JP4721106B2 - 粉末積層体の製造方法、およびこれを用いた焼結体の製造方法ならびに、これらを用いた焼結体の製造システム - Google Patents

粉末積層体の製造方法、およびこれを用いた焼結体の製造方法ならびに、これらを用いた焼結体の製造システム Download PDF

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本発明は、粉末積層体を作製するのに有効な製法、および切断ブレード用台金または切断ブレードなどの焼結体を連続的に作製するのに有効な製法に係り、詳しくは、原料粉末を型の中に1層あるいは複数層積層し、これを成形して、1以上の粉末積層体を製造する粉末積層体の製造方法、およびこうして製造された1以上の粉末積層体を焼結して、厚さが均一な薄板状の切断ブレード用台金あるいは加工精度の高い薄板状の切断ブレードなどの1以上の焼結体を製造する焼結体の製造方法、ならびにこのような切断ブレード用台金または切断ブレードなどの焼結体を連続的に製造する焼結体の製造システムに関するものである。
現在、自動車やコンピュータに搭載されている各種モーターの中には必ず磁石が組み込まれている。最近では、モーター特性を極限にまで向上させるために、磁石の中でも、磁気特性に優れた希土類磁石が多く採用されている。しかし、希土類をはじめとした磁石の切断加工の際には、その中に添加されている希土類成分が非常に高価であるため、切断幅をできるだけ小さくする必要がある。これに対応するため、従来の高速度鋼を平面研削加工により薄くしたものを用いると、剛性が低いために切断加工精度が極めて低下し、実用には供さない。
この打開策として、剛性の高い超硬合金が、切断ブレード台金として用いられてきている。超硬合金は、溶製法あるいは粉末焼結法により作製されている。
前者は、圧延処理により薄くすることが可能であるが、製造プロセスにおける冷却過程ならびに使用時における発熱過程に伴う残留応力の開放により、素材が薄くなるほど大きな反りが発生し、さらに材料内の欠陥により割れを誘発することがあり、精度の高い切断加工用素材には適さない。
一方、後者においては、焼結前のプロセスとして、均一な厚さの、特に厚さの薄い粉末積層体を精度良く、かつ早く作製することが困難であると同時に、粉末焼結体の厚さに対する不均一さに起因した焼結ムラが焼結体中に残存しているため、加圧焼結の手法ならびにプロセスの最適化を行っても、従来法では厚さに関係なく反りやクラックなどの欠陥を生じない焼結体を作製することができないという課題があった。
よって、これらの既存の方法では厚さムラのない、特に、薄い切断ブレード台金あるいは切断ブレードを歩留り良く、工業的に大量に製造することができなかった。しかし、工業製品の高付加価値化がよりいっそう進行するなかで、当該製品を用いた切断加工の需要は、年々高くなっている。
なお、従来の粉末焼結法では、これまで、切断ブレード台金あるいは切断ブレードを作製する際には、所定の成分、組成を有した原料粉末と成形用バインダーとを混合し、成形型などの型の中へ充填した後、成形圧力を負荷することにより予備成形体を作製し、これを焼結用型の中に1枚以上組み込み、脱バインダー処理を経て焼結を行うことにより焼結体を製品化していた。
すなわち、原料粉末を積層する場合、上述の従来の焼結体の製造方法では、原料粉末と成形用バインダーとを混合し、成形型などの型の中へ充填した後、成形圧力を負荷することにより予備成形体を作製するので、均一な粉末積層体を素早くかつ連続的に作製するのが困難である。特に、原料が超硬材料などのように、比重が非常に重い粉末である場合や、厚さが500μm以下になると粉末積層体の厚さムラが顕著となるため、焼結後において研削加工による大幅な厚さの修正処理が不可欠となっている。このため、この修正処理に伴う焼結体からの残留応力開放に起因して大きな反りを発生し、切断ブレード台金あるいは切断ブレードとしての利用を想定した場合、歩留り低下による製造コストの大幅な増加が避けられないという問題があった。
また、成形体には焼結型への組み込みを容易にするため、重量比で10%以上の昇華性物質(バインダー)を多量に含んでいるため、焼結プロセスの中には、この昇華性物質の除去を目的として、500℃以下の低温で1時間以上の脱バインダー処理が不可欠となり、工程の長時間化、煩雑化が不可避となっている。さらに、焼結体の厚さが500μm以下になると、抵抗加熱やホットプレスなどを用いた汎用焼結法では、焼結ムラを主因として、焼結体に反りやクラックや、機械的特性の低下などを発生させるため、工業的に大きな問題を抱えていた。
ところで、本出願人は、湿式粒子噴射法による乾式粉末積層技術を用いた、傾斜組成を持つ多成分系粉末積層体の製造方法を、特許文献1に提案している。
この多成分系粉末積層体の製造方法は、例えば図11に示される粒子噴射装置100において、まず、目的とする成分数の原料粉末を用意し、それぞれアルコール等の揮発性溶媒中に分散させた各々の原料スラリーをそれぞれ装置最上部に配設した各原料攪拌部102、102、102、…に投入し、十分に攪拌する。
次に、コンピュータ(PC)104によって制御されたチュービング・ポンプ106、106、106、…により、対応する原料攪拌部102、102、102、…内の各原料スラリーを、それぞれ原料ごとに所定の量ずつ原料混合部108へ供給し、混合攪拌して目的とする成分混合比の均一に混合された混合スラリーを得る。
一方、装置下部に配設されている積層用X−Yステージ110上に、粉末積層体形成用の所定の型(プレート)112を載置する。また、超音波噴射ノズル114と積層用X−Yステージ110との間に設置したセラミックス・ヒータ116を加熱する。さらに、積層用X−Yステージ110上の枠112を積層開始位置に移動させる。
この後、原料混合部108の下部に設けられたシャッター118を開け、マイクロチュービング・ポンプ120により、原料混合部108内の混合スラリーを噴射ノズル114に送る。そして、噴射ノズル114から混合スラリーを噴射し、積層用X−Yステージ110を予め設定した積層パターンに従って移動させる。この時、セラミックス・ヒータ116による加熱により、噴射ノズル114から噴霧された混合スラリーは積層用X−Yステージ110上の型112内のプレート上に到達する前の途中過程において溶媒が完全に除去され、混合粉体となって積層用X−Yステージ110上に到達し、型112内のプレート上に混合粉体が積層される。
設定された積層パターンでの積層が終了したら、噴射ノズル114からの噴射を止め、シャッター118を閉じ、積層用X−Yステージ110を元の積層開始位置(ホームポジション)に戻す。こうして、第1層目の粉末積層体の作製が終了される。
以後、同様にして上記の操作を繰り返して、成分配合比を変えながら、第2層目以降最終層(第n層)まで順次積層する。こうして、所望の傾斜組成を有する粉末積層体を得ている。
しかしながら、上述した多成分系粉末積層体の製造方法では、所望の傾斜組成を有する粉末積層体を得ることはできるが、予め決められた積層パターンで行われるために、噴射ノズル114から噴射された混合スラリーを全て確実に混合粉体化し、全量確実かつ均一にX−Yステージ110上の型112内のプレート上に積層するのは困難であるため、粉末積層体の厚さの方向にばらつきが生じてしまい、粉末積層体の厚みの精度が低い、特に、500μm以下の厚みを持つ薄い粉末積層体では、その厚みの精度が低くなって許容できないという問題があった。
特許第2821081号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を全て解決し、反りのない高精度な切断ブレード台金あるいは切断ブレードのような焼結体を効率良く連続的に大量に作製するために、均一な厚さを持つ1以上の粉末積層体、特に高い厚さ精度を持つ薄板状の粉末積層体を効率よく連続して製造することができる粉末積層体の製造方法、および厚さが均一な焼結体、特に、均一な厚さを持つ切断ブレード用台金あるいは加工精度の高い切断ブレードなどの1以上の高い厚さ精度を持つ薄板状の焼結体を効率よく連続して製造することができる焼結体の製造方法、ならびに粉末積層体の粉末積層から焼結体の焼結までを連続的に行って、このような切断ブレード用台金または切断ブレードなどの焼結体を連続的に製造することができる焼結体の製造システムを提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく、また、上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、均一な厚さを持つ1以上の粉末積層体、特に高い厚さ精度を持つ薄板状の粉末積層体を効率よく連続して製造するためには、今日まで、所定の各成分を有した原料粉末を揮発性溶媒を入れた1個以上の別容器内で混合攪拌したもの同士を集めて噴射ノズルの直上に設置した容器内でさらに混合処理を行うことで混合スラリーを作製し、これを噴射して粉末積層体を得る、特許文献1に開示の粒子噴射法による原料供給方法を改良し、所定量の乾式粉末を噴射ノズル直上に設置した揮発性溶媒を入れた混合攪拌容器内に直接投入し、スラリーの供給パスを極力短くすることにより、特に超硬などの様に比重の高く流動性の悪い粉末が供給チューブ内で閉塞することを防止すると共に、粉末積層体の組成や成分をレスポンス良く変更でき、さらに、噴射ノズルから積層するプレート面までをカバーする形状のセラミックスヒーターを用いることにより、薄いものから厚いものまで多種にわたった均一な粉末積層体を素早く作製することが可能であることを知見した。
また、本発明者らは、従来は、焼結前に成形用バインダーを添加した粉末を加圧成形したものを作製する必要があったが、これを上記の改良した手法を用い、かつスペーサーと併用することにより、成形用バインダーを一切使わずに、連続的に型内に対して均一な積層体を作製することが可能となり、その結果、多数枚焼結による量産効果ならびに、脱バインダー処理が不要であることによる製造時間の大幅な短縮が図られることによる生産性の向上が図れることを知見した。
さらに、本発明者らは、従来の焼結体を得るための手法としてホットプレスや抵抗加熱による加圧焼結が一般的であったが、焼結体の特性向上を図りながら、より高い生産性を得ることを目的として、焼結型内の粉末積層体と接する部分や部材の固有抵抗値を所定値以上にして通電効率を極限まで向上させた高効率加圧・通電加熱焼結法を用いることにより、反りや割れを発生させない歩留りの高い焼結体を短時間のうちに、かつ省電力で得るのが可能であることを知見した。
また、本発明者らは、粉末積層時において、切断ブレート台金の部分に対して外刃あるいは内刃の部分に対して、または切断ブレ−ド全体に対して、バインダーと共にダイヤモンド砥粒などの高硬度物質を同時に積層することにより、切断ブレート台金と切断刃の原料粉末を同時に1プロセスで積層した結果、一回の粉末積層処理で、原料粉末組成や種類を変える必要のある、切断ブレードの全ての粉末積層体の作製が可能であり、こうして得られた粉末積層体を焼結することにより、切断ブレードを効率良く連続的に大量に作製できることを知見した。
こうして、本発明者らは、これらをトータルでシステム化することにより、厚さ精度の高い粉末焼結体、特に薄板状の粉末積層体を効率良く連続的に大量に作製すること、さらに、反りのない高精度な切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの薄板状の焼結体を効率良く連続的に大量に作製することに初めて成功したものである。
その結果、本発明者らは、工業製品の高付加価値化がよりいっそう進行するなかで、厚さムラのない、特に、薄い切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの切断製品を用いた切断加工の需要は年々高くなる背景のもと、これらの多岐にわたった問題点解決を鋭意進めていった結果、以上の種々の知見、ならびに粉末積層体および薄板状の焼結体の作製の成功を得て、切断ブレード台金あるいは切断ブレードをターゲットとして、原料粉末を均一に積層する方法とその積層体を連続的に均一に多数枚焼結する方法を初めて見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、原料粉末および溶媒をそれぞれ所定量ずつ計量し、この計量された前記原料粉末と前記溶媒とを噴射ノズル直上混合攪拌して前記原料粉末を前記溶媒中に分散させた種類の異なるスラリーを少なくとも2種類以上作製した後、前記噴射ノズルにより上方から、所定の積層パターンに応じて相対的に移動されるプレート上、成形型内あるいは焼結型内のターゲットの領域毎にそれぞれ対応する前記スラリーを噴射し、前記噴射されたスラリーを噴射後途中で加熱して強制乾燥し、前記ターゲット到達前に粉体化し前記ターゲット上に、前記原料粉末の組成あるいは種類が自身の面方向の位置に応じて段階的または連続的に変化し、かつ、所定の厚みを持つ粉末積層体を製造する粉末積層体の製造方法であって、前記スラリーは、前記ターゲット上に配置された筒状カバーの内部空間内に噴射され、前記噴射されたスラリーは、前記筒状カバーの内部空間内において加熱されて前記粉体化され、前記積層パターンは、前記噴射ノズルと前記ターゲットとの相対的な3次元位置パターンであり、前記粉末積層体の厚みが計測され、計測された前記粉末積層体の厚みに応じて前記噴射パターンが制御されることを特徴とする粉末積層体の製造方法を提供するものである。
ここで、前記粉末積層体の厚みは、超音波変位センサーで計測されるのが好ましく、前記積層パターンは、前記粉末積層体の厚みが±30%以下の精度となるように、フィードバック制御されるのが好ましい。
また、前記筒状カバーは、管状ヒーターであるのが好ましく、前記管状ヒーターは、管状セラミックスヒーターであるのが好ましい。
また、前記ターゲットおよび前記粉末積層体が、円形状または角形状であり、前記ターゲットの領域毎にそれぞれ対応する前記スラリーを噴射するために、前記スラリーを前記ターゲットの半径方向あるいは長手方向に対して異なる位置に向けて噴射して、加熱・粉体化した後、前記ターゲット上に、前記原料粉末の組成あるいは種類が直径方向あるいは長手方向に変化した粉末積層体を製造するのが好ましい。
また、前記スラリーは、前記粉末積層体が毎分0.5μm/cm 以上の速度で積層されるように噴射されるのが好ましい。
また、前記所定の厚みを持つ粉末積層体を前記成形型内または焼結型内の前記ターゲットに1層積層した後、この1 層目の前記粉末積層体上にスペーサー、セパレーターあるいは離型剤を介在させた後、このスペーサー、セパレーターあるいは離型剤の上に、同一のまたは異なるスラリーを噴射し、加熱・粉体化して積層して、次の1層の粉末積層体を連続的に製造して、前記粉末積層体の厚さ方向に対して2 以上の前記粉末積層体を連続的に製造するのが好ましい。
また、前記原料粉末が、金属、セラミックスまたは樹脂、あるいはそれらの複合材であるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、原料粉末および溶媒をそれぞれ所定量ずつ計量する計量フィーダーと、この計量された前記原料粉末と前記溶媒とを混合攪拌して前記原料粉末を前記溶媒中に分散させたスラリーを作製する混合攪拌槽と、前記混合攪拌槽の直下に位置し、前記混合攪拌槽で作製したスラリーをプレート上、成形型内あるいは焼結型内のターゲットに向けて噴射する噴射ノズルと、前記ターゲットの位置を3次元方向に移動可能なステージと、前記ターゲット上に配置され、前記噴射ノズルから前記スラリーが内部空間内に噴射され、かつ、前記内部空間内において、前記スラリーを加熱して強制乾燥することにより、前記スラリーを前記ターゲット到達前に粉体化する筒状カバーと、前記ターゲット上に積層される粉末積層体の厚みを計測し、計測した前記粉末積層体の厚みに応じて前記噴射パターンを制御するフィードバック制御装置と、で構成され、前記ステージを3次元方向に移動させて、前記ターゲットと前記噴射ノズルとの相対的な3次元位置パターンを変化させることにより、前記噴射ノズルが前記ターゲットの領域毎に前記混合攪拌槽において作製された異なる種類のスラリーをそれぞれ噴射することを可能にし、前記ターゲット上に、前記原料粉末の組成あるいは種類が自身の面方向の位置に応じて段階的または連続的に変化し、かつ、所定の厚みを持つ粉末積層体を製造することを特徴とする粉末積層体の製造装置を提供するものである。
また、上記目的を達成するために、本発明の第の態様は、上記本発明の第1の態様の粉末積層体の製造方法によって、あるいは、本発明の第2の態様の粉末積層体の製造装置によって製造された1以上の前記粉末積層体を組み込んだ前記焼結型を焼結室内に配置し、所定の焼結法を用いて焼結して1以上の焼結体を製造することを特徴とする焼結体の製造方法を提供するものである。
ここで、前記焼結体が、薄板状の切断ブレード台金または切断ブレードであるのが好ましい。
また、前記焼結体の厚さの精度が、± 30%以下であるのが好ましい。
また、前記焼結体の厚さが、5μm以上であるのが好ましい。
また、前記焼結法が、加圧・通電加熱焼結法であるのが好ましい。
また、前記加圧・通電加熱焼結法は、前記焼結型、前記焼結型に組み込まれた前記粉末積層体間に介在するセパレーター、および前記粉末積層体に配置される上下スペーサーの少なくとも1種類に対して、固有抵抗10μΩ・m以上の高い絶縁性を持つグラファィト、セラミックスおよび離型剤の少なくとも1種類以上を用いて前記焼結型内に組み込まれた1以上の前記粉末積層体を焼結する高効率加圧・通電加熱焼結法であるのが好ましい。
また、前記加圧・通電加熱焼結法において、通電時における2次側出力電圧が2V以上であるのが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の第の態様は、切断ブレード台金あるいは
切断ブレードを製造するための粉末積層体を、上記本発明の第1の態様の粉末積層体の製造方法、あるいは、上記本発明の第2の態様の粉末積層体の製造装置によって製造した後、連続して、製造された粉末積層体を、上記本発明の第の態様の焼結体の製造方法で焼結して、前記粉末積層体の粉末積層から前記焼結体の焼結までを連続的に行って、前記切断ブレード台金あるいは前記切断ブレードを製造することを特徴とする焼結体の製造システムを提供するものである。
本発明の第1の態様の粉末積層体の製造方法によれば、均一な厚さを持つ1以上の粉末積層体、特に高い厚さ精度を持つ薄板状の粉末積層体を効率よく連続して製造することができる。
また、本態様によれば、特に、超硬などの様に比重の高く流動性の悪い粉末が供給チューブ内で閉塞することを防止すると共に、粉末積層体の組成や成分をレスポンス良く変更でき、さらに、薄いものから厚いものまで多種にわたった均一な粉末積層体を素早く作製することが可能である。
また、本態様によれば、成形用バインダーを一切使わずに、連続的に型内に対して均一な積層体を作製することが可能である。
さらに、本態様によれば、切断ブレート台金と切断刃の原料粉末を同時に1プロセスで積層した結果、一回の粉末積層処理で、原料粉末組成や種類を変える必要のある、切断ブレードの全ての粉末積層体の作製が可能である。
さらにまた、本態様によれば、上記の技術をトータルでシステム化し、厚さ精度の高い粉末焼結体、特に薄板状の粉末積層体を効率良く連続的に大量に作製することができる。
また、本発明の第の態様の焼結体の製造方法によれば、厚さが均一な焼結体、特に、均一な厚さを持ち、かつ反りのない高精度な切断ブレード台金あるいは切断ブレードのような1以上の高い厚さ精度を持つ薄板状の焼結体を効率良く連続的に大量に製造することができる。
また、本態様によれば、多数枚焼結による量産効果ならびに、脱バインダー処理が不要であることによる製造時間の大幅な短縮を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。
また、本態様によれば、反りや割れを発生させない歩留りの高い焼結体を短時間のうちに、かつ省電力で得るのが可能であり、焼結体の特性向上を図りながら、より高い生産性を得ることができる。
さらに、本態様によれば、切断ブレート台金の部分に対して外刃あるいは内刃の部分に対して、または切断ブレ−ド全体に対して、切断ブレート台金と同時に1プロセスで、すなわち一回の粉末積層処理で切断刃の原料粉末が積層されて作製された切断ブレードの全ての粉末積層体を焼結でき、その結果、切断ブレードを効率良く連続的に大量に作製できる。
さらにまた、本態様によれば、上記技術をトータルでシステム化し、効率良く連続的に大量に作製された厚さ精度の高い粉末焼結体、特に薄板状の粉末積層体を焼結して、反りのない高精度な切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの薄板状の焼結体を効率良く連続的に大量に作製することができる。
また、本発明の第の態様の焼結体の製造システムによれば、粉末積層体の粉末積層から焼結体の焼結までを連続的に行うことができ、均一な厚さを持ち、かつ反りのない高精度な切断ブレード台金あるいは切断ブレードのような1以上の高い厚さ精度を持つ薄板状の焼結体を効率良く連続的に大量に製造することができる。以上から、本発明の最大の特徴は、厚物から薄物まで厚さによらず均一な粉末積層体を連続的に作製すると共に、この積層体の厚さの均一性を損なわずに、脱バインダー処理を不要として連続的に多数枚焼結し、厚さの均一な焼結体、特に、反りやクラックのない切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの薄板状の焼結体を大量に作製することにあることが分かる。
また、本発明の作用は、所定の成分、組成を有した原料粉末を成形型の中に積層する際に、従来の粒子噴射法を改良した混合スラリー、従って原料粉末の外部飛散量を少なくする手段を設けたことにより、たとえ、薄い粉末積層体であっても、原料歩留まりが良好で、かつ効率的に均一な粉末積層体を高速で作製することができる方法を提供し、また、この粉末積層体、特に、薄い粉末積層体を焼結型内に一層あるいはセパレーターを介して複数層積層し、成形、焼結を行うことにより、反りや欠陥のない高精度な焼結体、特に、切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの薄い焼結体を多数枚、連続的に歩留り良く作製することができる方法およびシステムを提供することに寄与することである。
本発明の第1の態様に係る粉末積層体の製造方法、本発明の第の態様に係る焼結体の製造方法および本発明の第の態様に係る焼結体の製造システムを、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の態様に係る粉末積層体の製造方法を実施する粉末積層体製造装置の一実施形態の模式図であり、図2は、本発明の粉末積層体の製造方法を実施する粉末積層体製造プロセスを含む焼結体の製造プロセスの一例を示すフローチャートである。
以下において、図1に示す粉末積層体製造装置10の構成および作用を説明して、図2に示すフローチャートに従って、本発明の粉末積層体の製造方法を説明する。
図1に示すように、粉末積層体製造装置10は、乾式原料AおよびBをそれぞれ貯留する2つの乾式原料槽12aおよび12b、分散剤を貯留する分散剤槽12cならびにアルコールなどの揮発性溶媒を貯留する揮発性溶媒槽12dと、各槽12a〜12dの各乾式原料AおよびB、分散剤ならびに揮発性溶媒をそれぞれ計量する計量フィーダー14a〜14dと、計量された原料AおよびB、分散剤ならびに揮発性溶媒を混合攪拌して混合スラリーを作製するための混合攪拌槽16と、混合攪拌槽16から投入された混合スラリーを噴射する噴射ノズル18と、噴射ノズル18の直下に設けられ、噴射時に開放され、噴射ノズル18からの混合スラリーの噴射を許容し、噴射終了時に閉止され、噴射ノズル18からの混合スラリーを遮断するシャッター20と、シャッター20の直下に設けられ、噴射ノズル18から噴射された混合スラリーの噴霧を加熱して強制乾燥して粉体化する管状セラミックスヒーター22と、混合スラリーの粉体、すなわち混合原料粉体を積層して粉体積層体24を作製するためのプレート26と、プレート26が載置され、XYZ方向に移動されるXYZステージ28と、XYZステージ28をXYZ方向に移動するための3次元駆動装置30と、プレート26上に積層された粉体積層体24の厚みを計測する超音波変位センサー32と、計量フィーダー14a〜14dによる計量を制御し、超音波変位センサー32からの粉体積層体24の厚みの計測値を受けて、噴射ノズル18、シャッター20および3次元駆動装置30を制御するコンピュータ(PC(パーソナルコンピュータ))制御装置34とを有する。
図1に示す粉末積層体製造装置10および図2に示す本発明の粉末積層体製造プロセスに従って、本発明の第1の態様に係る粉末積層体の製造方法を説明する。
まず、図2に示す粉末積層体製造プロセスを開始する前に、PC制御装置34による制御の準備として、ステップS10において、カウントNをN=1に設定し、粉末積層体を何層積層するかの積層数Nを設定する。もちろん、1層の粉末積層体を形成する場合には、積層数N=1である。
次いで、ステップS12において、焼結体を作製するための粉末材料(焼結体材料)である乾式原料AおよびB、例えば切断ブレード台金を作製するための超硬系粉末(WC+5wt%Co)の乾式原料であるWC粉末およびCo粉末を選定し、それぞれ乾式原料槽12aおよび12bに貯留する。
さらに、これらのWC粉末およびCo粉末などの焼結体作製用乾式原料AおよびBを混合して混合スラリーにするための揮発性溶媒、例えばエチルアルコール(エタノール)および混合スラリーの分散性を改善するための分散剤、例えば非水性分散剤(SN−DISPERSANT 9228)を用意し、分散剤槽12cおよび揮発性溶媒12dに貯留する。
また、粉末積層体製造プロセスを開始する際に、ステップS12において、管状セラミックスヒーター22の加熱が開始され、XYZステージ28は、3次元駆動装置30によって粉体積層開始位置(ホームポジション)に設定される。
ここで、乾式原料は、例えば、超硬製切断ブレード台金を作製する場合には、WC粉末およびCo粉末が選定され、図1に示すように、乾式原料AおよびBの2種類であるが、本発明はこれに限定されず、目的とする焼結体に応じて選定されるものであり、1種類であっても良いし、3種類以上であっても良い。例えば、切断ブレードを製造する場合には、超硬製切断ブレード台金作製用には、例えば、WC粉末およびCo粉末を用い、切断ブレード台金に取付られる切断刃作製用には、例えば、ダイヤモンド砥粒およびCo基バインダーを選定することができる。また、乾式原料として、例えば、WC粉末、Co粉末、ダイヤモンド砥粒およびCo基バインダーなどの複数種の乾式原料を個別に選定しても良いし、これらいくつかを所定比率で混合した混合乾式原料、例えば超硬系粉末(WC+5wt%Co)を選定しても良い。
また、乾式原料などの原料粉末は、WC粉末、Co粉末およびCo基バインダーなどの金属粉や、ダイヤモンド砥粒などのセラミックス粉末に限定されず、他の金属粉末であっても良いし、他のセラミックス粉末であっても良いし、または樹脂粉末であっても良いし、あるいはそれらの複合材の粉末であっても良い。
また、揮発性溶媒および分散剤も、選定された乾式原料や、目的とする焼結体に応じて適宜選定すれば良い。なお、分散剤としては、揮発性溶媒に応じて液状の非水性分散剤が選定されるが、本発明はこれに限定されず、乾式粉末状の分散剤を用いても良い。
次に、図2のステップS14において、図1に示す粉末積層体製造装置10では、まず始めに、分散剤および揮発性溶媒、例えば、非水性分散剤およびエタノール溶媒は、分散剤槽12cおよび揮発性溶媒12dに液体として貯留され、容積供給率をそれぞれ一定にする容積式の計量フィーダー14cおよび14dを用いて自動的に計量され、各々所要量ずつ混合攪拌槽16に投入される。
一方、乾式原料AおよびB、例えばWC粉末およびCo粉末は、乾式原料槽12aおよび12bに貯留されており、ロードセル(図示せず)を用いて重量供給率をそれぞれ一定にする重量式の計量フィーダー14aおよび14bを用いて自動的に計量され、各々所要量ずつ、分散剤および揮発性溶媒が入れられた混合攪拌槽16に直接投入される。
ここで、計量フィーダー14aおよび14bは、その乾式原料AおよびBの供給量がPC制御装置34によってコンピュータ制御されて自動計量されるのが好ましい。より好ましくはさらに計量フィーダー14aおよび14bに加え、計量フィーダー14cおよび14dもその供給量がPC制御装置34によってコンピュータ制御されて自動計量されるのが良い。
上述した例のように、乾式原料AおよびBは、予め、揮発性溶媒および分散剤、または揮発性溶媒のみが入れられた混合攪拌槽16に投入されるのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、混合攪拌槽16に投入される順序はいかなる順序であっても良い。
ここで、図示例においては、乾式原料AおよびBの2種類の乾式原料をそれぞれ乾式原料槽12aおよび12bに貯留しておき、それぞれ所要量ずつ計量フィーダー14aおよび14bを用いて計量した後に、混合攪拌槽16に投入しているが、本発明はこれに限定されず、上述したように、乾式原料AおよびBの2種類の乾式原料をそれぞれ所要量ずつ予め混合した混合乾式原料を選定した場合には、選定した混合乾式原料を所定量計量して、混合攪拌槽16に投入するようにしても良い。例えば、超硬系粉末に関して、WC粉末およびCo粉末をそれぞれ乾式原料槽12aおよび12bに貯留しておき、それぞれ個別に供給しても良いし、予め混合された超硬系粉末(WC+5wt%Co)を1つの乾式原料槽に貯留して用いても良い。
なお、3種類以上の乾式原料を用いる場合には、全種類の乾式原料をそれぞれ所要量ずつ計量混合した混合乾式原料を用いても良いし、全種類ではなく、その中の数種を計量混合した混合乾式原料を1つまたは2つ以上用いても良いし、残りがある場合には、残りの乾式原料は個別に用いても良い。
図2のステップS16において、混合攪拌槽16では、計量フィーダー14a〜14dによってそれぞれ自動計量されて投入された乾式原料AおよびBと揮発性溶媒および分散剤とが攪拌羽根16aによって十分に混合攪拌されて、スラリー状態となり、均一に混合された混合スラリーが作製される。混合攪拌槽16は、乾式原料AおよびBと揮発性溶媒および分散剤とを十分に混合攪拌できれば、どのような混合攪拌槽でも良いし、攪拌ばね16aの種類や数や形状も限定されないし、その攪拌回転速度も特に限定されない。
図2のステップS18において、混合攪拌槽16において作製された混合スラリーが、
混合攪拌槽16の直下に設置された噴射ノズル18に投入される。混合攪拌槽16から噴射ノズル18への混合スラリーの投入は、自由落下であっても良いし、例えば、チュービング・ポンプ(図示せず)等によって行っても良い。
本発明においては、混合攪拌槽16は、噴射ノズル18の直上に設置されているので、混合攪拌槽16から噴射ノズル18までの混合スラリーの供給パスを極力短くすることができ、特に、超硬材料などのように比重の高く流動性の悪い粉末が供給チューブ内で閉塞することを防止すると共に、粉末積層体の組成や成分をレスポンス良く変更でき、また、薄いものから厚いものまで多種にわたった均一な粉末積層体を素早く作製することができる。
図2のステップS19において、シャッタ−20が開放されると、図2のステップS20において、投入された混合スラリーが、噴射ノズル18からXYZステージ28上に載置されたプレート26の積層表面(ターゲット)に向けて噴射され、混合スラリー噴霧となる。ここで、噴射ノズル18としては、超音波ノズル等を用いることができるが、本発明は特にこれに限定されない。
噴射開始と同時に、XYZステージ28は、3次元駆動装置30によってその移動が開始され、噴射終了まで、粉末積層体24の厚みが均一かつ高い精度で正確な厚みとなるように、所定の積層パターン(3次元位置パターン)に従ってXYZ方向に移動される。なお、3次元駆動装置30によるXYZステージ28の所定の積層パターンに従ったXYZ方向の3次元方向の移動は、プレート26上に積層された粉末積層体24の厚みが均一かつ正確になるように、超音波変位センサー32による粉末積層体24の厚みの計測結果に基づいてPC制御装置34によってフィードバック制御される。ここで、XY方向の積層パターン(2次元位置パターン)は、粉末積層体24の形状に応じて適宜設定されるパターンであれば良いし、Z(厚み)方向の積層パターンは、積層厚みに応じて適宜設定されるパターンであれば良い。
この時、噴射ノズル18からの混合スラリーの噴射量は、特に制限はないが、粉末積層体が毎分0.5μm/cm以上の速度で積層されるような噴射量であるのが好ましく、より好ましくは、1.0〜3.0μm/cm・分であるのが良い。すなわち、混合原料粉末の単位面積(1cm)、単位時間(1分)当りの積層速度、すなわち、粉末積層体24の厚みの増加速度が、0.5μm以上であるのが好ましく、より好ましくは、1.0〜3.0μmであるのが良い。この理由は、粉末積層体24の積層速度が、毎分0.5μm/cm未満であると、粉末積層体の作製時間が長くなり工業的に不利であると共に、噴射速度が遅いためにXYZステ−ジの移動に伴うピッチの筋が積層体の表面ならびに内部に残留するからである。
なお、本発明において対象とする粉末積層体24の厚みは、特に制限的ではないが、薄い粉末積層体の場合には、5μm以上の厚さであるのが好ましく、より好ましくは10μm以上の厚さであるのが良く、厚い粉末積層体の場合には、1000μm以下の厚さであるのが好ましく、より好ましくは500μm以下の厚さであるのが良い。
この理由は、粉末積層体の特性的には問題はないが、工業的に厚い積層体の場合には、本発明を用いなくとも、摺り切り方式によるダイスへの粉末積層でも対応することは可能であり、かつ厚い積層体の場合には一般的に厚さの精度がラフであるからである。
図2のステップS22において、噴射ノズル18から噴射された混合スラリー噴霧は、
噴射後直ちに、直下に設けられている管状セラミックスヒーター22の内部空間に入り、噴射直後から管状セラミックスヒーター22によって加熱され、揮発性溶媒が強制乾燥されて、混合スラリーは、プレート26の積層表面に到着する前に粉体化され、乾式原料AおよびBの混合原料粉末となって、プレート26の表面上に積層される。
ここで、本発明においては、噴射ノズル18から噴射された混合スラリー噴霧を加熱するための管状セラミックスヒーター22が、噴射ノズル18から粉末積層体24が積層されるプレート26の表面に至るまでの空間、すなわち、強制的に加熱乾燥させて粉体化させる空間を覆う筒状のカバーとしても機能する。すなわち、管状セラミックスヒーター22は、噴射ノズル18から噴射された混合スラリー噴霧を加熱し、強制的に乾燥させて粉体化させるための手段として機能すると共に、噴射ノズル18から粉末積層体24が積層されるプレート26の表面までの空間を覆い、混合スラリー、従って原料粉末の外部飛散量を少なくする手段としても機能する。
このため、噴射ノズル18から噴射された混合スラリー噴霧を、外部空間に飛散させることなく、確実にかつ効率良く加熱することができ、その結果、略全て混合スラリー噴霧を乾燥させて粉体化させることができる。すなわち、噴射ノズル18から噴射された混合スラリー噴霧中の揮発性溶媒成分は、管状セラミックスヒーター22内の空間を落下していく間に、確実に蒸発し、混合スラリー噴霧中の固体成分である乾式原料AおよびBが、略全て確実に混合原料粉末となって、プレート26の表面上に積層されるので、たとえ、薄い粉末積層体であっても、原料歩留まりが良好で、かつ効率的に均一な粉末積層体を高速で作製することができる。
その結果、超音波変位センサー32で計測された粉末積層体24の積層厚みの測定結果に基づいて、XYZステージ28の移動パターン(積層パターン)をフィードバック制御して、噴射ノズル18から噴射される混合スラリー噴霧の量を均一化することにより、プレート26の表面上に積層される混合原料粉末の量を均一化し、粉末積層体24の厚みを均一化し、高精度に正確な厚みとすることができる。
この時、粉末積層体の厚みが±30%以下の精度となるように、超音波変位センサー32の計測結果に基づいてXYZステージ28の3次元位置移動パターン(積層パターン)をフィードバック制御するのが好ましい。
粉末積層体の厚みを±30%以下の精度に限定するのは、これ以下の精度になると、特に薄物の焼結体とする場合には、焼結後における後処理として、研削加工が不可欠となり、この処理により製造時間の長期化が避けられなくなると共に、焼結体に対して反りや割れなどのダメ−ジを生じる可能性が極めて高くなるからである。
こうして、図2のステップS24において、プレート26の表面上に、均一かつ高い厚み精度を持つ1層の粉末積層体24が形成されると、直ちに噴射ノズル18からの混合スラリーの噴射が停止され、図2の図2のステップS25において、シャッター20が直ちに閉鎖される。
なお、図2に示す粉末積層体製造プロセスでは、ステップS18の混合スラリーの噴射ノズルへの投入からステップS24の粉末積層体24の形成までの間、PC制御装置34によって制御される3次元位置移動パターン(積層パターン)に従って、XYZステージ28は移動されるが、1層の粉末積層体24が所望の厚みに形成されると、直ちに噴射ノズル18からの混合スラリーの噴射およびXYZステージ28の移動が停止され、直ちにステップS25でシャッター20が閉鎖される。
本発明においては、粉末積層体24の厚みを超音波変位センサー32で計測し、その結果に基づいて、PC制御装置34によって、3次元駆動装置30によるXYZステージ28の移動パターン、すなわち積層パターンがフィードバック制御されているので、粉末積層体24の厚みを均一にすることができるし、高い精度で正確な厚みとすることができる。また、粉末積層体24が所定の厚みに形成されると、噴射ノズル18からの混合スラリーの噴射が停止されると共に、シャッター20が閉鎖されるので、たとえ、噴射ノズル18内に混合スラリーが残っていたとしても噴射ノズル18から粉末積層体24上に堆積されることはないので、粉末積層体24の均一な厚みにムラを生じさせることはなく、高い精度で正確な厚みとすることができる。
次に、図2に示すステップS26において、PC制御装置34の制御のために、N=N+1として、カウントNを1つインクリメントする。
次に、図2のステップS28において、カウントNと積層数Nとを比較し、N>N(YES)であれば、必要な積層数の粉末積層体が形成されているとして、本発明の粉末積層体製造プロセスを終了し、ステップ25のシャッタ−20の閉鎖に続いて、ステップ29における管状セラミックスヒ−タ−22の加熱停止の後、次の粉末積層体焼結ステップS32に移り、N>N(NO)でなければ、必要な積層数の粉末積層体が形成されていないとして、次の粉末積層体を形成するために、ステップ30に移り、上述した本発明の粉末積層体製造プロセスを繰り返す。
ここで、本発明の粉末積層体製造プロセスが、図1に示すように、プレート26上に1層の粉末積層体24を形成するものである場合には、積層数N=1であり、カウントNは2となっているので、図2に示す粉末積層体製造プロセスは、終了し、粉末積層体焼結ステップS32を含む本発明の焼結体製造プロセスに移る。本発明の焼結体製造プロセスについては、後述する。
次に、本発明の粉末積層体製造プロセスにおいて、多数枚積層する場合について説明する。
図3(a)、(b)および(c)に、焼結型40に粉末積層体24を多数枚積層する場合の多数枚積層プロセスの異なるプロセス段階を示す。
ここで、焼結型40は、図3(c)に示すように、内側に多層積層体42を組み込む固定ダイ44と、固定ダイ44の中心部分に設けられるコア46と、固定ダイ44とコア46との間の空間に下側から移動可能に挿入され、固定ダイ44とコア46との間の空間に組み込まれた多層積層体42を支持する下部パンチャー48と、固定ダイ44とコア46との間の空間に上側から移動可能に挿入され、下部パンチャー48に支持された多層積層体42を加圧する上部パンチャー50とを備える。なお、多層積層体42は、複数の粉末積層体24と、隣接する粉末積層体24の間に介在するスペーサー52とを有する。
なお、隣接する粉末積層体24の間には、スペーサー52に、セパレーターを用いても良い。ここで、スペーサー52は、ダイ44やコア46、パンチャー48および50と同一の素材からなるものであり、セパレーターは、焼結型40の内面やパンチャー48および50の面、スペーサー52の面と焼結体との分離を容易にするために塗布あるいは設置するスプレー状のものやシート状のものである。
なお、図3に示す焼結型40は、例えば、図4に示す切断ブレード60またはその切断ブレード台金62などの薄板状の焼結体を多数枚製造する際に用いられるものである。図3に示す焼結型40の場合には、焼結前に焼結型40に粉末積層体24を直接多数枚積層して多層積層体42を組み込み、そのまま焼結して、切断ブレード60や切断ブレード台金62などの薄板状の焼結体を多数枚製造することができる。
ここで、図4に示す切断ブレード60は、円環状の切断ブレード台金62と、その外周に設けられた切断刃64とを有し、中心側に円形開口66を有するものである。
なお、本発明において対象となる焼結体である切断ブレードの詳細については後述し、以下では、図3に示す焼結型40は、図4に示す切断ブレード60や切断ブレード台金62などの円環状の焼結体を製造するための焼結型であるとして説明する。
このような焼結型40に直接粉末積層体24を積層する場合には、まず、図3(a)に示す焼結型40の固定ダイ44、コア46および下部パンチャー48からなる下側部分を、図1に示す粉末積層体製造装置10において、プレート26の代わりにXYZステージ28上に載置して、粉末積層体の積層形成の準備をする。
そして、上述した図2に示す粉末積層体製造プロセスのステップS10〜S24を行って、図3(a)に示すように、焼結型40の固定ダイ44とコア46と下部パンチャー48とによって形成される凹部に1層目の粉末積層体24を直接積層して作製する。
この時、焼結型40の下部パンチャー48の上面には、積層される粉末積層体24(原料粉末)と下部パンチャー48との離型性を確保するために、積層前に、予め離型剤を塗布しておくのが好ましい。離型剤は、下部パンチャー48の上面のみならず、固定ダイ44とコア46と下部パンチャー48とによって形成される凹部内面全体に塗布しても良い。このような離型剤としては、カーボンスプレーや、粉末状、シート状のカーボン、ボロンナイトライドスプレーや、粉末状、シート状のボロンナイトライドなどを用いることができる。
この後、上述したように、多層粉末積層体形成の場合には、図2のステップS26を経て、N>Nとはならないので、ステップS28からステップS30へ移る。
図2のステップS30において、図3(b)に示すように、焼結型40の下部パンチャー48上に形成された第1層目の粉末積層体24上にスペーサー52を設置する。
この時、スペーサー52の上下両面に、下側の第1層目の粉末積層体24およびこれから積層される上側の第2層の粉末積層体24との離型性を確保するために、積層前に、予め離型剤を塗布しておくのが好ましい。
この後、下部パンチャー48を下げて、固定ダイ44とコア46とスペーサー52とによって、第2層目の粉末積層体24を作製するための凹部(図示せず)を形成する。ここで、上述したように、この凹部内面にも、積層前に、予め離型剤を塗布しておいても良いのはもちろんである。
続いて、図2に示す粉末積層体製造プロセスのステップS14に戻って、ステップS14〜S24を行って、スペーサー52上に連続して第2層目の粉末積層体24を直接積層して作製する。
この後、粉末積層体24の積層数が、最初に設定された積層数Nに達していない場合には、ステップS28においてN>Nとはならないので、ステップS28においてN>Nとなるまで、ステップS30およびステップS14〜S28を繰り返して、下層の粉末積層体24上に離型剤を塗布付したスペーサー52を設置し、下部パンチャー48を下げ、スペーサー52上に連続して上層の粉末積層体24を直接積層する。
こうして、図3(c)に示すように、当初設定されていた積層数N(図示例では5層)の粉末積層体24が連続して積層された多層積層体42が、焼結型40の固定ダイ44とコア46との間、かつ下部パンチャー48上の空間に形成される。
その結果、この場合にも、図2のステップS26を経て、N>Nとなるので、上述したように、粉末積層体製造プロセスを終了し、本発明の焼結体製造プロセスの粉末積層体焼結ステップS32に移る。
なお、粉末積層体製造プロセスの終了時点において、焼結型40の下側部分に、所定積層数Nの多層積層体42が積層されると、下部パンチャー48をさらに下に押し下げて、最上層の粉末積層体24の上側に固定ダイ44とコア46とで形成される凹部空間を形成し、この固定ダイ44とコア46との間の凹部空間に上部パンチャー50を挿入して押圧し、多層積層体42の複数の粉末積層体24を下部パンチャー48と上部パンチャー50との間で保持する。
こうして、多層粉末積層体を形成するための本発明の粉末積層体製造プロセスが終了する。
図3に示す例では、焼結型40内に所定の厚みを持つ複数の粉末積層体24を、その間にセパレーター52を介在させて連続的に積層し、多層積層体42を製造しているが、本発明はこれに限定されず、上述の粉末積層体製造プロセスによって、一旦、1層の粉末積層体24を成形型内で積層し、隣接する粉末積層体24間にセパレーター52を介在させながら、1層ずつ焼結型40内に組み込んで、焼結型40内に多層積層体42を組み込んでも良いし、上述した多層粉末積層体形成のための粉末積層体製造プロセスによって、成形型内に直接多層積層体42を作製して、多層積層体42を成形型から取り出して、一度に焼結型40内に組み込んでも良い。
なお、上移した例では、焼結型や成形型に、複数の粉末積層体からなる多層積層体を作製しているが、1層のみの粉末積層体を作製しても良いのはもちろんである。
ここで、目標とする焼結体が、図4に示す切断ブレード60のように、原料粉末組成が異なる切断ブレード台金62と切断刃64を一体の粉末積層体24として作製する場合には、原料粉末として、例えば切断ブレード台金62に相当する内側の円環状の粉末積層体には、WC粉末とCo粉末との混合粉末(超硬系粉末(WC+5wt%Co))を用いれば良いし、切断刃64に相当する外側の幅の狭い円環状の粉末積層体には、ダイヤモンド砥粒とCo基バインダーとの混合粉末を用いれば良い。
この場合には、図1に示す粉末積層体製造装置10において、2つの乾式原料槽12aおよび12bに加え、さらに2つの乾式原料槽を用意し、4つの乾式原料槽に、それぞれWC粉末、Co粉末、ダイヤモンド砥粒およびCo基バインダーを貯留し、先に、各槽から、WC粉末、Co粉末、分散剤および揮発性溶媒を混合攪拌槽16に投入し、混合攪拌して超硬系粉末の混合スラリーを作製し、噴射ノズル18に投入し、噴射ノズル18から所定の積層パターンで移動されるターゲット(図1のプレート26、または図3の焼結型)に向けて噴射して、切断ブレード台金62に該当する内側の円環状部分に超硬系粉末の粉末積層体を作製した後に、各槽から、ダイヤモンド砥粒、Co基バインダー、分散剤および揮発性溶媒を混合攪拌槽16に投入し、混合攪拌してダイヤモンド砥粒系の混合スラリーを作製し、噴射ノズル18に投入し、噴射ノズル18から噴射して切断刃64に該当する外側の円環状部分にダイヤモンド砥粒系の粉末積層体を作製することができる。
このように、本発明においては、作製する焼結体の構成や構造に応じて、原料粉末組成あるいは種類の異なる混合スラリーを作製し、焼結体の構成や構造に対応するターゲットの領域に、それぞれ対応する混合スラリーを噴射し、加熱・粉体化して積層し、粉末積層体の原料粉末組成あるいは種類を位置に応じて段階的または連続的に変化させても良い。例えば、図4に示す切断ブレード60のように、作製される粉末積層体が円環状または円板状、もしくは角環状または角板状である場合には、原料粉末組成あるいは種類の異なる混合スラリーを作製し、組成や種類が異なる混合スラリーをターゲット(例えば、円形状または角形状)の半径方向あるいは長手方向に対して異なる位置に噴射し、加熱・粉体化して積層し、粉末積層体の原料粉末組成あるいは種類を直径方向に段階的または連続的に変化させるようにしても良い。
なお、図4に示す切断ブレード60のように、原料粉末組成あるいは種類が直径方向に段階的または連続的に変化する円環状または円板状の粉末積層体を作製する場合には、
1種の混合スラリーの噴射パターンを同一円周上になるようにターゲットをXYZ方向に移動して、同一の原料粉末の積層パターンを同一円周上とし、同一円周上に原料粉末を積層後、原料粉末組成あるいは種類の異なる混合スラリーを作製し、半径方向に異なる同一円周上に噴射し、異なる原料粉末を積層することを続け、原料粉末の積層パターンが略同心円となるようにすることができる。
図4に示す切断ブレード60は、切断ブレード台金62の外周に切断刃(いわゆる、外刃)64を有するものであるが、本発明はこれに限定されず、切断ブレード台金62の内側開口66の内周に切断刃(いわゆる、内刃)を有するものであっても良いし、外刃および内刃の両方を有するものであっても良い。
また、本発明において対象とする切断ブレード60の厚みは、5μm〜1000μmであるのが好ましく、より好ましくは、10μm〜500μmであるのが良い。したがって、焼結による緻密化に伴う粉末積層体24の体積減少を20%〜30%であるとすると、このような場合には、形成されるべき粉末積層体24の厚みは、6μm〜1300μmであるのが好ましく、より好ましくは、12μm〜650μmであるのが良い。
この理由は、工業的に厚い積層体の場合には、本発明を用いなくとも、摺り切り方式によるダイスへの粉末積層でも対応することは可能であり、かつ厚い積層体の場合には一般
的に厚さの精度がラフであるからである。
本発明の粉末積層体の製造方法は、基本的に以上のように構成される。
次に、本発明の第の態様の焼結体の製造方法について説明する。
図2において、ステップS10〜S30を含む粉末積層体製造プロセスが終了し、製造された1層の粉末積層体24または多層の粉末積層体は、本発明の焼結体製造プロセスにおいて、ステップS32において焼結処理されて、ステップ34において、焼結体が製造される。
図2のステップS32において、粉末積層体製造プロセスで製造された1層の粉末積層
体24または多層の粉末積層体は、焼結型に組み込まれ、または図3に示す焼結型40に組み込まれた多層積層体42の場合はそのまま、焼結チャンバー( 図示せず) に移され、例えば、焼結チャンバー内が所定の真空度に脱気されて、所定の焼結条件で焼結処理される。
図2のステップS34において、焼結型内の粉末積層体24または多層積層体42は、ステップS32で焼結処理されて焼結体となり、焼結チャンバーから取り出されて、焼結型から焼結体として取り出される。
図5に、本発明の焼結体の製造方法のより好ましい一例である高効率加圧・通電加熱焼結法の概略を示す。ここで、図5は、図3に示す焼結型40に組み込まれた多層積層体42を焼結する高効率加圧・通電加熱焼結法を実施する加圧・通電加熱焼結システムの概略模式図である。
図5に示す加圧・通電加熱焼結システム70において、スペーサー52を両側から挟んで多層に積層された粉末積層体24からなる多層積層体42は、焼結型40の固定ダイ44とコア46との間に組み込まれ、下部パンチャー48と上部パンチャー50との間で加圧される。すなわち、図示しない加圧装置によって、上方から上部パンチャー50に加圧力が付加されると共に、下方から下部パンチャー50に加圧力が付加され、多層積層体42の各粉末積層体24に圧力が加えられる。なお、図5に示す加圧・通電加熱焼結システム70は、所定の焼結チャンバー内に入れられ、焼結チャンバー内が所定の真空度に脱気される。ここで、本発明において、焼結チャンバー内の真空度は、10−1〜10−3 Torrにするのが好ましいが、Ti合金などのように、より酸化の影響を受けやすい場合には10−3 Torrよりさらに高い真空度を要する。この理由は、高温環境下における酸化の影響を極力低下させるためである。
本発明の好ましい焼結法である高効率加圧・通電加熱焼結法では、図5に示す加圧・通電加熱焼結システム70において、多層積層体42を組み込んだ焼結型40、具体的にはその構成部材である固定ダイ44、コア46、下部パンチャー48および上部パンチャー50、さらに、多層積層体42の隣接する粉末積層体24間に介在するスペーサー52やセパレーターを、固有抵抗値が10μΩ・m以上の高い絶縁性を持つ素材で構成する。ここで、このような高絶縁性素材としては、固有抵抗値が10μΩ・m以上の高い絶縁性を持つグラファィト、セラミックスおよび離型剤などを挙げることができる。例えば、高抵抗タイプのグラファイト、ボロンナイトライド、窒化ケイ素、アルミナ、アルミナイトライド、クロムカ−バイドなどを挙げることができる。
このような高い固有抵抗を有する素材製の部材によって構成された焼結型40の下部パンチャー48および上部パンチャー50を、それぞれ通電加熱装置72に接続し、
多層積層体42を加圧している下部パンチャー48および上部パンチャー50に通電加熱装置72により、通電効率を極限まで向上させた状態で通電して、焼結型40内の多層積層体42の複数の粉末積層体24を所定の焼結条件で焼結する。すなわち、通電加熱装置72により、下部パンチャー48と上部パンチャー50との間で所定の圧力に加圧された多層積層体42の複数の粉末積層体24を所定の温度で所定時間加熱して焼結する。
この高効率加圧・通電加熱焼結法においては、通電加熱装置72の2次側の出力電圧が2V以上であることが好ましい。また、適用される焼結条件としては、例えば、超硬系粉末(WC+5wt%Co)を用い、多層積層体42として5層積層体(5枚の粉末積層体24)を焼結する場合には、焼結温度1150℃、焼結圧力50MPa、焼結時間20分とすることができるが、これらの焼結条件は、粉末積層体24の材質(原料粉末の組成や種類)や形状や寸法(特に厚み)、粉末積層体24の枚数、焼結型40やスペーサー52やセパレーターや離型剤の素材などに応じて適宜選択すれば良い。
ここで、適用可能な結温度としては、例えば、1000℃〜1250℃であるのが好ましく、より好ましくは、1120℃〜1170℃であるのが良い。また、適用可能な焼結圧力として、例えば、25MPa〜70MPaであるのが好ましく、より好ましくは45MPa〜55MPaであるのが良い。さらに適用可能な焼結時間としては、例えば、3分〜60分であるのが好ましいが、より好ましくは15分〜25分であるのが良い。適用可能な電流は500A〜10000Aであるが、より好ましくは3000A〜5000Aである。
この理由は、本発明に至る過程で鋭意検討を加えた結果、この範囲内で通電加熱焼結を実施すると、焼結効率を高く維持することが可能であると共に、得られる焼結体のダメ−ジを極力防止できることが判明したからである。
こうして、焼結型40内の多層積層体42の複数の粉末積層体24を焼結し、焼結体、例えば、図4に示す切断ブレード台金62あるいは切断ブレード60などの薄板状の焼結体を製造することができる。こうして製造された焼結体は、焼結型40を焼結チャンバー内から取り出した後、焼結型40の上部または下部パンチャー50または48を取り外して、多層焼結体を取り出し、複数の焼結体に分離することにより、得ることができる。
こうして得られる焼結体の厚みは、上述したように、特に制限的ではないが、薄い焼結体の場合には、5μm以上の厚さであるのが好ましく、より好ましくは10μm以上の厚さであるのが良く、厚い積層体の場合は1000μm以下の厚さであるのが好ましく、より好ましくは500μm以下の厚さであるが良い。また、こうして得られる焼結体の厚みの精度は、目標とする厚みに対して±30%以下であるのが好ましい。この理由は、特に、薄物の焼結体とする場合には、焼結後における後処理として、研削加工が不可欠となり、この処理により製造時間の長期化が避けられなくなると共に、焼結体に対して反りや割れなどのダメ−ジを生じる可能性が極めて高くなるからである。
なお、切断ブレード60のような焼結体を作成する場合には、上述したように、切断ブレード台金62に相当する部分と切断刃64に相当する部分とにおいて、それぞれ組成の異なる原料粉末、例えば、WCおよびCoの混合粉末と、ダイヤモンド砥粒およびCo基バインダーの混合粉末とを積層した粉末積層体を焼結して、切断ブレード60のような焼結体を作製しているが、本発明はこれに限定されず、焼結体として得られた切断ブレード台金62を焼結型40などにセットし、この切断ブレード台金62の外周近傍にダイヤモンド砥粒およびCo基バインダーの混合粉末(複合材料)を所定の幅および厚さで積層し、得られた積層体を、図5に示す加圧・通電加熱焼結システム70によって、上述した高効率加圧・通電加熱焼結法を実施して焼結することにより、切断ブレード60などのような焼結体を作成することもできる。
本発明の焼結体の製造方法は、基本的に以上のように構成される。
次に、本発明の第の態様の焼結体の製造システムについて説明する。
図6に、本発明の焼結体の製造システムの一実施形態である連続生産システムを示す。ここで、図6(a)は、焼結体の連続生産システムの製造プロセスの流れを示す流れ図であり、図6(b)は、図6(a) に示す製造プロセスの流れをシステム構成の変化で示す説明図である。
本発明の焼結体の連続生産システムにおいては、まず、図6(a)のダイスセットステップS50では、図6(b)のシステム構成C50に示すように、固定ダイ44、下部パンチャー48および下部パンチャー48を移動可能に支持する支持手段54を備える焼結型40の下側部分が、例えば、図1に示す粉末積層体製造装置10のプレート26の代わりに、XYZ ステージ28上の所定に位置にセットされる。
次に、図6(a)の粉末積層ステップS52では、図1に示す粉末積層体製造装置10において、図2に示すステップS10〜S24が実施され、図6(b)のシステム構成C52に示すように、噴射ノズル18から混合スラリーが噴射され、焼結型40の下部パンチャー48の、離型剤が塗布された上面(凹部上面)上に1層の粉末積層体24が積層される。
続いて、図6(a)のスペーサー設置ステップS54では、同様に、図2に示すステップS26〜S30が実施され、図6(b)のシステム構成C54に示すように、焼結型40の下部パンチャー48上に積層された粉末積層体24の上に離型剤が塗布されたスペーサー52が設置される。
次に、図6(a)の多数枚充填ステップS56では、粉末積層ステップS52およびスペーサー設置ステップS54が繰り返され、図6(b)のシステム構成C56に示すように、焼結型40の下部パンチャー48上に、隣接する粉末積層体24間にスペーサー52が介在する複数(図中3枚)の粉末積層体24からなる多層積層体42が作製され、最上層(図中第3層)の粉末積層体24が積層された後、その上に上部パンチャー50が嵌め込まれて、焼結型40内への多層積層体42の充填が終了する。
続いて、図6(a)の高効率加圧・通電加熱ステップS58では、図6(b)のシステム構成C58に示すように、多層積層体42が充填された焼結型40が、真空チャンバー74に装填され、図5に示す加圧・通電加熱焼結システム70が構成されて上部および下部パンチャー50および48間に所定加圧力が付加され、真空チャンバー74内が所定の真空度に設定される。この後、加圧・通電加熱焼結システム70において、上述した高効率加圧・通電加熱焼結法が実施され、すなわち図2に示すステップ32および34が実施され、所定の加圧力で加圧された多層積層体42の複数の粉末積層体24が、通電加熱装置72により所定の所定の焼結条件で加熱焼結される。
最後に、図6(a)の離型・製品出荷ステップS60では、真空チャンバー74をダイ気圧に戻し、焼結型40を取り出し、上部および下部パンチャー50および48の少なくとも一方を取り外して、焼結型40から多層積層体42が焼結された多層焼結体を取り出し、個々の焼結体に離型して分離する。なお、加圧・通電加熱焼結装置の作業効率を極限まで上げるために、装置の前部および後部に対して真空予備室を設置し、焼結終了後において焼結を完了したダイスを直ちに後部の予備室に移動させ、離型可能な200℃程度まで冷却させ、一方、前部の真空予備室から新しい焼結前のダイスを装置にセットすることを繰り返すことも可能である。
こうして、図6(b)のシステム構成C60に示すように、粉末積層体24が焼結された切断ブレード台金62または切断ブレード60などの焼結体が得られる。こうして得られた切断ブレード台金62または切断ブレード60などの焼結体は、検査後、製品として出荷される。
このように、本発明においては、上述したステップS50〜S60を連続して実施することができるので、この粉末積層体を焼結型内に一層あるいはセパレーターを介して複数層積層し、成形、焼結を行うことにより、反りや欠陥のない切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの高精度な焼結体を多数枚、連続的に歩留り良く作製することができる
本発明の焼結体の製造システムは、基本的に以上のように構成される。
以下に、本発明の粉末積層体の製造方法、焼結体の製造方法および焼結体の製造システムを、実施例を挙げて具体的に説明する。
以下では、本発明の実施例として、高剛性の素材の作製が可能である超硬系粉末(WC+5wt%Co)を用い、外径φ120mm×内径φ40mm×厚さ0.3mmの切断ブレード台金を作製した代表例にとり、実施例と比較例とを挙げて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)1層積層体
焼結による緻密化に伴う体積減少を20%と見込み、図1に示す改良を施した粉末積層体作製装置10を用いて、外径φ120mm×内径φ40mm×厚さ0.375mmの粉末積層体24を作製した。粉末積層体作製装置10からの原料粉末供給は、乾式の原料粉末とエタノール溶媒を、それぞれコンピューター制御装置34により自動的に計量し、それらを噴射ノズル18の直上に設置した混合攪拌槽16の中で混合攪拌してスラリー状態とした。スラリー状となった原料粉末は、噴射ノズル18から噴射された後、管状型のヒーター22内を通過する間に、エタノール溶媒分が完全に揮発し、乾燥した原料粉末のみがグラファイト製焼結型40(焼結ダイス44)(外径φ120mm×内径φ40mm×高さ150mm)内に設置した下部パンチャー48上に積層して行き、最終的に0.375mm厚さ分だけ超音波変位センサー32を用いて粉末積層体24の厚さを計測しながら噴射制御した結果、平均厚さは0.370mmとなった。その結果を図7に示す。
なお、下部パンチャー48の上面には、原料粉末と下部パンチャーとの離型性を確保するために、カーボンスプレーを予め塗布した。また、所定の厚さの積層後に、必要以上の原料粉末が積層されない様に、噴射ノズル18の直下に原料粉末の噴射を瞬時に止めるシャッター20が設置された。さらに、積層場所による厚さのバラツキを極力防止するため、噴射ノズル18からの粒子噴射プロファイルに基づき、コンピューター制御装置34によりグラファイト製ダイス44を設置しているXYZステージ28をコンピューター制御装置34により、自動的に調整して、粒子噴射分布が最適となる様に、XY軸方向と共にZ軸方向に対しても制御を行い、噴射ノズル18とターゲット(プレート24)と間の距離を完全に最適化した。これにより、当該粉末積層体を最終的に作製するのに必要な時間は約5分であった。
(比較例1)1層積層体
実施例1と同一の原料粉末とグラファイト製ダイス44を用いて、図11に示す超音波ノズルを用いた既存の粒子噴射装置(特許文献1参照)により、φ120mm×φ40mm×0.375mm厚の粉末積層体をグラファイト製ダイス44(焼結型40)(φ120mm×φ40mm×150mm)内に設置した下部パンチャー48上に作製した。その結果、原料粉末の比重が極めて重いことから、原料供給パス内で閉塞を起こし、原料噴射の安定性が極めて悪かった。
また、積層体の厚さの制御を噴射時間で管理しているため、所定の厚さ通りの粉末積層体を得ることができず、平均的な積層体の厚さが設定値より厚い0.5mm程度にまでなった(図7参照)。
さらに、原料供給を停止するためのシャッター118が噴射ノズル114の上部に設置されているため、原料噴射が不要になっても噴射ノズル内に溜まっていた原料粉末が完全に消失されるまで噴射が継続した。噴射ノズル114とターゲット112との間に設置したセラミックスヒーター116が管状型でないため、スラリー状となった原料粉末の乾燥が不完全であったため、ダイス44内壁の一部に付着を起こし、粉末積層体の形状にダメージを与えていた。グラファイト製ダイス44を設置しているステージがZ軸の移動に対応していないことに起因して、超音波ノズル114とターゲット112との間の距離を制御できないため、積層体の場所による厚さムラが発生した。これにより、原料粉末の噴射が不安定であったことなども影響して、当該粉末積層体を最終的に作製するのに必要な時間は約60分であった。
(実施例2)5層積層体
実施例1に示した1層積層体24の作製をベースとして、図3に示したように、グラファイト製ダイス44(φ120mm×φ40mm×150mm)内への多数枚積層を実施した。実施例1と同様にダイス44内に1枚目の0.375mm厚の積層体24を積層後、下部パンチャー48の上面を約1mm下げ、0.5mm厚のグラファイトスペーサー52(両面にカーボンスプレー塗布済)を設置後に2枚目を積層した。これを繰り返すことにより、5枚の0.375mm厚の粉末積層体24をダイス44内に積層し、上部パンチャー50を組み込んだ。積層後にそれぞれの粉末積層体24の厚さを測定した結果、0.36mmから0.37mmの範囲内に入っていた(図8参照)。また、ダイス44やパンチャー48および50、スペーサー52などへの原料粉末の付着は認められなかった。なお、一連の作業に要した時間は約30分であった。
(比較例2)5層積層体
比較例1に示した1層積層体の作製をベースとして、グラファイト製ダイス(φ120mm×φ40mm×150mm)内への多数枚積層を実施した。比較例1と同様にダイス内に1枚目の0.375mm厚の積層体を積層後、下部パンチャーの上面を約1mm下げ、0.5mm厚のグラファイトスペーサー(両面にカーボンスプレー塗布済)を設置後に2枚目を積層した。これを繰り返すことにより、5枚の0.375mm厚の粉末積層体をダイス内に積層し、上部パンチャーを組み込んだ。積層後にそれぞれの積層体の厚さを測定した結果、0.26mmから0.65mmの範囲内に入っていた(図8参照)。また、ダイスやパンチャー、スペーサーなどへの原料粉末の付着ならびに積層体の欠陥が随所に認められた。なお、一連の作業に要した時間は約100分であった。
(実施例3)1層積層体の焼結
実施例1により作製した1層の積層体24の焼結を行うことにより、切断ブレード用台金の作製を行った。焼結には焼結効率が高い加圧・通電加熱焼結をベースとし、図5に示したように、新たに見出したさらに通電効率を上げた高効率加圧・通電加熱焼結法を用いた。具体的には、グラファイト製ダイス44ならびにパンチャー48および50、上下スペーサー52に対して、いずれも固有抵抗値が通常より高い10μΩ・mを有した材質を選定し、1150℃−10min、50MPaの焼結条件下で焼結を行った。その結果、2次側の最高電圧値が8V、最高電流値が3000Aとなり、得られた焼結体の直径方向における厚さムラは0.31mmから0.32mm(平均0.305mm)(図9参照)で、目標とする厚さとなった。さらに、焼結ムラを判定するために測定した直径方向におけるロックウェル硬度値(HRA)の絶対値は、平均すると91と高く、そのバラツキは88から93と極めて小さく(図10参照)、この焼結体は、切断ブレード用台金として最適であることが判明した。また、上下パンチャー59および48やダイス44の内壁などへの焼結体の貼り付きはなく、離型性も極めて良好であった。
(比較例3)1層積層体の焼結
比較例1により作製した1層の積層体焼結を行うことにより、切断ブレード用台金の作製を行った。焼結には通常の加圧・通電加熱焼結法を用い、焼結に使用するダイス類などの固有抵抗値は、通常の低い素材(0.1μΩ・mの汎用タイプのグラファィト)を用いた。焼結は1150℃−10min、50MPaの条件下で行った。その結果、2次側の最高電圧値が4V、最高電流値が7000Aとなり、実施例3の結果と比較すると通電効率が非常に悪いことが判明した。また、得られた焼結体の直径方向における厚さムラは0.24mmから0.65mm(平均0.405mm)(図9参照)で、目標とする厚さの0.3mm厚の焼結体を得ることができなかった。さらに焼結ムラを判定するために測定した直径方向におけるロックウェル硬度値(HRA)の絶対値は71と低く、そのバラツキは53から89と極めて大きく(図10参照)、この焼結体は、切断ブレード用台金として不適であることが判明した。一方、上下パンチャーやダイス内壁などへの焼結体の貼り付きが見られ、離型性は良好であるとは言えなかった。
(実施例4)5層積層体の焼結
実施例2により作製した5層の多層積層体42の焼結を行うことにより、切断ブレード用台金の多数枚作製を行った。焼結には実施例3と同様に通電効率を上げた焼結効率が高い加圧・通電加熱焼結を用い、焼結に使用するダイス類などの固有抵抗値も実施例3と同様の高い数値のものを選定した。焼結は1150℃−20min、50MPaの条件下で行った。その結果、2次側の最高電圧値が8V、最高電流値が3500Aとなり、得られた5枚の焼結体の直径方向における厚さムラは0.305mmから0.325mm(平均0.309mm)で、目標とする厚さとなり、さらに5枚の焼結体間の焼結ムラを判定するために測定した直径方向におけるロックウェル硬度値(HRA)の絶対値は、平均すると90と高く、そのバラツキは89から93と極めて小さく、これらの焼結体は、切断ブレード用台金として最適であることが判明した。また、上下パンチャー50および48やダイス44の内壁などへの焼結体の張り付き、ならびに焼結体同士の張り付きはなく、離型性も極めて良好であった。
(比較例4)5層積層体の焼結
比較例2により作製した5層の積層体の焼結を行うことにより、切断ブレード用台金の作製を行った。焼結には通常の加圧・通電加熱焼結法を用いたが、焼結に使用するダイス類などの固有抵抗値は、比較例3と同様に、通常の低い素材を用いた。焼結は1150℃−20min、50MPaの条件下で行った。その結果、2次側の最高電圧値が4V、最高電流値が7500Aとなり、実施例4の結果と比較すると通電効率が悪いことが判明した。また、また、得られた5枚の焼結体の直径方向における厚さムラは0.20mmから0.69mm(平均0.495mm)で、目標とする厚さの0.3mm厚の焼結体を得ることができなかった。さらに5枚の焼結体間の焼結ムラを判定するために測定した直径方向におけるロックウェル硬度値(HRA)の絶対値刃69と低く、そのバラツキは49から78と極めて大きく、これらの焼結体は切断ブレード用台金として不適であることが判明した。一方、上下パンチャーやダイス内壁などへの焼結体の貼り付きが見られ、離型性は良好であるとは言えなかった。
(実施例5)焼結体への切断刃の固定
実施例1と同様の手法により、超硬系材料製粉末積層体24の外側に対して、3.5mmの幅で切断刃の成分(Co基バインダーとダイヤモンド砥粒との複合材)を積層し、実施例3と同一の焼結条件下で焼結した結果、後加工で切断刃をつけることなく一度の処理により0.305mm厚の超硬性ダイヤモンドブレード60を作製することができた。
(比較例5)焼結体への切断刃の固定
比較例1と同様の手法により、超硬系材料製粉末積層体24の外側に対して、3.5mmの幅で切断刃の成分(Co基バインダーとダイヤモンド砥粒との複合材)を積層し、比較例3と同一の焼結条件下で焼結した結果、切断刃の幅が不均一で、かつ台金と切断刃との境界部に対して欠陥が発生していると共に、切断ブレード台金の厚さムラがあるため、切断ブレードとして不適であることが判明した。
(比較例6)バインダー添加による予備成型体からの台金の作製
原料粉末としての超硬粉末(WC+5wt%Co)に対して、20vol%のバインダー(PVA)を混合攪拌し、すり切り法により成形型(φ120mm×φ40mm×100mm)の中に充填した後、20MPaの成形圧力を負荷し、離型することにより5mm厚の予備成形体を作製した。その後、この予備成形体をグラファイト製焼結型(φ120mm×φ40mm×150mm)の中にセットし、成形体面に接触する側のパンチャー面に対してカーボンスプレーを塗布したのち、上下パンチャーを設置し、ホットプレス装置により1200℃−60min、50MPaの条件にて焼結を行った。この結果、焼結時においてバインダー(PVA)を昇華させるための3時間の低温処理が不可欠であり、生産プロセスの長時間化が避けられず、さらに、真空系統に昇華したバインダーが付着することにより、極めて短時間のうちに真空度の低下が発生することが判明した。焼結後プロセス後の焼結体は、比較例3と比べると、厚さムラが0.25mmから0.48mmであり、焼結ムラを判定するために測定したロックウェル硬度値(HRA)の絶対値は、65と低く、そのバラツキが50から79と大きく、切断ブレード台金としては不適であることが分かった。
上述した実施例および比較例の比較結果により、本発明の効果は明らかである。
なお、図6に示した様に、実施例1〜2と、実施例3〜5を組み合わせたシステムを構築して、一貫した連続生産システムを用いることにより、図4に示した切断ブレード台金62と切断ブレード60とを連続的に大量に生産することが可能であることがわかった。
また、実施例3で作製した切断ブレ−ド台金62を焼結型40の中にセットし、その切断ブレ−ド台金62の周辺に対して3.5mmの幅で切断刃64の成分(例えばCo基バインダ−とダイヤモンド砥粒との複合材)を図1に示した改良型の粉末積層体装置10を用いて積層し、これを高効率加圧・通電加熱焼結法を用いて焼結を行うことにより、ダイヤモンドブレ−ド60を作製することも可能である。
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明の粉末積層体の製造方法、焼結体の製造方法および焼結体の製造システムについて種々の実施形態および実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
以上詳述したように、本発明によれば、厚さや材種に依存しないで均一な粉末積層体を高速に作製することができ、この粉末積層体をさらに焼結することにより、厚さや材種に依存せずに、特に厚さが薄くても反りや欠陥のない高精度な切断ブレード台金あるいは切断ブレードを多数枚、連続的に歩留り良く作製することが初めて可能となり、産業上その利用価値は極めて高い。
したがって、本発明の粉末積層体の製造方法、焼結体の製造方法および焼結体の製造システムは、それぞれ、厚さや材種に依存しないで均一な粉末積層体を高速にかつ歩留まり良く作製する用途、厚さや材種に依存せずに、特に厚さが薄くても反りや欠陥のない高精度な切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの焼結体の製造の用途、およびこのような切断ブレード台金あるいは切断ブレードなどの薄板状の焼結体を多数枚、連続的に歩留り良く作製する用途に適用できる。
本発明の粉末積層体の製造方法を実施する粉末積層体作製装置の一実施形態の概略構成を示す模式的な斜視図である。 本発明の粉末積層体の製造方法および焼結体の製造方法を示す製造プロセスの一例のフローチャートである。 (a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の粉末積層体の製造方法の他の実施形態である多数枚積層プロセスの概略を示す構成図である。 本発明の焼結体の製造方法および製造システムで製造される切断ブレードの一実施形態の概略正面図である。 本発明の焼結体の製造方法の一実施形態の高効率加圧・通電加熱焼結法の概略を示す模式的断面図である。 本発明の焼結体の製造システムの一実施形態の連続生産システムを説明するための概略説明図であり、(a)は、焼結体の連続生産システムの製造プロセスの流れを示す流れ図であり、(b)は、(a)に示す製造プロセスの流れをシステム構成の変化で示す説明図である。 本発明の実施例1および比較例1による1層粉末積層体の厚さのバラツキを示すグラフである。 本発明の実施例2および比較例2における多層(5層)粉末積層体の厚さのバラツキを示すグラフである。 本発明の実施例3および比較例3において焼結した切断ブレード台金の厚さのバラツキを示すグラフである。 本発明の実施例3および比較例3において焼結した切断ブレード台金の硬さのバラツキを示すグラフである。 従来の粉末積層体作製装置の概略構成図である。
符号の説明
10 粉末積層体製造装置
12a,12b 乾式原料槽
12c 分散剤槽
12d 揮発性溶媒槽
14a,14b,14c,14d 計量フィーダー
16 混合攪拌槽
18 噴射ノズル
20 シャッター
22 管状セラミックスヒーター
24 粉体積層体
26 プレート
28 XYZステージ
30 3次元駆動装置
32 超音波変位センサー
34 コンピュータ(PC)制御装置
40 焼結型
42 多層積層体
44 固定ダイ
46 コア
48 下部パンチャー
50 上部パンチャー
52 スペーサー
60 切断ブレード
62 切断ブレード台金
64 切断刃
66 円形開口
70 加圧・通電加熱焼結システム
72 通電加熱装置
74 真空チャンバー

Claims (16)

  1. 原料粉末および溶媒をそれぞれ所定量ずつ計量し、
    この計量された前記原料粉末と前記溶媒とを噴射ノズル直上混合攪拌して前記原料粉末を前記溶媒中に分散させた種類の異なるスラリーを少なくとも2種類以上作製した後、
    前記噴射ノズルにより上方から、所定の積層パターンに応じて相対的に移動されるプレート上、成形型内あるいは焼結型内のターゲットの領域毎にそれぞれ対応する前記スラリーを噴射し、
    前記噴射されたスラリーを噴射後途中で加熱して強制乾燥し、前記ターゲット到達前に粉体化し前記ターゲット上に、前記原料粉末の組成あるいは種類が自身の面方向の位置に応じて段階的または連続的に変化し、かつ、所定の厚みを持つ粉末積層体を製造する粉末積層体の製造方法であって、
    前記スラリーは、前記ターゲット上に配置された筒状カバーの内部空間内に噴射され、
    前記噴射されたスラリーは、前記筒状カバーの内部空間内において加熱されて前記粉体化され、
    前記積層パターンは、前記噴射ノズルと前記ターゲットとの相対的な3次元位置パターンであり、
    前記粉末積層体の厚みが計測され、計測された前記粉末積層体の厚みに応じて前記噴射パターンが制御されることを特徴とする粉末積層体の製造方法。
  2. 前記粉末積層体の厚みは、超音波変位センサーで計測され、
    前記積層パターンは、前記粉末積層体の厚みが±30%以下の精度となるように、フィードバック制御される請求項1に記載の粉末積層体の製造方法。
  3. 前記筒状カバーは、管状ヒーターである請求項1または2に記載の粉末積層体の製造方法。
  4. 前記ターゲットおよび前記粉末積層体が、円形状または角形状であり、
    前記ターゲットの領域毎にそれぞれ対応する前記スラリーを噴射するために、前記スラリーを前記ターゲットの半径方向あるいは長手方向に対して異なる位置に向けて噴射して、加熱・粉体化した後、前記ターゲット上に、前記原料粉末の組成あるいは種類が直径方向あるいは長手方向に変化した粉末積層体を製造する請求項1〜3のいずれかに記載の粉末積層体の製造方法。
  5. 前記スラリーは、前記粉末積層体が毎分0.5μm/cm以上の速度で積層されるように噴射される請求項1〜4のいずれかに記載の粉末積層体の製造方法。
  6. 前記所定の厚みを持つ粉末積層体を前記成形型内または焼結型内の前記ターゲットに1層積層した後、この1層目の前記粉末積層体上にスペーサー、セパレーターあるいは離型剤を介在させた後、このスペーサー、セパレーターあるいは離型剤の上に、同一のまたは異なるスラリーを噴射し、加熱・粉体化して積層して、次の1層の粉末積層体を連続的に製造して、前記粉末積層体の厚さ方向に対して2以上の前記粉末積層体を連続的に製造する請求項1〜5のいずれかに記載の粉末積層体の製造方法。
  7. 前記原料粉末が、金属、セラミックスまたは樹脂、あるいはそれらの複合材である請求項1〜6のいずれかに記載の粉末積層体の製造方法。
  8. 原料粉末および溶媒をそれぞれ所定量ずつ計量する計量フィーダーと、
    この計量された前記原料粉末と前記溶媒とを混合攪拌して前記原料粉末を前記溶媒中に分散させたスラリーを作製する混合攪拌槽と、
    前記混合攪拌槽の直下に位置し、前記混合攪拌槽で作製したスラリーをプレート上、成形型内あるいは焼結型内のターゲットに向けて噴射する噴射ノズルと、
    前記ターゲットの位置を3次元方向に移動可能なステージと、
    前記ターゲット上に配置され、前記噴射ノズルから前記スラリーが内部空間内に噴射され、かつ、前記内部空間内において、前記スラリーを加熱して強制乾燥することにより、前記スラリーを前記ターゲット到達前に粉体化する筒状カバーと、
    前記ターゲット上に積層される粉末積層体の厚みを計測し、計測した前記粉末積層体の厚みに応じて前記噴射パターンを制御するフィードバック制御装置と、
    で構成され、
    前記ステージを3次元方向に移動させて、前記ターゲットと前記噴射ノズルとの相対的な3次元位置パターンを変化させることにより、前記噴射ノズルが前記ターゲットの領域毎に前記混合攪拌槽において作製された異なる種類のスラリーをそれぞれ噴射することを可能にし、前記ターゲット上に、前記原料粉末の組成あるいは種類が自身の面方向の位置に応じて段階的または連続的に変化し、かつ、所定の厚みを持つ粉末積層体を製造することを特徴とする粉末積層体の製造装置。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の粉末積層体の製造方法によって、あるいは、請求項8に記載の粉末積層体の製造装置によって製造された1以上の前記粉末積層体を組み込んだ前記焼結型を焼結室内に配置し、所定の焼結法を用いて焼結して1以上の焼結体を製造することを特徴とする焼結体の製造方法。
  10. 前記焼結体が、薄板状の切断ブレード台金または切断ブレードである請求項に記載の焼結体の製造方法。
  11. 前記焼結法が、加圧・通電加熱焼結法である請求項または10に記載の焼結体の製造方法。
  12. 前記加圧・通電加熱焼結法は、前記焼結型、前記焼結型に組み込まれた前記粉末積層体間に介在するセパレーター、および前記粉末積層体に配置される上下スペーサーの少なくとも1種類に対して、固有抵抗10μΩ・m以上の高い絶縁性を持つグラファィト、セラミックスおよび離型剤の少なくとも1種類以上を用いて前記焼結型内に組み込まれた1以上の前記粉末積層体を焼結する高効率加圧・通電加熱焼結法である請求項11に記載の焼結体の製造方法。
  13. 前記加圧・通電加熱焼結法において、通電時における2次側出力電圧が2V以上である請求項11または12に記載の焼結体の製造方法。
  14. 前記焼結体の厚さの精度が、±30%以下である請求項9〜13のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
  15. 前記焼結体の厚さが、5μm以上である請求項9〜14のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
  16. 切断ブレード台金あるいは切断ブレードを製造するための粉末積層体を、請求項1〜7のいずれかに記載の粉末積層体の製造方法、あるいは、請求項8に記載の粉末積層体の製造装置によって製造した後、連続して、製造された粉末積層体を、請求項9〜15のいずれかに記載の焼結体の製造方法で焼結して、前記粉末積層体の粉末積層から前記焼結体の焼結までを連続的に行って、前記切断ブレード台金あるいは前記切断ブレードを製造することを特徴とする焼結体の製造システム。
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