JP6409852B2 - 不定形耐火物の湿式吹付施工方法 - Google Patents
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Description
1)凝集反応が適度なスピードで起こり、施工体表面がウエットな状態であり、層状になりにくく、接着率が高いこと;
2)施工体が脱落しない程度の強度を得るまでの時間を短縮するため、セメント硬化反応が出来る限り早く起こること。
また、特許文献2には、高炉を休風して炉内側の炉壁耐火物の損傷部分に耐火物を吹付け補修する方法において、最大粒径が5.0mm以下で、かつ、0.075mm以下の粒子を25%以上含有する粒度構成の耐火組成物に、耐火組成物に対して所定割合の分散剤を加えて予め均一に混練しておき、このスラリー状の不定形耐火物をノズルまで圧送した後、ノズル部において硬化促進剤を添加し、高圧の気体と共に吹付けることを特徴とする高炉炉壁の熱間補修方法(請求項1)が開示されており、更に、[0030]段落には、硬化促進剤として、アルミン酸カリウム、珪酸ソーダ、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、硫酸、硫酸塩、硝酸塩、炭酸ソーダ、炭酸カリウム、リチウム塩等が採用されることが記載されている。
更に、特許文献3には、粗粒ないし超微粉に粒度調整された耐火性骨材及び耐火性微粉より構成される耐火性原料、12CaO・7Al2O3を実質上含まないアルミナセメント、及びアクリル酸、カルボン酸またはフェノールスルホン酸の誘導体、縮合体、重合体及び共重合体を主成分とする水溶性高分子化合物の1種または2種以上を耐火性原料100質量%に対して外掛で0.01〜0.5質量%含有してなるキャスタブル粉末に所定量の水を混練して得られたキャスタブル混練物を圧送機にて吹付ノズルへ圧送し、吹付ノズルにて圧搾空気と共にリチウム塩溶液を添加して吹付け施工することを特徴とする湿式吹付け用不定形耐火物の施工方法(請求項3)が開示されている。
また、特許文献4の方法において、乳酸アルミニウムはセメントの水和反応を阻害する作用があるため、乳酸アルミニウムを添加した吹付材よりなる施工体は最終強度が得られるまでに長い時間を必要とし、施工後短時間で傾動や移動を行わなければならない場合には、十分な施工体強度が得られず、傾動または輸送を行うと施工体が落下するなど危険性がある。また、セメントを使用せず、乳酸アルミニウムと凝結剤とのゲル化反応のみで硬化させた施工体の最終強度もまた、施工後短時間で傾動や移動を行わなければならない場合には、不十分である。このような理由から施工体に十分な強度が得られるまで養生を行う必要があり、工事時間が長くなったり、また、施工体の最終強度が不足するなどの欠点がある。
更に、特許文献5では、12CaO・7Al2O3を含むアルミナセメントを使用しているため、強度発現性には優れるものの、作業可能時間が短くなるため、搬送ホース内で湿式吹付け材料が硬化してホース内閉塞が生じる場合があり、特に、施工時の温度が高い夏場には、このような問題は顕著となる。また、凝集反応が早く起きやすいため、接着率低下および層状の施工体が生ずるなどの問題もある。
また、特許文献6のリチウム塩を含有する消石灰スラリー系急結剤(凝結剤)では、リチウム塩を含有する消石灰スラリーにおける固体粒子の沈降、粘性の上昇などの問題により、凝結剤搬送ホース内で凝結剤の凝集反応が始まり、ホース内閉塞が生じる場合がある。また、凝集反応が早く起きやすいため、接着率低下および層状の施工体が生ずるなどの問題もある。また、スラリー状の凝結剤は、液状の凝結剤に比べて添加時に均一に混合し難く、施工体の品質が均一になり難いという問題もある。
本発明の不定形耐火物の湿式吹付施工方法は、粗粒(例えば、粒径1〜5mm程度)ないし超微粉(例えば、5μm以下程度)に粒度調整された耐火性骨材および耐火性微粉より構成される耐火性原料およびアルミナセメントからなる耐火組成物並びに分散剤を含有してなるキャスタブル粉末に、所定量の水を混練して得られたキャスタブル混練物を圧送機にて吹付ノズルへ圧送し、吹付ノズルにて圧搾空気と共に凝結剤を添加して吹付け施工することからなるものである。
ここで、本発明の不定形耐火物の湿式吹付施工方法に使用されるキャスタブル粉体を構成する耐火性原料の耐火性骨材および耐火性微粉としては、溶融金属容器、溶融金属処理装置、セメントキルンなどの耐火材料として適当ないずれのものでもよく、例えば、電融または焼結アルミナ、仮焼アルミナ、ボーキサイト、電融、合成または焼結ムライト、シリマナイト、アンダリューサイト、カイヤナイト、バン土頁岩、シャモット、蝋石、溶融シリカ、超微粉シリカ、耐火粘土、電融または焼結マグネシア、電融または焼結スピネル、電融または焼結ジルコニア、ジルコン、クロム鉱、電融または焼結マグネシア−ライム、電融ジルコニア−ムライト、電融アルミナ−ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素、天然または人造黒鉛、石油コークス、ピッチコークス、無煙炭、フェノール樹脂、ピッチ等などを挙げることができ、これらを単独で使用するか、これらの2種以上を併用することができる。なお、耐火性原料の配合割合は、85〜99質量%、好ましくは88〜98質量%の範囲内である。
以下の表1および2に実施例を、表3に比較例をそれぞれ示す。
電融アルミナは、Al2O3純度が96質量%品である;
シャモットは、Al2O3純度が58質量%品である;
炭化珪素は、SiC純度が87質量%品である;
蝋石は、SiO2含有量が79質量%品である;
ヒュームドシリカは、SiO2純度99.4質量%品である;
仮焼アルミは、Al2O3純度99.8質量%、平均粒度10μm品である;
アルミナセメントAは、Al2O350質量%、CaO34質量%、SiO23質量%品である;
アルミナセメントBは、Al2O370質量%、CaO26質量%品である;
アルミナセメントC、Al2O378質量%、CaO18質量%品である;
アルミナセメントDは、Al2O370質量%、CaO26質量%、鉱物相として12CaO・7Al2O3含有品である;
珪酸リチウム溶液(P)は、SiO2含有量20質量%、SiO2/Li2Oモル比3.5の水溶液である;
珪酸ソーダ溶液(Q)は、SiO2含有量36質量%、SiO2/Na2Oモル比2.1の1号珪酸ソーダ溶液である;
珪酸カリウム溶液は、SiO2含有量30質量%、SiO2/K2Oモル比が2.2の水溶液である;
リチウム塩含有消石灰スラリーは、SiO2含有量15質量%、SiO2/Li2Oモル比が3.5の水溶液に、消石灰を20質量%含有するものである。
・「材料付着率(%)」は、以下のように評価した。すなわち、表に従って調製、混練したキャスタブル混練物をダブルピストンポンプを用い、4000kg/時間の速度で湿式吹付ノズルに圧送し、ノスル先端で凝結剤を混合して垂直壁に吹付けた。吹付け量は50kgで、吹付け後,リバウンドした材料を回収して質量を測定し、接着率を測定した。付着率は高いほど好ましく、付着率が80%を超えるものを好ましいと判断した;
・「吹付け後1時間養生後の曲げ強さ(MPa)」は、以下のように測定した。まず、40×40×160mmの金型内に、湿式吹付けによって吹付け施工体を得た。吹付け後、施工体を金枠から取り出し、常温、室内で1時間養生した。1時間養生後、JIS R 2521の耐火物用アルミナセメントの物理試験方法になるミハリエス二重てこ型曲げ強さ試験装置を用いて、曲げ強度を測定した。n=3で測定し、平均値を曲げ強度とした;
・「可使時間(時間)」は、以下のように測定した。まず、表に従って万能混練機を用いて水添加後を3分間混練して混練物を得、次に、ビニール袋内で室温にて保管し、混練物のタップフロー値を、JIS R 2521の耐火物用アルミナセメントの物理試験方法になるフローテーブルおよびフローコーンを用いて測定した。その後、30分毎にタップフロー値を測定し、タップフロー値が150以下となるまでの時間を可使時間とした。一般的には、材料の混練後直ちに吹付け作業にはいるため可使時間は短くても良いと考えられるが、実際の作業上の都合により、1時間程度待機する場合がある。そのため、可使時間は、3時間以上を良好、3時間未満で1時間超を許容範囲とし、1時間以下を好ましくないとした。そのため、可使時間が3時間を超えるものについては、それ以上の測定を行わず「>3」と表記した。
それに対し、
比較例1は、アルミナセメント量が0.5質量%と少なく、吹付け後1時間養生後の曲げ強さが低く、好ましいものではなかった;
比較例2は、アルミナセメント量が16質量%と多く、可使時間が短すぎ、好ましいものではなかった;
比較例3は、分散剤としてリン酸ソーダを用いたものであり、吹付け後1時間養生後の曲げ強さが低く、好ましいものではなかった;
比較例4は、分散剤の量が0.005質量%と少なく、水分を添加して混練しても流動性がなく、吹付施工することができなかった;
比較例5は、分散剤の量が0.06質量%と多く、吹付け後1時間養生後の曲げ強さが低く、好ましいものではなかった;
比較例6は、特許文献4に準じた吹付材を用いた例であり、吹付け後1時間養生後の曲げ強さが低く、好ましいものではなかった;
比較例7は、特許文献3に準じた吹付材を用いた例で、珪酸リチウム溶液を単独で凝結剤として用いており、吹付材の材料接着率が低く、好ましいものではなかった;
比較例8は、珪酸リチウム溶液と珪酸ソーダ溶液の割合が本発明の範囲外にあり、珪酸ソーダ溶液の割合が少く、吹付材の材料接着率が低く、好ましいものではなかった;
比較例9もまた、珪酸リチウム溶液と珪酸ソーダ溶液の割合が本発明の範囲外にあり、珪酸ソーダ溶液の割合が多く、吹付け後1時間養生後の曲げ強さが低く、好ましいものではなかった;
比較例10は、特許文献1および2に準じた吹付材を用いた例で、珪酸ソーダ溶液を単独で凝結剤として用いており、吹付け後1時間養生後の曲げ強さが低く、好ましいものではなかった;
比較例11は、凝結剤の量が少なく、凝集が弱く、施工体がだれ落ちを生じ、好ましいものではなかった;
比較例12は、凝結剤の量が多く、凝集速度が速く、材料接着率が低下してリバウンドロスが多く、好ましいものではなかった。
比較例13は、特許文献6に準じた吹付材を用いた例で、リチウム塩含有消石灰スラリーを凝結剤に用いており、施工体が層状になっており、吹付け後1時間養生後の曲げ強さが低く、好ましいものではなかった;
比較例14は、特許文献5に準じた吹付材を用いた例で、珪酸カリウム溶液を凝結剤に用いており、可使時間が短く、好ましいものではなかった。
Claims (2)
- 粗粒ないし超微粉に粒度調整された耐火性骨材及び耐火性微粉より構成される耐火性原料およびアルミナセメントからなる耐火組成物並びに分散剤を含有してなるキャスタブル粉末に、所定量の水を混練して得られた流動性を有するキャスタブル混練物を圧送機にて吹付ノズルへ圧送し、吹付ノズルにて圧搾空気と共に凝結剤を添加して吹付け施工することからなる不定形耐火物の湿式吹付施工方法において、前記アルミナセメントの配合割合が、1〜15質量%であり、前記分散剤として、ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリカルボン酸塩型共重合体の1種または2種を耐火組成物100質量%に対して外掛で0.01〜0.5質量%含有し、前記凝結剤が、珪酸リチウム溶液20〜80質量%と珪酸ソーダ溶液20〜80質量%からなる混合溶液であり、凝結剤の添加量が耐火組成物100質量%に対して外掛けで0.05〜1.5質量%であることを特徴とする不定形耐火物の湿式吹付施工方法。
- 珪酸リチウム溶液が、SiO2含有量15〜25質量%かつSiO2/Li2Oモル比2.5〜7.5の範囲内の水溶液であり、珪酸ソーダ溶液が、SiO2含有量30〜40質量%かつSiO2/Na2Oモル比1.8〜2.5の範囲内の水溶液である、請求項1記載の不定形耐火物の湿式吹付施工方法。
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