JP5674187B2 - 湿式吹付け施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐火性粉体とアルミナセメントとを含む不定形耐火物の湿式吹付け施工方法に関する。
図1を参照して、不定形耐火物の湿式吹付け施工の手順を説明する。予め不定形耐火物を水と共に混練し、泥しょう物と成す。その泥しょう物を、圧送ポンプ1によって配管3を通じてノズル2に向けて圧送する。ノズル2又はその手前で、泥しょう物に急結剤が添加される。急結剤は、急結剤タンク4から急結剤供給管5を経由して、圧縮空気と共に泥しょう物に添加される。
急結剤の第1の役割は、ポンプ圧送可能な流動性をもつ泥しょう物が、吹付けられた瞬間に被施工面Sからだれ落ちないようにするために、泥しょう物の流動性を瞬間的に消失させることである。この流動性の消失は、急結剤が泥しょう物中の粒子を凝集させることで発現する。以下、このように泥しょう物中の粒子を凝集させ、その流動性を瞬間的に消失させる作用を急結作用と呼ぶことにする。
急結作用によって被施工面Sに形成される吹付け施工体は、流動性は有さないが、コテ等を用いてその表面を均すトリミングを施すことができる程度の軟らかさは有している。この吹付け施工体が、養生期間中に、アルミナセメントの水和反応を経て硬化する。
急結剤の第2の役割は、吹付け施工体中のアルミナセメントの水和による硬化を促進することで、養生期間が長くなりすぎるのを防止し、かつ養生中の吹付け施工体に亀裂や剥離等が生じるのを防止することである。以下、アルミナセメントの水和を促進するこの作用を硬化促進作用と呼ぶことにする。
従来、湿式吹付け施工方法に使用される急結剤としては、アルミン酸アルカリ塩溶液、珪酸アルカリ塩溶液(特許文献1参照)、塩化カルシウム溶液(特許文献2参照)、水酸化カルシウム粉と水とからなる石灰スラリー(特許文献3及び4参照)、又は塩化カルシウムを含む石灰スラリー(特許文献5参照)が知られている。
このうち、アルミン酸アルカリ塩及び珪酸アルカリ塩は、苛性ソーダを含む高塩基度のため、直接触れるとかぶれることがあるし、吸引すると鼻炎を起こすことがある。このため、これらはできるだけ使用しないことが望まれる。
塩化カルシウムは、急結作用が強すぎて、泥しょう物が被施工面Sに到達する前に固化するため、被施工面Sからの泥しょう物のリバウンド量が増大しやすく、また硬化促進作用には乏しいため、養生期間を例えば数日程度と長く確保する必要があり、かつ養生中の吹付け施工体の強度が小さいため、吹付け施工体に亀裂が生じたり、天井への吹付けの場合、養生中に吹付け施工体に剥落が生じやすいという問題を有する。
一方、水酸化カルシウムは、硬化促進作用に優れるが、急結作用に乏しい。そこで、特許文献5にみられるように、塩化カルシウムに水酸化カルシウムを組み合わせることで、塩化カルシウムの単独使用にみられる上記問題が緩和される。
即ち、吹付けの瞬間においては、水酸化カルシウムによって塩化カルシウムの過剰な急結作用が緩和されるか又は塩化カルシウムの急結作用の発現が例えば1〜2秒程度遅延されることでリバウンドロスを抑制でき、吹付け後においては、水酸化カルシウムによって塩化カルシウムの硬化促進作用が補われる。
特開平10−118762号公報 特開平10−95678号公報 特開2001−114542号公報 特開2001−278674号公報 特許第4263917号公報
塩化カルシウム粉は水に溶けやすいが、水酸化カルシウムは水に溶けにくいため、水溶液での使用ができず、スラリー状で使用する他ない。水酸化カルシウムの粒子は急結剤タンク4内で水と分離し沈降しやすいため、急結剤中の水酸化カルシウム濃度を一定に保つことが困難で、施工に際しては不安定な吐出、目詰まり等のトラブルが生じやすい。
この点に関し、特許文献5は、水酸化カルシウム粉の粒子を細かくすることで、その沈降を抑制できると説明している。具体的には、特許文献5では、水酸化カルシウム粉の平均粒径を5.8μm以下としている。
しかし、水酸化カルシウム粉を平均粒径5.8μm以下と細かくした場合、沈降しにくくはなるが、吹付け作業の中断等により、一旦これが急結剤タンク4の底に沈殿すると、粒子が細かい故に急結剤タンク4の底で緻密に堆積し、急結剤タンク4を揺すっても再分散させることが困難となる。また、急結剤供給管5内で水酸化カルシウム粉が詰るトラブルが生じることもある。
また、水酸化カルシウム粉を平均粒径5.8μm以下に細かくした場合、塩化カルシウムの過剰な急結作用を緩和又は遅延できる量の添加によっては、アルミナセメントに対する硬化促進作用が過剰となりやすいため、吹付け施工体にトリミングを施すための期間が充分に確保されがたい。
本発明の目的は、塩化カルシウムを含む石灰スラリーを用いる湿式吹付け施工方法において、石灰スラリーの石灰成分である水酸化カルシウムの水への溶解度が小さいことからくる使いづらさを緩和することである。
本発明の一観点によれば、耐火性粉体とアルミナセメントとを含む不定形耐火物に水を加えて混練してなる泥しょう物を、配管を通じてノズルに向けて圧送し、ノズル内及び/又は配管内で前記泥しょう物に、塩化カルシウムを含む石灰スラリーからなる急結剤を加える湿式吹付け施工方法において、前記石灰スラリーの石灰成分として、平均粒径が12.7〜20μmで粒径5μm未満の含有量が40質量%未満かつ比表面積が15m/g以上の水酸化カルシウム粉を用いたことを特徴とする湿式吹付け施工方法が提供される。
一般に粒子径が大きいほど沈降速度が大きいが、本発明で用いる水酸化カルシウム粉は平均粒径が従来より大きいにも関らず、比表面積が15m/g以上と大きく、水との接触面積が大きく沈降抵抗を有するためか、石灰スラリー中で分離及び沈降が生じにくい。水酸化カルシウム粉の平均粒径が大きいため、たとえ沈殿したとしても、急結剤タンクの底で緻密な堆積物を形成しにくく、急結剤タンクを揺する程度で容易に再分散させることができる。
また、水酸化カルシウム粉の平均粒径を従来より大きくしたことで、アルミナセメントに対する硬化促進作用が過剰となりにくく、吹付け施工体にトリミングを施すための期間を適切に確保することができる。水酸化カルシウム粉の平均粒径を大きくするだけであれば、水に対する溶解性が小さくなるため、塩化カルシウムの過剰な急結作用を緩和又は遅延する効果に乏しくなるが、同時に比表面積を大きくしたことで、吹付けた瞬間における塩化カルシウムの急結作用を緩和又は遅延する効果が損なわれにくく、リバウンドロスを抑えることができる。
湿式吹付け施工装置を示す概略図である。 急結剤として用いる石灰スラリーの分散度の時間変化を示すグラフである。
不定形耐火物は、耐火性粉体とアルミナセメントとを含む。不定形耐火物に、アルミナセメント以外の結合剤、分散剤、有機繊維、金属粉、増粘剤等を含めてもよい。
耐火性粉体としては、例えば、電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト、ダイアスポア、ばん土頁岩、及び仮焼アルミナ等のアルミナ質原料、珪石、珪砂、無定形シリカ(例えば、マイクロシリカ、シリカフラワー、ヒュームドシリカ、ホワイトカーボン)等のシリカ質原料、蝋石、シャモット、粘土、アンダリュサイト、シリマナイト、カイヤナイト、ムライト等のアルミナシリカ質原料、石炭、コークス、ピッチ、人造黒鉛、天然黒鉛(例えば、鱗状黒鉛、土状黒鉛)、カーボンブラック等の炭素質原料、電融スピネル、焼結スピネル等のスピネル質原料、マグネシアクリンカー等のマグネシア質原料、ドロマイトクリンカー等のドロマイト質原料、電融ジルコニア等のジルコニア質原料、ジルコンサンド等のジルコン質原料、窒化珪素質原料、窒化アルミニウム質原料、炭化珪素質原料、炭化硼素質原料、硼化チタン質原料、及び硼化ジルコニウム質原料等、並びにこれらの少なくともいずれかを主成分とする耐火物廃材の粉砕物から選択される一種以上を用いることができる。
アルミナセメントは、結合剤として機能するもので、その添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外かけで0.5〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。0.5質量%以上であることで、得られる耐火物の常温付近における強度が特に良好となり、20質量%以下であることで、良好な耐食性を維持することができる。また、泥しょう物のポンプ圧送性を高めることができる等の理由から、アルミナセメントは平均粒径10μm以下のものが好ましい。
アルミナセメント以外の結合剤としては、例えば、乳酸アルミニウム、乳酸カルシウム、グリコール酸アルミニウム、乳酸‐グリコール酸アルミニウム、水硬性アルミナ、マグネシアセメント、ポルトランドセメント、リン酸塩、及び珪酸塩等が挙げられる。これらを併用する場合、その添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外かけで例えば20質量%以下が妥当である。
分散剤は、泥しょう物の流動性を高める効果を持つ。その具体例は、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルリン酸ソーダ、ポリカルボン酸、リグニンスルホン酸ソーダ、カルボキシル基含有ポリエーテル等である。その添加量は、少なすぎると流動性を高める効果が得られず、多すぎると却って流動性が損なわれるため、耐火性粉体100質量%に対する外かけで0.01〜1.5質量%が好ましい。
有機繊維としては、例えば、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、PVA繊維、ポリエチレン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、パルプ等が挙げられる。その添加量は、耐火性粉体100質量%に対する外かけで0.02〜1質量%が好ましい。
増粘剤としては、例えば、ベントナイト、CMC、イソバン等が挙げられ、その添加量は耐火性粉体100質量%に対する外かけで5質量%以下が好ましい。
金属粉としては、例えば、アルミニウム、シリコン、フェロシリコン、アルミニウム合金、シリコン合金等が挙げられ、添加量は耐火性粉体100質量%に対する外かけで0.01〜3質量%が好ましい。
上記不定形耐火物は、湿式吹付け施工に際し、予め水と共に混練され泥しょう状に調整される。水の添加量は、特に限定されないが、泥しょう物に与える流動性と、得られる耐火物の耐食性との兼ね合いから、不定形耐火物100質量%に対する外かけで、例えば3〜15質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。
かかる泥しょう物を、図1に示すように、圧送ポンプ1で配管3を通じてノズル2に圧送し、ノズル2又はノズル2手前で急結剤を添加し、被施工面Sに吹付ける。泥しょう物に急結剤を均一に添加すること、及び泥しょう物の吹付け速度を高めること等を目的として、泥しょう物への急結剤の添加は圧縮空気をもって行うのが好ましい。
急結剤には、石灰スラリーに少なくとも塩化カルシウムを添加してなるスラリー(以下、本スラリーという)を使用する。なお、石灰スラリーとは、水酸化カルシウム粉と水とからなる懸濁液を指す。本スラリーの石灰成分である水酸化カルシウム粉には、平均粒径が6〜20μmで比表面積が15m/g以上のものを用いる。本スラリーの添加量は、特に限定されないが、急結作用及び硬化促進作用の適正化の観点から、不定形耐火物100質量%に対する外かけで0.3〜1.5質量%が好ましい。
本明細書において、平均粒径とは、レーザ回折散乱式粒度分布計で測定された累積曲線の中央累積値(D50)にあたる体積平均粒径をいう。
水酸化カルシウム粉の平均粒径が6μm未満では、たとえ比表面積が大きくても、沈殿後の再分散性が悪く、かつアルミナセメントに対する硬化促進作用が過剰となるため、吹付け施工体にトリミングを施すことができる期間が充分に確保されがたい。一方、水酸化カルシウム粉の平均粒径が20μmを超えると、たとえその比表面積が大きくても、塩化カルシウムの過剰な急結作用を緩和又は遅延する効果に乏しくなる。
本明細書において、比表面積とは、窒素吸着法によるBET値をいう。比表面積は、例えば、島津製作所製のマイクロメリティクスフローソープII2300で窒素吸着法により測定することができる。
水酸化カルシウム粉の比表面積が15m/g未満では、平均粒径が6〜20μmである場合に、分離及び沈降を抑制することができない。
水酸化カルシウム粉の工業的製法としては、一般に、生石灰を水と接触させることで消化させ、消化により発生する熱を利用して水を蒸発させ、得られる乾燥物を粉砕する乾式法が用いられている。しかし、この乾式法では、本発明で規定する大きな比表面積をもつ水酸化カルシウム粉が得られにくい。
そこで、例えば上記乾式法において、生石灰の消化に用いる水に、クエン酸、オキシカルボン酸、オキシカルボン酸塩、糖類、1価アルコール、多価アルコール、非イオン性界面活性剤、アルコールアミン、コハク酸、金属コハク酸塩、リグニンスルホン酸塩、1級アミン、又は2級アミン等の水溶性化合物を添加し、これら水溶性化合物の存在下に消化を進行させることで、得られる水酸化カルシウム粉の比表面積を高めることができる。
この具体的手法は公知であるため、詳細な説明は省略する(例えば、特開平10−25112号公報、特開平10−152352号公報、特開平9−278435号公報等を参照)。例えば、上記水溶性化合物の添加量によって、水酸化カルシウム粉の粒子表面の粗度を調整することができる。また、乾燥物の粉砕及び分級の仕方によって、得られる水酸化カルシウムの平均粒径を調整することができる。
但し、本発明で使用する水酸化カルシウム粉の製法は特に上記手法に限定されず、例えば、生石灰の消化に用いる水の温度調整等を行うことにより、従来の乾式法によっても本発明で規定する水酸化カルシウム粉は得られうる。
本スラリー中における固形分(溶媒である水を蒸発させた場合の残渣)としての塩化カルシウム/水酸化カルシウムの質量比は、30/70〜90/10であることが好ましい。これにより、水酸化カルシウムによって塩化カルシウムの過剰な急結作用を緩和又は遅延する効果、及び水酸化カルシウムによって塩化カルシウムの硬化促進作用を補う効果が特に顕著となる。
本スラリー中における固形分としての水酸化カルシウム及び塩化カルシウムの濃度は、水酸化カルシウム及び塩化カルシウムの合計量で例えば10〜70質量%になるように調整するのが好ましい。この範囲とすることで、急結剤及び硬化促進作用のさらなる適正化が図られる。
本スラリー中の固形分は、塩化カルシウムと、石灰成分である水酸化カルシウムとの合量が95質量%以上を占めることが好ましい。塩化カルシウム及び水酸化カルシウム以外の成分としては、例えば、これら以外の公知の急結剤の他、沈降抑制剤が挙げられる。
沈降抑制剤としては、上記不定形耐火物に含有させるものと同様の分散剤の他、分散状態安定化剤や気泡剤が挙げられる。沈降抑制剤の添加量は、本スラリー中の塩化カルシウム及び水酸化カルシウムの合計量100質量%(固形分量)に対する外かけで、合量で0.05〜5質量%が好ましい。
分散状態安定化剤としては、溶媒である水の粘性を増加させて水酸化カルシウム粒子の沈降速度を小さくする効果がある無水珪酸や粘土等の無機増粘剤、水酸化カルシウム粒子表面に吸着して層を成し、近接する粒子間で立体的に緩い架橋結合をスラリー全体に形成させ沈降を抑制する効果を合わせ持つ、例えば、CMC、PVA、分子量20,000以上のポリアクリル酸塩などの水溶性高分子があり、また、これらと同様な効果がある物質から1種以上を使用条件に合わせて選択して添加できる。
気泡剤は、水酸化カルシウムの粒子表面に気泡を付着させ、その気泡の浮力により沈降を抑制する効果がある。例えば、ラウリル硫酸塩等の各種界面活性剤であり、これらと同様な効果を持つ物質から1種以上を選択して添加できる。
JIS‐Z8801に規定する標準篩を用いた測定で、粒径8〜1mmの電融アルミナ:35質量%、粒径1mm以下のばん土頁岩:56質量%、粘土:3質量%、仮焼アルミナ:3質量%、及び蒸発シリカ:3質量%からなる耐火性粉体100質量%に、アルミナセメントを外かけ4質量%、トリポリリン酸ソーダを外かけ0.1質量%それぞれ加えてなる不定形耐火物を、これに対する外かけ6質量%の水と共にミキサーで混練し、泥しょう物と成した。
得られた泥しょう物を、図1の装置を用い、湿式吹付け施工に供する。圧送ポンプ1にはアレンタウン社製10PROスイングバルブダブルピストンポンプを用い、配管3には内径2インチ、長さ100フィートの耐圧ホースを用い、ノズル2には、長さ200mmの先絞りゴム製ノズルを用いた。
急結剤の供給は、スネークポンプを有するモーノポンプを用い、0.55MPa、8.5m/分の圧縮空気をキャリアとし、急結剤タンク4からノズル2に接続された急結剤供給管5を通じて行った。急結剤の添加量は、不定形耐火物100質量%に対する外かけ0.6質量%となるように調整した。
急結剤には、塩化カルシウム粉と水酸化カルシウム粉とを、塩化カルシウム/水酸化カルシウムの質量比が10/8になるように組み合わせた固形分と、溶媒としての水とからなるスラリーを用いた。このスラリー中の固形分の濃度は18質量%である。
表1は、この場合において、急結剤としてのスラリー中の水酸化カルシウム粉の平均粒径及び比表面積を様々に変更したときの評価結果を示す。
難沈殿性は、次の要領で評価した。目盛り付きのメスシリンダーに急結剤としてのスラリーを入れ、充分に攪拌し白濁させたのち静置する。或る時間(以下、静置時間という。)静置すると、水酸化カルシウム粉が沈降することで、スラリーの表層部に透明な水の層が形成され始める。スラリーの全高さに占める、透明部分を除く白濁部分の高さの割合が分散度である。静置時間が50時間である場合の分散度によって、難沈降性を◎、○、△、×の4段階で相対評価した。
沈殿後の再分散性は次の要領で評価した。プラスチック容器に急結剤としてのスラリーを入れ、水酸化カルシウム粉が容器底に完全に沈殿した状態とする。この状態の容器をJIS‐R2521に規定するフローテーブルに載せ、タッピングを施す。容器内のスラリーが均一に白濁するまでに要するタッピング回数の少なさによって、易再分散性を、◎、○、△、×の4段階で相対評価した。
リバウンドロスは、気温約20℃の環境下で垂直面に吹付けを行い、「付着率=(吹付けた補修材の総量−リバウンドした量)/吹付けた補修材の総量」なる式に従って求めた付着率によって、◎、○、△、×の4段階で相対評価した。
硬化時間は、気温約20℃の環境下で吹付けを行って得た施工体に対し、先端6mmφの貫入硬度計を用いた貫入抵抗の測定を行い、貫入抵抗が約3.5MPaに達するまでの時間によって、10分以上45分以下の場合を◎、45分超60分以下の場合を○、60分超120分以下の場合を△、10分未満又は120分超の場合を×とした。
Figure 0005674187
例1〜4の水酸化カルシウム粉は、一般的な乾式法で製造されたもので、生石灰を消化させて得られる乾燥物の粉砕の仕方及び分級によって、平均粒径を調整した。得られる水酸化カルシウム粉の粒子表面を粗化する処理は行っておらず、比表面積は平均粒径が小さい程自ずと大きくなる傾向にある。
例1は、水酸化カルシウム粉の平均粒径が小さいため、硬化促進作用が強いという水酸化カルシウム粉の特性が過剰に表れており、トリミングを行う時間を充分に確保できず、また、沈殿した場合に緻密な堆積物を形成するため沈殿後の再分散性に劣る。また、平均粒径が小さい割に比表面積が充分大きくないため、沈降抵抗が小さく難沈降性に乏しい。
例2及び4は、例1より平均粒径が大きいため、沈殿後の再分散性は改善されたが、単に平均粒径を大きくするだけでは、沈降速度が増し、難沈降性に著しく劣る。また、単に平均粒径を大きくするだけでは、水への溶解性に劣り、塩化カルシウムの過剰な急結作用を緩和又は遅延する効果に劣る結果、リバウンドロスが増大した。
例3は、例2において沈降抑制剤として、分子量100000のポリアクリル酸ソーダを、スラリー中の塩化カルシウム及び水酸化カルシウムの合計量100質量%(固形分量)に対する外かけで0.1質量%加えたが、難沈降性は許容できる程改善することができなかった。
例5〜14の水酸化カルシウム粉は、クエン酸の水溶液を用いて生石灰を消化し、1時間熟成後に乾燥させ、乾燥物を粉砕したものである。粉砕の仕方及び分級によって平均粒径を調整し、クエン酸の濃度によって比表面積を調整した。本製法によると、比表面積を平均粒径とは独立して制御することができる。
例5は、例2及び3等と平均粒径は同等であるが、比表面積を大きくしたものである。比表面積を大きくすることで、塩化カルシウムの過剰な急結作用を緩和又は遅延する効果が改善されたためか、リバウンドロスが改善されたが、不充分である。
例6は、さらに比表面積を大きくしたもので、リバウンドロスのさらなる改善がみられ、しかも比表面積の増大によって沈降抵抗が増すためか、難沈降性の改善もみられたが、まだ不充分である。
例7〜13は、さらに比表面積を大きくし、かつ平均粒径も大きくしたもので、難沈降性、沈殿後の再分散性、リバウンドロス、硬化時間のすべての評価に優れる。
例14は、比表面積は大きいが、平均粒径が大きすぎるため、難沈降性が不充分となった。また、平均粒径が大きすぎると、たとえ比表面積が大きくても水への溶解性に劣るため、塩化カルシウムの過剰な急結作用を緩和又は遅延できずにリバウンドロスが増え、かつ硬化時間がやや長すぎる結果となった。硬化時間が長すぎると、吹付け施工体に亀裂や剥落が発生する割合も高くなるため、好ましくない。
表1の結果から、水酸化カルシウム粉の平均粒径は、概ね、6〜20μmが好ましく、7.5〜20μmがより好ましいと考えられる。また、水酸化カルシウム粉は、粒径5μm未満の含有量が40質量%未満である粒度構成をもつことが好ましい。また、水酸化カルシウム粉の比表面積は、15m/g以上が好ましく、20m/g以上がより好ましいと考えられる。
図2は、表1の例1(比較例)によるスラリーと、例11(実施例)によるスラリーとの分散度の時間変化を示したものである。折線Aが例11の分散度の時間変化を示し、折線Bが例1の分散度の変化を示す。例1(比較例)では、150時間経過後、分散度が50%以下であるのに対し、例11(実施例)は、150時間経過後も、80%以上の分散度を保持している。
本発明は、例えば、高炉樋、混銑車、転炉、取鍋、若しくはタンディッシュ等の溶融金属容器、又は廃棄物溶融炉、廃棄物灰溶融炉、焼却炉、セメントプラント炉、均熱炉、若しくは加熱炉等の工業窯炉のイニシャルライニングの形成又は既形成ライニングの補修に広く適用することができる。
1…圧送ポンプ、2…ノズル、3…配管、4…急結剤タンク、5…急結剤供給管。

Claims (1)

  1. 耐火性粉体とアルミナセメントとを含む不定形耐火物に水を加えて混練してなる泥しょう物を、配管を通じてノズルに向けて圧送し、ノズル内及び/又は配管内で前記泥しょう物に、塩化カルシウムを含む石灰スラリーからなる急結剤を加える湿式吹付け施工方法において、前記石灰スラリーの石灰成分として、平均粒径が12.7〜20μmで粒径5μm未満の含有量が40質量%未満かつ比表面積が15m/g以上の水酸化カルシウム粉を用いたことを特徴とする湿式吹付け施工方法。
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