以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[画像形成装置10の概略構成]
まず、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。
図1に示すように、前記画像形成装置10は、複数の画像形成ユニット1〜4と、中間転写ベルト5、光走査装置6、二次転写ローラー7、定着装置8、排紙トレイ9、給紙カセット21、及び搬送経路22などを備えるカラープリンターである。そして、前記画像形成装置10は、入力される画像データに基づいてシートにモノクロ画像又はカラー画像を形成する。前記シートは、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。また、本発明に係る画像形成装置の他の例として、ファクシミリー、コピー機、及び複合機などがある。
前記画像形成ユニット1〜4各々は、感光体ドラム101、帯電装置、現像装置、一次転写ローラー、及びクリーニング装置などを備える電子写真方式の画像形成ユニットである。前記画像形成ユニット1〜4は、前記中間転写ベルト5の走行方向(水平方向)に沿って並設されており、所謂タンデム方式の画像形成部を構成している。具体的に、前記画像形成ユニット1ではC(シアン)、前記画像形成ユニット2ではM(マゼンダ)、前記画像形成ユニット3ではY(イエロー)、前記画像形成ユニット4ではK(ブラック)に対応するトナー像が形成される。
前記中間転写ベルト5は、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラム101に形成された各色のトナー像が中間転写される中間転写部材である。前記光走査装置6は、入力される各色の画像データに基づいてレーザー光を前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラム101に照射することにより前記感光体ドラム101各々に静電潜像を形成する。
このように構成された前記画像形成装置10では、前記給紙カセット21から前記搬送経路22に沿って供給されるシートに以下の手順でカラー画像が形成され、画像形成後のシートが前記排紙トレイ9に排出される。なお、前記搬送経路22には、前記給紙カセット21に積載されたシートを前記二次転写ローラー7及び前記定着装置8を経て前記排紙トレイ9に搬送する各種搬送ローラーが設けられている。
まず、前記画像形成ユニット1〜4各々では、前記帯電装置により前記感光体ドラム101が所定の電位に一様に帯電される。次に、前記光走査装置6により前記感光体ドラム101各々の表面に画像データに基づくレーザー光が照射されることにより、前記感光体ドラム101各々の表面に静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム101各々の静電潜像は前記現像装置各々によって各色のトナー像として現像(可視像化)される。なお、前記現像装置各々には、各色に対応する着脱可能なトナーコンテナ11〜14からトナー(現像剤)が補給される。
続いて、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラム101に形成された各色のトナー像は、前記一次転写ローラー各々によって前記中間転写ベルト5に順に重ね合わせて転写される。これにより、前記中間転写ベルト5に画像データに基づくカラー像が形成される。次に、前記中間転写ベルト5上のカラー像は、前記二次転写ローラー7により、前記給紙カセット21から前記搬送経路22を経て搬送されるシートに転写される。その後、前記シートに転写されたカラー像は、前記定着装置8で加熱されて前記シートに溶融定着する。なお、前記感光体ドラム101各々の表面に残存したトナーは前記クリーニング装置各々で除去される。
また、前記画像形成装置10には、前記画像形成ユニット1〜3各々の前記感光体ドラム101及び前記一次転写ローラーと前記中間転写ベルト5とを接触及び離間させる離接機構(不図示)が設けられている。そして、前記画像形成装置10においてモノクロ画像が印刷される場合には、前記離接機構により前記画像形成ユニット1〜3各々の前記感光体ドラム101及び前記一次転写ローラーと前記中間転写ベルト5とが離間される。これにより、前記画像形成ユニット4から前記中間転写ベルト5にブラックのトナー像のみが転写され、前記中間転写ベルト5から前記シートにモノクロの画像が転写される。
[光走査装置6の構成]
次に、前記光走査装置6の詳細について説明する。
図1及び図2に示すように、前記光走査装置6は、ユニット筐体60、光源ユニット61、ポリゴンミラー(走査部材の一例)62、出射ミラー63〜66、走査レンズ67、及び反射ミラー68などを備える。前記光走査装置6では、前記画像形成ユニット1〜4各々に対応するレーザー光が前記光源ユニット61から照射され、不図示の駆動モーターによって駆動される前記ポリゴンミラー62によって予め設定された主走査方向D1に偏向走査される。前記ポリゴンミラー62で走査された光は、前記走査レンズ67及び前記反射ミラー68などの光学素子を介して前記出射ミラー63〜66各々に導かれる。そして、前記出射ミラー63〜66で反射するレーザー光は、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラム101に照射される。なお、前記感光体ドラム101の表面において主走査方向D1に垂直な方向、及び前記ポリゴンミラー62の表面において主走査方向D1に垂直な方向をそれぞれ前記副走査方向D2と称する。また、前記光源ユニット61から照射されるレーザー光の光軸の方向を光軸方向D3と称する。
図3及び図4に示すように、前記光源ユニット61は、LD基板611〜614、出射光学系615〜618、第1反射ミラー75、第2反射ミラー76、第3反射ミラー71〜74、シリンドリカルレンズ77、及びアパーチャー78を備える。前記光走査装置6では、前記光源ユニット61から照射される複数のレーザー光の走査に、前記第1反射ミラー75、前記第2反射ミラー76、前記シリンドリカルレンズ77、前記アパーチャー78、及び前記ポリゴンミラー62が共通して用いられる。なお、図4では、前記アパーチャー78の図示が省略され、前記アパーチャー78が装着される取付部601が示されている。
前記LD基板611〜614は、前記感光体ドラム101各々に対応するレーザー光を照射する光源としてレーザーダイオード611A〜614Aが搭載された基板である。ここで、前記レーザーダイオード611A〜614A各々は、前記副走査方向D2において異なる位置に配置されている。前記レーザーダイオード611A〜614A各々は、1つのレーザー光を照射するシングルビームレーザーダイオード又は、複数のレーザー光を照射可能なモノリシックマルチビームレーザーダイオードである。なお、前記レーザーダイオード611A〜614A各々が、前記モノリシックマルチビームレーザーダイオードである場合、前記光走査装置6は、前記感光体ドラム101各々に対して複数ライン同時に静電潜像を書き込むことが可能である。
前記出射光学系615〜618各々は、前記レーザーダイオード611A〜614A各々から照射されるレーザー光を平行光束として出射すると共に前記レーザー光の光路幅を制限する。
前記第3反射ミラー71〜74は、前記出射光学系615〜618各々から出射されるレーザー光を前記第1反射ミラー75に向けて反射させる。また、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76は、前記副走査方向D2を回転軸として予め定められた角度傾斜する状態で配置されている。これにより、前記第1反射ミラー75は、前記レーザー光各々を前記第2反射ミラー76に向けて反射させる。また、前記第2反射ミラー76は、前記レーザー光各々を前記ポリゴンミラー62に向けて反射させる。このとき、前記第2反射ミラー76で反射した前記レーザー光各々は、前記アパーチャー78を介して前記シリンドリカルレンズ77に入射する。
前記アパーチャー78は、前記第2反射ミラー76から前記シリンドリカルレンズ77に入射する前記レーザー光各々の主走査方向D1の幅を予め定められた範囲に制限する開口部781を有する。そして、前記アパーチャー78は、前記ユニット筐体60に形成された取付部601に挿入されて前記主走査方向D1における位置が調整された状態で前記ユニット筐体60に固定される。ここに、前記取付部601を有する前記ユニット筐体60が第1ベース部の一例である。
ここに、図5は、前記アパーチャー78が前記取付部601に挿入された状態を示す平面図である。図5に示すように、前記アパーチャー78は、前記アパーチャー78の長手方向に沿って形成された溝部782を有する。一方、前記取付部601には、前記溝部782に挿入される規制部602が設けられている。そして、前記アパーチャー78は、前記溝部782に前記取付部601の前記規制部602が挿入されることにより、前記光軸方向D3における移動が規制される。
一方、前記取付部601に前記アパーチャー78が挿入された状態で、前記アパーチャー78の溝部782の左右方向には前記規制部602に対して予め設定された調整幅w1の隙間が形成される。これにより、前記取付部601では、前記アパーチャー78の前記主走査方向D1における移動が予め設定された範囲で許容される。具体的に、前記アパーチャー78は、前記取付部601内において前記調整幅w1の2倍の幅の範囲内で前記主走査方向D1に移動可能な状態である。これにより、前記光走査装置6の組み立て時には、前記アパーチャー78の前記主走査方向D1における位置を調整することにより、前記ポリゴンミラー62における前記主走査方向D1のレーザー光の入射位置が調整可能である。なお、前記アパーチャー78は、第2アパーチャーの一例であり、前記開口部781は、第2開口部の一例である。
前記シリンドリカルレンズ77は、前記レーザー光各々を前記副走査方向D2に収束させて前記ポリゴンミラー62の反射面(偏向面)上に線像として結像させる収束レンズの一例である。ここで、前記レーザー光各々は、前記シリンドリカルレンズ77における前記副走査方向D2の異なる位置に入射することにより、前記ポリゴンミラー62に対してそれぞれ異なる角度で入射する。これにより、前記ポリゴンミラー62で反射した前記レーザー光各々は、分離して前記出射ミラー63〜66に導かれた後、前記画像形成ユニット1〜4各々の前記感光体ドラム101に導かれる。
ところで、前述したように、前記レーザーダイオード611A〜614A各々は、前記副走査方向D2の異なる位置に設けられる。ここで、前記光走査装置6において、前記ポリゴンミラー62から見て前記副走査方向D2の両方向に亘って複数の前記レーザーダイオード611A〜614Aが配置されることが考えられる。ここに、図6は、このように構成されたときの前記光走査装置6における前記副走査方向D2及び前記レーザー光の光軸方向D3を含む副走査平面に投影した状態を示す概念図である。図6に示すように、この場合、前記副走査方向D2において前記レーザーダイオード611A〜614Aの中心位置P1と前記ポリゴンミラー62の中心位置P2とが同一直線上に位置する。
しかしながら、図6に示す構成では、前記レーザーダイオード611A〜614A各々が搭載される前記LD基板611〜614の配置が、前記光走査装置6における前記副走査方向D2のサイズの小型化を阻害するおそれがある。具体的に、図6において、前記レーザーダイオード611A〜614Aのうち前記レーザーダイオード613A及び614Aが前記ポリゴンミラー62の中心位置P2よりも下方に配置されている。そのため、前記レーザーダイオード613A及び前記レーザーダイオード614Aが搭載された前記LD基板613及び前記LD基板614が前記光走査装置6における前記副走査方向D2のサイズの縮小化を阻害するおそれがある。
これに対し、前記光走査装置6では、複数の前記レーザーダイオード611A〜614Aから照射されるレーザー光を1つの前記ポリゴンミラー62を用いて走査させる構成が前記副走査方向D2のサイズの小型化を図りつつ実現される。以下、この点について説明する。ここに、図7は、本実施形態に係る前記光走査装置6における前記副走査方向D2及び前記レーザー光の光軸方向D3を含む副走査平面に投影した状態を示す概念図である。
図7に示すように、前記光源ユニット61では、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76各々が、前記主走査方向D1を回転軸として予め定められた角度傾斜する状態で配置されている。即ち、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76は、前記主走査方向D1を回転軸として予め定められた角度傾斜すると共に、前記副走査方向D2を回転軸として傾斜した状態で配置されている。
特に、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76は、前記レーザーダイオード611A〜614A各々から照射されるレーザー光L1〜L4の光軸方向D3に平行であって前記副走査方向D2の異なる位置に向けて前記レーザー光L1〜L4各々を反射させる。即ち、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76は、前記レーザー光L1〜L4を前記副走査方向D2に沿って平行移動させる。具体的には、図7に示すように、前記第1反射ミラー75は、前記レーザー光L1〜L4各々を前記副走査方向D2における下方に向けて反射させて前記第2反射ミラー76に入射させる傾斜を有する。また、前記第2反射ミラー76は、前記レーザー光L1〜L4各々を前記副走査方向D2に垂直な方向に向けて反射させて前記シリンドリカルレンズ77に入射させる傾斜を有する。
これにより、前記光走査装置6では、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76の傾斜角度を変化させることにより、前記副走査方向D2における前記レーザーダイオード611A〜614Aの位置と前記ポリゴンミラー62の位置とを任意にずらして配置することが可能である。即ち、前記光走査装置6では、前記レーザーダイオード611A〜614Aの中心位置P1と前記ポリゴンミラー62の中心位置P2とを平行な状態で離間させることが可能である。従って、前記光走査装置6では、前記レーザーダイオード611A〜614Aが搭載された前記LD基板611〜614を、前記副走査方向D2のスペースを有効に利用して配置することが可能であり、前記光走査装置6の前記副走査方向D2におけるサイズの小型化を図ることが可能となる。
ところで、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76各々が、前記副走査方向D2のみを回転軸として傾斜する場合には、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76による反射前後で前記レーザー光が前記光軸方向D3を回転軸として回転しない。しかしながら、前記光走査装置6のように、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76各々が、前記主走査方向D1を回転軸として傾斜すると共に、前記副走査方向D2を回転軸として傾斜する構成では、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76による反射前後で前記レーザー光が前記光軸方向D3を回転軸として回転する。そのため、前記第1反射ミラー75に入射する前記レーザー光と前記第2反射ミラー76で反射して前記シリンドリカルレンズ77に入射する前記レーザー光とは、前記光軸方向D3を回転軸とする回転方向における姿勢が異なる。
ここに、図8(A)及び図8(B)は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76各々が、前記主走査方向D1のみを回転軸として傾斜する場合の前記レーザー光のL4の反射経路を示す図である。また、図8(A)は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76で反射する前記レーザー光L4を前記主走査方向D1及び前記光軸方向D3を含む主走査平面に投影した状態を示す概念図である。一方、図8(B)は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76で反射する前記レーザー光L4を前記副走査方向D2及び前記光軸方向D3を含む副走査平面に投影した状態を示す概念図である。なお、図8(A)では、前記レーザー光L4の前記主走査方向D1の中心光線がL41、端光線がL42で示されている。
図8(A)に示すように、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76各々が、前記主走査方向D1のみを回転軸として傾斜する場合には、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76の間における前記中心光線L41及び前記端光線L42の光路長は異なるが、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76による反射前後の全体の光路長は同じである。また、図8(B)に示すように、前記第1反射ミラー75で反射して前記第2反射ミラー76に入射する前記レーザー光L4の前記副走査方向D2における位置が同一であるため、前記副走査平面における前記レーザー光L4は直線状となる。
これに対し、図9(A)及び図9(B)は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76各々が、前記主走査方向D1を回転軸として傾斜すると共に、前記副走査方向D2を回転軸としても傾斜する場合の前記レーザー光のL4の反射経路を示す図である。また、図9(A)は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76で反射する前記レーザー光L4を前記主走査平面に投影した状態を示す概念図である。一方、図9(B)は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76で反射する前記レーザー光L4を前記副走査平面に投影した状態を示す概念図である。なお、図11A及び図11Bにおいても、前記レーザー光L4の前記主走査方向D1の中心光線がL41、端光線がL42で示されている。
図9(A)に示すように、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76各々が、前記主走査方向D1を回転軸として傾斜すると共に、前記副走査方向D2を回転軸としても傾斜する場合には、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76の間における前記中心光線L41及び前記端光線L42の光路長のみでなく、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76による反射前後の全体の光路長も異なる。また、図9(B)に示すように、前記第1反射ミラー75で反射して前記第2反射ミラー76に入射する前記レーザー光L4の前記副走査方向D2及び前記光軸方向D3における位置が変化するため、前記副走査平面における前記レーザー光L4の前記中心光線L41及び前記端光線L42が前記副走査方向D2に離間する平行な光となる。即ち、前記シリンドリカルレンズ77に入射する前記レーザー光L4は、前記第1反射ミラー75に入射する前記レーザー光L4に対して前記光軸方向D3を回転軸として回転した状態となる。
そこで、前記光走査装置6では、前記出射光学系615〜618各々において、前記レーザーダイオード611A〜614Aからのレーザー光が予め定められた角度傾斜した状態で前記第3反射ミラー71〜74に向けて出射される。ここに、図10及び図11は、前記出射光学系618の構成を示す図であって、図10は、図3におけるX−X矢視断面図であり、図11は、図10におけるXI−XI矢視断面図である。なお、ここでは前記出射光学系618を例に挙げて説明し、前記出射光学系618と同様に構成された前記出射光学系615〜617については説明を省略する。
図10及び図11に示すように、前記出射光学系618は、ベース部681、壁部682、コリメータレンズ81、及びアパーチャー82を備える。前記ベース部681及び前記壁部682は、前記ユニット筐体60の一部である。前記壁部682には、前記LD基板614に搭載された前記レーザーダイオード614Aが挿入される貫通部683が設けられている。
前記コリメータレンズ81は、接着剤を用いて前記ベース部681に接着固定されている。前記コリメータレンズ81は、前記LD基板614の前記レーザーダイオード614Aから照射されるレーザー光を平行光束にして出射する。なお、図3に示すように、前記出射光学系616〜618では、前記コリメータレンズ81及び前記第3反射ミラー72〜74の間に前記アパーチャー82が配置されており、前記出射光学系615では、前記コリメータレンズ81及び前記アパーチャー82の間に前記第3反射ミラー71が配置されている。
前記ベース部681には、前記ベース部681の表面681A及び裏面681Bに貫通して形成され、前記アパーチャー82が挿通可能な貫通部684が設けられている。前記貫通部684は、図11に示すように、前記主走査方向D1に対して前記光軸方向D3周りに予め定められた角度傾斜して形成されている。そして、前記ベース部681では、前記アパーチャー82が前記貫通部684に挿通された状態で接着剤を用いて接着固定される。なお、前記ベース部681は、第2ベース部の一例である。
また、前記貫通部684は、長手方向の両端部から開口内側に突出して形成され、前記アパーチャー82に設けられている後述の溝部84に挿入可能な規制部685を有する。なお、前記規制部685は、前記ベース部681の表裏面に亘って形成されている。
前記アパーチャー82は、開口部83及び溝部84を有する。前記開口部83は、前記コリメータレンズ81から前記第3反射ミラー74に向かうレーザー光の光路幅を予め定められた範囲に制限するために用いられる。ここに、前記アパーチャー82の前記開口部83の長手方向D4の幅は、前記アパーチャー78の前記開口部781の前記主走査方向D1の幅よりも大きく、前記アパーチャー82の前記開口部83の短手方向の幅は、前記アパーチャー78の前記開口部781の前記副走査方向D2の幅よりも小さい。なお、前記アパーチャー82は、第1アパーチャーの一例であり、前記開口部83は、第1開口部の一例である。そして、前記アパーチャー82は、前記開口部83が前記開口部83の長手方向D4が前記主走査方向D1に対して前記光軸方向D3周りに予め定められた角度傾斜した状態で配置される。具体的に、前記アパーチャー82は、前記ベース部681の前記貫通部684に挿通されることにより、前記主走査方向D1に対して前記光軸方向D3を回転軸として傾斜した状態で配置される。
ここで、前記開口部83の傾斜角度は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76の入射前後の前記レーザー光の前記光軸方向D3周りの回転角度と絶対値が同じである。一方、前記開口部83の傾斜方向は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76への入射前後における前記レーザー光の前記光軸方向D3周りの回転方向に対して反対方向である。
なお、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76の入射前後の前記レーザー光の前記光軸方向D3周りの傾斜角度は、前記第1反射ミラー75の前記主走査方向D1及び前記副走査方向D2各々を回転軸としたときの傾斜角度と、前記第2反射ミラー76の前記主走査方向D1及び前記副走査方向D2各々を回転軸としたときの傾斜角度とに基づいて算出可能である。
前記溝部84は、前記アパーチャー82の長手方向に沿って形成されており、前記溝部84には、前記貫通部684の前記規制部685が挿通される。これにより、前記光軸方向D3及び前記開口部83の長手方向D4における前記アパーチャー82の移動を規制する。一方、前記アパーチャー82は、前記溝部84及び前記貫通部684により、前記長手方向D4及び前記光軸方向D3各々に垂直な挿通方向D5における移動が許容される。
そして、前記出射光学系618では、前記貫通部684内における前記アパーチャー82の前記挿通方向D5の位置が調整された後、前記アパーチャー82が接着剤によって前記ベース部681に接着固定される。このとき、例えば前記接着剤には、紫外線の照射により硬化する光硬化性樹脂が用いられる。この場合、前記光硬化性樹脂が前記アパーチャー82及び前記貫通部684に塗布された後、前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する必要がある。ここで、前記アパーチャー82を把持可能な位置が前記アパーチャー82の上端部82Bのみであると、前記光硬化性樹脂を塗布する際及び前記光硬化性樹脂に紫外線を照射する際に、前記アパーチャー82を把持するロボットアームのチャック部又は作業者の手などが邪魔になる。
これに対し、前記出射光学系618では、前記アパーチャー82は、前記レーザー光が前記開口部83に入射する位置まで前記貫通部684に挿通された状態で、前記ベース部681の裏面681B側から下端部82Aが突出する長さを有している。そのため、前記アパーチャー82の下端部82Aを前記ベース部681の裏面681B側においてロボットアームのチャック部又は作業者の手などで把持した状態で、前記アパーチャー82及び前記貫通部684に光硬化性樹脂を塗布し、その光硬化性樹脂に上方から紫外線を照射することが可能である。なお、前記アパーチャー82の上端部82Bが把持された状態で、前記ベース部681の裏面681B側から前記アパーチャー82及び前記貫通部684に光硬化性樹脂が塗布され、前記ベース部681の裏面681B側から光硬化性樹脂に紫外線が照射されることも考えられる。
このように構成された前記光走査装置6では、前記レーザーダイオード611A〜614Aから照射されて前記第3反射ミラー71〜74に入射する前記レーザー光の光路幅が、前記主走査方向D1に対して前記光軸方向D3を回転軸として傾斜した前記開口部83によって制限される。ここに、図12は、前記光走査装置6において前記レーザーダイオード611A〜614Aから前記第3反射ミラー71〜74各々及び前記シリンドリカルレンズ77に入射する前記レーザー光L1〜L4を前記光軸方向D3から見た模式図である。
図12に示すように、前記第3反射ミラー71〜74各々に入射する前記レーザー光L1〜L4は、前記アパーチャー82の前記開口部83で光路幅が制限されることにより、前記主走査方向D1に対して前記光軸方向D3を回転軸として傾斜した状態となる。そして、前記光走査装置6では、前記第3反射ミラー71〜74で反射して前記レーザー光L1〜L4が、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76で反射した後、前記シリンドリカルレンズ77に入射する。ここで、前記第1反射ミラー75に入射する前記レーザー光L1〜L4は、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76の反射前後で前記光軸方向D3を回転軸として前記第3反射ミラー71〜74における前記レーザー光L1〜L4の傾斜方向とは反対方向に回転することになる。そのため、前記光走査装置6では、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76により、前記シリンドリカルレンズ77に入射する前記レーザー光L1〜L4の長手方向を、図12に示すように前記主走査方向D1と平行にすることが可能である。
従って、前記光走査装置6では、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76を用いて前記レーザー光L1〜L4を前記副走査方向D2に平行移動させることが可能な構成において、前記シリンドリカルレンズ77に入射する前記レーザー光L1〜L4の傾きを抑制することができる。なお、前記第1反射ミラー75及び前記第2反射ミラー76の傾斜角度の関係において、前記シリンドリカルレンズ77に入射する前記レーザー光L1〜L4に傾きが生じない場合には、前記アパーチャー82における前記開口部83が傾斜していない構成も他の実施形態として考えられる。
さらに、前記光走査装置6の前記光源ユニット61では、図4に示すように、前記第3反射ミラー71〜74が、上端面71A〜74Aが前記主走査方向D1に対して傾斜した状態で配置されている。具体的に、図12に示すように、前記第3反射ミラー71〜74は、矩形状であって、前記第3反射ミラー71〜74の上端面71A〜74Aが前記主走査方向D1に対して前記レーザー光L1〜L4の長手方向の傾斜角度と同じ角度だけ傾斜する姿勢で固定されている。そのため、前記レーザー光L1〜L4の前記副走査方向D2の間隔h1として、前記レーザー光L1〜L4の傾きを許容するために必要な幅を抑制することが可能である。従って、前記レーザーダイオード611A〜614Aの前記副走査方向D2における配置間隔を短くすることが可能であり、前記光走査装置6の前記副走査方向D2におけるサイズの縮小化を図ることが可能である。なお、前記第3反射ミラー71〜74各々が、前記上端面71A〜74Aが前記レーザー光の光軸方向D3を回転軸として前記開口部83の長手方向D4と同じ角度傾斜する形状のミラーであることも考えられる。
これに対し、図13は、前記第3反射ミラー71〜74が、前記上端面71A〜74Aが前記主走査方向D1と平行な姿勢で固定されている構成例を示している。図13に示す構成では、前記レーザー光L1〜L4の前記副走査方向D2の間隔h1として、前記レーザー光L1〜L4の傾きを許容するために確保する必要のある幅が大きくなるため、前記光走査装置6の前記副走査方向D2におけるサイズの縮小化が阻害される。
また、前記光走査装置6では、前記アパーチャー78が、前記レーザー光各々の照射方向における前記第2反射ミラー76と前記シリンドリカルレンズ77との間に配置されている。そのため、前記レーザー光の長手方向が前記主走査方向D1に平行な状態で前記レーザー光の前記主走査方向D1の幅を制限することが可能である。従って、前記取付部601は、前記アパーチャー78が前記主走査方向D1にのみ移動可能な形状であればよい。そのため、前記光源ユニット61では、前記開口部83の長手方向D4に前記アパーチャー82を移動可能に前記貫通部684を構成する場合に比べて簡素な構造で前記レーザー光の前記主走査方向D1の幅を制限可能な構成が実現される。
なお、前記アパーチャー78の設置位置は、前記レーザー光の照射方向における前記第2反射ミラー76の下流側であって前記ポリゴンミラー62の上流側であればよい。例えば、前記アパーチャー78が、前記シリンドリカルレンズ77と前記ポリゴンミラー62との間に配置されてもよい。また、前記光走査装置6において、前記アパーチャー78が省略され、前記貫通部684が、前記開口部83の長手方向D4に平行な方向への前記アパーチャー82の移動を予め設定された調整範囲で許容することも他の実施形態として考えられる。なお、前記貫通部684は、前記取付部601及び前記アパーチャー78と同様の構成により、前記アパーチャー82の前記開口部83の長手方向D4に平行な方向への移動を許容することが考えられる。この場合でも、前記シリンドリカルレンズ77に入射するレーザー光の主走査方向D1の幅を予め定められた範囲に制限することが可能である。