一例として示す活性化幹細胞培養システム10の概略構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる単一種(特定種類)の間葉系活性化幹細胞の製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、休眠幹細胞定着工程の一例を説明する図であり、図3は、第1扁平培養容器21の側面図である。図4は、休眠幹細胞22の平面形状の一例を示す部分拡大図であり、図5は、休眠幹細胞22の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図4,5は、電子顕微鏡13によって撮影された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を示す。
単一種の間葉系活性化幹細胞27は、ドナーから採取した骨髄液29を培養することから作られた単一種(特定種類)の間葉系幹細胞30を所定期間保存した後の休眠状態にある間葉系休眠幹細胞22を活性化させたものである。活性化幹細胞27は、休眠幹細胞22の保存前であって休眠幹細胞22の元となる幹細胞30の培養過程において生成された培養生成液24を利用し、休眠状態にある休眠幹細胞22に休眠幹細胞定着工程と休眠幹細胞培養工程とを実施することから製造される。
また、活性化幹細胞は、休眠幹細胞22の保存前であって休眠幹細胞22の元となる幹細胞30の培養過程において生成された培養生成液24を利用し、休眠状態にある休眠幹細胞22に休眠幹細胞定着工程と休眠幹細胞培養工程とを実施するとともに、活性化幹細胞に活性化幹細胞定着工程と活性化幹細胞培養工程とを実施することから作られる。なお、保存する前の幹細胞30と保存された後の休眠幹細胞22とは、同一の幹細胞である。
培養生成液24は、単一種の幹細胞30の培養過程においてその単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質を含んでいる。単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質が含まれる培養生成液24を利用することで、その幹細胞30自体の代謝物質がトリガーとなり、休眠幹細胞22や活性化幹細胞27が速やかに活性を開始する。したがって、休眠幹細胞22や活性化幹細胞27の定着が促進されるとともに、休眠幹細胞22や活性化幹細胞27の増殖が促進され、その培養生成液24を利用して休眠幹細胞22や活性化幹細胞27を速やかに定着させることができ、その培養生成液24を利用して休眠幹細胞22や活性化幹細胞27を速やかに増殖させることができるとともに、休眠幹細胞22や活性化幹細胞27を効率よく確実に増殖させることができる。
活性化幹細胞培養システム10は、コンピュータ11、ICタグリーダ/ライタ12、電子顕微鏡13、冷蔵庫14または冷凍庫14から形成されている。コンピュータ11は、中央処理装置(CPUや仮想CPU)と記憶装置(メモリや仮想メモリ)と大容量記憶領域(ハードディスクや仮想ハードディスク等)とを備え、物理的なOS(オペレーティングシステム)や仮想OS(仮想オペレーティングシステム)によって動作する。
コンピュータ11には、キーボード15やマウス16等の入力装置、ディスプレイ17やプリンタ(図示せず)等の出力装置がインターフェイス(無線または有線)を介して接続されている。ICタグリーダ/ライタ12や電子顕微鏡13は、インターフェイス(無線または有線)を介してコンピュータ11に接続されている。電子顕微鏡13は、撮像素子によって被写体の拡大画像を撮影する画像撮影機能を有するとともに、その拡大画像をコンピュータ11に送信する画像送信機能を有する。
活性化幹細胞培養システム10では、各種のドナーデータ(ドナー特定情報)がICタグ18を利用して管理され、幹細胞や休眠幹細胞22、活性化幹細胞に関する幹細胞データがICタグ18を利用して管理される。ドナーデータには、ドナーの氏名、住所、電話番号、生年月日、性別、血液型、身長、体重、メールアドレス等があり、ドナー識別子に関連付けた状態でICタグに格納(記憶)されている。幹細胞データには、幹細胞特定情報、幹細胞製造年月日、培養生成液製造年月日、培養生成液特定情報等があり、ドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態でICタグ18に格納(記憶)されている。
骨髄液29を培養することから作られた単一種(特定種類)の幹細胞30は、幹細胞収容容器19に収容された状態で冷蔵庫14または冷凍庫14において所定期間、所定温度(3〜5℃または冷凍保存)で保存されている。幹細胞30を収容した幹細胞収容容器19の外周面には、ドナーデータや幹細胞データが格納されたICタグ18が取り付けられている。
活性化幹細胞27(休眠幹細胞22)の元となる幹細胞30の培養過程において生成された培養生成液24は、生成液収容容器20に収容された状態で冷蔵庫14または冷凍庫14において所定期間、所定温度で保存されている。培養生成液24を収容した生成液収容容器20の外周面には、ドナーデータや幹細胞データが格納されたICタグ18が貼付されている。
コンピュータ11においてシステム10を起動すると、初期画面(図示せず)がディスプレイ17に表示される。初期画面には、幹細胞培養ボタン、休眠幹細胞培養ボタン、活性化幹細胞培養ボタン、ログアウトボタンが表示される。医師や看護師、研究者等の担当者は、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞培養ボタンをクリックする。休眠幹細胞培養ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、データ比較ボタンをディスプレイ17に表示する。
休眠幹細胞定着工程において、担当者は、データ比較ボタンをクリックするとともに、冷蔵庫14または冷凍庫14から幹細胞収容容器19や生成液収容容器20を取り出し、幹細胞収容容器19や生成液収容容器20に取り付けられたICタグ18のデータをICタグリーダ/ライタ12に読み取らせる。コンピュータ11は、幹細胞収容容器19のICタグ18のドナー識別子や幹細胞識別子と生成液収容容器20のICタグ18のドナー識別子や幹細胞識別子とを比較し、それらICタグ18のドナー識別子および幹細胞識別子が一致した場合、マッチングOKメッセージ、データ格納ボタンをディスプレイ17表示する。それらICタグのドナー識別子および幹細胞識別子が不一致の場合、エラーメッセージをディスプレイ17表示する。
担当者は、マッチングOKメッセージによって生成液収容容器20に収容された培養生成液24が幹細胞収容容器19に収容された休眠幹細胞22(幹細胞)の培養過程で生成されたものであることを確認した後、幹細胞収容容器19や生成液収容容器20を恒温槽(図示せず)に収容し、幹細胞収容容器19に収容された休眠幹細胞22や生成液収容容器20に収容された培養生成液24を室温に戻す。または、幹細胞収容容器19や生成液収容容器20を室内に所定時間放置し、幹細胞収容容器19に収容された休眠幹細胞22や生成液収容容器20に収容された培養生成液24を室温に戻す。
担当者は、第1扁平培養容器21(第1培養容器)を用意し、培養容器21の外周面にICタグ18を取り付けた後、データ格納ボタンをクリックするとともに、ICタグリーダ/ライタ12を利用してそのICタグ18に幹細胞収容容器19に取り付けられたICタグ18および生成液収容容器20に取り付けられたICタグ18のデータを格納する。コンピュータ11は、データ格納完了メッセージ、休眠幹細胞定着観察ボタン、休眠幹細胞定着完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
担当者は、休眠幹細胞22や培養生成液24を室温に戻した後、注射器またはピペットを利用して休眠幹細胞22を幹細胞収容容器19から第1扁平培養容器21(第1培養容器)に注入(収容)し、注射器またはピペットを利用して培養液23を培養容器21に注入(収容)するとともに、注射器またはピペットを利用して培養生成液24を生成液収容容器20から培養容器21に注入(収容)する。なお、第1扁平培養容器21に注入する培養生成液24の注入割合は、培養容器21に注入する培養液23の総注入量を100%としたときに5〜15%、好ましくは、8〜12%、より好ましくは、10%である。
次に、担当者は、休眠幹細胞22、培養液23、培養生成液24を注入した第1扁平培養容器21を体温と略同一の温度(約37℃)に保持しつつ、12〜24時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)し、12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器21内の休眠幹細胞22の初期平面形状からの変形を電子顕微鏡13で観察し、休眠幹細胞22が培養容器21の底面25に定着したか否かを判断する。
培養液23には、ペニシリン(約100U/ml)、アムホテリシン(約100ng/ml)、ストレプトマイシン(約100mkg/ml)、L−グルタミン(約2〜4ml)、20%ウシ胎児血清を添加したミネラル塩溶液およびアミノ酸が含まれる。第1扁平培養容器21に注入された休眠幹細胞22は、時間の経過とともに培養容器21の底面25に定着しつつ、培養液23と培養生成液24との混合培養液26によって培養され、培養容器21の底面25において次第に増殖(分化)してコロニーを形成する。
なお、培養液23には、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)、Grasgow Minimum Essential Medium(GMEM)、RPMI640等を使用することもできる。培養液23には、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、セレニウム、2−メルカプトエタノール、L―アラニル−L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラチン酸、グリシン、L−プロリン、L−セリン等を添加することもできる。
第1扁平培養容器21(第1培養容器)は、透明なガラスまたは透明なプラスチックから作られ、小容量かつ所定面積の底面を有する平面形状が略正四角形の扁平な容器である。第1扁平培養容器21として小容量かつ所定面積の底面を有する平面形状が円形や楕円形の扁平な容器を使用することもできる。休眠幹細胞定着工程で使用される第1扁平培養容器21は、その容量が約20〜30cc(好ましくは、25cc)であり、その底面面積が約25〜36mm2である。培養容器21は、その一辺の長さが5〜6mmである。
担当者は、休眠幹細胞定着観察ボタンをクリックするとともに、第1扁平培養容器21を電子顕微鏡13の試料ホルダ39に設置(セット)する。なお、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第1扁平培養容器21の底部41との間にスペーサー42を介在させ、培養容器21の底部41をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器21の底部41が上となり培養容器21の頂部43(注入口44)が下となるように、培養容器21を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第1扁平培養容器21の頂部43との間にスペーサー42を介在させ、培養容器21の頂部43をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器21の頂部43が上となり培養容器21の底部41が下となるように、培養容器21を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第1扁平培養容器21の傾斜角度α1は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第1扁平培養容器21を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器21内において休眠幹細胞22、培養液23、培養生成液24が培養容器21の頂部43の側(または底部41の側)に偏り、培養容器21の頂部43の側(または底部41の側)において休眠幹細胞22、培養液23、培養生成液24との水圧が大きくなって休眠幹細胞22が培養容器21の頂部43の側(または底部41の側)に集中し、それによって休眠幹細胞22どうしの活性が高まり、培養容器21の底面25において休眠幹細胞22を容易かつ迅速に定着させることができる。
ディスプレイ17には、休眠幹細胞定着観察実施中メッセージ、休眠幹細胞定着完了ボタンが表示される。電子顕微鏡13は、第1扁平培養容器21に注入された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。
コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。担当者は、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、休眠幹細胞22の平面形状の変化を観察する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から休眠幹細胞22の平面形状の変化を12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で直接観察してもよい。
休眠幹細胞22の初期平面形状(定着前の平面形状)は略円形であり、休眠幹細胞22の平面形状が略円形の場合、休眠幹細胞22が第1扁平培養容器21の底面25(底壁内面)に定着しておらず、休眠幹細胞22が増殖(分化)を開始していない。休眠幹細胞22の変形後の平面形状(定着後の平面形状)は定着前の略円形を核として休眠幹細胞22が一方向(所定方向)へ不定形に伸張(拡張)した扁平形状であり、休眠幹細胞22が第1扁平培養容器21の底面25(底壁内面)に定着し、休眠幹細胞22が増殖(活性化)を開始している。
担当者は、休眠幹細胞定着工程における観察の結果、図4に示すように、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像が略円形のまま観察される場合、休眠幹細胞22が第1扁平培養容器21の底面25(底壁内面)に定着していないと判断し、休眠幹細胞22の平面形状の変化を約1〜2時間の間隔で継続して観察する。担当者は、図5に示すように、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞11の平面形状が略円形から略円形を核として不定形の扁平形状に変形した場合、休眠幹細胞11が第1扁平培養容器21の底面25に定着したと判断する。
休眠幹細胞22の定着時に容量が30ccを超過するとともに底面面積が36mm2を超過する大きな培養容器を使用すると、休眠幹細胞22が容器の底面に定着し難くなるとともに休眠幹細胞22の増殖が遅くなるが、前記容量かつ前記底面面積の第1扁平培養容器21を使用することで、休眠幹細胞22を培養容器21の底面25に容易に定着させることができ、培養容器21において休眠幹細胞22を素早く増殖させることができる。第1扁平培養容器21を体温と略同一の温度で12〜24時間静的に放置しつつ、12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器21内の休眠幹細胞22の初期平面形状からの変形を観察するから、休眠幹細胞22の変形を見逃すことはなく、休眠幹細胞22の培養容器21の底面25に対する定着を正確に確認することができる。
図6は、休眠幹細胞22の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図6は、電子顕微鏡13によって撮影された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を示す。休眠幹細胞定着工程における観察の結果、図5に示すように、間葉系の休眠幹細胞22が略円形(初期平面形状)から略円形を核として不定形の扁平形状に変形し、休眠幹細胞22の第1扁平培養容器21の底面25への定着を確認した後、休眠幹細胞培養工程が行われる。
医師や看護師、研究者等の担当者は、休眠幹細胞22の第1扁平培養容器21の底面25に対する定着を確認した後、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞定着完了ボタンをクリックする。休眠幹細胞定着完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、休眠幹細胞定着完了メッセージ、休眠幹細胞培養観察ボタン、休眠幹細胞培養完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
休眠幹細胞培養工程では、第1扁平培養容器21に注入されている培養液23と培養生成液24との混合培養液26を培養容器21から排出し、培養容器21にあらたな培養液23およびあらたな培養生成液24(休眠幹細胞22の保存前であって休眠幹細胞22の元となる幹細胞30の培養過程において生成された培養生成液24)を注入(収容)する。なお、第1扁平培養容器21に注入するあらたな培養生成液24の注入割合は、培養容器21に注入するあらたな培養液23の総注入量を100%としたときに5〜15%、好ましくは、8〜12%、より好ましくは、10%である。
担当者は、第1扁平培養容器21を電子顕微鏡16の試料ホルダ39から取り外し、休眠幹細胞定着工程において培養容器21に注入した培養液23と培養生成液24との混合培養液26を注射器またはピペットを利用して培養容器21から排出し、注射器またはピペットを利用してあらたな培養液23を培養容器21に注入(収容)するとともに、注射器またはピペットを利用してあらたな培養生成液24を生成液収容容器120から培養容器21に注入(収容)する。あらたな培養液23やあらたな培養生成液24は、休眠幹細胞定着工程において第1扁平培養容器21に注入されたそれらと同一である。
担当者は、第1扁平培養容器21を体温と略同一の温度(約37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)しつつ、36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器21の底面25に定着した休眠幹細胞22の培養容器21の底面面積に対する総平面面積を電子顕微鏡13で観察し、休眠幹細胞22の総平面面積が培養容器21の底面面積に対して目標割合(第1目標割合)に達したか否かを判断する。第1扁平培養容器21の底面面積に対する休眠幹細胞22の総平面面積の目標割合は、70〜80%(70〜80%コンフルエント)である。
担当者は、あらたな培養液23とあらたな培養生成液24とを第1扁平培養容器21に注入した後、休眠幹細胞培養観察ボタンをクリックするとともに、培養容器21を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。なお、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第1扁平培養容器21の底部41との間にスペーサー42を介在させ、培養容器21の底部41をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器21の底部41が上となり培養容器21の頂部43(注入口44)が下となるように、培養容器21を所定角度に傾斜させた状態に保持する(図3参照)。また、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第1扁平培養容器21の頂部43との間にスペーサー42を介在させ、培養容器21の頂部43をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器21の頂部43が上となり培養容器21の底部41が下となるように、培養容器21を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第1扁平培養容器21の傾斜角度α1は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、休眠幹細胞22の定着を確認した後、培養容器21の混合培養液26を排出しつつあらたな培養液23とあらたな培養生成液24とを培養容器21に注入することで、休眠幹細胞22の増殖を確実に促進することができる。培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第1扁平培養容器21を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器21内において休眠幹細胞22、培養液23、培養生成液24が培養容器21の頂部43の側(または底部41の側)に偏り、培養容器21の頂部43の側(または底部41の側)において休眠幹細胞22、培養液23、培養生成液24の水圧が大きくなって休眠幹細胞22が培養容器21の底部41の側(または頂部43の側)に集中し、それによって休眠幹細胞22どうしの活性が高まり、培養容器21の底面25において休眠幹細胞22を容易かつ迅速に増殖(分化)させることができる。
ディスプレイ17には、休眠幹細胞培養観察実施中メッセージ、休眠幹細胞培養完了ボタンが表示される。休眠幹細胞22の定着を確認した後、第1扁平培養容器21から培養液23と培養生成液24との混合培養液26を排出しつつ、あらたな培養液23と単一種の幹細胞から分泌された所定の代謝物質が含まれるあらたな培養生成液24とを培養容器21に注入することで、その幹細胞30自体の代謝物質がトリガーとなり、休眠幹細胞22が速やかに活性を開始し、休眠幹細胞22の増殖を確実に促進することができる。
電子顕微鏡13は、第1扁平培養容器21の休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。
担当者は、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞22の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、第1扁平培養容器21の底面25に定着した休眠幹細胞22の培養容器21の底面面積に対する総平面面積を観察しつつ、休眠幹細胞22の総平面面積が培養容器21の底面面積に対して目標割合(第1目標割合)(70〜80%コンフルエント)に達したか否かを判断する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から休眠幹細胞22の第1扁平培養容器21の底面面積に対する総平面面積を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察し、休眠幹細胞22の総平面面積が培養容器21の底面面積に対して目標割合(70〜80%コンフルエント)に達したか否かを判断してもよい。
担当者は、休眠幹細胞培養工程における観察の結果、図4に示すように、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞22の第1扁平培養容器21の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第1目標割合)(70〜80%コンフルエント)に達していない場合、休眠幹細胞22の培養容器21の底面面積に対する総平面面積を約1〜2時間間隔で継続して観察する。なお、ディスプレイ17に表示された拡大画像の全面積に対して休眠幹細胞22の総平面面積が目標割合(第1目標割合)に達した場合に、休眠幹細胞22の第1扁平培養容器21の底面面積に対する総平面面積が目標割合に達したものとする。
休眠幹細胞培養工程における観察の結果、休眠幹細胞22が第1扁平培養容器21の底面25(底壁内面)において増殖して休眠幹細胞22がコロニーを形成し、休眠幹細胞22の平面形状が拡張することで、図5に示すように、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞22の培養容器21の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第1目標割合)(70〜80%コンフルエント)に達した場合、休眠幹細胞22が十分に増殖かつ活性化し、休眠幹細胞22が活性化幹細胞27に変質している。休眠幹細胞22の第1扁平培養容器21の底面面積に対する総平面面積が目標割合に達した時点で、培養容器21から活性化幹細胞27を抽出し、抽出した活性化幹細胞27を各種疾患の治療や再生医療に利用する。
担当者は、第1扁平培養容器21に注入されている混合培養液26を注射器またはピペットを利用して培養容器21から排出し、培養容器21内をPBSで洗浄した後、トリプシン液を培養容器21に注入する。第1扁平培養容器21にトリプシン液を注入すると、培養容器21の底面25に定着(増殖)した活性化幹細胞27がトリプシン液によって底面25から剥離し、トリプシン液の水面に浮上する。担当者は、ピペットを利用して活性化幹細胞27を吸引し、活性化幹細胞27をピペット内に収容する。なお、休眠幹細胞培養工程において培養した活性化幹細胞27を幹細胞収容容器19に収容し、活性化幹細胞27を収容した幹細胞収容容器19を冷蔵庫14または冷凍庫14に入れ、冷蔵庫14または冷凍庫14において活性化幹細胞27を保存することができる。
担当者は、休眠幹細胞22の第1扁平培養容器21の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第1目標割合)に達したことを確認した後、ディスプレイ17に表示された休眠幹細胞培養完了ボタンをクリックする。休眠幹細胞培養完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、初期画面をディスプレイ17に表示する。培養を終了する場合は、初期画面のログアウトボタンをクリックする。ログアウトボタンをクリックすると、コンピュータ11がシステムからログアウトする。
活性化幹細胞製造方法は、休眠幹細胞22の保存前の単一種の間葉系幹細胞30の培養過程(増殖過程)において生成されてその幹細胞30から分泌された所定の代謝物質が含まれる培養生成液24を利用することで、その幹細胞自体の代謝物質がトリガーとなり、休眠幹細胞22が速やかに活性を開始し、第1扁平培養容器21(第1培養容器)の底面25に対する休眠幹細胞22の定着や休眠幹細胞22の増殖を促進することができ、休眠幹細胞22の活性を保持しつつ休眠幹細胞22を速やかに増殖させることができる。
活性化幹細胞製造方法は、休眠幹細胞22の保存前の単一種の間葉系幹細胞30の培養過程(増殖過程)において生成された培養生成液24を利用して休眠幹細胞22を第1扁平培養容器21(第1培養容器)の底面25に定着させるとともに、その培養生成液24を利用して総平面面積が第1目標割合に達するまで休眠幹細胞22を増殖させることで、単一種の間葉系休眠幹細胞22を効率よく確実に定着かつ増殖させることができ、十分な活性を有する必要量の単一種の間葉系活性化幹細胞27を効率よく製造することができる。
活性化幹細胞製造方法は、間葉系休眠幹細胞22に休眠幹細胞定着工程および休眠幹細胞培養工程を実施することによって不要な間葉系幹細胞を含まないピュア(純粋)な単一種の間葉系活性化幹細胞27を製造することができ、多種雑多な間葉系幹細胞が含まれることがないから、各種疾患の治療の効果や再生医療における再生の効果が高い活性化幹細胞27を製造することができ、各種疾患の治療に好適かつタイムリーに使用することが可能な活性化幹細胞27を製造することができるとともに、各種組織や各種臓器を再生に好適かつタイムリーに使用することが可能な活性化幹細胞27を製造することができる。
図7は、活性化幹細胞定着工程の一例を説明する図であり、図8は、第2扁平培養容器28の側面図である。図9は、活性化幹細胞27の平面形状の一例を示す部分拡大図であり、図10は、活性化幹細胞27の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図11は、活性化幹細胞27の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図9〜11は、電子顕微鏡13によって撮影された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像を示す。
休眠幹細胞培養工程によって休眠幹細胞22(活性化幹細胞27)を培養した後、継続して活性化幹細胞27を培養するには、休眠幹細胞培養完了ボタンをクリックすることでディスプレイ17に表示された初期画面の活性化幹細胞培養ボタンをクリックする。活性化幹細胞培養ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、データ格納ボタンをディスプレイ17に表示する。
医師や看護師、研究者等の担当者は、第2扁平培養容器28(第2培養容器)を用意し、培養容器28の外周面にICタグ18を取り付けた後、データ格納ボタンをクリックするとともに、ICタグリーダ/ライタ12を利用してそのICタグ18に第1扁平培養容器21(第1培養容器)に取り付けられたICタグ18のデータを格納する。コンピュータ11は、データ格納完了メッセージ、活性化幹細胞定着観察ボタン、活性化幹細胞定着完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
担当者は、注射器またはピペットを利用して活性化幹細胞27を第1扁平培養容器21(第1培養容器)から第2扁平培養容器28に注入(収容)し、注射器またはピペットを利用して培養液23を第2扁平培養容器28に注入(収容)するとともに、注射器またはピペットを利用して培養生成液24を生成液収容容器20から第2扁平培養容器28に注入(収容)する。なお、第2扁平培養容器28に注入する培養生成液24の注入割合は、第2扁平培養容器28に注入する培養液23の総注入量を100%としたときに5〜15%、好ましくは、8〜12%、より好ましくは、10%である。培養液23や培養生成液24は、第1扁平培養容器21に注入したそれらと同一である。
次に、担当者は、活性化幹細胞27、培養液23、培養生成液24を注入した第2扁平培養容器28を体温と略同一の温度(約37℃)に保持しつつ、36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)し、12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器28内の活性化幹細胞27の初期平面形状からの変形を電子顕微鏡13で観察し、活性化幹細胞27が培養容器28の底面29に定着したか否かを判断する。
第2扁平培養容器28(第2培養容器)は、透明なガラスまたは透明なプラスチックから作られ、小容量かつ所定面積の底面を有する平面形状が略四角形の扁平な容器であり、底面29の面積が第1扁平培養容器21(第1培養容器)の約2倍である。第2扁平培養容器28として小容量かつ所定面積の底面を有する平面形状が円形や楕円形の扁平な容器を使用することもできる。活性化幹細胞定着工程で使用される第2扁平培養容器28は、その容量が約40〜60cc(好ましくは、50cc)であり、その底面面積が約50〜72mm2である。培養容器28は、その一辺の長さが約7〜8.5mmである。
担当者は、活性化幹細胞定着観察ボタンをクリックするとともに、第2扁平培養容器28を電子顕微鏡13の試料ホルダ39に設置(セット)する。なお、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第2扁平培養容器28の底部45との間にスペーサー42を介在させ、培養容器28の底部45をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器28の底部45が上となり培養容器28の頂部46(注入口47)が下となるように、培養容器28を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第2扁平培養容器28の頂部46との間にスペーサー42を介在させ、培養容器28の頂部46をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器28の頂部46が上となり培養容器28の底部45が下となるように、培養容器28を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第2扁平培養容器28の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第2扁平培養容器28を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器28内において活性化幹細胞27、培養液23、培養生成液24が培養容器28の頂部46の側(または底部45の側)に偏り、培養容器28の頂部46の側(または底部45の側)において活性化幹細胞27、培養液23、培養生成液24の水圧が大きくなって活性化幹細胞27が培養容器28の頂部46の側(または底部45の側)に集中し、それによって活性化幹細胞27どうしの活性が高まり、培養容器28の底面29において活性化幹細胞27を容易かつ迅速に定着させることができる。
ディスプレイ17には、活性化幹細胞定着観察実施中メッセージ、活性化幹細胞定着完了ボタンが表示される。電子顕微鏡13は、第2扁平培養容器28に注入された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。
コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。担当者は、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像を12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、活性化幹細胞27の平面形状の変化を観察する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から活性化幹細胞27の平面形状の変化を12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で直接観察してもよい。
活性化幹細胞27の初期平面形状(定着前の平面形状)は略円形であり、活性化幹細胞27の平面形状が略円形の場合、活性化幹細胞27が第2扁平培養容器28の底面29(底壁内面)に定着しておらず、活性化幹細胞27が増殖(分化)を開始していない。活性化幹細胞27の変形後の平面形状(定着後の平面形状)は定着前の略円形を核として活性化幹細胞27が一方向(所定方向)へ不定形に伸張(拡張)した扁平形状であり、活性化幹細胞27が第2扁平培養容器28の底面28(底壁内面)に定着し、活性化幹細胞27が増殖(活性化)を開始している。
担当者は、活性化幹細胞定着工程における観察の結果、図8に示すように、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像が略円形のまま観察される場合、活性化幹細胞27が第2扁平培養容器28の底面29(底壁内面)に定着していないと判断し、活性化幹細胞27の平面形状の変化を約1〜2時間の間隔で継続して観察する。担当者は、図9に示すように、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞27の平面形状が略円形から略円形を核として不定形の扁平形状に変形した場合、活性化幹細胞27が第2扁平培養容器28の底面29に定着したと判断する。
活性化幹細胞27の定着時に容量が60ccを超過するとともに底面面積が72mm2を超過する大きな培養容器を使用すると、活性化幹細胞27が容器の底面に定着し難くなるとともに活性化幹細胞27の増殖が遅くなるが、前記容量かつ前記底面面積の第2扁平培養容器28を使用することで、活性化幹細胞27を培養容器28の底面29に容易に定着させることができ、培養容器28において活性化幹細胞27を素早く増殖させることができる。第2扁平培養容器28を体温と略同一の温度で36〜48時間静的に放置しつつ、12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器28内の活性化幹細胞27の初期平面形状からの変形を観察するから、活性化幹細胞27の変形を見逃すことはなく、活性化幹細胞27の培養容器28の底面29に対する定着を正確に確認することができる。
活性化幹細胞定着工程における観察の結果、図9に示すように、間葉系活性化幹細胞27が略円形(初期平面形状)から略円形を核として不定形の扁平形状に変形し、活性化幹細胞27の第2扁平培養容器28の底面29への定着を確認した後、活性化幹細胞培養工程が行われる。医師や看護師、研究者等の担当者は、活性化幹細胞27の第2扁平培養容器28の底面29に対する定着を確認した後、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞定着完了ボタンをクリックする。活性化幹細胞定着完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、活性化幹細胞定着完了メッセージ、活性化幹細胞培養観察ボタン、活性化幹細胞培養完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
活性化幹細胞培養工程では、第2扁平培養容器28に注入されている培養液23と培養生成液24との混合培養液26を培養容器28から排出し、培養容器28にあらたな培養液23およびあらたな培養生成液24(休眠幹細胞22の保存前(休眠幹細胞22の元となる)幹細胞30の培養過程において生成された培養生成液24)を注入(収容)する。なお、第2扁平培養容器28に注入するあらたな培養生成液24の注入割合は、培養容器28に注入するあらたな培養液23の総注入量を100%としたときに5〜15%、好ましくは、8〜12%、より好ましくは、10%である。
担当者は、第2扁平培養容器28を電子顕微鏡16の試料ホルダから取り外し、活性化幹細胞定着工程において培養容器28に注入した培養液23と培養生成液24との混合培養液26を注射器またはピペットを利用して培養容器28から排出し、注射器またはピペットを利用してあらたな培養液23を培養容器28に注入(収容)するとともに、注射器またはピペットを利用してあらたな培養生成液24を生成液収容容器20から培養容器28に注入(収容)する。あらたな培養液23やあらたな培養生成液24は、活性化幹細胞定着工程において第2扁平培養容器28に注入されたそれらと同一である。
担当者は、第2扁平培養容器28を体温と略同一の温度(約37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)しつつ、36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器28の底面29に定着した活性化幹細胞27の培養容器28の底面面積に対する総平面面積を電子顕微鏡13で観察し、活性化幹細胞27の総平面面積が培養容器28の底面面積に対して目標割合(第2目標割合)に達したか否かを判断する。第2扁平培養容器28の底面面積に対する活性化幹細胞27の総平面面積の目標割合は、88〜92%(88〜92%コンフルエント)である。
担当者は、あらたな培養液23とあらたな培養生成液24とを第2扁平培養容器28に注入した後、活性化幹細胞培養観察ボタンをクリックするとともに、培養容器28を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。なお、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第2扁平培養容器28の底部45との間にスペーサー42を介在させ、培養容器28の底部45をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器28の底部45が上となり培養容器28の頂部46(注入口47)が下となるように、培養容器28を所定角度に傾斜させた状態に保持する(図8参照)。また、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第2扁平培養容器28の頂部46との間にスペーサー42を介在させ、培養容器28の頂部46をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、培養容器28の頂部46が上となり培養容器28の底部45が下となるように、培養容器28を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第2扁平培養容器28の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、活性化幹細胞27の定着を確認した後、培養容器28の混合培養液26を排出しつつあらたな培養液23とあらたな培養生成液24とを培養容器28に注入することで、活性化幹細胞27の増殖を確実に促進することができる。培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第2扁平培養容器28を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器28内において活性化幹細胞27、培養液23、培養生成液24が培養容器28の頂部46の側(または底部45の側)に偏り、培養容器28の頂部46の側(または底部45の側)において活性化幹細胞27、培養液23、培養生成液24の水圧が大きくなって活性化幹細胞27が培養容器28の底部45の側(または頂部46の側)に集中し、それによって活性化幹細胞27どうしの活性が高まり、培養容器27の底面29において活性化幹細胞27を容易かつ迅速に増殖(分化)させることができる。
ディスプレイ17には、活性化幹細胞培養観察実施中メッセージ、活性化幹細胞培養完了ボタンが表示される。活性化幹細胞27の定着を確認した後、第2扁平培養容器28から培養液23と培養生成液24との混合培養液26を排出しつつ、あらたな培養液23と単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質が含まれるあらたな培養生成液24とを第2扁平培養容器28に注入することで、その幹細胞30自体の代謝物質がトリガーとなり、活性化幹細胞27が速やかに活性を開始し、活性化幹細胞27の増殖を確実に促進することができる。
電子顕微鏡13は、第2扁平培養容器28の活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。
担当者は、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞27の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、第2扁平培養容器28の底面29に定着した活性化幹細胞27の培養容器28の底面面積に対する総平面面積を観察しつつ、活性化幹細胞27の総平面面積が培養容器28の底面面積に対して目標割合(第2目標割合)(88〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から活性化幹細胞27の第2扁平培養容器28の底面面積に対する総平面面積を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察し、活性化幹細胞27の総平面面積が培養容器28の底面面積に対して目標割合(88〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断してもよい。
担当者は、活性化幹細胞培養工程における観察の結果、図9に示すように、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞27の第2扁平培養容器28の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第2目標割合)(88〜92%コンフルエント)に達していない場合、活性化幹細胞27の培養容器28の底面面積に対する総平面面積を約1〜2時間間隔で継続して観察する。なお、ディスプレイ17に表示された拡大画像の全面積に対して活性化幹細胞27の総平面面積が目標割合(第2目標割合)に達した場合に、活性化幹細胞27の第2扁平培養容器28の底面面積に対する総平面面積が目標割合に達したものとする。
活性化幹細胞培養工程における観察の結果、活性化幹細胞27が第2扁平培養容器28の底面29(底壁内面)において増殖して活性化幹細胞27がコロニーを形成し、活性化幹細胞27の平面形状が拡張することで、図10に示すように、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞27の培養容器28の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第2目標割合)(88〜92%コンフルエント)に達した場合、活性化幹細胞27がさらに活性化して増殖している。活性化幹細胞27の第2扁平培養容器28の底面面積に対する総平面面積が目標割合に達した時点で、培養容器28から活性化幹細胞27を抽出し、抽出した活性化幹細胞27を各種疾患の治療や再生医療に利用する。
担当者は、第2扁平培養容器28に注入されている混合培養液26を注射器またはピペットを利用して培養容器28から排出し、培養容器28内をPBSで洗浄した後、トリプシン液を培養容器28に注入する。第2扁平培養容器28にトリプシン液を注入すると、培養容器28の底面29に定着(増殖)した活性化幹細胞27がトリプシン液によって底面29から剥離し、トリプシン液の水面に浮上する。担当者は、ピペットを利用して活性化幹細胞27を吸引し、活性化幹細胞27をピペット内に収容する。なお、活性化幹細胞培養工程において培養した活性化幹細胞27を幹細胞収容容器19に収容し、活性化幹細胞27を収容した幹細胞収容容器19を冷蔵庫14または冷凍庫14に入れ、冷蔵庫14または冷凍庫14において活性化幹細胞27を保存することができる。
担当者は、活性化幹細胞27の第2扁平培養容器28の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第2目標割合)に達したことを確認した後、ディスプレイ17に表示された活性化幹細胞培養完了ボタンをクリックする。活性化幹細胞培養完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、初期画面をディスプレイ17に表示する。培養を終了する場合は、初期画面のログアウトボタンをクリックする。ログアウトボタンをクリックすると、コンピュータ11がシステム10からログアウトする。
活性化幹細胞製造方法は、活性化幹細胞27(休眠幹細胞22)の保存前の単一種の間葉系幹細胞30の培養過程(増殖過程)において生成されてその幹細胞30から分泌された所定の代謝物質が含まれる培養生成液24を利用することで、その幹細胞30自体の代謝物質がトリガーとなり、活性化幹細胞27が速やかに活性を開始し、第2扁平培養容器28(第2培養容器)の底面29に対する活性化幹細胞27の定着や活性化幹細胞27の増殖を促進することができ、活性化幹細胞27の活性を保持しつつ活性化幹細胞27を速やかに増殖させることができる。
活性化幹細胞製造方法は、活性化幹細胞27(休眠幹細胞22)の保存前の単一種の間葉系の幹細胞30の培養過程(増殖過程)において生成された培養生成液24を利用して活性化幹細胞27を第2扁平培養容器28の底面29に定着させるとともに、その培養生成液24を利用して総平面面積が第2目標割合に達するまで活性化幹細胞27を増殖させることで、単一種の間葉系活性化幹細胞27を効率よく確実に定着かつ増殖させることができ、十分な活性を有する必要量の単一種の間葉系活性化幹細胞27を効率よく製造することができる。
活性化幹細胞製造方法は、活性化幹細胞27に活性化幹細胞定着工程および活性化幹細胞培養工程を実施することによって不要な間葉系幹細胞を含まないピュア(純粋)な単一種の間葉系活性化幹細胞27を作ることができ、多種雑多な間葉系幹細胞が含まれることがないから、各種疾患の治療の効果や再生医療における再生の効果が高い活性化幹細胞27を製造することができ、各種疾患の治療に好適かつタイムリーに使用することが可能な活性化幹細胞27を製造することができるとともに、各種組織や各種臓器を再生に好適かつタイムリーに使用することが可能な活性化幹細胞27を製造することができる。
図12は、幹細胞第1定着工程において使用するガラス試験管32の斜視図であり、図13は、図12から続く幹細胞第1定着工程を説明する図である。図14は、図13から続く幹細胞第1定着工程を説明する図である。図12〜図22に基づいて休眠幹細胞22の保存前であって休眠幹細胞22の元となる単一種の間葉系幹細胞30の製造方法を説明する。
単一種の幹細胞30は、複数のドナー(人)から採取した原料骨髄液31を利用し、活性化幹細胞培養システム10によって1回目の幹細胞第1定着工程、1回目の幹細胞第1培養工程、2回目の幹細胞第2定着工程、2回目の幹細胞第2培養工程を実施することから作られる。システム10は、原料骨髄液31に含まれる複数種類の間葉系幹細胞の中から特定種類の単一種の間葉系幹細胞38(第1幹細胞)を培養する。
1回目の幹細胞第1定着工程では、最初にドナーから採取した原料骨髄液31を層状に分離させる。骨髄液採取では、それらドナーの胸骨または腸骨(骨盤)から2〜3cc(2〜3ml)の原料骨髄液31が採取される。原料骨髄液31は、ドナーに局所麻酔をかけた後、骨髄を穿刺して骨髄液(骨髄血)を吸引する「骨髄穿刺」(マルク)によって採取される。医師や看護師、研究者等の担当者は、原料骨髄液31の採取と同時に、コンピュータ11においてシステム10を起動し、初期画面の幹細胞培養ボタンをクリックする。ディスプレイ17には、データ取得ボタン、ログアウトボタンが表示される。
担当者は、データ取得ボタンをクリックした後、キーボード14やマウス15等の入力装置を利用してドナーデータおよび幹細胞データをコンピュータ11に入力する。コンピュータ11は、ドナーデータおよび幹細胞データが入力される度毎(ドナーから原料骨髄液を採取する度毎)に各ドナーを特定するユニークなドナー識別子および幹細胞識別子を生成し、ドナーデータおよび幹細胞データをドナー識別子および幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。ディスプレイ17には、ドナーデータ取得メッセージ、データ格納ボタン、ログアウトボタンが表示される。
ドナーから採取された2〜3ccの原料骨髄液31は、図12に示すように、上下方向へ延びるガラス試験管32(分離容器)内に注入(収容)される。なお、2〜3ccの原料骨髄液31には、0.5〜1ml(約5×107(cells/ml))の複数種類の間葉系幹細胞38(間葉系第1幹細胞)が含まれる。
原料骨髄液31を注入するガラス試験管32の外周面には、ICタグ18が取り付けられている。担当者は、ICタグリーダ/ライタ12を利用してガラス試験管32のICタグ18にドナーデータおよび幹細胞データを書き込む。ICタグ18にドナーデータや幹細胞データを書き込むと、コンピュータ11は、データ格納終了メッセージ、骨髄液分離ボタン、ログアウトボタンをディスプレイ17に表示する。
原料骨髄液31を注入したガラス試験管32は、図13に示すように、試験管立て33にセットされ、試験管立て33とともに恒温槽34内に収容される。担当者は、ディスプレイ17に表示された骨髄液分離ボタンをクリックした後、注射器からガラス試験管32に原料骨髄液31を注入し、原料骨髄液31を注入したガラス試験管32を試験管立て33に挿入(セット)する。ディスプレイ17には、骨髄液分離中メッセージ、骨髄液分離終了ボタンが表示される。
担当者は、試験管立て33を恒温槽34内に収容し、原料骨髄液31を注入したガラス試験管32を恒温槽34において所定時間(約2時間)静的に放置(動かすことなく静かに放置)する。恒温槽34内の温度は、体温と略同一の約37℃に保持されている。ガラス試験管32を恒温槽34に所定時間(約2時間)静的に放置することで、図14に示すように、試験管32に注入された原料骨髄液31が試験管32内において上下方向へ何層かの層状に分離する(図14では3層に分離)。
原料骨髄液31を層状に分離させた後、骨髄液の抽出が行われる。骨髄液の抽出では、層状に分離した原料骨髄液31から中間層骨髄液35を抽出する。担当者は、恒温槽34から試験管立て33を取り出し、試験管立て33からガラス試験管32を引き抜き、原料骨髄液31が層状に分離したことを確認した後、層状に分離した原料骨髄液31の特定の層に存在する中間層骨髄液35を抽出する。
担当者は、注射器またはピペットを利用して層状に分離した原料骨髄液31のうちの中間層に位置する3〜4mmの層厚みの中間層骨髄液35を吸引する。多種雑多な間葉系幹細胞を含む原料骨髄液31を上下方向へ層状に分離させた後、原料骨髄液31から特定の中間層骨髄液35を抽出することで、原料骨髄液31に含まれる不要な間葉系幹細胞を除去することができる。
中間層骨髄液35を抽出した後、骨髄液分離終了ボタンをクリックする。ディスプレイ17には、骨髄液分離終了メッセージ、データ格納ボタンが表示される。担当者は、第3扁平培養容器(第3培養容器)(図示せず)を用意し、培養容器の外周面にICタグを取り付けた後、データ格納ボタンをクリックするとともに、ICタグリーダ/ライタ12を利用してそのICタグにガラス試験管32に取り付けられたICタグ18のドナーデータおよび幹細胞データを格納する。コンピュータ11は、データ格納完了メッセージ、幹細胞第1定着観察ボタン、幹細胞第1定着完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
担当者は、原料骨髄液31から中間層に位置する特定の中間層骨髄液35を抽出した後、注射器またはピペットを利用して中間層骨髄液35および培養液23を第3扁平培養容器(第3培養容器)に注入(収容)し、培養容器を体温と略同一の温度(約37℃)に保持しつつ、12〜24時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)し、12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器内の中間層骨髄液35に含まれる間葉系幹細胞38(第1幹細胞)の初期平面形状からの変形を電子顕微鏡で観察し、幹細胞36が培養容器の底面に定着したか否かを判断する。
幹細胞第1定着工程や幹細胞第1培養工程で使用される第3扁平培養容器は、休眠幹細胞定着工程や休眠幹細胞培養工程に使用された第1扁平培養容器21(第1培養容器)と同一(同形同大)である(図2参照)。第3扁平培養容器は、その容量が約20〜30cc(好ましくは、25cc)であり、その底面面積が約25〜36mm2である。第3扁平培養容器は、その一辺の長さが5〜6mmである。
図15は、幹細胞38の平面形状の一例を示す部分拡大図である。図16は、幹細胞38の平面形状の他の一例を示す部分拡大図であり、図17は、幹細胞38の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図15〜17は、電子顕微鏡13によって撮影された幹細胞38の平面形状の拡大画像を示す。
担当者は、第1定着観察ボタンをクリックするとともに、第3扁平培養容器を電子顕微鏡13の試料ホルダ39に設置(セット)する。なお、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第3扁平培養容器の底部との間にスペーサー42を介在させ、第3扁平培養容器の底部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第3扁平培養容器の底部が上となり第3扁平培養容器の頂部(注入口)が下となるように、第3扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持する(図3参照)。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第3扁平培養容器の頂部との間にスペーサー42を介在させ、第3扁平培養容器の頂部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第3扁平培養容器の頂部が上となり第3扁平培養容器の底部が下となるように、第3扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第3扁平培養容器の傾斜角度α1は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第3扁平培養容器を前記傾斜角度で傾斜させることで、第3扁平培養容器内において幹細胞38、培養液23が第3扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)に偏り、第3扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)において幹細胞38、培養液23の水圧が大きくなって幹細胞38が第3扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)に集中し、それによって幹細胞38どうしの活性が高まり、第3扁平培養容器の底面25において幹細胞38を容易かつ迅速に定着させることができる。
ディスプレイ17には、幹細胞第1定着観察実施中メッセージ、幹細胞第1定着完了ボタンが表示される。電子顕微鏡13は、第3扁平培養容器に注入された中間層骨髄液35に含まれる幹細胞38の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞38の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。
電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。第3扁平培養容器に注入された間葉系の幹細胞38(第1幹細胞)は、時間の経過とともに培養容器の底面に定着しつつ、培養液によって培養され、培養容器の底面において次第に増殖(分化)してコロニーを形成する。
コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された間葉系の幹細胞38(第1幹細胞)の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞38の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。担当者は、ディスプレイ17に表示された幹細胞38の平面形状の拡大画像を12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、幹細胞38の平面形状の変化を観察する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から幹細胞38の平面形状の変化を12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で直接観察してもよい。
幹細胞38(第1幹細胞)の初期平面形状は略円形であり、幹細胞38の平面形状が略円形の場合、幹細胞38が第3扁平培養容器の底面(底壁内面)に定着しておらず、幹細胞38が増殖(分化)を開始していない。幹細胞38(第1幹細胞)の変形後の平面形状は定着前の略円形を核として幹細胞38が一方向(所定方向)へ不定形に伸張(拡張)した扁平形状であり、幹細胞38が培養容器の底面(底壁内面)に定着し、幹細胞38が増殖を開始している。
担当者は、幹細胞第1定着工程における観察の結果、図15に示すように、ディスプレイ17に表示された幹細胞38(第1幹細胞)の平面形状の拡大画像が略円形のまま観察される場合、幹細胞38が第3扁平培養容器の底面(底壁内面)に定着していないと判断し、幹細胞38の平面形状の変化を約1〜2時間の間隔で継続して観察する。担当者は、図16に示すように、ディスプレイ17に表示された幹細胞38(第1幹細胞)の平面形状が略円形から略円形を核として不定形の扁平形状に変形した場合、幹細胞38が培養容器の底面に定着したと判断する。
幹細胞38(第1幹細胞)の定着時に容量が30ccを超過するとともに底面面積が36mm2を超過する大きな培養容器を使用すると、幹細胞38が容器の底面に定着し難くなるとともに幹細胞38の増殖が遅くなるが、第1扁平培養容器21と同様の容量および底面面積を有する第3扁平培養容器を使用することで、幹細胞38を培養容器の底面に容易に定着させることができ、培養容器において幹細胞38を素早く増殖させることができる。第3扁平培養容器を体温と略同一の温度で12〜24時間静的に放置しつつ、12〜24時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器内の幹細胞38(第1幹細胞)の初期平面形状からの変形を観察するから、幹細胞38の変形を見逃すことはなく、幹細胞38の第3扁平培養容器の底面に対する定着を正確に確認することができる。
幹細胞第1定着工程における観察の結果、間葉系幹細胞38(第1幹細胞)が略円形(初期平面形状)から略円形を核として不定形の扁平形状に変形し、幹細胞38の第3扁平培養容器の底面への定着を確認した後、幹細胞第1培養工程が行われる。医師や看護師、研究者等の担当者は、幹細胞38の第3扁平培養容器の底面に対する定着を確認した後、ディスプレイ17に表示された第1定着完了ボタンをクリックする。第1定着完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、幹細胞第1定着完了メッセージ、幹細胞第1培養観察ボタン、幹細胞第1培養完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
幹細胞第1培養工程では、第3扁平培養容器に注入されている培養液23を培養容器から排出し、培養容器にあらたな培養液23を注入(収容)する。担当者は、第3扁平培養容器を電子顕微鏡16の試料ホルダから取り外し、幹細胞第1定着工程において培養容器に注入した培養液23を注射器またはピペットを利用して培養容器から排出し、注射器またはピペットを利用してあらたな培養液23を培養容器に注入(収容)する。
担当者は、第3扁平培養容器を体温と略同一の温度(約37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)しつつ、36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器の底面に定着した幹細胞38(第1幹細胞)の第3扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞38の総平面面積が培養容器の底面面積に対して目標割合(第3目標割合)に達したか否かを判断する。培養容器の底面面積に対する幹細胞38の総平面面積の第3目標割合は、70〜80%(70〜80%コンフルエント)である。
担当者は、あらたな培養液23を培養容器に注入した後、第1培養観察ボタンをクリックするとともに、培養容器を電子顕微鏡13の試料ホルダ39に設置(セット)する。なお、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第3扁平培養容器の底部との間にスペーサー42を介在させ、第3扁平培養容器の底部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第3扁平培養容器の底部が上となり第3扁平培養容器の頂部(注入口)が下となるように、第3扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持する(図3参照)。また、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第3扁平培養容器の頂部との間にスペーサー42を介在させ、第3扁平培養容器の頂部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第3扁平培養容器の頂部が上となり第3扁平培養容器の底部が下となるように、第3扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第3扁平培養容器の傾斜角度α1は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、幹細胞38の定着を確認した後、第3扁平培養容器の培養液23を排出しつつあらたな培養液23を第3扁平培養容器に注入することで、幹細胞38の増殖を確実に促進することができる。培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第3扁平培養容器を前記傾斜角度で傾斜させることで、第3扁平培養容器内において幹細胞38、培養液23が第3扁平培養容器の頂部43の側(または底部41の側)に偏り、第3扁平培養容器の頂部43の側(または底部41の側)において幹細胞38、培養液23の水圧が大きくなって幹細胞38が第3扁平培養容器の底部41の側(または頂部43の側)に集中し、それによって幹細胞38どうしの活性が高まり、第3扁平培養容器の底面25において幹細胞38を容易かつ迅速に増殖(分化)させることができる。
ディスプレイ17には、幹細胞第1培養観察実施中メッセージ、幹細胞第1培養完了ボタンが表示される。幹細胞の定着を確認した後、第3扁平培養容器の培養液23を排出しつつあらたな培養液23を培養容器に注入することで、幹細胞38の増殖を確実に促進することができる。
電子顕微鏡13は、第3扁平培養容器の幹細胞38の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞38の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞38(第1幹細胞)の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞38の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。
担当者は、ディスプレイ17に表示された幹細胞38の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、第3扁平培養容器の底面に定着した幹細胞38(第1幹細胞)の培養容器の底面面積に対する総平面面積を観察しつつ、幹細胞38の総平面面積が培養容器の底面面積に対して目標割合(第3目標割合)(70〜80%コンフルエント)に達したか否かを判断する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から幹細胞38の培養容器の底面面積に対する総平面面積を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察し、幹細胞38の総平面面積が培養容器の底面面積に対して目標割合(70〜80%コンフルエント)に達したか否かを判断してもよい。
担当者は、幹細胞第1培養工程における観察の結果、図16に示すように、ディスプレイ17に表示された幹細胞38(第1幹細胞)の第3扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第3目標割合)(70〜80%コンフルエント)に達していない場合、幹細胞38の培養容器の底面面積に対する総平面面積を約1〜2時間間隔で継続して観察する。なお、ディスプレイ17に表示された拡大画像の全面積に対して幹細胞38の総平面面積が目標割合(第3目標割合)に達した場合に、幹細胞38の第3扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合に達したものとする。
幹細胞第1培養工程における観察の結果、図17に示すように、幹細胞38(第1幹細胞)が第3扁平培養容器の底面(底壁内面)において増殖して幹細胞がコロニーを形成し、幹細胞38の平面形状が拡張することで、ディスプレイ17に表示された幹細胞38の培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第3目標割合)(70〜80%コンフルエント)に達した時点で、第3扁平培養容器から増殖(分化)した間葉系幹細胞38を抽出する。
間葉系幹細胞38(間葉系第1幹細胞)の第3扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第3目標割合)に達したことを確認した後、幹細胞第2定着工程が行われる。担当者は、幹細胞38の第3扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第3目標割合)に達したことを確認した後、ディスプレイ17に表示された幹細胞第1培養完了ボタンをクリックする。幹細胞第1培養完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、幹細胞第1培養終了ボタン、幹細胞第1抽出終了ボタンをディスプレイ17に表示する。
担当者は、第3扁平培養容器に注入されている培養液23を培養容器から排出し、培養容器内をPBSで洗浄した後、トリプシン液を培養容器内に注入する。第3扁平培養容器にトリプシン液を注入すると、培養容器の底面に定着した間葉系幹細胞38(第1幹細胞)がトリプシン液によって底面から剥離し、トリプシン液の水面に浮上する。担当者は、ピペットを利用して幹細胞38を吸引し、幹細胞38をピペット内に収容する。
図18は、幹細胞第2定着工程において使用するガラス試験管36および遠心分離器37の斜視図であり、図19は、遠心分離後のガラス試験管36の斜視図である。第3扁平培養容器から幹細胞38(第1幹細胞)を抽出した後、幹細胞第2定着工程が行われる。幹細胞第2定着工程では、抽出された幹細胞38を遠心分離器37によって層状に遠心分離する。医師や看護師、研究者等の担当者は、幹細胞38を第3扁平培養容器からピペットに吸引した後、ディスプレイ17に表示された幹細胞第1抽出終了ボタンをクリックする。ディスプレイ17には、幹細胞分離中メッセージ、幹細胞分離終了ボタンが表示される。
担当者は、ピペット内の幹細胞38(第1幹細胞)をそのガラス試験管36に注入(収容)し、ガラス試験管36を遠心分離器37に設置(セット)する。担当者は、幹細胞38を遠心分離器37によって所定時間遠心分離した後、ガラス試験管36を遠心分離器37から取り出す。ガラス試験管36内の幹細胞38は、遠心分離器37によって上下方向へ何層かの層状に分離する。
幹細胞38(第1幹細胞)を層状に分離させた後、層状に分離した幹細胞38から下層(最下層)に位置する間葉系の幹細胞30(第2幹細胞)を抽出する。不要な幹細胞を含む幹細胞38(第1幹細胞)を遠心分離器37で遠心分離して上下方向へ層状に分離させ、層状に遠心分離した幹細胞38のうちの最下層に位置する幹細胞30(第2幹細胞)を抽出することで、幹細胞38から特定の幹細胞30を確実に抽出することができ、幹細胞38から不要な幹細胞を除去することができる。
第3扁平培養容器(第3培養容器)の底面面積に対する幹細胞38(第1幹細胞)の総平面面積が80%を超過して幹細胞38が増殖すると、幹細胞38の活性が次第に失われるが、培養容器の底面面積に対して幹細胞38(第1幹細胞)の総平面面積が70〜80%に増殖したときに、幹細胞38を培養容器から抽出するから、幹細胞38の活性を保持することができ、活性を保持した状態で幹細胞38を増殖させることができるとともに、幹細胞38から活性を有する幹細胞30(第2幹細胞)を抽出することができる。
担当者は、遠心分離器37によって幹細胞38(第1幹細胞)を上下方向へ層状に分離させた後、ガラス試験管36を遠心分離器37から取り出し、ディスプレイ17に表示された幹細胞分離終了ボタンをクリックする。ディスプレイ17には、幹細胞分離終了メッセージ、データ格納ボタンが表示される。担当者は、第4扁平培養容器(第4培養容器)(図示せず)を用意し、第4扁平培養容器の外周面にICタグ18を取り付けた後、データ格納ボタンをクリックするとともに、ICタグリーダ/ライタ12を利用してそのICタグ18に第3扁平培養容器に取り付けられたICタグのドナーデータおよび幹細胞データを格納する。コンピュータ11は、データ格納完了メッセージ、幹細胞第2定着観察ボタン、幹細胞第2定着完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
幹細胞第2定着工程や幹細胞第2培養工程で使用される第4扁平培養容器は、活性化幹細胞定着工程や活性化幹細胞培養工程に使用された第2扁平培養容器28(第2培養容器)と同一(同形同大)である(図6参照)。第4扁平培養容器は、その容量が約40〜60cc(好ましくは、50cc)であり、その底面面積が約50〜72mm2である。培養容器28は、その一辺の長さが約7〜8.5mmである。
図20は、幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の一例を示す部分拡大図であり、図21は、幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図22は、幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図20〜22は、電子顕微鏡13によって撮影された幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の拡大画像を示す。
医師や看護師、研究者等の担当者は、ガラス試験管36において層状に分離した幹細胞38(第1幹細胞)のうちの下層(最下層)に存在する間葉系の幹細胞30(第2幹細胞)を注射器またはピペットを利用して抽出した後、その幹細胞30および培養液23を第4扁平培養容器(第4培養容器)に注入(収容)し、培養容器を体温と略同一の温度(約37℃)に保持しつつ、36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)し、36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器内の幹細胞30(第2幹細胞)の初期平面形状からの変形を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞30が培養容器の底面に定着したか否かを判断する。
担当者は、幹細胞第2定着観察ボタンをクリックするとともに、第4扁平培養容器を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。なお、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第4扁平培養容器の底部との間にスペーサー42を介在させ、第4扁平培養容器の底部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第4扁平培養容器の底部が上となり第4扁平培養容器の頂部(注入口)が下となるように、第4扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ39の上面40と第4扁平培養容器の頂部との間にスペーサー42を介在させ、第4扁平培養容器の頂部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第4扁平培養容器の頂部が上となり第4扁平培養容器の底部が下となるように、第4扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第4扁平培養容器の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第4扁平培養容器を前記傾斜角度で傾斜させることで、第4扁平培養容器内において幹細胞30、培養液23が第4扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)に偏り、第4扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)において幹細胞30、培養液23の水圧が大きくなって幹細胞30が第4扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)に集中し、それによって幹細胞30どうしの活性が高まり、第4扁平培養容器の底面において幹細胞30を容易かつ迅速に定着させることができる。
ディスプレイ17には、幹細胞第2定着観察実施中メッセージ、幹細胞第2定着完了ボタンが表示される。電子顕微鏡13は、第4扁平培養容器に注入された幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。第4扁平培養容器に注入された間葉系の幹細胞30(第2幹細胞)は、時間の経過とともに培養容器の底面に定着しつつ、培養液23によって培養され、培養容器の底面において次第に増殖(分化)してコロニーを形成する。
コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された間葉系の幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。担当者は、ディスプレイ17に表示された幹細胞30の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、幹細胞30の平面形状の変化を観察する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から幹細胞30の平面形状の変化を36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で直接観察してもよい。
幹細胞30(第2幹細胞)の初期平面形状は略円形であり、幹細胞30の平面形状が略円形の場合、幹細胞30が第4扁平培養容器の底面(底壁内面)に定着しておらず、幹細胞30が増殖(分化)を開始していない。幹細胞30(第2幹細胞)の変形後の平面形状は定着前の略円形を核として幹細胞30が一方向(所定方向)へ不定形に伸張(拡張)した扁平形状であり、幹細胞30が第4扁平培養容器の底面(底壁内面)に定着し、幹細胞30が増殖を開始している。
担当者は、幹細胞第2定着工程における観察の結果、図20に示すように、ディスプレイ17に表示された幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の拡大画像が略円形のまま観察される場合、幹細胞30が第4扁平培養容器の底面(底壁内面)に定着していないと判断し、幹細胞30の平面形状の変化を約1〜2時間の間隔で継続して観察する。担当者は、図21に示すように、ディスプレイ17に表示された幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状が略円形から略円形を核として不定形の扁平形状に変形した場合、幹細胞30が培養容器の底面に定着したと判断する。
幹細胞30(第2幹細胞)の定着時に容量が60ccを超過するとともに底面面積が72mm2を超過する大きな培養容器を使用すると、幹細胞30が容器の底面に定着し難くなるとともに幹細胞30の増殖が遅くなるが、前記容量かつ前記底面面積の第4扁平培養容器を使用することで、幹細胞30を培養容器の底面に容易に定着させることができ、培養容器において幹細胞30を素早く増殖させることができる。第4扁平培養容器を体温と略同一の温度で36〜48時間静的に放置しつつ、36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器内の幹細胞30(第2幹細胞)の初期平面形状からの変形を観察するから、幹細胞30の変形を見逃すことはなく、幹細胞30の培養容器の底面に対する定着を正確に確認することができる。
幹細胞第2定着工程における観察の結果、図22に示すように、間葉系の幹細胞30(第2幹細胞)が略円形(初期平面形状)から略円形を核として不定形の扁平形状に変形し、幹細胞30の第4扁平培養容器の底面への定着を確認した後、幹細胞第2培養工程が行われる。医師や看護師、研究者等の担当者は、幹細胞30の第4扁平培養容器の底面に対する定着を確認した後、ディスプレイ17に表示された幹細胞第2定着完了ボタンをクリックする。幹細胞第2定着完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、幹細胞第2定着完了メッセージ、幹細胞第2培養観察ボタン、幹細胞第2培養完了ボタンをディスプレイ17に表示する。
幹細胞第2培養工程では、第4扁平培養容器に注入されている培養液23を培養容器から排出し、培養容器にあらたな培養液23を注入(収容)する。担当者は、第4扁平培養容器を電子顕微鏡16の試料ホルダから取り外し、幹細胞第1定着工程において培養容器に注入した培養液23を注射器またはピペットを利用して培養容器から排出し、注射器またはピペットを利用してあらたな培養液23を培養容器に注入(収容)する。
担当者は、第4扁扁平培養容器を体温と略同一の温度(約37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)しつつ、36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で培養容器の底面に定着した幹細胞30(第2幹細胞)の培養容器の底面面積に対する総平面面積を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞の28総平面面積が培養容器の底面面積に対して目標割合(第4目標割合)に達したか否かを判断する。培養容器の底面面積に対する幹細胞30の総平面面積の第4目標割合は、88〜92%(88〜92%コンフルエント)である。
担当者は、あらたな培養液23を第4扁平培養容器に注入した後、第2培養観察ボタンをクリックするとともに、培養容器を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。なお、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第4扁平培養容器の底部との間にスペーサー42を介在させ、第4扁平培養容器の底部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第4扁平培養容器の底部が上となり第4扁平培養容器の頂部(注入口)が下となるように、第4扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持する(図8参照)。また、電子顕微鏡16の試料ホルダ39の上面40と第4扁平培養容器の頂部との間にスペーサー42を介在させ、第4扁平培養容器の頂部をスペーサー42によって持ち上げた状態に保持し、第4扁平培養容器の頂部が上となり第4扁平培養容器の底部が下となるように、第4扁平培養容器を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ39の上面40に対する第4扁平培養容器の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造方法は、幹細胞30の定着を確認した後、第4扁平培養容器の培養液23を排出しつつあらたな培養液23を第4扁平培養容器に注入することで、幹細胞30の増殖を確実に促進することができる。培養生成液製造方法は、試料ホルダ39の上面40に対して第4扁平培養容器を前記傾斜角度で傾斜させることで、第4扁平培養容器内において幹細胞30、培養液23が第4扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)に偏り、第4扁平培養容器の頂部の側(または底部の側)において幹細胞30、培養液23の水圧が大きくなって幹細胞30が第4扁平培養容器の底部の側(または頂部の側)に集中し、それによって幹細胞30どうしの活性が高まり、第4扁平培養容器の底面において幹細胞30を容易かつ迅速に増殖(分化)させることができる。
ディスプレイ17には、幹細胞第2培養観察実施中メッセージ、幹細胞第2培養完了ボタンが表示される。幹細胞30の定着を確認した後、培養容器の培養液23を排出しつつあらたな培養液23を培養容器に注入することで、幹細胞30(第2幹細胞)の増殖を確実に促進することができる。
電子顕微鏡13は、第4扁平培養容器の幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞30(第2幹細胞)の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子、幹細胞識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ17に表示する。
担当者は、ディスプレイ17に表示された幹細胞30の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間の間隔で確認(視認)し、第4扁平培養容器の底面に定着した幹細胞30(第2幹細胞)の培養容器の底面面積に対する総平面面積を観察しつつ、幹細胞30の総平面面積が第4扁平培養容器の底面面積に対して目標割合(第4目標割合)(88〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から幹細胞30の培養容器の底面面積に対する総平面面積を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察し、幹細胞30の総平面面積が培養容器の底面面積に対して目標割合(88〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断してもよい。
担当者は、幹細胞第2培養工程における観察の結果、図21に示すように、ディスプレイ17に表示された幹細胞30(第2幹細胞)の第4扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第4目標割合)(88〜92%コンフルエント)に達していない場合、幹細胞30の培養容器の底面面積に対する総平面面積を約1〜2時間間隔で継続して観察する。なお、ディスプレイ17に表示された拡大画像の全面積に対して幹細胞30の総平面面積が目標割合(第4目標割合)に達した場合に、幹細胞30の第4扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合に達したものとする。
幹細胞第2培養工程における観察の結果、図22に示すように、幹細胞30(第2幹細胞)が第4扁平培養容器の底面(底壁内面)において増殖して幹細胞30がコロニーを形成し、幹細胞30の平面形状が拡張することで、ディスプレイ17に表示された幹細胞30の培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第4目標割合)(88〜92%コンフルエント)に達した時点で、第4扁平培養容器から増殖(分化)した単一種の間葉系幹細胞30を抽出する。
なお、第4扁平培養容器に収容された(残存する)培養液23には単一種の間葉系幹細胞30(第2幹細胞)の培養過程(増殖過程)においてその幹細胞30から分泌された所定の代謝物質が含まれ、第4扁平培養容器に残存する培養液23が培養生成液24になっている。担当者は、幹細胞30(第2幹細胞)の第4扁平培養容器の底面面積に対する総平面面積が目標割合(第4目標割合)に達したことを確認した後、ディスプレイ17に表示された幹細胞第2培養完了ボタンをクリックする。幹細胞第2培養完了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、幹細胞第2培養終了ボタン、幹細胞第2抽出終了ボタンをディスプレイ17に表示する。
図23は、幹細胞30(第2幹細胞)および培養生成液24の保存の一例を示す図である。担当者は、ピペットを利用して第4扁平培養容器に注入されている培養生成液24(培養液23)を培養容器から吸引し、培養生成液24をピペット内に収容する。次に、第4扁平培養容器内をPBSで洗浄した後、トリプシン液を培養容器内に注入する。第4扁平培養容器にトリプシン液を注入すると、培養容器の底面に定着した間葉系の幹細胞30(第2幹細胞)がトリプシン液によって底面から剥離し、トリプシン液の水面に浮上する。担当者は、ピペットを利用して幹細胞30を吸引し、幹細胞30をピペット内に収容した後、幹細胞第2抽出終了ボタンをクリックする。幹細胞第2抽出終了ボタンをクリックすると、ディスプレイ17には、幹細胞収容容器データ格納ボタン、生成液収容容器データ格納ボタンが表示される。
担当者は、培養生成液24と幹細胞30(第2幹細胞)とを抽出した後、幹細胞収容容器19と生成液収容容器20とを用意し、その幹細胞収容容器19の外周面にICタグ18を取り付けるとともに、その生成液収容容器20の外周面にICタグ18を取り付ける。担当者は、幹細胞収容容器データ格納ボタンをクリックし、ICタグリーダ/ライタ12を利用して幹細胞収容容器19のICタグ18に第4扁平培養容器に取り付けられたICタグ18のドナーデータおよび幹細胞データを格納する。さらに、生成液収容容器データ格納ボタンをクリックし、ICタグリーダ/ライタ12を利用して生成液収容容器20のICタグ18に第4扁平培養容器に取り付けられたICタグ18のドナーデータおよび幹細胞データを格納する。それら各データが各容器19,20のICタグ18に格納された後、ディスプレイ17には、初期画面が表示される。
担当者は、幹細胞30(第2幹細胞)をピペットから幹細胞収容容器19に注入(収容)する。幹細胞収容容器19に注入された単一種の間葉系の幹細胞30は、不要な間葉系の幹細胞が除去された活性を有する培養対象の特定種類の単一種の間葉系幹細胞である。担当者は、幹細胞30(単一種の間葉系幹細胞)をピペットから幹細胞収容容器19に注入した後、その幹細胞収容容器19を冷蔵庫14または冷凍庫14に収納する。単一種の間葉系幹細胞30(第2幹細胞)は、幹細胞収容容器19に収容された状態で冷蔵庫14または冷凍庫14において所定期間、所定温度(3〜5℃または冷凍保存)で保存される。
担当者は、培養生成液24をピペットから生成液収容容器20に注入(収容)する。生成液収容容器20に注入された培養生成液24は、不要な間葉系の幹細胞が除去された活性を有する培養対象の特定種類の単一種間葉系幹細胞30から分泌された所定の代謝物質を含んでいる。担当者は、培養生成液24をピペットから生成液収容容器20に注入した後、その生成液収容容器20を冷蔵庫14または冷凍庫14に収納する。培養生成液24は、生成液収容容器20に収容された状態で冷蔵庫14または冷凍庫14において所定期間、所定温度(3〜5℃または冷凍保存)で保存される。