率が低下するおそれがある。本発明方法
においては、タングステンカーバイド粉末、コバルト粉
末、有機バインダー及び水を含有するスラリーの濃度を
65〜82重量%となるよう水の量を調整し、湿式混合
する。スラリー濃度が65重量%未満であると、噴霧造
粒により得られる顆粒中の空洞が大きくなり、焼結によ
り得られる溶射粉末の中空率が大きくなるおそれがあ
る。スラリー濃度が低くなると、濃度の低下とともに顆
粒中の空洞は次第に大きくなり、ついには空洞が顆粒の
表面に達し、球形の顆粒になりにくくなって、形のくず
れた顆粒が増える。スラリー濃度が82重量%を超える
と、スラリーの粘度が高くなりすぎて、噴霧造粒機によ
る造粒が困難となるおそれがある。本発明方法において
は、タングステンカーバイド粉末、コバルト粉末、有機
バインダー及び水を含有するスラリーに、さらに必要に
応じて、分散剤を含有せしめることができる。分散剤と
しては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウムなどを挙
げることができる。
mのタングステンカーバイド粉末75〜93重量部と、
平均粒径0.5〜10μmのコバルト粉末7〜25重量
部の混合物100重量部に対し、有機バインダー0.3
〜5.0重量部及び水を添加してスラリーとする。使用
する有機バインダーには特に制限はなく、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、カルボキシ
セルロース、水溶性イソバンなどの水溶性高分子を使用
することができる。有機バインダーの添加量が、タング
ステンカーバイド粉末とコバルト粉末の混合物100重
量部当たり0.3重量部未満であると、噴霧造粒の際に
タングステンカーバイド粉末とコバルト粉末の結合強度
が弱く、顆粒が破壊されやすくなるおそれがある。有機
バインダーの添加量が、タングステンカーバイド粉末と
コバルト粉末の合計量100重量部当たり5.0重量部
を超えると、噴霧造粒機内で顆粒が装置の壁面に付着し
やすくなり、収率が低下するおそれがある。本発明方法
においては、タングステンカーバイド粉末、コバルト粉
末、有機バインダー及び水を含有するスラリーの濃度を
65〜82重量%となるよう水の量を調整し、湿式混合
する。スラリー濃度が65重量%未満であると、噴霧造
粒により得られる顆粒中の空洞が大きくなり、焼結によ
り得られる溶射粉末の中空率が大きくなるおそれがあ
る。スラリー濃度が低くなると、濃度の低下とともに顆
粒中の空洞は次第に大きくなり、ついには空洞が顆粒の
表面に達し、球形の顆粒になりにくくなって、形のくず
れた顆粒が増える。スラリー濃度が82重量%を超える
と、スラリーの粘度が高くなりすぎて、噴霧造粒機によ
る造粒が困難となるおそれがある。本発明方法において
は、タングステンカーバイド粉末、コバルト粉末、有機
バインダー及び水を含有するスラリーに、さらに必要に
応じて、分散剤を含有せしめることができる。分散剤と
しては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウムなどを挙
げることができる。
【0008】本発明方法においては、タングステンカー
バイド粉末、コバルト粉末、有機バインダー及び水を含
有するスラリーを、噴霧造粒機に供給して造粒する。噴
霧造粒機に供給するスラリーの流量は、5〜40kg/時
であることが好ましい。スラリーの流量が5kg/時未満
であると、製造効率を高めることが困難となるおそれが
ある。スラリーの流量が40kg/時を超えると、形の整
った球形でない顆粒が生成し、また、噴霧造粒機の内壁
に付着するスラリーが増えるおそれがある。噴霧造粒機
において、スラリーを供給し造粒するための回転ディス
クの回転速度は、8,000〜18,000rpmの高速回
転であることが好ましく、12,000〜15,000rp
mであることがより好ましい。回転ディスクの回転速度
が8,000rpm未満であると、顆粒の粒径が大きくなり
すぎるおそれがある。回転ディスクの回転速度が18,
000rpmを超えると、顆粒が微細化しすぎるおそれが
ある。噴霧造粒機において、形成される顆粒の粒度分布
は主として8〜80μmであることが好ましい。粒度分
布8〜80μmの顆粒を焼結することにより、HVOF
溶射に適した粒度分布が主として6〜75μmである溶
射粉末を得ることができる。噴霧造粒機の回転ディスク
により霧滴化されたスラリーは、水の表面張力により球
形となるので、霧滴を乾燥することにより形の整った球
形の顆粒を得ることができる。本発明方法において、噴
霧造粒機内の温度は60〜300℃であり、より好まし
くは120〜250℃である。噴霧造粒機内の温度が6
0℃未満であると、顆粒が十分に乾燥しないおそれがあ
る。噴霧造粒機内を300℃を超える温度としても、実
質的な乾燥程度に差はなく、温度を上げるための燃焼ガ
スが無駄になり、噴霧造粒機の傷みが激しくなるおそれ
がある。
バイド粉末、コバルト粉末、有機バインダー及び水を含
有するスラリーを、噴霧造粒機に供給して造粒する。噴
霧造粒機に供給するスラリーの流量は、5〜40kg/時
であることが好ましい。スラリーの流量が5kg/時未満
であると、製造効率を高めることが困難となるおそれが
ある。スラリーの流量が40kg/時を超えると、形の整
った球形でない顆粒が生成し、また、噴霧造粒機の内壁
に付着するスラリーが増えるおそれがある。噴霧造粒機
において、スラリーを供給し造粒するための回転ディス
クの回転速度は、8,000〜18,000rpmの高速回
転であることが好ましく、12,000〜15,000rp
mであることがより好ましい。回転ディスクの回転速度
が8,000rpm未満であると、顆粒の粒径が大きくなり
すぎるおそれがある。回転ディスクの回転速度が18,
000rpmを超えると、顆粒が微細化しすぎるおそれが
ある。噴霧造粒機において、形成される顆粒の粒度分布
は主として8〜80μmであることが好ましい。粒度分
布8〜80μmの顆粒を焼結することにより、HVOF
溶射に適した粒度分布が主として6〜75μmである溶
射粉末を得ることができる。噴霧造粒機の回転ディスク
により霧滴化されたスラリーは、水の表面張力により球
形となるので、霧滴を乾燥することにより形の整った球
形の顆粒を得ることができる。本発明方法において、噴
霧造粒機内の温度は60〜300℃であり、より好まし
くは120〜250℃である。噴霧造粒機内の温度が6
0℃未満であると、顆粒が十分に乾燥しないおそれがあ
る。噴霧造粒機内を300℃を超える温度としても、実
質的な乾燥程度に差はなく、温度を上げるための燃焼ガ
スが無駄になり、噴霧造粒機の傷みが激しくなるおそれ
がある。
【0009】本発明方法においては、噴霧造粒機により
球形に造粒した顆粒を10-5〜10-1Torrの減圧下又は
アルゴン気流下において、1,100〜1,300℃、好
ましくは1,180〜1,250℃において焼結する。焼
結を減圧下に行う場合、10-5Torrより低圧の高度の減
圧は通常は不要である。圧力が10-1Torrを超えると、
タングステンカーバイド又はコバルトが酸化されるおそ
れがある。焼結をアルゴン気流下で行うことにより、酸
化の問題を排除することができる。焼結温度が1,10
0℃未満であると、焼結が不十分となって溶射粉末が破
壊されやすくなるおそれがある。焼結温度が1,300
℃を超えると、焼結過剰となって解砕により形の整った
球形の溶射粉末を得ることが困難になるおそれがある。
焼結は、通常は1〜8時間行うことが好ましい。焼結時
間が1時間未満であると、焼結が不十分となって溶射粉
末が破壊されやすくなるおそれがある。焼結時間が8時
間を超えると、焼結過剰となって解砕により形の整った
球形の溶射粉末を得ることが困難になるおそれがある。
本発明方法においては、焼結を行ったのちタングステン
カーバイド/コバルト溶射粉末を解砕する。解砕方法に
は特に制限はなく、公知の解砕機を用いて解砕すること
ができる。解砕によりタングステンカーバイド/コバル
ト溶射粉末は、粉末1個1個が分離した図1(d)に示す
ような球形の粉末となる。解砕されたタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末は、必要に応じて分級するこ
とができる。例えば、溶射粉末を6〜38μm、10〜
45μm、16〜53μm、20〜75μmに分級し、
HVOF溶射装置の出力に応じて使い分けることができ
る。低出力のHVOF装置には粒径の小さい溶射粉末を
用い、高出力のHVOF装置には粒径の大きい溶射粉末
を用いることが好ましい。例えば、低出力のHVOF装
置であるダイヤモンドジェット溶射において、粒径が6
〜38μmである溶射粉末を用いると、飛行粒子の温度
は950〜1,050℃となり、ボイドがほとんど存在
しない緻密な溶射皮膜を得ることができる。溶射粉末の
組成が、タングステンカーバイド粉末88重量%、コバ
ルト粉末12重量%であるとき、溶射皮膜のビッカース
硬度は通常900〜1,100である。このような飛行
粒子の温度で、コバルト粒子が十分に軟化する現象は、
示差熱分析における850〜950℃間の吸熱ピークに
対応している。高出力のHVOF装置においては、10
〜45μmあるいはそれ以上の粒径の溶射粉末を用いる
ことが好ましい。例えば、高出力のHVOF装置である
Jガン溶射やJP−5000溶射において、粒径が16
〜53μmであり、組成がタングステンカーバイド粉末
88重量%、コバルト粉末12重量%である溶射粉末を
用いると、溶射皮膜のビッカース硬度は1,200〜1,
500にも達する。本発明のタングステンカーバイド/
コバルト溶射粉末を用い、HVOF溶射装置によって溶
射を行うことにより、溶射皮膜中のボイドが少なく、ビ
ッカース硬度が高く、脱炭相(W2C)、酸化物相(W
O3など)及び脆化相(Co3W3C)がほとんど存在し
ない緻密な溶射皮膜を得ることができる。また、溶射粉
末の流動性がよく、コバルト粒子が軟化しやすいことか
ら、高い溶射効率を達成することができる。
球形に造粒した顆粒を10-5〜10-1Torrの減圧下又は
アルゴン気流下において、1,100〜1,300℃、好
ましくは1,180〜1,250℃において焼結する。焼
結を減圧下に行う場合、10-5Torrより低圧の高度の減
圧は通常は不要である。圧力が10-1Torrを超えると、
タングステンカーバイド又はコバルトが酸化されるおそ
れがある。焼結をアルゴン気流下で行うことにより、酸
化の問題を排除することができる。焼結温度が1,10
0℃未満であると、焼結が不十分となって溶射粉末が破
壊されやすくなるおそれがある。焼結温度が1,300
℃を超えると、焼結過剰となって解砕により形の整った
球形の溶射粉末を得ることが困難になるおそれがある。
焼結は、通常は1〜8時間行うことが好ましい。焼結時
間が1時間未満であると、焼結が不十分となって溶射粉
末が破壊されやすくなるおそれがある。焼結時間が8時
間を超えると、焼結過剰となって解砕により形の整った
球形の溶射粉末を得ることが困難になるおそれがある。
本発明方法においては、焼結を行ったのちタングステン
カーバイド/コバルト溶射粉末を解砕する。解砕方法に
は特に制限はなく、公知の解砕機を用いて解砕すること
ができる。解砕によりタングステンカーバイド/コバル
ト溶射粉末は、粉末1個1個が分離した図1(d)に示す
ような球形の粉末となる。解砕されたタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末は、必要に応じて分級するこ
とができる。例えば、溶射粉末を6〜38μm、10〜
45μm、16〜53μm、20〜75μmに分級し、
HVOF溶射装置の出力に応じて使い分けることができ
る。低出力のHVOF装置には粒径の小さい溶射粉末を
用い、高出力のHVOF装置には粒径の大きい溶射粉末
を用いることが好ましい。例えば、低出力のHVOF装
置であるダイヤモンドジェット溶射において、粒径が6
〜38μmである溶射粉末を用いると、飛行粒子の温度
は950〜1,050℃となり、ボイドがほとんど存在
しない緻密な溶射皮膜を得ることができる。溶射粉末の
組成が、タングステンカーバイド粉末88重量%、コバ
ルト粉末12重量%であるとき、溶射皮膜のビッカース
硬度は通常900〜1,100である。このような飛行
粒子の温度で、コバルト粒子が十分に軟化する現象は、
示差熱分析における850〜950℃間の吸熱ピークに
対応している。高出力のHVOF装置においては、10
〜45μmあるいはそれ以上の粒径の溶射粉末を用いる
ことが好ましい。例えば、高出力のHVOF装置である
Jガン溶射やJP−5000溶射において、粒径が16
〜53μmであり、組成がタングステンカーバイド粉末
88重量%、コバルト粉末12重量%である溶射粉末を
用いると、溶射皮膜のビッカース硬度は1,200〜1,
500にも達する。本発明のタングステンカーバイド/
コバルト溶射粉末を用い、HVOF溶射装置によって溶
射を行うことにより、溶射皮膜中のボイドが少なく、ビ
ッカース硬度が高く、脱炭相(W2C)、酸化物相(W
O3など)及び脆化相(Co3W3C)がほとんど存在し
ない緻密な溶射皮膜を得ることができる。また、溶射粉
末の流動性がよく、コバルト粒子が軟化しやすいことか
ら、高い溶射効率を達成することができる。
【0010】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例及び比較例におい
て、溶射粉末及び溶射皮膜の特性は、下記の方法により
測定した。 (1)見掛け密度 JIS Z 2504にしたがって測定した。 (2)流動度 JIS Z 2502にしたがって測定した。 (3)示差熱分析 示差走査熱量計[真空理工(株)製、TGD−7000
型]を用い、昇温速度5℃/分で測定した。 (4)溶射効率 溶射による基材の重量増加を測定し、使用した溶射粉末
の重量に対する比として求めた。 (5)ビッカース硬度 JIS Z 2244にしたがって測定した。 (6)気孔率 基材から3cm×3cmの溶着皮膜を剥がしたものを試料と
し、その乾燥重量M1gを測定した。次いで、この試料
を真空容器中で水中に浸漬し、気孔中に十分に水を浸入
させたのち、その水中重量M2gを測定した。さらに、
試料を水中から取り出し、表面の水を除いて試料の大気
中の飽水重量M3gを測定した。これらの値から、次式
にしたがって気孔率を求めた。 気孔率(%)={(M3−M1)/(M3−M2)}×10
0 実施例1 平均粒径3.0μmのタングステンカーバイド粉末88
重量部、平均粒径1.5μmのコバルト粉末12重量
部、水溶性イソバン2重量部及び水34重量部を混合し
て、スラリー濃度75重量%のスラリーを調製した。回
転ディスクの回転速度を12,000〜15,000rp
m、機内温度を120〜200℃とした噴霧造粒機
[(株)坂本技研製、DA−286−10型]に、上記の
スラリーを20kg/時の流量で供給し、タングステンカ
ーバイド/コバルト粉末からなる顆粒を調製した。この
顆粒を、10-2Torrの減圧下、1,200℃において、
4時間焼結し、さらに解砕して、タングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末を得た。この溶射粉末を分級し
て、6〜38μm、10〜45μm、16〜53μm及
び20〜75μmの粒度分布を有するタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末を得た。粒度分布10〜45
μmの溶射粉末の見掛け密度は3.8g/cm3であり、流
動度は19秒/50gであった。また、この溶射粉末
は、示差熱分析において890℃に吸熱ピークを示し
た。図3(d)は、示差熱分析において得られたサーモグ
ラムである。この溶射粉末の走査型電子顕微鏡写真を、
図2(d)に示す。溶射粉末は、形の整った球形である。
ダイヤモンドジェット溶射装置[スルザーメテコ(株)
製、DJ(HVOF)型]を用い、上記の6〜38μm
の粒度分布を有する溶射粉末を、脱脂及び粗面化した3
0cm×30cmのステンレス鋼板を基材として溶射し、中
央部に直径が15cmの円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜
を形成した。溶射作業中、溶射粉末の流れは円滑であ
り、溶射効率は45重量%であった。溶射皮膜の外観を
目視により観察したが、ピンホールなどの異常は認めら
れなかった。溶射皮膜のビッカース硬度は、1,050
であった。また、溶射皮膜の気孔率は、1.0%であっ
た。 実施例2 実施例1において分級した粒度分布16〜53μmの溶
射粉末の見掛け密度は3.8g/cm3であり、流動度は1
9秒/50gであった。また、この溶射粉末は、示差熱
分析において890℃に吸熱ピークを示した。Jガン溶
射装置[ウィテコジャパン(株)製、J−Gun型]を用
い、この16〜53μmの粒度分布を有する溶射粉末
を、脱脂及び粗面化した30cm×30cmのステンレス鋼
板を基材として溶射し、中央部に直径が15cmの円形で
厚さが1.5mmの溶射皮膜を形成した。溶射作業中、溶
射粉末の流れは円滑であり、溶射効率は48重量%であ
った。溶射皮膜の外観を目視により観察したが、ピンホ
ールなどの異常は認められなかった。溶射皮膜のビッカ
ース硬度は、1,300であった。また、溶射皮膜の気
孔率は、0.5%であった。 比較例1 平均粒径13.0μmのタングステンカーバイド粉末8
8重量部、平均粒径1.5μmのコバルト粉末12重量
部、水溶性イソバン2重量部及び水34重量部を混合し
て、スラリー濃度75重量%のスラリーを調製した。回
転ディスクの回転速度を12,000〜15,000rp
m、機内温度を120〜200℃とした噴霧造粒機
[(株)坂本技研製、DA−286−10型]に、上記の
スラリーを20kg/時の流量で供給し、タングステンカ
ーバイド/コバルト粉末からなる顆粒を調製した。この
顆粒を、10-2Torrの減圧下、1,230℃において、
4時間焼結し、さらに解砕して、タングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末を得た。この溶射粉末を分級し
て、6〜38μm、10〜45μm、16〜53μm及
び20〜75μmの粒度分布を有するタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末を得た。粒度分布10〜45
μmの溶射粉末の見掛け密度は4.3g/cm3であり、流
動度は21秒/50gであった。また、この溶射粉末
は、示差熱分析において850〜950℃に吸熱ピーク
を示さなかった。図3(c)は、示差熱分析において得ら
れたサーモグラムである。この溶射粉末の走査型電子顕
微鏡写真を、図2(c)に示す。溶射粉末の多くは、形の
整った球形である。Jガン溶射装置[ウィテコジャパン
(株)製、J−Gun型]を用い、上記の16〜53μm
の粒度分布を有する溶射粉末を、脱脂及び粗面化した3
0cm×30cmのステンレス鋼板を基材として溶射し、中
央部に直径が15cmの円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜
を形成した。溶射作業中、溶射粉末の流れは円滑であ
り、溶射効率は40重量%であった。溶射皮膜の外観を
目視により観察したが、ピンホールなどの異常は認めら
れなかった。溶射皮膜のビッカース硬度は、1,050
であった。また、溶射皮膜の気孔率は、1.0%であっ
た。 比較例2 平均粒径3.0μmのタングステンカーバイド粉末88
重量部、平均粒径1.5μmのコバルト粉末12重量
部、水溶性イソバン2重量部及び水102重量部を混合
して、スラリー濃度50重量%のスラリーを調製した。
回転ディスクの回転速度を12,000〜15,000rp
m、機内温度を120〜200℃とした噴霧造粒機
[(株)坂本技研製、DA−286−10型]に、上記の
スラリーを20kg/時の流量で供給し、タングステンカ
ーバイド/コバルト粉末からなる顆粒を調製した。この
顆粒を、10-2Torrの減圧下、1,200℃において、
4時間焼結し、さらに解砕して、タングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末を得た。この溶射粉末を分級し
て、6〜38μm、10〜45μm、16〜53μm及
び20〜75μmの粒度分布を有するタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末を得た。粒度分布10〜45
μmの溶射粉末の見掛け密度は3.6g/cm3であり、流
動度は25秒/50gであった。この溶射粉末の走査型
電子顕微鏡写真を、図2(b)に示す。溶射粉末は、内部
の空洞が表面に達しているものがあり、さらに球形が崩
れた形状を有するものも存在する。ダイヤモンドジェッ
ト溶射装置[スルザーメテコ(株)製、DJ(HVOF)
型]を用い、上記の6〜38μmの粒度分布を有する溶
射粉末を、脱脂及び粗面化した30cm×30cmのステン
レス鋼板を基材として溶射し、中央部に直径が15cmの
円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜を形成した。溶射作業
中、溶射粉末の流れが円滑でなく、溶射効率は42重量
%であった。溶射皮膜の外観を目視により観察したとこ
ろ、小さいピンホールの存在が認めらた。溶射皮膜のビ
ッカース硬度は、900であった。また、溶射皮膜の気
孔率は、1.4%であった。 比較例3 平均粒径13.5μmのタングステンカーバイド粉末8
8重量部及び平均粒径25.0μmのコバルト粉末12
重量部を機械的に混合した溶射粉末を用いて、溶射を行
った。この溶射粉末の見掛け密度は、4.2g/cm3であ
った。また、この溶射粉末は漏斗のオリフィスから流出
せず、流動度を測定することができなかった。図2(a)
は、この溶射粉末の走査型電子顕微鏡写真である。角形
に近い形状のタングステンカーバイド粉末と、塊状のコ
バルト粉末が混在している。ダイヤモンドジェット溶射
装置[スルザーメテコ(株)製、DJ(HVOF)型]を
用い、上記の溶射粉末を、脱脂及び粗面化した30cm×
30cmのステンレス鋼板を基材として溶射し、中央部に
直径が15cmの円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜を形成
した。溶射作業中、溶射粉末が流れにくく、溶射中にス
ピッティングを生じ、溶射効率は34重量%であった。
溶射皮膜の外観を目視により観察したところ、小さいピ
ンホールの存在が認められた。溶射皮膜のビッカース硬
度は、860であった。また、溶射皮膜の気孔率は、
2.1%であった。実施例1〜2及び比較例1〜3の結
果を、第1表に示す。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例及び比較例におい
て、溶射粉末及び溶射皮膜の特性は、下記の方法により
測定した。 (1)見掛け密度 JIS Z 2504にしたがって測定した。 (2)流動度 JIS Z 2502にしたがって測定した。 (3)示差熱分析 示差走査熱量計[真空理工(株)製、TGD−7000
型]を用い、昇温速度5℃/分で測定した。 (4)溶射効率 溶射による基材の重量増加を測定し、使用した溶射粉末
の重量に対する比として求めた。 (5)ビッカース硬度 JIS Z 2244にしたがって測定した。 (6)気孔率 基材から3cm×3cmの溶着皮膜を剥がしたものを試料と
し、その乾燥重量M1gを測定した。次いで、この試料
を真空容器中で水中に浸漬し、気孔中に十分に水を浸入
させたのち、その水中重量M2gを測定した。さらに、
試料を水中から取り出し、表面の水を除いて試料の大気
中の飽水重量M3gを測定した。これらの値から、次式
にしたがって気孔率を求めた。 気孔率(%)={(M3−M1)/(M3−M2)}×10
0 実施例1 平均粒径3.0μmのタングステンカーバイド粉末88
重量部、平均粒径1.5μmのコバルト粉末12重量
部、水溶性イソバン2重量部及び水34重量部を混合し
て、スラリー濃度75重量%のスラリーを調製した。回
転ディスクの回転速度を12,000〜15,000rp
m、機内温度を120〜200℃とした噴霧造粒機
[(株)坂本技研製、DA−286−10型]に、上記の
スラリーを20kg/時の流量で供給し、タングステンカ
ーバイド/コバルト粉末からなる顆粒を調製した。この
顆粒を、10-2Torrの減圧下、1,200℃において、
4時間焼結し、さらに解砕して、タングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末を得た。この溶射粉末を分級し
て、6〜38μm、10〜45μm、16〜53μm及
び20〜75μmの粒度分布を有するタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末を得た。粒度分布10〜45
μmの溶射粉末の見掛け密度は3.8g/cm3であり、流
動度は19秒/50gであった。また、この溶射粉末
は、示差熱分析において890℃に吸熱ピークを示し
た。図3(d)は、示差熱分析において得られたサーモグ
ラムである。この溶射粉末の走査型電子顕微鏡写真を、
図2(d)に示す。溶射粉末は、形の整った球形である。
ダイヤモンドジェット溶射装置[スルザーメテコ(株)
製、DJ(HVOF)型]を用い、上記の6〜38μm
の粒度分布を有する溶射粉末を、脱脂及び粗面化した3
0cm×30cmのステンレス鋼板を基材として溶射し、中
央部に直径が15cmの円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜
を形成した。溶射作業中、溶射粉末の流れは円滑であ
り、溶射効率は45重量%であった。溶射皮膜の外観を
目視により観察したが、ピンホールなどの異常は認めら
れなかった。溶射皮膜のビッカース硬度は、1,050
であった。また、溶射皮膜の気孔率は、1.0%であっ
た。 実施例2 実施例1において分級した粒度分布16〜53μmの溶
射粉末の見掛け密度は3.8g/cm3であり、流動度は1
9秒/50gであった。また、この溶射粉末は、示差熱
分析において890℃に吸熱ピークを示した。Jガン溶
射装置[ウィテコジャパン(株)製、J−Gun型]を用
い、この16〜53μmの粒度分布を有する溶射粉末
を、脱脂及び粗面化した30cm×30cmのステンレス鋼
板を基材として溶射し、中央部に直径が15cmの円形で
厚さが1.5mmの溶射皮膜を形成した。溶射作業中、溶
射粉末の流れは円滑であり、溶射効率は48重量%であ
った。溶射皮膜の外観を目視により観察したが、ピンホ
ールなどの異常は認められなかった。溶射皮膜のビッカ
ース硬度は、1,300であった。また、溶射皮膜の気
孔率は、0.5%であった。 比較例1 平均粒径13.0μmのタングステンカーバイド粉末8
8重量部、平均粒径1.5μmのコバルト粉末12重量
部、水溶性イソバン2重量部及び水34重量部を混合し
て、スラリー濃度75重量%のスラリーを調製した。回
転ディスクの回転速度を12,000〜15,000rp
m、機内温度を120〜200℃とした噴霧造粒機
[(株)坂本技研製、DA−286−10型]に、上記の
スラリーを20kg/時の流量で供給し、タングステンカ
ーバイド/コバルト粉末からなる顆粒を調製した。この
顆粒を、10-2Torrの減圧下、1,230℃において、
4時間焼結し、さらに解砕して、タングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末を得た。この溶射粉末を分級し
て、6〜38μm、10〜45μm、16〜53μm及
び20〜75μmの粒度分布を有するタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末を得た。粒度分布10〜45
μmの溶射粉末の見掛け密度は4.3g/cm3であり、流
動度は21秒/50gであった。また、この溶射粉末
は、示差熱分析において850〜950℃に吸熱ピーク
を示さなかった。図3(c)は、示差熱分析において得ら
れたサーモグラムである。この溶射粉末の走査型電子顕
微鏡写真を、図2(c)に示す。溶射粉末の多くは、形の
整った球形である。Jガン溶射装置[ウィテコジャパン
(株)製、J−Gun型]を用い、上記の16〜53μm
の粒度分布を有する溶射粉末を、脱脂及び粗面化した3
0cm×30cmのステンレス鋼板を基材として溶射し、中
央部に直径が15cmの円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜
を形成した。溶射作業中、溶射粉末の流れは円滑であ
り、溶射効率は40重量%であった。溶射皮膜の外観を
目視により観察したが、ピンホールなどの異常は認めら
れなかった。溶射皮膜のビッカース硬度は、1,050
であった。また、溶射皮膜の気孔率は、1.0%であっ
た。 比較例2 平均粒径3.0μmのタングステンカーバイド粉末88
重量部、平均粒径1.5μmのコバルト粉末12重量
部、水溶性イソバン2重量部及び水102重量部を混合
して、スラリー濃度50重量%のスラリーを調製した。
回転ディスクの回転速度を12,000〜15,000rp
m、機内温度を120〜200℃とした噴霧造粒機
[(株)坂本技研製、DA−286−10型]に、上記の
スラリーを20kg/時の流量で供給し、タングステンカ
ーバイド/コバルト粉末からなる顆粒を調製した。この
顆粒を、10-2Torrの減圧下、1,200℃において、
4時間焼結し、さらに解砕して、タングステンカーバイ
ド/コバルト溶射粉末を得た。この溶射粉末を分級し
て、6〜38μm、10〜45μm、16〜53μm及
び20〜75μmの粒度分布を有するタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末を得た。粒度分布10〜45
μmの溶射粉末の見掛け密度は3.6g/cm3であり、流
動度は25秒/50gであった。この溶射粉末の走査型
電子顕微鏡写真を、図2(b)に示す。溶射粉末は、内部
の空洞が表面に達しているものがあり、さらに球形が崩
れた形状を有するものも存在する。ダイヤモンドジェッ
ト溶射装置[スルザーメテコ(株)製、DJ(HVOF)
型]を用い、上記の6〜38μmの粒度分布を有する溶
射粉末を、脱脂及び粗面化した30cm×30cmのステン
レス鋼板を基材として溶射し、中央部に直径が15cmの
円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜を形成した。溶射作業
中、溶射粉末の流れが円滑でなく、溶射効率は42重量
%であった。溶射皮膜の外観を目視により観察したとこ
ろ、小さいピンホールの存在が認めらた。溶射皮膜のビ
ッカース硬度は、900であった。また、溶射皮膜の気
孔率は、1.4%であった。 比較例3 平均粒径13.5μmのタングステンカーバイド粉末8
8重量部及び平均粒径25.0μmのコバルト粉末12
重量部を機械的に混合した溶射粉末を用いて、溶射を行
った。この溶射粉末の見掛け密度は、4.2g/cm3であ
った。また、この溶射粉末は漏斗のオリフィスから流出
せず、流動度を測定することができなかった。図2(a)
は、この溶射粉末の走査型電子顕微鏡写真である。角形
に近い形状のタングステンカーバイド粉末と、塊状のコ
バルト粉末が混在している。ダイヤモンドジェット溶射
装置[スルザーメテコ(株)製、DJ(HVOF)型]を
用い、上記の溶射粉末を、脱脂及び粗面化した30cm×
30cmのステンレス鋼板を基材として溶射し、中央部に
直径が15cmの円形で厚さが1.5mmの溶射皮膜を形成
した。溶射作業中、溶射粉末が流れにくく、溶射中にス
ピッティングを生じ、溶射効率は34重量%であった。
溶射皮膜の外観を目視により観察したところ、小さいピ
ンホールの存在が認められた。溶射皮膜のビッカース硬
度は、860であった。また、溶射皮膜の気孔率は、
2.1%であった。実施例1〜2及び比較例1〜3の結
果を、第1表に示す。
【0011】
【表1】
【0012】実施例1及び実施例2の本発明のタングス
テンカーバイド/コバルト溶射粉末は、流動度の値が小
さく流動性に優れ、示差熱分析において890℃に吸熱
ピークを示し、溶射効率が高く、溶射皮膜のビッカース
硬度が大きい値を有し、気孔率が低くて緻密な溶射皮膜
を形成している。これに対して、平均粒径の大きいタン
グステンカーバイド粉末を用いた比較例1の溶射粉末
は、見掛け密度が高いが、流動性がやや劣り、溶射効
率、ビッカース硬度、気孔率も実施例に比べると全般に
やや劣っている。また、形の整った球形の少ない比較例
2の溶射粉末は、見掛け密度が低く、流動性がさらに劣
り、ビッカース硬度、気孔率も、実施例に対して全般に
劣っている。タングステンカーバイド粉末とコバルト粉
末を単に機械的に混合した比較例3の溶射粉末は、流動
度が測定不能になるなど、溶射粉末としてほとんど実用
に耐えない。
テンカーバイド/コバルト溶射粉末は、流動度の値が小
さく流動性に優れ、示差熱分析において890℃に吸熱
ピークを示し、溶射効率が高く、溶射皮膜のビッカース
硬度が大きい値を有し、気孔率が低くて緻密な溶射皮膜
を形成している。これに対して、平均粒径の大きいタン
グステンカーバイド粉末を用いた比較例1の溶射粉末
は、見掛け密度が高いが、流動性がやや劣り、溶射効
率、ビッカース硬度、気孔率も実施例に比べると全般に
やや劣っている。また、形の整った球形の少ない比較例
2の溶射粉末は、見掛け密度が低く、流動性がさらに劣
り、ビッカース硬度、気孔率も、実施例に対して全般に
劣っている。タングステンカーバイド粉末とコバルト粉
末を単に機械的に混合した比較例3の溶射粉末は、流動
度が測定不能になるなど、溶射粉末としてほとんど実用
に耐えない。
【0013】
【発明の効果】本発明のタングステンカーバイド/コバ
ルト溶射粉末は、中空率が低く、流動性が良好であり、
850〜950℃に吸熱ピークを示すので、溶射作業に
おいて溶射効率が高く、得られる溶射皮膜のビッカース
硬度が高く、ボイドをほとんど含まない。
ルト溶射粉末は、中空率が低く、流動性が良好であり、
850〜950℃に吸熱ピークを示すので、溶射作業に
おいて溶射効率が高く、得られる溶射皮膜のビッカース
硬度が高く、ボイドをほとんど含まない。
【図1】図1は、タングステンカーバイド/コバルト溶
射粉末の説明図である。
射粉末の説明図である。
【図2】図2は、タングステンカーバイド/コバルト溶
射粉末の電子顕微鏡写真である。
射粉末の電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、タングステンカーバイド/コバルト溶
射粉末の示差熱分析におけるサーモグラムである。
射粉末の示差熱分析におけるサーモグラムである。
1 タングステンカーバイド粉末 2 コバルト粉末
Claims (4)
- 【請求項1】平均粒径1〜7μmのタングステンカーバ
イド粉末75〜93重量%と、平均粒径0.5〜10μ
mのコバルト粉末7〜25重量%を焼結したタングステ
ンカーバイド/コバルト溶射粉末であって、JIS Z
2502にしたがって測定した流動度が、22秒/50
g以下である球形のタングステンカーバイド/コバルト
溶射粉末。 - 【請求項2】タングステンカーバイド粉末がx重量%で
あり、コバルト粉末が(100−x)重量%であると
き、JIS Z 2504にしたがって測定した見掛け密
度が、−0.5+0.045x g/cm3以上、0.3+0.
045x g/cm3以下である請求項1記載のタングステ
ンカーバイド/コバルト溶射粉末。 - 【請求項3】示差熱分析において、昇温過程で850〜
950℃の温度範囲に吸熱ピークを示す請求項1又は請
求項2記載のタングステンカーバイド/コバルト溶射粉
末。 - 【請求項4】平均粒径1〜7μmのタングステンカーバ
イド粉末75〜93重量%と平均粒径0.5〜10μm
のコバルト粉末7〜25重量%の混合物100重量部に
対し、有機バインダー0.3〜5.0重量部及び水を添加
し、スラリー濃度が65〜82重量%になるように水中
に分散し、スラリーを60〜300℃において噴霧造粒
することにより球形に造粒し、10-5〜10-1Torrの減
圧下又はアルゴン気流下、1,100〜1,300℃にお
いて焼結したのち、さらに解砕することを特徴とする請
求項1、請求項2又は請求項3記載のタングステンカー
バイド/コバルト溶射粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8266670A JPH1088311A (ja) | 1996-09-17 | 1996-09-17 | タングステンカーバイド/コバルト溶射粉末及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8266670A JPH1088311A (ja) | 1996-09-17 | 1996-09-17 | タングステンカーバイド/コバルト溶射粉末及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1088311A true JPH1088311A (ja) | 1998-04-07 |
Family
ID=17434068
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8266670A Pending JPH1088311A (ja) | 1996-09-17 | 1996-09-17 | タングステンカーバイド/コバルト溶射粉末及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1088311A (ja) |
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