JP2023065003A - 易乾燥性高強度不定形耐火物 - Google Patents

易乾燥性高強度不定形耐火物 Download PDF

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Abstract

【課題】水硬性セメントを使用することのない、易乾燥性で高強度を発揮し得る不定形耐火物を提供する。【解決手段】耐火材料と共に、平均粒径が1μm以下のシリカフラワーを2容量%~20容量%の割合で含む耐火材料組成物の100重量部に対して、44μmよりも大きな粒子を含まない無水の珪酸アルカリガラス微粉を、少なくとも0.5重量部の割合で、更に含有せしめて、易乾燥性高強度不定形耐火物を構成した。【選択図】なし

Description

本発明は、易乾燥性高強度不定形耐火物に係り、特に、アルミナセメント等の水硬性セメントを用いることなく、高強度の耐火材を形成し得る易乾燥性の不定形耐火物に関するものである。
従来から、各種窯炉の内張材、取鍋等の精錬容器の内張材、精錬用ランス、樋の内張材等として、施工に要する人手が少なくて済み、任意の形状に施工することが出来る不定形耐火物が、広く用いられてきている。また、このような不定形耐火物は、従来からの煉瓦張り施工に代えて、流し込み施工や塗り込み施工、吹き付け施工等による施工が可能となる特徴を有している。
ところで、そのような不定形耐火物の一つとして、特開昭53-12926号公報においては、0.1μm以下の粒径を有するガラス状シリカと、アルミナセメント等の水硬性セメントと、所定の耐火性骨材とからなる組成物が明らかにされており、その施工に際しては、所定量の水を配合して用いられることとなるところから、そこでは、セメント水和物の生成による緻密化によって、高強度化は実現され得るものの、その施工によって形成される耐火材の乾燥性に劣る問題を内在するものであった。即ち、施工後の乾燥工程において、かかるセメント水和物が水蒸気の拡散経路となる気孔を閉塞して、時として、水蒸気爆発の発生にも繋がる恐れがあったのである。
このため、特開平10-101441号公報においては、耐火性骨材、耐火性粉末、有機繊維及び分散剤と共に、アルミニウム-シリコン合金(Al-Si合金)粉末を配合してなる流し込み可能な組成物が明らかにされ、そこでは、Al-Si合金粉末を配合することにより、アルミニウム(Al)金属粉末を添加した場合と比べて、水素(H2 )ガスを発生する反応が緩やかに惹起されることとなり、以て、水蒸気の放出に好適な通気孔が確実に形成出来ることから、通気性を改善して、乾燥が容易となり、更に、水蒸気による爆裂の防止にも寄与し得る、とされている。しかしながら、そこで用いられるAl-Si合金粉末は、あくまでも、金属粉末であるところから、アルカリ性の水溶液との反応により、H2 ガスの発生は避けられず、そのために、H2 ガスの発生に起因するところの水素爆発等の危険性が伴う、等のトラブルを内在するものであった。
また、通気性を阻害している主因であるセメントを使用しない不定形耐火物として、特許第6296635号公報には、シリカゾルを結合剤として用いると共に、硬化剤としてのマグネシア微粉や、硬化調整剤としての縮合リン酸塩を、耐火材料に配合してなる構成のシリカゾル結合組成物が、明らかにされているのであるが、そのような組成物は、乾燥性において優れているものの、通常の高強度不定形耐火物程の高強度の発現は望めず、更に、液状結合剤を使用するために、作業性においても煩雑さを伴うものであった。
さらに、特開平2-116681号公報には、主として骨材と、シリカフュームと、粒状珪酸アルカリ金属とからなる、水との混合によって通常の大気温で硬化する耐火組成物が提案されており、それによって、耐酸性やワーカビリティ(作業可使時間)が改善され得ることが明らかにされている。そして、そこでは、粒状珪酸アルカリ金属として、SiO2:Na2Oのモル比が1:1~4:1である無水珪酸ナトリウムや、SiO2:K2Oのモル比が少なくとも3:1である無水珪酸カリウムを用いることが、示されているのであるが、それら無水珪酸ナトリウムや無水珪酸カリウムの粒度については、何等具体的な開示はなく、単に、無水珪酸ソーダは、フィラデルフィア・クォーツ社のSS-20、SS-65のような、粒径の大きな珪酸であることが明らかにされ、また、その実施例においても、-65メッシュ(-251μm)の粒度の大きな無水珪酸カリウムの使用例が、明らかにされているのみである。しかしながら、そのような大きな粒度の珪酸アルカリ金属を使用しても、その硬化物のより一層の高強度化は実現され難く、またセメント無添加であるにも拘わらず、施工後の自由水の乾燥を容易にする易乾燥性の実現には至っていないものであった。
特開昭53-12926号公報 特開平10-101441号公報 特許第6296635号公報 特開平2-116681号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、水硬性セメントを使用することのない、易乾燥性高強度不定形耐火物を提供することにある。また、他の課題とするところは、乾燥性を阻害する水和物を生成せず、粒子間力による凝集硬化作用にて、常温下で硬化体を得ることの出来る不定形耐火物を提供することにあり、特に、施工の後、当該施工対象物の稼働に至るまでに、必要な乾燥が容易であると共に、高強度な硬化耐火材を与えることの出来る不定形耐火物を提供することにある。
そして、本発明は、上述した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいて、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びにそこに開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
そこで、本発明は、先ず、前記した課題を解決するべく、耐火材料と共に、平均粒径が1μm以下のシリカフラワーを2容量%~20容量%の割合で含む耐火材料組成物の100重量部に対して、44μmよりも大きな粒子を含まない無水の珪酸アルカリガラス微粉を、少なくとも0.5重量部の割合で、更に含有せしめてなることを特徴とする易乾燥性高強度不定形耐火物を、その要旨とするものである。
また、このような本発明に従う易乾燥性高強度不定形耐火物の好ましい態様の一つによれば、含水粉末珪酸アルカリが、前記耐火材料組成物の100重量部に対して1重量部を越えない割合において、更に含有しせしめられることとなる。
さらに、かかる本発明に従う易乾燥性高強度不定形耐火物の好ましい態様の他の一つによれば、無機乃至は有機のアルカリ性塩が、前記耐火材料組成物の100重量部に対して0.1重量部以上の割合において、更に含有せしめられることとなる。
そして、本発明にあっては、そのようなアルカリ性塩として、アルカリ金属の炭酸塩が、好適に用いられるのである。
加えて、本発明に従う易乾燥性高強度不定形耐火物においては、有利には、分散剤が、更に含有せしめられることとなる。
このように、本発明に従う易乾燥性高強度不定形耐火物にあっては、アルミナセメント等の水硬性セメントを使用することなく、平均粒径が1μm以下のシリカフラワーを所定割合で含む耐火材料組成物に対して、所定の大きな粒子を含まない無水の珪酸アルカリガラス微粉を、凝集硬化・ゾル-ゲル硬化剤として含有せしめてなるものであって、これにより、シリカフラワーの凝集力による硬化と、加熱脱水時におけるシリカフラワーのゾル-ゲル化を生じさせると共に、無水の珪酸アルカリガラス微粉の遅溶解性とアルカリ刺激性を活用して、施工後における耐火物の易乾燥性と高強度が有利に実現され得ているのである。
すなわち、従来のシリカフラワー・アルミナセメント結合系の高強度不定形耐火物においては、アルミナセメントからのCaイオンの遅溶解性を利用して、シリカフラワーの凝集を生じさせる側面が存在するものの、同時に、セメント水和物の生成が、施工された耐火物の乾燥性を阻害しているのであるが、本発明に従う不定形耐火物にあっては、そのような乾燥性を阻害する水和物、換言すれば結合剤として使用されている水硬性セメントの析出水和物が生成することがなく、以て、そのようなセメントの析出水和物が水蒸気の拡散経路を閉塞して、水蒸気の拡散を抑制することによって惹起される水蒸気爆発の発生も、有利に阻止され得ることとなると共に、粒子間力による凝集硬化作用にて、常温下において、目的とする硬化体を有利に得ることが出来ることとなるのである。
また、シリカフラワー等の粒子間力による凝集硬化は、マグネシア(MgO)等の2価の金属酸化物においても実現可能であるが、加熱脱水後から焼結開始温度域の強度発現には限界があり、また、ナノ粒子であるシリカゾルにおいても、同様の傾向があることが認められるものであるところ、本発明に従って、無水の珪酸アルカリガラス微粉を用いることにより、「活性なアルミノ珪酸に対して、苛性ソーダやメタ珪酸ソーダを作用させて、アモルファスなゼオライト型生成物を生じさせ、高強度結合を示す」ジオポリマー結合と同様に、アルカリ刺激によってシリカフラワーの非晶質特性やサブミクロン粒径による表面活性を利用して、低温下でのゾル-ゲル結合を生じさせ、以て、常温下において高強度の硬化体を有利に実現せしめ得たのである。
要するに、本発明に従う不定形耐火物は、耐火材料とそれを結合するためのシリカフラワーとの耐火材料組成物に対して、44μmよりも大きな粒子を含まない無水の珪酸アルカリガラス微粉の所定量を、更に含有せしめてなるものであって、これにより、常温施工に際して、アルカリ電解質イオン濃度の上昇による粒子間力によって凝集硬化作用を生じさせる一方、加熱脱水時には、珪酸アルカリガラスの溶解度の上昇、更には脱水に伴う濃縮及び活性エネルギーの上昇によって、シリカフラワー表層のシロキサンポリマーを溶出せしめ、そしてシラノール基の重縮合により、強固な結合を生じさせ得たのである。
そして、そのような本発明において用いられる耐火材料には、例えば、流し込み施工や吹き付け施工等の公知の施工法に適した粒度構成となるように粒度調整された、公知の各種の耐火性骨材が、適宜に用いられることとなる。かかる耐火性骨材としては、具体的には、焼結アルミナ、電融アルミナ、仮焼アルミナ、ブラウンアルミナ、ボーキサイト、バン土頁岩等のアルミナ質原料;重焼マグネシア、海水マグネシア、軽焼マグネシア、天然マグネシア等のマグネシア質原料;焼結スピネル、電融スピネル、クロム鉱、酸化クロム、炭化珪素、黒鉛、ピッチ、ムライト、カイヤナイト、アンダルサイト、シャモット、ロー石、珪石、ジルコン、ジルコニア等を例示することが出来、これらの骨材の1種又は2種以上を組み合わせて、用いることが出来る。また、酸化クロム、カーボンブラック、易焼結アルミナ等の超微粉を併用することも可能である。
また、かかる耐火材料に配合されて、耐火材料組成物を構成するシリカフラワーは、シリカフュームとも称されるものであって、金属シリコン、フェロシリコン、ジルコニウム等の製造装置である電気炉から発生する副産物であり、メタシリコン、フェロシリコン、ジルコニア、溶融シリカ派生等、そのソースを問うことなく、任意に採用され得るものであって、非晶質(アモルファス)で、一般に、球状の二酸化珪素のサブミクロン超微粒子である。本発明では、そのようなシリカフラワーの平均粒径が1μm以下であるものが、有利に用いられることとなるのである。なお、シリカフラワーは、一次粒子の凝集力が強く、その凝集物である二次粒子を形成し易いものであるが、そのような二次粒子が、ポリリン酸、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、アルキルベンゼンスルフォン酸やそれらの塩等の解膠剤を使用しても、充分に解膠分散せず、1μm以下の粒子径に分散しないものの使用は、避けることが望ましい。
そして、本発明では、そのようなシリカフラワーの耐火材料組成物中における割合としては、2容量%~20容量%の含有量の範囲内において、適宜に選定されることとなる。このシリカフラワーの含有量が2容量%よりも少なくなると、凝集硬化強度及び乾燥時のゾル-ゲル化反応による強度付加作用が発揮され難くなり、常温における充分な凝集強度が得られなくなるからである。また、その含有量が20容量%を越えるような過剰な割合となると、不定形耐火物全体の粒度構成上からして、添加水量の増加、更には容積安定性の低下に繋がり、硬化収縮が大きくなって、各種の問題が惹起されるようになる。
ところで、非晶質シリカは、強アルカリ下において、溶解することが知られている状況下、本発明において用いられる、サブミクロン粒子を多く含むシリカフラワーも、非晶質であるところから、pH12以上においては、水溶液中にシロキサンポリマーとして、かかるシリカフラワーの表層の溶出が生じるようになるのであるが、本発明においては、それを活用して、ゾル-ゲル結合を生成させることによって、高強度な結合が形成されるようにしたのである。
なお、系のpHを上昇させる手法としては、苛性ソーダやメタ珪酸ソーダ等のアルカリ化合物を使用する場合が有り、前記したジオポリマー結合の形成においても、メタカオリンやフライアッシュ等の活性フィラーが用いられているのであるが、本発明において使用されるシリカフラワーは、そのような活性フィラーに比較して、1/10程度の粒径であり、表面活性度も高く、水と混合した初期において、pHが12以上(アルカリイオン濃度:10-2mol/L以上)になると、電解質濃度の上昇によって、電気二重層の厚みが10nm以下となり、粒子間力(van der Waals force )の影響距離:10nmを下回って、急激な凝集が惹起されるようになるのである。このため、急激なアルカリ濃度上昇をもたらす苛性ソーダやメタ珪酸ソーダ等の上記したアルカリ化合物は、本発明に従う不定形耐火物においては、使用し難いものとなる。特に、かかる粒子間力の影響距離と、電気二重層の厚さ、そして粒子間距離は、常温での凝集硬化を制御する上において、重要な因子となるのである。
そこで、本発明においては、44μmよりも大きな粒子を含まない、無水の珪酸アルカリガラス微粉を用いることとし、それによって、穏やかなアルカリイオン濃度の上昇を惹起させることにより、施工可使時間を確保しつつ、不定形耐火物の凝集硬化が有利に実現され得るようにしたのである。シリカフラワーの粒子間力による凝集硬化は、マグネシア(MgO)等の2価の金属酸化物を用いても実現し得るのであるが、その場合において、加熱脱水後から焼結開始温度域の強度発現に限界があるものであるところ、本発明に従って、所定粒度の無水の珪酸アルカリガラス微粉を用いることによって、先の高強度結合を示すジオポリマー結合と同様に、アルカリ刺激により、シリカフラワーの非晶質特性やサブミクロン粒径による表面活性を利用して、低温でのゾル-ゲル結合を有利に生じさせることが出来ることとなったのである。
これに対して、無水の珪酸アルカリガラス微粉であっても、44μmよりも大きな粒径の粒子を含むものにあっては、単位容量マトリックス中に分布する個数が少ない状態となることに加えて、比表面積が小さいために、アルカリ溶出量が少なく、結果として、シリカフラワーからのシロキサン溶出に必要なアルカリイオン濃度の実現や、そのような濃度の均一化に欠けることにより、充分な高強度特性を実現することが出来ず、本発明の目的が達成され難くなるのである。
なお、本発明において用いられる無水の珪酸アルカリガラス微粉は、公知の珪酸ソーダや珪酸カリの無水物からなる微粉であって、公知のものの中から、適宜に選定され得るものである。具体的には、例えば、無水の珪酸ソーダガラス微粉は、その出発原料となる高純度珪砂とソーダ灰(炭酸ソーダ)又は苛性ソーダとを混合して、加熱溶融せしめた後、冷却して得られるガラス(カレット)を微粉砕することにより、製造されるものである。また、SiO2/Na2Oのモル比としては、2.5~3.5程度の範囲内において、適宜に選定されることとなる。そして、その得られたガラス(カレット)の微粉砕物を、必要に応じて、325メッシュのタイラー(Tyler)標準篩にて篩い分けすることによって、得られる篩下のもの(-325メッシュ物)が、44μmよりも大きな粒子を含まない、換言すれば-44μmである無水の珪酸アルカリガラス微粉として、用いられることとなるのである。
ところで、常温下における凝集硬化及び加熱脱水過程においてゾル-ゲル結合を生じさせる無水の珪酸アルカリガラス微粉は、温度上昇により溶解度が上昇し、合わせて、脱水による濃縮が惹起されて、シリカフラワー表面のシロキサンポリマーの溶出が生じ、更に脱水が進行すると、シラノール基の重縮合が生じ、強固な結合を、シリカフラワー間及びシリカフラワーと耐火材料(粒子)との間で生じさせることとなる。
そして、本発明者らが、シャモット質耐火性原料やボーキサイト質耐火性原料を用いた異なる耐火材料に対して、シリカフラワーの含有量を10重量%とした(シャモット質原料使用時では12.9容量%に相当し、ボーキサイト質原料使用時には14.9容量%に相当する)耐火材料組成物を用いて、それに、6~7重量%の外添水量において、無水珪酸ソーダガラス微粉の外添量と乾燥後圧縮強さとの関係を調べたところ、絶対強度はシリカフラワー容積比との相関性は少なく、珪酸ソーダガラス微粉が0.5重量%~0.7重量%の添加量のところで、明らかな変曲点が存在することが確認された。この現象は、活性フィラーが、非晶質珪酸のシリカフラワーで、アルミナは関与していないが、ジオポリマー結合に近いものと考えられるものであり、珪酸アルカリガラス微粉量は、シリカフラワー容積比と相関性はなく、必要とされるアルカリ濃度をもたらす珪酸アルカリガラス微粉は、0.5重量%以上の割合で外添する必要があることが認められ、またシリカフラワー容積比についても、乾燥強度との相関性は低く、構成する原料間の結合に必要な最小量以上では、水量、構成原料、粒度等の因子が大きいことが考えられた。
要するに、無水の珪酸アルカリガラス微粉の利用は、初期アルカリイオン濃度を抑え、穏やかな溶解によって、アルカリイオンとシロキサンポリマーの溶出を実現するものであり、また、かかるアルカリイオン濃度が電気二重層の圧縮をもたらして、凝集硬化に至らしめるものである。しかし、加熱脱水過程において、更に、アルカリイオン濃度の上昇が生じることとなるが、非晶質のシリカフラワーの溶解を生じさせるためには、0.5重量%以上の珪酸アルカリガラス微粉の外添がなければ、シリカフラワーからのシロキサンポリマーの溶出、ゾルの形成、ゲル結合をもたらし得ないことが、乾燥後の強度の発現状況から明らかとなったのである。
また、かかる珪酸アルカリガラス微粉の使用量の上限は、初期溶出アルカリイオンによるシリカフラワーの凝集点、また高温においては、MgOの如きアルカリ酸化物は焼結促進にも有効となるのであるが、シリカ―アルカリ酸化物(-他成分)の組成構成は低融点酸化物を生成して、耐火性の低下をもたらすようになるところから、構成原料の組成及び使用条件から求められる耐火特性をもって決定することが望ましい。本発明に従うゲル結合組織の有する耐酸性は優れたものであるが、その特性を重要視する場合には、その使用上限量の制約は低くなることとなる。
さらに、耐火材料とシリカフラワーからなる耐火材料組成物の100重量部に対して、上記した珪酸アルカリガラス微粉の添加量(外添量)が5重量部、換言すれば、5重量%を越えるようになると、水と混合した直後に、アルカリ濃度の上昇が惹起され、作業に必要な時間が確保することが出来なくなり、作業可使時間(ワーカビリティ)が低下する問題を生じる。なお、耐酸機能を優先させる場合は別として、アルカリイオン濃度の増加は、シリカフラワーとの低融点液相の生成に繋がり、耐火性の低下をもたらすようになるところから、耐火材として使用する場合にあっては、アルカリ成分は一般的に少ない方が好ましいと言うことが出来る。
そして、かくの如き本発明に従う不定形耐火物を用いた、流し込み施工、塗り込み施工、吹き付け施工等の施工に際しては、その流し込みや吹き付けに必要な作業性を得るために、不定形耐火物に添加される水量は、それぞれの施工方法に応じて適宜に決定されることとなるが、添加水量は、出来得る限り少ないことが好ましい。常温での凝集硬化を決定する因子として、スラリー濃度は粒子間距離を決定し、その距離が短いほど、粒子間の衝突機会が上昇して、凝集硬化を安定したものとさせるからである。更に、自由水の量は、脱水乾燥時における表面張力による収縮に繋がるものとなる。加熱脱水時に生じるゾル-ゲル化反応においても、粒子間の粒子間力(ファンデルワールス力)で凝集状態にあるほど、組織全体の結合に寄与することとなる。なお、添加水量の低減には、使用耐火原料の吸水率、粒度構成も大きく影響することとなるが、微粉部の良好な分散をさせることが必要であり、そのために、主要活性フィラーであるシリカフラワーの分散に有効な分散剤の選択が、重要であると言うことが出来る。
本発明においては、そのような分散剤として、有機酸塩や縮合リン酸塩等が、好適に用いられることとなる。具体的には、有機酸塩としては、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等を例示することが出来、また縮合リン酸塩としては、ヘキサメタリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等を例示することが出来、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。中でも、本発明にあっては、ポリリン酸、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、アルキルベンゼンスルフォン酸やそれらの塩等が、有利に用いられることとなる。そして、このような分散剤は、一般に、前記耐火材料組成物の100重量部に対して、0.02~1.0重量部程度、好ましくは0.05~0.5重量部程度の割合において、用いられることとなる。
また、本発明に従う不定形耐火物の常温での硬化を確かなものとするには、流し込みの如き施工の後、所定の時間内に、シリカフラワーの凝集に必要なアルカリイオン濃度に達するようにする必要があり、この常温下での凝集硬化の促進のために、含水粉末珪酸アルカリ(Na,K)、即ち珪酸アルカリの水和物乃至は水化物の粉末を添加、配合せしめるようにした構成が、有利に採用されることとなる。なお、この含水粉末珪酸アルカリは、前記した無水の珪酸アルカリガラス微粉の製造に用いられた珪酸アルカリガラス(カレット)を、オートクレーブ中において水に溶解せしめる一方、例えば、苛性ソーダにてSiO2/Na2Oのモル比を調整することにより、JIS規格の珪酸ソーダ1号~3号等として生産され、そしてその液体を、噴霧乾燥することにより、得られるものである。
また、このような含水粉末珪酸アルカリは、平均粒径が100μm~150μm程度の粉末形態において、用いられるものであり、一般に、耐火材料にシリカフラワーを配合してなる耐火材料組成物の100重量部に対して1質量部を越えない割合において用いられ、これによって、使用される耐火性原料から溶出されるイオンや、養生温度が低く、珪酸アルカリガラス微粉の溶解度が低下した場合において、常温での凝集硬化に必要なアルカリイオン濃度量が有利に確保され得ることとなる。なお、そのような含水粉末珪酸アルカリの配合量が多くなり過ぎると、初期アルカリイオン濃度の上昇が早くなり過ぎて、必要な可使時間を確保することが困難となるのである。
さらに、本発明に従う不定形耐火物においては、無機乃至は有機のアルカリ性塩が、耐火材料とシリカフラワーからなる耐火材料組成物の100重量部に対して0.1重量部以上の割合において、更に含有せしめられることが望ましく、それによって、乾式吹付け材の吹き付け後の保形性を有利に確保することが出来ることとなり、例えば、乾式吹付け施工においても、垂直壁で250mm以上の吹き付けが可能となることが確認されている。また、保形性発現の効果に関して、シリカフラワー・アルミナセメント系の不定形耐火物では有効とされている、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等の中性塩を用いた場合に、本発明においては、有効な結果は得られていない。
そのようなアルカリ性塩の添加により、静電反発力の中和による穏やかな凝集状態を生じさせて、保形性を付与し得ることとなるのであり、これによって、乾式吹付け施工が可能で、且つ表面仕上げ等の可使時間を確保した不定形耐火物が提供され得たのであるが、そこにおいて、かかるアルカリ性塩の使用量が0.1重量部よりも少なくなると、凝集作用に殆ど寄与することが出来ず、流動性を阻止することが困難となって、その目的を充分に達成し難くなるのである。また、そのようなアルカリ性塩の使用量の上限は、適宜に決定されることとなるが、耐火材料とシリカフラワーからなる耐火材料組成物の100重量部に対して0.5重量部を越えるようになると、その添加効果は限定的であり、アルカリ量の増加に繋がるのみとなるところから、本発明では、0.5質量部程度が、その上限とされることとなる。
なお、ここで用いられる無機乃至は有機のアルカリ性塩は、弱酸と強アルカリの塩であって、例えば、炭酸ソーダや炭酸カリ等のアルカリ金属の炭酸塩、酢酸ソーダや酢酸カリ等のアルカリ金属の酢酸塩等を例示することが出来るが、その中でも、特に、本発明にあっては、アルカリ金属の炭酸酸が有利に用いられることとなる。
このように、本発明に従う不定形耐火物には、その特性を高めるべく、所定の化合物乃至は材料が配合、含有せしめられることとなるのであるが、上記した成分以外にも、本発明にあっては、公知の各種の添加剤を適宜に配合せしめることが可能であり、例えば、有機繊維や無機繊維を配合せしめたり、硬化調整剤、硬化促進剤、硬化遅延剤等も、公知の如く配合することが、可能である。
そして、かくの如き構成からなる本発明に従う不定形耐火物は、その優れた特性によって、流し込み施工や乾式吹付け施工が可能な不定形耐火物として、有利に用いられ得ることとなるのであり、また、それによって、各種窯炉の内壁において、短期乾燥の要求又は熱間での施工に求められる易乾燥性不定形耐火材が提供され、更には、ダスト、触媒、流動床、流動砂等による耐摩耗が求められる高強度不定形耐火材が有利に提供され得ることとなるのであり、加えて、酸性分を含む酸性ガスに対する耐酸性不定形耐火材が、有利に提供され得るのである。
以下に、本発明の代表的な幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加えられ得るものであることが、理解されるべきである。
なお、以下の実施例及び比較例において得られた不定形耐火物に係る特性値、即ち、フロー値、24時間養生後の圧縮強度(25℃)、嵩比重、加熱後の線変化率、加熱後の曲げ強さ及び加熱後の圧縮強さ、吹付け保形性、通気率、爆裂試験については、それぞれ、以下の手法に従って測定乃至は評価した。また、以下に示す「%」及び「部」は、何れも、重量基準にて示されるものである。
(1)フロー値
各不定形耐火物について、それぞれ、JIS-R-2521:1995「耐火物用アルミナセメントの物理試験方法」の(5)フロー試験に従って測定したものである。このフロー値と一般的作業性との相関において、フロー値が130mm未満、130~160mm、160~200mm及び200mm超の場合において、それぞれ、吹き付け・塗り込み、振動鋳込み、流し込み及び自己流動が、作業法の目安とされている。
(2)24時間養生後の圧縮強度(25℃)
各不定形耐火物について、それぞれ、JIS-R-2553:1992に準じて、25℃の温度下において型枠内に鋳込み、24時間養生した後、脱枠して、その圧縮強度を25℃において測定した。
(3)嵩比重
各不定形耐火物について、110℃で24時間の乾燥を行い、そして冷却した後、25℃において、それぞれの嵩比重(t/m3 )を測定した。
(4)加熱後の線変化率
各不定形耐火物について、それぞれ、JIS-R-2553:1992に準拠して試験片を作製し、その得られた試験片について、110℃で24時間の加熱又は500℃で3時間の加熱の後、JIS-R-2554:1976に従って、各試験片の線変化率(%)を測定した。
(5)加熱後の曲げ強さ・加熱後の圧縮強さ
各不定形耐火物について、それぞれ、JIS-R-2553:1992に準拠して試験片を作製した。次いで、その得られた試験片について、110℃で24時間の加熱又は500℃で3時間の加熱を行った後、それぞれの試験片について、曲げ強さ及び圧縮強さを測定した。
(6)吹付け保形性
各不定形耐火物を、それぞれ、粉体状態において、乾式吹付け工法に従い、圧縮空気にて圧送し、吐出ノズル直近で水を加えた後、施工体に吹き付けることにより、かかる施工体に付着させた。そして、その付着状態を観察して、以下の評価基準にて評価した。
◎:付着物の自重によるダレや剥落が認められず、施工厚みを保持することが出来る。
△:施工厚みが50mm以上になると、自重でのダレが生じるようになる。
×:施工体への付着が認められない。
(7)通気率
各不定形耐火物について、それぞれ、JIS-R-2553:1992に準拠して、試験片を作製し、110℃で24時間の乾燥を行った後、充分に空冷し、JIS-R-2115:2008に準拠して、通気率を測定した。
(8)爆裂試験
各不定形耐火物を、恒温室内において、100mmφ×100mmhの円筒状型枠に鋳込み、24時間養生した後に、脱枠して、その得られた円柱状試験体の二つを、それぞれ、500℃、700℃又は900℃の温度の電気炉へ投入して加熱し、30分間保持した後に、取り出した際の各試料体について、その爆裂の有無や亀裂発生の有無を調べて、評価した。なお、評価に際しては、○:亀裂等発生なし、△:微少亀裂、表層の部分的破断の発生、×:破断等、50%以上の損壊、を基準にして、それぞれの試験体の二つについて評価した。
先ず、以下の実施例及び比較例において調製される不定形耐火物の構成成分として、以下の各種原料を準備した。
-耐火材料-
下記表1に示される特性を有する5種の耐火材料を準備した。
Figure 2023065003000001
-シリカフラワー-
組成:SiO2 97.0%,Al23 2.0%及びNa2O 0.4%、pH:7.3、粒度:<1μm、嵩比重:2.2g/cm3
-無水珪酸ソーダガラス微粉-
組成:SiO2 75.0%,Al23 0.5%及びNa2O 24.0%、平均粒径:11.38μm、粒度分布:4.5~26.1μm、SiO2:Na2O(モル比)=3:1、-44μm品と略称する。
-含水粉末珪酸ソーダ(水化珪酸ソーダ):
組成:SiO260.0%,Na2O 19.0%及びH2O 21.0%、SiO2:Na2O(モル比)=3:1
-分散剤-
ポリアクリル酸ソーダ(東亞合成株式会社製ジュリマー10NP、分子量:6000)
-塩化カリウム-
粒度:-100μm
-硫酸マグネシウム-
粒度:-100μm
-無水炭酸ソーダ-
Na2O 56.6%粒度:150μm
-アルミナセメント-
セカール71セメント(仏国:ラファージュ社製品)
-シリカゾル溶媒-
アルカリ安定化シリカゾル(固形分40%)
-硬化エージェント-
海水マグネシア 95%
-ヘキサメタリン酸ソーダ-
太平化学株式会社製ポリメタリン酸ナトリウム(Nan2n3n+1
-無水珪酸ソーダ粗粒-
組成:SiO2 75.0%,Na2O 24.0%及びAl23 0.5%、粒度:-65mesh(-251μm)、SiO2:Na2O(モル比)=3:1
(実施例1~6)
下記表2に示す各原料を用い、かかる表2に示される配合割合において、耐火材料、シリカフラワー、無水の珪酸ソーダガラス微粉(-44μm品)及び分散剤を均一に混合せしめて、各種の不定形耐火物を調製した。次いで、それら調製された不定形耐火物に対して、表2に示される割合の水を外添して、ミキサーにて均一に混練した後、JIS-R-2553:1992に準拠して、物性測定用の試料を作製して、それぞれの実施例における不定形耐火物についてのフロー値、24時間養生後の圧縮強度(25℃)、嵩比重、加熱後の線変化率、加熱後の曲げ強さ及び加熱後の圧縮強さを、それぞれ測定した。そして、それら得られた結果を、下記表2に併せ示した。
Figure 2023065003000002
かかる表2の結果から明らかなように、シリカフラワーの含有量が増加するに従って、24時間養生後の圧縮強度や、110℃及び500℃加熱後の曲げ強さ及び圧縮強さが、何れも、有利に向上せしめられ得ることとなるのである。また、寸法安定性に関係する加熱後の線変化率にあっても、シリカフラワーの含有量が多くなるに従って、線変化率が小さくなることが認められる。
(実施例7~12及び比較例1~2)
先の実施例と同様にして、下記表3に示される各原料を用いて、同表に示される配合割合において、耐火材料、シリカフラワー、無水の珪酸ソーダガラス微粉及び分散剤を均一に混合して、各種の不定形耐火物を調製した。
次いで、それら得られた不定形耐火物から、先の実施例と同様にして、試料を作製し、それぞれの物性を測定して、その結果を、下記表3に併せ示した。
Figure 2023065003000003
かかる表3の結果から明らかな如く、無水の珪酸ソーダガラスの配合量(含有量)が増加するに従って、24時間養生後の圧縮強度に加えて、110℃及び500℃加熱後の曲げ強さや圧縮強さも、効果的に向上せしめられ得ることとなり、また、加熱後の線変化率にあっても、有利に改善され得ていることが認められる。特に、耐火材料とシリカフラワーの合計使用量の100部に対して、珪酸ソーダガラス微粉の配合量が0.5~0.7部となる領域において、強度特性に関して、明確な変曲点があることを認めることが出来る。このため、そのような珪酸ソーダガラス微粉の配合量が0.5部未満である比較例1や比較例2においては、強度向上効果が充分に発揮され得ていないのである。
(実施例13~20及び21~28)
無水の珪酸ソーダガラス微粉の溶解度による常温硬化性の関係を、25℃及び5℃の養生温度にて、それぞれ調査した。また、耐火原料からの溶出アルカリ量の影響と、その補完として、易溶解性の含水粉末珪酸ソーダの添加効果を調査した。
具体的には、先の実施例と同様にして、下記表4及び表5に示される各原料を、それらの表に示される配合割合において均一に混合して、各種の不定形耐火物を調製した。次いで、それら得られた不定形耐火物から、先の実施例と同様にして、試料を作製して、それぞれの特性の評価を行い、その得られた結果を、下記表4及び表5にそれぞれ示した。なお、表4は、25℃の養生条件を採用した結果のものであり、また表5は、5℃の養生条件を採用したものの結果である。
Figure 2023065003000004
Figure 2023065003000005
これら表4及び表5の結果の対比から明らかなように、5℃の低温養生では、表5に示される如く、珪酸ソーダガラス微粉の溶解度の低下により、硬化時間の遅延が認められ、またアルカリ溶出量の少ないシャモット微粉を使用した場合においても、同様に、硬化の遅延が認められることが理解される。さらに、表4及び表5の何れの結果からも明らかな如く、含水の粉末珪酸ソーダの添加により、硬化促進効果が発揮され得ることとなるが、その過剰な添加は、急結性を生じさせる恐れがあることが認められた。
(実施例29~30及び比較例3~6)
不定形耐火物の吹き付け施工や塗り込み施工のために、保形性を付与するべく、凝集剤として公知の、塩化カリウム(KCl)や硫酸マグネシウム(MgSO4 )、また本発明において採用されるアルカリ性塩である炭酸ソーダ(Na2CO3)の添加効果について、調査した。
先ず、先の実施例と同様にして、下記表6に示される各原料と配合割合を採用して、それら成分を均一に混合することにより、各種の不定形耐火物を調製した。次いで、それら得られた不定形耐火物について、先の実施例と同様にして、それら不定形耐火物から得られる試料の物性を評価して、その結果を、下記表6に示した。
Figure 2023065003000006
かかる表6の結果より明らかな如く、従来から凝集剤として公知の塩化カリウムを添加した場合において、吹付け保形性は全く改善されておらず、また硫酸マグネシウムを添加した場合においては、吹付け保形性の向上は図り得るものの、加熱後の曲げ強さや圧縮強さは充分でなく、むしろ、その添加によって、それらの特性が低下するようになることが認められる。
これに対して、本発明に従って、アルカリ性塩としての炭酸ソーダを配合した実施例29,30の場合にあっては、その添加によって、吹付け保形性の改善と共に、加熱後の曲げ強さや圧縮強さの低下が有利に回避され得ることが認められるのである。
(実施例31及び比較例7,8)
本発明に従うシリカフラワー・珪酸ソーダガラス結合不定形耐火物と、従来のシリカフラワー・アルミナセメント結合不定形耐火物及びシリカゾル結合不定形耐火物との比較を行った。即ち、下記表7に示される各原料を、同表に示される配合割合において均一に混合して、各種の不定形耐火物を調製した後、先の実施例と同様にして、それら不定形耐火物から作製された試料の物性を評価し、その結果を、下記表7に併せ示した。
Figure 2023065003000007
かかる表7の結果より明らかなように、シリカフラワー・アルミナセメント結合不定形耐火物である比較例7においては、通気率が低く、そのために耐爆裂性に劣るものとなったのであり、また、シリカゾル結合不定形耐火物である比較例8においては、通気性や耐爆裂性には優れているものの、加熱後の曲げ強さや圧縮強さが充分でないことが認められた。これに対して、本発明に従うシリカフラワー・珪酸ソーダガラス結合不定形耐火物である実施例31においては、加熱後の曲げ強さや圧縮強さに優れていると共に、充分な通気率を有し、そのために耐爆裂性において良好な結果を示すものであった。
-実施例32,33及び比較例9-
無水珪酸ソーダの粒度の違いによる不定形耐火物の特性の変化を調べた。即ち、無水珪酸ソーダとして、44μmよりも大きな粒子を含まない、先の実施例において用いられた-44μm品と、かかる44μmよりも大きな粒子を含む-65メッシュ品(-251μm品)を用いて、下記表8に示される各原料を、同表に示される配合割合において、均一に混合して、それぞれの不定形耐火物を調製した。次いで、先の実施例と同様にして、それら不定形耐火物から作製された試料について、その特性を評価して、その結果を、下記表8に併せ示した。
Figure 2023065003000008
かかる表8の結果から明らかな如く、粒径の粗い無水珪酸ソーダ粗粒を用いてなる比較例9に係る不定形耐火物にあっては、24時間養生後の圧縮強度(25℃)を充分に発揮するものではないと共に、加熱後の曲げ強さや圧縮強さにおいても、充分な特性を発揮することが出来ないものであった。これに対して、本発明に従う、-44μm品である、粒径の小さな無水珪酸ソーダガラス微粉を用いた実施例32や実施例33においては、24時間養生後の圧縮強度(25℃)は勿論のこと、加熱後の曲げ強さ及び圧縮強さにおいても、優れた結果をもたらすものであった。

Claims (5)

  1. 耐火材料と共に、平均粒径が1μm以下のシリカフラワーを2容量%~20容量%の割合で含む耐火材料組成物の100重量部に対して、44μmよりも大きな粒子を含まない無水の珪酸アルカリガラス微粉を、少なくとも0.5重量部の割合で、更に含有せしめてなることを特徴とする易乾燥性高強度不定形耐火物。
  2. 含水粉末珪酸アルカリを、前記耐火材料組成物の100重量部に対して1重量部以上を越えない割合において、更に含有していることを特徴とする請求項1に記載の易乾燥性高強度不定形耐火物。
  3. 無機乃至は有機のアルカリ性塩を、前記耐火材料組成物の100重量部に対して0.1重量部以上の割合において、更に含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の易乾燥性高強度不定形耐火物。
  4. 前記アルカリ性塩が、アルカリ金属の炭酸塩であることを特徴とする請求項3に記載の易乾燥性高強度不定形耐火物。
  5. 分散剤が、更に含有せしめられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の易乾燥性高強度不定形耐火物。
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