I.一般
本発明は、イキサベピロン、イキサベピロン誘導体及びアナログ、並びにそれらの中間体の工業的製造のための新規方法を提供する。本発明の化合物の塩及びプロドラッグが、また、含まれる。本発明のイキサベピロン、イキサベピロン誘導体、及びイキサベピロンアナログは、ヒトの疾患の治療を対象とする。
II.定義
本明細書中で使用される場合、用語「アザエポチロン(azaepothilone)」は、エポチロン類に属する16員のポリケチドタイプラクタムを意味する。
本明細書中で使用される場合、マクロラクタム(macrolactam)は、環を含む12個以上の原子を有する環状アミドである。
本明細書中で使用される場合、それら自体又は他の置換基の一部としての用語「アリール(aryl)」及び「芳香環(aromatic ring)」は、一緒に縮合し又は共有的に結合した単環又は多環(3環まで)であってもよい、ポリ不飽和、炭化水素基を意味する。アリール基の非限定的例は、フェニル、ナフチル及びビフェニルが挙げられる。「置換アリール(substituted aryl)」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換され得る。
「ヘテロアリール(heteroaryl)」は、5〜16個の環原子を含む、単環又は縮合二環又は三環芳香環アセンブリを意味し、ここで、1〜5の環原子が、ヘテロ原子、例えば、N、O又はSである。さらなるヘテロ原子が、限定されないが、B、Al、Si及びPが挙げられるが、また有用であり得る。ヘテロ原子はまた、限定されないが、‐S(O)‐及び‐S(O)2‐に酸化され得る。ヘテロアリール基は、任意の数の環原子、例えば、3〜6、4〜6、5〜6、3〜8、4〜8、5〜8、6〜8、3〜9、3〜10、3〜11、又は3〜12個の環員を含み得る。ヘテロ原子の任意の適切な数が、ヘテロアリール基に含まれ得、例えば、1、2、3、4又は5、又は1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、2〜3、2〜4、2〜5、3〜4、又は3〜5である。ヘテロアリール基は、例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン(1,2,3‐、1,2,4‐及び1,3,5‐異性体)、チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、及びイソオキサゾールが挙げられる。ヘテロアリール基はまた、芳香環系、例えば、フェニル環に縮合され、限定されないが、ベンゾピロール、例えば、インドール及びイソインドール、ベンゾピリジン、例えば、キノリン及びイソキノリン、ベンゾピラジン(キノキサリン)、ベンゾピリミジン(キナゾリン)、ベンゾピリダジン、例えば、フタラジン及びシンノリン、ベンゾチオフェン、及びベンゾフランを含むメンバーを形成し得る。他のヘテロアリール基は、結合によって結合されたヘテロアリール環、例えばビピリジンが挙げられる。「置換されたヘテロアリール(substituted heteroaryl)」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換され得る。
それ自体又は他の置換基の一部としての用語「アルキル(alkyl)」は、他に言及しない限り、直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。アルキル置換基、及び他の炭化水素置換基は、置換基中の炭素原子の数を示す数指示部を含んでもよく(すなわち、C1〜C8は、1〜8個の炭素を意味する)、そのような指示部は省略されてもよい。他に特定しない限り、本発明のアルキル基は、1〜10個の炭素原子を含む。例えば、アルキル基は、1〜2、1〜3、1〜4、1〜5、1〜6、1〜7、1〜8、1〜9、1〜10、2〜3、2〜4、2〜5、2〜6、3〜4、3〜5、3〜6、4〜5、4〜6又は5〜6つの炭素原子を含み得る。アルキル基の例は、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、t‐ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシル、n‐ヘプチル、n‐オクチルなどが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「フルオロアルキル(fluoroalkyl)」は、1つ以上のフッ素置換基を含むアルキル基を意味する。いくつかの実施態様では、フルオロアルキルは、すべての水素原子がフッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。フルオロアルキルの例は、トリフルオロメチル、2,2,2‐トリフルオロエチルなどが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルケニル(alkenyl)」は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖又は分岐の炭化水素を意味する。アルケニルは、任意の数の炭素、例えば、C2、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C2~7、C2~8、C2~9、C2~10、C3、C3~4、C3~5、C3~6、C4、C4~5、C4~6、C5、C5~6、及びC6が挙げられる。アルケニル基は、任意の適切な数の二重結合を有し得、限定されないが、1、2、3、4、5又はそれ以上が挙げられる。アルケニル基の例は、限定されないが、ビニル(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1‐ブテニル、2‐ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1‐ペンテニル、2‐ペンテニル、イソペンテニル、1,3‐ペンタジエニル、1,4‐ペンタジエニル、1‐ヘキセニル、2‐ヘキセニル、3‐ヘキセニル、1,3‐ヘキサジエニル、1,4‐ヘキサジエニル、1,5‐ヘキサジエニル、2,4‐ヘキサジエニル、又は1,3,5‐ヘキサトリエニルが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「接触(contacting)」は、少なくとも2つの異なる種が反応し得るようにそれらを接触させる方法を意味する。結果として生じる反応生成物が、添加された試薬間の反応から又は反応混合物において製造され得る添加された試薬の1つ以上由来の中間体から直接製造され得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「処理(treating)」は、物質と少なくとも1つの他の物質とを接触することを意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「ボラン誘導体(borane derivative)」は、少なくとも1つの炭素‐炭素結合を有する化合物を意味する。ボラン誘導体は、限定されないが、ボロン酸、アルケニルボラン、ビニルボランが挙げられる。ボラン誘導体は、適切な親分子、例えば、アルケンを有する、式R2BHを有するボランの反応を介して形成され得る。ボラン誘導体は、他の化合物に変換する前に、分離しそして精製し得、又はそれは、分離及び精製せずにインサイチュで使用され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「ボラン(borane)」は、3つの置換基に結合するボロン原子を含む化合物を意味する。いくつかの実施態様では、ボランは、1つ以上のアルキル置換基を含むアルキルボランである。ボランの例は、限定されないが、9‐ボラビシクロ‐[3.3.1]ノナン(9‐BBN)、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナンダイマー(9‐BBNダイマー)、ジシアミルボラン、及びジシクロヘキシルボランが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「保護基(protecting group)」は、非反応性の官能性部分を与えるために形成される部分を意味する。形成する部分は、官能性部分又は官能性部分を含む分子を「保護すること(protecting)」として意味される。保護基は、官能性部分をその最初の状態に戻すために除去し得る。保護基の除去は、「脱保護(deprotecting)」として意味される。ヒドロキシ保護基を含む、さまざまな保護基及び保護試薬は、当業者に周知であり、そしてProtective Groups in Organic Synthesis,4th edition,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,John Wiley&Sons,New York,2006に開示された化合物を含み、そしてそれは、参照としてその全体が本明細書中に組み込まれる。
本明細書中で使用される場合、用語「ハロゲン化ビニル(vinyl halide)」は、アルケン二重結合における不飽和炭素原子の1つと結合するハロゲン原子を含む任意のアルケンを意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「遷移金属(transition metal)」は、不完全なd軌道を有するか、又は不完全なd軌道を有する陽イオンを生じる原子によって特徴付けられる元素を意味する。遷移金属の例は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Rf、Db、Sg、Bh、Hs、Mt、Ds、Rg、Cnが挙げられる。ランタニド及びアクチニドは、また、本発明の方法において、遷移金属としての機能を果たし得る。
本明細書中で使用される場合、用語「遷移金属触媒(transition metal catalyst)」は、反応速度を変えるために化学反応に関与する少なくとも1つの遷移金属を含む化合物を意味する。一般的に、遷移金属触媒は、反応速度を増加させ、そしてそれ自体は、反応過程の間、消費されない。遷移金属触媒は、元素形態、例えば、パラジウムブロックであり得るか、又は遷移金属触媒は、1つ以上のリガンドに結合した遷移金属を含む配位錯体であり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「エポキシド(epoxide)」は、1つの酸素原子及び2つの炭素原子を含む3員環を意味する。一般的に、本発明のエポキシドは、前駆体、例えば、アルケンと適切なエポキシ化剤とを接触させることによって形成される。エポキシ化剤の例は、限定されないが、過酸、例えば、過酢酸及び3‐クロロ安息香酸が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「溶媒(solvent)」は、周囲温度及び圧力で液体である物質を意味する。溶媒の例は、水、アセトン、トルエン、塩化メチレン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及び石油エーテルが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アリル(allyl)」は、式‐CH2‐CH=CH2を有する部分を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「ハロゲン(halogen)」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を意味する。用語「ハロゲン化物(halide)」は、ハロゲン又は親ハロゲン由来の陰イオンを含む化合物を意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「ベンゾフェノン(benzophenone)」は、カルボニル炭素において2つのベンゼン基で置換されたケトンを意味する。用語「ベンゾフェノンイミン(benzophenone imine)」は、アンモニア及びベンゾフェノンの反応に由来するイミンを意味する。用語「ベンゾフェノンジアルキルアセタール(benzophenone dialkyl acetal)」は、ベンゾフェノンと2当量のアルキルアルコールとの反応に由来するアセタールを意味する。ベンゾフェノンイミン及びベンゾフェノンジアルキルアセタールは、また、他の反応を介して取得し得る。
本明細書中で使用される場合、用語「活性化(activating)」は、所望する反応相手に向かって官能基の反応性を高めることを意味する。官能基の活性化は、親官能基よりも反応相手に向かってより反応性である中間体を形成することを含み得る。いくつかの実施態様では、例えば、カルボニル含有化合物を活性化することは、シリルエノールエーテルを形成することを含む。
本明細書中で使用される場合、用語「ルイス酸(Lewis acid)」は、第二の化合物、すなわち、ルイス塩基から電子対を受け入れて、酸‐塩基付加化合物を形成し得る化合物を意味する。ルイス酸の例は、限定されないが、ハロゲン化金属、例えば、四塩化チタン(TiCl4)、二塩化亜鉛(ZnCl2)、及び二塩化錫及び四塩化錫(SnCl2及びSnCl4)、三フッ化ホウ素(BF3)、ハロゲン化アルミニウム及びアルキルアルミニウム(AlX3及びRnAlX3-n)、及び5フッ化リン及び5フッ化アンチモン(PF5及びSbF5)が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「塩基(base)」は、プロトン(すなわち、水素陽イオン)を受け入れて、塩基の共役酸を形成し得る分子を意味する。塩基の例は、限定されないが、ヒューニッヒ塩基(すなわち、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン)、2,6‐ルチジンを含むルチジン(すなわち、2,6‐ジメチルピリジン、また時々、ルチジンと呼ばれる)、トリエチルアミン、及びピリジンが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ジアステレオマー(diastereomer)」は、鏡像としてお互い関連しない化合物(すなわち、エナンチオマーでない)の2つ以上の立体異性体を意味する。用語「ジアステレオマー比(diastereomeric ratio)」は、ジアステレオマーの混合物における、1つのジアステレオマー対1つ以上の他のジアステレオマーの比率を意味する。
用語「スルタム(sultam)」は、S‐H化学結合が環の一部を形成する、環状スルホンアミド化合物を意味する。本明細書中で使用される場合、用語「スルタム」は、環状スルホンアミド(1R)‐(+)‐2,10‐カンファースルタム又は(1S)‐(−)‐2,10‐カンファースルタム、又はこれらの化合物の誘導体、そうでなければ、カンファースルタム又はOppolzer’sスルタムとして公知のものを意味し、そしてそれは、カンファー又はカンファーのエナンチオマーに由来する。これらのスルタムは、本明細書中に記載された発明において、キラル補助剤として使用される。
III.実施態様の説明
本発明のマクロラクタム化合物への合成アプローチは、3つの出発物質(本明細書中ではユニットと呼ぶ)の順次カップリングを含む。構成単位は、ユニットA(例えば、XIX又はそのジアステレオマーXIX’)と呼ばれるケトン、ユニットB(例えば、XX)と呼ばれるアルデヒド、及びユニットC(例えば、III)と呼ばれるヨウ化アミノビニルである。これらのユニットは、結合され、ユニットABCと呼ばれる、直鎖、非環式前駆体分子IVを形成する。直鎖、非環式前駆体化合物は、化学的に操作され、保護基を除去され、そしてその後、環化されて、マクロラクタム化合物(すなわち、VI及びI)を提供し、ここでそれら自体が治療薬として有用であり得、又は必要に応じて、さらなる合成操作を受けて、公知の治療薬であるエポキシド含有マクロラクタム化合物イキサベピロンを含む他の治療薬を製造し得る。この合成戦略は、スキーム6において概説される。
A.ユニットAについての方法
ユニットAは、N‐((3S)‐3‐オキシ‐5‐オキソ‐ヘプタノイル)‐ボルナン‐10,2‐スルタムXVIII又はXVIII’、又はC3ヒドロキシ保護誘導体XIX又はXIX’であり得る。好ましい実施態様では、ユニットAは、ケトンXIX又はそのジアステレオマーXIX’であり、ここでR1は、シリル保護基(例えば、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS))である。XIXは、当該技術分野において公知の方法を使用して調製し得る(例えば、Helv.Chim.Acta2002,85,4086‐4110を参照)。より好ましい実施態様では、ユニットAは、ケトンXIX’であり、ここでR1は、シリル保護基(例えば、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS))である。ケトンXIX’本明細書中に開示された方法(スキーム7)を使用して調製し得る。R1が、XIX及びXIX’において同じ保護基である場合、ケトンXIX及びXIX’は、立体異性体のジアステレオマー対である。
当該技術分野において、XIXは、ヒドロキシル基C3‐OHをブロッキングすることによってXVIIIから調製し得ることが知られている。XVIIIは、ルイス酸ジエチルボロントリフラート(diethylboron triflate)で市販のスルタムXVIを処理し、続いて、ジエチルイソプロピルアミンで処理し、続いて−75℃に冷却し、そしてアルデヒドXVIIと反応させることにより調製し得ることが当該技術分野において知られている(Helv.Chim.Acta2002,85,4086‐4110を参照)。本明細書中で記載されるように、新たな中間体XIX’は、ここでR1は、シリル保護基、例えば、TES、TIPS、TBS又はTBDPSであり、よりコスト効率の高い条件を使用して調製し得る。本方法では、−78℃、有機溶媒、好ましくは、乾燥ジクロロメタン(DCM)中で、アルデヒドXVII及びルイス酸TiCl4の混合物を、XVIのエナンチオマー、すなわち、N‐アセチルカンファースルタム(N‐アセチルボルナン‐10,2‐スルタム)XVI’と反応させ、そしてそれは、有機溶媒、好ましくは、乾燥DCM中で、シリルトリフラート、例えば、TBSOTf(tert‐ブチルジメチルシリルトリフラート)で、アミノ基、例えば、Et3N(トリエチルアミン)又は2,6‐ルチジンの存在下で、前処理することによって、活性化される。他のルイス酸(例えば、BF3エーテル、ランタニドトリフラート(例えば、Yb(OFt)3)、遷移金属トリフラート(例えば、Sc(OTf)3)、マグネシウム(II)塩、亜鉛(II)塩、他のTi(IV)塩又はTMSOTf(トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート))がまた、同様の向山アルドール反応で有用であることが知られている。アルデヒドXVIIを有する活性化XVI’の向山アルドール反応が完了した場合、水性後処理(aqueous workup)が行われ、そしてその後、XVIII’が、当該技術分野で公知の方法を使用して分離し得る。他のアルデヒドについてのものとは対照的に、アルデヒドXVIIとN‐アセチルカンファースルタムXVIとの反応は、ヘプタノイル鎖のC3に位置するキラルアルコールの反対の立体化学を提供する。従って、所望する立体化学を得るために、予測されるN‐アセチルスルタムXVIの反対のエナンチオマーが使用されなければならない。これは、新規方法において、N‐アセチルスルタムXVI’が使用されることである。
従って、代替的なアプローチを使用する場合、得られる生成物、XVIII’は、化合物XVIIIのジアステレオマーであり、公知の方法を使用してルイス酸Bu2BOTfを適用する場合、得られるであろう。C3の極めて重要なキラル中心は、そしてそれは、本発明のマクロラクタム生成物中に存在し、XVIII及びXVIII’の両方と同じである。XVIII’は、シリル化剤、例えば、塩化トリエチルシリル(TESCI)、塩化トリイソプロピルシリル(TIPSCI)、塩化tert‐ブチルジメチルシリル(TBSCI)、tert‐ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)又はtert‐ブチルジフェニルシリルトリフラート(TBDPSOTf)と反応し得、XIX’を提供し、ここで、それぞれ、R1=TES、TIPS、TBS又はTBDPSである。XIX及びXIX’は、両方とも、イキサベピロン、イキサベピロンアナログ、及びそれらの中間体の調製のために、構成単位(すなわち、ユニットA)として使用し得る。本明細書中で記載されるように、イキサベピロンを合成する場合、ユニットAが、式XIXa’の化合物(N‐((3S)‐3‐(tert‐ブチルジメチル)シリルオキシ‐5‐オキソ‐ヘプタノイル)‐ボルナン‐10,2‐スルタム)であることが好ましい。
B.ユニットBとユニットAの反応
ユニットAB、IIは、ユニットA及びユニットBの混合物であり、そしてN‐((3S)‐3,7‐ジオキシ‐5‐オキソ‐ウンデカ‐10‐エノイル)‐ボルナン‐10,2‐スルタム部分を含む。IIは、部分的にヒドロキシ保護された化合物XXII若しくはXXII’又は完全にヒドロキシ保護された化合物IIa又はIIa’であり得る。部分的に保護された及び完全に保護された化合物は、イキサベピロン、イキサベピロンアナログ、及び本発明の中間体においてすべて使用し得る。また、本明細書中で提供されるように、イキサベピロンを調製する場合、完全に保護された化合物IIa又はIIa’、例えば、ここでR1=TBS及びR2=TBSである、を使用することがより好ましく、IIaxを使用するよりも、IIax’(ここで、R1=TBS及びR2=TBS)を使用することがさらに好ましい。2重TBS保護化合物IIax’は、結晶性固体としてより分離し易く、製造規模上、その精製をより便利に、より効率良くそしてより安価にするので、IIa’の使用が、IIaの使用よりもより好ましい。
ユニットAB(II)は、ケトンXIX又はXIX’及びアルデヒドXXのアルドール反応によって調製され得る(スキーム8)。R1及びR2は、独立して、H(水素)又は保護基PG1及びPG2である。保護基は、好ましくは、シリル保護基、例えば、TES、TIPS、TBS又はTBDPSである。ユニットABの例は、式XXII、XXII’、IIa、又はIIa’である。IIa及びIIa’は、XXII及びXXII’のさらなる保護により調製される。好ましい実施態様では、R1がTBSであり、そしてR2がH又はTBSであり、そしてZがスルタムST又はその対掌体スルタムST’であり得、そして従って、これらの好ましい実施態様では、化合物IIa及びIIa’は、それぞれ、IIax及びIIax’である。より好ましくは、ユニットABは、式IIax’の化合物である。
好ましい実施態様では、ユニットA及びユニットBのジアステレオ選択性のアルドール反応は、主反応ユニットAB生成物、式IIの化合物(それは、式XXII及びXXII’の化合物として具体化される)が、必要な(6R,7S)‐立体化学を処理するように、使用される。より好ましくは、アルドール反応は、ケトンXIXa’及びアルデヒドXXの縮合反応であり、そして主生成物は、式XXIIa’の化合物である。ユニットBは、式XXのアルデヒド化合物である。アルデヒドXXは、当該技術分野において報告される方法を使用して調製し得る(例えば、Org.Lett.2009,11,5326‐5328を参照)。ケトンXIX、ここでR1はTBSであり、とα‐メチルアルデヒドとのチタンエノラートアルドール反応における優れた立体選択性が、報告されている(例えば、Org.Lett.2002,4,3811‐3814;J.Org.Chem.2004,69,9269‐9284を参照)。10:1〜20:1の(6R,7S)‐ジアステレオマー/d.r.を有する(6S,7R)ジアステレオマーに関する立体選択(それは、ジアステレオマー比(d.r.)として報告されている)が、ケトンXIX、ここで、R1はTBSであり、とα‐メチルアルデヒドXXIIIa及びXXIIIbとのチタンエノラートアルドール反応について、報告されている(Org.Lett.2002,4,3811‐3814;J.Org.Chem.2004,69,9269‐9284を参照)。α‐メチルアルデヒドXXIIIa及びXXIIIbは、エポチロンB及びDの合成のための中間体となることが提案されてきた。しかしながら、スルタム‐カップリングケトンXIX又はXIX’とアルデヒドXXとのカップリングのための、これらのチタンエノラートアルドール反応の使用は、アザエポチロン合成において有用である中間体の調製のために報告されていない。
本明細書中で記載されたケトンXIX又はXIX’及びアルデヒドXXのジアステレオ選択性チタン‐エノラートアルドール反応は、ケトン及びアルデヒドのチタン‐エノラートアルドール反応についての当該技術分野において報告された反応条件を使用して実施され得る。ケトンXIX又はXIX’は、チタン‐ベースルイス酸、例えば、TiCl4又はTiBr4、好ましくは、TiCl4で、低温、好ましくは、−50℃よりも低温、より好ましくは、−70℃よりも低温、そして最も好ましくは、約−70〜−78℃で、有機溶媒、好ましくは、DMCにおける処置、次に、アミン塩基、例えば、DIPEA(N,N‐ジイソプロピルエチルアミン;ヒューニッヒ塩基)、Et3N、Bu3N、好ましくは、DIPEAの添加により活性化される。ケトンの活性化後、アルデヒドは、低温、好ましくは、−50℃より低温、より好ましくは、−70℃より低温、そして最も好ましくは、約−70〜−78℃の間で維持された活性化ケトン混合物に添加される。アルデヒドXXは、ニート(溶媒なし)か、又は有機溶媒、例えば、DCM、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、又はn‐ヘプタン中か、又は有機溶媒の混合物、例えば、DCM及びn‐ヘプタン中に添加される。いくつかの溶媒、例えば、THF(テトラヒドロフラン)は、十分に高いレベルで存在する場合、本発明におけるXIX又はXIX’及びXXのアルドール反応を阻害し得、従って避けるべきである。アルデヒドXXのモル当量は、ケトンXIX又はXIX’に対して変化し得るが、しかしながら、現在、ケトンXIX又はXIX’の生成物XXII及びXXII’への優れた変換を可能にするために、少なくとも1.5モル当量のアルデヒドXXが使用されるべきであり、そしてより好ましくは、3モル当量超のアルデヒドXXが使用されるべきであることが見出された。最も好ましくは、約4モル当量のアルデヒドXXが、それぞれ、ケトンXIX又はXIX’のXXII又はXXII’への優れた化学変換を保証するために使用される。アルデヒドの添加に続いて、反応混合物は、一定期間、低温(約−70〜−78℃)で維持され得、又は生成物XXII及びXXII’を分離するために、反応後処理の前に、約0℃まで加温してもよい。
本発明におけるXIX又はXIX’及びXXのジアステレオ選択性チタンエノラートアルドール反応は、それぞれ、XXII又はXXII’の異なるジアステレオマー比(d.r.)を提供する(スキーム9)。例えば、XIXa及びXXのアルドール反応は、約91:9〜95:5の(6R,7S)‐ジアステレオマー/(6S,7R)‐ジアステレオマーのd.r.を有するXXIIaを提供する一方で、XIXa’及びXXのアルドール反応は、約84:16〜約86:14の(6R,7S)‐ジアステレオマー/(6S,7R)‐ジアステレオマーのd.r.を有するXXIIa’を提供する。
スキーム9‐XIX又はXIX’及びXXのチタン‐エノラートアルドール反応において形成されるXXII又はXXII’の2つの主要なジアステレオマー
好ましい実施態様では、分離されたXXIIa’(それは、式XXII’の化合物であり、ここでR1はTBSであり、そしてR2はHである)は、精製を必要とせず、そして次のステップにおいて使用して、IIax’(それは、式IIa’の化合物であり、ここで、R1はTBSであり、そしてR2はTBSである)を提供する。式IIa’の化合物は、ここでR2はシリル保護基であり、第二級アルコールのシリル化のための当該技術分野において公知の反応条件下、XXIIa’のシリル化により調製し得る。好ましい実施態様では、式XXIIa’の化合物は、有機溶媒、好ましくは、乾燥DCM中で、塩基、例えば、2,6‐ルチジン又はイミダゾール、より好ましくは、2,6‐ルチジンの存在下で、TBSOTf(tert‐ブチルジメチルシリルトリフラート)とのその反応によりシリル化される。
IIaxが必要とされる実施態様では、XXIIaの所望しない(6S,7R)‐ジアステレオマーが除去され得るように、そのシリル化の前に、その前駆体XXIIaが、結晶化又はカラムクロマトグラフィーによって精製されることが好ましい。結晶化によるXXIIaの精製は、MeOH(メタノール)及び水の混合物を使用することにより達成し得る。XXIIaの所望しない(6S,7R)‐ジアステレオマーを除去するためのカラムクロマトグラフィーによるXXIIaの精製は(分離されたXXIIaのd.r.を、約99:1にする)、高いキラル純度のIIaxを得られ得ることを保証する。式IIaの化合物は、当該技術分野において公知の方法、例えば、カラムクロマトグラフィーによって精製し得る。本発明のIIaxは、その前駆体XXIIaが、カラムクロマトグラフィーによってこのように精製される場合、約99:1のd.r.で得られ得る。
いくつかの好ましい実施態様では、固体化合物IIax’は、MeOHを含む有機溶媒から再結晶化によって精製される。MeOH由来の粗IIax’の再結晶化は、高い化学及びキラル純度を有するIIax’を提供する。再結晶化されたIIax’の(6R,7S)‐ジアステレオマー/(6S,7R)‐ジアステレオマーのd.r.は、99:1以上である。複数の再結晶化は、再結晶化IIax’の(6R,7S)‐ジアステレオマー/(6S,7R)‐ジアステレオマーのさらに高いd.r.を提供し得る。従って、従って、IIax及びIIax’の両方が本発明においてイキサベピロン又はそのアナログ及び誘導体の製造のために使用し得るが、IIax’が、その高いキラル純度、及びその製造における利便性のために好ましい。
XIX又はXIX’及びXXのチタン‐エノラートアルドール反応によって製造されるXXII又はXXII’についてのd.r.値の結果は、それぞれ、イキサベピロンの製造のために、XIX’と対照的に、XIXがより良い構成単位であることを示唆するであろう。しかしながら、2つの予期しない要因が、XIX’が本明細書中に記載された方法を使用するイキサベピロンの製造のためにXIXよりもより適切であることを明らかにする。第一に、キラル中間体において使用される、天然生成物(+)‐カンファーは、オイルであるが、XXII’及びIIax’は、両方とも固体化合物である。これは、天然生成物(+)‐カンファー由来の化合物IIaxは、オイルであるが、(+)‐カンファーの非天然エナンチオマー由来の2つの化合物(すなわち、XXII’及びXXax’)は、固体である。ジアステレオマー化合物の物理特性におけるこの相違の結果は、IIax’の製造が、IIaxのものよりも効率的であることである。実際、好ましい実施態様では、IIax’は、XIXa’及びXXのカップリング、続いてシリル化及び結晶化から、クロマトグラフィー精製の必要なしに、(6R,7S)‐ジアステレオマー/(6S,7R)‐ジアステレオマーの99:1以上のジアステレオマー比及び60%超の高キラル純度の全体収率で、調製され得る。IIax’の高キラル純度及びジアステレオマー純度が、メタノールからIIax’の結晶化によって容易に達成される。対照的に、IIaxは、油状の物理形態で製造され、そして所望しない(6S,7R)‐ジアステレオマーが、カラムクロマトグラフィーによって除去されなければならない。従って、本明細書中に記載のイキサベピロンの製造において、XIX’、XXII’及びIIax’が、対応するジアステレオマーXIX、XXII及びIIaxよりもむしろ中間体として使用されることが好ましい。さらに他の利点は、下に記載するが、IIax’由来のスルタム含有中間体IVax’の加水分解が、対応するスルタム含有中間体IVax、そしてそれは、IVax’のジアステレオマーであり、そしてIIaxに由来し、の加水分解よりも高い収率でXXVIaxを提供する。
式II(ユニットAB)の化合物のスルタム基(ZはスルタムST又はスルタムST’である)は除去し得、そして、酸素ベース基、例えば、アルキルエステル又はシリルエステルに変えることができる。これは、当該技術分野における公知の方法(例えば、LiOH又はNaOH及びH2O2等)を使用する式IIa又はIIa’の化合物のアミド結合の加水分解によって達成され、IIのカルボン酸誘導体、例えば、XXIVaを提供し得、そしてそれは、その後、当該技術分野において公知の方法を使用して、エステル化されて、エステル(スキーム8)、例えば、XXVaを提供し得る。これらのエステルは、イキサベピロン及びその誘導体及びアナログを調製するために使用し得る。
ユニットCの調製
ユニットCは、一般式IIIによって表される(スキーム10)。RAは、非置換若しくは置換のアリール基、又は非置換又は置換のヘテロアリール基であり、そして好ましくは、ラジカル2‐メチル‐チアゾール‐4‐イルである。RBおよびRCは、独立して、アルキル、フルオロアルキル、非置換若しくは置換のアリール基、又は非置換若しくは置換のヘテロアリール基であり、そして両方とも好ましくはメチルである。Xは、I、Br、及びClからなる群から選択され、又は非ハロゲン、例えば、トリフラート(OSO2CF3)若しくはホスフェート(OPO(OR)2)であり、好ましくは、Iである。R3及びR4は、独立して、水素(H)又は保護基である。本発明のマクロラクタム化合物の調製のための好ましい実施態様では、IIIは、式III’の化合物であり、そしてイキサベピロンの合成のために有用な好ましい実施態様では、IIIはIIIa’である。IIIは、また、IIIb’、IIId’、IIIe’、及びIIIc’であり得る。
化合物IIIa’(スキーム11を参照)は、公知の方法によって調製し得る。残念なことに、IIIaの合成のための報告された方法(J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378中で報告された2つの方法を参照)は、長い合成経路を必要とし、そして低い収率である。従って、製造規模で実施され得る新規及びより効率的な経路の必要性が存在する。本発明では、IIIb’、IIIa’、IIId’、IIIe’、及びIIIc’として具体化されるIIIは、重要な反応ステップとして、キラルN‐スルフィニルイミンXIのC‐N二重結合へのアリル化試薬ALの1,2‐付加を含む新規方法を使用して調製し、高い立体純度を有するキラルN‐スルフィニルアミンXII(スキーム10)を提供する。N‐スルフィニルイミンXIは、例えば、Chem.Rev.,2010,110,3600‐3740において提供される条件を使用して、又は本明細書中で記載された方法を使用して、tert‐ブタンスルフィンアミドでの縮合によって、α,β‐不飽和アルデヒドXから調製し得る。例えば、Xaは、数時間、室温で、活性化剤、例えば、Ti(Oi‐Pr)4、Ti(OEt)4、MgSO4、CsCO3、又はKHSO4の存在下、最も好ましくはKHSO4の存在下で、乾燥溶媒、好ましくは、乾燥トルエン中で、(R)‐(+)‐N‐tert‐ブタンスルフィンアミドと反応させ、次に水性後処理し、そして真空下で濃縮して、XIa提供し得る。次の反応ステップでは、アリル化試薬ALの原子Mが、Mg、Zn、In、Li、Sn、Ce、Al、B、ランタニド又はSiを含む、C‐N二重結合への1,2‐付加において有用な金属又は半金属であり得る。マグネシウムは、1,2‐付加反応で得られ得る高い立体選択性(≧98%d.e.(ジアステレオマー過剰率)のため、より好ましい。Mが、金属、例えば、Znである場合、金属塩、例えば、InCl3及びIn(OTf)3は、反応混合物に加えられ得る。式AL中のnの値は、1、2、3又は4であり得るが、好ましくは、1である。例えば、XIaの乾燥有機溶媒における溶液、例えば、DCM、ジエチルエーテル、THF又は2‐Me‐THF(2‐メチルテトラヒドロフラン)、より好ましくは、乾燥DCM又は乾燥2‐Me‐THFにおける溶液は、ジエチルエーテル又は2‐Me‐THF中で、より好ましくは、2‐Me‐THF中で、約<−40℃で、アリルマグネシウムブロミドと反応し得る。ジエチルエーテル中のアリルマグネシウムブロミドは、市販されているが、アリルマグネシウムブロミドが2‐Me‐THFにおいて調製される場合、XIaのXIIaへの変換における改善された立体選択性は、本反応中において達成され得る。従って、2‐Me‐THF中のアリルマグネシウムブロミドが、本反応において使用されることが好ましい。アリル化試薬及びイミン誘導体XIの1,2‐付加反応が完了すれば、生成物混合物は、約−20℃で、弱い水性酸、例えば、飽和水性塩化アンモニウムで処理され、次に、室温に温められ得る。次の水性後処理では、XIIaは、分離し得、そして任意により、沈殿又はカラムクロマトグラフィーを含む当該技術分野において公知の方法により精製され得る。本発明の好ましい実施態様では、XIIaは、MTBE(メチルtert‐ブチルエチル)及びn‐ヘプタンの溶液からそれを沈殿することにより、固体化合物として、高い化学純度及び高いジアステレオマー純度(d.e.)、例えば、≧99%d.e.で分離し得る。また、半金属のアリル誘導体、例えば、ボロン及びシリコンは、アリル化試薬ALの代わりとして、それら自体又は活性化剤、例えば、ルイス酸、例えば、TMSOTf、Ti(IV)及びAl(III)塩、又はTBAF(フッ化テトラ‐N‐ブチルアンモニウム)又はMeLiの存在下、有用であり得る。
本発明の1つの実施態様では、アリル化試薬ALは、アリルマグネシウムブロミド(ALa)であり、IIIは、任意のIIIb’、IIIa’、IIId’、IIIe’又はIIIc’であり(スキーム11)、そして好ましくは、IIIb’、IIIa’又はIIId’であり、より好ましくは、IIIb’又はIIIa’であり、そして最も好ましくは、IIIa’である。これらのすべての化合物は、本明細書中に開示された方法を使用して、市販の化合物Xaから調製し得る。IIIa’は、本明細書中の方法を使用する、イキサベピロン及びその誘導体及びアナログの製造のために有用である。
XIIの本発明の一般式IIIの化合物への変換は、いくつかの方法で遂行し得る(スキーム12)。例えば、強酸を使用する、XIIのスルフィニルキラル補助剤の除去は、遊離塩基又は塩(例えば、HCl、p‐トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸又は(L)‐(+)‐若しくは(D)‐(−)‐酒石酸塩)として得られ得るアリルアミンXIIIを提供する。XIIIの遊離塩基又は塩形態の窒素原子の保護は、XIVを提供する。XIVは、その後、1ポット、2ステップ酸化及びWittig反応を介して認定され(J.Am.Chem.Soc.2000,122,10521‐10532)、ハロゲン化ビニルIIIを提供する。
例えば、有機溶媒、例えば、MeOH又は1,4‐ジオキサン、好ましくは、MeOHにおける、XIIaの、エーテル溶媒、例えば、ジエチルエーテル又は1,4‐ジオキサイン、好ましくは、ジエチルエーテルにおけるHCl溶液での、室温での処理は、アリルアミンXIIIaの塩酸塩(HCl)の有機溶媒溶液を提供する。アリルアミンXIIIaの塩酸塩の中和は、塩基、例えば、水性NaOHで行い得、次の反応ステップにおいてさらなる精製なしで使用し得るアリルアミンXIIIaを提供し、あるいは、それは、例えば、カラムクロマトグラフィーにより、精製され得る。あるいは、MeOHにおける、XIIaの、室温での、濃水性HClでの処理は、アリルアミンXIIIaの塩酸塩(HCl)を提供し、そしてそれは、その後、水中に抽出され、有機溶媒、例えば、MTBEで混合され、そしてpHが約10〜11に高まるまで、10%水性NaOHで処理される。水及びブラインでの有機相の洗浄は、その後減圧下で濃縮される有機溶液を提供し、優れた化学純度を有するアリルアミンXIIIaを提供する。アリルアミンXIIIaは、有機溶媒、例えば、THF、2‐Me‐THF、又はDCM、好ましくはDCM中で、任意により、塩基、例えば、Et3Nの存在下で、ジ‐tert‐ブチルジカルボネート(また、BOC無水物又はBOC2Oとして公知である)で処理することにより、そのN‐tert‐ブトキシカルボニル(N‐BOC)保護誘導体XIVaxに変換され得る。好ましくは、DCM中のXIIIaは、塩基の存在下、ジ‐tert‐ブチルジカルボネートと反応され、そして反応の完了に続いて、反応混合物が濃縮され、そしてXIVaxが、n‐ヘプタンの添加によって、高い収率及び高い化学純度で沈殿される。
1つの実施態様では、オレフィンXIVは、ジヒドロキシル化反応中間体XXIの分離なしで、1ポット/2ステップジヒドロキシル化及び酸化反応順序により、アルデヒドXVに変換し得る。この順序は、第一酸化剤を使用するXIVの二重結合のジヒドロキシル化を含み、ジヒドロキシ化合物XXIを提供する。
第一酸化は、1ステップのリガンドの存在又は不在下で、第一酸化剤、例えば、H2O2、t‐BuOOH、DMDO(ジメチルジオキシラン)、m‐CPBA(メタ‐クロロペルオキシ安息香酸)であり得、又は、他の酸化剤、例えば、過ヨード酸塩又は過酸化物と組み合わせて、例えば、Rh、Ru、Pt、Pd、Cu、Ce又はOs塩の触媒又は化学量論量を使用する金属条件であり得、そして好ましくは、溶媒、例えば、水、ケトン、アルコール、エーテル、ニトリル又はイオン液体又は任意のこれらの組み合わせを使用する、オスミウム酸塩試薬及び4‐メチルモルホリンN‐オキシドの触媒量の組み合わせであるが、より好ましくは、アセトン及び水の混合物である。反応が、分析技術、例えば、HPLC分析によって決定されるように、完了の十分なレベルに達したと見なされる場合、剤が、オスミウム塩の酸化能を抑制し又は非活性化する生成物混合物に添加される。この非活性化剤は、好ましくは、ルイス塩基、例えば、ピリジン又はピリジン誘導体、例えば、N,N‐ジメチル‐4‐アミノピリジン(DMAP)である。この非活性化は、第二反応ステップにおいて、残存している二重結合の酸化を阻害するために必要である(すなわち、ジヒドロキシ化合物XXIのアルデヒドXVへの変換において)。非活性化剤の添加後、第二酸化剤が、ジヒドロキシ化合物XXIの分離なしで、混合物に添加され、ジヒドロキシル化中間体XXIのアルデヒドXVへの変換をもたらす。第二酸化剤は、溶媒、例えば、水、エーテル、ジオキサン、ニトリル、EtOAc(酢酸エチル)又は塩素化炭化水素を使用して、NaIO4、HIO4、PbI(OAc)2又はPb(OAc)4であり得、そして好ましくは、NaIO4であり得るが、より好ましくは、アセトン及び水の混合物である。この反応順序は、ジヒドロキシ中間体XXIは分離を必要としないが、代わりに、第二酸化剤の添加時に、同じ溶媒を使用する同じ反応槽中で、アルデヒドXVに直接変換し得るので、製造規模における利点を有する。
オレフィンXIVのアルデヒドXVへの変換の他の実施態様では、XIVの二重結合のジジヒドロキシル化は、酸化剤を使用して遂行され、ジヒドロキシ化合物XXIを提供する。酸化剤は、例えば、H2O2、t‐BuOOH、DMDO、m‐CPBAなどの酸化剤であり得、又は、リガンドの存在又は不在下で、他の酸化剤、例えば、過ヨード酸塩又は過酸化物と組み合わせて、金属試薬、例えば、触媒又は化学量論量のRh、Ru、Pt、Pd、Cu、Ce又はOs塩であり得、そして好ましくは、溶媒、例えば、THF及び水の混合物を使用する、(DHQ)2PHALの存在下で、オスミウム酸塩及び4‐メチルモルホリンN‐オキシドの触媒量の組み合わせである。その後、ジヒドロキシ化合物XXIは、分離され、そして当該技術分野において公知の技術、例えば、結晶化又はクロマトグラフィーを使用して精製される。精製されたジヒドロキシ化合物XXIは、その後、酸化され、酸化剤を使用してアルデヒドXVを提供する。酸化剤は、溶媒、例えば、水、エーテル、ジオキサン、ニトリル、EtOAc又は塩素化炭化水素を使用して、NaIO4、HIO4、PbI(OAc)2又はPb(OAc)4であり得、そして好ましくは、NaIO4であり得るが、より好ましくは、THF及び水の混合物である。
式XVの化合物の式IIIの化合物への変換は、ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムから生じるイリドを使用して、Wittig試薬により達成される。ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムは、J.Am.Chem.Soc.2000,122,10521‐10532に記載されるように、ヨウ化(エチル)トリフェニルホスホニウムから調製され得るが、マルチグラム規模又はより大きな規模において、ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムは分離され、そしてその使用前に精製されることが最もよいことが、現在見出されている(Org.Lett.2008,10,1353‐1356)。これは、当該技術分野で公知の方法に対して明暗を有し(例えば、J.Am.Chem.Soc.2000,122,10521‐10532)、ここで、ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムは、インサイチュで作り出され、そして、その分離なしで、次の反応ステップにおいて直接使用される。従って、好ましい実施態様では、乾燥ヨウ化(エチル)トリフェニルホスホニウムは、有機溶媒、例えば、THF又は2‐Me‐THFにおいて、周囲温度より低い温度、好ましくは約0〜10℃で、強塩基、例えば、n‐BuLiで脱プロトン化される。周囲温度まで加温した後、脱プロトン化中間体は、その後、約−50〜−60℃に冷却され、そしてヨウ素化剤、例えば、ヨウ素でヨウ化される。従って、周囲温度まで加温した後、形成された粗ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムは、濾過により、反応スラリーから分離される。粗ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムの精製は、それが、次の反応ステップにおいて、より良い有効性を提供するので、好ましい。粗ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムの精製は、十分な期間、有機溶媒中で、粗ヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムのスラリーを撹拌し、そして濾過することにより達成し得る。有機溶媒は、実質的にヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムを溶解しないが、不純物を選択的に溶解し得るものである。好ましい溶媒は、DCM又はMeCN(アセトニトリル)が挙げられる。このスラリー過程は、次の反応ステップにおいて不純物形成につながり得る、特定の不純物、例えば、未反応のヨウ化(エチル)トリフェニルホスホニウムの除去をもたらす。このスラリー精製が、それが低い融点を有し、そして分離された固体の乾燥時に、精製されたヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムから容易に除去されるので、DCM中で行われるのがより好ましい。
精製されたヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムは、当該技術分野において公知の技術、好ましくは、真空オーブンを使用して乾燥され、任意の不注意に吸収された湿気を除去する。乾燥された試薬は、その後、有機溶媒、例えば、THF、2‐Me‐THF、MeCN又はトルエンと混合され、又は2‐Me‐THFとTPPA(トリピロリジノリン酸トリアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DME(1,2‐ジメトキシエタン)、ジグリム、NMP(N‐メチル‐2‐ピロリドン)、TMEDA(N,N,N’,N’‐テトラメチルエチレンジアミン)又はDMAc(ジメチルアセトアミド)の組み合わせと混合され、そして、周囲温度未満の温度、例えば、約−20℃以下で、強塩基、例えば、LiHMDS(リチウムビス(トリメチル)アミド)、NaHMDS(ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、KHMDS(カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)又はn‐BuLi(n‐ブチルリチウム)と反応させる。強塩基とヨウ化(1‐ヨードエチル)トリフェニルホスホニウムの脱プロトン化の次に、反応温度が、例えば、約−50℃以下に下げられ、そしてアルデヒドXVが、好ましくは、有機溶媒、例えば、THF又は2‐Me‐THF中に溶解されており、添加される。反応の完了に続いて、後処理が行われ、そしてIIIが分離され、そして好ましくは、精製される。IIIが固体の場合、好ましくは、結晶化によって精製される。IIIが非固体化合物、例えば、IIIaの場合、好ましくは、カラムクロマトグラフィーで精製される。
保護基R4が、tert‐ブチルオキシカルボニル(BOC;t‐BOC;Boc)である場合、R3は、Hであり、R4は、2‐メチル‐チアゾール‐4‐イル基であり、そしてRB及びRCは、メチルであり、そしてXは、Iであり、一般式III(ユニットC)は、式IIIa’の化合物である。式IIIa’の化合物は、イキサベピロンの製造に有用である。本明細書中で開示した方法を使用するIIIa’のR4の脱保護は、アリルアミンIIIb’を提供し、そしてそれは、その遊離塩基形態又は塩として分離し得る(ここで、HXはブレンステッド酸であり、Hはプロトンであり、そしてXは共役塩基、例えば、式IIIb‐HClの化合物中のHCl等である)。アリルアミンIIIb’は、イキサベピロンの製造のために使用し得る。あるいは、アリルアミンIIIb’は、触媒の存在下で、ベンゾフェノンと反応して、ベンゾフェノンイミンIIIc’を提供し得る。あるいは、塩基、例えば、NaHMDSとIIIa’の脱プロトン化及びジ‐tert‐ブチルジカルボネートとIIIa’の脱プロトン化形態との反応を含む、本明細書中で開示された方法を使用する、さらなるIIIa’のBOC保護は、ビス‐BOC保護ハロゲン化ビニルIIId’を提供する。ビス‐BOC保護ハロゲン化ビニルIIId’は、イキサベピロンの製造に使用し得る。あるいは、本明細書中で開示された方法を使用する、XIIの硫黄原子及び二重結合の両方の酸化は、アルデヒドXVb’を提供し、そしてそれは、その後、2ステップ酸化及びWittig反応順序を介して認定され、ハロゲン化ビニルIIIe’を提供し得、ここでR4は、Hであり、RBは、メチル(Me)であり、そしてRAは、2‐メチル‐チアゾール‐4‐イル基である。
D.非環式前駆体ABCの調製
本発明のイキサベピロン及びイキサベピロンアナログの非環式前駆体IVは、炭素‐炭素カップリング反応、例えば、β‐アルキル鈴木反応の使用により、アルケンIIのボラン誘導体(ユニットAB)とハロゲン化ビニル(ユニットC)のカップリングによって調製される(スキーム13)。β‐アルキル鈴木反応は、金属触媒炭素‐炭素結合形成反応である。β‐アルキル鈴木反応で使用されるアルケンIIのボラン誘導体は、またアルキボランとして公知であり、当該技術分野において公知の方法を使用して、アルケンと9‐ボラビシクロ‐[3.3.1]ノナン(9‐BBN)、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナンダイマー(9‐BBNダイマー)、ジシアミルボラン、ジシクロヘキシルボラン、又は他のボラン誘導体との反応により調製し得る。9‐BBN、又はそのダイマーは、IIa又はIIa’のヒドロホウ素化のための最も好ましいボランであり、そしてIIa又はIIa’及びIIIaのカップリングにおいて有用である。IIa又はIIa’のヒドロホウ素化の際に生成されるアルキルボランは、分離又は精製なしで、鈴木反応に直接使用され得る(例えば、J.Am.Chem.Soc.1989,111,314‐321及びChem.Rev.1995,95,2457‐2483を参照)。アルケンIIの鈴木反応又はβ‐アルキル鈴木反応が、本発明の方法に従って使用される場合、アルケンは、パラジウム‐触媒カップリングステップの前に、それらのボラン誘導体に最初に変換される。
本発明の1つの実施態様では、IIIは、IIIb、IIIa、IIId、IIIe、又はIIIcのいずれかであり、そして好ましくは、IIIb、IIIa、又はIIIdであり、より好ましくは、IIIb又はIIIaであり、最も好ましくは、IIIaであり、そしてこれは、鈴木反応において、アルケン化合物XXII、XXII’、IIa又はIIa’のボラン誘導体、最も好ましくは、IIa’の9‐BBN誘導体とカップリングされ、IVを与える(スキーム14)。好ましくは、R3及びR4は、H又はBOCであり、さらにより好ましくは、R3はHであり、そしてR4はBOCである。R1及びR2は、H又は保護基であり、好ましくは、TES,TIPS、TBS及びTBDPSを含むシリル保護基であり、最も好ましくは、TBSである。イキサベピロンの製造のために、IIa’のスルタム基ST’が、より効率的に除去されて、IIaのスルタム基STよりもカルボン酸XXVIaを提供するので、IIa’が、IIaよりもより好ましい。イキサベピロンの製造のために、IIax’がIIIa’とカップリングして、IVを与えるのが最も好ましく、ここで、Zは、スルタムST’であり、R1及びR2は、TBSであり、R3はHであり、そしてR4はBOCであり、そしてRAは、2‐メチル‐チアゾール‐4‐イルであり、RB及びRCは、メチルである。
N‐BOCアミン誘導体IIIaとオレフィンD2aのボラン誘導体との鈴木反応は、以前に報告されており(J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378)、10%の収率のD3aを与える(スキーム5を参照)。その報告では、IIIaのカップリングにおいて低い収率が得られ、そしてN‐BOCカルバメート基の存在のためと考えられる。改善された63%の収率が、ヨウ化ビニルのN‐BOCカルバメート基をアジド基で置換した場合、得られた。驚くべきことに、本明細書中で与えられるように、N‐BOCアミン誘導体IIIaは、IIa又はIIa’の9‐BBNヒドロホウ素化誘導体と非常に効率よくカップリングし得る。実際、>90%のIVax及びIVax’の分離収率(すなわち、IV、ここで、R1及びR2はTBSであり、ZはスルタムST又はスルタムST’であり、R3はHであり、R4は、BOCである)は、本発明の方法を使用して得られ得る。さらに、ヒ素ベースリガンド、トリフェニルアルシン(AsPh3)(例えば、J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378での鈴木反応の報告のように)は、本明細書中で記載したように、N‐BOCアミン誘導体IIIaとIIa又はIIa’の9‐BBNヒドロホウ素化誘導体のカップリングにおいて必要とされない。要するに、過程が、現在、IIa又はIIa’の9‐BBNヒドロホウ素化誘導体が、N‐BOCアミン誘導体IIIaとカップリングし、アジド誘導体を必要とせず、そしてヒ素ベースリガンド(AsPh3)を必要とせずに、高い収率(≧90〜98%)のIVを与えることを見出した。例えば、5mol%の[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl2)の存在下、さらなるリン又はヒ素ベースのリガンドなしで、1.3モル当量のIIax’の9‐BBNヒドロホウ素化誘導体とIIIa’のカップリング、及びN,N‐ジエチルホルムアミド(DMF)中でのCs2CO3の3モル当量は、50℃で、たった1時間の反応後、IVax又はIVax’の98%までの分離収率(カラムクロマトグラフィーの後に)を提供した。
IIaの9‐BBNヒドロホウ素化誘導体のIIA’の鈴木反応に加えて、部分的に保護されたアナログXXII及びXXII’が、N‐BOCアミン誘導体IIIaとカップリングし得ることも見出した。部分的に保護されたアナログの使用は、追加的な保護ステップを必要としないという利点を提供するが、C7‐ヒドロキシル基の保護の欠如は、レトロ‐アルドール反応を生じることを可能にし、不純物を生成し、そして変換収率を低下させる。従って、両ヒドロキシル基(すなわち、C3‐及びC7‐ヒドロキシル基)が、保護されている(すなわち、鈴木カップリングステップにおけるIIa及びIIa’の使用が、XXII又はXXII’の使用よりも好ましい)ことが最も好ましい。完全に保護されていないアナログ(すなわち、C3‐及びC7‐ヒドロキシル基は保護されていない)は、β‐アルキル鈴木反応においてかなりのレベルのレトロ‐アルドール反応を生じ、低い収率及び不純物形成をもたらすので、好ましくない。
スズキ反応においてN‐BOCアミン誘導体IIIaを使用することに加えて、他の保護された及び保護されていないアミンアナログが使用し得る。保護されていない遊離アミンIIIb又はその塩IIIb‐HClは、II(例えば、IIa又はIIa’)とカップリングして、IVを提供し得、ここで、R3はR4であり、そしてR4はHであるが、好ましくは、カップリングは、ジ‐tert‐ブチルジカルボネート((BOC)2O)の存在下で行われ、そしてそれは、生成物のN‐BOC誘導体(すなわち、IVは、ここで、R3はHであり、そしてR4はBOCである)又はこの混合物及びIVを提供し、ここでR3’及びR4’は、Hである。
式IVを有する非環式前駆体は、次に、Z基及び窒素保護基R3及びR4(R3はHではない)の除去により、式Vの非環式前駆体アミノ酸化合物に変換される(スキーム15)。Z基及び保護基R3及びR4(R3はHではない)の除去は、いずれかの順序(すなわち、Z基がR3及びR4(R3はHではない)の前に除去され得るか、又はその逆)で行われ、中間体XXVIを提供する。実施態様では、Z基は、アルキルエステル、例えば、tert‐ブチルエステル又はシリルエステル、例えば、2‐(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)であり、そしてR4(そしてR3がHでない場合)は、ブレンステッド及び/又はルイス酸センシティブ保護基、例えば、BOCであり、Z基は、任意により、ブレンステッド酸、例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)又はルイス酸、例えば、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)を使用して、R4(そしてR3がHでない場合)の除去と同時に、除去される。任意により、Z基は、アルキルエステル、例えば、tert‐ブチルエステル又はシリルエステル、例えば、SEMであり、R1及びR2がシリル保護基、例えば、TES、TIPS、TBS又はTBDPSである場合、それは、R1及びR2の脱プロトン化の間に同時に除去され得る。他の実施態様では、Z基の除去を開始すると、保護基R1及びR2が、アミノ酸IX、ここでR1及びR2はHであり、を得るように、R4(そしてR3がHでない場合)と同時に、除去され得、そしてそれは、アザエポチロン、例えば、イキサベピロンの合成に有用な、完全に保護されていな中間体である。
直鎖アミノ酸Vは、その後、マクロラクタム化反応により環化され、当該技術分野において公知の方法を使用してマクロラクタムVIを提供する。マクロラクタム化反応は、直鎖アミノ酸又はアミノ酸誘導体、例えば、アミノエステルからの大環状アミドの形成である。マクロラクタムVIの保護基R1及びR2の脱保護は、その後、アザエポチロンIを提供する。実施態様では、IXにおいて、R1及びR2はHであり、IXのマクロラクタム化は、アザエポチロンIを直接提供する。任意により、マクロラクタムIは、その後、公知の方法を使用するエポキシ化により、アザエポチロンを含むエポキシドに変換される。
いくつかの実施態様では、R1及びR2は、TBSであり、R4及びR4’は、BOCであり、R3及びR3’はHであり、そしてZは、スルタムST若しくはスルタムST’、又はSEMである。いくつかの実施態様では、RAは、2‐メチル‐チアゾール‐4‐イルであり、RB及びRCは、メチルである。従って、本発明のこれらの実施態様では、非環式前駆体IVは、式IVax又はIVax’の化合物であり、非環式前駆体XXVIは、式XXVIax又はXXVIbx又はXXVIbx’の化合物であり、非環式前駆体Vは、式Vaxの化合物であり、マクロラクタムVIは、式VIax化合物であり、マクロラクタムIは、式Iaの化合物であり、そしてアザエポチロンVIIを含むエポキシドは、イキサベピロンである(スキーム16及び15)。他の実施態様では、非環式前駆体IVは、式XXVIIax又はXXVIIax’化合物であり(スキーム18)、そして完全に保護されていない非環式前駆体IXは、式IXaの化合物である(スキーム17)。
好ましくは、R4がBOCである場合、そしてZ基がスルタムST又はスルタムST’である場合、中間体XXVIのZ基は、R4(R4’)の脱保護の前に、OHに変換される。
本明細書中で提供される化合物IVax及びIVax’を含むスルタムは、2つの異なる経路を介して、Vaxに変換され得る。好ましい経路では、化合物IVax又はIVax’のスルタム基が、加水分解により除去され、水酸化物及び有機溶媒の混合物又は溶媒の混合物を使用して、XXVIaxを提供する。好ましくは、過酸化水素(H2O2)が、混合物に添加される。H2O2は、水性H2O2であり得る。水酸化物は、アルキル金属水酸化物、例えば、限定されないが、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、アルカリ土類金属水酸化物、例えば、限定されないが、Mg(OH)2、Ba(OH)2、及びアンモニウム水酸化物、例えば、限定されないが、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)が挙げられる。有機溶媒は、限定されないが、エステル、例えば、2‐Me‐THF(2‐メチルテトラヒドロフラン)、THF(テトラヒドロフラン)、ジメトキシエタン(DME)、及びアルコール、例えば、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、プロパノール、例えば、n‐プロパノール(n‐PrOH)及びイソプロパノール(i‐PrOH)、及びブタノール、例えば、n‐ブタノール(n‐BuOH)、及びこれらの混合物が挙げられる。H2O2は、好ましくは、水性溶液である。NaOHを水酸化物として使用する場合、2‐Me‐THF又はTHF及びMeOHが、好ましい溶媒混合物であり、そして70%超のXXVIaxの収率である。テトラブチルアンモニウム水酸化物を使用する場合、ジメトキシエタン(DME)が、反応溶媒として好ましい。この反応ステップの後に、XXVIaxのBOC保護基は、溶媒、例えば、DMC(ジクロロメタン)中の、ブレンステッド酸、例えば、HCl若しくはH2SO4、又はルイス酸、例えば、TMSOTfを使用して除去される。ルイス酸TMSOTfが、BOC保護基の除去を達成するために使用され、アミノ酸化合物Vaxを提供する場合、好ましくは、反応が、2,6‐ルチジン(2,6‐ジメチルピリジン)の存在下で行われる。TFHが、TMSOTfの代わりに使用される場合、XXVIaxのBOC基及びTBS基の両方が同時に除去され、完全に保護されていないアミノ酸化合物XIaを提供する(スキーム17)。化合物IVax又はIVax’は、代替的な反応順序を使用して、Vaxに変換され得る。この代替的な反応順序は、化合物IVax又は化合物IVax’の試薬系での処理を含み、BOC保護基、例えば、DCM中のTMSOTfを、2,6‐ルチジンの存在下、脱保護し、化合物XXVIbx又は化合物XXVIbx’をそれぞれ提供し得、その後、水酸化物、H2O2及び有機溶媒の混合物で又は有機溶媒の混合物で処理する際、アミノ酸化合物Vaxに変換し得る。例えば、化合物XXVIbx又はXXVIbx’は、LiOH又はNaOH、2‐Me‐THF又はTHF及びMeOHにおける水性H2O2又はこれらの混合物での処理で、又はテトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)及びDMEにおける水性H2O2での処理で、アミノ酸化合物Vaxに変換され得る。アミノ酸化合物Vaxへのこの代替的な経路(すなわち、化合物XXVIbx又はXXVIbx’を介した)は、C15アミノ基の保護の欠如が、いくらかの又はかなりのレベルのN‐酸化を引き起こすことを可能にするので、XXVIaxを介して進む経路よりも好ましくない。すなわち、化合物IVax又はIVax’の化合物XXVIaxへの変換及びその後の化合物XXVIaxのアミノ酸化合物Vaxへの変換は、対応する、化合物IVax又はIVax’の化合物XXVIax又はXXVIbx’への変換及びその後の化合物XXVIbx又はXXVIbx’のアミノ酸化合物Vaxへの変換であることが好ましい。本明細書中に記載の発明を使用するイキサベピロンの製造のために最も好ましくは、式IVax’の中間体は、その後式Vaxの化合物に変換される、式XXVIaxの化合物に変換される。
本発明のアミノ酸Vaxは、マクロラクタム化のための公知の条件を使用して、マクロラクタムに変換される。マクロラクタム化のために使用され得る条件は、当該技術分野において公知のペプチドカップリング反応のために使用されるものを含み、そしてそれは、限定されないが、塩基、例えば、DIPEA(N,N‐ジイソプロピルエチルアミン)の存在下、限定されないが、溶媒、例えば、THFにおける、ホスホニウムカップリング試薬、例えば、PyBOP(ベンゾリアゾール‐1‐イルオキシトリ(ピロリジノ)‐ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、ウロニウムカップリング試薬、例えば、HATU(O‐(7‐アザベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐1,1,3,3‐テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、インモニウムカップリング試薬、例えば、BOMI(ベンゾトリアゾール‐1‐イルオキシ‐N,N‐ジメチル‐メタンイミニウムヘキサクロロアンチモネート)、カルボジイミドカップリング試薬、例えば、DCC(N,N’‐ジシクロヘキシルカルボジイミド)、イミダゾリウムカップリング試薬、例えば、CDI(1,1’‐カルボニルジイミダゾール)又はBOI(2‐(ベンゾトリアゾール‐1‐イル)オキシ‐1,3‐ジメチル‐イミダゾリジニウムヘキサフルオロホスフェート)、有機リンカップリング試薬、例えば、BOP‐Cl(N,N’‐ビス(2‐オキソ‐3‐オキサゾリジニル)‐ホスフィン酸クロリド、酸ハロゲン化カップリング試薬、例えば、シアヌル酸クロリド又はTFFH(フルオロ‐N,N,N’,N’‐テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート)、又は他、例えば、クロロホルメート、BMPI(ヨウ化2‐ブロモ‐1‐メチルピリジニウム)又はDMTMM(4‐(4,6‐ジメトキシ[1,3,5]トリアジン‐2‐イル)‐4‐メチルモルホリニウムクロリド)の使用を含む。例えば、アミノ酸D4のマクロラクタム化条件(スキーム5を参照)は、J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378で報告された。
アルコールを提供するためにシリルエーテルを切断することが知られている試薬を使用するマクロラクタム化合物VIaxのTBS保護基の脱保護は、アザエポチロンIaを提供する。例えば、マクロラクタム化合物VIaxのDCM中のTFAでの処理は、アザエポチロンIaを提供する。同様に、完全に保護されていないアミノ酸IXaのマクロラクタム化を達成するために適切な条件での直接処理は、Iaを直接提供する(スキーム17)。完全に保護されていないアミノ酸IXaのマクロラクタム化のために使用されてアザエポチロンIaを提供し得る条件は、当該技術分野で公知のペプチドカップリング反応に使用されるものを含み、そしてそれは、塩基、限定されないが、例えば、DIPEAの存在下、溶媒、限定されないが、例えば、THFにおいて、ペプチドカップリング試薬、限定されないが、例えば、HATUの使用を含む。従って、IXaからのIaの合成は、VaxがIaを作るために使用される場合(VIaxを介して)と比較して、合成ステップを助ける。
イキサベピロンとして公知のエポキシド含有アザエポチロンが必要とされる場合、炭素‐炭素二重結合のエポキシ化のための当該技術分野において公知の条件を使用するアザエポチロンIaのエポキシ化が、行われる(例えば、J.Am.Chem.Soc.1999,121,7050‐7062;J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378及びJ.Org.Chem.2004,69,9269‐9284を参照)。
他の実施態様では、部分的に保護された中間体XXII又はXXII’(スキーム18)は、化合物IIa又はIIa’の変換のために使用されたのと同様の又は同じ反応条件を使用して、使用され、一般的な中間体Iを製造し得る。
E.本発明の利点
米国特許第6,867,305号及びJ.Org.Chem.2001,66,4369‐4378に開示されたイキサベピロンの調製のための合成経路と比較して、本明細書中で開示された方法は、アジド含有試薬又は中間体の使用を必要としない(スキーム5のD1b及びD3cと比較して)。アジド化合物は、それらの固有の毒性及びそれらの潜在的な爆発性のために、工業生産にとっての課題を示し、従って、そのような化合物の使用を避けることが好ましい。
イキサベピロンの調製のために使用され得る他の公知の経路と比較して、生成物IVを提供するII及びIIIの鈴木反応ステップ、本明細書中で記載された方法は、トリフェニルアルシン(AsPh3)の存在を必要としない。トリフェニルアルシンは、有機ヒ素化合物であり、ヒ素は、毒性があることが知られている。驚くべきことに、本明細書中に記載された実施態様では、迅速なそして効率の良い鈴木反応が、ヒ素ベース鈴木反応触媒の使用なしで、起こる。この結果は、製造スタッフの安全性の観点、そしてヒ素ベース毒性化学物質のために必要とされる関連する廃棄物管理を避けるために、特に有利である。
さらに、生成物IVを提供するための化合物II及び化合物IIIをカップリングするための本明細書中に記載された鈴木反応ステップは、J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378に記載された方法よりも高い収率で進む。例えば、N‐BOC保護アミンIIIa’がIIax’とカップリングされる場合、>90%の収率が典型的に得られ得る。それに反して、N‐BOC保護アミンIIIa’と化合物D2aとのカップリングのための、J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378に報告された収率は、たった10%であった。
J.Org.Chem.2001,66,4369‐4378に開示されたイキサベピロンの合成経路と比較して、鈴木反応ステップから数えて、3つのより少ない合成ステップが、本発明の方法において必要とされる。これは、最終活性医薬物質が食用に適した高品質であることを保証するために適用される高レベルの規制のため、医薬物質の製造の間の下流のステップが最も費用がかかるため、工業規模において有利である。従って、高いレベルの規制が必要とされる時点からの下流の合成ステップの数を最小化することが最も費用効率が高い。
キラルアミン誘導体XIIは、本発明の態様を使用する、高いキラル純度で調製され得る新規化合物である(例えば、化合物XI付加アリルグリニャール試薬)。このキラルアミンは、一連の非常に多くのN‐保護アナログ、IIIの合成のために有用であり、そしてそれは、イキサベピロンの合成において有用であることを本明細書において示してきた。
イキサベピロンは、3つの構成単位から調製され得、そしていくつかの実施態様では、これらの3つの構成単位は、公知の方法を使用して調製され得、そして他の実施態様では、これらは、本明細書中に記載された方法を使用して調製され得る。
上記の実施態様及び以下の実施例に従って、本発明は、以下の式I:
(式中、
RAは、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択され;
RBは、H、アルキル及び置換又は非置換のアリールから選択され;及び
RCは、H、アルキル、フルオロアルキル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される)
のアザエポチロンを調製するための方法を提供し、前記方法が、以下のステップ:
a)以下の式II:
(式中、
Zは、以下:
からなる群から選択され;及び
R1及びR2は、独立して、水素、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS)から選択される)
の化合物のボラン誘導体と、以下の式III:
(式中、
R3及びR4は、独立して、H、tert‐ブチルオキシカルボニル(BOC)、又はtert‐ブチルスルホニル(SO2t‐Bu)から選択されるか、又はR3及びR4が一緒にCPh2である)
のハロゲン化ビニルを、遷移金属触媒の存在下、接触させて、以下の式IV:
の化合物を提供し;
b)式IVの化合物を、以下の式V:
の化合物に、R3及びR4の1つ又は両方が、H以外である場合、ZをOHに変換し、そしてR3及びR4をHに変換することにより、変換し;
c)式Vの化合物を環化させて、以下の式VI:
の化合物を提供し;そして
d)式VIの化合物を脱保護して、式Iのアザエポチロンを提供する
ことを含む。
いくつかの実施態様では、本発明は、以下の式VII:
(式中、
RAは、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択され;
RBは、H、アルキル及び置換又は非置換のアリールから選択され;及び
RCは、H、アルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、及びフルオロアルキルから選択される)
のエポキシド含有アザエポチロンを調製するための方法を提供し、前記方法が、以下のステップ:
a)以下の式VI:
(式中、R1及びR2は、独立して、水素、シリルアルキル、TES、TIPS、TBS及びTBDPSから選択される)
の化合物を、エポキシ化剤で処理して、以下の式VIII:
の化合物を形成させ;そして
b)式VIIIの化合物を脱保護して、エポキシド含有アザエポチロンVIIを提供する
ことを含む。
いくつかの実施態様では、式VIの化合物は、以下のステップ:
a)以下の式II
(式中、
Zは、以下
からなる群から選択され;及び
R1及びR2は、独立して、水素、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS)から選択される)
の化合物のボラン誘導体と、以下の式III:
(式中、
R3及びR4は、独立して、H、tert‐ブチルオキシカルボニル(BOC)、及びtert‐ブチルスルホニル(SO2t‐Bu)から選択されるか、又はR3及びR4が一緒にCPh2である)
のハロゲン化ビニルを、遷移金属触媒の存在下、接触させて、以下の式IV:
の化合物を提供し;
b)式IVの化合物を、以下の式V:
の化合物に、R3及びR4の1つ又は両方が、H以外である場合、ZをOHに変換し、そしてR3及びR4をHに変換することにより、変換し、ここで、変換ステップが任意の順序で行われ;そして
c)式Vの化合物を式VIの化合物に環化する
ことを含む方法に従って調製される。
いくつかの実施態様では、本発明は、以下の式I
(式中、
RAは、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択され;
RBは、H、アルキル及び置換又は非置換のアリールから選択され;及び
RCは、H、アルキル、フルオロアルキル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリール(チアゾール、イソオキサゾールを含む)から選択される)
の化合物を調製するための方法を提供し、前記方法が、以下のステップ:
a)以下の式II:
(式中、
Zは、以下:
からなる群から選択され;及び
R1及びR2は、独立して、水素、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS)から選択される)
の化合物のボラン誘導体と、以下の式III:
(式中、
R3及びR4は、独立して、H、tert‐ブチルオキシカルボニル(BOC)、又はtert‐ブチルスルホニル(SO2t‐Bu)から選択されるか、又はR3及びR4が一緒にCPh2である)
のハロゲン化ビニルを、遷移金属触媒の存在下、接触させて、以下の式IV:
の化合物を提供し;
b)式IVの化合物を、以下の式IX:
の化合物に、R1、R2、R3及びR4のいずれか又はすべてが、H以外である場合、ZをOHに変換し、そしてR1、R2、R3及びR4をHに変換することにより、変換し;そして
c)式IXの化合物を環化して、式Iの化合物を提供する
ことを含む。
いくつかの実施態様では、ボラン誘導体は、9‐ボラビシクロ‐[3.3.1.]ノナン(9‐BBN)、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナンダイマー(9‐BBNダイマー)、ジシアミルボラン、及びジシクロヘキシルボランからなる群から選択されるボランとの反応により、式IIの化合物から調製される。いくつかの実施態様では、ボランは、9‐ボラビシクロ‐[3.3.1]ノナン(9‐BBN)及び9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナンダイマー(9‐BBN)ダイマーから選択される。
本発明のいくつかの実施態様では、遷移金属触媒は、Ni及びPdから選択される金属を含む。
いくつかの実施態様では、Zは、式IVの化合物の水性H2O2、水酸化物、及び溶媒を含む混合物での処理により、OHに変換される。いくつかの実施態様では、水酸化物は、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムからなる群から選択され、そして溶媒は、2‐メチルテトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン及びメタノールの混合物を含む。
いくつかの実施態様では、本方法は、式Iの化合物をエポキシ化することにより、式Iの化合物を、以下の式VII:
のエポキシド含有アザエポチロンに変換することをさらに含む。
いくつかの実施態様では、RAは、以下:
の2‐メチル‐チアゾール‐4‐イル基であり、そしてRB及びRCは、メチルである。
いくつかの実施態様では、本発明は、以下の式III:
(式中、
RAは、アリール又はヘテロアリールであり;及び
RB及びRCは、H、アルキル、フルオロアルキル、非置換又は置換のアリール基、及び非置換又は置換のヘテロアルキル基からなる群から選択される)
の化合物を調製するための方法を提供し、前記方法が、以下のステップ:
a)有機溶媒中の以下の式X:
の化合物を、活性化剤の存在下で、tert‐ブタンスルフィンアミドと接触させて、以下の式XI:
の化合物を提供し;
b)有機溶媒中の式XIの化合物を、以下:
(式中、nの値は、1〜4である)
のアリル化試薬ALと接触させて、以下の式XII:
の化合物を提供し;
c)有機溶媒中の式XIIの化合物を、以下の式XIII:
(式中、Xは、ハロゲンであり、そして下付き文字mは、0、1又は2である)
の化合物に変換し;
d)式XIIIの化合物を、有機溶媒中のジ‐tert‐ブチルジカルボネートとのその反応により、以下の式XIVa:
の化合物を提供し;そして
e)式XIVaの化合物を、式III’の化合物に変換する
ことを含む。
いくつかの実施態様では、ステップa)の有機溶媒は、トルエンであり、そして活性化試薬は、KHSO4である。
いくつかの実施態様では、Mは、Mg、Zn及びInから選択される。いくつかの実施態様では、ステップb)は、式XIIの化合物の混合物を提供し、そして、約10:1超のジアステレオマー比で、以下の式:
のジアステレオマーを提供する。
いくつかの実施態様では、ステップb)のアリル化試薬は、アリルマグネシウムブロミドであり、そして有機溶媒は、2‐メチルテトラヒドロフラン及びジクロロメタンの混合物である。
いくつかの実施態様では、式IIIaの化合物は、脱保護ステップにより、以下の式IIIb:
の化合物にさらに変換される。
いくつかの実施態様では、式IIIbの化合物は、ベンゾフェノン、ベンゾフェノンイミン、及びベンゾフェノンジアルキルアセタールから選択されるメンバーでの保護により、以下の式IIIc:
の化合物に、さらに変換される。
いくつかの実施態様では、IIIaは、ジ‐tert‐ブチルジカルボネートでの保護により、以下の式IIId:
の化合物に、さらに変換される。
いくつかの実施態様では、本発明は、以下の式IIIe:
(式中、
RAは、アリール及びヘテロアリールから選択され、そしてRB及びRCは、H、アルキル、及びアリールから選択される)
の化合物の調製のための方法を提供し、前記方法が、以下のステップ:
a)以下の式XII:
の化合物を酸化させて、以下の式XVb:
の化合物を提供し;そして
b)式XVbの化合物を、式IIIeの化合物に変換する
ことを含む。
いくつかの実施態様では、式XIIの化合物は、以下のステップ:
a)以下の式X:
の化合物を、以下の式XI:
の化合物に変換し;そして
b)以下の式AL:
(式中、nの値は、1〜4である)
のアリル化試薬を、式XIの化合物に添加して、式XIIの化合物を提供する
ことを含む方法によって調製される。
いくつかの実施態様では、RAは、以下:
の2‐メチル‐チアゾール‐4‐イル基であり、そしてRBは、メチルである。
いくつかの実施態様では、本発明は、以下の式II:
(式中、
Zは、以下:
のスルタムST’であり;及び
R1及びR2は、独立して、水素、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS)から選択される)
の化合物の調製のための方法を提供し、前記方法が、以下のステップ:
a)以下の式XVI’:
の化合物を活性化し;
b)式XVI’の活性化された化合物を、ルイス酸の存在下で、以下の式XVII:
の化合物で処理して、以下の式XVIII’:
の化合物を提供し;
c)任意により、式XVIII’の化合物のヒドロキシル基を、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS)から選択される保護基で保護して、以下の式XIX’:
の化合物を提供し;
d)式XVIII’の化合物又は式XIX’の化合物を活性化させて、そしてその後、活性化された化合物を、以下の式XX:
の化合物と反応させて、式IIの化合物(式中、R2はHである)を提供し;
e)任意により、式IIの化合物のヒドロキシル基を、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS)からなる群から選択される保護基で保護して、式IIの化合物(式中、R1及びR2は、両方とも、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)及びtert‐ブチルジフェニルシリル(TBDPS)からなる群から独立して選択されるヒドロキシ保護基である)を提供する
ことを含む。
いくつかの実施態様では、ステップa)の式XVI’の化合物を活性化することは、式XVI’の化合物を、シリルトリフラート試薬及び塩基と接触することを含む。いくつかの実施態様では、シリルトリフラート試薬は、tert‐ブチルジメチルシリルトリフラート(TBSOTf)であり、そして塩基は、トリエチルアミンである。
いくつかの実施態様では、ステップb)のルイス酸は、金属ハロゲン化物である。いくつかの実施態様では、金属ハロゲン化物は、チタニウムテトラクロリド(TiCl4)である。
いくつかの実施態様では、ステップd)の活性化ステップは、式XVIII’の化合物又は式XIX’の化合物を、アミン塩基の存在下、低温で、ルイス酸で処理することにより行われる。いくつかの実施態様では、アミン塩基は、N,N‐ジイソプロピルエチルアミンであり、そして低温は、−50℃以下である。
いくつかの実施態様では、R1及びR2は、両方とも、tert‐ブチルジメチルシリル(TBS)である。
いくつかの実施態様では、エポキシド含有アザエポチロンVIIは、以下:
のイキサベピロンである。
IV.実施例
以下の実施例は、さらなる例示のために提供されるが、本発明を限定するものではない。
上記明細書及び下記実施例において使用される記号、従来の技法、及び略語は、現代の科学文献、例えば、Journal of the American Chemical Society 及び The ACS Style Guide:effective communication of scientific information,3rd ed.;Coghill,A.M.及び Garson,L.R.ed.;Washington,DC,Oxford University Press,New York Oxford,2006で使用されるものと一致する。
略語:atm‐雰囲気;AcOH‐酢酸;aq.‐水(性);brine‐飽和塩化ナトリウム水溶液;Bu‐ブチル;BuOH‐ブタノール;t‐Bu‐tert‐ブチル;n‐BuLi‐n‐ブチルリチウム;9‐BBN‐9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン;9‐BBN‐dimer‐9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナンダイマー;BOC‐tert‐ブチルオキシカルボニル;(BOC)2O‐ジ‐tert‐ブチルジカルボネート(BOC無水物);B.P.‐沸点;d.e.‐ジアステレオマー過剰率;d.r.‐ジアステレオマー比;DIPEA‐N,N‐ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基);DMDO‐ジメチルジオキシラン;DMSO‐ジメチルスルホキシド;DCM‐ジクロロメタン;DCE‐ジクロロエタン;DIBAL‐水素化ジイソブチルアルミニウム;DMAP‐4‐ジメチルアミノピリジン;DME‐ジメトキシエタン;DMF‐N,N‐ジメチルホルムアミド;dppf‐ジフェニルホスフィノフェロセン;e.e.‐エナンチオマー過剰率;Et‐エチル;Et2O‐ジエチルエーテル;EtOAc‐酢酸エチル;g‐グラム(複数);h‐時間(複数);HATU‐(O‐(7‐アザベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐N,N,N’,N’‐テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスホネート;HMDS‐ヘキサメチルジシラザン;HPLC‐高速液体クロマトグラフィー;mg‐ミリグラム(複数);L‐リッター(複数);LiHMDS‐リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;lutidine/2,6‐lutidine‐2,6‐ジメチルピリジン;mCPBA‐メタ‐クロロペルオキシ安息香酸;mL‐ミリリッター(複数);M‐モル濃度;MeOH‐メタノール;mol‐モル(複数);mmol‐ミリモル(複数);min‐分(複数);Me‐メチル;M.P.‐融点;MS‐質量分析(LCMSは、液体クロマトグラフィー質量分析である);MTBE‐メチルtert‐ブチルエーテル;N‐正常性;NaHMDS‐ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド;NMP‐N‐メチルピロリジノン;NMR‐核磁気共鳴(分光法);NMO‐N‐メチルモルホリン‐N‐オキシド;MHz‐メガヘルツ;Pr‐プロピル;Ph‐フェニル(C6H5);i‐PrOH‐イソプロパノール;n‐PrOH‐n‐プロパノール;PhMe‐トルエン;PhCl‐クロロベンゼン;Rf‐保持因子(retention factor);sat.‐飽和;SEM‐2‐(トリメチルシリル)メトキシメチル;SEMCl‐2‐(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド;TLC‐薄層クロマトグラフィー;TBAF‐フッ化テトラ‐n‐ブチルアンモニウム;TBS‐tert‐ブチルジメチルシリル;TBSCl‐tert‐ブチルジメチルシリルクロリド;TBDPS‐tert‐ブチルジフェニルシリル;TBDPSCl‐tert‐ブチルジフェニルシリルクロリド;TBSOTf‐tert‐ブチルジメチルシリルトリフラート;TES‐トリエチルシリル;TESCl‐トリエチルシリルクロリド;Tf‐トリフルオロメタンスルホニル;TFA‐トリフルオロ酢酸;THF‐テトラヒドロフラン;TIPS‐トリイソプロピルシリル;TIPSCl‐トリイソプロピルシリルクロリド;TMSOTf‐トリメチルシリルトリフラート;UV‐紫外線
実施例1‐XIXa及びXIXa’の調製
化合物XVIII’の調製
乾燥DCM(800mL)中の化合物XVI’(100g、389mmol)の溶液に、Et3N(73mL、506mmol)及びTBSOTf(113g、428mmol)を、室温、N2雰囲気下で、滴下した。生じた反応混合物を、室温で一晩撹拌した(溶液A)。別のフラスコで、乾燥DCM(500mL)中のXVII(80g、622mmol)の溶液に、TiCl4(DCMにおいて1N、650mL、650mmol)を、−78℃、N2雰囲気下で、添加した。−78℃で10分間撹拌した後、溶液Aを、1時間にわたってXVII溶液中に滴下した後、生じた混合物を、室温に加温し、そして一晩撹拌した。TLCによって完了後、反応混合物を、sat.aq.NH4Clでクエンチした。水相を、DCM(400mL×2)で抽出した。有機相を合わせて、Na2SO4で乾燥させ、濾過しそして蒸発させた。残渣をヘキサン(500mL)で希釈し、そして沈殿のために一晩撹拌した。固体を濾過し、そしてヘキサンで洗浄し、109gのXVIII’(d.r.>20:1、Rf=0.3、EtOAc/石油エーテル=1:5、KMnO4)を得た(白色固体、収率73%)(M.P.=100〜102℃)。
化合物XVIII’の調製
N2雰囲気下、乾燥DCM中のXVI’(200g、777mmol)の溶液(800mL)を、トリエチルアミン(146mL、1047mmol)及びTBSOTf(231g、874mmol)を、22℃で滴下した。混合物を、室温で3時間撹拌し、そして乾燥DCM(1000mL)中のXVII(160g、1248mmol)及びTiCl4(DCMにおいて1M、1300mL、1300mmol)の溶液に、−70〜−78℃で、2時間にわたって滴下した。生じた混合物を、15℃/時間の速度で、22℃にゆっくりと加温した。反応混合物を、さらに1時間22℃で撹拌し、そしてsat.aq.NH4Cl(1000mL)及びH2O(800mL)を添加することによりクエンチした。相分離後、有機相をH2Oで洗浄し(1000mL×3)、Na2SO4で4時間乾燥させ、濾過し、40〜65℃で濃縮し、そしてn‐ヘプタンで共蒸発させた(600mL×2)。所望の生成物を、その後、n‐ヘプタン(1000mL)中で一晩撹拌することにより沈殿させて、濾過し、そしてn‐ヘプタン(400mL×2)で洗浄して、XVIII’を得た(油状固体)(262g、収率:87%、92.5%HPLC純度、d.r.=24.7:1)。
XVIIIの調製
乾燥DCM(215mL)中の化合物XVI(21.45g、83.33mmol)の溶液に、0℃、N2雰囲気下で、Bu2BOTf(100mL、1M)を添加し、反応混合物を30分間撹拌し、その後、DIPEA(17.3mL、104.16mmol)を添加し、そして反応混合物を、さらに30分間撹拌した。反応混合物を、―78℃に冷却後、XVII(14.95g、116.67mmol)を滴下した。反応温度を室温に加温することができ、そして一晩撹拌した。反応混合物を、sat.aq.NH4Clでクエンチし、その後、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。残渣をカラムで精製し(石油エーテル/EtOAc=20:1〜5:1で溶出)、XVIIIを得た(白色固体)(23g、収率:71.9%)。
化合物XIXa’の調製
乾燥DCM(600mL)中のXVIII’(69g、179mmol)の溶液に、−45℃で、2,6‐ルチジン(57.6g、537mmol)及びTBSOTf(104g、394mmol)を、N2雰囲気下で、滴下した。反応混合物を、この温度で、2時間撹拌し、そして室温で一晩、撹拌し続けた。反応混合物を、MeOH(50mL)でクエンチし、sat.aq.クエン酸で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させ、濾過しそして蒸発させた。残渣を石油エーテル(100mL、B.P.=60〜90℃)で希釈し、そして一晩撹拌した。沈殿を濾過し、そして石油エーテルで洗浄し(30mL×3)、XIXa’を得た(白色固体)(Rf=0.6、EtOAc/石油エーテル=1:5、KMnO4)(62.6g、収率:70%)(M.P.=91〜93℃)。
XIXa’の調製
N2雰囲気下、乾燥DCM(2260mL)中のXVIII’(282g、731mmol、93%HPLC純度)の溶液に、−45〜−50℃で、2,6‐ルチジン(219g、2.04mol)及びTBSOTf(396g、1.50mol)を滴下した。反応混合物を、−45〜―50℃で2時間、そして22℃でさらに1時間撹拌した。HPLCで判断し、反応が完了した後、反応を、MeOH(225mL)を添加することによりクエンチし、そして混合物をsat.aq.クエン酸で洗浄し(1410mL×2)、Na2SO4で(423g)で4時間乾燥させ、そして濃縮した。所望の生成物を、n‐ヘプタン(846mL)で4時間撹拌することにより沈殿させ、濾過し、n‐ヘプタンで洗浄し(564mL×2)、XIXa’を得た(白色固体)(235g、収率:64%、98.1%HPLC純度)。
XIXaの調製
乾燥DCM(160mL)中のXVIII(23g、59.66mmol)の溶液に、−45℃で、2,6‐ルチジン(10.4mL、89.49mmol)及びTBSOTf(16.8mL、71.59mmol)を、N2雰囲気下で、滴下した。反応混合物を、この温度で2時間撹拌し、そして室温で一晩、撹拌し続けた。反応混合物を、MeOHでクエンチし、そして蒸発させた。残渣を、EtOAc中に再溶解し、クエン酸溶液で2回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過しそして蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製し(溶離液:石油エーテル/EtOAc=10:1)、XIXaを得た(白色固体)(19.2g、収率:64.4%)。
実施例2‐XIVaxの調製
XIaの調製
乾燥THF(414mL)中のXa(35g、200mmol、Rf=0.5、EtOAc/石油エーテル=1:3、UV)に、室温、N2雰囲気下で、(R)‐tert‐ブチル‐スルフィンアミド(29g、400mmol)及びTi(i‐PrO)4(118mL、400mmol)を添加し、その後、反応混合物を、一晩撹拌した。混合物を、氷浴中で5℃に冷却し、そしてブライン(150mL)を注意深く添加した。生じた懸濁物を、EtOAc(100mL)で希釈し、そして珪藻土のパッドを介して濾過し、そして濾過ケークをEtOAcで洗浄した(150mL×2)。濾液を、ブラインで洗浄し(260mL×3)、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製し(EtOAc/石油エーテル=1:5)、XIaを得た(黄色固体)(42g、収率:77%、Rf=0.4、EtOAc/石油エーテル=1:3、UV)。
XIIaの調製
N2雰囲気下、乾燥DCM(750mL)中のXIa(30g、111mmol,Rf=0.7、EtOAc/石油エーテル=1:1、UV)の溶液に、−50℃で、アリルマグネシウムブロミド(185mL、555mmol、Et2Oにおいて3N)を添加した。添加後、反応混合物を、この温度でさらに1.5時間撹拌した。sat.aq.NH4Cl(580mL)を添加して、−50℃で反応をクエンチし、そして混合物を、室温に加温した。有機相を分離し、そして水相をDCMで抽出した(300mL×3)。合わせた有機相をブラインで洗浄し(500mL×3)、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で、濃縮した。未精製物を、HPLCにより分析し、98.0%のd.e.を示した。未精製物を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにおり精製し(EtOAc/石油エーテル=1:1)、XIIaを得た(黄色固体)(29g、収率:83.3%、HPLCは99.4%のd.e.を示す)。
N2雰囲気下、sat.NaBr(3.7mL)中の、インジウム粉末(170mg、1.48mmol)及びXIa(100mg、0.37mmol)の懸濁物に、アリルブロミド(0.13mL、1.48mmol)を、室温で添加した。その後、反応混合物を、室温で20時間撹拌した。混合物をその後、ブライン(7.4mL)及びEtOAc(7.4mL)の添加によりクエンチし、シリカゲルのパッドを介して濾過し、そしてEtOAcで溶出した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。未精製物を、HPLCで決定した(変換:44%、d.e.=100%)。
N2雰囲気下、乾燥THF(7.0mL)中の活性化亜鉛粉末(72mg、1.1mmol)及びXIa(100mg、0.37mmol)にアリルブロミド(0.10mL、1.1mmol)を、室温で、添加した。その後、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物をその後、sat.aq.NH4Cl(8.0mL)及びEtOAc(8.0mL)の添加によりクエンチした。有機相を集め、そして水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。未精製物を、HPLCにより決定した(変換:100%、d.e.=71.9%)。
N2雰囲気下で、乾燥THF(7.6mL)中の活性化亜鉛粉末(78mg、1.2mmol)、In(OTf)3(340mg、0.6mmol)及びXIa(110mg、0.4mmol)に、室温で、アリルブロミド(0.10mL、1.2mmol)を添加した。その後、反応混合物を、室温で2時間撹拌した。混合物をその後、sat.aq.NH4Cl(8.0mL)及びEtOAc(8.0mL)の添加によりクエンチした。有機相を集め、そして水相を、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で、濃縮した。未精製物を、HPLCにより決定した(変換:>97%、d.e.=93.8%)。
N2雰囲気下、THF(7.7mL)中の活性化亜鉛粉末(75mg、1.16mmol)、InCl3(128mg、0.58mmol)及びXIa(104mg、0.38mmol)に、室温で、アリルブロミド(0.10mL、1.2mmol)を添加した。その後、反応混合物を、室温で12時間撹拌した。混合物をその後、sat.aq.NH4Cl(8.0mL)及びEtOAc(8.0mL)の添加によりクエンチし、有機相を集め、そして水相を、EtOAcで抽出した。合わせた有機相を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。未精製物を、HPLCにより検出した(変換:83.6%、d.e.=70.2%)。
N2雰囲気下、乾燥THF(7.8mL)中の活性化亜鉛粉末(150mg、2.32mmol)及びアリルブロミド(0.20mL、2.4mmol)の懸濁物を、室温で1.5時間撹拌し、その後、混合物を−78℃に冷却し、そして乾燥THF(1mL)中のXIa(104mg、0.38mmol)を添加した。反応混合物を、−78℃で6時間撹拌した。混合物をその後、sat.aq.NH4Cl(16.0mL)及びEtOAc(16.0mL)の添加によりクエンチし、有機相を集め、そして水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。未精製物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、XIIaを得た(白色固体)(84mg、収率:70%、d.e.=70%)。
XIIaの調製
乾燥トルエン(800mL、KF<200ppm)中のXa(100g、0.60mol、93%HPLC純度)の溶液に、室温、N2雰囲気下で、(R)‐tert‐ブチル‐スルフィンアミド(94.2g、0.78mol)及びKHSO4(163g、1.20mol)を添加した。25〜35℃で2時間撹拌後、反応混合物を、シリカゲルのパッドを介して濾過し、そしてフィルターをトルエンで洗浄した(100mL×3)。合わせた濾液を、sat.aq.NaHCO3(500mL)及びH2O(500mL)で洗浄し、そして真空下、濃縮し、XIaを得て(黄色固体)(170g、93.7%HPLC純度)、そしてそれを、次のステップで直接使用した。
N2雰囲気下、乾燥2‐Me‐THF(1.5L、KF<200ppm)中のMg(100g、4.11mol、100〜200メッシュ)の懸濁物に、35〜45℃で、2時間にわたって、I2(2.00g、7.88mmol)を添加した。−25℃に冷却後、乾燥2‐Me‐THF(0.5L、KF<200ppm)中のアリルブロミド(484g、4.00mol)の溶液を、−25〜15℃(約2.5時間)の温度に制御しつつ、滴下した。1時間撹拌した後、混合物を25℃にゆっくりと加温し、そしてさらに2時間撹拌した。生じた懸濁物を沈殿させ、そして所望のアリルマグネシウムブロミド試薬を、反応槽から上部の透明相をデカンテーションにより得た。
N2雰囲気下、乾燥DCM(800mL)中の粗XIa(170g、0.6molのXaから)の溶液に、<−40℃で、2‐Me‐THF(480mL)中のアリルマグネシウムブロミドの溶液を滴下した。<−40℃で0.5時間撹拌した後、sat.aq.NH4Cl(500mL)を、内部温度を<−20℃に維持しつつ、反応混合物にゆっくりと滴下した。生じた混合物を、10〜20℃に加温した後、相を分離した。水相をMTBE(400mL)により抽出し、そして合わせた有機相を、H2O(800mL)で洗浄し、そして200mLに濃縮した。溶媒を、n‐ヘプタン(500mL×3)により共蒸発させて300mLにした。生じた懸濁物を0℃にゆっくりと冷却し、2時間撹拌し、そして濾過した。固体をn‐ヘプタン(170mL)で洗浄し、そして40℃で16時間、真空で乾燥させ、XIIaを得た(オフホワイト色固体)(172g、収率:2ステップでXaから92%、93%HPLC純度、>99%d.e.)。
XIIIaの調製
ジオキサン(280mL)中のXIIa(29g、93mmol、Rf=0.6、EtOAc、UV)の溶液に、5℃で、ジオキサン(150mL、4N)中のaq.HClを滴下した。滴下後、反応混合物を、室温で一晩撹拌した。その後、溶媒を減圧下で蒸発させ、そして残渣を水(500mL)で希釈した。水相をEtOAc(150mL×2)で抽出した。水相を、aq.NaOH(1N)を使用してpH=9まで塩基性化し、そしてEtOAcで抽出した(150mL×3)。有機相を合わせて、ブラインで洗浄し(100mL×3)、乾燥させ、そして減圧下で濃縮させ、XIIIaを得て(褐色油)(14g、収率:73%、Rf=0.5、MeOH/DCM=1:10、UV)、そしてそれを精製なしで直接使用した。
XIVaxの調製
THF(30mL)中の化合物XIIIa(3g、14.4mmol、Rf=0.5、MeOH/DCM=1:10、UV)の溶液に、室温で、Et3N(3g、28.8mmol)を添加し、続いて、THF(30mL)中の(Boc)2O(3.5g、15.8mmol)を添加した。反応を、一晩撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を、sat.aq.NH4Cl溶液(50mL)及びEtOAc(50mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(30mL×3)。合わせた有機相をブラインで洗浄し(30mL×3)、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれをシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、モノ保護アミンXIVaxを得た(白色固体)(4g、収率:90.0%、Rf=0.9、EtOAc/石油エーテル=1:3、UV)。
実施例3‐IIIa’の調製
化合物XVaの調製
THF/t‐BuOH/H2O(1:1:0.1、210mL)中のXIVax(10g、32.5mmol、Rf=0.9、EtOAc/石油エーテル=1:3、UV)に、−0℃で、NMO(9.13g、50%aq.溶液、39mmol)及びOsO4(8.3mL、0.65mmol、50mLt‐BuOH中に1g)を添加し、続いて、23℃で18時間、撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=1:1)後、反応混合物を、0℃で、sat.aq.NaHSO3(80mL)及びH2O(200mL)を添加することによりクエンチし、30分間撹拌し、そしてMTBE(100mL×4)で抽出した。集めた有機相をブラインで洗浄し(100mL×2)、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、粗生成物XXIaを得た(黄色油)(22g、Rf=0.2、EtOAc/石油エーテル=1:3、UV)。
THF/H2O(1:1、200mL)中のXXIa(22g、32.5mmolのXIVaxからの未精製物、Rf=0.2、EtOAc/石油エーテル=1:3、UV)に、0℃で、NaIO4(16.7g、78.0mmol)を添加し、40分間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=1:1)後、反応混合物を、H2O(500mL)でクエンチし、EtOAcで抽出した(100mL×4)。集めた有機相をブラインで洗浄し(100mL×3)、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルのショートパッドでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=2:1)により精製し、生成物XVaを得た(黄色油)(6.72g、収率:66.7%、Rf=0.8、EtOAc/石油エーテル=1:3、UV)。
XVaの調製
アセトン(35mL)及び水(25mL)中のXIVax(1.57g、5.09mmol)の撹拌された溶液に、30℃で、連続的に、NMO一水和物(1.18g、8.73mmol)及びK2OsO4・2H2O(33.1mg、90μmol)を添加した。生じた混合物を、30℃で3時間、撹拌した。HPLCにより判断し、反応が完了した後、オスミウム酸を、30℃で、DMAP(275mg、2.25mmol)を添加することにより、不活性化し、そして混合物をさらに30分間撹拌し、続いて、NaIO4(1.61g、7.53mmol)を添加し、酸化的開裂を行った。30℃で1時間撹拌した後、生じた懸濁物を濾過し、そして濾液を減圧下で濃縮し、アセトンを除去した。残渣の水性溶液を、2‐Me‐THFで抽出し(30mL×2)、そして合わせた有機相を、10%aq.クエン酸(30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4(11.7g)で乾燥させ、濾過し、そして濃縮し、粗XVaを提供し、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液EtOAc/n‐ヘプタン=40:60)により精製し、純粋なXVaを得た(淡褐色固体)(907mg、収率:57%、EtOAc/n‐ヘプタン=40:60について、Rf=0.22)。
化合物IIIa’の調製
THF(270mL)中のヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム(18.2g、43.4mmol)の懸濁物に、17℃で、N2下、n‐BuLi(17.4mL、2.5M、43.4mmol)を添加し、赤色溶液を形成させた。固体の消失後、混合物を、−75〜―80℃で、THF(250mL)中のI2(11g、43.4mmol)の溶液に滴下し、黄色懸濁物を形成させた。混合物を、−75℃で5分間撹拌し、そしてその後、−20℃まで加温した。NaHMDS(20.3mL、2M、40.6mmol)を、20分間で滴下し、赤色溶液を得て、そして混合物を5分間撹拌した。この混合物に、THF(15mL)中のXVaの溶液(6.72g、21.7mmol、Rf=0.3、EtOAc/石油エーテル=1:5、UV)を、20分間で滴下し、−20〜10℃で、1時間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=2:1)後、反応混合物を、珪藻土のパッドを介して濾過し、濃縮し、そしてシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=5:1)により精製し、IIIa’を得た(黄色油)(単一異性体)(3.7g、収率:38%、M.P.=65〜67℃、Rf=0.6、EtOAc/石油エーテル=1:5、UV)。
実施例4‐IIIa’の調製
XXIaの調製
冷却したMeOH(2.0L、0〜10℃)に、安全に対する懸念のために、<30℃の温度を維持しつつ、37%wt.aq.HCl(200mL)及び固体XIIa(276g、0.88mol、95%HPLC純度)を添加した。10〜30℃で1時間、HPLCで判断し、反応が完了した後、溶媒を、減圧下で蒸発させた。残渣を、水(1.3L)及びMTBE(1.3L)により希釈し、そして相を分離した。水相を集めて、MTBE(1.3L)を添加し、そして10%aq.NaOH(ca.550mL)を使用して、pH=10〜11に塩基性化した。有機相を集め、そして水相をMTBE(1.3L)で抽出した。合わせた有機相を、ブライン(1.3L)及びH2O(1.3L)で洗浄し、そして濃縮し、XIIIaを得て(油)(186g、94%HPLC純度)、そしてそれを、次のステップで直接使用した。
DCM(1.1L)中の粗XIIIa(186g、0.88molのXIIaから)の溶液に、0〜15℃で、DCM(276mL)中のBoc2O(202g、0.93mmol)の溶液を添加した。0〜25℃で1時間、HPLCで判断し、反応が完了した後、反応を、H2O(15.8g)を添加することにより、クエンチし、そして混合物を、0〜25℃でさらに0.5時間撹拌し、そして濃縮した(ca.300mL)。標準溶媒を残渣のn‐ヘプタン(1.4L×2)に交換し、XIVaxを得て(黄色固体)(280g、96%HPLC純度)、そしてそれは、次のステップに直接使用し得る。
THF(1.7L)中のXIVax(209g、0.54molのXIIaから)及び(DHQ)2PHAL(21g、0.027mol)の溶液に、0〜10℃で、H2O(170mL)中の4‐メチルモルホリンN‐オキシド(63g、0.54mol)及びK2OsO4・2H2O(10g、0.027mol)の懸濁物を添加した。反応混合物を、15〜25℃で1時間撹拌し、そしてHPLCで判断し、反応が完了した後、0〜10℃に冷却し、そしてsat.aq.NaHSO3(850mL)を添加した。0.5時間撹拌した後、混合物を、珪藻土のパッドを介して濾過し、そしてフィルターを、MTBE(850mL)で洗浄した。濾液の有機相を集め、そして水相をMTBE(850mL)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し(1.7L×2)、そして真空下、濃縮して、粗XXIaを得て(黄色油)、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し(1.4kg、溶離剤:EtOAc/n‐ヘプタン=1:3〜EtOAc/MeOH=100:2)、純粋なXXIaを得て(ジアステレオマー混合物)(107g、収率:3ステップでのXIIaから58%、99%HPLC純度)、一方で、XIVaxを回収した(38g、収率:XIIaから23%、98%HPLC純度)。
化合物IIIa’の調製
THF/H2O(2.0L、1:1)中のXXIa(107g、0.31mol)の溶液に、0〜10℃で、10部分におけるNaIO4(80g、0.37mol)を、45分間、添加した。0.5時間後、HPLCで判断し、反応が完了した後、混合物を、EtOAcで直接抽出した(1.0L×2)。合わせた有機相をブライン(1.0L)で洗浄し、そして濃縮し、XVaを得て(オフホワイト色固体)、そしてそれを、次のステップで直接使用した。
N2雰囲気下、THF(2.0L)中のMeCHIPPh3I(264g、0.49mol)の懸濁物に、−25〜―20℃で、NaHMDS(480mL、THFにおいて2.0M)を添加し、赤色溶液を形成し、そしてそれを、−60〜―50℃にさらに冷却する前に、−25〜―20℃で0.5時間、撹拌した。THF(300mL)中のXVa(100g、0.32mol)の溶液を、−60〜―50℃で、上記混合物に添加した。−50℃で0.5時間撹拌した後、反応を、−60〜―30℃の温度に制御しつつ、sat.aq.NH4Cl(700mL)を添加することにより、クエンチした。懸濁物を後に10〜25℃に加温し、そして濾過し、そしてフィルターをMTBE(500mL)により洗浄した。濾液の有機相を集めて、そして水相をMTBE(500mL)により抽出した。合わせた有機相を、真空下で濃縮し、粗IIIa’を得て(黒色油)(245g、43.6%HPLC純度)、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n‐ヘプタン=1:8)により精製し、IIIa’を得た(黄色油)(52.5g、収率:36%、96.2%HPLC純度、Z/E比=98.3:1.7)。
実施例5‐IIIb’の調製
IIIa’からIIIb’の調製
乾燥DCM(5mL)中のIIIa’(1.2g、2.7mmol)の溶液に、0℃で、TFA(5mL)を添加した。生じた褐色溶液を、この温度で1時間撹拌し、そして溶媒を、減圧下で除去した。残渣を、DCM(10mL)中に再溶解し、sat.aq.NaHSO3で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過しそして真空下で濃縮し、IIIb’を得て(褐色油)(860mg、収率:92%)、そしてそれを、精製なしで、直接使用した。
IIIe’からIIIb’の調製
乾燥DCM(13mL)中のIIIe’(200mg、0.43mmol)の溶液に、アニソール(110mg、1mmol)及び0.2N CF3SO3H(13mL)を、0℃で添加した。生じた暗褐色溶液を、この温度で1.5時間撹拌し、そしてsat.aq.Na2CO3を、ゆっくりと添加し、反応をクエンチした。有機相を分離し、そして水相をDCMで抽出した(10mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:DCM/MeOH=20:1)により精製し、IIIb’を得た(褐色油)(150mg、収率:85%)。
IIIa’からIIIb’・HClの調製
IIIa’(100mg、022mmol)を、0℃で、MeOH(5mL)中の6N HClに溶解し、そして生じた溶液を、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、溶媒を減圧下で除去し、所望のIIIb’・HClを得た(褐色固体)(79mg、収率92%)。
実施例6‐IIId’の調製
XIVb’の調製
THF(50mL)中のモノ保護アミンXIVax(6g、19.5mmol)の溶液に、−78℃で、NaHMDS(25mL、25mmol)を添加した。混合物を、この温度で30分間撹拌し、その後、(Boc)2O(5g、23mmol)を添加した。混合物を室温に加温し、そして一晩撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc)=5:1)後、水を添加して反応をクエンチし、そしてEtOAc及び水で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(50mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、XIVb’を得た(黄色油)(7g、収率:89%、2ステップ)。
XVb’の調製
THF/t‐BuOH/H2O(1/1/0.1、100mL)中の化合物XIVb’(6.3g、15.4mmol)の溶液に、0℃で、NMO(4.34g、50%水溶液、18.5mmol)及びOsO4(3.9mL、50mL t‐BuOHにおける1g)を添加した。混合物を室温に加温し、そして18時間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=1:1)後、反応を、0℃で、sat.aq.NaHSO3(40mL)及びH2O(100mL)でクエンチし、30分間撹拌した。混合物をMTBEで抽出し(50mL×4)、そして集めた有機相をブラインで洗浄し(50mL×2)、Na2SO4で乾燥させ、そして濃縮し、粗生成物XXIb’(15g)を得た。
THF/H20(1/1、80mL)中のXXIb’(15.4mmolのXIVb’からの未精製物)溶液に、0℃で、NaIO4(7.91g、37mmol)を添加し、そして40分間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=2:1)後、反応を水(200mL)でクエンチした。混合物をEtOAcで抽出し(50mL×4)、そして集めた有機相をブラインで洗浄し(50mL×3)、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれを、フラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=2:1)で精製し、アルデヒドXVb’を得た(黄色油)(4.06g、収率:2ステップを経て64%)。
IIId’の調製
THF(170mL)中のヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム(8.36g、20mmol)に、17℃で、N2下、n‐BuLi(8mL、2.5M、20mmol)を添加し、赤色溶液を形成させた。混合物を、−75〜―80℃で、THF(130mL)中のI2(5.08g、20mmol)の溶液に滴下し、黄色懸濁物を形成させた。溶液を、−75℃で5分間撹拌し、そして、−20℃に加温した。NaHMDS(9.35mL、2M、18.7mmol)を滴下し、赤色溶液を形成させ、そして溶液を、5分間撹拌した。この溶液に、THF(5mL)中のXVb’(4.06g、10mmol)の溶液を滴下し、そして、−20〜―10℃で、1時間、撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=2:1)後、反応混合物を、珪藻土のパッドを介して濾過し、濃縮しそしてカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=5:1)により精製し、生成物IIId’を得た(黄色油)(2.2g、収率:40%)。
実施例7‐IIIe’の調製
化合物XIVe’の調製
DCM(90mL)中のXIIa(9.6g、30mmol)の溶液に、0℃で、部分的に、m‐CPBA(7.4g、70%、30mmol)を添加した。反応を、sat.aq.Na2SO3(120mL)でクエンチする前に、生じた混合物を、室温で一晩撹拌した。有機相を分離し、そして水相をDCMで抽出した(60mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下、濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=20:1)により精製し、XIVe’を得た(黄色油)(8.9g、収率:87%)。
XVe’の調製
THF/t‐BuOH/H2O(1:1:0.1、50mL)中のXIVe’の溶液に、0℃で、NMO(1.5g、50%水溶液、6.2mmol)及びOsO4(1.3mL、0.104mmol、50mL t‐BuOHにおける1g)を添加し、そして混合物を、23℃で18時間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=1:1)後、反応を、0℃で、sat.aq.NaHSO3(15mL)及びH2O(40mL)でクエンチし、そして混合物を、EtOAcで抽出する(50mL×4)前に、30分間撹拌した。集めた有機相をブラインで洗浄し(50mL×2)、Na2SO4で乾燥させ、そして濃縮し、粗生成物XXIe’(6g)を得た。
THF/H2O(1:1、80mL)中のXXIe’(未精製物、6g、5.2mmol)の溶液に、0℃で、NaIO4(7.91g、37mmol)を添加し、そして混合物を、60分間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=1:1)後、反応を、H2O(60mL)でクエンチし、そして混合物を、EtOAcで抽出した(50mL×4)。集めた有機相をブラインで洗浄し(50mL×3)Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、そしてシリカゲルのショートパッドを介したカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=1:1)により精製し、生成物XVe’を得た(1.3g、収率:76%)。
IIIe’の調製
THF(60mL)中のヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム(3.3g、7.88mmol)の懸濁液に、17℃で、N2下、n‐BuLi(3.2mL、2.5M、7.88mmol)を添加し、赤色溶液を形成させた。混合物を、−75〜80℃で、THF(45mL)中のI2(2g、7.88mmol)の溶液に滴下し、黄色懸濁液を形成させ、そしてそれを、−75℃で5分間撹拌した。その後、混合物を、−20℃に加温し、そしてNaHMDS(3.7mL、2M、7.37mmol)を滴下し、赤色溶液を形成させ、そしてそれを、さらに5分間撹拌した。この溶液に、THF(5mL)中のXVe’(1.3g、3.94mmol)の溶液を滴下し、そして、−20〜10℃で1時間、撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=2:1)後、反応混合物を、珪藻土のパッドを介して濾過し、濃縮し、そしてシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=5:1)により精製し、生成物IIIe’を得た(無色油)(730mg、収率:35%)。
実施例8‐IIIc’の調製
DME(50mL)中のベンゾフェノン(1.56g、8.6mmol)の溶液に、室温で、IIIb’(1.5g、8.6mmol)及びEt3N(3.6mL、25.8mmol)を添加した。混合物を−78℃に冷却し、そしてTiCl4(8.6mL、8.6mmol、DCMにおいて1N)を添加した。生じた混合物を、室温に加温し、そして一晩撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析後、H2O(50mL)及びEtOAc(200mL)を添加し、そして相を分離した。水相を、EtOAcで抽出し(100mL×2)、そして合わせた有機相を、sat.aq.NaHSO3(50mL×3)及びブライン(50mL×3)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、IIIc’を得た(黄色油)(890mg、収率:50%)。
実施例9‐XXVaxの調製
XXIIa及びXXIIa’の調製
乾燥DCM(87mL)中の化合物XIXa’(15.0g、30mmol、Rf=0.5、EtOAc/石油エーテル=1.3、KMnO4)の溶液に、−78℃で、DCM(33mL)中の1N TiCl4(6.26g、33mmol)を添加し、そして10分後、DIPEA(5.46mL、33mmol)を添加した。生じた混合物を、−78℃でさらに1時間撹拌し、その後、DCM(13mL)中のXX(4.4g、45mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を、3時間で室温に、ゆっくりと加温した。反応が完了したことを示すTLC分析後、リン酸緩衝水溶液(43.6mL、2N、pH=7.0、NaH2PO4/Na2HPO4)を添加し、反応をクエンチした。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(100mL×4)。合わせた有機相を乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1:10、KMnO4)により精製し、XXIIa’を得た(無色油)(13.5g、収率:75%、d.r.5:1まで、Rf=0.4、EtOAc/石油エーテル=1:3、KMnO4)。
XXIIaの調製方法は、XXIIa’の調製方法と同じである。
IIax’の調製
乾燥DCM(200mL)中のXXIIa’(13.5g、22.5mmol、Rf=0.4、EtOAc/石油エーテル=1:3、KMnO4)に、−60℃で、2,6‐ルチジン(7.2g、67.5mmol)を添加した。20分撹拌後、TBSOTF(12g、45mmol)を、この温度で添加し、そして生じた混合物を、室温で一晩撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析後、sat.aq.NH4Cl(300mL)を添加し、反応をクエンチした。有機相を分離し、そして水相をDCMで抽出した(200mL×2)。合わせた有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧下で、濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、IIax’を得た(白色固体)(16g、収率:100%、d.r.5:1まで、Rf=0.8、EtOAc/石油エーテル=1:3、KMnO4)(M.P.=116〜118℃)。
IIaxの調製
乾燥DCM(30mL)中のXXIIa(2.08g、3.5mmol)の溶液に、−60℃で、2,6‐ルチジン(1.13g、10.5mmol)を添加し、そして次に、20分後、TBSOTf(1.8g、7mmol)を添加した。生じた混合物を、室温で一晩撹拌した。XXIIaの消費を示すTLC分析後、sat.aq.NH4Cl溶液(30mL)を添加し、反応をクエンチした。有機相を分離し、そして水相をDCM(20mL×2)で抽出した。合わせた有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮し、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=10/1)により抽出された残渣を得て、IIaxを得た(黄色油)(2.38g、収率:96%)。
IIax’の調製
DCM中の1M TiCl4の溶液(123.5mL、123.5mmol)を、撹拌したDCM(823mL)中のXIXa’の溶液(41.15g、82.3mmol)に、0.5時間にわたって、N2雰囲気下、溶液温度を−75℃に維持しつつ、滴下した。反応混合物を、DIPEA(20.4mL、123.4mmol)をゆっくり添加する前に、0.5時間撹拌した。生じた暗赤色溶液をさらに1時間撹拌した後、n‐ヘプタン(600mL)中のXX(32.32g、329.3mmol)の溶液を、−75℃で1時間にわたって添加した。生じた混合物を、この温度で2時間撹拌し、そして0℃に加温し、続いて、さらに0.5時間撹拌した。TLC(EtOAc/n‐ヘプタン=1:4)により判断し、反応を完了した場合、反応を、リン酸緩衝水溶液(NaH2PO4及びNa2HPO4から調製された、pH=7.0、496mL、2N)を、10℃で添加することによりクエンチし、そして0.5時間撹拌した。有機相を集め、そして水相を、EtOAc(450mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を、sat.aq.NaHSO3(450mL)及び20%aq.NaCl(450mL)で洗浄し、MgSO4(20g)で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、粗XXIIa’を得て(d.r.=86:14)、そしてそれを、精製せずに、次のステップで直接使用した。
上記からの粗XXIIa’を、DCM(1029mL)に溶解し、そして連続的に、2,6‐ルチジン(38.3mL、328.8mmol)及びTBSOTf(47.3mL、206.0mmol)で、N2雰囲気下、溶液の温度を、<−73℃に維持しつつ、処理した。反応混合物を、25℃で2時間撹拌し、そしてその後、TLC(EtOAc/n‐ヘプタン=1:8)により判断し、反応を完了した後、10%aq.クエン酸(1275mL)を添加することによりクエンチした。有機相を集め、そして水相をDCM(600mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、20%aq.NaCl(900mL)で洗浄し、MgSO4(20g)で乾燥させ、濾過し、そしてca.620mLに濃縮した。溶媒をMeOHで交換し(600mL×3)、MeOH(ca.600mL)中に懸濁された粗IIax’を得て、そしてそれを、溶解させるために65〜70℃に加熱した。透明な溶液を穏やかに冷却し、そして、それを25℃にさらに冷却するまえに、57℃で0.5時間、維持した。25℃で2時間後、生じた懸濁物を濾過し、そして固体を、MeOH(205mL)で洗浄し、純粋なIIax’を得た(純白色固体)(35.55g、収率:61%、d.r.=99.2:0.79、M.P.=141〜142℃)。
XXIVaxの調製
THF/MeOH/H2O(104mL/17.2mL/25.9mL)中のIIax’の溶液(16g、22.5mmol、Rf=0.6、EtOAc/石油エーテル=1:5、KMnO4)に、0℃で、LiOH/H2O(3.8g、89.9mmol)及び30%H2O2(25.5g、225mmol)を添加した。生じた混合物を、室温で一晩、撹拌した。反応を、sat.aq.NaHSO3(195mL)でクエンチし、そして水相をEtOAcで抽出した(100mL×3)。合わせた有機相を乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。残渣(XXIVax、Rf=0.3、EtOAc/石油エーテル=1:5、KMnO4)を、さらなる精製なしで、次のステップで直接使用した。
XXVaxの調製
DMF(59mL)中の化合物XXIVax(16g、31.1mmol、未精製物、Rf=0.3、EtOAc/石油エーテル=1:5、KMnO4)の溶液に、室温で、SEMCl(5.9mL、34.2mmol)及びDMAP(0.40g、3.11mmol)を添加した。混合物を0℃に冷却し、そしてEt3N(5.9mL、46.6mmol)を添加した。混合物を室温に加温し、そして一晩撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物をEtOAc(100mL)及び水(50mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(50mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして減圧下で濃縮し、生成物を得て、シリカゲルでのカラムカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=80:1)で精製し、化合物XXVaxで得た(無色油)(9.4g、収率:2ステップで64.7%、Rf=0.9、EtOAc/石油エーテル=1:5、KMnO4)。
実施例10‐単位ABCの調製
IVax’の調製
撹拌したTHF(17.0mL)中の化合物IIax’(2.44g、3.426mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9‐BBN;13.70mL、6.582mmol、THFにおける0.5M)を添加した。反応混合物を、室温で3時間撹拌した。TLC(n‐ヘプタン/EtOAc=4:1)により判断し、反応が完了した後、水(0.70mL)を添加し、そして混合物をさらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、DMF(13.0mL)中の化合物IIIa’(1.00g、2.230mmol)、Pd(dppf)Cl2(82mg、0.112mmol)及びCs2CO3(2.23g、6.582mmol)の混合物に移した。反応混合物を、50℃で一晩撹拌した。TLC(n‐ヘプタン/EtOAc=4:1)により判断し、反応を完了した後、反応混合物を、EtOAc(60mL)及び水(60mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(60mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶離液:n‐ヘプタン/EtOAc=6:1)により精製し、IVax’を得た(白色泡)(2.14g、収率:93%、n‐ヘプタン/EtOAc=4:1について、Rf=0.24)。
IIax’(9.25g、12.988mmol)及び9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナンダイマー(2.19g、8.974mmol)の混合物に、室温で、THF(90.0mL)を添加した。反応混合物を、室温で3時間撹拌し、そしてTLC(n‐ヘプタン/EtOAc=4:1)により判断し、反応を完了した後、混合物を、水(1.16mL)に添加し、そしてさらに30分間、撹拌した。生じたボラン溶液を、DMF(58.0mL)中の、化合物IIIa’(4.48g、9.992mmol)、Pd(dppf)Cl2(365mg、0.499mmol)及びCs2CO3(9.77g、29.986mmol)の混合物に移した。反応混合物を、50℃で1時間撹拌した。TLC(n‐ヘプタン/EtOAc=4:1)により判断し、反応を完了した後、反応混合物を、酢酸エチル(200mL)及び水(200mL)の混合物に注いだ。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(200mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(n‐ヘプタン/EtOAc=6:1)により精製し、IVax’を得た(白色泡)(9.58g、回収:93%、Rf=0.24、n‐ヘプタン/EtOAc=4:1)。
XXVIIax’の調製
THF(2.4mL)中の化合物XXIIa’(280mg、0.47mmol)の溶液に、室温で、N2雰囲気下、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(1.89mL、0.94mmol、THFにおいて0.5M)を添加した。混合物を、室温で2時間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=3:1)後、水(0.1mL)を添加し、反応をクエンチし、そして混合物を、さらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、50℃で、DMF(1.3mL)中の化合物IIIa’(100mg、0.22mmol)、Pd(dppf)Cl2(8mg、0.011mmol)及びCs2CO3(215mg、0.66mmol)を含む混合物に移した。反応混合物は、橙赤色(orange red)から暗褐色溶液に変化した。混合物を、50℃で5時間撹拌した。反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=3:1)後、混合物を、EtOAc(5mL)及び水(5mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(5mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し(5mL×3)、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、粗生成物を得て、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物XXVIIax’を得た(無色油)(120mg、収率:58.5%)。
IVbxの調製
THF(14mL)中の化合物XXVax(1.06g、1.65mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(6.6mL、3.3mmol)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌し、そして反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、反応混合物を水(0.9mL)に添加し、さらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、DMF(10mL)中の化合物IIId’(0.6g、1.1mmol)、(dppf)PdCl2(0.16g、0.22mmol)、AsPh3(0.067g、0.22mmol)及びCs2CO3(1.1g、3.3mmol)を含む化合物に移した。反応混合物は、橙赤色から暗褐色溶液に変化した。混合物を、室温で30分間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を、EtOAc(50mL)及び水(50mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(30mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、生成物を得て、そしてそれをシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物IVbxを得た(無色油)(1.04g、収率:88.9%)。
IVcxの調製
THF(17mL)中の化合物XXVax(1.28g、2.6mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(8mL、4mmol)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を水(1.1mL)に添加し、そしてさらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、DMF(10mL)中の化合物IIIa’(0.6g、1.34mmol)、(dppf)PdCl2(0.2g、0.27mmol)、AsPh3(0.083g、0.27mmol)及びCs2CO3(1.3g、4.0MMOL)を含む混合物に移した。反応混合物は、橙赤色から暗褐色に変化した。混合物を室温で30分間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物をEtOAc(50mL)及び水(50mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(30mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物IVcxを得た(淡黄色油)(1.1g、収率:85.3%)。
IVcxの調製
THF(2mL)中の化合物XXVax(165mg、0.255mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(1.1mL、0.55mmol)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、そして反応が完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を、水(0.2mL)に添加し、そしてさらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、50℃で、DMF(2mL)中に化合物IIIb’(60mg、0.17mmol)、(dppf)PdCl2(1.25mg、0.0017mmol)、(Boc)2O(45mg、0.2mmol)及びCs2CO3(170mg、0.52mmol)を含む混合物に移した。反応混合物は、橙赤色から暗褐色溶液に変化した。混合物を、50℃で2時間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物をEtOAc(5mL)及び水(5mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(5mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下で濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれを、分取TLCにより精製し、化合物IVcxを得た(無色油)(130mg、収率:79%)。
IVdxの調製
THF(26.5mL)中の化合物XXVax(2.0g、4.06mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(12.5mL、6.24mmol)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を水(1.7mL)に添加し、そしてさらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、DMF(10mL)中に化合物IIIb’(0.6g、1.73mmol)、(dppf)PdCl2(0.256g、0.35mmol)、AsPh3(0.107g、0.35mmol)及びCs2CO3(1.7g、5.19mmol)を含む混合物に移した。反応混合物は、橙赤色から暗褐色溶液に変化した。混合物を、室温で30分間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物をEtOAc(50mL)及び水(50mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(30mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下、濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれをシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物IVdxを得た(暗褐色油)(0.9g、収率:60%)。
THF(1.5mL)中の化合物XXVax(150mg、0.23mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(0.93mL、0.46mmol)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を水(0.1mL)に添加し、そしてさらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、50℃で、DMF(1.5mL)中に化合物IIIb’・HCl(60mg、0.156mmol)、(dppf)PdCl2(5.7mg、0.0078mmol)、及びCs2CO3(305mg、0.936mmol)を含む混合物に移した。反応混合物は、橙赤色から暗褐色溶液に変化した。混合物を、50℃で一晩撹拌し、そしてその後、EtOAc(5mL)及び水(5mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(5mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下、濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれを分取TLCにより精製し、化合物IVdxを得た(黄色油)(64mg、収率:50%)。
IVexの精製
THF(16mL)中の化合物XXVax(1.24g、1.92mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(7.7mL、3.86mmol)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌し、反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を水(1.1mL)に添加し、そしてさらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、DMF(10mL)中に化合物IIIe’(0.6g、1.28mmol)、(dppf)PdCl2(0.19g、0.256mmol)、AsPh3(0.078g、0.256mmol)及びCs2CO3(1.25g、3.84mmol)を含む混合物に移した。反応混合物は、橙赤色から暗褐色溶液に変化した。混合物を、室温で30分間撹拌し、そして反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、EtOAc(50mL)及び水(50mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(30mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下、濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物IVexを得た(黄色油)(1.1g、収率:87.3%)。
IVfxの調製
THF(14.8mL)中の化合物XXVax(1.13g、1.76mmol)の溶液に、室温で、9‐ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(7.1mL、3.5mmol)を添加した。混合物を、室温で1時間撹拌し、反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を水(1mL)に添加し、そしてさらに30分間撹拌した。生じたボラン溶液を、DMF(10mL)中に化合物IIIc’(0.6g、1.17mmol)、(dppf)PdCl2(0.17g、0.23mmol)、AsPh3(0.072g、0.23mmol)及びCs2CO3(1.14g、3.51mmol)を含む混合物に移した。反応混合物は、橙赤色から暗褐色溶液に変化した。混合物を、室温で30分間撹拌した。反応を完了したことを示すTLC分析(石油エーテル/EtOAc=5:1)後、混合物を、EtOAc(50mL)及び水(50mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(30mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、そして真空下、濃縮し、粗生成物を得て、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物IVfxを得た(黄色油)(0.97g、収率:80.8%)。
XXVIaxの調製
THF(60.0mL)及びMeOH(15.0mL)の混合物中のIVax’(9.14g、8.834mmol)の撹拌された溶液に、0℃で、10%aq.LiOH(8.46mL、35.336mmol)を添加し、続いて、30%aq.H2O2溶液(5.01mL、44.170mmol)を添加した。生じた混合物を室温にゆっくりと加温し、そして室温で一晩撹拌した。反応を、0℃で、sat.aq.NaHSO3(10.94mL、44.170mmol)を添加することによりクエンチし、そして混合物を、さらに30分間撹拌した。生じた混合物を、真空中で濃縮し、そして残渣を、EtOAc(40mL)及びsat.aq.NH4Cl(40mL)で抽出した。有機相を分離し、そして水相を、EtOAcで抽出した(40mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過しそして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:2%MeOH/DCM〜5%MeOH/DCM)により精製し、XXVIaxを得た(白色泡)(4.44g、収率:60%、Rf=0.33、2%MeOH/DCM)。
XXVIaxの調製
2‐Me‐THF(24mL)及びMeOH(6mL)の混合溶液中のIVax’(2.38g、2.30mmol)の撹拌された溶液に、0℃で、10%aq.NaOH(3.68mL、10.21mmol)及び30%aq.H2O2溶液(1.30mL、13.07mmol)を添加した。生じた混合物を25℃に加温し、そして一晩撹拌した。反応を、25℃で、sat.aq.NaHSO3(2.85mL、14.79mmol)を添加することによりクエンチし、そして混合物を、10%aq.クエン酸(20mL)を添加する前に、さらに30分間撹拌し、そしてEtOAc(20mL)で抽出した。有機相を集めて、そして水相をEtOAcで抽出した(10mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し(20mL)、MgSO4(5g)で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮し、粗XXVIaxを得て、そしてそれを、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:2%MeOH/DCM〜5%MeOH/DCM)により精製し、純粋なXXVIaxを得た(白色泡)(1.46g、収率:76%、2%MeOH/DCMについて、Rf=0.33)。
XXVIaxからVaxの調製
DCM(180.0mL)中のXXVIax(7.25g、8.658mmol)の撹拌された溶液に、0℃で、2、6‐ルチジン(10.08mL、86.582mmol)及びTMSOTf(12.54mL、69.266mmol)を添加した。生じた混合物を室温に加温し、そして1時間撹拌した。反応混合物を、sat.aq.NH4Cl(100mL)に注いだ。有機相を分離し、そして水相をDCMで抽出し(100mL×2)、そして合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過しそして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:5%MeOH/DCM〜10%MeOH/DCM)により精製し、Vaxを得た(淡黄色泡)(5.90g、収率:92%、Rf=0.5、MeOH/DCM=1:10、UV)。
XXVIbx’の調製
N2雰囲気下、IVax’(95mg、0.09mmol)を、DCM(2.5mL)中に溶解し、その後、2,6‐ルチジン(0.103mL、0.92mmol)及びTMSOTf(0.165mL、0.92mmol)を、0℃で添加した。反応混合物を室温に加温し、そして室温で2時間撹拌した。TLCがすべての出発物質が消費されたことを示した場合、MeOH(0.165mL)を添加して、反応をクエンチした。混合物を室温で10分間撹拌し、そしてその後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:2%MeOH/DCM〜10%MeOH/DCM)により精製し、XXVIbx’を得た(無色油)(77mg、収率:90%、Rf=0.55、MeOH/DCM=1:10、UV)。
XXVIbx’からVaxの調製
THF(0.365mL)及びMeOH(0.073mL)の混合物中のXXVIbx’(75mg、0.08mmol)の溶液に、0℃で、10%aq.LiOH(0.176mL,0.64mmol)を添加し、続いて、30%aq.H2O2溶液(0.18μL、1.60mmol)を添加した。生じた混合物を、室温にゆっくりと加温し、そして室温で一晩撹拌した。反応を、0℃で、sat.aq.NaHSO3(0.396mL)を添加することによりクエンチし、そして混合物を、さらに30分間撹拌した。生じた混合物を真空下で濃縮し、そして残渣を、EtOAc(10mL)及びsat.aq.NH4Cl(10mL)で希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(10mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Ns2SO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(MeOH/DCM=1:9)により精製し、Vaxを得た(淡黄色泡)(13mg、収率:22%、Rf=0.5、MeOH/DCM=1:10、OV)。
XXVIaxからIXaの調製
乾燥DCM(20.0mL)中に溶解した、XXVIax(470mg、0.56mmol)を、0℃に冷却し、そしてTFA(10.0mL)をゆっくりと添加した。生じた混合物を、0℃で6時間撹拌した。TLCにより判断し、反応を完了した後、生じた混合物を真空下で濃縮し、そして残渣をDCM(30mL)及びsat.aq.NaHSO3(20mL)に添加した。有機相を分離し、そして水相をDCMで抽出した(30mL×2)。合わせた有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:2%MeOH/DCM〜15%MeOH/DCM)により精製し、IXaを得た(淡黄色泡)(275mg、収率:96%、Rf=0.35、MeOH/DCM、UV)。
IVbxからVaxの調製
IVbx(55mg、0.05mmol)を、乾燥DCM(1mL)中に溶解し、その後、メチル(フェニル)スルファン(13mg、0.1mmol)、2,6‐ルチジン(110mg、1mmol)及びTMSOTf(180mg、0.8mmol)を、0℃で、N2雰囲気下、添加した。生じた混合物を、室温で2時間撹拌し、そして、TLC分析が、すべての出発物質が消費されたことを示した後、MeOH(0.1mL)を添加して反応をクエンチした。混合物を室温で10分間撹拌し、DIPEA(260mg、2mmol)を添加し、そして減圧下で濃縮し、粗Vax(白色固体)(360mg)を得て、そしてそれをさらなる精製なしで、次のステップで使用した。
実施例10‐イキサベピロンの調製
VaxからVIaxの調製
THF(60.0mL)中の、HATU(4.56g、12.004mmol)及びDIPEA(4.18mL、24.008mmol)の撹拌された溶液に、30℃で、シリンジポンプを介して、5時間にわたって、THF(400.0mL)中のVax(2.95g、4.001mmol)の溶液を添加した。添加を完了した後、生じた混合物を、30℃でさらに30分間撹拌し、そしてその後、珪藻土のパッドを介して濾過し、続いて真空下で濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)及び10%aq.クエン酸(100mL)により希釈し、そして有機相を分離した。水相を、EtOAcで抽出し(100mL×2)、そして合わせた有機相を、sat.aq.NaHSO3及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(n‐ヘプタン/EtOAc=6:1)により精製し、VIaxを得た(白色泡)(1.67g、収率:58%、Rf=0.28、n‐ヘプタン/EtOAc=4:1)。
VIaxからIaの調製
DCM(4.5mL)中のVIax(450mg、0.626mmol)の撹拌された溶液に、0℃で、TFAを添加し、そして生じた混合物を、0℃で6時間撹拌した。TLC(n‐ヘプタン/EtOAc=1:1)により判断し、反応を完了した後、反応混合物をDCM(45mL)で希釈し、そして氷及びsat.aq.NaHSO3の混合物中に注いだ。有機相を分離し、そして水相をDCMで抽出した(50mL×2)。合わせた有機相を、sat.aq.NaHSO3及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(n‐ヘプタン/EtOAc=1:2)により精製し、Iaを得た(白色泡)(255mg、収率:83%、Rf=0.22、n‐ヘプタン/EtOAc=1:2)。
IXaからIaの調製
THF(20.0mL)中のHATU(3.04g、8.00mmol)及びDIPEA(2.79mL、16.00mmol)の溶液に、30℃で、シリンジポンプを介して、10時間にわたって、THF(40.0mL)中のIXa(407mg、0.80mmol)の溶液を添加した。生じた混合を、30℃でさらに12時間撹拌し、そしてその後、珪藻土のパッドを介して濾過し、続いて、真空下で濃縮した。残渣を、EtOAc(20mL)及び10%aq.クエン酸(20mL)により希釈した。有機相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(20mL×2)。合わせた有機相を、sat.aq.NaHSO3及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(n‐ヘプタン/EtOAc=1:2)により精製し、Iaを得た(白色泡)(192mg、収率:49%、Rf=0.22、n‐ヘプタン/EtOAc=1:2)。
イキサベピロンの調製
撹拌棒を備えた250mL三口フラスコに、10.0mLの脱イオン水、10.0mLのアセトン及び2.50gのNaHCO3を添加した。生じた混合物を、24℃の槽中で、15分間、激しく撹拌した。この混合物に、減圧下で(ca.50〜100mmHg)、10〜15分毎に、3部分のペルオキシ一硫酸カリウム(1.67g)を添加した。DMDOを蒸留し、そしてペルオキシ一硫酸カリウムをすべて添加した後、アセトン溶液として得た。N2雰囲気下、DMDO(10mL)を、溶液温度を−78℃に制御しつつ、カニューレを使用して、ゆっくりと、乾燥DCM(2.0mL)中のIa(61mg、0.124mmol)の溶液に移した。その後、反応混合物を、−50℃に加温し、そして1.5時間撹拌した。反応が完了したことをTLC分析が示した場合、過剰なDMDOを、−50℃でジメチルスルフィド(0.1mL)を添加することによりクエンチし、そして混合物を室温に加温し、そして減圧下で、濃縮した。残渣を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(EtOAc/n‐ヘプタン=2:1)により精製し、イキサベピロンを得た(無色油)(27mg、収率:42.8%)
先述の発明は、理解を明瞭にする目的のために、例示及び例の目的で、少し詳しく述べられているが、当業者は、特定の変更及び改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内で行われてもよいことを理解するであろう。また、本明細書中で提供されるそれぞれの文献は、あたかもそれぞれの文献が個別に参照により組み込まれるように、その全体が同程度まで、参照により組み込まれる。本出願と本明細書中で提供される文献の間に矛盾が存在する場合、本出願が優先されるべきである。