JP6383160B2 - 紙管及び当該紙管を使用したロール状シート - Google Patents
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ロール状シートの芯となる紙管において、
紙管原紙からなる原紙層と、前記原紙層の内面に形成された香料含有層と、前記香料含有層の原紙層側と反対側を被膜するフィルム層と、を有し、
前記香料含有層は、前記原紙層の内面に固定された香料入りのマイクロカプセルを備え、
前記フィルム層は、前記原紙層の内面を螺旋状に周回する帯状に形成され、前記香料含有層を覆う剥離可能なフィルムと、前記フィルムの前記マイクロカプセルに対向した面に形成された粘着層と、を備え、
前記フィルムは、前記紙管の周方向の長さが25mmから55mmであり、
前記粘着層は、前記紙管の周方向の長さが15mmから45mmであり、
前記フィルム層の前記紙管の周方向の両縁部には、前記紙管の周方向の長さが5mm以上の前記粘着層が備えられていない部分である掴み部が形成され、
前記フィルム層を前記香料含有層から剥離する際に、前記マイクロカプセルが破壊されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
ロール状シートの芯となる紙管において、
紙管原紙からなる原紙層と、前記原紙層の内面に形成された香料含有層と、前記香料含有層の原紙層側と反対側を被膜するフィルム層と、を有し、
前記香料含有層は、前記原紙層の内面に固定された香料入りのマイクロカプセルを備え、
前記フィルム層は、前記香料含有層を覆う剥離可能なフィルムと、前記フィルムの前記マイクロカプセルに対向した面に形成された粘着層と、を備え、
前記フィルム層は、前記粘着層の周縁部において前記原紙層と剥離可能に溶着又は接着され、
前記フィルム層を前記香料含有層から剥離する際に、前記マイクロカプセルが破壊されることを特徴とする。
前記香料含有層は、接着剤からなる接着層を備え、
前記マイクロカプセルは、前記接着層を介して前記原紙層に固定され、
「前記接着層と前記マイクロカプセルの接着強度」>「前記粘着層と前記マイクロカプセルの接着強度」の関係を満たすことを特徴とする。
平面状の前記紙管原紙に、幅15mmの前記香料含有層を形成し、幅25mmの前記フィルム及び前記フィルムの幅方向中央に設けられた幅15mmの前記粘着層を備えた前記フィルム層を、前記香料含有層と前記粘着層とが重なるように貼り付けたものを試験片とし、
前記フィルム層の幅方向と引っ張り方向、すなわち上方向とが略直交するように、前記試験片を引張り試験機に固定し、前記フィルム層の下端を上方向に引っ張って、剥離角度180度、引張り速度20mm/分で、前記フィルム層を前記紙管原紙から剥離させ、剥離中の引っ張り荷重を記録し、引っ張り荷重が一定になるまで測定を行い、一定となった測定値を前記粘着層の幅で割った値が、0.15から0.8N/cmであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、ロール状シートにおいて、
請求項1から4のいずれか一項に記載の紙管と、
前記紙管を芯として捲回されたシートと、を備えることを特徴とする。
また、使用時にフィルムを剥離することによって香料の揮発が始まるため、ロール状シートを設置するホルダーの形状に関わらず効率よく芳香を発生させることができる。
さらに、芳香を発生させるタイミングを使用者が決定することができる。
本実施の形態では、シートとしてトイレットペーパーを例示して、ロール状シートとしてロール状トイレットペーパーを例示して、説明することとする。
ロール状トイレットペーパー10は、例えば、図1に示すように、紙管30と、紙管30を芯として捲回されたトイレットペーパー20と、などを備えて構成され、紙管30内にペーパーホルダーの支持部を挿入した状態で、トイレットペーパー20を引き出して使用するのが一般的である。
ロール状トイレットペーパー10の大きさは特に限定されないが、直径100〜120mm、幅100〜115mm、紙管径35〜50mmのものが一般的であり、本発明においても好適である。
紙管30は、例えば、図1に示すように、略中空円筒形状をなしている。
具体的には、紙管30は、例えば、図2(a)に示すように、紙管原紙からなる原紙層31と、原紙層31の内面に配置された香料入りのマイクロカプセル42を含む香料含有層40と、香料含有層40を原紙層31と反対側から覆うフィルム層50と、を有している。
なお、原紙層31は、1枚の紙管原紙からなる層であっても良いし、3枚以上の紙管原紙を貼り合わせてなる層であっても良い。
フィルム層50剥離後の芳香は、香料をマイクロカプセル42に封入して塗布していることにより、紙管30に香料を直接塗布する場合に比して、徐放性が高まるという効果がある。
香りのピラミッドとは、香料を揮発度によって、トップノート、ミドルノート及びベースノート(ラストノート)の3つに分類する手法である。具体的には、保留性が小さく揮発度の高い香料はトップノートに属し、中間の揮発度と保留性を持つ香料はミドルノートに属し、揮発度が低く保留性の大きい香料はベースノートに属する。
具体的には、例えば、緑茶等より抽出されたフラボノイド系化合物を含有する消臭物質、オオバコ、ムジナオオバコ、ヘラオオバコの中から選択された少なくとも一種以上のオオバコ科植物の全草抽出物を含有する消臭物質、マメ科クララ属植物に含まれる消臭作用を有する成分を有効成分とする消臭物質、ひのき油や、ひば油、杉油、芳油、樟脳油などを構成成分とする消臭物質等である。
マイクロカプセル42の平均粒径が大きいほど、多くの香料を内包できるため芳香効果が高いという効果が得られるが、製造加工中の壊れにくさ、塗布のしやすさ等の操作性の問題が生じ得る。マイクロカプセル42の素材及び内包する香料の種類に応じて、十分な芳香効果が得られ、かつ、操作性の良いものを適宜選択すると良く、具体的には、マイクロカプセル42の平均粒径は10〜20μmの範囲が好ましい。
なお、「平均粒径」とは、粉状または粒状である原料物質の各粒子の粒径を平均した値をいうが、全原料物質を母集団とする統計指標としての平均を意味することは勿論である。つまり、母集団(全原料物質)から適当なサンプル(各粒子)を抽出し、このサンプルの粒径を測定して算術平均した値を「平均粒径」とする。統計的手法により求める値であるから測定ごとに値が変動する可能性があることはいうまでもない。
保香性がより一層高まるという観点から、非通気性のフィルムを使用すると好ましい。
フィルム層50における掴み部50Tの形成位置及び数及び形状は、適宜定めることができる。図2では紙管30の周方向両側の縁部にそれぞれ形成されているが、紙管30の周方向いずれか一方の縁部側にのみ形成したり、紙管30の長手方向両側の縁部又はいずれか一方の縁部側にのみ形成したり、また、フィルム層50の周縁部にその全周に亘って形成しても良い。
使用時に効率良く確実に新鮮な芳香を発生させるという観点によれば、フィルム層50は香料含有層40の全体を被覆していなくても良いが、フィルム層50が香料含有層40の全体を被覆する形状であれば、製造時や保管時の香り漏れが防止できるという効果も得られるという点で、さらに好適である。
平面状の紙管原紙に、幅15mmの香料含有層40を形成し、幅25mmのフィルム52及び、その幅方向中央に設けられた幅15mmの粘着層51を備えたフィルム層50を、香料含有層40と粘着層51とが重なるように貼り付けたものを試験片とする。
フィルム層50の幅方向と引っ張り方向(上方向)が略直交するように、試験片を引張り試験機に固定する。フィルム層50の下端を上方向に引っ張って、剥離角度180度、引張り速度20mm/分で、フィルム層50を紙管原紙から剥離させ、剥離中の引っ張り荷重(単位:N)を記録する。引っ張り荷重が一定になるまで測定を行い、一定となった測定値を粘着層51の幅(1.5cm)で割った値(単位:N/cm)を、接着強度とする。
なお、接着層41の平均厚みは、マイクロカプセル42の平均粒径以下とすると、マイクロカプセル42が接着層41から十分に露出して、フィルム層50の剥離時に破壊されやすく、高い芳香効果が得られるため好ましい。
そして、使用者がフィルム層50を剥離することで、粘着層51に接着していたマイクロカプセル42の一部が破壊され、ロール状トイレットペーパー20を支えるホルダーの形状に関わらず、効率よく新鮮な芳香の発生が開始する。
さらに、紙管30の内面に接触する形状のホルダーに設置する場合は、トイレットペーパー20を引きだす際にホルダーに接触しているマイクロカプセル42に荷重がかかることにより、マイクロカプセル42がさらに破壊されるため、トイレットペーパー20の使用直後には新鮮な芳香が特に強く発生するという効果も得られる。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
紙管原紙に、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤(商品名:木工用ボンド)を水で2倍に希釈して紙管原紙に塗布して接着層41とした。さらに、市販の香料を内包したメラミン樹脂製のマイクロカプセル42(平均粒径約10μm)のスラリーを塗布して、香料含有層40を形成した。接着層41を形成する接着剤の塗布量は8g/m2、平均厚みは10μmであり、マイクロカプセルの塗布量は8〜12g/m2(平均10g/m2)である。
また、フィルム層50は、水性アクリル系樹脂からなる粘着層51と、PE/EVOH/PEからなる厚さ30μmのフィルム52により形成した。粘着層51はフィルム52の幅方向中央に設ける。香料含有層40に対するフィルム層50の接着強度は、0.2N/cmであった。
操業性は、フィルム層の形成のしやすさについて、〇:操業性問題なし、△:操業性やや問題あり、×:操業性問題あり、の3段階で評価した。
香りの強さは、紙管30からフィルム層50を剥がした直後に、ロールの近くに鼻を近づけて、〇:香りを実感する、△:香りをやや実感する、×:香りを実感できない、の3段階で評価した。
剥がしやすさは、〇:剥がし易い、△:やや剥がし難い、×:剥がし難い、の3段階で評価した。
フィルム52の幅が65mm以上である比較例3では、紙管30の成形が困難であり、操業性に問題があった。
粘着層51とフィルム52の幅の差が5mmである比較例1は、掴み部50Tの幅が片側当り2.5mmと狭くて摘まみ難いため、フィルム層50を剥がし難いという問題があった。粘着層51とフィルム52の幅の差が10mmである実施例1、2及び比較例2、3においては、掴み部50Tの幅が片側当り5mmであり、フィルム層50を容易に剥がすことができた。
本実施例で用いた香料含有層40においては、十分な芳香効果を得るという観点では、粘着層51の幅は紙管30の周方向に15mm以上必要であることを考慮すると、粘着層51の幅は紙管30の周方向に15mm〜45mm、フィルム52の幅は紙管30の周方向に25mm〜55mmが好ましい。
マイクロカプセル42は、接着層41を介することなく、熱融着等によって原紙層31の内面に固定されても良い。
また、フィルム層50は、粘着層51を介することなく、熱融着等によってフィルム52をマイクロカプセル42に接着しても良い。
また、原紙層31の内面に香料含有層40を形成した後にフィルム層50を積層するのではなく、シート状フィルム等の上に香料含有層40及びフィルム層50を形成したものを予め作成しておき、これを原紙層31の内面に貼り付けても良い。
20 トイレットペーパー(シート)
30 紙管
31 原紙層
40 香料含有層
41 接着層
42 マイクロカプセル
50 フィルム層
50T 掴み部
51 粘着層
52 フィルム
Claims (5)
- ロール状シートの芯となる紙管において、
紙管原紙からなる原紙層と、前記原紙層の内面に形成された香料含有層と、前記香料含有層の原紙層側と反対側を被膜するフィルム層と、を有し、
前記香料含有層は、前記原紙層の内面に固定された香料入りのマイクロカプセルを備え、
前記フィルム層は、前記原紙層の内面を螺旋状に周回する帯状に形成され、前記香料含有層を覆う剥離可能なフィルムと、前記フィルムの前記マイクロカプセルに対向した面に形成された粘着層と、を備え、
前記フィルムは、前記紙管の周方向の長さが25mmから55mmであり、
前記粘着層は、前記紙管の周方向の長さが15mmから45mmであり、
前記フィルム層の前記紙管の周方向の両縁部には、前記紙管の周方向の長さが5mm以上の前記粘着層が備えられていない部分である掴み部が形成され、
前記フィルム層を前記香料含有層から剥離する際に、前記マイクロカプセルが破壊されることを特徴とする紙管。 - ロール状シートの芯となる紙管において、
紙管原紙からなる原紙層と、前記原紙層の内面に形成された香料含有層と、前記香料含有層の原紙層側と反対側を被膜するフィルム層と、を有し、
前記香料含有層は、前記原紙層の内面に固定された香料入りのマイクロカプセルを備え、
前記フィルム層は、前記香料含有層を覆う剥離可能なフィルムと、前記フィルムの前記マイクロカプセルに対向した面に形成された粘着層と、を備え、
前記フィルム層は、前記粘着層の周縁部において前記原紙層と剥離可能に溶着又は接着され、
前記フィルム層を前記香料含有層から剥離する際に、前記マイクロカプセルが破壊されることを特徴とする紙管。 - 請求項1又は2に記載の紙管において、
前記香料含有層は、接着剤からなる接着層を備え、
前記マイクロカプセルは、前記接着層を介して前記原紙層に固定され、
「前記接着層と前記マイクロカプセルの接着強度」>「前記粘着層と前記マイクロカプセルの接着強度」の関係を満たすことを特徴とする紙管。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の紙管において、
平面状の前記紙管原紙に、幅15mmの前記香料含有層を形成し、幅25mmの前記フィルム及び前記フィルムの幅方向中央に設けられた幅15mmの前記粘着層を備えた前記フィルム層を、前記香料含有層と前記粘着層とが重なるように貼り付けたものを試験片とし、
前記フィルム層の幅方向と引っ張り方向、すなわち上方向とが略直交するように、前記試験片を引張り試験機に固定し、前記フィルム層の下端を上方向に引っ張って、剥離角度180度、引張り速度20mm/分で、前記フィルム層を前記紙管原紙から剥離させ、剥離中の引っ張り荷重を記録し、引っ張り荷重が一定になるまで測定を行い、一定となった測定値を前記粘着層の幅で割った値が、0.15から0.8N/cmであることを特徴とする紙管。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の紙管と、
前記紙管を芯として捲回されたシートと、を備えることを特徴とするロール状シート。
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