JP6401762B2 - 紙管、ロール状シート、及び紙管の製造方法 - Google Patents

紙管、ロール状シート、及び紙管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、紙管、ロール状シート、及び紙管の製造方法に関する。
従来、トイレットロール等のロール状シートにおいて、その芯となる紙管に香料を付与して、製品の使用時に香りを感じられるようにしたものが知られている。
例えば、紙管を形成した後、紙管の外周面の所定の領域に香料組成物を噴霧する等して香料を付着させたものが知られている(図1)。
また、紙管の内周面に香料を塗布して形成された香料塗布層と、香料塗布層の内周面に設けられ複数の開口部を有する第1フィルムと、第1フィルムの内周面に剥離可能に設けられたガスバリア性の第2フィルムとを備えた紙管が知られている。(特許文献1)。
特開2016−69145号公報
しかしながら、図1の紙管では、香料成分が、紙管の周囲に巻かれたシートを介して紙管の外周面側から逃げやすくなっている。また、1ロール当たりのシートの巻き数が多い、いわゆる多巻きのロール状シートに使用した場合には、ロールを使用し終えるまでの期間がより長く、紙管に付与された香料が使用終了前に揮散し、消失してしまう可能性がある。
また、特許文献1では、使用開始後の香りの持続性にも言及されているが、多巻きのロール状シートで想定されるような長期間の持続性については検討されていない。
上記の点に鑑みて、本発明の一形態は、長期間にわたって香りを持続させることができる、ロール状シート用の紙管を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の第一の形態は、ロール状シートの芯となる紙管であって、筒状の原紙層と、前記原紙層の外側に設けられた外側ガスバリア層と、前記原紙層と前記外側ガスバリア層との間に設けられた香料層とを有する。
上記第一の形態によれば、香料層は、原紙層と外側ガスバリア層との間に設けられているため、紙管にシートが巻かれた状態では、香料層とシートとの間に外側ガスバリア層が介在することになる。そのため、香料成分の、香料層の外周面からのシートを介した揮散(放散)は著しく低減される。これにより、香料成分は主として香料層の端面、及び一部は原紙層の端面と内周面から揮散し、結果として、主としてロール状シートの端面から揮散することになるので、香料成分の放出が良好に抑制され、長期間にわたって香りを持続させることができる。また、香りの強さの急激な低下が防止されるので、使用者は、使用の開始段階と同程度の強さで安定して香りを感じ続けることができる。
本発明の第二の形態では、前記原紙層の内側に、内側ガスバリア層を有する。
香料成分は、原紙層中にも浸透する。そのため、原紙層を通じて原紙層の内側面からロール中心部に逃げていくことがある。これに対し、上記第二の形態によれば、紙管が、原紙層の内側に内側ガスバリア層を更に有することで、紙管の内周面側からの香料成分の揮散も抑制することができる。これにより、紙管の両周面からの香料成分の揮散が抑制され、香料成分は、香料層及び原紙層の端面から揮散することになるので、長期間にわたる香りの持続効果がより一層高まる。
本発明の第三の形態では、前記原紙層が、内側原紙層と、当該内側原紙層の外側に設けられた外側原紙層とを含み、前記香料層が、前記内側原紙層と前記外側原紙層との間、及び前記外側原紙層と前記外側ガスバリア層との間の少なくとも1つに設けられている。
上記第三の形態によれば、原紙層が内側原紙層と外側原紙層とを含むことによって、上述の香料層の露出の回避を維持しつつ、紙管の強度を高めることができる。
本発明の第四の形態では、前記香料層が接着剤成分を含む。
上記第四の形態によれば、香料層と外側ガスバリア層との結合、及び香料層と原紙層との結合を強化できる。特に、外側ガスバリア層をより密着させて積層することができるので、香料成分の揮発を更に抑制し、香りを持続させる効果を一層高めることができる。
本発明の第五の形態は、第一から第四の形態のいずれかによる紙管と、当該紙管を芯として巻かれたシートとを備えた、ロール状シートである。
上記第五の形態によれば、ロール状シートが、第一から第四の形態について上述した効果を発揮する紙管を芯として有するので、長期間にわたって香りを持続させることができるロール状シートを提供することができる。
本発明の第六の形態は、筒状の原紙層と、前記原紙層の外側に設けられた外側ガスバリア層と、前記原紙層と前記外側ガスバリア層との間に設けられた香料層とを有する、ロール状シートの芯となる紙管の製造方法であって、前記原紙層となる原紙と、前記外側ガスバリア層となる外側ガスバリアフィルムとを準備する工程と、前記原紙及び前記外側ガスバリアフィルムの少なくとも一方に、前記香料層となる、香料成分を含む香料組成物又は香料含有基材を適用して、前記原紙、前記香料組成物又は前記香料含有基材、及び前記外側ガスバリアフィルムを含む積層体を形成する工程と、前記積層体をコアシャフトに巻き付けて、前記紙管を形成する工程とを含む。
上記第六の形態によれば、上記第一の形態と同様の作用効果を奏する紙管を製造することができる。
本発明の第七の形態は、第2の原紙層となる第2の原紙と、内側ガスバリア層となる内側ガスバリアフィルムとを積層させて第2の積層体を形成する工程を含み、前記積層体をコアシャフトに巻き付けて、前記紙管を形成する工程が、前記第2の積層体を前記コアシャフトに巻き付けた後、当該第2の積層体の上に、前記積層体を巻き付ける工程を含む。
上記第七の形態によれば、上記第二の形態と同様の作用効果を奏する紙管を製造することができる。
本発明の第八の形態は、前記香料組成物が接着剤成分を含んでいるか、又は前記香料含有基材が接着性を有している。
上記第八の形態によれば、上記第四の形態と同様の作用効果を奏する紙管を製造することができる。
本発明の一形態によれば、長期間にわたって香りを持続させることができる、ロール状シート用の紙管が提供される。
香料が付与された従来の紙管の概略図を示す。 本発明の一形態による紙管の斜視図、及び紙管の端面の部分拡大図を示す。 本発明の一形態による紙管の端面の部分拡大図を示す。 本発明の一形態によるロール状シートの概略的な斜視図を示す。 本発明の一形態による紙管の製造工程を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面は、説明を分かりやすくするためのものであって、必ずしも実際の寸法比に従って描画されたものではない。
図2(a)に、本形態による紙管の概略的な斜視図を示す。また、図2(b)に、その端面(切断面)の部分拡大図を示す。本形態の紙管10は、図2(b)に示すように、筒状の原紙層20と、原紙層20の外側に設けられた外側ガスバリア層41と、原紙層20と外側ガスバリア層41との間に設けられた香料層30とを有する。
本形態の紙管10では、図2(b)のように、香料層30が原紙層20と外側ガスバリア層41との間に挟まれているため、図4のようにシート11が巻かれてロール状シート12となっている状態では、香料層30とシート11との間に、外側ガスバリア層41が介在することになる。そのため、香料層30に含まれる香料成分は、外周面において外側ガスバリア層41によって閉じ込められ、香料成分のシート11を介した放散は著しく低減される。これにより、紙管10から香りが放出される場所が、香料層30の端面及び一部は原紙層20の内周面及び端面からとなるので、長期間、例えば数か月にわたって香りを持続させることができる。よって、多巻きのロール状シートの紙管として使用した場合でも、その多巻のロール状シートの使用が終了するまで(その多巻のロール状シートが消費されるまで)の間、使用者は香りを感じ続けることができる。
そして、本形態によれば、使用期間中、香りの強さが急激に低下することがないので、使用の初期段階と同程度の強さの香りを、使用が終了するまで安定して維持することができる。よって、過度に多量の香料を用いることなく、使用の初期段階から使用終了時まで心地よい強さで香りを香らせることできる。
また、外側ガスバリア層41は、紙管10の外周面側に設けられているので、シート11が巻かれた状態(図4)では、器具や人が外側ガスバリア層41の外周面に接触する可能性はほとんど又は全くないため、外側ガスバリア層41が損傷する危険性が小さいという利点がある。原紙層20と外側ガスバリア層41との間に配置された香料層30も、同様の理由で、損傷する危険性が小さい。
原紙層20は筒状であり、具体的には、中空円筒形状を有している。原紙層20は、一層からなっていても複数層からなっていてもよく、また平巻きの紙管であっても、螺旋状に巻かれた、いわゆるスパイラル紙管であってもよい。中でも、2枚以上の原紙(紙管原紙)が螺旋状に巻かれて接着剤で貼り合された紙管であると(図5)、紙管の強度を確保できるので好ましい。
原紙層20を構成する原紙の坪量は、100〜400g/mであると好ましく、130〜200g/mであるとより好ましい。また、原紙の紙厚は、50〜800μmであると好ましく、100〜400μmであるとより好ましい。坪量及び紙厚を上記範囲とすることで、適切な強度及び質量を有することができる。また、原紙層20の原紙には、特に香料層30に対向する面において、コーティング処理等を施し、香料層30から原紙層20中への香料の拡散・浸透を抑制するようにしてもよい。
外側ガスバリア層41は、香料層30から発せられる香料成分のガスを透過させにくい層であり、外側ガスバリア層41が設けられた面からは、香料層30からの香りが実質的に感じられないようにする機能を有している。この外側ガスバリア層41は、例えば、酸素の透過度が200cc/m・day・atm以下であり、二酸化炭素の透過度が900cc/m・day・atm以下であるものであると、香料の揮散を好適に防止することができるので好ましい。外側ガスバリア層41の厚さは、17〜100μmであると好ましい。また、外側ガスバリア層41は、一層のみとすることもできるし、複数層とすることもできる。
外側ガスバリア層41に用いられる材料は、樹脂フィルムが好ましい。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、EVOHにスチレン系エラストマーを配合した樹脂、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニリデン、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のポリプロピレン等が挙げられる。中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、ガスバリア性が特に高いことから好ましい。また、ナイロンを用いた場合には、ガスバリア性が高く、縦横の引裂強度のバランスもよいため、好ましい。
上記の樹脂のうち、香料の種類や所望される香りの強さ等に応じて1つ又は複数の材料を適宜選択することができる。複数のものを選択した場合には、樹脂を混合して使用したり、各樹脂フィルムを積層させてラミネートフィルムとして使用したりすることもできる。
また、外側ガスバリア層41は、金属箔等の金属シートとすることもでき、金属シートに上述の樹脂フィルムを積層させたラミネートフィルムとすることもできる。
香料層30は、香料(香料成分)又は香料を含む香料組成物を、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に塗布することによって形成することができる。また、紙、不織布又は布等の基材に、香料を含む液体状の組成物を含浸させたものを、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に被着することによって形成することもできる。
香料層30に含まれる香料としては、天然系あるいは合成系の既知の香料を用いることができる。具体例としては、リュウゼン香、安息香、海狸香、霊猫香、丁字油、ガルバナム、ジャスミン、ラブタナム、マテ茶、メリロット、ミモザ、ムスクトンキン、ミルラ、オークモス、乳香、ビャクシ香、オリス、バチュリ、ローズマリー、レモン、グレープフルーツ、ペパーミント、マンダリン、ライム、ユズ、カモミール、ラベンダー、ローズ、スペアミント、白檀、ベチバー、バイオレットリーフ、及びこれらの抽出物等の天然香料、アルコール、ケトン、アルデヒド、ベンズアルデヒド、安息香酸、ケイ皮酸、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、クマリン、エステル、インドール、ケトン、サリチル酸、及びこれらの関連化合物、リモネン、リナロール、シトロネロール、メントール、ゲラニオール等のテルペン類、バニリン等の合成香料が挙げられる。これらは単独で用いても、複数を組み合わせて調合香料として用いてもよい。香料の選択は、所望の香調によって決定すればよい。香料成分は、香り(香気)の強さの調整のために適宜ジプロピレングリコール、パラフィンオイル等の鉱物油、ヒマシ油、大豆油の植物油を用いて希釈することができる。
また、香料層30には、オオバコ科植物の抽出物、マメ科クララ属植物の抽出物、ヒノキ油、ヒバ油、杉油、芳油、樟脳油等の消臭物質を、付与したい香りを打ち消さない種類及び量で添加することもできる。
なお、香料層30を、原紙層20に、液体の香料を直接塗布して形成する場合の香料の量は、香料の種類及び所望される香りの強さに応じて適宜選択することができるが、0.14〜3.4μL/cmであると好ましく、0.27〜2.0μL/cmであるとより好ましく、0.41〜1.23μL/cmであるとさらに好ましい。例えば、長さ114mm、紙管径41mmの原紙層を用いる場合には、20〜500μLであると好ましく、40〜300μLであるとより好ましく、60〜180μLであるとさらに好ましい。20μL以上とすることで、当分野で用いられる液体香料の香りの持続性をより高めることができる。また、500μL以下とすることで、原紙層20上で香料を良好に塗布することができる。
香料層30は、原紙層20の周面を覆うように設けられていてもよいし、周面の面積の一部を覆うように設けられていてもよい。その場合には、香料層30が、原紙層20の周面の面積の20%以上を覆っていると好ましく、原紙層20の周面の面積の50%以上を覆っているとより好ましく、原紙層20の周面の面積の80%以上を覆っていると更に好ましい。また、香料層30は、原紙層20の周面の面積の100%を覆っている、つまり原紙層20の周面の全体を覆っていてもよい。
また、後述のように、2枚の原紙を螺旋状に巻くことによって原紙層20を形成する場合、外側の原紙の縁部を重ね合せながら巻いていく場合がある。その場合、重ね代の部分は、香料が透過しにくいため、香料層30は、重ね代を避けて設けても良い。例えば紙管原紙の幅が80mmである場合には、重ね代を3〜15mm程度に設け、香料層30は、原紙層20の周面の面積の80〜95%を覆っても良い。
香料層30が、原紙層20の周面の一部を覆うように設けられている場合、所定の面積を有する香料層30を島状に分散させてもよいし、香料層30を、原紙層20上に1つ又は複数の帯状に適用することもできる。
外側ガスバリア層41は、香料層30のほぼ全体を覆うように形成されていてよい。これにより、香料層30が、外周面において、大気又はシート11と直接接触することを回避することができる。また、外側ガスバリア層41は、香料層30のほぼ全体を覆うように形成されているのであれば、原紙層20の外周面の面積の50%以上を覆うように形成されていると好ましく、原紙層20の外周面の面積の80%以上を覆うように形成されているとより好ましく、原紙層20の外周面の面積の90%以上を覆うように形成されていると更に好ましい。また、原紙層20の外周面の面積の100%を覆うように、つまり原紙層20の外周面の全面にわたって形成されていると特に好ましい。
本形態では、図3に示すように、原紙層20の内側にも、追加的なガスバリア層、すなわち内側ガスバリア層42を設けることができる。この内側ガスバリア層42の材質及び/又は厚さは、外側ガスバリア層41と同じであってもよく、異なっていてもよい。そして、内側ガスバリア層42のガス透過性は、外側ガスバリア層41と同じであってもよく、異なっていてもよい。両ガスバリア層41、42のガス透過性が異なっている場合には、その違いを利用して、香料の揮散をコントロールすることができる。
香料層30は、原紙層20と外側ガスバリア層41との間に配置されているので、上述のように、大気への露出部分が限定されている。しかしながら、香料層30に含まれる香料成分は、原紙層20中に浸透する。そのため、香料成分は、原紙層20を通って原紙層20の内周面から大気中へと揮散し得る。また、紙管10の内周面は、使用時にペーパーホルダ等の部材と接触することがあり、損傷する可能性があるため、その損傷部分から、香料が逃げやすくなる場合も考えられる。
これに対し、原紙層20の内側に内側ガスバリア層42を設けておくことで、紙管10の内周面側からの香料成分の揮発も抑制することができる。これにより、紙管10の外周面及び内周面の両面からの香料成分の揮発が抑制され、香料成分の大気への放散は、実質的に香料層及び原紙層の端面からとなるので、長期間にわたる香りの持続効果がより一層高まる。
また、内側ガスバリア層42は、一層のみとすることもできるし、複数層とすることもできる。
上述のように、原紙層20は複数層となっていてよい。そして、原紙層20は、図2のように、内側原紙層21と外側原紙層22とを有していると、紙管10が適度な強度を確保できるため、好ましい。その場合、香料層30は、外側原紙層22と外側ガスバリア層41との間に設けられてよい。このような香料層30の配置では、香料層30が、二層の原紙層21、22と外側ガスバリア層41との間に挟まれて設けられていることになるので、香料成分の揮散を防止する効果を高めることができる。
また、香料層30は、内側原紙層21と外側原紙層22との間に設けられていてもよい。この形態で更に内側ガスバリア層42を設けた場合には、内側ガスバリア層42、原紙層20、及び外側ガスバリア層41の積層体中において、香料層30は中央に配置されることになる。そうすると、紙管10の内側原紙層21の端面及び外側原紙層22の端面からバランス良く香料成分を揮散させることができる。
上述のように、香料層30は、香料又は香料を含む香料組成物を、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に塗布することによって形成することができる。この場合、香料又は香料を含む香料組成物が、接着性を有していると好ましい。つまり、香料自体が接着性を有しているか、香料組成物に接着剤成分が添加されていると好ましい。これにより、香料層30と原紙層20との結合、及び香料層30と外側ガスバリア層41との結合を強化することができる。特に、外側ガスバリア層41をより密着させて積層することができるので、香料の揮散をさらに抑制でき、香りを持続させる効果をより一層高めることができる。
香料組成物が、接着剤成分等の香料以外の成分を含有している場合には、香料と接着剤成分等との配合割合を調節することで、香料層30中の香料の量を変化させることができる。よって、所望の香料の種類や香りの強さに応じて、香料層30中の香料の量を調節することができる。
なお、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に塗布される香料又は香料を含む香料組成物が、接着性を有していない場合には、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に予め接着剤を塗布してから、香料層30を積層させることが好ましい。但し、香料又は香料を含む香料組成物が接着性を有する場合であっても、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に追加的に接着剤を塗布してから、香料層30を積層させることもできる。
また、上述のように、香料層30は、紙、不織布又は布等の基材に、香料又は香料を含む組成物を含浸させる等して、香料含有基材としたものを、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に被着することによって形成することもできる。この場合、香料含有基材が接着性を有していると好ましい。つまり、含浸させる香料自体が接着性を有しているか、含浸させる香料を含む香料組成物に接着剤成分が添加されているか、又は基材自体が接着性を有していると好ましい。これにより、香料層30と原紙層20との結合、及び香料層30と外側ガスバリア層41との結合を強化することができる。特に、外側ガスバリア層41をより密着させて積層することができるので、香料の揮散をさらに抑制でき、香りを長期間持続させる効果をより一層高めることができる。
なお、香料含有基材が接着性を有していない場合には、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に予め接着剤を塗布してから、香料層30を積層させることが好ましい。但し、香料含有基材が接着性を有する場合であっても、外側ガスバリア層41及び/又は原紙層20に追加的に接着剤を塗布してから、香料層30を積層させることもできる。
上記の添加される接着剤成分としては、ポリビニルアルコール系接着剤、天然ゴム系接着剤、天然ゴムラテックス系接着剤、アクリル系接着剤、ホットメルト系接着剤、でんぷん系接着剤、セルロース系接着剤、酢酸ビニル系接着剤等が挙げられる。外側ガスバリア層41及び/又は内側ガスバリア層42に樹脂性のフィルムを用いた場合には、樹脂との接着性に優れるアクリル系接着剤を用いると好ましい。
次に、紙管10の製造方法について説明する。図5に、本形態による紙管10の製造工程及び製造装置の一例を示す。
図5の例では、まず、外側原紙層22となる外側原紙26と、外側ガスバリア層41となる外側ガスバリアフィルム45とがそれぞれ供給されている。外側原紙26の外面(紙管10のより外側に配置される面)に香料組成物33を適用(塗布)し、その後、外側ガスバリアフィルム45を積層する。これにより、外側原紙26、香料組成物33、及び外側ガスバリアフィルム45を含む積層体が形成される。図示の例では、香料組成物33は、外側原紙26の外面に塗布されているが、この外側原紙26への塗布に替えて又は追加的に、外側ガスバリアフィルム45の内面に塗布することも可能である。
香料組成物33は、香料(香料成分)が分散媒体に分散されている液状又はスラリー状の組成物とすることができる。また、香料組成物33には、接着剤成分が添加されていると好ましい。香料組成物33に接着剤成分が添加されていない、又は香料自体が接着性を有していないために、香料組成物33が接着性を有しない場合には、図5に示すように、外側ガスバリアフィルム45の内面に、予め接着剤67を塗布しておくことができる。この接着剤67は、外側ガスバリアフィルム45への塗布に替えて又は追加的に、外側原紙26の外面に塗布することもできる。
また、香料組成物33の塗布に代えて、紙又は織布若しくは不織布等の基材に香料成分又は香料組成物を含浸させる等して香料含有基材を形成し、その香料含有基材を、外側原紙26及び外側ガスバリアフィルム45の少なくとも一方に適用(被着)させることもできる。その場合、含浸させる香料が接着性を有しているか、香料組成物に接着剤成分が添加されているか、又は基材自体が接着性を有することによって、香料含有基材が接着性を有していると好ましい。香料含有基材が接着性を有していない場合には、上記同様、外側ガスバリアフィルム45の内面に、予め接着剤67を塗布しておくことができる。この接着剤67は、外側ガスバリアフィルム45への塗布に替えて又は追加的に、外側原紙26の外面に塗布することもできる。
一方、図5に示すように、内側ガスバリア層42となる内側ガスバリアフィルム46と、内側原紙層21となる内側原紙25とがそれぞれ供給される。内側原紙25の内面には、接着剤66が塗布され、その後、内側ガスバリアフィルム46が積層される。これにより、内側原紙25及び内側ガスバリアフィルム46を含む積層体が形成される。なお、接着剤66は、内側ガスバリアフィルム46の外面に塗布してもよい。
接着剤66は、香料層30に含有させることができる上述の接着剤成分と同じ成分を含んでいてよい。この接着剤66も、内側ガスバリアフィルム46が樹脂製である場合には、樹脂との接着性に優れることから、アクリル系接着剤であると好ましい。
続いて、紙管10を形成するためには、上記の外側原紙26、香料組成物33及び外側ガスバリアフィルム45を含む積層体(外側積層体)と、内側原紙25及び内側ガスバリアフィルム46を含む積層体(内側積層体)とを、一方向に回転するコアシャフト(マンドレルシャフト)2に螺旋状に巻き付ける。その場合、内側原紙25及び内側ガスバリアフィルム46を含む積層体が内側になるようにして巻付けを行う。
その際、図示のように、外側原紙26の内面には接着剤65が塗布され、内側原紙26と接着させる。この接着剤65は、内側原紙25の外面に塗布してもよい。接着剤65は、香料層30に含有させることができる上述の接着剤成分と同じ成分を含んでいてよい。また、接着剤65には、香料(香料成分)を混ぜ込むことができる。これにより、内側原紙層21と外側原紙層22との間に香料層30が配置された構成を容易に得ることができる。
内側積層体及び外側積層体の巻付けが行われた後、紙管を所定の長さに切断して、ロール状シート12用の紙管10とする。
積層体の巻付けの際には、内側積層体は、縁部を突き合わせながら隙間なく、コアシャフト2に螺旋状に巻き付けることができる。また、縁部が離れるようにして巻き付けることもできるし、縁部同士を重ねながら巻き付けることもできる。外側積層体も同様である。また、内側積層体及び外側積層体は、強度を向上させるために、図5に示すように、互いにずらして巻き付けることができる。
図示の例では、内側原紙25及び内側ガスバリアフィルム46を含む積層体(内側積層体)が巻かれた後に、その上から、外側原紙26、香料組成物33及び外側ガスバリアフィルム45を含む積層体(外側積層体)が巻かれているが、内側積層体を省略して、外側積層体を、コアシャフト2に直接的に螺旋状に巻き付けることによって、紙管10を製造することもできる。
本形態の紙管10は、トイレ用や化粧用といった衛生用のロール状シート12の芯として好適に用いられる。
なお、紙管とは、その周りに衛生薄葉紙等のシート状製品を巻き付けてロール状にすることで、シート状製品の輸送、設置、使用を簡便にする機能を有する管状部材を指す。紙管は、一般的に紙からなっているが、本形態のように紙以外の材料(樹脂フィルム等)を含んでいてよく、また、上記機能を果たすものであれば、紙以外の材料から実質的になっているものも紙管の概念に含まれる。
以下に、実施例、比較例に基づき、本態様を更に詳細に説明する。
<ロール状シートの作製>
(実施例1)
厚さ200μmの2枚の原紙から形成された、長さ114mm、紙管径41mmの紙管の外周面に、液体の香料(花王株式会社製 DIOR JASMIN TRC5224)60μLを付与し、さらに、香料を覆うように、紙管の外周面の全面にわたってガスバリアフィルム(材質:エチレン−ビニルアルコール共重合体、酸素透過度:10cc/m・day・atm、二酸化炭素透過度:50cc/m・day・atm、厚さ:30μm)を被着した。
さらに、公知の方法でトイレットペーパー45m(ダブル(2枚重ね)、坪量16.5g/m、紙厚(1枚)125μm)を巻き付けて、ロール状シートを作製した。
(実施例2〜4)
付与した香料の量を表1に示す量にしたこと以外は、実施例1と同様にして、ロール状シートを作製した。
(実施例5)
厚さ200μmの2枚の原紙から形成された、長さ114mm、紙管径41mmの紙管の外周面に、液体の香料(花王株式会社製 DIOR JASMIN TRC5224)60μLを付与し、さらに、香料を覆うように、紙管の外周面の全面にわたってガスバリアフィルム(材質:エチレン−ビニルアルコール共重合体、酸素透過度:10cc/m・day・atm、二酸化炭素透過度:50cc/m・day・atm、厚さ:30μm)を被着した。さらに、同様のガスバリアフィルムを、紙管の内周面の全面にわたって被着した。
さらに、公知の方法でトイレットペーパー45m(ダブル(2枚重ね)、坪量16.5g/m、紙厚(1枚)125μm)を巻き付けて、ロール状シートを作製した。
(実施例6〜8)
付与した香料の量を表1に示す量にしたこと以外は、実施例5と同様にして、ロール状シートを作製した。
(比較例1)
紙管の外周面及び内周面にガスバリアフィルムを設けなかったこと以外は、実施例1、実施例5と同様にしてロール状シートを作製した。
(比較例2、3)
紙管の外周面及び内周面にガスバリアフィルムを設けなかったこと以外は、それぞれ実施例2、実施例3、実施例6、実施例7と同様にしてロール状シートを作製した。
<香り評価>
実施例1〜8及び比較例1〜3のロール状シートを、ポリエチレンフィルムの袋に入れて密閉し、室温50℃、相対湿度50%の条件で放置した。各ロール状シートについて、0時間後、24時間後、48時間後における香りの強さの官能評価を行った。なお、この条件は、長期間にわたる製品の劣化を想定した、通常の使用条件よりも過酷な条件である。本試験における24時間は、通常の条件下で使用した場合の1月半程度、48時間は通常の条件下で使用した場合の3月程度にほぼ相当する。
評価は、5人の試験者によって以下の5段階で行い、各試験者の評価値を平均して、それを最終的な評価値とした。
5点:ロールからしっかりと香りを感じた
4点:香りを感じた
3点:やや香りを感じた
2点:わずかだが香りを感じた
1点:全く香りを感じなかった
香りの評価は3点以上が許容範囲である。結果を表1に示す。
Figure 0006401762
同量の香料を付与した実施例1及び実施例5と比較例1とを比較した場合、ガスバリア層を有する実施例1及び実施例5は、ガスバリア層のない比較例1に比べて、香りの持続性が顕著に向上していることが分かった。同様に、実施例2及び実施例6と比較例2との比較、実施例3及び実施例7と比較例3との比較からも、ガスバリア層によって、香りの持続性が顕著に向上していることが分かった。
また、比較例1〜3では、時間の経過とともに香りの強さが急激に減少するのに対し、実施例1〜8ではいずれも香りの強さの減少率が小さい。よって、実施例1〜8では、使用の初期段階と同程度の香りの強さを、数か月にわたり安定して維持できる。
さらに、同じ量の香料を塗布した実施例1と実施例5とを比較した場合、外側と内側との両方にガスバリア層を有する実施例5の方が、香りの持続性が高かった。実施例2〜4と実施例6〜8とをそれぞれ比較した場合も同様の結果が得られた。
なお、実施例1〜8の中では、香料の量が多い実施例4及び実施例8の香り評価は高かったが、塗布の際に香料が原紙層から垂れる現象が見られた。このことから、作製の容易性という観点では、実施例1〜3、5〜7が、実施例4、8より優れていることが分かった。
2 コアシャフト
10 紙管
10a 紙管(従来技術)
11 シート
12 ロール状シート
20 原紙層
21 内側原紙層
22 外側原紙層
25 内側原紙(第2の原紙)
26 外側原紙(原紙)
30 香料層
33 香料組成物
41 外側ガスバリア層
42 内側ガスバリア層
45 外側ガスバリアフィルム
46 内側ガスバリアフィルム
65、66、67 接着剤

Claims (8)

  1. ロール状シートの芯となる紙管であって、
    内側原紙層と当該内側原紙層の外側に設けられた外側原紙層とを含む筒状の原紙層と、
    前記外側原紙層の外側に設けられた外側ガスバリア層と、
    前記外側原紙層と前記外側ガスバリア層との間に設けられた香料層と
    を有し、
    前記外側ガスバリア層は、前記シートが巻かれた状態で前記香料層と前記シートとの間に介在する、紙管。
  2. 前記原紙層の内側に、内側ガスバリア層を有する、請求項1に記載の紙管。
  3. 前記香料層が接着剤成分を含む、請求項1又は2に記載の紙管。
  4. 前記外側ガスバリア層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)にスチレン系エラストマーを配合した樹脂、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニリデン、及びポリプロピレンのうち1つ若しくは複数を含む樹脂フィルム、金属シート、又は金属シートに前記樹脂フィルムを積層させたラミネートフィルムを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の紙管。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の紙管と
    前記紙管を芯として巻かれたシートとを備えた、ロール状シート。
  6. 内側原紙層と当該内側原紙層の外側に設けられた外側原紙層とを含む筒状の原紙層と、
    前記外側原紙層の外側に設けられた外側ガスバリア層と、
    前記外側原紙層と前記外側ガスバリア層との間に設けられた香料層と
    を有する、ロール状シートの芯となる紙管であって、前記外側ガスバリア層は、前記シートが巻かれた状態で前記香料層と前記シートとの間に介在する、紙管の製造方法であって、
    前記外側原紙層となる原紙と、前記内側原紙層となる第2の原紙と、前記外側ガスバリア層となる外側ガスバリアフィルムとを準備する工程と、
    前記原紙及び前記外側ガスバリアフィルムの少なくとも一方に、前記香料層となる、香料成分を含む香料組成物又は香料含有基材を適用して、前記原紙、前記香料組成物又は前記香料含有基材、及び前記外側ガスバリアフィルムを含む積層体を形成する工程と、
    前記第2の原紙をコアシャフトに巻き付ける工程と、
    前記コアシャフトに巻き付けられた前記第2の原紙の上に、前記積層体を巻き付けて、前記紙管を形成する工程と
    を含む、紙管の製造方法。
  7. 前記紙管は、前記原紙層の内側に内側ガスバリア層をさらに有し、
    前記製造方法は、
    前記第2の原紙と、前記内側ガスバリア層となる内側ガスバリアフィルムとを積層させて第2の積層体を形成する工程を含み、
    前記第2の積層体を前記コアシャフトに巻き付け、
    前記コアシャフトに巻き付けられた前記第2の積層体の上に、前記積層体を巻き付ける、請求項6に記載の紙管の製造方法。
  8. 前記香料組成物が接着剤成分を含んでいるか、又は前記香料含有基材が接着性を有している、請求項6又は7に記載の紙管の製造方法。
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