以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この骨組構成体の第一実施形態は、図1及び図2に示すように、左右に延びる長尺材1と、前後に延びる短尺材2を、格子状に組んだものであり、例としてこれをテラスの屋根10に適用した場合を挙げる。
長尺材1は、アルミ押出形材からなり、図1(b)に示すように、中空で断面矩形であって、左右方向に延びている(長手方向が左右方向)。この長尺材1を、互いに平行になるように等間隔に六本並べて配置してある。長尺材1の前側面と後側面には、前後方向に貫通する孔13を形成してある。孔13は、一箇所につき上下に二つ形成してあり、これを左右に等間隔で五箇所に形成してある。また、長尺材1の中空部内の上側部と下側部には、前側面から後側面へと延びるつぶれ防止片12を形成してある。上側のつぶれ防止片12と長尺材1の上側面との隙間及び下側のつぶれ防止片12と長尺材の下側面との隙間は、前側面と後側面に形成した孔13に連通しており、その間隔は孔13の直径に略等しく、この孔13と、上側面又は下側面とつぶれ防止片12の間の空間が、後述の締結部材3が挿通する挿通部11となり、挿通部11は長尺材1を前後方向に貫通している。
短尺材2は、アルミ押出形材からなり、図1(c)に示すように、中空で断面矩形であって、断面の外形は長尺材1と同じであり、前後方向(長尺材1に直交する方向)に延びている(長手方向が前後方向)。この短尺材2を、平行に並ぶ長尺材1の間に五本ずつ等間隔に並べて配置してある。それぞれの短尺材2は、長尺材1の挿通部11に対応する位置に配置してあって、前後方向の直線上にそれぞれ五本の短尺材2が並んでおり、各短尺材2の前後の端面が、前後に位置する長尺材1の後側面又は前側面に当接している。また、短尺材2の中空部内の上側面と下側面には、タッピングホールを形成してあり、このタッピングホールが、後述の締結部材3が挿通する挿通部21となる。挿通部21は、短尺材2を前後方向に貫通しており、長尺材1の孔13(挿通部11)に対向して位置している。
締結部材3は、ボルト31と、ナット32からなる。ボルト31は、前後に並ぶ六本の長尺材1及び五本の短尺材2を貫通するだけの長さであって、左右に五箇所、それぞれ上下に二つずつ形成された長尺材1及び短尺材2の挿通部11,21に計十本が挿通してある。そして、ボルト31の前後端部にナット32を螺合してあり、前後両側から長尺材1と短尺材2を締結してある。この際、ナット32がつぶれ防止片12に掛かっており、締結部材3による締結力をつぶれ防止片12で受けている。
このように構成した骨組構成体の第一実施形態によれば、長尺材1と短尺材2の各接合箇所に金具などを設ける必要がなく、前後方向の同一直線上に位置する複数の短尺材2とそれらに接合する長尺材1を、一つの締結部材3により締結できるので、施工に手間がかからない。また、締結部材3のボルト31は長尺材1と短尺材2の内部に形成した挿通部11,21を貫通しているので、接合箇所においてネジなどが露出せず、意匠性が良好である。さらに、締結部材3を締結する締結力により、長尺材1及び短尺材2の剛性が高まり、たわみにくくなる。そして、長尺材1と短尺材2が、各所において上下方向の直線上に並んだ二つの挿通部11,21を有しており、上下の両挿通部11,21にボルト31を挿通してあるので、何れの方向にも高剛性なバランスのとれた構成とすることができる。一方で、高い剛性が要求されない場合には、上下の何れかの挿通部11,21にのみボルト31を通すなど、ボルト31を挿通する位置や本数を適宜選択して、剛性を調節することもできる。また、つぶれ防止片12により、締結部材3の締結に対する長尺材1の強度が向上し、さらに、長尺材1の内部においてつぶれ防止片12により締結部材3のボルト31がガイドされるので、より確実な締結が可能である。また、長尺材1及び短尺材2は何れもアルミ押出形材からなり、長尺材1についての加工は、短手方向の切断と挿通部11となる前後面の孔13の形成のみであり、短尺材2についての加工は、短手方向の切断のみであるから、製造が容易で費用を抑えられる。
そして、図2に示す例は、この骨組構成体の第一実施形態を、テラスの屋根10に適用したものである。このテラスは、前後に平行に並ぶ二本の梁5と、各梁5の左端に接合された柱6を備え、梁5の上に屋根10を載置して固定したものである。屋根10には、長尺材1と短尺材2に囲まれた空間にパネルを嵌め込んだり、長尺材1及び短尺材2の上側からパネルやシートを被せたりするなどして、屋根材を取り付ける。
ここで、図3に基づき、梁5と柱6の接合部について詳述する。梁5は、アルミ押出形材からなり、中空で断面矩形であって、左右方向に延びている。梁5の中空部内の上側面と下側面には、左右方向に貫通する孔を形成してあり、この孔が、後述の締結部材8が挿通する挿通部51となる。また、柱6は、梁5と同一形状のアルミ押出形材からなり、上下方向に延びていて、上下方向に貫通する挿通部61が左右に位置している。そして、この梁5と柱6を接合するために、連結具7と締結部材8を用いる。連結具7は、直方体形の本体71と、本体71の右側面と下側面に形成した挿入部72からなる。本体71は、上下と左右の幅が梁5の上下幅に略等しく、奥行が梁5の奥行に略等しい。また、挿入部72は、梁5及び柱6の中空部に丁度嵌まる形状となっており、その端面(右側の挿入部72の右側面及び下側の挿入部72の下側面)には、梁5及び柱6の挿通部51,61に対応する位置にネジ孔73を形成してある。そして、締結部材8は、ボルト81とナット82からなる。接合に際しては、このように形成した連結具7の右側の挿入部72を、梁5の左端部に挿入し、連結具7の下側の挿入部72を、柱6の上端部に挿入する。この際、梁5と柱6の端面がそれぞれ連結具7の本体71に当接し、連結具7に対して梁5と柱6が位置決めされる。すると、挿入部72のネジ孔73が、梁5又は柱6の挿通部51,61と連通する。次に、梁5の右端及び柱6の下端から、それぞれ二つの挿通部51,61に締結部材8のボルト81を挿通し、ボルト81の一端(梁5に挿通したボルト81の左端及び柱6に挿通したボルト81の上端)を連結具7の挿入部72のネジ孔73に螺合させる。最後に、各ボルト81の他端(梁5に挿通したボルト81の右端及び柱6に挿通したボルト81の下端)にナット82を螺合し、ナット82を梁5及び柱6の端面に係止させて締結する。なお、梁5の左端部及び柱6の上端部においては、挿通部51,61を切除して挿入部72と干渉しないようにしてある。
このような梁5と柱6の接合構造によれば、締結部材8のボルト81が、梁5と柱6のそれぞれの全長にわたって挿通してあり、その両端部において締結されているので、ボルト81の太さ、素材や本数を変えることで、全体の強度を調整することができる。これにより、梁5や柱6についての設計の自由度が高まる。また、締結によってボルト81に張力が生じることで、梁5及び柱6に圧縮力が働き、それにより、荷重が作用した際に梁5及び柱6に生じる応力の負担が軽減され、剛性が高まってたわみにくくなる。さらに、ボルト81は梁5と柱6の内部をそれぞれ貫通しているので、接合箇所においてボルトなどが露出せず、意匠性が良好である。また、従来は梁や柱の側面にボルト孔を形成し、ボルトを通して連結具に螺合していたが、本接合構造によれば、ボルト孔を形成する必要がないので、製造が容易である。さらに、ボルト孔を設ける場合、孔径にクリアランスが必要であり、このクリアランスにより、荷重が作用した際のたわみ量が増大する場合があったが、本接合構造においてはそのようなクリアランスがないので、たわみ量を抑えられる。
なお、本発明の骨組構成体からなる屋根10は、長尺材1と短尺材2に締結部材3を挿通して格子状に組んだことにより、屋根10自体が荷重を負担できる剛性を有しているので、上記のような梁5の上に屋根10を載置する構造ではなく、屋根10(長尺材1または短尺材2)の下面に直接柱を接続する構造としてもよい。このような構造とした場合、梁がないすっきりとした外観となって意匠性が向上し、また梁の位置に左右されることなく自在な位置に柱を配置できる。そして本発明の骨組構成体によれば、そのような構造を、アルミ押出形材からなる部材により安価に実現できる。
次に、図4に基づき、骨組構成体の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、長尺材1を設置面に並べて立設してあり、長尺材1の間に短尺材2を水平向きに配置してある。締結部材3によって長尺材1と短尺材2を接合してある点は、第一実施形態と同じであり、締結部材3は水平方向に延びている。そして、第二実施形態においては、長尺材1と短尺材2に囲まれた矩形の空間部14のうち、骨組構成体の一方の対角線上に位置する空間部14に、パネル9を嵌め込んである。長尺材1と短尺材2の見込面には、長手方向に延びる溝を形成してあり、パネル9は周縁部をその溝に挿入して取り付けてある。
このようにパネル9を取り付けることで、骨組構成体は、せん断変形に対する耐力を得る。これにより、この骨組構成体によりさらに別の構造物を支持することも可能になる。
そして、図5に示す例は、この骨組構成体の第二実施形態を、テラスの側壁20に適用したものである。設置面の左右に、図4に示した骨組構成体の第二実施形態を対向して立設して側壁20としてあり、左右の側壁20に屋根10を横架してある。屋根10は、骨組構成体の第一実施形態からなるものであり、屋根10と側壁20は何れも六本の長尺材1を有し、各長尺材1の前後方向位置を揃えてあって、屋根の長尺材1の下側に側壁20の長尺材1が位置している。
次に、図6及び図7に基づき、骨組構成体の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、長尺材と、短尺材と、締結部材を備え、平行に並ぶ長尺材の間に、短尺材を、長尺材に直交する方向に対し傾斜して配置してあり、長尺材は、短尺材の長手方向に貫通する挿通部を有しており、短尺材は、長手方向に貫通する挿通部を有しており、締結部材は、ボルトとナットからなり、長尺材と短尺材の挿通部をボルトが挿通しており、長尺材の、短尺材当接部の反対面に端部部品を設けてあり、端部部品は、ボルトに直交する係止面を有しており係止面にナットが係止するものであるか、またはボルトの端部が螺合するものであって、長尺材と短尺材を締結してあることを特徴とするものである。より詳しくは、長尺材1を設置面に並べて立設してあり、長尺材1の間に、異なる角度で傾斜する二種類の短尺材を配置してあり、それらを第一短尺材2a及び第二短尺材2bとする。第一短尺材2aは右下がりの向きに傾斜しており、第二短尺材2bは左下がりの向きに傾斜していて、傾斜角度は何れも水平方向に対して30度である。そして、第一短尺材2aと第二短尺材2bの端部が同じ位置で長尺材1に接合するように配置してあり、長尺材1と第一短尺材2aと第二短尺材2bで形成された正三角形が並ぶトラス状の形態になっていて、これらを締結部材3a,3bにより締結してある。
第三実施形態の長尺材1は、アルミ押出形材からなり、図6(b)に示すように、中空で断面矩形であって、上下方向に延びている(長手方向が上下方向)。この長尺材1を、互いに平行になるように左右に等間隔に四本並べて配置してある。長尺材1の右側面と左側面には、第一短尺材2a及び第二短尺材2bの長手方向(水平方向に対して±30度傾斜した方向)に貫通する孔13a,13bを形成してある。孔13a,13bは、一箇所につき、第一短尺材2aと第二短尺材2bに対応するものを、それぞれ前後方向(見込方向)に二つずつ、計四つ形成してあり、これを上下に等間隔で形成してある。ただし、第一短尺材2aに対応する孔13aと、第二短尺材2bに対応する孔13bは、互いに前後方向にずれている。また、隣接する長尺材1同士で、孔13a,13bの高さ位置はずれており、千鳥配置となっている。さらに、長尺材1の中空部内の前側部と後側部には、右側面から左側面へと延びるつぶれ防止片12を二つずつ形成してある。前側と後側のそれぞれにおいて、長尺材1の見付面とつぶれ防止片12との隙間及びつぶれ防止片12同士の隙間は、それぞれ右側面と左側面に形成した孔13a,13bに連通しており、その間隔は孔13a,13bの直径に略等しく、この孔13a,13bと、見付面とつぶれ防止片12の間の空間及びつぶれ防止片12同士の間の空間が、締結部材3a,3bが挿通する挿通部11a,11bとなり、挿通部11a,11bは長尺材1を第一短尺材2a及び第二短尺材2bの長手方向に貫通している。
第一短尺材2a及び第二短尺材2bは、同一形状のものであって、何れもアルミ押出形材からなり、図6(c)、(d)に示すように、中空で断面矩形であって、断面の外形は長尺材1と同じである。その端面は、第一短尺材2aと第二短尺材2bが互いに当接し、かつそれぞれが長尺材1の側面に当接するように、傾斜して切断されている。また、第一短尺材2a及び第二短尺材2bの中空部内には、前側と後側に、それぞれ前後方向に並ぶ二つのタッピングホールを形成してある。このタッピングホールが、締結部材3a,3bが挿通する挿通部21a,21bとなり、挿通部21a,21bは第一短尺材2a及び第二短尺材2bを長手方向に貫通している。ただし、第一短尺材2aにおいては、図6(c)に示すように、前側と後側のそれぞれにおいて前側のタッピングホールのみを用い、これを挿通部21aとしてあって、長尺材1の第一短尺材2aに対応する孔13a(挿通部11a)と、前後方向位置が一致している。一方、第二短尺材2bにおいては、図6(d)に示すように、前側と後側のそれぞれにおいて後側のタッピングホールのみを用い、これを挿通部21bとしてあって、長尺材1の第二短尺材2bに対応する孔13b(挿通部11b)と、前後方向位置が一致している。
締結部材3a,3bは、ボルト31a,31bと、ナット32a,31bからなる。ボルト31a,31bは、すべての第一短尺材2aと第二短尺材2bに、二本ずつ挿通してあり、図7に示すように、直線上に並ぶ第一短尺材2a又は第二短尺材2bと、長尺材1を、貫通している(第一短尺材2aを挿通するボルト31aを破線で表し、第二短尺材2bを挿通するボルト31bを一点鎖線で表してある)。第一短尺材2aを挿通するボルト31aと、第二短尺材2bを挿通するボルト31bは、長尺材1の位置において交差するが、上記のとおり、第一短尺材2aの挿通部21a及びこれに対応する長尺材1の挿通部11aと、第二短尺材2bの挿通部21b及びこれに対応する長尺材1の挿通部11bは、前後方向にずれているので、ボルト31a,31b同士も前後方向(両ボルト31a,31bに直交する方向)にずれており、互いに干渉しない。
そして、長尺材1及び第一短尺材2a又は第二短尺材2bを貫通するボルト31a,31bの端部には、端部部品4a,4bを取り付けてある。端部部品4a,4bは、長尺材1の、第一短尺材2a又は第二短尺材2b当接部の反対面に設けるものであり、反対面にさらに別の第一短尺材2a又は第二短尺材2bが配置される箇所には設けられない。そして、並んだ長尺材1のうち、左右の端部に位置する長尺材1と、中間部に位置する長尺材1で、それぞれ異なる端部部品4a,4bを取り付ける。端部の長尺材1に取り付ける端部部品4aは、図6(a)に示すように、略二等辺三角形状のものであって、底辺部を長尺材1に当接させてあり、二つの等辺部がそれぞれ第一短尺材2aを挿通するボルト31aと第二短尺材2bを挿通するボルト31bに直交する係止面41a,41bとなっている。また、底辺部から二つの等辺部へ貫通する貫通孔42a,42bを前後に二つずつ形成してあり、この貫通孔42a,42bをボルト31a,31bが貫通している。そして、ボルト31a,31bの端部にナット32a,32bを螺合してあり、ナット32a,32bが係止面41a,41bに係止している。一方、中間部の長尺材1に取り付ける端部部品4bは、図6(a)に示すように、略直角三角形状のものであって、直角を挟む二辺のうちの一辺(垂直面)を長尺材1に当接させてあり、他辺(水平面)を第一短尺材2a又は第二短尺材2bの端面に当接させてある。また、垂直面から斜辺部へ貫通する雌ネジ部43を前後に二つ形成してあり、この雌ネジ部43にボルト31a,31bが螺合している。このようにして、ボルト31a,31bの端部に端部部品4a,4bを取り付け、さらにナット32a,32bを螺合して、長尺材1と、第一短尺材2a又は第二短尺材2bを締結してある。この際、ナット32a,32bが係止する端部部品4a及びボルト31a,31bが螺合する端部部品4bがつぶれ防止片12に掛かっており、締結部材3による締結力をつぶれ防止片12で受けている。
このように構成した骨組構成体の第三実施形態によれば、長尺材1と、第一短尺材2a及び第二短尺材2bの各接合箇所に金具などを設ける必要がなく、同一直線上に位置する複数の第一短尺材2a又は第二短尺材2bとそれらに接合する長尺材1を、一つの締結部材3a,3bにより締結できるので、施工に手間がかからない。また、締結部材3a,3bのボルト31a,31bは長尺材1と第一短尺材2a又は第二短尺材2bの内部に形成した挿通部11a,11b,21a,21bを貫通しており、各ボルト31a,31bが前後方向にずれていて互いに干渉することなく、長尺材1に対して異なる角度で第一短尺材2aと第二短尺材2bを接合することができるので、複数の短尺材2a,2bの接合箇所においてもネジなどが露出せず、意匠性が良好である。さらに、締結部材3a,3bを締結する締結力により、長尺材1、第一短尺材2a及び第二短尺材2bの剛性が高まり、たわみにくくなる。そして、長尺材1と第一短尺材2a及び第二短尺材2bが、各所において前後方向の直線上に並んだ二つの挿通部11a,11b,21a,21bを有しており、前後の両挿通部11a,11b,21a,21bにボルト31a,31bを挿通してあるので、何れの方向にも高剛性なバランスのとれた構成とすることができる。また、つぶれ防止片12により、締結部材3a,3bの締結に対する長尺材1の強度が向上し、さらに、長尺材1の内部においてつぶれ防止片12により締結部材3a,3bのボルト31a,31bがガイドされるので、より確実な締結が可能である。また、長尺材1、第一短尺材2a及び第二短尺材2bは何れもアルミ押出形材からなり、長尺材1についての加工は、短手方向の切断と挿通部11a,11bとなる左右面の孔13a,13bの形成のみであり、第一短尺材2a及び第二短尺材2bについての加工は、短手方向の切断のみであるから、製造が容易で費用を抑えられる。さらに、端部部品4a,4bにより、長尺材1に対して第一短尺材2aと第二短尺材2bを傾斜させた状態で強固に接合することができる。また、接合に必要なナット32a,32bの数が最小限で済み、その点においても外観の意匠性が向上する。そして、長尺材1と第一短尺材2aと第二短尺材2bで形成された正三角形が並ぶトラス状の形態になっているので、パネルなどを設けることなく、骨組のみでせん断変形に対する耐力を得られる。
次に、図8に基づき、骨組構成体の第四実施形態について説明する。第四実施形態は、長尺材と、短尺材と、締結部材を備え、平行に並ぶ長尺材の間に、短尺材を長尺材と交差する方向に配置してあり、長尺材は、短尺材の長手方向に貫通する挿通部を有しており、短尺材は、長手方向に貫通する挿通部を有するものであって、長尺材に対して異なる角度で接合する第一短尺材と第二短尺材からなり、長尺材と第一短尺材及び第二短尺材の挿通部を締結部材が挿通していて、第一短尺材を挿通する締結部材と第二短尺材を挿通する締結部材が、両締結部材に直交する方向にずれており、長尺材と第一短尺材及び第二短尺材を締結してあることを特徴とするものである。より詳しくは、長尺材1と、第一短尺材2aと、第二短尺材2bを備えるものであり、長尺材1は、前後方向に延びていて、上下左右に互いに平行になるように等間隔に並べて配置してあり(図8では一本のみ表示)、左右の長尺材1の間に、左右方向に延びる第一短尺材2aを配置してあり、上下の長尺材1の間に、上下方向に延びる第二短尺材2bを配置してある。よって、長尺材1と第一短尺材2aと第二短尺材2bは、何れも互いに直交している。そして、第一短尺材2aと第二短尺材2bの端面は、何れも長尺材1の側面に当接していて、長尺材1と第一短尺材2aと第二短尺材2bで立体的な格子を形成しており、これらを締結部材3a,3bにより締結してある。なお、図8においては長尺材1が前後方向を向いているが、左右方向や上下方向など、どちら向きであってもよい。
第四実施形態の長尺材1は、アルミ押出形材からなり、図8(b)に示すように、中空で断面正方形である。長尺材1の左右面と上下面には、それぞれ左右方向及び上下方向に貫通する孔13a,13bを形成してある。孔13a,13bは、左右面と上下面にそれぞれ四つずつ形成してある。ただし、第一短尺材2aに対応する孔13a(左右面)と、第二短尺材2bに対応する孔13b(上下面)は、互いに前後方向にずれている。また、長尺材1の中空部内には、四周の各辺に平行なつぶれ防止片12を井桁状に形成してある。四周の各辺において、長尺材1の側面とつぶれ防止片との隙間は、それぞれ左右面と上下面に形成した孔13a,13bに連通しており、その間隔は孔13a,13bの直径に略等しく、この孔13a,13bと、側面とつぶれ防止片12の間の空間が、挿通部11a,11bとなり、挿通部11a,11bは長尺材1を左右方向及び上下方向に貫通している。
第四実施形態の第一短尺材2a及び第二短尺材2bは、同一形状のものであって、何れもアルミ押出形材からなり、図8(c)に示すように、中空で断面正方形であって、断面の外形は長尺材1と同じである。また、第一短尺材2a及び第二短尺材2bの中空部内には、四隅に、それぞれ前後方向に並ぶ二つの孔を形成してある。この孔が、締結部材3a,3bが挿通する挿通部21a,21bとなり、挿通部21a,21bは第一短尺材2a及び第二短尺材2bを長手方向に貫通している。ただし、図8(a)に示すように、第一短尺材2aにおいては、四隅のそれぞれにおいて前側の孔のみを用い、これを挿通部21aとしてあって、長尺材1の左右面の第一短尺材2aに対応する孔13a(挿通部11a)と、前後方向位置が一致している。一方、第二短尺材2bにおいては、四隅のそれぞれにおいて後側の孔のみを用い、これを挿通部21bとしてあって、長尺材1の上下面の第二短尺材2bに対応する孔13b(挿通部11b)と、前後方向位置が一致している。
締結部材3a,3bは、ボルト31a,31bと、ナット(図示省略)からなる。ボルト31a,31bは、すべての第一短尺材2aと第二短尺材2bに、四本ずつ挿通してあり、図8(a)に示すように、直線上に並ぶ第一短尺材2a又は第二短尺材2bと、長尺材1を、貫通している。第一短尺材2aを挿通するボルト31aと、第二短尺材2bを挿通するボルト31bは、長尺材1の位置において交差するが、上記のとおり、第一短尺材2aの挿通部21a及びこれに対応する長尺材1の挿通部11aと、第二短尺材2bの挿通部21b及びこれに対応する長尺材1の挿通部11bは、前後方向にずれているので、ボルト31a,31b同士も前後方向(両ボルト31a,31bに直交する方向)にずれており、互いに干渉しない。そして、ボルト31a,31bの両端部にナットを螺合してあり、左右方向及び上下方向から、長尺材1と第一短尺材2a又は第二短尺材2bを締結してある。この際、ナットがつぶれ防止片12に掛かっており、締結部材3による締結力をつぶれ防止片12で受けている。
このように構成した骨組構成体の第四実施形態によれば、長尺材1と、第一短尺材2a及び第二短尺材2bの各接合箇所に金具などを設ける必要がなく、同一直線上に位置する複数の第一短尺材2a又は第二短尺材2bとそれらに接合する長尺材1を、一つの締結部材3a,3bにより締結できるので、施工に手間がかかない。よって、容易に三面の格子を有する立体的な構造物を構築可能であって、一本の部材では支えきれないような大スパンのフレーム構造などを実現することもできる。また、締結部材3a,3bのボルト31a,31bは長尺材1と第一短尺材2a又は第二短尺材2bの内部に形成した挿通部11a,11b,21a,21bを貫通しており、各ボルト31a,31bが前後方向にずれていて互いに干渉することなく、長尺材1に対して異なる角度で第一短尺材2aと第二短尺材2bを接合することができるので、複数の短尺材2a,2bの接合箇所においてもネジなどが露出せず、意匠性が良好である。さらに、締結部材3a,3bを締結する締結力により、長尺材1、第一短尺材2a及び第二短尺材2bの剛性が高まり、たわみにくくなる。そして、長尺材1と第一短尺材2aが、前後方向と上下方向の直線上に並んだ四つの挿通部11a,21aを有しており、長尺材1と第二短尺材2bが、前後方向と左右方向の直線上に並んだ四つの挿通部11b,21bを有していて、すべての挿通部11a,11b,21a,21bにボルト31a,31bを挿通してあるので、何れの方向にも高剛性なバランスのとれた構成とすることができる。また、つぶれ防止片12により、締結部材3a,3bの締結に対する長尺材1の強度が向上し、さらに、長尺材1の内部においてつぶれ防止片12により締結部材3a,3bのボルト31a,31bがガイドされるので、より確実な締結が可能である。また、長尺材1、第一短尺材2a及び第二短尺材2bは何れもアルミ押出形材からなり、長尺材1についての加工は、短手方向の切断と挿通部11a,11bとなる左右面及び上下面の孔13a,13bの形成のみであり、第一短尺材2a及び第二短尺材2bについての加工は、短手方向の切断のみであるから、製造が容易で費用を抑えられる。
そして、図9に示す例は、この骨組構成体の第四実施形態を、バスの停留所に適用したものである。この例では、長尺材1が上下方向を向いていて、左右に五本、前後に三本並べて立設してある。そして、図9(a)に示すように、上面には、前後の長尺材1に横架する第一短尺材2aと、左右の長尺材1に横架する第二短尺材2bを設けてあり、第一短尺材2aと第二短尺材2bに囲まれた矩形の空間部にパネル9を嵌め込んで、屋根を形成してある。また、図9(b)に示すように、前後面には、左右の長尺材1に横架する第二短尺材2bを上部及び下部に設けてあり、長尺材1と第二短尺材2bに囲まれた矩形の空間部にパネル9を嵌め込んで、壁面を形成してある。ただし、一部にはパネル9を設けず、そこを出入口91としてある。さらに、図9(c)に示すように、左右面には、前後の長尺材1に横架する第一短尺材2aを上部及び下部に設けてあり、長尺材1と第一短尺材2aに囲まれた矩形の空間部にパネル9を嵌め込んで、壁面を形成してある。このようにして、長尺材1と第一短尺材2aと第二短尺材2bとで略直方体形の構造体を構成し、パネル9を嵌め込んで屋根や壁面を形成することで、容易に停留所などの建造物を構築できる。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、長尺材に対して、短尺材(第一短尺材及び第二短尺材)がどのような角度で接合するものであってもよい。また、長尺材や短尺材の挿通部は、締結部材をガイドするものであれば、どのような形状であってもよい。さらに、挿通部の場所や数は、長尺材や短尺材の太さや断面形状、骨組構成体全体の形状や求められる強度などに応じて、適宜設定できる。また、長尺材が肉厚であるなどの理由によって十分な強度を有する場合には、ナットがつぶれ防止片に掛かっておらず締結部材による締結力をつぶれ防止片で直接受けない構成であってもよいし、つぶれ防止片がなくてもよい。