JP6406470B1 - 管理装置、蓄電モジュール、管理方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蓄電素子3は、充放電の推移に応じて複数の電気化学反応を生じ、蓄電量−電圧充電(第1)特性及び蓄電量−電圧放電(第2)特性間のヒステリシスが示される活物質を正極又は負極に含む。BMU6は、第1特性、第2特性、並びに充放電の履歴により取得した、第1閾値より大きい上方電圧、及び前記第1閾値より小さい下方電圧に基づいて、蓄電量を推定するときの参照のための蓄電量−電圧充電特性及び/又は参照のための蓄電量−電圧放電特性を推定する第1推定部62を備える。
【選択図】図11
Description
リチウム遷移金属複合酸化物をLiMeO2(Meは遷移金属)で表したとき、MeとしてMnを用いることが望まれてきた。MeとしてMnを含有させた場合、Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5を超える場合には、充電をするとスピネル型へと構造変化が起こり、結晶構造が維持できない為、充放電サイクル性能が著しく劣る。
Me中のMnのモル比Mn/Meが0.5以下であり、Meに対するLiのモル比Li/Meが略1であるLiMeO2型活物質が種々提案され、実用化されている。リチウム遷移金属複合酸化物であるLiNi1/2Mn1/2O2及びLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等を含有する正極活物質は150〜180mAh/gの放電容量を有する。
SOCi =SOCi-1 +Ii ×Δti / Q×100…(1)
SOCi :今回のSOC
SOCi-1 :前回のSOC
I:電流値
Δt:時間間隔
Q:電池容量(available capacity)
従って、現行のSOC推定技術ではこのような蓄電素子におけるSOCを精度良く推定することが困難である。
ここで、蓄電量とは、SOC、電力放出可能量等を意味する。
「第1特性」及び「第2特性」は、正極又は負極の「蓄電量−電位充電特性」及び「蓄電量−電位放電特性」から算出できる。従って、「第1特性」及び「第2特性」は、「蓄電量−電位充電特性」及び「蓄電量−電位放電特性」を含む。
「第3特性」及び「第4特性」は、正極又は負極の「蓄電量−電位充電特性」及び「蓄電量−電位放電特性」から算出できる。従って、「第3特性」及び「第4特性」は、「蓄電量−電位充電特性」及び「蓄電量−電位放電特性」を含む。
(実施形態の概要)
管理装置は、充放電の推移に応じて複数の電気化学反応を生じ、蓄電量−電圧充電特性である第1特性、及び蓄電量−電圧放電特性である第2特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の蓄電量特性を推定する。管理装置は、第1特性、第2特性、並びに充放電の履歴により取得した、第1閾値より大きい上方電圧及び前記第1閾値より小さい下方電圧に基づいて、取得した電圧により蓄電量を推定するときの参照のための蓄電量−電圧充電特性である第3特性及び/又は参照のための蓄電量−電圧放電特性である第4特性を推定する第1推定部を備える。
正極の場合、充電時、第1閾値と上方電圧との間で生じた、一の電気化学反応に基づく酸化量は、放電時の還元により減じる。一の電気化学反応に基づく酸化量は第1特性と第2特性との間の蓄電量の差分に対応する。上方電圧及び下方電圧に基づき、還元により減じた後の酸化量に対応する物理量(蓄電量の差分)を考慮することで、第1特性及び第2特性により第3特性又は第4特性を精度良く推定できる。負極の場合も同様である。
充電時及び放電時に、全領域で蓄電量を精度良く推定できる第3特性又は第4特性を求めることができる。
実測するのは第1特性及び第2特性のみであり、第1特性及び第2特性は推定してもよく、作業量は少ない。
蓄電素子の劣化に応じて、第3特性又は第4特性を推定する場合、実測又は推定するのは第2特性及び第1特性のみであり、蓄電素子の使用期間における作業量は少ない。
ここで、「前記第1特性と前記第2特性との間の蓄電量の差分の最大値と、前記上方電圧における前記差分との差」に対応する物理量を余剰酸化量(又は余剰還元量)としている。
この領域において、上方電圧における第1特性及び第2特性の蓄電量の差(Δ蓄電量)は、一の電気化学反応(酸化量)に対応する。一の電気化学反応と他の電気化学反応とは、実質的に独立して生じる。一の電気化学反応の反応量はΔ蓄電量に対応し、他の電気化学反応に影響を与えない。負極の場合も同様である。
上方電圧における第1特性の蓄電量を上限値とし、第2特性を用いて、第3特性を精度良く算出できる。
但し、第1閾値における蓄電量=(前記第1特性の前記上方電圧における蓄電量)−{(前記第2特性の前記上方電圧における蓄電量)−(前記第2特性の前記第1閾値における蓄電量)}
第1閾値から第2閾値までの領域で、他の電気化学反応に基づく放電電気量は充電電気量に等しい。他の電気化学反応と電位とが概ね1:1に対応し、可逆的に反応しているとみなすことができる。上記式により、第1閾値における蓄電量が求められる。(該蓄電量,第1閾値)を起点として第1特性を用いて、第3特性が精度よく取得できる。負極の場合も同様である。
従って、複数の蓄電素子を用いる場合のバランシング、回生受け入れの制御、蓄電素子を車載した場合の走行距離の推定等を精度良く行うことができる。
正極の場合、充電時、第1閾値と上方電圧との間で生じた、一の電気化学反応に基づく酸化量は、放電時の還元により減じる。一の電気化学反応に基づく酸化量は第1特性と第2特性との間の蓄電量の差分に対応する。上方電圧及び下方電圧に基づき、還元により減じた後の酸化量に対応する物理量を考慮することで、第1特性及び第2特性により第3特性又は第4特性を精度良く推定できる。負極の場合も同様である。
充電時及び放電時に、全領域で蓄電量を精度良く推定できる電圧参照蓄電量−電圧特性を求めることができる。
実測するのは第1特性及び第2特性のみであり、第1特性及び第2特性は推定してもよく、作業量は少ない。
蓄電素子の劣化に応じて、電圧参照蓄電量−電圧特性を推定する場合、実測又は推定するのは第2特性及び第1特性のみであり、蓄電素子の使用期間における作業量は少ない。
本実施形態に係る蓄電素子は、充放電の推移に応じて複数の電気化学反応を生じ、一の電気化学反応が生じる場合に、第1特性及び第2特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び負極の少なくとも一方に含む。
以下、蓄電素子の活物質がNiを含むLi過剰型のLiMeO2-Li2MnO3固溶体であり、蓄電量がSOCである場合を例として説明する。
図1は、このLi過剰型活物質につき、対極Liのリチウムセルを用い、電気量と充放電電位との関係を求めた結果を示すグラフである。横軸は電気量(mAh/g)、縦軸は充放電電位E(VvsLi/Li+ :Li/Li+平衡電位を基準にしたときの電位)であり、上側が数値が高い。ここで、電気量はSOCに対応する。
図1に示すように、SOCの増加(充電)と、減少(放電)とで電位が異なる。即ち同一SOCに対する電位が異なり、ヒステリシスを有する。この活物質の場合、同一SOCに対する電位差は、高SOC側では低SOC側より小さく、ヒステリシスが小さい。
図3は、充放電時におけるNiのK吸収端エネルギーの推移を示すグラフである。横軸は充放電電位E(VvsLi/Li+ )であり、右側が数値が高く、縦軸はNiのK吸収端エネルギーE0 (eV)である。
中間のSOC領域では、充電反応及び放電反応のNiのK吸収端エネルギーがSOCに対して略直線的に変化している。
該SOC領域においてBの反応量はAの反応量より多く、結果として、低SOC領域よりヒステリシスが小さい。
なお、ここではNiの酸化還元反応だけに注目して説明しているが、Bの反応はNiの酸化還元反応に限定されるものではない。Bの反応は、充放電の推移に応じて活物質により生じる一又は一群の反応のうち、SOC−OCPのヒステリシスが小さい反応をいう。
第1閾値V1としてOCVを測定できる場合、V1は一定であってもよい。V1としてCCV(Closed Circuit Voltage)を測定する場合、蓄電素子の使用に伴う劣化の程度に対応して、V1を下げる等、更新してもよい。蓄電素子の劣化の原因として、内部抵抗の上昇、容量バランスのずれの増大等が挙げられる。容量バランスのずれとは、例えば正極における充放電反応以外の副反応の量と、負極における充放電反応以外の副反応の量とに差が生じることによって、正極及び負極のうちの一方が完全には充電されないようになり、正極と負極の、可逆的に電荷イオンが電極から出入りできる容量が相違するようになることをいう。一般的なリチウムイオン電池では、正極における副反応量が、負極における副反応量よりも小さいために、「容量バランスのずれ」が増大すると、負極を完全に充電することができなくなり、蓄電素子から可逆的に取り出せる電気量が減少する。
第1特性及び第2特性を記憶しておく。第1特性及び第2特性は、完全放電状態から満充電状態に充電する完全充電SOC−OCV特性、及び満充電状態から完全放電状態に放電する完全放電SOC−OCV特性であるのが好ましい。
第1特性、第2特性、充放電の履歴(Vup及びVlow)、酸化量、及び還元量に基づいて、第3特性及び/又は第4特性を算出する。
充放電の履歴、第3特性、第4特性、及び現時点の電圧に基づいて、蓄電量を推定する。
ここで、「現時点の電圧」とは、蓄電素子の使用時にSOCを推定する場合は、推定時点の電圧をいい、蓄電素子の使用後に使用終了時点のSOCを推定する場合は該時点の電圧、又は所定時間放置後の電圧をいう。
低電流におけるセルの完全充電SOC−OCV(フルの第1SOC−OCV)及び完全放電SOC−OCV(フルの第2SOC−OCV)から正極の完全充電SOC−OCP(フルの第1SOC−OCP)及び完全放電SOC−OCP(フルの第2SOC−OCP)を求める。又は、最初から第1SOC−OCP及び第2SOC−OCPを求める。
Vupに対応する正極の電位をVup′、V1に対応する正極の電位をV1′とする。
グラフである。図中、上側の黒線は第1SOC−OCP、下側の黒線は第2SOC−OCPである。
OCPを下記の表1に示すように、縦軸の上から下へ、高低に基づき5つの電位範囲に分割する(Va>Vb>Vc>Vd)。第1SOC−OCPの形状をScha、第2SOC−OCPの形状をSdisとする。
以後、黒太線はSchaに基づく第3SOC−OCPを、破線はSdisに基づく第4SOC−OCPを示す。
Region2においては、Vup′における第1SOC−OCPのSOC(SOCat Vup′)を上限値とし、第2SOC−OCPを用いて第3SOC−OCPを作成する。即ち起点(SOCat Vup′,Vup′)を通るように、第2SOC−OCPを平行移動させて、第3SOC−OCPを算出する。第3SOC−OCPの形状はSdisである。この領域では放電時にAの反応は生じず、第2SOC−OCPの形状はBの反応に基づくので、これをシフトすることにより、Bの反応に基づく第3SOC−OCPが得られる。第4SOC−OCPは第3SOC−OCPと共通する。
SOC atV1′=(第1SOC−OCPのVup′におけるSOC)−{(第2SOC−OCPのVup′におけるSOC)−(第2SOC−OCPのV1′におけるSOC)}
即ち、Region3の第4SOC−OCPは、第2SOC−OCPと第1SOC−OCPとのSOCの差分の最大値(ΔSOCmax)と、Vup′における前記差分(ΔSOC)との差が、0.7×ΔSOCmaxより大きい場合、Sdisを用いる。前記差が0.7×ΔSOCmax以下である場合、Schaを用いる。即ちAの反応に基づく酸化体の還元量が大きい場合、Sdisを用い、還元が小さい場合、Schaを用いる。なお、Aの反応の酸化体の量に応じて、SchaとSdisとを使い分けているが、酸化体の量に応じて、SchaとSdisとを組合わせて、曲線形状を作成してもよい。
Region4においては、Region3とRegion5とを繋ぐように、内挿計算を用いて、第3SOC−OCP及び第4SOC−OCPを作成する。図6においては、Region3とRegion5とを直線状に接続している。細破線が第3SOC−OCP及び第4SOC−OCPである。
図7は、Vup′の更新を説明するためのグラフである。
V1′より高電位側の領域において、充電時にAの反応及びBの反応が生じ、放電時にはBの反応のみが生じる。同一電位における、第2SOC−OCP及び第1SOC−OCP間のSOCの差(ΔSOC)は、Aの反応の酸化量に対応する。
V1′から高電位側の領域において、Bの反応に対応する第3SOC−OCPの形状は、第2SOC−OCPの形状に対応する。上述のように起点(SOC atVup′,Vup′)を通るように、第2SOC−OCPを平行移動させて、第3SOC−OCPを求める(図5参照)。
放電時に、電位がV1′より卑にならなかった場合、Vup′に基づく第3SOC−OCPを使用する。
図7に示すように、Vup′とV1′との間に、ΔSOCが最大となる電位がある。この電位におけるΔSOCが前記ΔSOCmaxである。Vup′におけるΔSOCをΔSOC(i)とする。ΔSOCmaxとΔSOC(i)との差分を余剰酸化量ΔQox(i)と定義する。ΔQox(i)は下記式により算出される。
ΔQox(i)=ΔSOCmax−ΔSOC(i)
ΔQre(i)は、ΔQox(i)、V1′より低電位側の第1SOC−OCP及び第2SOC−OCPに基づいて算出する。
ΔQox(i+1)=ΔQox(i)−ΔQre(i)
ΔSOC(i+1)=ΔSOCmax−ΔQox(i+1)
これにより、更新するVup′(i+1)が算出される。図7に示すように、第2SOC−OCP及び第1SOC−OCP間のΔSOCがΔSOC(i+1)になる場合の、第1SOC−OCPの電位がVup′(i+1)である。Vup′(i+1)はVup′より卑である。Vup′(i+1)はメモリ63に記憶される。
以下、実施形態1として、車両に搭載される蓄電モジュールを例に挙げて説明する。
図8は、蓄電モジュールの一例を示す。蓄電モジュール50は、複数の蓄電素子200と、監視装置100と、それらを収容するケース300とを備えている。蓄電モジュール50は、電気自動車(EV)や、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の動力源として使用されてもよい。
蓄電素子200は、角形セルに限定されず、円筒形セルやパウチセルであってもよい。
監視装置100は、複数の蓄電素子200と対向して配置される回路基板であってもよい。監視装置100は、蓄電素子200の状態を監視する。監視装置100が、管理装置であってもよい。代替的に、監視装置100と有線接続または無線接続されるコンピュータやサーバが、監視装置100が出力する情報に基づいて管理方法を実行してもよい。
電池モジュール1は直方体状のケース2を有する。ケース2に複数のリチウムイオン二次電池(以下、電池という)3、複数のバスバー4、BMU(Battery Management Unit)6、電流センサ7が収容される。
正極活物質としては、上述のLiMeO2-Li2MnO3固溶体、Li2O−LiMeO2固溶体、Li3NbO4 −LiMeO2固溶体、Li4 WO5 −LiMeO2固溶体、Li4 TeO5 −LiMeO2固溶体、Li3SbO4 −LiFeO2固溶体、Li2RuO3 −LiMeO2固溶体、Li2RuO3 −Li2 MeO3 固溶体等のLi過剰型活物質が挙げられる。負極活物質としては、ハードカーボン、Si、Sn、Cd、Zn、Al、Bi、Pb、Ge、Ag等の金属若しくは合金、又はこれらを含むカルコゲン化物等が挙げられる。カルコゲン化物の一例として、SiOが挙げられる。本発明の技術は、これらの正極活物質及び負極活物質の少なくとも一方がヒステリシスを有する場合、適用可能である。
本体21の各仕切り板26の間に、電池3が挿入されている。
メモリ63には、本実施形態に係るSOC推定プログラム(以下、プログラムという)63aと、テーブル63bとが記憶されている。プログラム63aは、例えば、CD−ROMやDVD−ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体70に格納された状態で提供され、BMU6にインストールすることによりメモリ63に格納される。代替的に、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからプログラム63aを取得し、メモリ63に記憶させてもよい。
CPU62はメモリ63から読み出したプログラム63aに従って、後述するSOC推定処理を実行する。
電流値計測部9は、電流センサ7を介して電池3に流れる電流値を所定時間間隔で計測する。
電池モジュール1の外部端子5,5は、エンジン始動用のスターターモータ及び電装品等の負荷11に接続されている。
ECU(Electronic Control Unit)10は、BMU6及び負荷11に接続されている。
図12及び図13は、CPU62によるSOC推定処理の手順を示すフローチャートである。CPU62は、所定の間隔で、又は適宜の間隔でS1からの処理を繰り返す。
CPU62は、電池3の端子間の電圧及び電流値を取得する(S1)。第1閾値V1及び上方電圧VupはOCVであるので、電池3の電流量が大きい場合、取得した電圧をOCVに補正する必要がある。OCVへの補正値は、複数の電圧及び電流値のデータから回帰直線を用いて、電流値がゼロである場合の電圧を推定すること等により得られる。電池3を流れる電流量が暗電流程度に小さい(微小電流である)場合、取得した電圧をOCVとみなすことができる。
CPU62は、電流積算によりSOCを推定し(S7)、処理を終了する。
CPU62は電圧がV1未満であると判定した場合(S8:YES)、取得した電圧が前回メモリ63に記憶された下方電圧Vlowより小さいか否かを判定する(S9)。
CPU62は電圧が前回のVlowより小さくないと判定した場合(S9:NO)、処理をS11へ進める。
CPU62は電圧が前回のVlowより小さいと判定した場合(S9:YES)、メモリ63において、電圧をVlowに更新する(S10) CPU62は、電流積算によりSOCを推定し(S11)、処理を終了する。
CPU62は設定時間が経過していないと判定した場合(S12:NO)、電流積算によりSOCを推定し(S13)、処理を終了する。
CPU62は、Vup′(i+1)を算出するか否かを判定する(S14)。CPU62は、充電により電圧がVupに到達した後、放電により電圧がVlowに到達した場合、Vup′(i+1)を算出すると判定する。
CPU62は、Vup′(i+1)を算出しないと判定した場合(S14:NO)、処理をS16へ進める。
図14は、Vup′(i+1)の算出のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
CPU62は、テーブル63bから第1SOC−OCP及び第2SOC−OCPを読み出す(S151)。
CPU62は、メモリ63からVup及びVlowを読み出す(S152)。CPU62は、Vup及びVlowを正極の電位Vup′及びVlow′に換算する。
CPU62は、Vup′におけるΔSOCの差分であるΔSOC(i)を算出する(S153)。
CPU62は、ΔSOCmaxからΔSOC(i)を減じて余剰酸化量ΔQox(i)を算出する(S154)。
CPU62は、還元量ΔQre(i)を算出する(S155)。
CPU62は、ΔQox(i)からΔQre(i)を減じて更新する余剰酸化量ΔQox(i+1)を算出する(S156)。
CPU62は、ΔSOCmaxからΔQox(i+1)を減じてΔSOC(i+1)を算出する(S157)。
CPU62は、Vup′(i+1)を算出し(S158)、リターンする。第2SOC−OCP及び第1SOC−OCP間のΔSOCがΔSOC(i+1)になる場合の、第1SOC−OCPの電位がVup′(i+1)となる。
図15は、第3,第4SOC−OCVの算出のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
CPU62は、テーブル63bから第1SOC−OCP及び第2SOC−OCPを読み出す(S161)。
CPU62は、メモリ63からVup及びVlowを読み出す(S162)。CPU62は、Vup及びVlowを正極の電位であるVup′及びVlow′に換算する。CPU62はS15でVup′(i+1)を算出していた場合、Vup′をVup′(i+1)に更新する。
CPU62は、Vup及びVlowの更新の履歴から、休止状態になるまでの充放電履歴を把握し、上述のようにして対応するRegionの第3SOC−OCP又は第4SOC−OCPを算出する(S163)。
CPU62は、第3SOC−OCP又は第4SOC−OCPを第3SOC−OCV又は第4SOC−OCVに換算し(S164)、リターンする。
本実施形態では、設定時間が経過しているか否かで、電流積算法とOCV法を使い分けている。代替的に、電流積算法は常時行い、S17の後に、履歴や現時点で取得したセンサデータに基づき、電流積算法とOCV法の推定情報を統合して、SOCを推定してもよい。
また、CPU62が電圧計測部8から取得する電圧は、電流値により多少変動するので、実験により補正係数を求めて電圧を補正することもできる。
VupはΔQoxが0に近づいたときに、Vup=V1にリセットしてもよい。但し、Vlowが卑にシフトしたときに自動的にリセットされるため、リセット条件は設けなくてもよい。
Vlow′は、Vlow′を更新したのち、単極(ここでは正極)の電位がV1′より貴に達したとき、及び単極の電位がVup′に達したときに、Vlow′=V1′にリセットしてもよい。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。cは下記式で表される。
差異(%)=電圧参照にて推定したSOC(%)-電流積算にて推定したSOC(%) 図16より差異は略−4%〜2%であり、小さいことが分かる。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図17より差異は略−5%〜2%であり、小さいことが分かる。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図18より差異は略−5%〜2%であり、小さいことが分かる。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図19より差異は略−4%〜5%であり、小さいことが分かる。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図20より差異は略−9%〜3%であり、小さいことが分かる。例えば低SOC領域で放電から充電に切り替えた際に9%の誤差が生じているが、このような場合、電流積算法により補完してもよい。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図21より差異は略−9%〜3%であり、小さいことが分かる。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図22より差異は略−10%〜6%であり、小さいことが分かる。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図23より差異は略−7%〜2%であり、小さいことが分かる。
SOC:0→93
→(21⇔29)×3
→(6⇔24)×3
→(0⇔22)×3%
のパターンで充放電を行った場合の、電圧参照によりSOCを推定したときと、電流積算によりSOCを推定したときとの差異を示すグラフである。横軸は時間(秒)、左側の縦軸はSOC(%)、右側の縦軸は前記差異(%)である。
図中、aは本実施形態の電圧参照により求めたSOCの推移、bは電流積算により求めたSOCの推移、cは両者の差異である。
図24より差異は略−10%〜5%であり、小さいことが分かる。
充電時及び放電時に、全領域で蓄電量を精度良く推定できる第3,第4SOC−OCVを求めることができる。
電池3の劣化に応じて、参照のSOC−OCVを算出する場合、実測又は推定するのはフルの充放電のSOC−OCVのみであり、電池3の使用期間における作業量は少ない。
充電により電圧がV1より高くなり、Vupに到達した後、放電により電圧がV1より低くなり、Vlowに到達した場合、前記酸化体の還元による減少量を考慮してVupを更新する。更新したVupにより、精度良く参照のSOC−OCVを求めることができ、SOCを推定できる。
従って、複数の電池3を用いる場合のバランシング、回生受け入れの制御、車両の走行距離の推定等を精度良く行うことができる。
蓄電素子は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、ヒステリシス特性を有する他の二次電池や電気化学セルであってもよい。
2 ケース
21 本体
22 蓋部
23 BMU収容部
24 カバー
25 中蓋
26 仕切り板
3、200 電池(蓄電素子)
31 ケース
32 端子
33 電極体
4 バスバー
5 外部端子
6 BMU(管理装置)
60 情報処理部
62 CPU(第1推定部、第1取得部、第1設定部、第2設定部、第2推定部)
63 メモリ(記憶部)
63a SOC推定プログラム
63b テーブル
70 記録媒体
7 電流センサ
8 電圧計測部
9 電流値計測部
10 ECU
100 監視装置(管理装置)
300 ケース
Claims (11)
- 充放電の推移に応じて複数の電気化学反応を生じ、蓄電量−電圧充電特性である第1特性、及び蓄電量−電圧放電特性である第2特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の蓄電量特性を推定する管理装置であって、
第1特性、第2特性、並びに充放電の履歴により取得した、第1閾値より大きい上方電圧及び前記第1閾値より小さい下方電圧に基づいて、取得した電圧により蓄電量を推定するときの参照のための蓄電量−電圧充電特性である第3特性及び/又は参照のための蓄電量−電圧放電特性である第4特性を推定する第1推定部を備える、管理装置。 - 前記蓄電素子の電圧を取得する第1取得部と、
該第1取得部が取得した電圧が前記第1閾値よりも大きくなった後に取得した電圧を前記上方電圧に設定し、取得した電圧が前回設定した上方電圧より大きい場合に該電圧を上方電圧に更新する第1設定部と、
前記第1取得部が取得した電圧が第1閾値よりも小さくなった後に取得した電圧を前記下方電圧に設定し、取得した電圧が前回設定した下方電圧より小さい場合に該電圧を下方電圧に更新する第2設定部と
を備える、請求項1に記載の管理装置。 - 前記第1推定部は、充放電の推移に応じて変化する電圧で画定された複数の領域で、前記第1特性及び前記第2特性のいずれかを用いて前記第3特性又は前記第4特性を取得する、請求項2に記載の管理装置。
- 前記第1推定部は、
前記第1特性と前記第2特性との間の蓄電量の差分の最大値と、前記上方電圧における前記差分との差を余剰酸化量(又は余剰還元量)として取得し、
前記余剰酸化量(又は余剰還元量)に基づいて、前記下方電圧及び前記第1閾値間で生じた還元量(又は酸化量)を取得し、
前記余剰酸化量(又は余剰還元量)と前記還元量(又は酸化量)との差に基づいて、前記第3特性又は前記第4特性の一又は複数の前記領域における起点を求める、請求項3に記載の管理装置。 - 前記第1設定部は、前記余剰酸化量(又は余剰還元量)と前記還元量(又は酸化量)との差に基づいて、上方電圧を更新する、請求項4に記載の管理装置。
- 前記第1推定部は、前記第1閾値から前記上方電圧までの領域で、前記上方電圧における前記第1特性の蓄電量を上限値とし、前記第2特性を用いて前記第3特性を取得する、請求項3から5までのいずれか1項に記載の管理装置。
- 前記第1推定部は、前記第1閾値から該第1閾値より小さい第2閾値までの領域で、前記第1閾値における蓄電量を上限値とし、前記第1特性を用いて前記第3特性を取得する、請求項3から6までのいずれか1項に記載の管理装置。
但し、第1閾値における蓄電量=(前記第1特性の前記上方電圧における蓄電量)−{(前記第2特性の前記上方電圧における蓄電量)−(前記第2特性の前記第1閾値における蓄電量)} - 充放電の履歴、前記第3特性及び/又は前記第4特性、並びに取得した電圧に基づいて、蓄電量を推定する第2推定部
を備える、請求項1から7までのいずれか1項に記載の管理装置。 - 蓄電素子と、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の管理装置と
を備える、蓄電モジュール。 - 充放電の推移に応じて複数の電気化学反応を生じ、蓄電量−電圧充電特性である第1特性、及び蓄電量−電圧放電特性である第2特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の蓄電量特性を推定する管理方法であって、
第1特性、第2特性、並びに充放電の履歴に基づく、第1閾値より大きい上方電圧及び前記第1閾値より小さい下方電圧を取得し、
前記第1特性、前記第2特性、前記上方電圧、及び前記下方電圧に基づいて、取得した電圧により蓄電量を推定するときの参照のための蓄電量−電圧充電特性、及び/又は参照のための蓄電量−電圧放電特性を推定する、管理方法。 - 充放電の推移に応じて複数の電気化学反応を生じ、蓄電量−電圧充電特性である第1特性、及び蓄電量−電圧放電特性である第2特性間のヒステリシスが示される活物質を正極及び/又は負極に含む蓄電素子の蓄電量特性を推定するコンピュータに、
充放電の履歴を参照して、第1閾値より大きい上方電圧及び前記第1閾値より小さい下方電圧を取得し、
第1特性、第2特性、前記上方電圧、及び前記下方電圧に基づいて、取得した電圧により蓄電量を推定するときの参照のための蓄電量−電圧充電特性、及び/又は参照のための蓄電量−電圧放電特性を推定する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
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