一例として示す培養生成液製造システム10の概略構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる培養生成液の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、第1定着手段に含まれる骨髄液分離手段の一例を示す説明図であり、図3は、図2から続く骨髄液分離手段の説明図である。図4は、図3から続く骨髄液分離手段の説明図である。
培養生成液製造システム10は、骨髄液に含まれる複数種類の間葉系幹細胞の中から特定種類の単一種の間葉系幹細胞(単一種幹細胞)を培養しつつ、単一種の間葉系幹細胞から分泌された所定の代謝物質を含む培養生成液を製造する。培養生成液は、複数のドナー(人)から採取した骨髄液(原料骨髄液)を利用し、培養生成液製造システム10によって第1定着手段、第1採取手段、第2定着手段、第1抽出手段を実施することから作られる。さらに、培養生成液製造システム10によって第2採取手段、第3定着手段、第2抽出手段を実施することから作られる。
第1定着手段には、骨髄液分離手段、骨髄液抽出手段、幹細胞第1観察手段が含まれる。第1採取手段には、幹細胞第2観察手段が含まれる。第2定着手段には、幹細胞分離手段、幹細胞第2抽出手段、幹細胞第3観察手段が含まれる。第1抽出手段には、幹細胞第4観察手段が含まれる。第3定着手段には、幹細胞第5観察手段が含まれ、第2抽出手段には、幹細胞第6観察手段が含まれる。
培養生成液製造システム10は、コンピュータ11とバーコードリーダ12と電子顕微鏡13とから形成されている。コンピュータ11は、中央処理装置(CPUや仮想CPU)と記憶装置(メモリや仮想メモリ)と大容量記憶領域(ハードディスクや仮想ハードディスク等)とを備え、物理的なOS(オペレーティングシステム)や仮想OS(仮想オペレーティングシステム)によって動作する。コンピュータ11には、キーボード14やマウス15等の入力装置、ディスプレイ16やプリンタ(図示せず)等の出力装置がインターフェイス(無線または有線)を介して接続されている。
培養生成液製造システム10では、ドナーデータ(ドナー特定情報)がQRコード(登録商標)を利用して管理される。ドナーデータには、ドナーの氏名、住所、電話番号、生年月日、性別、血液型、身長、体重、メールアドレス等がある。システム10では、二次元コードとしてQRコードを使用しているが、QRコードの他に、マトリックス式のSPコード、ベリコード(VeriCode)、マキシコード(MaxiCode)、CPコード、DataMatrix、Code1、AztecCode、インタクタコード、カードeを使用することができる。なお、システム10で使用する二次元コードには、今後開発されるすべてのそれが含まれる。
骨髄液分離手段では、ドナーから採取した骨髄液18を層状に分離させる。骨髄液採取では、それらドナーの胸骨または腸骨(骨盤)から2〜3cc(2〜3ml)の骨髄液18が採取される。骨髄液18は、ドナーに局所麻酔をかけた後、骨髄を穿刺して骨髄液(骨髄血)を吸引する「骨髄穿刺」(マルク)によって採取される。医師や看護師、研究者等の担当者は、骨髄液18の採取と同時に、コンピュータ11においてシステム10を起動し、キーボード14やマウス15等の入力装置を利用してドナーデータをコンピュータ11に入力する。
コンピュータ11は、ドナーデータが入力される度毎(ドナーから骨髄液18を採取する度毎)に各ドナーを特定するユニークなドナー識別子を生成し、ドナーデータをドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(ドナーデータ記憶手段)。コンピュータ11は、入力されたドナーデータを二次元コードライター機能によってQRコード(二次元コード)に変換し(二次元コード(QRコード)変換手段)、QRコードが印字された第1コード用紙17を出力するとともに(二次元コード(QRコード)出力手段)、そのQRコードを各ドナーを特定するドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(二次元コード(QRコード)記憶手段)。なお、2番目のドナーデータが入力された場合、QRコードが印字された第2コード用紙を出力し、3番目のドナーデータが入力された場合、QRコードが印字された第3コード用紙を出力するように、異なるドナーに応じて第1〜第nコード用紙が出力される。
なお、NO1が印字された第1コード用紙17に印字されたQRコードには、骨髄液分離手段、骨髄液抽出手段、幹細胞第1観察手段、第1定着手段、幹細胞第2観察手段、第1採取手段、幹細胞第1採取手段、幹細胞分離手段、幹細胞第2抽出手段、幹細胞第3観察手段、第2定着手段、幹細胞第4観察手段、第1抽出手段(培養生成液第1抽出手段)、第2採取手段、幹細胞第5観察手段、第3定着手段、幹細胞第6観察手段、第2抽出手段(培養生成液第2抽出手段)を示す番号1が格納されている。コンピュータ11は、骨髄液分離手段から第1抽出手段の各手段を実施する度毎に、記憶領域に格納したドナーデータとバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較する。
ドナーから採取された2〜3ccの骨髄液18は、図2に示すように、上下方向へ延びるガラス試験管19(分離容器)内に注入(収容)される。なお、2〜3ccの骨髄液18には、0.5〜1ml(約5×107(cells/ml))の複数種類の間葉系幹細胞が含まれる。骨髄液18を注入するガラス試験管19の外周面には、第1コード用紙17が貼付されている。骨髄液18を注入したガラス試験管19は、図3に示すように、試験管立て20にセットされ、試験管立て20とともに恒温槽21内に収容される。
医師や看護師、研究者等の担当者は、ガラス試験管19の外周面にQRコードが印字された第1コード用紙17を貼付した後、ガラス試験管19のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。バーコードリーダ12は、インターフェイス(有線または無線)を介してコンピュータ11に接続されている。バーコードリーダ12は、読み取ったQRコードをコンピュータ11に送信する。
コンピュータ11は、バーコードリーダ12から送信されたQRコードが示す番号1およびドナーデータを記憶領域から抽出してキャッシュメモリに読み出すとともに、第1表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第1表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、骨髄液分離ボタン、骨髄液抽出ボタン、幹細胞第1観察ボタン、幹細胞第2観察ボタン、幹細胞第1採取ボタン、ログアウトボタンが表示される。ログアウトボタンをクリックすると、コンピュータ11においてシステム10が停止する。
担当者は、ディスプレイ16に表示された骨髄液分離ボタンをクリックした後、注射器からガラス試験管19に骨髄液18を注入し、骨髄液18を注入したガラス試験管19を試験管立て20に挿入(セット)する。担当者は、図3に示すように、試験管立て20を恒温槽21内に収容し、骨髄液18を注入したガラス試験管19を恒温槽21において所定時間(約2時間)静的に放置(動かすことなく静かに放置)する。恒温槽21内の温度は、体温と略同一の約36〜37℃に保持されている。コンピュータ11は、第1コード用紙17に印字されたQRコードが示す番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、骨髄液分離実施中メッセージ、骨髄液分離終了ボタンをディスプレイ16に表示する。
ガラス試験管19を恒温槽21に所定時間(約2時間)静的に放置することで、図4に示すように、試験管20に注入された骨髄液18が試験管20内において上下方向へ何層かの層状に分離する(骨髄液分離手段)。幹細胞の培養には通常150〜200cc(150〜200ml)の骨髄液が必要とされているが、培養生成液製造システム10は、ドナーから採取された2〜3ccの少量の骨髄液18から単一種幹細胞が作られるから、ドナーから2〜3ccの少量の骨髄液18を採取すればよく、骨髄液18の採取時にドナーにかかる負担を最小限にすることができる。
骨髄液18を層状に分離させた骨髄液分離手段の後、骨髄液抽出手段が行われる。骨髄液抽出手段では、層状に分離した骨髄液18から中間層骨髄液22を抽出する。担当者は、骨髄液18が層状に分離したことを確認した後、ディスプレイ16に表示された骨髄液分離終了ボタンをクリックする。骨髄液分離終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第2表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第2表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出ボタン、幹細胞第1観察ボタン、幹細胞第2観察ボタン、幹細胞第1採取ボタンが表示される。
担当者は、第2表示画面の骨髄液抽出ボタンをクリックし、ガラス試験管19のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出実施中メッセージ、骨髄液抽出終了ボタンをディスプレイに表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、恒温槽21内から試験管立て20を取り出し、試験管立て20からガラス試験管19を引き抜き、層状に分離した骨髄液18の特定の層に存在する中間層骨髄液22を抽出する(骨髄液抽出手段)。担当者は、注射器(図示せず)を利用して層状に分離した骨髄液18のうちの中間層に位置する2〜4mmの層厚みの中間層骨髄液22を抽出(吸引)する。または、ピペット(図示せず)を利用して層状に分離した骨髄液18のうちの中間層に位置する2〜4mmの層厚みの中間層骨髄液22を抽出(吸引)する。
培養生成液製造システム10では、多種雑多な間葉系幹細胞を含む骨髄液18を上下方向へ層状に分離させた後、注射器またはピペットを利用することで、骨髄液18から特定の中間層骨髄液22を確実に抽出することができ、骨髄液18に含まれる不要な間葉系幹細胞を除去することができる。
図5は、第1採取手段に含まれる幹細胞第1観察手段の一例を示す説明図であり、図6は、第1扁平培養容器の側面図である。図7は、第1間葉系幹細胞26の平面形状の一例を示す部分拡大図であり、図8は、第1間葉系幹細胞26の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図7,8は、電子顕微鏡13によって撮影された第1間葉系幹細胞26の平面形状の拡大画像を示す。
骨髄液18から中間層に位置する特定の中間層骨髄液22を抽出した骨髄液抽出手段の後、幹細胞第1観察手段が行われる。幹細胞第1観察手段では、中間層骨髄液22および培養液23を第1扁平培養容器24(第1培養容器)に注入(収容)し、培養容器24内を体温と略同一の温度(約36〜37℃)に保持しつつ、12〜24時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)する。
12〜24時間の放置時間において約1〜2時間間隔で培養容器24内の中間層骨髄液22に含まれる第1間葉系幹細胞26(第1幹細胞)の初期平面形状からの変形を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞26が培養容器24の底面27に定着したか否かを判断する。中間層骨髄液22および培養液23を注入する培養容器24の底面27(底壁外面)には、ドナーを特定するQRコードを印字した第1コード用紙17が貼付されている。
医師や看護師、研究者等の担当者は、骨髄液18から特定の中間層骨髄液22を抽出した後、ディスプレイ16に表示された骨髄液抽出終了ボタンをクリックする。骨髄液抽出終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第3表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第3表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出終了メッセージ、幹細胞第1観察ボタン、幹細胞第2観察ボタン、幹細胞第1採取ボタンが表示される。
担当者は、QRコードが印字された第1コード用紙17を第1扁平培養容器24の底面27(底壁外面)に貼付する。次に、第3表示画面の幹細胞第1観察ボタンをクリックし、培養容器24のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出終了メッセージ、幹細胞第1観察実施中メッセージ、幹細胞第1観察終了ボタンをディスプレイに表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、注射器またはピペットに吸引された中間層骨髄液22を培養容器24に注入(収容)するとともに、注射器またはピペットを利用して培養液23を培養容器24に注入(収容)する。第1扁平培養容器24(第1培養容器)は、透明なガラスまたは透明なプラスチックから作られ、小容量かつ所定面積の底面27を有する平面形状が略正四角形の扁平な容器である。第1扁平培養容器24は、頂部40および底部38と、頂部40に形成された注入口41とを有する。注入口41は、蓋42によって水密に閉塞されている。第1扁平培養容器24として小容量かつ所定面積の底面27を有する平面形状が円形や楕円形の扁平な容器を使用することもできる。幹細胞第1観察手段で使用される第1扁平培養容器24は、その容量が約20〜30cc(好ましくは、25cc)であり、その底面面積が約25〜36mm2である。培養容器24は、その一辺の長さが5〜6mmである。
培養液23には、ペニシリン(約100U/ml)、アムホテリシン(約100ng/ml)、ストレプトマイシン(約100mkg/ml)、L−グルタミン(約2〜4ml)、20%ウシ胎児血清を添加したミネラル塩溶液およびアミノ酸が含まれる。培養容器24に注入された中間層骨髄液22に含まれる第1間葉系幹細胞26は、時間の経過とともに培養容器24の底面27に定着しつつ、培養液23によって培養され、培養容器24の底面27において次第に増殖(分化)してコロニーを形成する。
なお、培養液には、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)、Grasgow Minimum Essential Medium(GMEM)、RPMI640等を使用することもできる。培養液には、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、セレニウム、2−メルカプトエタノール、L―アラニル−L−グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラチン酸、グリシン、L−プロリン、L−セリン等を添加することもできる。
担当者は、中間層骨髄液22および培養液23を第1扁平培養容器24に注入した後、培養容器24を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。なお、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第1扁平培養容器24の底部38との間にスペーサー39を介在させ、培養容器24の底部38をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器24の底部38が上となり培養容器24の頂部40(注入口41)が下となるように、培養容器24を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第1扁平培養容器24の頂部40との間にスペーサー39を介在させ、培養容器24の頂部40をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器24の頂部40が上となり培養容器24の底部38が下となるように、培養容器24を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ36の上面37に対する第1扁平培養容器24の傾斜角度α1は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造システム10は、試料ホルダ36の上面37に対して第1扁平培養容器24を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器24内において中間骨髄液22および培養液23が培養容器24の頂部40の側(または底部38の側)に偏り、培養容器24の頂部49の側(または底部38の側)において中間骨髄液22と培養液23との水圧が大きくなって第1間葉系幹細胞26が培養容器24の底部38の側に集中し、それによって第1間葉系幹細胞26どうしの活性が高まり、培養容器24の底面27において第1間葉系幹細胞26を容易かつ迅速に定着させることができる。
電子顕微鏡13は、インターフェイス(有線または無線)を介してコンピュータ11に接続されている。電子顕微鏡13は、撮像素子によって被写体の拡大画像を撮影する画像撮影機能を有するとともに、その拡大画像をコンピュータ11に送信する画像送信機能を有する。電子顕微鏡13は、培養容器24に注入された中間層骨髄液22に含まれる第1間葉系幹細胞26の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞26の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。電子顕微鏡13における画像撮影間隔や画像送信間隔は、キーボード14やマウス15等の入力装置によって1〜2時間の間で自由に設定することができる。
コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された第1間葉系幹細胞26の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(幹細胞画像第1記憶手段)。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞28の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ16に表示する。担当者は、ディスプレイ16に表示された幹細胞26の平面形状の拡大画像を12〜24時間の間において約1〜2時間間隔で確認(視認)し、中間層骨髄液22に含まれる幹細胞26の平面形状の変化を観察する(幹細胞第1観察手段)。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から第1間葉系幹細胞26の平面形状の変化を12〜24時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察してもよい。
培養生成液製造システム10では、中間層骨髄液に含まれる第1間葉系幹細胞26培養しつつ第1間葉系幹細胞26を第1扁平培養容器24(第1培養容器)の底面27に定着させる(第1定着手段)。第1間葉系幹細胞26の初期平面形状は略円形であり、幹細胞26の平面形状が略円形の場合、幹細胞26が培養容器24の底面27(底壁内面)に定着しておらず、幹細胞26が増殖(分化)を開始していない。第1間葉系幹細胞26の変形後の平面形状は定着前の略円形を核として幹細胞26が一方向(所定方向)へ不定形に伸張(拡張)した扁平形状であり、幹細胞26が培養容器24の底面27(底壁内面)に定着し、幹細胞26が増殖(分化)を開始している。
担当者は、幹細胞第1観察手段における観察の結果、図7に示すように、ディスプレイ16に表示された第1間葉系幹細胞26の平面形状の拡大画像が略円形のまま観察される場合、幹細胞26が培養容器24の底面27(底壁内面)に定着していないと判断し、幹細胞26の平面形状の変化を約1〜2時間間隔で継続して観察する。担当者は、幹細胞第1観察手段における観察の結果、図8に示すように、ディスプレイ16に表示された第1間葉系幹細胞26の平面形状が略円形から略円形を核として不定形の扁平形状に変形した場合、幹細胞26が培養容器24の底面27に定着したと判断する。
第1間葉系幹細胞26の定着時に容量が30ccを超過するとともに底面面積が36mm2を超過する大きな培養容器を使用すると、幹細胞26が容器の底面に定着し難くなるとともに幹細胞26の増殖が遅くなるが、培養生成液製造システム10は、前記容量かつ前記底面面積の第1扁平培養容器24を使用することで、幹細胞26を培養容器24の底面27に容易に定着させることができ、培養容器24において幹細胞26を素早く増殖させることができる。
培養生成液製造システム10は、培養容器24を体温と略同一の温度で12〜24時間静的放置しつつ、12〜24時間の間において約1〜2時間間隔で培養容器24内の第1間葉系幹細胞26の初期平面形状からの変形を観察するから、幹細胞26の変形を見逃すことはなく、幹細胞26の培養容器24の底面27に対する定着を正確に確認することができる。
図9は、第1間葉系幹細胞26の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図9は、電子顕微鏡13によって撮影された第1間葉系幹細胞26の平面形状の拡大画像を示す。幹細胞第1観察手段における観察の結果、第1間葉系幹細胞26(第1幹細胞)が略円形(初期平面形状)から略円形を核として不定形の扁平形状に変形し、幹細胞26の第1扁平培養容器24(第1培養容器)の底面27への定着を確認した第1定着手段の後、幹細胞第2観察手段が行われる。
幹細胞第2観察手段では、培養容器24内に注入されている培養液23を培養容器24から排出(廃棄)し、培養容器24内にあらたな培養液23を注入(収容)する。次に、培養容器24を体温と略同一の温度(約36〜37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)し、培養容器24の底面面積に対する第1間葉系幹細胞26の総平面面積が第1目標割合に達するまで幹細胞26を培養する。
36〜48時間の放置時間において約1〜2時間間隔で培養容器24の底面27に定着した第1間葉系幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞26の総平面面積が培養容器24の底面面積に対して第1目標割合に達したか否かを判断する。培養容器24の底面面積に対する第1間葉系幹細胞26の総平面面積の第1目標割合は、70〜80%(70〜80%コンフルエント)である。
医師や看護師、研究者等の担当者は、中間層骨髄液22に含まれる第1間葉系幹細胞26の培養容器24の底面27に対する定着を確認した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第1観察終了ボタンをクリックする。幹細胞第1観察終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第4表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第4表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出終了メッセージ、幹細胞第1観察終了メッセージ、幹細胞第2観察ボタン、幹細胞第1採取ボタンが表示される。
担当者は、第4表示画面の幹細胞第2観察ボタンをクリックし、培養容器24を電子顕微鏡16の試料ホルダから取り外すとともに、培養容器24のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出終了メッセージ、幹細胞第1観察終了メッセージ、幹細胞第2観察実施中メッセージ、幹細胞第2観察終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、幹細胞第1観察手段において培養容器24に注入した培養液23を培養容器24から排出(廃棄)し、あらたな培養液23を培養容器24に注入(収容)する。あらたな培養液23は、幹細胞第1観察手段において注入されたそれと同一である。担当者は、あらたな培養液23を培養容器24に注入した後、培養容器24を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。
なお、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第1扁平培養容器24の底部38との間にスペーサー39を介在させ、培養容器24の底部38をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器24の底部38が上となり培養容器24の頂部40(注入口41)が下となるように、培養容器24を所定角度に傾斜させた状態に保持する(図6参照)。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第1扁平培養容器24の頂部40との間にスペーサー39を介在させ、培養容器24の頂部40をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器24の頂部40が上となり培養容器24の底部38が下となるように、培養容器24を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ36の上面37に対する第1扁平培養容器24の傾斜角度α1は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造システム10は、第1間葉系幹細胞26の定着を確認した後、培養容器24の培養液23を排出しつつあらたな培養液23を培養容器24に注入することで、幹細胞26の増殖を確実に促進することができる。培養生成液製造システム10は、試料ホルダ36の上面37に対して第1扁平培養容器24を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器24内において第1間葉系幹細胞26および培養液23が培養容器24の頂部40の側(または底部38の側)に偏り、培養容器24の頂部40の側(または底部38の側)において第1間葉系幹細胞26と培養液23との水圧が大きくなって第1間葉系幹細胞26が培養容器24の底部38の側に集中し、それによって第1間葉系幹細胞26どうしの活性が高まり、培養容器24の底面27において第1間葉系幹細胞26を容易かつ迅速に増殖(分化)させることができる。
電子顕微鏡13は、培養容器24内の第1間葉系幹細胞26の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞26の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞26の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(幹細胞画像第2記憶手段)。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞26の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ16に表示する。
担当者は、ディスプレイ16に表示された第1間葉系幹細胞26の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で確認(視認)し、培養容器24の底面27に定着した幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積を観察しつつ、幹細胞26の総平面面積が培養容器24の底面面積に対して第1目標割合(70〜80%コンフルエント)に達したか否かを判断する(幹細胞第2観察手段)。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から第1間葉系幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察し、幹細胞26の総平面面積が培養容器24の底面面積に対して第1目標割合(70〜80%コンフルエント)に達したか否かを判断してもよい。
担当者は、幹細胞第2観察手段における観察の結果、図7に示すように、ディスプレイ16に表示された第1間葉系幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積が第1目標割合(70〜80%コンフルエント)に達していない場合、幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積を約1〜2時間間隔で継続して観察する。なお、ディスプレイ16に表示された拡大画像の全面積に対して第1間葉系幹細胞26の総平面面積が第1目標割合に達した場合に、幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積が第1目標割合に達したものとする。
幹細胞第2観察手段における観察の結果、第1間葉系幹細胞26が培養容器24の底面27(底壁内面)において増殖して幹細胞26がコロニーを形成し、幹細胞26の平面形状が拡張することで、図8に示すように、ディスプレイ16に表示された幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積が第1目標割合(70〜80%コンフルエント)に達した場合、培養容器24から幹細胞26を抽出する第1採取手段(幹細胞第1採取手段)が行われる。第1採取手段では、第1間葉系幹細胞26の総平面面積が第1目標割合に達した時点で、培養容器24内において増殖(分化)した第1間葉系幹細胞26を培養容器24から採取する。
医師や看護師、研究者等の担当者は、第1間葉系幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積が第1目標割合に達したことを確認した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第2観察終了ボタンをクリックする。幹細胞第2観察終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第5表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第5表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出終了メッセージ、幹細胞第1観察終了メッセージ、幹細胞第2観察終了メッセージ、幹細胞第1採取ボタンが表示される。
担当者は、第5表示画面の幹細胞第1採取ボタンをクリックし、培養容器24のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、骨髄液分離終了メッセージ、骨髄液抽出終了メッセージ、幹細胞第1観察終了メッセージ、幹細胞第2観察終了メッセージ、幹細胞第1採取実施中メッセージ、幹細胞第1採取終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、培養容器24に注入されている幹細胞第2観察時の培養液23を注射器またはピペットを利用して培養容器24から排出(廃棄)し、培養容器24内をPBSで洗浄した後、注射器またはピペットに吸引されたトリプシン液を培養容器24内に注入する。培養容器24にトリプシン液を注入すると、培養容器24の底面27に定着した第1間葉系幹細胞26がトリプシン液によって底面27から剥離し、トリプシン液の水面に浮上する。担当者は、ピペットを利用して幹細胞26を採取(吸引)し、幹細胞26をピペット内に収容する(第1採取手段)。
培養生成液製造システム10は、約1〜2時間間隔で総平面面積を観察することで、第1間葉系幹細胞26の培養容器24の底面面積に対する総平面面積を正確に確認することができ、培養容器24の底面面積に対して幹細胞26の総平面面積が第1目標割合に達したことを確実に把握することができる。
図10は、第2定着手段に含まれる幹細胞分離手段の一例を示す説明図である。培養容器24から第1間葉系幹細胞26を採取した幹細胞第1採取手段の後、幹細胞分離手段が行われる。幹細胞分離手段では、第1採取手段によって採取された第1間葉系幹細胞26を遠心分離器28によって層状に遠心分離する。医師や看護師、研究者等の担当者は、第1間葉系幹細胞26を培養容器24からピペットに吸引した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第1採取終了ボタンをクリックする。
幹細胞第1採取終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第6表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第6表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞分離ボタン、幹細胞第2抽出ボタン、幹細胞第3観察ボタン、幹細胞第4観察ボタン、第1抽出ボタンが表示される。担当者は、QRコードが印字された第1コード用紙17を第1間葉系幹細胞26を注入するガラス試験管29の外周面に貼付する。
次に、第6表示画面の幹細胞分離ボタンをクリックし、ガラス試験管29のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞分離実施中メッセージ、幹細胞分離終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、ピペット内の第1間葉系幹細胞26をそのガラス試験管29に注入(収容)し、ガラス試験管29を遠心分離器28に設置(セット)する。担当者は、幹細胞26を遠心分離器28によって所定時間遠心分離した後、ガラス試験管29を遠心分離器28から取り出す。ガラス試験管29内の第1間葉系幹細胞26は、遠心分離器28によって上下方向へ何層かの層状に分離する(幹細胞分離手段)。
図11は、第2定着手段に含まれる幹細胞第2抽出手段の一例を示す説明図である。第1間葉系幹細胞26を層状に分離させた幹細胞分離手段の後、幹細胞第2抽出手段が行われる。幹細胞第2抽出手段では、層状に分離した第1間葉系幹細胞26から最上層に位置する第2間葉系幹細胞30を抽出する。医師や看護師、研究者等の担当者は、遠心分離器28によって第1間葉系幹細胞26を上下方向へ層状に分離させた後、ガラス試験管29を遠心分離器28から取り出し、ディスプレイ16に表示された幹細胞分離終了ボタンをクリックする。
幹細胞分離終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第7表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第7表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出ボタン、幹細胞第3観察ボタン、幹細胞第4観察ボタン、第1抽出ボタンが表示される。
担当者は、第7表示画面の幹細胞第2抽出ボタンをクリックし、ガラス試験管29のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出実施中メッセージ、幹細胞第2抽出終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、ガラス試験管29において層状に分離した第1間葉系幹細胞26のうちの最上層に存在する第2間葉系幹細胞30を抽出する(幹細胞第2抽出手段)。担当者は、注射器を利用して層状に分離した第1間葉系幹細胞26のうちの最上層に位置する第2間葉系幹細胞30を抽出(吸引)する。または、ピペットを利用して層状に分離した第1間葉系幹細胞26のうちの最上層に位置する第2間葉系幹細胞30を抽出(吸引)する。
培養生成液製造システム10は、不要な幹細胞を含む第1間葉系幹細胞26を遠心分離器28で遠心分離して上下方向へ層状に分離させ、層状に遠心分離した幹細胞26のうちの最上層に位置する第2間葉系幹細胞30を抽出することで、幹細胞26から特定の第2間葉系幹細胞30を確実に抽出することができ、幹細胞26から不要な間葉系幹細胞を除去することができる。
培養生成液製造システム10は、第1扁平培養容器24(第1培養容器)の底面面積に対する第1間葉系幹細胞26の総平面面積が80%を超過して幹細胞26が増殖すると、幹細胞26の活性が次第に失われるが、培養容器24の底面面積に対して幹細胞26の総平面面積が70〜80%に増殖したときに、幹細胞26を培養容器24から抽出するから、幹細胞26の活性を保持することができ、活性を保持した状態で幹細胞26を増殖させることができるとともに、幹細胞26から活性を有する第2間葉系幹細胞30を抽出することができる。
図12は、第2定着手段に含まれる幹細胞第3観察手段の一例を示す説明図であり、図13は、第2扁平培養容器25の側面図である。図14は、第2間葉系幹細胞30の平面形状の一例を示す部分拡大図であり、図15は、第2間葉系幹細胞30の平面形状の他の一例を示す部分拡大図である。図14,15は、電子顕微鏡13によって撮影された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を示す。
第1間葉系幹細胞26から最上層に位置する特定の第2間葉系幹細胞30を抽出した幹細胞第2抽出手段の後、幹細胞第3観察手段が行われる。幹細胞第3観察手段では、第2間葉系幹細胞30および培養液23を第2扁平培養容器25(第2培養容器)に注入(収容)し、培養容器25を体温と略同一の温度(約36〜37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)する。
36〜48時間の放置時間において約1〜2時間間隔で培養容器25内の第2間葉系幹細胞30(第2幹細胞)の初期平面形状からの変形を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞30が培養容器25の底面27に定着したか否かを判断する。第2間葉系幹細胞30および培養液23を注入する培養容器25の底面27(底壁外面)には、ドナーを特定するQRコードを印字した第1コード用紙17が貼付されている。
医師や看護師、研究者等の担当者は、第1間葉系幹細胞26から特定の第2間葉系幹細胞30を抽出した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第2抽出終了ボタンをクリックする。幹細胞第2抽出終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第8表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第8表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出終了メッセージ、幹細胞第3観察ボタン、幹細胞第4観察ボタン、第1抽出ボタンが表示される。
担当者は、QRコードが印字された第1コード用紙17を第2扁平培養容器25の底面27(底壁外面)に貼付する。次に、第8表示画面の幹細胞第3観察ボタンをクリックし、培養容器25のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出終了メッセージ、幹細胞第3観察実施中メッセージ、幹細胞第3観察終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、注射器またはピペットに吸引された第2間葉系幹細胞30を培養容器25に注入(収容)するとともに、培養液23を培養容器25に注入(収容)する。第2扁平培養容器25(第2培養容器)は、透明なガラスまたは透明なプラスチックから作られ、所定容量かつ所定面積の底面27を有する平面形状が略四角形の扁平な容器であり、底面27の面積が第1扁平培養容器24(第1培養容器)の約2倍である。第2扁平培養容器25は、頂部43および底部44と、頂部43に形成された注入口45とを有する。注入口45は、蓋46によって水密に閉塞されている。第2扁平培養容器25として所定容量かつ所定面積の底面27を有する平面形状が円形や楕円形の扁平な容器を使用することもできる。
幹細胞第3観察手段で使用される第2扁平培養容器25(第2培養容器)は、その容量が約40〜60cc(好ましくは、50cc)であり、その底面面積が約50〜72mm2である。培養容器25は、その一辺の長さが約7〜8.5mmである。培養液23は、幹細胞第1観察において注入されたそれと同一である。培養容器25に注入された第2間葉系幹細胞30は、時間の経過とともに培養容器25の底面27に定着しつつ、培養液23によって培養され、培養容器25の底面27において次第に増殖(分化)してコロニーを形成する。
担当者は、第2間葉系幹細胞30および培養液23を第2扁平培培養容器25に注入した後、培養容器25を電子顕微鏡13の試料ホルダ36に設置(セット)する。電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第2扁平培養容器25の底部44との間にスペーサー39を介在させ、培養容器25の底部44をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器25の底部44が上となり培養容器25の頂部43(注入口45)が下となるように、培養容器25を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第2扁平培養容器25の頂部43との間にスペーサー39を介在させ、培養容器25の頂部43をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器25の頂部43が上となり培養容器25の底部44が下となるように、培養容器25を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ36の上面37に対する第2扁平培養容器25の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造システム10は、試料ホルダ36の上面37に対して第2扁平培養容器25を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器25内において第2間葉系幹細胞30および培養液23が培養容器25の頂部43の側(または底部44の側)に偏り、培養容器25の頂部43の側(または底部44の側)において第2間葉系幹細胞30と培養液23との水圧が大きくなって第2間葉系幹細胞30が培養容器25の底部44の側に集中し、それによって第2間葉系幹細胞30どうしの活性が高まり、培養容器25の底面27において第2間葉系幹細胞30を容易かつ迅速に定着させることができる。
電子顕微鏡13は、培養容器25に注入された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(幹細胞画像第3記憶手段)。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ16に表示する。担当者は、ディスプレイ16に表示された幹細胞30の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で確認(視認)し、幹細胞30の平面形状の変化を観察する。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から幹細胞30の平面形状の変化を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察してもよい。
第2間葉系幹細胞30の初期平面形状は略円形であり、幹細胞30の平面形状が略円形の場合、幹細胞30が培養容器25の底面27(底壁内面)に定着しておらず、幹細胞30が増殖(分化)を開始していない。第2間葉系幹細胞30の変形後の平面形状は定着前の略円形を核として幹細胞30が一方向へ不定形に伸張した扁平形状であり、幹細胞30が培養容器25の底面27(底壁内面)に定着し、幹細胞30が増殖(分化)を開始している。
担当者は、幹細胞第3観察手段における観察の結果、図12に示すように、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の平面形状が略円形のまま観察される場合、幹細胞30が培養容器25の底面27(底壁内面)に定着していないと判断し、幹細胞30の平面形状の変化を約1〜2時間間隔で継続して観察する。担当者は、幹細胞第3観察手段における観察の結果、図13に示すように、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の平面形状が略円形から略円形を核として不定形の扁平形状に変形した場合、幹細胞30が培養容器25の底面27に定着したと判断する(第2定着手段)。
第2間葉系幹細胞30の定着時に容量が60ccを超過するとともに底面面積が72mm2を超過する大きな培養容器を使用すると、幹細胞30が容器の底面に定着し難くなるとともに幹細胞30の増殖が遅くなるが、培養生成液製造システム10は、前記容量かつ前記底面面積の第2扁平培養容器25を使用することで、幹細胞30を培養容器25の底面27に容易に定着させることができ、培養容器25において幹細胞30を素早く増殖させることができる。
培養生成液製造システム10は、培養容器25を体温と略同一の温度で36〜48時間静的放置しつつ、36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で培養容器25内の第2間葉系幹細胞30の初期平面形状からの変形を観察するから、幹細胞30の変形を見逃すことはなく、幹細胞30の培養容器25の底面27に対する定着を正確に確認することができる。
図16は、第2間葉系幹細胞30の平面形状の他の一例を示す部分拡大図であり、図17は、抽出された培養生成液31および第2間葉系幹細胞30の保存の一例を示す図である。図16は、電子顕微鏡13によって撮影された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を示す。幹細胞第3観察手段における観察の結果、第2間葉系幹細胞30(第2幹細胞)が略円形(初期平面形状)から略円形を核として不定形の扁平形状に変形し、幹細胞30の第2扁平培養容器25(第2培養容器)の底面27への定着を確認した幹細胞第3観察手段の後、幹細胞第4観察手段が行われる。
幹細胞第4観察手段では、培養容器25内に注入されている培養液23を培養容器25から排出(廃棄)し、培養容器25にあらたな培養液23を注入(収容)する。次に、培養容器25を体温と略同一の温度(約36〜37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)する。36〜48時間の放置時間において約1〜2時間間隔で培養容器25の底面27に定着した第2間葉系幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞30の総平面面積が培養容器25の底面面積に対して第2目標割合に達したか否かを判断する。培養容器25の底面面積に対する第2間葉系幹細胞30の総平面面積の第2目標割合は、88〜92%(88〜92%コンフルエント)である。
医師や看護師、研究者等の担当者は、第2間葉系幹細胞30の培養容器25の底面27に対する定着を確認した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第3観察終了ボタンをクリックする。幹細胞第3観察終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第8表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第8表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出終了メッセージ、幹細胞第3観察終了メッセージ、幹細胞第4観察ボタン、第1抽出ボタンが表示される。
担当者は、第8表示画面の幹細胞第4観察ボタンをクリックし、培養容器25を電子顕微鏡13の試料ホルダから取り外すとともに、培養容器25のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダによって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出終了メッセージ、幹細胞第3観察終了メッセージ、幹細胞第4観察実施中メッセージ、幹細胞第4観察終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、幹細胞第4観察手段において培養容器25内に注入した培養液23を培養容器25から排出(廃棄)し、あらたな培養液23を培養容器25に注入(収容)する。あらたな培養液23は、幹細胞第1観察手段において注入されたそれと同一である。担当者は、あらたな培養液23を培養容器25に注入した後、培養容器25を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第2扁平培養容器25の底部44との間にスペーサー39を介在させ、培養容器25の底部44をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器25の底部44が上となり培養容器25の頂部43(注入口45)が下となるように、培養容器25を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第2扁平培養容器25の頂部43との間にスペーサー39を介在させ、培養容器25の頂部43をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器25の頂部43が上となり培養容器25の底部44が下となるように、培養容器25を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ36の上面37に対する第2扁平培養容器25の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造システム10は、第2間葉系幹細胞30の定着を確認した後、培養容器25内の培養液23を排出しつつあらたな培養液23を培養容器25に注入することで、第2間葉系幹細胞30の増殖を確実に促進することができる。培養生成液製造システム10は、試料ホルダ36の上面37に対して第2扁平培養容器25を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器25内において第2間葉系幹細胞30および培養液23が培養容器25の頂部43の側(または底部44の側)に偏り、培養容器25の頂部43の側(または底部44の側)において第2間葉系幹細胞30と培養液23との水圧が大きくなって第2間葉系幹細胞30が培養容器25の底部44の側に集中し、それによって第2間葉系幹細胞30どうしの活性が高まり、培養容器25の底面27において第2間葉系幹細胞30を容易かつ迅速に増殖(分化)させることができる。
電子顕微鏡13は、培養容器25内の第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(幹細胞画像第4記憶手段)。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ16に表示する。
担当者は、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で確認(視認)し、培養容器25の底面27に定着した幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積を観察しつつ、幹細胞30の総平面面積が培養容器25の底面面積に対して第2目標割合(82〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断する(幹細胞第4観察手段)。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から第2間葉系幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察し、幹細胞30の総平面面積が培養容器25の底面面積に対して第2目標割合(88〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断してもよい。
担当者は、幹細胞第4観察手段における観察の結果、図13に示すように、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積が第2目標割合(88〜92%コンフルエント)に達していない場合、幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積を約1〜2時間間隔で継続して観察する。なお、ディスプレイ16に表示された拡大画像の全面積に対して第2間葉系幹細胞30の総平面面積が第2目標割合に達した場合に、幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積が第2目標割合に達したものとする。
幹細胞第4観察手段における観察の結果、第2間葉系幹細胞30が第2扁平培養容器25(第2培養容器)の底面27(底壁内面)において増殖して幹細胞30がコロニーを形成し、幹細胞30の平面形状が拡張することで、図14に示すように、ディスプレイ16に表示された幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積が第2目標割合(88〜92%コンフルエント)に達した場合、培養容器25において、単一種の第2間葉系幹細胞30が増殖しているとともに、活性を有する単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質を含む培養生成液31が生成されている。
培養生成液製造システム10は、第2扁平培養容器25(第2培養容器)の底面面積に対する第2間葉系幹細胞30の総平面面積が92%を超過して幹細胞30が増殖すると、幹細胞30の活性が次第に失われるが、培養容器25の底面面積に対して幹細胞30の総平面面積が88〜92%に増殖したときに、幹細胞30を培養容器25から抽出するから、幹細胞30の活性を保持することができ、活性を保持した状態で幹細胞30を増殖させることができる。
幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積が第2目標割合に達した場合、培養容器25から培養生成液31を抽出する第1抽出手段が行われる。第1抽出手段では、第2間葉系幹細胞30から分泌された所定の代謝物質を含む培養生成液31を培養容器25から抽出する。培養生成液製造システム10は、約1〜2時間間隔で総平面面積を観察することで、第2間葉系幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積を正確に確認することができ、培養容器25の底面面積に対して幹細胞30の総平面面積が第2目標割合に達したことを確実に把握することができる。
医師や看護師、研究者等の担当者は、第2間葉系幹細胞30の培養容器25の底面面積に対する総平面面積が第2目標割合に達したことを確認した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第4観察終了ボタンをクリックする。幹細胞第4観察終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第9表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第9表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出終了メッセージ、幹細胞第3観察終了メッセージ、幹細胞第4観察終了メッセージ、第1抽出ボタンが表示される。
担当者は、第9表示画面の第1抽出ボタンをクリックし、培養容器25のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出終了メッセージ、幹細胞第3観察終了メッセージ、幹細胞第4観察終了メッセージ、第1抽出終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、幹細胞第4観察手段において培養容器25内に注入した培養液23から変化した培養生成液31を注射器やピペットを利用して培養容器25から吸引し(第1抽出手段)、培養生成液31を保存容器32に注入(収容)する。保存容器32に注入された培養生成液31は、不要な間葉系幹細胞が除去された活性を有する特定種類の単一種の間葉系幹細胞(単一種幹細胞)から分泌された所定の代謝物質を含む培養生成液31である。
担当者は、培養生成液31を保存容器32に注入した後、QRコードが印字された第1コード用紙17を保存容器32の外周面に貼付する。担当者は、ディスプレイ16に表示された第9表示画面の第1抽出終了ボタンをクリックし、保存容器32のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせた後、培養生成液31を注入した保存容器32を冷蔵庫34に収納する。培養生成液31は、冷蔵庫34において約3〜4℃で保存される。
QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞分離終了メッセージ、幹細胞第2抽出終了メッセージ、幹細胞第3観察終了メッセージ、幹細胞第4観察終了メッセージ、培養生成液抽出終了メッセージ、培養生成液製造終了ボタン、培養生成液製造継続ボタンをディスプレイ16に表示する。培養生成液の製造を終了する場合、培養生成液製造終了ボタンをクリックする。培養生成液製造終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11においてシステム10が停止する。
培養生成液製造終了ボタンをクリックした場合、培養容器25から幹細胞30を採取する幹細胞採取手段が行われる。幹細胞採取手段では、培養容器25内において増殖(分化)した第2間葉系幹細胞30を培養容器25から採取する。培養容器25内をPBSで洗浄した後、トリプシン液を培養容器25内に注入する。培養容器25にトリプシン液を注入すると、培養容器25の底面27に定着した第2間葉系幹細胞30がトリプシン液によって底面27から剥離し、トリプシン液の水面に浮上する。担当者は、注射器またはピペットを利用して第2間葉系幹細胞30を吸引し、幹細胞30を注射器またはピペットから保存容器33に注入(収容)する。
保存容器33に注入された第2間葉系幹細胞30は、不要な間葉系幹細胞が除去された活性を有する特定種類の単一種の間葉系幹細胞(単一種幹細胞)である。担当者は、第2間葉系幹細胞30(単一種の間葉系幹細胞)を保存容器33に注入した後、QRコードが印字された第1コード用紙17を保存容器33の外周面に貼付し、第2間葉系幹細胞30を注入した保存容器33を冷蔵庫34に収納する。第2間葉系幹細胞30(単一種の間葉系幹細胞)は、冷蔵庫34において約3〜4℃で保存される。
培養生成液製造システム10によって製造された培養生成液31は、層状に分離させた骨髄液のうちの中間層に位置する中間層骨髄液を抽出し、中間層骨髄液を培養液23とともに培養して第1間葉系幹細胞26(第1幹細胞)を第1培養容器24の底面27に定着させ、幹細胞26の総平面面積が培養容器24の底面面積に対して第1目標割合に達した場合、培養容器24から幹細胞26を採取し、層状に分離させた幹細胞26のうちの最上層に位置する第2間葉系幹細胞30(第2幹細胞)を抽出するとともに、幹細胞30を培養液23とともに培養して幹細胞30を第2培養容器25の底面27に定着させ、培養容器25内にあらたな培養液23を注入し、幹細胞30の総平面面積が培養容器25の底面面積に対して第2目標割合に達した場合、幹細胞30の培養過程において活性を有する単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質が含まれた状態で培養容器25から抽出することから作られているから、培養された活性を有する単一種の第2間葉系幹細胞30を利用することで、多種雑多な幹細胞から分泌された多種多様な代謝物質が含まれることはなく、単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質のみを含み、所定の疾患やスキンケア、ヘアケア、ボディケア等の所定の美容に対して唯一特定の効果を発揮することができ、所定の疾患の治療に有効に使用することができるとともに、所定の美容に有効に使用することができる。
培養生成液製造システム10によって製造された培養生成液31は、不要な幹細胞が除去されたピュア(純粋)な第2間葉系幹細胞30(第2幹細胞)を利用して作られているから、所定の疾患に対して安定した効果を発揮することができるとともに、所定の美容に対して安定した効果を発揮することができる。培養生成液31は、たとえばそれを肌に塗布することで、やけどや湿疹等の肌の疾患の治療に使用することができ、それを目に点眼することで目薬として使用することができるとともに、鼻に注入することで花粉症の治療に使用することができ、それを頭皮に塗布することで頭皮の疾患の治療に使用することができる。また、それを肌荒れや吹き出物、日焼け対策として使用することができ、美白や皺の除去等の美容に使用することができる。
図18は、第3定着手段に含まれる幹細胞第5観察手段の一例を示す説明図であり、図19は、第3扁平培養容器35の側面図である。培養生成液の製造を継続する場合、培養容器25において増殖(分化)した第2間葉系幹細胞30を培養容器25から採取する第2採取手段が行われる。医師や看護師、研究者等の担当者は、ディスプレイ16に表示された培養生成液製造継続ボタンをクリックする。培養生成液製造継続ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第10表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第10表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞第2採取ボタン、幹細胞第5観察ボタン、幹細胞第6観察ボタン、第2抽出ボタンが表示される。
担当者は、第10表示画面の幹細胞第2採取ボタンをクリックし、培養容器25のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞第2採取実施中メッセージ、幹細胞第2採取終了ボタン、幹細胞第5観察ボタン、幹細胞第6観察ボタン、第2抽出ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、培養容器25内をPBSで洗浄した後、トリプシン液を培養容器25内に注入し、トリプシン液の水面に浮上した第2間葉系幹細胞30を注射器またはピペットを利用して採取(吸引)し、幹細胞26を注射器内またはピペット内に収容する(第2採取手段)。担当者は、培養容器25から幹細胞30を採取した後、幹細胞第2採取終了ボタンをクリックする。幹細胞第2採取終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第11表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第11表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞第2採取終了メッセージ、幹細胞第5観察ボタン、幹細胞第6観察ボタン、第2抽出ボタンが表示される。
培養容器25から第2間葉系幹細胞30を採取した第2採取手段の後、幹細胞第5観察手段が行われる。幹細胞第5観察手段では、第2間葉系幹細胞30および培養液23を第3扁平培養容器35(第3培養容器)に注入(収容)し、培養容器35を体温と略同一の温度(約36〜37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)する。
36〜48時間の放置時間において約1〜2時間間隔で培養容器35内の第2間葉系幹細胞30(第2幹細胞)の初期平面形状からの変形を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞30が培養容器35の底面27に定着したか否かを判断する。第2間葉系幹細胞30および培養液23を注入する培養容器35の底面27(底壁外面)には、ドナーを特定するQRコードを印字した第1コード用紙17が貼付されている。
医師や看護師、研究者等の担当者は、培養容器25から第2間葉系幹細胞30を採取した後、QRコードが印字された第1コード用紙17を第3扁平培養容器35の底面27(底壁外面)に貼付する。次に、第11表示画面の幹細胞第5観察ボタンをクリックし、培養容器25のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞第2採取終了メッセージ、幹細胞第5観察実施中メッセージ、幹細胞第5観察終了ボタン、幹細胞第6観察ボタン、第2抽出ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、注射器またはピペットに吸引された第2間葉系幹細胞30を培養容器35に注入(収容)するとともに、培養液23を培養容器35に注入(収容)する。第3扁平培養容器35(第2培養容器)は、透明なガラスまたは透明なプラスチックから作られ、所定容量かつ所定面積の底面27を有する平面形状が略四角形の扁平な容器であり、底面27の面積が第2扁平培養容器25(第2培養容器)よりも大きい。第3扁平培養容器35は、頂部47および底部48と、頂部47に形成された注入口49とを有する。注入口49は、蓋50によって水密に閉塞されている。第3扁平培養容器35として所定容量かつ所定面積の底面27を有する平面形状が円形や楕円形の扁平な容器を使用することもできる。
幹細胞第5観察手段で使用される第3扁平培養容器35(第3培養容器)は、その容量が約70〜80cc(好ましくは、75cc)であり、その底面面積が約75〜108mm2である。第3扁平培養容器は、その一辺の長さが約8.7〜10.4mmである。培養液23は、幹細胞第1観察において注入されたそれと同一である。培養容器35に注入された第2間葉系幹細胞30は、時間の経過とともに培養容器35の底面27に定着しつつ、培養液23によって培養され、培養容器35の底面27において次第に増殖(分化)してコロニーを形成する。
担当者は、第2間葉系幹細胞30および培養液23を培養容器35に注入した後、培養容器35を電子顕微鏡13の試料ホルダに設置(セット)する。電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第3扁平培養容器35の底部48との間にスペーサー39を介在させ、培養容器35の底部48をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器25の底部48が上となり培養容器25の頂部47(注入口49)が下となるように、培養容器35を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第3扁平培養容器35の頂部48との間にスペーサー39を介在させ、培養容器35の頂部47をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器35の頂部47が上となり培養容器35の底部49が下となるように、培養容器35を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ36の上面37に対する第3扁平培養容器35の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造システム10は、試料ホルダ36の上面37に対して第3扁平培養容器35を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器35内において第2間葉系幹細胞30および培養液23が培養容器35の頂部47の側(または底部48の側)に偏り、培養容器35の頂部47の側(または底部48の側)において第2間葉系幹細胞30と培養液23との水圧が大きくなって第2間葉系幹細胞30が培養容器35の底部48の側に集中し、それによって第2間葉系幹細胞30どうしの活性が高まり、培養容器35の底面27において第2間葉系幹細胞30を容易かつ迅速に定着させることができる。
電子顕微鏡13は、培養容器35に注入された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(幹細胞画像第5記憶手段)。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ16に表示する。担当者は、ディスプレイ16に表示された幹細胞30の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で確認(視認)し、幹細胞30の平面形状の変化を観察する(幹細胞第5観察手段)。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から幹細胞30の平面形状の変化を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察してもよい。
第2間葉系幹細胞30の初期平面形状は略円形であり、幹細胞30の平面形状が略円形の場合、幹細胞30が培養容器35の底面27(底壁内面)に定着しておらず、幹細胞30が増殖(分化)を開始していない。第2間葉系幹細胞30の変形後の平面形状は定着前の略円形を核として幹細胞30が一方向へ不定形に伸張した扁平形状であり、幹細胞30が培養容器35の底面27(底壁内面)に定着し、幹細胞30が増殖(分化)を開始している。
担当者は、幹細胞第5観察手段における観察の結果、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の平面形状が略円形のまま観察される場合(図12援用)、幹細胞30が培養容器35の底面27(底壁内面)に定着していないと判断し、幹細胞30の平面形状の変化を約1〜2時間間隔で継続して観察する。担当者は、幹細胞第3観察手段における観察の結果、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の平面形状が略円形から略円形を核として不定形の扁平形状に変形した場合(図13援用)、幹細胞30が培養容器35の底面27に定着したと判断する(第3定着手段)。
第2間葉系幹細胞30の定着時に容量が80ccを超過するとともに底面面積が108mm2を超過する大きな培養容器を使用すると、幹細胞30が容器の底面に定着し難くなるとともに幹細胞30の増殖が遅くなるが、培養生成液製造システム10は、前記容量かつ前記底面面積の第3扁平培養容器35を使用することで、幹細胞30を培養容器35の底面27に容易に定着させることができ、培養容器35において幹細胞30を素早く増殖させることができる。
培養生成液製造システム10は、培養容器35を体温と略同一の温度で36〜48時間静的放置しつつ、36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で培養容器35内の第2間葉系幹細胞30の初期平面形状からの変形を観察するから、幹細胞30の変形を見逃すことはなく、幹細胞30の培養容器35の底面27に対する定着を正確に確認することができる。
幹細胞第5観察手段における観察の結果、第2間葉系幹細胞30(第2幹細胞)が略円形(初期平面形状)から略円形を核として不定形の扁平形状に変形し、幹細胞30の第3扁平培養容器35(第3培養容器)の底面27への定着を確認した第3定着手段の後、幹細胞第6観察手段が行われる。
幹細胞第6観察手段では、培養容器35内に注入されている培養液23を培養容器35から排出(廃棄)し、培養容器35にあらたな培養液23を注入(収容)する。次に、培養容器35を体温と略同一の温度(約36〜37℃)で36〜48時間静的に放置(動かすことなく静かに放置)する。36〜48時間の放置時間において約1〜2時間間隔で培養容器35の底面27に定着した第2間葉系幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積を電子顕微鏡13で観察し、幹細胞30の総平面面積が培養容器35の底面面積に対して第3目標割合に達したか否かを判断する。培養容器35の底面面積に対する第2間葉系幹細胞30の総平面面積の第3目標割合は、88〜92%(88〜92%コンフルエント)である。
医師や看護師、研究者等の担当者は、第2間葉系幹細胞30の培養容器35の底面27に対する定着を確認した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第5観察終了ボタンをクリックする。幹細胞第5観察終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第12表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第12表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞第2採取終了メッセージ、幹細胞第5観察終了メッセージ、幹細胞第6観察ボタン、第2抽出ボタンが表示される。
担当者は、第12表示画面の幹細胞第6観察ボタンをクリックし、培養容器35を電子顕微鏡13の試料ホルダから取り外すとともに、培養容器35のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダによって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞第2採取終了メッセージ、幹細胞第5観察終了メッセージ、幹細胞第6観察実施中メッセージ、幹細胞第6観察終了ボタン、第2抽出ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、幹細胞第5観察工程において培養容器35内に注入した培養液23を培養容器35から排出(廃棄)し、あらたな培養液23を培養容器35に注入(収容)する。あらたな培養液23は、幹細胞第1観察手段において注入されたそれと同一である。担当者は、あらたな培養液23を培養容器35に注入した後、培養容器35を電子顕微鏡13の試料ホルダ36に設置(セット)する。
電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第3扁平培養容器35の底部48との間にスペーサー39を介在させ、培養容器35の底部48をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器25の底部48が上となり培養容器25の頂部47(注入口49)が下となるように、培養容器35を所定角度に傾斜させた状態に保持する。また、電子顕微鏡13の試料ホルダ36の上面37と第3扁平培養容器35の頂部48との間にスペーサー39を介在させ、培養容器35の頂部47をスペーサー39によって持ち上げた状態に保持し、培養容器35の頂部47が上となり培養容器35の底部49が下となるように、培養容器35を所定角度に傾斜させた状態に保持してもよい。試料ホルダ36の上面37に対する第3扁平培養容器35の傾斜角度α2は、2〜5°の範囲にあり、好ましくは、2〜3°の範囲にある。
培養生成液製造システム10は、第2間葉系幹細胞30の定着を確認した後、培養容器35内の培養液23を排出しつつあらたな培養液23を培養容器35に注入することで、第2間葉系幹細胞30の増殖を確実に促進することができる。培養生成液製造システム10は、試料ホルダ36の上面37に対して第3扁平培養容器35を前記傾斜角度で傾斜させることで、培養容器35内において第2間葉系幹細胞30および培養液23が培養容器35の頂部47の側(または底部48の側)に偏り、培養容器35の頂部47の側(または底部48の側)において第2間葉系幹細胞30と培養液23との水圧が大きくなって第2間葉系幹細胞30が培養容器35の底部48の側に集中し、それによって第2間葉系幹細胞30どうしの活性が高まり、培養容器35の底面27において第2間葉系幹細胞30を容易かつ迅速に増殖(分化)させることができる。
電子顕微鏡13は、培養容器35内の第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔で撮影し、撮影した幹細胞30の平面形状の拡大画像を約1〜2時間間隔でコンピュータ11に送信する。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをドナー識別子に関連付けた状態で記憶領域に格納(記憶)する(幹細胞画像第6記憶手段)。コンピュータ11は、電子顕微鏡13から送信された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像と撮影時間とをディスプレイ16に表示する。
担当者は、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の平面形状の拡大画像を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で確認(視認)し、培養容器35の底面27に定着した幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積を観察しつつ、幹細胞30の総平面面積が培養容器35の底面面積に対して第3目標割合(82〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断する(幹細胞第6観察手段)。なお、担当者が電子顕微鏡13の観察窓から第2間葉系幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積を36〜48時間の間において約1〜2時間間隔で直接観察し、幹細胞30の総平面面積が培養容器35の底面面積に対して第3目標割合(88〜92%コンフルエント)に達したか否かを判断してもよい。
担当者は、幹細胞第6観察手段における観察の結果、ディスプレイ16に表示された第2間葉系幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積が第3目標割合(88〜92%コンフルエント)に達していない場合(図13援用)、幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積を約1〜2時間間隔で継続して観察する。なお、ディスプレイ16に表示された拡大画像の全面積に対して第2間葉系幹細胞30の総平面面積が第3目標割合に達した場合に、幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積が第3目標割合に達したものとする。
幹細胞第6観察手段における観察の結果、第2間葉系幹細胞30が第3扁平培養容器35(第3培養容器)の底面27(底壁内面)において増殖して幹細胞30がコロニーを形成し、幹細胞30の平面形状が拡張することで、ディスプレイ16に表示された幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積が第3目標割合(88〜92%コンフルエント)に達した場合(図14援用)、培養容器35において、単一種の第2間葉系幹細胞30が増殖しているとともに、活性を有する単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質を含む培養生成液31が生成されている。
培養生成液製造システム10は、第3扁平培養容器35(第3培養容器)の底面面積に対する第2間葉系幹細胞30の総平面面積が92%を超過して幹細胞30が増殖すると、幹細胞30の活性が次第に失われるが、培養容器35の底面面積に対して幹細胞30の総平面面積が88〜92%に増殖したときに、幹細胞30を培養容器35から抽出するから、幹細胞30の活性を保持することができ、活性を保持した状態で幹細胞30を増殖させることができる。
幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積が第3目標割合に達した場合、培養容器35から培養生成液31を抽出する第2抽出手段が行われる。第2抽出手段では、第2間葉系幹細胞30から分泌された所定の代謝物質を含む培養生成液31を培養容器35から抽出する。培養生成液製造システム10は、約1〜2時間間隔で総平面面積を観察することで、第2間葉系幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積を正確に確認することができ、培養容器35の底面面積に対して幹細胞30の総平面面積が第3目標割合に達したことを確実に把握することができる。
医師や看護師、研究者等の担当者は、第2間葉系幹細胞30の培養容器35の底面面積に対する総平面面積が第3目標割合に達したことを確認した後、ディスプレイ16に表示された幹細胞第6観察終了ボタンをクリックする。幹細胞第6観察終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11は、第13表示画面(図示せず)をディスプレイ16に表示する。第13表示画面には、番号1およびドナーデータが表示されるとともに、幹細胞第2採取終了メッセージ、幹細胞第5観察終了メッセージ、幹細胞第6観察終了メッセージ、第2抽出ボタンが表示される。
担当者は、第13表示画面の第2抽出ボタンをクリックし、培養容器35のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせる。QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、幹細胞第2採取終了メッセージ、幹細胞第5観察終了メッセージ、幹細胞第6観察終了メッセージ、第2抽出終了ボタンをディスプレイ16に表示する。それらドナーデータが不一致の場合、コンピュータ11は、エラーメッセージおよび培養中止メッセージをディスプレイ16に表示する。
担当者は、幹細胞第6観察手段において培養容器35内に注入した培養液23から変化した培養生成液31を注射器やピペットを利用して培養容器35から吸引し(第2抽出手段)、培養生成液31を保存容器32に注入(収容)する。保存容器32に注入された培養生成液31は、不要な間葉系幹細胞が除去された活性を有する特定種類の単一種の間葉系幹細胞(単一種幹細胞)から分泌された所定の代謝物質を含む培養生成液31である。
担当者は、培養生成液31を保存容器32に注入した後、QRコードが印字された第1コード用紙17を保存容器32の外周面に貼付する。担当者は、ディスプレイ16に表示された第13表示画面の第2抽出終了ボタンをクリックし、保存容器32のQRコードをバーコードリーダ12に読み取らせた後、培養生成液31を注入した保存容器32を冷蔵庫34に収納する。培養生成液31は、冷蔵庫34において約3〜4℃で保存される。
QRコードがバーコードリーダ12からコンピュータ11に送信されると、コンピュータ11は、ディスプレイ16に表示されたドナーデータ(メモリに読み出したドナーデータ)とバーコードリーダ12によって読み取られたQRコードが示すドナーデータとを比較し、それらドナーデータが一致した場合、番号1およびドナーデータをディスプレイ16に表示するとともに、培養生成液抽出終了メッセージ、培養生成液製造終了ボタンをディスプレイ16に表示する。担当者は、培養生成液製造終了ボタンをクリックする。培養生成液製造終了ボタンをクリックすると、コンピュータ11においてシステム10が停止する。
培養生成液製造終了ボタンをクリックした場合、培養容器25から幹細胞30を採取する幹細胞採取手段が行われる。幹細胞採取手段では、培養容器35内において増殖(分化)した第2間葉系幹細胞30を培養容器35から採取する。担当者は、培養容器35内をPBSで洗浄した後、トリプシン液を培養容器35内に注入し、トリプシン液の水面に浮上する第2間葉系幹細胞30を注射器またはピペットを利用して吸引し、幹細胞30を注射器またはピペットから保存容器33に注入(収容)する。
保存容器33に注入された第2間葉系幹細胞30は、不要な間葉系幹細胞が除去された活性を有する特定種類の単一種の間葉系幹細胞(単一種幹細胞)である。担当者は、第2間葉系幹細胞30(単一種の間葉系幹細胞)を保存容器33に注入した後、QRコードが印字された第1コード用紙17を保存容器33の外周面に貼付し、第2間葉系幹細胞30を注入した保存容器33を冷蔵庫34に収納する。第2間葉系幹細胞30(単一種の間葉系幹細胞)は、冷蔵庫34において約3〜4℃で保存される。
培養生成液製造システム10によって製造された培養生成液31は、第2間葉系幹細胞30(第2幹細胞)をさらに第3培養容器35で培養し、幹細胞30の総平面面積が第3目標割合に達した時点で培養容器35から抽出して作られるから、幹細胞の培養過程において多種雑多な幹細胞が培養されることはなく、多種多様な代謝物質が含まれることはなく、単一種の幹細胞30から分泌された所定の代謝物質のみを含み、所定の疾患や所定の美容に対して唯一特定の効果を発揮することができ、所定の疾患の治療に有効に使用することができるとともに、所定の美容に有効に使用することができる。