「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。
図1に示す第1実施形態の緩衝器1は、位置感応の減衰力調整式の緩衝器である。第1実施形態の緩衝器1は、いわゆる複筒型の油圧緩衝器であり、作動流体としての油液が封入される円筒状のシリンダ2と、シリンダ2よりも大径でシリンダ2を覆うように同心状に設けられる有底円筒状の外筒3と、外筒3の上部開口側を覆うカバー4とを有している。シリンダ2と外筒3との間はリザーバ室5となっている。
外筒3は、円筒状の胴部7と、胴部7の軸方向の一方側を閉塞する底部8とからなっている。カバー4は、筒状部11と筒状部11の一端側から径方向内方に延出する内フランジ部12とを有しており、筒状部11の内フランジ部12とは反対側において外筒3の胴部7の底部8とは反対側に嵌合されて固定されている。
シリンダ2内には、ピストン15が摺動可能に嵌装されている。このピストン15は、シリンダ2内を第1室16と第2室17との二室に区画している。シリンダ2内の第1室16および第2室17内には作動流体としての油液が封入され、シリンダ2と外筒3との間のリザーバ室5内には作動流体としての油液とガスとが封入される。
シリンダ2内にはピストンロッド21の一方側が挿入されており、ピストンロッド21の他方側はシリンダ2の外部に延出されている。ピストン15は、このピストンロッド21のシリンダ2内側の一端側に連結されている。カバー4の筒状部11とシリンダ2とには、ロッドガイド22が嵌合されており、カバー4の筒状部11の内フランジ部12とロッドガイド22との間部分には、シール部材23が嵌合されている。ロッドガイド22およびシール部材23は、いずれも環状をなしており、ピストンロッド21は、これらロッドガイド22およびシール部材23のそれぞれの内側に摺動可能に挿通されている。
ここで、ロッドガイド22は、ピストンロッド21を、その径方向移動を規制しつつ軸方向移動可能に支持して、このピストンロッド21の移動を案内する。シール部材23は、その内周部で、軸方向に移動するピストンロッド21の外周部に摺接して、シリンダ2内の油液と外筒3内のリザーバ室5の高圧ガスおよび油液とが外部に漏洩するのを防止する。
ロッドガイド22は、その外周部が、下部よりも上部が大径となる段差状をなしており、下部においてシリンダ2の上端の内周部に嵌合し上部においてカバー4の筒状部11の外筒3への嵌合位置に嵌合する。外筒3の底部8上には、シリンダ2内の第2室17とリザーバ室5とを画成するベースバルブ25が設置されており、このベースバルブ25にシリンダ2の下端の内周部が嵌合されている。ベースバルブ25は、シリンダ2からのピストンロッド21の突出量に応じて変化するシリンダ2内の容積に応じて油液を第2室17とリザーバ室5との間で流入出させる。
ピストンロッド21には、シリンダ2内に配置される軸方向の一端部の径方向の中央に、ピストン15を結合するためのネジ穴31が形成されている。ピストンロッド21の外周側には、円環状のリバウンドストッパ32が軸方向に移動可能に嵌合されている。このリバウンドストッパ32は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす伸び側に移動したときに、ピストン15とロッドガイド22との間に介在してピストン15がロッドガイド22に直接接触するのを防ぐ。
ピストン15は、ピストンロッド21に中心軸を一致させて連結されるシャフト41を有している。また、ピストン15は、このシャフト41に、その軸方向のピストンロッド21側から順に取り付けられる、第1リング部材42、第1逆止弁43、第1オリフィスプレート44、切替弁45、第2オリフィスプレート46、第2逆止弁47、第2リング部材48、ワシャ49およびナット50を有している。
シャフト41は、軸方向一側から順に、オネジが形成された第1ネジ軸部61と、第1回転規制軸部62と、回転許容軸部63と、第2回転規制軸部64と、オネジが形成された第2ネジ軸部65とを有している。シャフト41は、第1ネジ軸部61においてネジ穴31に螺合されてピストンロッド21に一体化される。
図2に示すように、第1回転規制軸部62は、その外周面が、第1ネジ軸部61よりも大径の円筒面の周方向の180度異なる二カ所をこの円筒面の中心軸に平行な平面で切り欠いた異形形状をなしている。回転許容軸部63は、外周面が、第1回転規制軸部62の最大外径よりも大径の全周連続する円筒面となっている。第2回転規制軸部64は、第1回転規制軸部62と同形状であり、図1に示す第2ネジ軸部65は、第1ネジ軸部61と同形状となっている。つまり、シャフト41は、軸方向の中央を通る軸直交断面を基準とした対称形状をなしている。
図2に示すように、第1オリフィスプレート44は、プレート本体71と、シール部材72とを有している。プレート本体71は、円板状をなしており、その外周面が、円筒面の軸方向の中央にこの円筒面と同軸状の外周溝75が形成された形状をなしている。この外周溝75にリング状のシール部材72が嵌合されている。
プレート本体71には、その軸方向の一側の径方向の中央に、軸方向に凹む凹部76が形成されており、図1に示すように軸方向の凹部76とは反対側の端面が平坦面となっている。図2に示すように、凹部76は、プレート本体71の外周面と同軸状をなす丸穴形状をなしている。また、この凹部76の径方向の中央には上記した異形形状の第1回転規制軸部62を相対回転不可に嵌合させる、この第1回転規制軸部62の外周面と同形状の嵌合穴80が貫通して形成されている。これにより、プレート本体71つまり第1オリフィスプレート44は、シャフト41に対して回転が規制された状態で取り付けられる。
プレート本体71には、凹部76の嵌合穴80の周囲に、プレート本体71の周方向に一列状に並んで近接配置される複数、具体的には四つの図4(a)に示すオリフィス81〜84が形成されている。近接するオリフィス81〜84は、オリフィス群85を構成しており、プレート本体71には、このようなオリフィス群85が180度位相を異ならせて一対形成されている。
オリフィス81〜84は、いずれも、プレート本体71の軸方向に沿って延在する丸穴となっており、プレート本体71を軸方向に貫通している。オリフィス81〜84は、それぞれの中心がプレート本体71の中心から等距離の位置に形成されている。オリフィス81〜84は、すべて通路面積が異なっている。具体的に、周方向一側のオリフィス81よりもこれに隣り合うオリフィス82の方が大径で通路面積が大きく、このオリフィス82よりもこれにオリフィス81とは反対側で隣り合うオリフィス83の方が大径で通路面積が大きく、オリフィス83よりもこれにオリフィス82とは反対側で隣り合うオリフィス84の方が大径で通路面積が大きくなっている。オリフィス81〜84の径は、ピストンロッド21側から見て時計回り方向に向かって順に拡大する。一対のオリフィス群85は、それぞれのオリフィス81〜84の並び順がプレート本体71の周方向において同じとなっている。
第1逆止弁43は、平板状をなしており、円板状の主板部91と、主板部91の180度異なる位置から径方向外側に延出する一対の弁板部92とを有している。主板部91の径方向の中央には、上記した異形形状の第1回転規制軸部62を相対回転不可に嵌合させる、この第1回転規制軸部62の外周面と同形状の嵌合穴93が貫通形成されている。これにより、第1逆止弁43は、シャフト41に対して回転が規制された状態で取り付けられる。ここで、第1逆止弁43は、第1オリフィスプレート44の凹部76の軸直交方向に沿う平坦な底面に軸方向に重ねられることになり、第1回転規制軸部62を第1オリフィスプレート44の図2に示す嵌合穴80と共に嵌合穴93に嵌合させることで、一対の弁板部92が図4(a)に示すように一対のオリフィス82のみを閉塞可能となっている。
図2に示すように、シャフト41への取付時に、第1オリフィスプレート44は、嵌合穴80を第1回転規制軸部62に嵌合させて回転許容軸部63の第1回転規制軸部62側の端面に重ねられることになり、第1逆止弁43は、嵌合穴93を第1回転規制軸部62に嵌合させて第1オリフィスプレート44の凹部76の底面に重ねられることになる。そして、第1リング部材42が、第1回転規制軸部62に嵌合されて第1逆止弁43に重ねられ、この状態で、図1に示すようにシャフト41の第1ネジ軸部61がピストンロッド21のネジ穴31に螺合される。すると、シャフト41の回転許容軸部63の第1回転規制軸部62側の端面とピストンロッド21のネジ穴31側の端面とで第1オリフィスプレート44、第1逆止弁43および第1リング部材42が挟持されることになる。ここで、図2に示すように、第1リング部材42は、外径が第1逆止弁43の主板部91よりも小径となっており、よって、第1逆止弁43は、主板部91のみが第1リング部材42で押さえられる。つまり、一対の弁板部92は第1オリフィスプレート44から離れる方向の変形が可能となる。
切替弁45は、弁本体101と、図2,図3に一方のみを図示する一対の永久磁石102と、図2,図3に一方のみを図示する一対のヨーク103とを有している。
弁本体101は、円板状をなしており、軸方向の両端面が平坦面となっている。弁本体101は、その外周面が、円筒面の周方向の180度異なる二カ所をこの円筒面の中心軸に平行な、一対の平面部104を形成するように切り欠いた異形形状をなしている。一方の平面部104の中央に、この平面部104から切替弁45の径方向に沿って一部突出するように円筒状のヨーク103が固定されており、このヨーク103の内側に円板状の永久磁石102が同軸状に固定されている。また、図示は略すが他方の平面部104にも同様に永久磁石102およびヨーク103が同軸状に固定されている。一対の永久磁石102は弁本体101の180度異なる位置に取り付けられており、一対のヨーク103も弁本体101の180度異なる位置に取り付けられている。ここで、永久磁石102を囲むようにヨーク103を設けることで、磁気を発生させる磁気部材である永久磁石102により発せられる磁力線を集中させる。永久磁石102およびこれを囲むヨーク103が磁気を発生させる磁気発生部105(第2の磁気吸引部)を構成しており、切替弁45には、磁気発生部105が一対設けられている。ヨーク103は軟質磁性材料からなっている。
図1に示すように、弁本体101には、径方向中央に軸方向に貫通する貫通穴106が形成されている。貫通穴106は、丸穴であり、弁本体101つまり切替弁45は、この貫通穴106にシャフト41の回転許容軸部63を回転可能に嵌合させる。よって、切替弁45は、シャフト41を介してピストンロッド21に対し相対的に回転自在に取り付けられる。弁本体101には、貫通穴106よりも径方向の外側に、一対の通路穴107が180度位相を異ならせて形成されている。これらの通路穴107は、弁本体101をその軸方向に沿って貫通しており、図2に示すように弁本体101の中心を中心とする円弧状に延びる長穴となっている。
弁本体101の中心から通路穴107の中心までの距離は、上記したオリフィス81〜84の中心とプレート本体71の中心との距離と同等となっている。切替弁45は、第1オリフィスプレート44にその凹部76とは反対側に重ねられることになり、上記寸法から弁本体101の通路穴107はオリフィス81〜84に連通可能となる。ここで、弁本体101の周方向における通路穴107の長さは、図4(a)に示すようにオリフィス81〜84の中の隣り合う二つと同時に連通可能であり、連続する三つすべてと同時に連通することはできない長さとなっている。
図4(b)に示すように、第2オリフィスプレート46は、円板状をなしており、軸方向の両端面が平坦面となっている。第2オリフィスプレート46は、その径方向の中央に上記した異形形状の第2回転規制軸部64を相対回転不可に嵌合させる、この第2回転規制軸部64の外周面と同形状の嵌合穴110が貫通して形成されている。これにより、第2オリフィスプレート46は、シャフト41に対して回転が規制された状態で取り付けられる。
第2オリフィスプレート46には、嵌合穴110の周囲に、第2オリフィスプレート46の周方向に一列状に並んで近接配置される複数、具体的には四つのオリフィス111〜114が形成されている。近接するオリフィス111〜114は、オリフィス群115を構成しており、第2オリフィスプレート46には、このようなオリフィス群115が180度位相を異ならせて一対形成されている。
オリフィス111〜114は、いずれも、第2オリフィスプレート46の軸方向に沿って延在する丸穴となっており、第2オリフィスプレート46を軸方向に貫通している。第2オリフィスプレート46は、嵌合穴110をシャフト41の第2回転規制軸部64に嵌合させることでシャフト41に対する回転方向の位置が決められることになる。いずれもシャフト41に対する回転方向の位置が決められた状態の第1オリフィスプレート44および第2オリフィスプレート46において、一方のオリフィス群85および一方のオリフィス群115は、オリフィス81,111が同軸同径となり、オリフィス82,112が同軸同径となり、オリフィス83,113が同軸同径となり、オリフィス84,114が同軸同径となる。他方のオリフィス群85と他方のオリフィス群115とについても同様である。
第2オリフィスプレート46は、切替弁45に重ねられることになり、上記関係からオリフィス111〜114は弁本体101の通路穴107に連通可能となる。しかも、通路穴107は、オリフィス111〜114の中の隣り合う二つと同時に連通可能であり、連続する三つすべてと同時に連通することはできない。
第2逆止弁47は、平板状をなしており、円板状の主板部121と、主板部121の180度異なる位置から径方向外側に延出する一対の弁板部122とを有している。主板部121の径方向の中央には、上記した異形形状の第2回転規制軸部64を相対回転不可に嵌合させる、この第2回転規制軸部64の外周面と同形状の図2に示す嵌合穴123が貫通形成されている。これにより、第2逆止弁47は、シャフト41に対して回転が規制された状態で取り付けられる。ここで、第2逆止弁47は、第2オリフィスプレート46の軸直交方向に沿う平坦な端面に重ねられることになり、第2回転規制軸部64を第2オリフィスプレート46の嵌合穴110と共に嵌合穴123に嵌合させることで、一対の弁板部122が図4(b)に示すように一対のオリフィス113のみを閉塞可能となっている。
図1に示すように、第2リング部材48は、内径がシャフト41の第2回転規制軸部64よりも大径であり、図2に示すように外径が第2逆止弁47の主板部121よりも小径となっている。図1に示すように、ワシャ49は、内径が第2ネジ軸部65よりも大径であり、外径が第2リング部材48の内径よりも大径かつ第2リング部材48の外径よりも小径となっている。ナット50は、最大外径がワシャ49の外径よりも小径となっている。
シャフト41への取付時に、第2オリフィスプレート46は、嵌合穴110を第2回転規制軸部64に嵌合させて回転許容軸部63の第2回転規制軸部64側の端面に重ねられることになり、第2逆止弁47は、図2に示す嵌合穴123を第2回転規制軸部64に嵌合させてこの第2オリフィスプレート46に重ねられることになる。また、図1に示すように、第2リング部材48は、第2回転規制軸部64に嵌合されて第2逆止弁47に重ねられることになり、ワシャ49は、第2ネジ軸部65を挿通させて第2リング部材48に重ねられることになる。この状態で、シャフト41の第2ネジ軸部65にナット50が螺合されると、シャフト41の回転許容軸部63の第2回転規制軸部64側の端面とナット50とで第2オリフィスプレート46、第2逆止弁47、第2リング部材48およびワシャ49が挟持されることになる。その際に、第2逆止弁47は図2に示す主板部121のみが第2リング部材48で押さえられ、よって、一対の弁板部122は第2オリフィスプレート46から離れる方向の変形が可能となる。つまり、第2逆止弁47は一対のオリフィス113から流出する方向の油液の流れのみを許容する。
第1オリフィスプレート44および第2オリフィスプレート46がシャフト41に取り付けられた状態で、上述したように、一方のオリフィス群85と一方のオリフィス群115とが、オリフィス81,111を同軸に、オリフィス82,112を同軸に、オリフィス83,113を同軸に、オリフィス84,114を同軸に、それぞれ配置することになり、他方のオリフィス群85,115についても同様とする。
切替弁45は、シャフト41に固定される第1オリフィスプレート44と第2オリフィスプレート46との間に配置されてシャフト41の回転許容軸部63に回転可能に嵌合されることになる。その際に、切替弁45は、その軸方向の両側の軸直交方向に沿う平坦な端面が、第1オリフィスプレート44および第2オリフィスプレート46のそれぞれの切替弁45側の軸直交方向に沿う平坦な端面に面接触する。そして、切替弁45は、両端面の面接触状態を維持しつつシャフト41つまりピストンロッド21の中心軸を中心に回転する。
図1に示すように、ピストン15は、シリンダ2内に配置された状態で、第1オリフィスプレート44のシール部材72がシリンダ2の内周面に密着してシリンダ2内に第1室16と第2室17とを区画する。
ピストン15は、一方のオリフィス群85の図4(a)に示すオリフィス81〜84のいずれかと、図1に示す切替弁45の一方の通路穴107と、一方のオリフィス群115の図4(b)に示すオリフィス111〜114のいずれかとが周方向の位置を合わせて、図1に示すように、ピストン15の軸方向両側の第1室16および第2室17を連通させる連通路構成部130を形成する。その際に、他方のオリフィス群85と他方の通路穴107と他方のオリフィス群115とが、同様に周方向の位置を合わせて連通路構成部130を形成する。つまり、ピストン15には、連通路構成部130も通路穴107と同様に一対設けられる。一対の連通路構成部130がピストン15の軸方向両側の第1室16および第2室17を連通させる連通路131を構成する。
シャフト41つまりピストンロッド21に対して切替弁45が回転すると、一方の通路穴107は、一方のオリフィス群85および一方のオリフィス群115に対して、オリフィス81〜84およびオリフィス111〜114の中から連通するものを選択的に変化させて一方の連通路構成部130の通路面積を変化させることになる。同様に、他方の通路穴107も、他方のオリフィス群85および他方のオリフィス群115に対して、オリフィス81〜84およびオリフィス111〜114の中から連通するものを同様に変化させて他方の連通路構成部130の通路面積を変化させることになる。
加えて、油液の流れ方向に応じて第1逆止弁43および第2逆止弁47が開閉する。具体的に、図4(a)に示す第1逆止弁43は、一対のオリフィス82,112が通路穴107に連通する状態で、ピストン15が図1に示すロッドガイド22とは反対側に移動して第1室16の容積を増やし第2室17の容積を減らす際にのみ、第1室16と第2室17との間の油液の流れ(第2室17から第1室16側への油液の流れ)を許容することになる。また、図4(b)に示す第2逆止弁47は、一対のオリフィス83,113が通路穴107に連通する状態で、ピストン15が図1に示すロッドガイド22側に移動して第1室16の容積を減らし第2室17の容積を増やす際にのみ、第1室16と第2室17との間の油液の流れ(第1室16から第2室17側への油液の流れ)を許容することになる。
よって、一対の通路穴107を有する切替弁45と、一対のオリフィス群85を有する第1オリフィスプレート44と、一対のオリフィス群115を有する第2オリフィスプレート46と、第1逆止弁43と、第2逆止弁47とが、ピストン15に設けられて、連通路131の通路面積を、切替弁45のピストンロッド21に対する回転位置により異ならせる通路面積可変機構132を構成する。この通路面積可変機構132は、一方のオリフィス群85のオリフィス81〜84のうちの一つ若しくは二つと、これ若しくはこれらと同じ通路面積の一方のオリフィス群115のオリフィス111〜114の一つもしくは二つとを連通させて、一方の連通路構成部130を形成し、他方の連通路構成部130も同様に形成する。言い換えれば、通路面積可変機構132は、一方の連通路構成部130の流路面積を選択的に切り替え、他方の連通路構成部130の流路面積を同様に切り替えて、連通路131の通路面積を選択的に切り替える。
ピストン15に設けられた連通路131は、ピストンロッド21が軸方向に移動してピストン15がこれと一体に軸方向に移動することにより、第1室16と第2室17との間を作動流体である油液が流れるように連通させる。連通路131を介して作動流体である油液が流れる際に生じる抵抗により、緩衝器1は減衰力を発生させる。通路面積可変機構132は、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす伸び側に移動する伸び行程と、ピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす縮み側に移動する縮み行程とで異なる減衰力を発生させる。
シリンダ2は、図5に示すように、その軸方向位置によって周方向の位置が異なるように配される磁性体からなる磁性部(第1の磁気吸引部)141と、磁性部141以外の非磁性体からなる非磁性部142とからなっている。シリンダ2には、図6の展開図に示すように、同形状の磁性部141が180度異なる位置に一対設けられている。シリンダ2は、耐摩耗性の点から金属製とするのが良く、非磁性部142は、オーステナイト系ステンレス鋼を用いるのが良い。金属を用いない場合には、耐摩耗性に優れたスリーブをシリンダ2の内周面に設けるのが良い。
一対の磁性部141は、シリンダ2の周方向長さよりも大幅に小さい略一定幅に形成されており、連続する線状をなしている。一対の磁性部141は、シリンダ2の内側空間に露出するように内周上に設けられている。磁性部141は、シリンダ2の軸方向一側から順に、シリンダ2の展開時にシリンダ2の軸方向に沿う直線状をなす第1直線部143と、シリンダ2の展開時に第1直線部143に対し傾斜する第1傾斜部144と、シリンダ2の展開時に第1直線部143と平行な直線状をなす第2直線部145と、シリンダ2の展開時に第2直線部145に対し傾斜する第2傾斜部146と、シリンダ2の展開時に第2直線部145と平行な直線状をなす第3直線部147とを有している。
シリンダ2の周方向において、第1直線部143に対する第2直線部145のずれ方向と、第2直線部145に対する第3直線部147のずれ方向とは同じとなっており、第1直線部143と第2直線部145との間隔と、第2直線部145と第3直線部147との間隔も同等になっている。そして、第1傾斜部144と第2傾斜部146とは、シリンダ2の軸方向の同じ一端側に近づくほどシリンダ2の周方向の同側にずれるように傾斜している。第1傾斜部144は滑らかな曲線を描いて第1直線部143と第2直線部145とを連結しており、第2傾斜部146も滑らかな曲線を描いて第2直線部145と第3直線部147とを連結している。これら第1傾斜部144および第2傾斜部146は、正弦曲線を描くのが好ましい。
シリンダ2は、上記形状の一対の磁性部141と磁性部141以外の非磁性部142とを有する板状部材151を準備し、これを円筒状に丸め、両端縁部を突き合わせて、これらの間の継ぎ目を接合することにより形成される。なお、これに限らず、アルミニウム合金の押出成形等により予め円筒状に形成された非磁性材料からなる部材に磁性部141を形成しても良い。
磁性部141と非磁性部142とを有する板状部材151の製造方法は、例えば、次の方法がある。まず、図7(a)に示すように非磁性材料からなる非磁性板材152に、磁性部141の展開形状をなす溝部153を除去加工により形成する。次に、図7(b)に示すように、この溝部153を埋めつつ非磁性板材152に密着するように磁性材料層154を非磁性板材152の表面に形成する。その後、図7(c)に示すように、この磁性材料層154の溝部153から外側の表層部分を除去し、溝部153内に残った部分の表面と非磁性板材152の溝部153を除く部分の表面とを揃える。このようにして、磁性部141と非磁性部142とを有する板状部材151を成形することができる。
ここで、非磁性板材152に溝部153を形成する除去加工としては、例えば、切削加工であっても良いし、薬剤を用いてフォトレジストやエッチングを行っても良い。また、非磁性板材152への磁性材料層154の形成は、磁性体を含む粘着性の塗料を塗装して付着させても良いし、メッキ処理で非磁性板材152に磁性材料層154を生成しても良い。磁性材料層154の溝部153以外の表層部分の除去も同様の除去加工が適用できる。
あるいは、非磁性金属であるオーステナイト系ステンレス鋼の板材に、部分焼き入れを施すことで、この部分に磁性のマルテンサイト組織を組成して磁性部141を形成しても良い。組成の変性を伴う加工方法も、これに限らず、例えば、ショットピーニングやプレス等の塑性加工によって磁性のマルテンサイト組織を組成して磁性部141を形成しても良い。また、シール状の磁性材料を非磁性部142に貼り付けて磁性部141としたり、磁性材料からなる複数の部材を非磁性部142に間隔をあけて貼り付けて磁性部141としても良い。つまり、磁性部141は必ずしも連続している必要はなく、断続配置されていても良い。
シリンダ2は軸方向の第1直線部143側を図1に示すロッドガイド22側に、第3直線部147をベースバルブ25側にしてこれらに取り付けられることになる。よって、ロッドガイド22側から見て第1直線部143に対し第2直線部145が時計回り方向に位置をずらし、第2直線部145に対し第3直線部147が時計回り方向に位置をずらしている。
そして、図3に示すようにピストンロッド21に取り付けられたピストン15を図1に示すシリンダ2内に挿入する際に、通路面積可変機構132を構成する切替弁45に設けられた永久磁石102およびヨーク103からなる磁気発生部105をシリンダ2の磁性部141に対向させる。すると、これらは磁力により引き合う。つまり磁気発生部105および磁性部141は磁気吸引し合うことになり、対向し近接する状態を維持する。よって、磁気発生部105は、磁力の働きによって、シリンダ2の磁性部141と吸引し合って近接する状態を維持することになり、ピストン15の軸方向移動に伴い、磁性部141の形状に倣ってピストン15の周方向における自身の位置を変化させることになる。
言い換えれば、磁性部141は、ピストン15の軸方向移動時に磁気発生部105の移動を案内する案内経路を構成している。つまり、通路面積可変機構132に設けられた磁気発生部105は、磁性部141と吸引し合って通路面積可変機構132の切替弁45の周方向つまり回転方向の位置を磁性部141の形状に倣って変化させる。磁気発生部105は、ピストン15の軸方向移動の往路および復路とも磁性部141で形成される同じ経路を辿って移動する。磁性部141は、磁気発生部105と磁気吸引し合って磁気発生部105を案内できれば良く、断続形状をなしていても良い。ここで、磁気発生部105は、永久磁石102を囲むようにヨーク103を設けているため、永久磁石102により発せられる磁力線を集中させ、磁力の作用を強めて効率良く磁性部141を引き付けることができる。
ここで、切替弁45に設けられた磁気発生部105とシリンダ2に設けられた磁性部141との間に働く磁力を最大限に発生させるため、ピストン15を構成するシャフト41、第1オリフィスプレート44、第1逆止弁43、切替弁45の弁本体101、第2オリフィスプレート46および第2逆止弁47等の他の構成部品は、非磁性材料からなるのが好ましい。これらの部品を構成する非磁性材料としては、オーステナイト系ステンレス鋼やアルミニウム合金といった非磁性金属であれば良く、セラミックや合成樹脂等の非磁性材料であっても良い。
また、磁性部141をシリンダ2の内側空間に露出するようにシリンダ2の内周上に設けているが、磁気発生部105と磁気吸引し合えれば良い。このため、磁性部141を、シリンダ2の内側空間に露出させずに、シリンダ2の外周上に設けたり、シリンダ2自体の内部(厚さの範囲内)に設けたりしても良い。つまり、磁性部141はシリンダ2の周上にあれば良い。
ここで、緩衝器1は、相対移動する二つの部品間に介装されてこれら部品間に生じる振動を減衰させるものであり、ピストンロッド21が一方の部品に、外筒3が他方の部品に連結される。その際に、ピストンロッド21および外筒3は互いに周方向に位置決めされ、相対回転が規制された状態で二つの部品間に取り付けられる。
次に、第1実施形態の緩衝器1の作動について説明する。緩衝器1の作動時には、通路面積可変機構132によって連通路131の通路面積が変更させられることになるが、連通路131を構成する一対の連通路構成部130による第1室16および第2室17の連通は同様であるため、以下の説明では、一方の連通路構成部130について説明する。
表1は、第1実施形態の緩衝器1のストローク位置およびストローク方向における第1室16および第2室17を連通させるオリフィス81〜84,オリフィス111〜114を示し、さらに連通路構成部130の通路面積および緩衝器1の減衰力特性を示したものである。
ピストンロッド21が、シリンダ2からの突出量が後述する中間領域よりも小さい最小長側領域に位置するとき、ピストン15は、シリンダ2内でロッドガイド22から離れており、通路面積可変機構132の切替弁45の磁気発生部105が、シリンダ2の磁性部141の第3直線部147に磁気吸引により近接している。この状態で、切替弁45は、ピストンロッド21側から見て最も時計回り側の回転位置にあって、通路穴107を最大径側のオリフィス83,84,113,114に連通させている。
この最小長側領域でピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を増やす伸び側に移動する伸び行程では、第1室16から第2室17側に油液が流れるため、ピストン15のオリフィス113を開閉するピストンロッド21とは反対側の第2逆止弁47の開弁が許容される。よって、連通路構成部130は、オリフィス83,84,113,114および通路穴107によって構成され、この通路面積が大きい連通路構成部130で第1室16から第2室17に油液を流す。よって、減衰力はソフトになる。
ピストンロッド21が、シリンダ2からの突出量が中間の中間領域に位置するとき、ピストン15は、シリンダ2内で最小長側領域よりもロッドガイド22に近づいており、切替弁45の磁気発生部105が、シリンダ2の磁性部141の第2直線部145に磁気吸引により近接している。この状態で、切替弁45は、最小長側領域よりも反時計回り側の回転位置にあって、通路穴107を中間径側のオリフィス82,83,112,113に連通させている。
この中間領域での伸び行程では、第1室16から第2室17側に油液が流れるため、ピストン15のオリフィス82を開閉するピストンロッド21側の第1逆止弁43の開弁が規制される一方、ピストン15のオリフィス113を開閉するピストンロッド21とは反対側の第2逆止弁47の開弁が許容される。よって、連通路構成部130は、オリフィス83,113および通路穴107によって構成され、この通路面積が中間の連通路構成部130で第1室16から第2室17に油液を流す。よって、減衰力は最小長側領域での伸び行程よりもハードになる。
ピストンロッド21が、シリンダ2からの突出量が中間領域よりも大きい最大長側領域に位置するとき、ピストン15は、シリンダ2内で中間領域よりもロッドガイド22に近づいており、切替弁45の磁気発生部105が、シリンダ2の磁性部141の第1直線部143に磁気吸引により近接している。この状態で、切替弁45は、ピストンロッド21側から見て最も反時計回り側の回転位置にあって、通路穴107を最小径側のオリフィス81,82,111,112に連通させている(図4に示す状態)。
この最大長側領域での伸び行程では、第1室16から第2室17側に油液が流れるため、ピストン15のオリフィス82を開閉するピストンロッド21側の第1逆止弁43の開弁が規制される。よって、連通路構成部130は、通路面積が最小のオリフィス81,111および通路穴107によって構成され、この通路面積が最小の連通路構成部130で第1室16から第2室17に油液を流す。よって、減衰力は最小長側領域での伸び行程よりもハードになる。このとき、オリフィス81,111の通路面積は、オリフィス83,113の通路面積よりも小さいため、減衰力は中間領域での伸び行程よりもハードになる。
最大長側領域でピストンロッド21がシリンダ2からの突出量を減らす縮み側に移動する縮み行程では、第2室17から第1室16側に油液が流れるため、ピストン15のオリフィス82を開閉するピストンロッド21側の第1逆止弁43の開弁が許容される。よって、連通路構成部130は、オリフィス81,82,111,112および通路穴107によって構成され、この通路面積が大きい連通路構成部130で第2室17から第1室16に油液を流す。よって、減衰力はソフトになる。
上記した中間領域での縮み行程では、第2室17から第1室16側に油液が流れるため、ピストン15のオリフィス82を開閉するピストンロッド21側の第1逆止弁43の開弁が許容される一方、ピストン15のオリフィス113を開閉するピストンロッド21とは反対側の第2逆止弁47の開弁が規制される。よって、連通路構成部130は、オリフィス82,112および通路穴107によって構成され、この通路面積が小さい連通路構成部130で第2室17から第1室16に油液を流す。よって、減衰力は最大長側領域での縮み行程よりもハードになる。
上記した最小長側領域での縮み行程では、第2室17から第1室16側に油液が流れるため、ピストン15のオリフィス113を開閉するピストンロッド21とは反対側の第2逆止弁47の開弁が規制される。よって、連通路構成部130は、オリフィス84,114および通路穴107によって構成され、この通路面積が小さい連通路構成部130で第2室17から第1室16に油液を流す。よって、減衰力は最大長側領域での縮み行程よりもハードになる。
以上により、第1実施形態の緩衝器1は、図8にも示すように、最小長側領域S1〜S2の伸び行程でソフト、中間領域S3〜S4および最大長側領域S5〜S6の伸び行程でハード、最大長側領域S5〜S6の縮み行程でソフト、中間領域S3〜S4および最小長側領域S1〜S2の縮み行程でハードの特性となる。つまり、この緩衝器1を備えた各種産業用機械装置並びに民生機器において、緩衝器1の伸び方向移動および縮み方向移動のハードとソフトとの関係が、逆になる反転型の位置感応の減衰力変化特性が得られる。このような減衰力変化特性が得られることから、自動車のサスペンション装置に適用することで、バネ上を加振する力を小さく(つまりソフト)し、バネ上を制振する力を大きく(つまりハード)することができ、電子制御なしでスカイフック制御のような上質の乗り心地が得られる。
上記した特許文献1に記載のものは、シリンダの内周面におけるピストンのストローク範囲に螺旋テーパ溝を設け、この螺旋テーパ溝の深さがピストンロッドの押入方向に向かって徐々に減少するようになっている。これにより、ピストンの外周面とシリンダの内周面との間の流路の断面積をピストンロッドの押入方向に徐々に減少させ、流路を流れる流体の負荷を、ピストンロッドの押入方向への移動量にほぼ比例して増大させるようになっている。シリンダの内周面に螺旋テーパ溝を形成するのは生産性を低下させてしまう可能性がある。
これに対して、第1実施形態の緩衝器1は、シリンダ2に、軸方向の位置によって周方向の位置が異なるように磁性部141を配し、この磁性部141と磁気吸引し合う磁気発生部105をピストン15の通路面積可変機構132の切替弁45に配して、切替弁45の周方向の位置を磁性部141に倣って変化させて、連通路構成部130の通路面積を変化させるようになっている。よって、簡素な構造となり、生産性の向上が可能となるため、低コストで製造できる。しかも、減衰力変化の応答性を向上することができる。
なお、第1実施形態では、磁力で引き合う磁気発生部105と磁性部141との組を2組設ける場合を例にとり説明したが、これらの組を1組設けても良く、3組以上設けても良い。しかしながら、磁気吸引力を増大させるために複数組設けるのが好ましい。複数組設けた方が、磁気発生部105の磁性部141からの離脱を抑制でき、また、離脱発生時にも復帰がしやすくなる。
また、第1実施形態では、最大長側領域、中間領域および最小長側領域の三つの領域で磁性部141のシリンダ2の周方向における位置を異ならせる場合を例にとり説明したが、これに限らず、二つの領域や、四つ以上の領域で磁性部141のシリンダ2の周方向における位置を異ならせても良い。
また、第1実施形態とは逆に、磁気を発生させる磁気部材をシリンダ2に設け、磁気部材の磁力で磁気部材と吸引し合う磁性体を切替弁45に設けても良い。この場合、例えば、複数の永久磁石をシリンダ2に軸方向の位置によって周方向の位置が異なるように並べても良い。磁気部材としては、永久磁石以外に、コイルに電流を流し電磁誘導で磁力を発生する電磁石を用いても良い。
また、図9に示すように、第1オリフィスプレート44の通路面積の異なるオリフィス81〜84を、同径の基本オリフィス161の数を異ならせることによって形成しても良い。例えば、オリフィス81を一つの基本オリフィス161で形成し、オリフィス82を二つの基本オリフィス161で形成し、オリフィス83を三つの基本オリフィス161で形成し、オリフィス81を四つの基本オリフィス161で形成する。第2オリフィスプレート46についても同様の変更が可能である。あるいは、多孔体材料を用いてその密度を変えることによって周方向に通路面積の異なるオリフィスを形成しても良い。
また、図10に示すように、シリンダ2に、一対の磁性部141以外に、一対の磁性部141から離脱した一対の磁気発生部105を一対の磁性部141に戻すために吸引し案内する一対の復帰用磁性部163を形成しても良い。復帰用磁性部163は、シリンダ2の展開時に直線状をなして第1直線部143等に対して傾斜して一対の磁性部141を結ぶように延在している。このような復帰用磁性部163を形成すれば、例えば、緩衝器1に過大な衝撃が加わり、一対の磁性部141から一対の磁気発生部105が離脱した場合であってもピストン15の移動時に一対の復帰用磁性部163によって一対の磁気発生部105を磁力で一対の磁性部141に戻すことができる。
また、一対の磁気発生部105の移動経路をピストン15の軸方向移動の往路および復路とで異ならせることも可能である。図11に示すように、上記磁性部141と同様の第1直線部143と第1傾斜部144と第2直線部145とを有し、第2傾斜部146および第3直線部147をもたない磁性部141aを形成する。この磁性部141aには、第2直線部145の第1傾斜部144とは反対側に第1傾斜部144と同様に傾斜して第1直線部143に近づく第3傾斜部165を形成している。
加えて、別の磁性部141bを形成する。磁性部141bには、磁性部141aの第1直線部143と180度位置が異なる第4直線部166が、両端部の位置を、第1傾斜部144の第1直線部143側の端部と第3傾斜部165の第2直線部145とは反対側の端部とに合わせて形成されている。また、第2直線部145と180度位置が異なる第5直線部167がシリンダ2の軸方向において第1直線部143とは反対側に形成されている。そして、第1傾斜部144と同様に傾斜して第4直線部166および第5直線部167を繋ぐ第4傾斜部168が形成されている。さらに、第4直線部166の第4傾斜部168とは反対側に第4傾斜部168と同様に傾斜して第5直線部167に近づく第5傾斜部169を設けている。
すると、ピストンロッド21が伸び側の端部から縮み側に移動するときは、一方の磁気発生部105が磁性部141aの第1直線部143に対向し近接しながら移動する。磁性部141aの第1傾斜部144の位置では、他方の磁気発生部105が磁性部141bの第4直線部166と第5傾斜部169との分岐部分に掛かることになるが、磁性部141aに第5傾斜部169と同様の第1傾斜部144があるため、他方の磁気発生部105が磁性部141bの第5傾斜部169に、一方の磁気発生部105が磁性部141aの第1傾斜部144に、それぞれ対向し近接しながら移動する。そして、一方の磁気発生部105が磁性部141aの第2直線部145に対向し近接しながら移動し、その後、他方の磁気発生部105が磁性部141bの第5直線部167に対向し近接しながら移動して縮み側の端部に移動する。
ピストンロッド21が縮み側の端部から伸び側に移動するときは、他方の磁気発生部105が磁性部141bの第5直線部167に対向し近接しながら移動する。磁性部141bの第4傾斜部168の位置では、一方の磁気発生部105が第2直線部145と第3傾斜部165との分岐部分に掛かることになるが、磁性部141bに第3傾斜部165と同様の第4傾斜部168があるため、一方の磁気発生部105が磁性部141aの第3傾斜部165に、他方の磁気発生部105が磁性部141bの第4傾斜部168に、それぞれ対向し近接しながら移動する。そして、他方の磁気発生部105が磁性部141bの第4直線部166に対向し近接しながら移動し、その後、一方の磁気発生部105が磁性部141aの第1直線部143に対向し近接しながら移動する。
以上により、最大長側領域からの縮み行程では第2直線部145に一方の磁気発生部105が、最小長側領域からの伸び行程では第4直線部166に他方の磁気発生部105が、それぞれ対向し近接しながら移動することになるため、中間領域の切替弁45の周方向位置を異ならせることができる。これにより、伸び行程と縮み行程とで減衰力特性を異ならせることができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図12〜図15に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、図12に示すように第1実施形態とは一部異なるピストン15Aおよびピストンロッド21Aを有しており、図13に示すように第1実施形態とは一部異なるシリンダ2Aを有している。
図12に示すようにピストンロッド21Aは、ピストン15Aが連結される軸方向の一端部に、回転規制軸部201が形成されている。回転規制軸部201は、その外周面が、円筒面の周方向の180度異なる二カ所をこの円筒面の中心軸に平行な一対(図12に一方のみを図示)の平面部202を形成するように切り欠いた異形形状をなしている。ピストンロッド21Aの回転規制軸部201とは反対側にはピストンロッド21Aの荷重を検出するロードセル200が取り付けられている。
第2実施形態のピストン15Aは、ピストンロッド21Aに中心軸を一致させて連結されるシャフト203を有している。また、ピストン15Aは、ピストンロッド21Aの回転規制軸部201に取り付けられる第1通路穴部材204および第1摺動部材205と、シャフト203に、その軸方向のピストンロッド21A側から順に取り付けられる、オリフィスプレート206、第2摺動部材207、切替弁208、第3摺動部材209、第2通路穴部材210、ワシャ211およびナット212を有している。
第1通路穴部材204は、部材本体231と、シール部材232とを有している。部材本体231は、円板状をなしており、その外周面が、円筒面の軸方向の中央にこの円筒面と同軸状の外周溝235を形成した形状をなしている。この外周溝235にリング状のシール部材232が嵌合されている。
部材本体231には、径方向の中央に、上記した異形形状の回転規制軸部201を相対回転不可に嵌合させる、この回転規制軸部201の外周面と同形状の嵌合穴236が軸方向に沿って貫通して形成されている。これにより、部材本体231つまり第1通路穴部材204は、ピストンロッド21Aに対して回転が規制された状態で取り付けられる。部材本体231には、嵌合穴236よりも径方向の外側に、複数具体的には四カ所の通路穴237が90度ずつ位相を異ならせて形成されている。これらの通路穴237は、部材本体231の中心を中心とする円弧状に延びる長穴となっており、部材本体231をその軸方向に沿って貫通している。
第1摺動部材205は、摩擦係数がその両側の第1通路穴部材204およびオリフィスプレート206よりも小さい部材である。第1摺動部材205には、径方向の中央に、上記した異形形状の回転規制軸部201を相対回転不可に嵌合させる、この回転規制軸部201の外周面と同形状の嵌合穴241が軸方向に貫通して形成されている。第1摺動部材205には、嵌合穴241を囲むように円環状をなして軸方向に凹む環状凹部242が軸方向の両側に形成されている。環状凹部242内には、軸方向に貫通する貫通穴243が周方向に並んで複数形成されている。第1摺動部材205の軸方向の両端面は、それぞれ、環状凹部242の径方向内外両側が同一平面に配置される平坦面となっている。
オリフィスプレート206は、プレート本体251と磁気発生部252(第2の磁気吸引部)とを有している。
プレート本体251は、円板状をなしており、軸方向の両端面が平坦面となっている。プレート本体251は、その外周面が、円筒面の周方向の一部をこの円筒面の中心軸に平行な平面部255を形成するように切り欠いた異形形状をなしている。平面部255には、中央にオリフィスプレート206の径方向に沿って一部突出するように磁気発生部252が固定されている。磁気発生部252は、第1実施形態と同様、永久磁石253とこれを囲むヨーク254とを有している。
プレート本体251には、径方向中央に軸方向に貫通する丸穴である貫通穴256が形成されている。プレート本体251には、貫通穴256よりも径方向の外側に、一対のオリフィス穴257が設けられている。一対のオリフィス穴257は、180度位相を異ならせてプレート本体251を軸方向に貫通している。これらのオリフィス穴257は、プレート本体251の中心を中心とする円弧状に延びる長穴となっており、プレート本体251の周方向における一側ほどプレート本体251の径方向における幅が広くなっている。つまり、オリフィス穴257は、周方向に沿って連続的に通路面積が変化する。
ここで、図示は略すが、磁気発生部252はオリフィス穴257内に露出している。これにより、オリフィス穴257内を通過する油液に含まれる摩耗粉等の金属成分を磁気発生部252が吸着することになる。なお、磁気発生部252の磁力範囲は、オリフィス穴257内の全範囲であるのが良い。磁気発生部252を直接的にオリフィス穴257内に露出させる必要はなく、透磁性材料からなるカバーを介して露出させても良く、磁性金属の磁化を利用して間接的にオリフィス穴257内に磁力の影響を及ぼすようにしても良い。
第2摺動部材207は、その両側のオリフィスプレート206および切替弁208よりも摩擦係数が小さい部材であり、円筒状の円筒部261と、円筒部261の軸方向の一端側から径方向外側に広がるフランジ部262と、フランジ部262の円筒部261とは反対側の異形筒状部263とを有している。フランジ部262には、一対の丸穴である通路穴264が180度位相を異ならせて形成されている。第2摺動部材207は、円筒部261がオリフィスプレート206の貫通穴256に回転可能に嵌合されることになる。この状態で、フランジ部262と第1摺動部材205との間にオリフィスプレート206を回転可能に挟持する。異形筒状部263は、その外周面が、円筒面の周方向の180度異なる二カ所をこの円筒面の中心軸に平行な一対(図12に一方のみを図示)の平面部265を形成するように切り欠いた異形形状をなしている。
切替弁208は、弁本体271と磁気発生部272(第2の磁気吸引部)とを有している。
弁本体271は、円板状をなしており、軸方向の両端面が平坦面となっている。弁本体271は、その外周面が、円筒面の周方向の一部をこの円筒面の中心軸に平行な平面部273を形成するように切り欠いた異形形状をなしている。平面部273には、その中央に切替弁208の径方向に沿って一部突出するように磁気発生部272が固定されている。磁気発生部272は、磁気発生部252と同様、永久磁石274とこれを囲むヨーク275とを有している。
弁本体271には、径方向の中央に、上記した第2摺動部材207の異形筒状部263を相対回転不可に嵌合させる、この異形筒状部263の外周面と同形状の嵌合穴276が形成されている。弁本体271には、嵌合穴276よりも径方向の外側に、一対の丸穴である通路穴277が180度位相を異ならせて軸方向に貫通して形成されている。異形筒状部263を嵌合穴276に嵌合させると、弁本体271の一方の通路穴277とフランジ部262の一方の通路穴264とが同軸となって連通し、弁本体271の他方の通路穴277とフランジ部262の他方の通路穴264とが同軸となって連通する。
シャフト203は、ピストンロッド21Aに螺合される第1ネジ軸部281と、回転許容軸部282と、回転規制軸部283とを有している。回転許容軸部282は、外周面が円筒面となっており、第2摺動部材207に相対回転可能に嵌合する。回転規制軸部283は、その外周面が、円筒面の周方向の180度異なる二カ所をこの円筒面の中心軸に平行な一対(図12に一方のみを図示)の平面部284を形成するように切り欠いた異形形状をなしている。
第3摺動部材209は、第1摺動部材205と共通部品となっており、その両側の切替弁208および第2通路穴部材210よりも摩擦係数が小さい部材となっている。第3摺動部材209は、嵌合穴241にシャフト203の回転規制軸部283を嵌合させることでシャフト203に対する相対回転が不可となる。第2通路穴部材210は第1通路穴部材204と共通部品となっており、嵌合穴236にシャフト203の回転規制軸部283を嵌合させることでシャフト203に対する相対回転が不可となる。
ワシャ211はシャフト203の第1ネジ軸部281とは反対側の図示略の第2ネジ軸部に被せられることになり、ナット212は第2ネジ軸部に螺合されることになる。ピストンロッド21Aと、これに連結されるシャフト203と、これに連結されるナット212とよって、第1通路穴部材204、第1摺動部材205、オリフィスプレート206、第2摺動部材207、切替弁208、第3摺動部材209、第2通路穴部材210およびワシャ211が、ピストンロッド21Aに対して軸方向に位置決めされて取り付けられることになる。
これらのうち、オリフィスプレート206、第2摺動部材207および切替弁208は、ピストンロッド21Aに対して軸方向に位置決めされた状態で相対回転可能となっており、他の部品は相対回転不可となっている。ただし、第2摺動部材207および切替弁208は一体に回転する。オリフィスプレート206は、回転時に第1摺動部材205および第2摺動部材207に接触して摺動することになり、これら第1摺動部材205および第2摺動部材207によって摺動抵抗が軽減され、円滑に回転できるようになっている。切替弁208は、第2摺動部材207との一体回転時に第3摺動部材209に接触して摺動することになり、この第3摺動部材209によって摺動抵抗が軽減され、円滑に回転できるようになっている。
ピストン15Aは、作動流体が封入されるシリンダ2A内に摺動可能に嵌装されることになり、この状態で、第1通路穴部材204のシール部材232および第2通路穴部材210のシール部材232がシリンダ2Aの内周面に密着しシリンダ2A内に第1室16と第2室17とを区画する。
オリフィスプレート206と、第2摺動部材207および切替弁208とは相互に独立して回転可能となっている。第1通路穴部材204の通路穴237と、第1摺動部材205の一対の環状凹部242および複数の貫通穴243と、オリフィスプレート206のオリフィス穴257と、第2摺動部材207の通路穴264と、切替弁208の通路穴277と、第3摺動部材209の一対の環状凹部242および複数の貫通穴243と、第2通路穴部材210の通路穴237とが、ピストン15Aの移動により第1室16および第2室17間を作動流体である油液が流れるように連通させる連通路291を構成することになる。連通路291の通路面積は、オリフィスプレート206のオリフィス穴257と、第2摺動部材207の通路穴264との連通量で決まる。つまり、オリフィスプレート206と、第2摺動部材207および切替弁208との相対的な回転角度によって連通路291の通路面積は連続的に増減変化する。
シャフト203つまりピストンロッド21Aに対してオリフィスプレート206が回転しない状態で、切替弁208および第2摺動部材207が一体に回転すると、連通路291は、一対のオリフィス穴257に対する一対の通路穴264の連通量を変化させて連通路291の通路面積を変化させることになる。また、シャフト203つまりピストンロッド21Aに対してオリフィスプレート206が回転しつつ切替弁208および第2摺動部材207が一体に回転すると、連通路291は、一対のオリフィス穴257に対する一対の通路穴264の連通量を上記とは異なるように変化させて連通路291の通路面積を変化させることになる。また、これら以外にも種々の通路面積変更が可能である。
よって、一対のオリフィス穴257を有するオリフィスプレート206と、一対の通路穴264を有する第2摺動部材207と、一対の通路穴277を有する切替弁208とが、ピストン15Aに設けられて、連通路291の通路面積を、オリフィスプレート206および切替弁208のピストンロッド21Aに対する回転位置により異ならせる通路面積可変機構292を構成する。
ピストン15Aに設けられた連通路291は、ピストンロッド21Aが軸方向に移動してピストン15Aがこれと一体に移動することにより、第1室16と第2室17との間を作動流体である油液が流れるように連通させる。連通路291を介して作動流体である油液が流れる際に生じる抵抗により減衰力が発生する。通路面積可変機構292は、最大長側領域と最小長側領域とで異なる減衰力を発生させる。
図13の展開図に示すように、シリンダ2Aは、その軸方向位置によって周方向の位置が異なるように配される磁性体からなる磁性部(第1の磁気吸引部)301と、その軸方向位置によって周方向の位置が異なるように配される磁性体からなる磁性部(第1の磁気吸引部)302と、磁性体からなる復帰用磁性部303と、磁性部301,302および復帰用磁性部303以外の非磁性体からなる非磁性部304と、からなっている。
磁性部301,302は、シリンダ2Aの周方向長さよりも大幅に小さい略一定幅に形成されており、線状をなしている。磁性部301は、シリンダ2Aの軸方向一側から順に、シリンダ2Aの展開時にシリンダ2Aの軸方向に沿う直線状をなす直線部311と、シリンダ2Aの展開時に湾曲しつつ直線部311に対し傾斜する傾斜部312とを有している。
磁性部302は、シリンダ2Aの軸方向一側から順に、シリンダ2Aの展開時にシリンダ2Aの軸方向に対しいずれも傾斜する第1傾斜部313、第2傾斜部314、第3傾斜部315および第4傾斜部316を有している。第2傾斜部314および第3傾斜部315は、シリンダ2Aの軸方向に対して互いに同等の角度で周方向の反対向きに傾斜しており、第1傾斜部313および第4傾斜部316は、シリンダ2Aの軸方向に対して互いに同等の角度で周方向の反対向きに傾斜している。第1傾斜部313および第4傾斜部316は第2傾斜部314および第3傾斜部315から離れるほど傾斜量が大きくなるように湾曲している。
復帰用磁性部303は、シリンダ2Aの展開時に、磁性部302の磁性部301側に配置され、その磁性部302とは反対側がシリンダ2Aの軸線に沿う直線状をなすように形成されている。
シリンダ2Aは軸方向の直線部311および第1傾斜部313側をロッドガイド22側に、傾斜部312および第4傾斜部316側をベースバルブ25側にしてこれらに取り付けられることになる。
そして、ピストンロッド21Aに取り付けられたピストン15Aをシリンダ2A内に挿入する際に、オリフィスプレート206の磁気発生部252をシリンダ2の磁性部301に対向させるとともに、切替弁208の磁気発生部272をシリンダ2の磁性部302に対向させる。すると、磁気発生部252と磁性部301とが磁気吸引し合って対向し近接する状態を維持するとともに、磁気発生部272と磁性部302とが磁気吸引し合って対向し近接する状態を維持する。
これにより、ピストン15Aの軸方向移動に伴い、磁力の働きにより、磁気発生部252が磁性部301の形状に倣ってピストン15Aの周方向における位置を変化させることになり、磁気発生部272が磁性部302の形状に倣ってピストン15Aの周方向における位置を変化させることになる。つまり、磁気発生部252は、磁性部301と吸引し合って通路面積可変機構292のオリフィスプレート206の周方向の位置を磁性部301の形状に倣って変化させることになり、磁気発生部272は、磁性部302と吸引し合って通路面積可変機構292の切替弁208の周方向の位置を磁性部302の形状に倣って変化させることになる。言い換えれば、磁性部301は、ピストン15の軸方向移動時に磁気発生部252の移動を案内する案内経路を構成しており、磁性部302は、ピストン15Aの軸方向移動時に磁気発生部272の移動を案内する案内経路を構成していて、これら案内経路が互いに独立して設けられている。
このような第2実施形態によれば、切替弁208がシリンダ2Aの軸方向の中央から両側に離れるほどピストンロッド21Aに対して回転する一方、オリフィスプレート206が最大長側領域ではピストンロッド21Aに対して回転せず、最小長側領域でピストンロッド21Aに対して軸方向に離れるほど回転することになる。これにより、オリフィスプレート206のオリフィス穴257と第2摺動部材207の通路穴264との連通量をピストン15Aのストローク端側ほど小さくして図14に示すようにピストン15Aがシリンダ2Aの軸方向両端側に位置するほど減衰力がハードになり、しかも最小長側領域全体でオリフィスプレート206のオリフィス穴257と第2摺動部材207の通路穴264との連通量を最大長側領域よりも大きくして減衰力がソフトになる特性が得られる。
このような減衰力特性とすることで、ピストンロッド21Aのシリンダ2Aに対するストローク端側の速度を抑えることができる。よって、オリフィス穴257と通路穴264との連通量を例えばストローク端側で極小とし、またはなくすことで、ピストン15Aの他部品への衝突を押さえる油圧ストッパ機能を持たせることができる。
また、第2実施形態によれば、ピストンロッド21Aにロードセル200が直列に取り付けられているため、ピストン15Aに生じる圧力をロードセル200で検出することができる。よって、上記のようにピストンロッド21Aのストローク位置によって発生圧力が異なることから、ストローク位置と発生圧力との関係を予め測定しておき、このデータとロードセル200の検出データとを照合することで、ピストン15Aの現在位置を検出することができる。
また、復帰用磁性部303を形成しているため、例えば、ピストンロッド21Aに過大な衝撃が加わり、磁性部302から磁気発生部272が離脱した場合であっても復帰用磁性部303によって例えば図15に示すルートRで磁気発生部272を磁性部302に戻すことができる。
また、磁気発生部252がオリフィス穴257内に露出しているため、オリフィス穴257内を通過する油液に含まれる摩耗粉等の金属成分を磁気発生部252によって吸着することができる。
以上に述べた実施形態によれば、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され、該シリンダ内を二室に区画するピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、 前記ピストンの移動により前記二室間を作動流体が流れるように連通させる連通路と、前記シリンダに軸方向の位置によって周方向の位置が異なるように配される第1の磁気吸引部と、前記ピストンに設けられ、前記連通路の通路面積を周方向の位置により異ならせる通路面積可変機構と、前記通路面積可変機構に設けられ、前記第1の磁気吸引部と磁気吸引し合って前記通路面積可変機構の周方向の位置を前記第1の磁気吸引部に倣って変化させる第2の磁気吸引部と、を有する。これにより、生産性の向上が可能となる。