以下に、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を複数種類の機能を有するいわゆる複合機に適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る複合機の要部構成を示す概略的縦断面図である。図1において、符号「1」は本発明に係る複合機を表す。本発明に係る複合機1は、原稿読取部100、画像形成装置200、後処理装置300、及び、用紙スタック部400を備えている。
原稿読取部100は、上面に透明なガラス等からなる原稿台101を有している。この原稿台101の下方には、該原稿台101に載置された原稿を光学的に読み取るためのスキャナ光学系111が配されている。
スキャナ光学系111は、原稿台101上に載置された原稿に光を照射するための露光用光源112と、該原稿で反射された光を受光する光電変換素子(CCD)115とからなり、露光用光源112と光電変換素子115との間には、原稿で反射した光を光電変換素子115に導くための複数の反射鏡113と、該反射鏡113により導かれた光を光電変換素子115上に結像させるための結像レンズ114とが配置されている。
光電変換素子115から出力されるアナログの出力信号は、デジタル信号(原稿画像データ)に変換され、画像処理が施された後、画像形成装置200に備えられたLSU(レーザスキャニングユニット)201に送出される。
画像形成装置200は、記録用紙Pに画像形成(印刷)するための画像形成部210と、記録用紙Pを収容すると共に、記録用紙Pを該画像形成部210に搬送するための給紙搬送部220とを有する。
画像形成部210は、LSU201と、該LSU201からのレーザ光が表面に照射されることにより静電潜像が形成される感光体211とを有している。
感光体211は、図中の矢印方向に回転駆動されるドラム形状をなしており、感光体211の周囲にはLSU201からのレーザ光の照射ポイントから感光体211の回転方向に沿って、現像装置212、転写チャージャ213、除電器214、主帯電器215が配置されている。
現像装置212は、レーザ光により露光された感光体211表面の静電潜像をトナーにより可視像(トナー像)に現像し、転写チャージャ213は、感光体211上のトナー像を記録用紙Pに転写し、除電器214は、トナー像の転写後の感光体211上に残留している電荷を除去し、主帯電器215は、残留電荷が除去された感光体211表面を所定の電位に帯電させる。さらに、図示しないが、転写チャージャ213と除電器214との間には、トナー像の転写後の感光体211上に残留しているトナーを除去するためのクリーニング装置が設けられている。
LSU201は、原稿読取部100にて読み取られた原稿画像データに限定されず、外部に接続されたコンピュータ(図示せず)等の外部機器からの画像情報、通信等により受信したFAX情報に基づいてレーザを感光体211に照射する。
したがって、複合機1は、原稿読取部100により原稿画像を読み取って用紙に画像を形成する複写機能、通信等によるFAX情報に基づいて用紙に画像を形成するFAX機能、コンピュータ等の外部機器からの画像情報に基づいて用紙に画像を形成するプリント機能を有する複合機となっている。
給紙搬送部220には、記録用紙Pをストックして、記録用紙Pを給紙するための用紙カセット221と、画像形成装置200の外側から記録用紙Pを給紙するための手差しトレイ222とが設けられている。
用紙カセット221の記録用紙P送り側の先端部には、該用紙カセット221に収容されている記録用紙Pを給紙するための呼び込みローラ223と、収容された記録用紙Pを一枚ずつ確実に送り出すことができるように、ローラと摩擦シート部材あるいは逆転ローラ等からなる用紙さばき部(図示せず)とが配置されている。
記録用紙Pの搬送経路において、呼び込みローラ223より下流側には、画像形成部210における画像形成位置に記録用紙Pを導くための送り出し用のピックアップローラ224と、第1給紙路225とが設けられている。
一方、手差しトレイ222の記録用紙P送り側の先端部には、手差しトレイ222上の記録用紙Pを給紙するための呼び込みローラ226と、記録用紙Pを画像形成部210における画像形成位置に導くための送り出し用のピックアップローラ227と、第2給紙路228とが設けられている。
画像形成部210の画像形成位置の手前には、第1給紙路225又は第2給紙路228から給送された記録用紙Pを所定のタイミングで感光体211のトナー像の転写位置(画像形成位置)に搬送するためのレジストローラ229が設けられている。
レジストローラ229は、第1給紙路225及び第2給紙路228に設けられたレジスト前検知スイッチ(例えば、後述の用紙検知センサー240)により、該第1給紙路225又は第2給紙路228の何れかを記録用紙Pが通過したことを示す検知信号に基づいて、上記感光体211上のトナー像と記録用紙Pとの位置合わせを行うよう駆動される。
記録用紙Pの搬送経路において、感光体211上のトナー像が記録用紙Pに転写される転写位置より下流側には、記録用紙P上に転写されたトナー像を熱により定着させるための定着ローラ230が設けられている。
また、記録用紙Pの搬送経路において、定着ローラ230より下流側には、定着済の記録用紙Pを搬送する用紙搬送パス231と、該用紙搬送パス231を経て搬送される記録用紙Pを画像形成装置200の外部に排出するための排紙ローラ232に導くための第1用紙搬送路233とが設けられている。
排紙ローラ232から排出された記録用紙Pは、原稿読取部100の下方に形成された第1排紙部234に排出される。
記録用紙Pの搬送経路において、第1用紙搬送路233の上流側には、記録用紙Pを第1用紙搬送路233又は後処理装置300に通じる用紙搬送パス236の何れかに切り替えて導くための第1切替ゲート235が設けられている。第1切替ゲート235は、第1用紙搬送路233と用紙搬送パス236との分岐点を支点として回動自在に設けられている。つまり、第1切替ゲート235は記録用紙Pを第1用紙搬送路233に導く場合には、用紙搬送パス236を閉塞する方向(上側)に回動し、記録用紙Pを用紙搬送パス236に導く場合には、第1用紙搬送路233を閉塞する方向(下側)に回動するように構成されている。
また、給紙搬送部220には、用紙搬送パス231に沿って反転搬送路237が設けられている。反転搬送路237は、記録用紙Pの両面に画像を形成する両面印刷時に使用される搬送路であり、反転搬送路237において、記録用紙Pは、用紙搬送パス231での搬送方向とは反対方向に搬送され、レジストローラ229まで搬送される。
よって、両面印刷が行われる記録用紙Pは、片面に画像が形成されて用紙搬送パス231に搬送された後、用紙搬送パス236により後処理装置300に一旦導かれ、後処理装置300においてスイッチバックされ、再び用紙搬送パス236を通過して反転搬送路237に搬送される。
そして、反転搬送路237に搬送された記録用紙Pは、レジストローラ229を介して、再びトナー像の転写位置に搬送され、画像形成されていない面にトナー像が転写され、定着ローラ230により熱定着されて用紙搬送パス231に送り出される。
用紙搬送パス231と反転搬送路237との分岐点には、切替ゲート238が設けられており、記録用紙Pが反転搬送路237に搬送される場合に、用紙搬送パス231を閉塞するように回動して、用紙搬送パス231への記録用紙Pの搬送を防止する。
また、複合機1においては、印刷を行うため記録用紙Pを搬送する用紙搬送路、すなわち、レジストローラ229近傍から切替ゲート238近傍までの経路(図中、実線にて表示)には、該経路における記録用紙Pの有無を検出する用紙センサー(図示せず)が装着されている。前記実線に係る経路(以下、斯かる経路を検知可能用紙搬送路とも言う。)においては、上述したように、記録用紙Pはレジストローラ229から切替ゲート238に向けて搬送される。
一方、印刷を行うため記録用紙Pを搬送する用紙搬送路であっても、記録用紙Pを判定させるための反転搬送路237(図中、点線にて表示)には前記用紙センサーの装着を省き、製造コストダウンを図っている。前記点線に係る経路(以下、斯かる経路を検知不可能用紙搬送路とも言う。)においては、上述したように、記録用紙Pは切替ゲート238からレジストローラ229に向けて搬送される。
また、検知不可能用紙搬送路の下流側は、レジストローラ229の近傍にて検知可能用紙搬送路の上流側と合流するように構成されている。すなわち、記録用紙Pは検知不可能用紙搬送路にて搬送される際、裏表が反転された後、検知可能用紙搬送路の画像形成位置に搬送される。
更に、レジストローラ229の近傍であって、前記検知可能用紙搬送路及び前記検知不可能用紙搬送路の合流点には、記録用紙Pの有無を検知する用紙検知センサー(検知部)240が設けられている。用紙検知センサー240は、用紙カセット221から第1給紙路225を経て検知可能用紙搬送路に搬送される記録用紙Pの有無を検知し、また、前記検知不可能用紙搬送路を経て前記検知可能用紙搬送路に搬送される記録用紙Pの有無を検知する。
後処理装置300は、画像形成装置200の用紙搬送パス236から搬送された記録用紙Pを後述する第2用紙搬送路であるエスケープパス302又は第3用紙搬送路であるステイプルトレイ303に導くための用紙搬送パス301と、用紙搬送パス301を介して搬送された記録用紙Pをエスケープパス302又はステイプルトレイ303に排出するための排紙ローラ318とが設けられている。
用紙搬送パス301の記録用紙P搬送方向下流側のエスケープパス302とステイプルトレイ303との分岐点には、第2切替ゲート304が設けられている。この第2切替ゲート304は、斯かる分岐点を支点として回動可能に設けられており、エスケープパス302に記録用紙Pを導く場合には、ステイプルトレイ303を閉塞する方向に回動し、ステイプルトレイ303に記録用紙Pを導く場合には、エスケープパス302を閉塞する方向に回動する。
エスケープパス302は、ステイプル処理等の後処理が施されない記録用紙Pを搬送する搬送路であり、記録用紙Pの搬送部分が原稿読取部100の原稿台101と略平行となるように形成されており、記録用紙Pを用紙スタック部400に搬送する。
一方、ステイプルトレイ303は、ステイプル等の後処理が施される記録用紙Pを搬送する搬送路であり、エスケープパス302の下方で該エスケープパス302と略平行に形成されおり、該エスケープパス302と同様に記録用紙Pを用紙スタック部400まで搬送する。
また、ステイプルトレイ303では、略水平状態で記録用紙Pをストックして整合を行い、この水平状態で整合された記録用紙Pに対して後述するステイプルユニット308によりステイプル処理が施されるように構成されている。
ステイプルトレイ303において、記録用紙Pの搬送の下流側には、ステイプル処理を行うステイプルユニット308と、ステイプルユニット308によりステイプル処理が施された記録用紙P束を排出するための排紙ローラ309とが設けられている。
用紙スタック部400は、後処理装置300を通過した記録用紙Pをスタックするものであり、第2排紙部としての第1用紙スタックトレイ401と、第3排紙部としての第2用紙スタックトレイ402とを備えている。
第1用紙スタックトレイ401には、後処理装置300のエスケープパス302から第1排紙路305を経て排出される記録用紙Pがスタックされる。すなわち、第1用紙スタックトレイ401には、後処理装置300を通過しているが、ステイプル処理等の後処理が行われなかった記録用紙Pがスタックされる。
一方、第2用紙スタックトレイ402には、後処理装置300のエスケープパス302又はステイプルトレイ303の何れかを経て排紙ローラ309から排出される記録用紙Pがスタックされる。すなわち、第2用紙スタックトレイ402には、主にステイプル処理等の後処理が施された記録用紙Pがスタックされるが、ステイプル処理等の後処理が行われなかった記録用紙Pもスタックされる。
また、第2用紙スタックトレイ402は、記録用紙Pの積載量に応じて上下動するように構成されている。すなわち、記録用紙Pの積載量が多くなれば、第2用紙スタックトレイ402は、所定の位置から下方に移動するように構成されている。
図2は本発明の実施の形態1に係る複合機1の要部機能を示す機能ブロック図である。本発明の実施の形態1に係る複合機1は、制御部900と、操作パネル500と、表示部600と、記憶部700と、計時部800とを更に備えている。
操作パネル500は、複合機1における「ファクシミリ」、「メール」等の機能を切り替える機能ボタン、テンキー、スタートキー、キャンセルキー、受け付けた指示を確定するためのエンターキー、原稿読取部100を介して読み取った原稿の画像を記録用紙P上に画像形成するための「出力」キー又は「コピー」キー等を備えている。
表示部600は、例えば、LCD又はEL(Electroluminescence)パネル等からなり、画像形成部210を介して、所定の記録用紙Pへ印刷すべき画像が表示される。また、表示部600は、複合機1の状態、ジョブ処理の状況、原稿読取部100が読み取った原稿の画像及び操作パネル500の操作内容の確認等、ユーザに対して報知すべき情報を表示する。
記憶部700は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(登録商標)、HDD、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、又は、OUM等の不揮発性の記憶媒体により構成されている。
計時部800は、時間の経過を計り、制御部900に通知する。
図3は本発明の実施の形態1に係る複合機1における、制御部900の要部構成を示す機能ブロック図である。制御部900は、CPU901と、ROM902と、RAM903と、駆動制御部(駆動手段)904と、通報部(通報手段)905と、時間決定部(時間決定手段)906とを有している。
ROM902には各種の制御プログラム、演算用のパラメータのうちの基本的に固定のデータ等が予め格納されており、RAM903はデータを一時的に記憶し、記憶順、記憶位置等に関係なく読み出すことが可能である。また、RAM903は、例えば、ROM902から読み出されたプログラム、該プログラムを実行することにより発生する各種データ、該実行の際適宜変化するパラメータ等を記憶する。
CPU901は、ROM902に予め格納されている制御プログラムをRAM903上にロードして実行することによって、上述した各種ハードウェアの制御を行ない、装置全体を本発明の複合機1として動作させる。
駆動制御部904は、給紙搬送部220を駆動させ、記録用紙Pの搬送を制御する。すなわち、駆動制御部904は前記検知可能用紙搬送路及び前記検知不可能用紙搬送路における記録用紙Pの搬送を制御する。
例えば、駆動制御部904は、レジストローラ229の駆動を制御して、第1給紙路225又は第2給紙路228から給送された記録用紙Pを画像形成位置に搬送するタイミングを調整し、前記検知可能用紙搬送路にてジャムが発生した場合、該検知可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送を中止させる。
また、駆動制御部904は、前記検知可能用紙搬送路にてジャムが発生した場合、所定時間検知不可能用紙搬送路を駆動させ、該検知不可能用紙搬送路内の残っている記録用紙Pを用紙検知センサー240まで搬送させる。
以下においては、このように、前記検知可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送が中止された状態にて、前記検知不可能用紙搬送路にて、所定時間、記録用紙Pが順方向(用紙検知センサー240方向に)に搬送させる、駆動制御部904の動作を制限駆動という。
用紙検知センサー240にて記録用紙Pが検知された場合、又は、所定時間が経過した場合、駆動制御部904は前記制限駆動を停止させる。
通報部905は、前記検知不可能用紙搬送路に記録用紙Pが存在する旨をユーザに通報する。すなわち、前記制限駆動によって用紙検知センサー240が記録用紙Pを検知した場合、通報部905は、例えば、表示部600に前記検知不可能用紙搬送路に記録用紙Pが存在する旨のテキストを表示させる。
時間決定部906は前記制限駆動が行われる時間(T)、換言すれば、前記検知不可能用紙搬送路内の記録用紙Pが用紙検知センサー240に届くであろう時間を決定する。例えば、時間決定部906は、検知不可能用紙搬送路の長さに応じて前記時間(T)を算出する。また、本発明はこれに限るものでなく、前記時間(T)が常時一定時間であるように構成しても良い。
図4は本発明の実施の形態1に係る複合機1における、前記制限駆動を説明するフローチャートである。以下、説明の便宜上、前記検知可能用紙搬送路が図1の実線に係る経路であり、前記検知不可能用紙搬送路が図1の点線に係る経路である場合であって、ユーザが両面印刷を行う場合を例として説明する。しかし、本発明はこれに限るものでなく、前記検知可能用紙搬送路が、例えば、第1給紙路225又は第2給紙路228であっても良い。
ユーザは複数枚の原稿を図示しない原稿自動送り装置(ADF)に載置し、操作パネル500を適宜操作することにより、記録用紙Pへの両面印刷を指示する。
この際、CPU901は操作パネル500を介してユーザから斯かる指示を受け付け、印刷を開始する(ステップS101)。より詳しくは、CPU901は、原稿読取部100に原稿の読み取りを指示し、画像形成装置200に原稿読取部100によって読み取られた原稿画像データに基づく印刷を指示する。
次いで、CPU901は給紙搬送部220等に設けられたジャムセンサー(図示せず)からの信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する(ステップS102)。CPU901によってジャムが発生していないと判定された場合(ステップS102:NO)、処理はステップS102に戻り、斯かる判定が繰り返して行われる。この際、印刷は継続して行われる。
一方、CPU901は、ジャムが発生したと判定した場合(ステップS102:YES)、斯かるジャムが検知可能用紙搬送路で発生したジャムであるか否かを判定する(ステップS103)。
CPU901は、斯かるジャムが検知可能用紙搬送路で発生したジャムでないと判定した場合(ステップS103:NO)、前記検知不可能用紙搬送路及び前記検知可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送を含む全ての記録用紙Pの搬送を中止させるよう、駆動制御部904に指示する。CPU901からの前記指示に応じて、駆動制御部904は全ての記録用紙Pの搬送を中止させる(ステップS112)。以降、処理はステップS110に進む。
また、CPU901は、斯かるジャムが検知可能用紙搬送路で発生したジャムであると判定した場合(ステップS103:YES)、現在、検知不可能用紙搬送路内に記録用紙Pが残っているか否かを再び判定する(ステップS104)。斯かる判定は、例えば、直前における、切替ゲート238の動作に基づいて行われる。上述したように、記録用紙Pが反転搬送路237に搬送される場合に、切替ゲート238は用紙搬送パス231を閉塞するように回動して用紙搬送パス231への記録用紙Pの搬送を防止する。従って、切替ゲート238が用紙搬送パス231を閉塞する回動をしたかを監視することにより、斯かる判定は可能である。
CPU901によって、現在、検知不可能用紙搬送路内に記録用紙Pが残っていないと判定された場合(ステップS104:NO)、駆動制御部904は全ての記録用紙Pの搬送を中止させる(ステップS112)。
一方、CPU901は、現在、検知不可能用紙搬送路内に記録用紙Pが残っていると判定した場合(ステップS104:YES)、前記検知不可能用紙搬送路以外での記録用紙Pの搬送を中止させるよう、駆動制御部904に指示する。CPU901からの前記指示に応じて、駆動制御部904は前記検知不可能用紙搬送路以外での記録用紙Pの搬送を中止させる(ステップS105)。換言すれば、駆動制御部904は前記検知不可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送のみを継続して行わせる。すなわち、前記制限駆動が行われる。
次いで、時間決定部906は、制限駆動を行うべき時間(T)を算出し(ステップS106)、CPU901は計時部800に計時の開始を指示する。時間決定部906による時間(T)の算出については既に説明しており、詳しい説明を省略する。
この際、CPU901は、用紙検知センサー240の検知結果、すなわち、用紙検知センサー240からの信号に基づいて、用紙検知センサー240にて記録用紙Pが検知されたか否かを判定する(ステップS107)。すなわち、現在、前記制限駆動が行われているので、前記検知不可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送のみが行われる。従って、該検知不可能用紙搬送路内の記録用紙Pは、斯かる搬送によって、用紙検知センサー240で検知されることになる。
CPU901は、用紙検知センサー240にて記録用紙Pが検知されていないと判定した場合(ステップS107:NO)、計時部800の計時結果に基づいて、前記時間(T)が経過したか否かを判定する(ステップS108)。
CPU901によって前記時間(T)が経過していないと判定された場合(ステップS108:NO)、処理はステップS107に戻る。また、CPU901によって前記時間(T)が経過したと判定された場合(ステップS108:YES)、すなわち、用紙検知センサー240で記録用紙Pが検知されないまま前記時間(T)が経過した場合、処理はステップS109に進む。
一方、CPU90によって用紙検知センサー240で記録用紙Pが検知されたと判定された場合(ステップS107:YES)、通報部905は、前記検知不可能用紙搬送路に記録用紙Pが存在する旨のテキストを表示部600に表示させるころにより、その旨の通報を行う(ステップS111)。これによって、ユーザは前記検知不可能用紙搬送路内にも記録用紙Pが残っていることを認識することができる。
斯かる通知の後、換言すれば、用紙検知センサー240にて記録用紙Pが検知されたとき、又は、用紙検知センサー240で記録用紙Pが検知されないまま前記時間(T)が経過した場合、CPU901は前記検知不可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送を中止させるよう、駆動制御部904に指示する。CPU901からの斯かる指示に応じて、駆動制御部904は前記検知不可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送を停止させる(ステップS109)。
次いで、CPU901は、複合機1の運転を一時的に中止させる(ステップS110)。この後、ユーザは、複合機1の本体側に設けられたドア(図示せず)を開けて、ジャムの原因になった記録用紙Pと共に、用紙検知センサー240によって検知された記録用紙Pを取り除く等の措置をとる。
以上のように、本発明の実施の形態1に係る複合機1においては、その構成上、記録用紙Pの有無が確認できない検知不可能用紙搬送路に対しても、他の記録用紙搬送路でジャムが発生した場合、該検知不可能用紙搬送路内の記録用紙の有無を確実に確認することができる。
従って、他の記録用紙搬送路(例えば、検知可能用紙搬送路)でジャムが発生した場合、該ジャムの原因となる記録用紙と共に、前記検知不可能用紙搬送路内の記録用紙を取り除くことができ、運転再開始の際、該検知不可能用紙搬送路の記録用紙がジャムを起こすことを未然に防止できる。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、時間決定部906が前記制限駆動を行うべき時間(T)を算出する際、検知不可能用紙搬送路の長さに応じて前記時間(T)を算出する場合を例として説明したが、本発明はこれに限るものでない。
時間決定部906による前記時間(T)の算出は、例えば、その際の記録用紙Pのサイズに基づいて算出しても良く、記録用紙Pのサイズ及び検知不可能用紙搬送路の長さに基づいて算出するように構成しても良い。更に、前記時間(T)の算出は、前記検知不可能用紙搬送路における記録用紙Pの位置に基づいて算出するように構成しても良い。
また、本発明はこれに限るものでない。例えば、前記制限駆動における記録用紙Pの搬送速度を、通常の記録用紙Pの搬送速度より早い速度にし、又は、自機における最大速度にし、これら速度に基づいて時間決定部906が前記時間(T)を算出するように構成しても良い。
実施の形態1においては、用紙検知センサー240がレジストローラ229の近傍であって、前記検知可能用紙搬送路及び前記検知不可能用紙搬送路の合流点に設けられている場合を例として説明したが本発明はこれに限るものでない。例えば、用紙検知センサー240を切替ゲート238の近傍に設けるように構成しても良い。
(実施の形態3)
以上においては、前記検知可能用紙搬送路及び前記検知不可能用紙搬送路の合流点の一ヶ所に用紙検知センサー240が設けられた場合を例として説明した。しかし、実施の形態3に係る複合機1においては、二ヶ所に用紙検知センサーが設けられている。
図5は本発明の実施の形態3に係る複合機1の要部構成を示す概略的縦断面図である。実施の形態3に係る複合機1は、実施の形態1と同様の構成を有しているが、用紙検知センサー240に加え、後述する用紙検知センサー250を更に備えている。
実施の形態3に係る複合機1では、切替ゲート238の近傍であって、前記検知可能用紙搬送路及び前記検知不可能用紙搬送路の合流点に、記録用紙Pの有無を検知する用紙検知センサー(検知部)250が設けられている。用紙検知センサー250は、用紙搬送パス231から第1用紙搬送路233に搬送される記録用紙Pの有無を検知し、また、用紙搬送パス236から反転搬送路237に搬送される記録用紙Pの有無を検知する。
更に、実施の形態3に係る複合機1においては、用紙検知センサー250及び用紙検知センサー240近傍に夫々小開口241及び大開口242が形成されている。換言すれば、前記検知不可能用紙搬送路の上流側及び下流側には、小開口241と、該小開口241より大きい大開口242が夫々形成されている。図中には、小開口241及び大開口242が矩形である場合を例として示しているが、本発明はこれに限るものでないことは言うまでもない。
従って、ユーザは、小開口241及び大開口242を介して検知不可能用紙搬送路の内側を覗くことができ、検知不可能用紙搬送路内に記録用紙が残っているか否かを肉眼にて確認することができる。
図6は本発明の実施の形態3に係る複合機1における、制御部900の要部構成を示す機能ブロック図である。制御部900は、実施の形態1と同様、CPU901と、ROM902と、RAM903と、駆動制御部(駆動手段)904と、通報部(通報手段)905と、時間決定部(時間決定手段)906とを有しており、更に、選択部(選択手段)907を有している。
選択部907は、前記制限駆動の際、記録用紙Pのサイズに基づいて、用紙検知センサー240及び用紙検知センサー250の何れかを選択する。また、駆動制御部904は、選択部907によって選択された用紙検知センサー側に記録用紙Pが搬送されるように検知不可能用紙搬送路を駆動させ、前記制限駆動を行う。
上述の記録用紙Pのサイズに係る情報としては、例えば、用紙カセット221のサイズ検知情報、手差しトレイ222のサイズ検知情報等が用いられる。
図7は本発明の実施の形態3に係る複合機1における、前記制限駆動を説明するフローチャートである。以下、説明の便宜上、前記検知可能用紙搬送路が図5の実線に係る経路であり、前記検知不可能用紙搬送路が図5の点線に係る経路である場合であって、ユーザが両面印刷を行う場合を例として説明する。しかし、本発明はこれに限るものでなく、前記検知可能用紙搬送路が、例えば、第1給紙路225又は第2給紙路228であっても良い。
ユーザは複数枚の原稿を図示しない原稿自動送り装置(ADF)に載置し、操作パネル500を適宜操作することにより、記録用紙Pへの両面印刷を指示する。
この際、CPU901は操作パネル500を介してユーザから斯かる指示を受け付け、印刷を開始する(ステップS201)。
次いで、CPU901は前記ジャムセンサーからの信号に基づいて、ジャムが発生したか否かを判定する(ステップS202)。CPU901によってジャムが発生していないと判定された場合(ステップS202:NO)、処理はステップS202に戻り、斯かる判定が繰り返して行われる。この際、印刷は継続して行われる。
一方、CPU901は、ジャムが発生したと判定した場合(ステップS202:YES)、斯かるジャムが検知可能用紙搬送路で発生したジャムであるか否かを判定する(ステップS203)。
CPU901によって斯かるジャムが検知可能用紙搬送路で発生したジャムでないと判定された場合(ステップS203:NO)、駆動制御部904は前記検知不可能用紙搬送路及び前記検知可能用紙搬送路での記録用紙Pの搬送を含む全ての記録用紙Pの搬送を中止させる(ステップS213)。以降、処理はステップS211に進む。
また、CPU901は、斯かるジャムが検知可能用紙搬送路で発生したジャムであると判定した場合(ステップS203:YES)、現在、検知不可能用紙搬送路内に記録用紙Pが残っているか否かを再び判定する(ステップS204)。斯かる判定については既に説明しており、詳しい説明を省略する。
CPU901によって、現在、検知不可能用紙搬送路内に記録用紙Pが残っていないと判定された場合(ステップS204:NO)、処理はステップS213に進む。
一方、CPU901によって、現在、検知不可能用紙搬送路内に記録用紙Pが残っていると判定された場合(ステップS204:YES)、駆動制御部904は前記検知不可能用紙搬送路以外での記録用紙Pの搬送を中止させる(ステップS205)。
次いで、選択部907は、前記制限駆動の際、記録用紙Pのサイズに基づいて、用紙検知センサー240及び用紙検知センサー250の何れかを選択する(ステップS206)。例えば、選択部907は、現在の記録用紙PのサイズがA4用紙のサイズ以下である場合、大開口242近傍の用紙検知センサー240を選択し、A4より大きい場合は、小開口241近傍の用紙検知センサー250を選択する。
以降、駆動制御部904は、選択部908によって選択された用紙検知センサー側に、検知不可能用紙搬送路内の記録用紙Pが搬送されるように、該検知不可能用紙搬送路を駆動することにより、前記除去後駆動を行う。
また、ステップS207〜ステップS212の処理は、実施の形態1の図4における、ステップS106〜ステップS111の処理と同様であるので、詳しい説明を省略する。
ステップS211にて複合機1の運転が一時的に中止された後、ユーザは、複合機1の本体側に設けられたドア(図示せず)を開けて、ジャムの原因になった記録用紙Pと共に、用紙検知センサー240又は用紙検知センサー250によって検知された記録用紙Pを取り除く等の措置をとる。
実施の形態3に係る複合機1においては、以上のように構成されているので、他の記録用紙搬送路でジャムが発生した場合、前記検知不可能用紙搬送路内の記録用紙Pの有無をより確実に確認することができる。
すなわち、実施の形態3に係る複合機1においては、記録用紙PのサイズがA4用紙のサイズ(閾値)以下である場合は、選択部907によって用紙検知センサー240が選択され、前記検知不可能用紙搬送路内に残っている記録用紙Pは用紙検知センサー240に向けて搬送される。用紙検知センサー240の近傍には大開口242が形成されているので、このように記録用紙Pのサイズが小さな場合であっても、ユーザは、大開口242を介して、検知不可能用紙搬送路の内側を覗き、検知不可能用紙搬送路内に残っている記録用紙Pを肉眼にて確認することができる。
以上においては、記録用紙PのサイズがA4用紙のサイズ以下である場合、大開口242近傍の用紙検知センサー240が選択され、A4より大きい場合は、小開口241近傍の用紙検知センサー250が選択される場合を例として説明した。しかし、本発明はこれに限るものでない。
例えば、記録用紙PのサイズがA4用紙のサイズ以下である場合は小開口241近傍の用紙検知センサー250が選択され、A4より大きい場合は大開口242近傍の用紙検知センサー240が選択されるように構成しても良い。このような構成の場合は、記録用紙Pが大きいとき、大開口242を介して容易に該記録用紙Pを取り除くことができるという効果を奏する。
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
なお、上述した駆動制御部904と、通報部905と、時間決定部906と、選択部907とは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、CPU901が所定のプログラムを実行することにより、ソフトウェア的に構築されてもよい。
本発明の実施態様1においては、印刷のために用紙を搬送する用紙搬送路であって、用紙搬送路内の用紙を検知できる検知可能用紙搬送路と、検知できない検知不可能用紙搬送路とを備える画像形成装置1において、前記検知不可能用紙搬送路及び検知可能用紙搬送路の合流位置に設けられた検知部240,250と、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、該検知可能用紙搬送路の用紙搬送を中止させ、所定時間、前記検知不可能用紙搬送路で用紙搬送させる制限駆動を行う駆動手段904とを備え、該駆動手段904は、前記検知部240,250の検知結果又は前記所定時間の経過後、前記制限駆動を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、前記検知部が検知できるよう、前記駆動手段が制限駆動を行うことにより、検知不可能用紙搬送路の用紙を前記検知部まで搬送させる。前記検知部が用紙を検知した場合、又は、前記所定時間の前記制限駆動の後、該駆動手段は該制限駆動を停止させる。
本発明の実施態様2においては、前記制限駆動の際、前記検知部240,250の検知結果に基づいて、前記検知不可能用紙搬送路に用紙が存在する旨通報する通報手段905を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、前記駆動手段が制限駆動を行い、前記検知部が用紙を検知したとき、前記通報手段は前記検知不可能用紙搬送路に用紙が存在する旨通報する。
本発明の実施態様3においては、前記駆動手段904は通常時より早い速度で前記制限駆動を行うように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャムが発生し、前記駆動手段が制限駆動を行う場合、通常時より早い速度で前記制限駆動を行う。
本発明の実施態様4においては、前記検知不可能用紙搬送路の長さに基づいて、前記所定時間を定める時間決定手段906を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、前記駆動手段が制限駆動を行う時間を、前記時間決定手段が前記検知不可能用紙搬送路の長さに基づいて定める。
本発明の実施態様5においては、用紙のサイズに基づいて、前記所定時間を定める時間決定手段906を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、前記駆動手段が制限駆動を行う時間を、前記時間決定手段が用紙のサイズに基づいて定める。
本発明の実施態様6においては、前記検知不可能用紙搬送路における用紙の位置に基づいて、前記所定時間を定める時間決定手段906を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、前記駆動手段が制限駆動を行う時間を、前記時間決定手段が前記検知不可能用紙搬送路における用紙の位置に基づいて定める。
本発明の実施態様7においては、前記検知不可能用紙搬送路にて前記用紙は裏表が反転され、前記検知部240は前記検知不可能用紙搬送路の下流側に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、前記検知部が検知できるよう、前記駆動手段が制限駆動を行い、検知不可能用紙搬送路の用紙を該検知不可能用紙搬送路の下流側に、すなわち順方向に搬送させる。
本発明の実施態様8においては、前記検知部240,250は2つであり、他の検知部250が前記検知不可能用紙搬送路の上流側に更に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、一の検知部は前記検知不可能用紙搬送路の下流側に設けられ、他の検知部が前記検知不可能用紙搬送路の上流側に更に設けられている。
本発明の実施態様9においては、各検知部240,250近傍には前記検知不可能用紙搬送路内を覗かせる、異なる大きさの開口241,242が形成されており、前記制限駆動の際、用紙のサイズに基づいて、何れかの検知部240,250を選択する選択手段907を備え、該選択手段907の選択結果に基づいて、前記駆動手段904は用紙を搬送させるように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記検知可能用紙搬送路でのジャム発生の場合、例えば、前記選択手段は、現在の記録用紙のサイズが閾値の以下である場合、大きな開口近傍の検知部を選択し、前記閾値より大きい場合は、小さな開口近傍の検知部を選択する。該選択手段の選択結果に基づいて、前記駆動手段は制限駆動を行い、選択された検知部に向けて用紙を搬送させる。