以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<駆動系統の構成>
図1は、本発明の各実施形態に係る油圧回路81,201が適用される車両1の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。
車両1は、エンジン(E/G)2を動力源とする自動車である。車両1には、トルクコンバータ3および動力分割式無段変速機4が搭載されている。
トルクコンバータ3は、トルコン入力軸11、トルコン出力軸12、ポンプインペラ13、タービンランナ14およびロックアップクラッチ15を備えている。トルコン入力軸11およびトルコン出力軸12は、エンジン2の出力軸16(以下「E/G出力軸16」という。)と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。トルコン入力軸11には、E/G出力軸16が連結されている。ポンプインペラ13の中心には、トルコン入力軸11が接続され、ポンプインペラ13は、トルコン入力軸11と一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ14の中心には、トルコン出力軸12が接続され、タービンランナ14は、トルコン出力軸12と一体的に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ15が係合されると、ポンプインペラ13とタービンランナ14とが直結され、ロックアップクラッチ15が解放されると、ポンプインペラ13とタービンランナ14とが分離される。
ロックアップクラッチ15が解放された状態において、E/G出力軸16からトルコン入力軸11に動力が入力されると、トルコン入力軸11およびポンプインペラ13が回転する。ポンプインペラ13が回転すると、ポンプインペラ13からタービンランナ14に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ14で受けられて、タービンランナ14が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ14には、トルコン入力軸11に入力される動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。そして、そのタービンランナ14の動力がトルコン出力軸12から出力される。
ロックアップクラッチ15が係合された状態では、E/G出力軸16からトルコン入力軸11に動力が入力されると、トルコン入力軸11、ポンプインペラ13およびタービンランナ14が一体となって回転する。そして、タービンランナ14の回転による動力がトルコン出力軸12から出力される。
動力分割式無段変速機4は、トルクコンバータ3から出力される動力をデファレンシャルギヤ5に伝達する。動力分割式無段変速機4は、T/M入力軸21、T/M出力軸22、無段変速機構23、一定変速機構24および合成用歯車機構25を備えている。
T/M入力軸21には、トルコン出力軸12が連結されている。
T/M出力軸22は、T/M入力軸21と平行に設けられている。
無段変速機構23は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成を有している。具体的には、無段変速機構23は、T/M入力軸21に連結されたプライマリ軸31と、プライマリ軸31と平行に設けられたセカンダリ軸32と、プライマリ軸31に相対回転不能に支持されたプライマリプーリ33と、セカンダリ軸32に相対回転不能に支持されたセカンダリプーリ34と、プライマリプーリ33とセカンダリプーリ34とに巻き掛けられたベルト35とを備えている。
一定変速機構24は、遊星歯車機構41、スプリットドライブギヤ42、スプリットドリブンギヤ43およびアイドルギヤ44を備えている。
遊星歯車機構41には、キャリア45、サンギヤ46およびリングギヤ47が含まれる。キャリア45は、T/M入力軸21に相対回転不能に支持されている。キャリア45は、複数個のピニオンギヤ48を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ48は、円周上に等角度間隔で配置されている。サンギヤ46は、T/M入力軸21に相対回転可能に外嵌されて、各ピニオンギヤ48にT/M入力軸21の回転径方向の内側から噛合している。リングギヤ47は、キャリア45の周囲を取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ48にT/M入力軸21の回転径方向の外側から噛合している。
スプリットドライブギヤ42は、サンギヤ46と一体回転可能に設けられている。
スプリットドリブンギヤ43は、次に述べる合成用歯車機構25のキャリア51の外周に、キャリア51と一体回転可能に設けられている。
アイドルギヤ44は、スプリットドライブギヤ42およびスプリットドリブンギヤ43と噛合している。
合成用歯車機構25は、遊星歯車機構の構成を有している。すなわち、合成用歯車機構25は、キャリア51、サンギヤ52およびリングギヤ53を備えている。キャリア51の中心には、無段変速機構23のセカンダリ軸32が相対回転可能に挿通されている。キャリア51は、複数個のピニオンギヤ54を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ54は、円周上に等角度間隔で配置されている。サンギヤ52は、セカンダリ軸32に相対回転不能に支持されて、各ピニオンギヤ54にセカンダリ軸32の回転径方向の内側から噛合している。リングギヤ53は、キャリア51の周囲を取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ54にセカンダリ軸32の回転径方向の外側から噛合している。また、リングギヤ53の中心には、T/M出力軸22の一端が接続され、リングギヤ53は、T/M出力軸22と一体回転可能に設けられている。T/M出力軸22の他端部には、出力ギヤ55が相対回転不能に支持されている。
出力ギヤ55の回転は、アイドルギヤ機構6を経由して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。アイドルギヤ機構6には、T/M出力軸22と平行に設けられたアイドル軸61と、アイドル軸61に相対回転不能に支持された第1アイドルギヤ62および第2アイドルギヤ63とが含まれる。第1アイドルギヤ62は、出力ギヤ55と噛合している。第2アイドルギヤ63は、デファレンシャルギヤ5に備えられたリングギヤ64と噛合している。
また、動力分割式無段変速機4は、ハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCを備えている。
ハイブレーキHBは、リングギヤ47を制動する係合状態(オン)と、リングギヤ47の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
リバースブレーキRBは、スプリットドライブギヤ42(サンギヤ46)を制動する係合状態(オン)と、スプリットドライブギヤ42の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
ロークラッチLCは、T/M出力軸22とセカンダリ軸32とを直結する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
<動力伝達モード>
図2は、車両1の前進時および後進時におけるハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCの状態を示す図である。図3は、無段変速機構23の変速比(以下「ベルト変速比」という。)γbと動力分割式無段変速機4の変速比(以下「T/M変速比」という。)γallとの関係を示す図である。
図2において、「○」は、ハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCが係合状態であることを示している。
動力分割式無段変速機4は、車両1の前進時の動力伝達モードとして、ベルトモードおよびスプリットモードを有している。
ベルトモードでは、ハイブレーキHBおよびリバースブレーキRBが解放状態にされる。そして、ロークラッチLCが係合状態にされる。これにより、T/M出力軸22およびセカンダリ軸32が直結される。
T/M入力軸21に入力される動力は、無段変速機構23のプライマリ軸31に伝達され、プライマリ軸31およびプライマリプーリ33を回転させる。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。ロークラッチLCが係合されているので、T/M出力軸22がセカンダリ軸32と一体に回転する。したがって、ベルトモードでは、図3に示されるように、T/M変速比γallがベルト変速比γbと一致する。
T/M出力軸22の回転は、出力ギヤ55、第1アイドルギヤ62、アイドル軸61および第2アイドルギヤ63を介して、デファレンシャルギヤ5のリングギヤ64に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト71,72が前進方向に回転する。
図4は、合成用歯車機構25のキャリア51、サンギヤ52およびリングギヤ53の回転数の関係を示す共線図である。
スプリットモードでは、図2に示されるように、ハイブレーキHBが係合状態にされ、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCが解放状態にされる。ハイブレーキHBが係合状態にされることにより、一定変速機構24のリングギヤ47が制動される。また、ロークラッチLCが解放状態にされることにより、T/M出力軸22とセカンダリ軸32との直結が解除される。
T/M入力軸21に入力される動力は、無段変速機構23のプライマリ軸31に伝達され、プライマリ軸31およびプライマリプーリ33を回転させる。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。セカンダリ軸32の回転により、合成用歯車機構25のサンギヤ52が回転する。
また、一定変速機構24のリングギヤ47が制動されているので、T/M入力軸21に入力される動力は、一定変速機構24のキャリア45を公転させるとともに、そのキャリア45に保持されているピニオンギヤ48を回転させる。ピニオンギヤ48の回転により、ピニオンギヤ48からサンギヤ46に動力が入力される。これにより、ピニオンギヤ48およびスプリットドライブギヤ42が回転する。スプリットドライブギヤ42の回転は、アイドルギヤ44を介して、スプリットドリブンギヤ43に伝達され、スプリットドリブンギヤ43および合成用歯車機構25のキャリア51を回転させる。
一定変速機構24の変速比γgが一定で不変(固定)であるので、スプリットモードでは、T/M入力軸21に入力される動力が一定であれば、合成用歯車機構25のキャリア51の回転が一定速度に保持される。そのため、ベルト変速比γbが上げられると、図4に示されるように、合成用歯車機構25のサンギヤ52の回転速度が下がるので、合成用歯車機構25のリングギヤ53(T/M出力軸22)の回転速度が上がる。その結果、スプリットモードでは、図3に示されるように、ベルト変速比γbが大きいほど、T/M変速比γallが下がる。
T/M出力軸22の回転は、出力ギヤ55、第1アイドルギヤ62、アイドル軸61および第2アイドルギヤ63を介して、デファレンシャルギヤ5のリングギヤ64に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト71,72が前進方向に回転する。
車両1を後進させるための後進モードでは、ハイブレーキHBおよびロークラッチLCが解放状態にされる。そして、リバースブレーキRBが係合状態にされる。これにより、スプリットドライブギヤ42(サンギヤ46)が制動される。スプリットドライブギヤ42の制動により、一定変速機構24のアイドルギヤ44が回転不能となり、スプリットドリブンギヤ43およびキャリア51が回転不能となる。
T/M入力軸21に入力される動力は、無段変速機構23のプライマリ軸31に伝達され、プライマリ軸31およびプライマリプーリ33を回転させる。プライマリプーリ33の回転は、ベルト35を介して、セカンダリプーリ34に伝達され、セカンダリプーリ34およびセカンダリ軸32を回転させる。セカンダリ軸32の回転により、合成用歯車機構25のサンギヤ52が回転する。キャリア51が回転不能なため、サンギヤ52が回転すると、リングギヤ53がサンギヤ52と逆方向に回転する。このリングギヤ53の回転方向は、ベルトモードおよびスプリットモードにおけるリングギヤ53の回転方向と逆方向となる。そして、リングギヤ53と一体にT/M出力軸22が回転する。T/M出力軸22の回転は、出力ギヤ55、第1アイドルギヤ62、アイドル軸61および第2アイドルギヤ63を介して、デファレンシャルギヤ5のリングギヤ64に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト71,72が後進方向に回転する。
<第1実施形態>
図5は、本発明の第1実施形態に係る油圧回路81の構成を示す回路図である。
油圧回路81は、トルクコンバータ3ならびに動力分割式無段変速機4のハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCに油圧を供給する回路である。油圧回路81には、ロックアップコントロールバルブ82、ロックアップソレノイドバルブ83、マニュアルバルブ84、SL1ソレノイドバルブ85、ソレノイドリレーバルブ86およびSL2ソレノイドバルブ87が含まれる。
ロックアップコントロールバルブ82は、トルクコンバータ3に供給される油圧を制御するためのバルブである。具体的には、トルクコンバータ3には、ロックアップクラッチ15(図1参照)の両側に係合側油室91および解放側油室92が形成されている。ロックアップコントロールバルブ82は、係合側油室91および解放側油室92にそれぞれ供給される油圧(オイルの流量)を制御するためのバルブである。係合側油室91および解放側油室92に供給される各油圧が制御されることにより、係合側油室91と解放側油室92との間に油圧差が生じ、その油圧差により、ロックアップクラッチ15が係合/解放される。
ロックアップコントロールバルブ82は、略円筒状の周壁を有するスリーブ101と、スリーブ101内に収容され、スリーブ101の中心線方向(軸線方向)に離間したロックアップ係合ポジションとロックアップ解放ポジションとの間で変位可能に設けられたスプール102と、スプール102をロックアップ解放ポジションに向けて付勢するスプリング103とを備えている。
スリーブ101の周壁には、油圧(オイル)が入力されるポートとして、信号ポート104、入力ポート105および潤滑油ポート106が形成されている。信号ポート104には、ロックアップソレノイドバルブ83から出力される信号圧が入力される。入力ポート105には、レギュレータバルブ(図示せず)により調圧されたトルコン供給圧が入力される。潤滑油ポート106には、潤滑油としてのオイルが供給される。
また、スリーブ101の周壁には、油圧(オイル)を出力するためのポートとして、第1出力ポート107、第2出力ポート108および第3出力ポート109が形成されている。さらに、スリーブ101の周壁には、第1フィードバックポート110、第2フィードバックポート111およびドレンポート112が形成されている。
ロックアップソレノイドバルブ83には、たとえば、非通電時に出力油圧が0(零)になるノーマルクローズタイプのリニアソレノイドバルブが用いられる。ロックアップソレノイドバルブ83には、レギュレータバルブ(図示せず)により調圧されたソレノイド供給圧が入力される。ロックアップソレノイドバルブ83の電磁コイルへの通電が制御されることにより、ロックアップソレノイドバルブ83に入力されるソレノイド供給圧が調圧され、その調圧された油圧がロックアップソレノイドバルブ83から出力される。
ロックアップソレノイドバルブ83から出力される油圧(信号圧)が所定値未満である状態では、ロックアップコントロールバルブ82において、スプリング103の付勢力により、スプール102がロックアップ解放ポジションに位置している。この状態では、入力ポート105と第2出力ポート108とがスリーブ101内の内部油路113を介して連通し、入力ポート105と第1出力ポート107とがスプール102により遮断される。そのため、入力ポート105に入力されるトルコン供給圧は、第1出力ポート107から出力されず、第2出力ポート108から出力される。第2出力ポート108から出力される油圧は、トルクコンバータ3の解放側油室92に入力される。トルクコンバータ3の係合側油室91に油圧が入力されないので、係合側油室91と解放側油室92との間の油圧差により、ロックアップクラッチ15の解放状態が維持される。また、第2出力ポート108と第2フィードバックポート111とは、ロックアップコントロールバルブ82の外部で連通しており、第2出力ポート108から出力される油圧は、第2フィードバックポート111にも入力(フィードバック)される。
ロックアップソレノイドバルブ83から出力される油圧が増加し、信号ポート104に入力される油圧が所定値以上になると、スプール102がスプリング103の付勢力に抗してロックアップ係合ポジション側に変位する。このスプール102の変位に伴って、入力ポート105と内部油路113との接続部分の断面積が小さくなる。スプール102の変位が進むと、入力ポート105と第1出力ポート107とがスリーブ101内の内部油路114を介して連通し始める。これにより、入力ポート105に入力されるトルコン供給圧が第1出力ポート107から出力され、その第1出力ポート107から出力される油圧がトルクコンバータ3の係合側油室91に入力される。第1出力ポート107と第1フィードバックポート110とは、ロックアップコントロールバルブ82の外部で連通しており、第1出力ポート107から出力される油圧は、第1フィードバックポート110にも入力(フィードバック)される。また、スプール102の変位により、第2出力ポート108とドレンポート112とがスリーブ101内の内部油路115を介して連通し始める。
さらに、スプール102の変位に伴って、潤滑油ポート106と第3出力ポート109とがスリーブ101内の内部油路116を介して連通し始める。これにより、潤滑油ポート106から供給されるオイルが第3出力ポート109から出力される。第3出力ポート109から出力されるオイルは、オイルクーラ117に供給され、オイルクーラ117で冷却される。
信号ポート104に入力される油圧の上昇に伴い、スプール102の変位が進み、トルクコンバータ3の係合側油室91に入力される油圧が上昇して、ロックアップクラッチ15が係合し始める。このとき、解放側油室92の油圧は、第2出力ポート108、内部油路115およびドレンポート112を通して抜ける。
ロックアップクラッチ15が完全に係合した状態では、スプール102がロックアップ係合ポジションに位置する。このとき、入力ポート105と第2出力ポート108とがスプール102により遮断される。そのため、入力ポート105に入力されるトルコン供給圧は、第1出力ポート107から出力され、第2出力ポート108から出力されない。
ロックアップクラッチ15が係合した状態から、ロックアップソレノイドバルブ83から出力される油圧が低減され、信号ポート104に入力される油圧が所定値未満になると、スプール102がスプリング103の付勢力によりロックアップ解放ポジション側に変位する。
信号ポート104に入力される油圧の低減に伴い、スプール102の変位が進み、トルクコンバータ3の係合側油室91に入力される油圧が増加して、ロックアップクラッチ15が解放され始める。また、第1出力ポート107と第3出力ポート109とがスリーブ101内の内部油路118を介して連通する。これにより、係合側油室91の油圧は、第1出力ポート107、内部油路118および第3出力ポート109を通して解放される。
マニュアルバルブ84は、略円筒状の周壁を有するスリーブ121と、スリーブ121内に収容され、スリーブ121の中心線方向(軸線方向)に変位可能に設けられたスプール122とを備えている。
スリーブ121の周壁には、レギュレータバルブ(図示せず)により調圧されたクラッチ供給圧が入力される入力ポート123が形成されている。また、スリーブ121の周壁には、油圧を出力するポートとして、前進ポート124および後進ポート125が形成されている。
スプール122は、車両1の車室内に配設されたシフトレバー(図示せず)の手動操作に伴って変位する。シフトレバーがシフトレンジのDレンジ(前進レンジ)に対応する位置にシフトされた状態では、入力ポート123がスリーブ121内の内部油路126を介して前進ポート124と連通し、入力ポート123に入力されるクラッチ供給圧が前進ポート124から出力される。シフトレバーがシフトレンジのRレンジ(後進レンジ)に対応する位置にシフトされた状態では、入力ポート123がスリーブ121内の内部油路127を介して後進ポート125と連通し、入力ポート123に入力されるクラッチ供給圧が後進ポート125から出力される。
SL1ソレノイドバルブ85には、たとえば、非通電時に出力油圧が最大になるノーマルオープンタイプのリニアソレノイドバルブが用いられる。SL1ソレノイドバルブ85には、マニュアルバルブ84の前進ポート124から出力される油圧(以下、「前進油圧」という。)が入力される。SL1ソレノイドバルブ85の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL1ソレノイドバルブ85に入力される前進油圧が調圧され、その調圧された油圧がSL1ソレノイドバルブ85から出力される。SL1ソレノイドバルブ85から出力される油圧は、ロークラッチLCに供給(入力)される。ロークラッチLCは、SL1ソレノイドバルブ85から供給される油圧により係合/解放される。
ソレノイドリレーバルブ86は、油圧の供給先(入力先)をハイブレーキHBとリバースブレーキRBとに切り替えるためのバルブである。ソレノイドリレーバルブ86は、略円筒状の周壁を有するスリーブ131と、スリーブ131内に収容され、スリーブ131の中心線方向(軸線方向)に離間した前進ポジションと後進ポジションとの間で変位可能に設けられたスプール132と、スプール132を前進ポジションに向けて付勢するスプリング133とを備えている。
スリーブ131の周壁には、油圧が入力されるポートとして、切替ポート134、前進油圧入力ポート135、後進油圧入力ポート136および調圧入力ポート137が形成されている。切替ポート134および後進油圧入力ポート136には、マニュアルバルブ84の後進ポート125から出力される油圧(以下、「後進油圧」という。)が入力される。前進油圧入力ポート135には、マニュアルバルブ84の前進ポート124から出力される前進油圧が入力される。調圧入力ポート137には、SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧が入力される。
また、スリーブ131の周壁には、油圧を出力するためのポートとして、第1出力ポート138、第2出力ポート139および第3出力ポート140が形成されている。
SL2ソレノイドバルブ87には、たとえば、非通電時に出力油圧が0(零)になるノーマルクローズタイプのリニアソレノイドバルブが用いられる。SL2ソレノイドバルブ87には、ソレノイドリレーバルブ86の第3出力ポート140から出力される油圧が入力される。SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL2ソレノイドバルブ87に入力される油圧が調圧され、その調圧された油圧がSL2ソレノイドバルブ87から出力される。
シフトレンジがDレンジである状態では、ソレノイドリレーバルブ86において、スプリング133の付勢力により、スプール132が前進ポジションに位置している。この状態では、前進油圧入力ポート135と第3出力ポート140とがスリーブ131内の内部油路141を介して連通し、調圧入力ポート137と第1出力ポート138とがスリーブ131内の内部油路142を介して連通する。また、調圧入力ポート137と第2出力ポート139とがスプール132により遮断される。
シフトレンジがDレンジであり、動力伝達モードがベルトモードである場合、SL1ソレノイドバルブ85およびSL2ソレノイドバルブ87の各電磁コイルに通電されない。そのため、マニュアルバルブ84の前進ポート124から出力される前進油圧は、SL1ソレノイドバルブ85に受け入れられるが、ソレノイドリレーバルブ86の前進油圧入力ポート135と第3出力ポート140とが内部油路141を介して連通していても、SL2ソレノイドバルブ87には受け入れられない。したがって、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに油圧が入力されるが、SL2ソレノイドバルブ87からは油圧が出力されず、調圧入力ポート137と第1出力ポート138とが内部油路142を介して連通していても、ハイブレーキHBには油圧が入力されない。また、リバースブレーキRBにも油圧が入力されない。これにより、ハイブレーキHBおよびリバースブレーキRBが解放状態となり、ロークラッチLCが係合状態となる。
動力伝達モードがベルトモードからスプリットモードに切り替えられる際には、SL1ソレノイドバルブ85およびSL2ソレノイドバルブ87の各電磁コイルに通電される。SL1ソレノイドバルブ85の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに入力される油圧が制御される。また、ソレノイドリレーバルブ86の前進油圧入力ポート135に入力される前進油圧が内部油路141を通して第3出力ポート140から出力され、第3出力ポート140から出力される前進油圧がSL2ソレノイドバルブ87に受け入れられる。そして、SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧が制御される。SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧は、調圧入力ポート137および内部油路142を通して、第1出力ポート138から出力され、ハイブレーキHBに供給される。その結果、ロークラッチLCが解放され、ハイブレーキHBが係合される。
動力伝達モードがスプリットモードからベルトモードに切り替えられる際には、SL1ソレノイドバルブ85の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに入力される油圧が制御され、SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧が制御され、ソレノイドリレーバルブ86からハイブレーキHBに供給される油圧が制御される。その結果、ハイブレーキHBが解放される、ロークラッチLCが係合される。
シフトレンジのDレンジとRレンジとの切り替えは、動力伝達モードがベルトモードである状態で行われる。シフトレンジがDレンジからRレンジにシフトチェンジされると、マニュアルバルブ84の前進ポート124からの前進油圧の出力が停止し、マニュアルバルブ84の後進ポート125から後進油圧が出力される。前進油圧の出力が停止することにより、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCへの油圧の供給が停止し、ロークラッチLCが解放状態となる。一方、後進油圧は、ソレノイドリレーバルブ86の切替ポート134および後進油圧入力ポート136に入力される。切替ポート134に入力される後進油圧により、スプール132は、スプリング133の付勢力に抗して、前進ポジションから後進ポジションに変位する。
スプール132が後進ポジションに位置する状態では、後進油圧入力ポート136と第3出力ポート140とがスリーブ131内の内部油路143を介して連通し、調圧入力ポート137と第2出力ポート139とがスリーブ131内の内部油路144を介して連通する。SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルに通電されると、後進油圧入力ポート136に入力される後進油圧が内部油路143を通して第3出力ポート140から出力され、第3出力ポート140から出力される後進油圧がSL2ソレノイドバルブ87に受け入れられる。そして、SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧が制御される。SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧は、調圧入力ポート137および内部油路144を通して、第2出力ポート139から出力され、リバースブレーキRBに供給される。その結果、リバースブレーキRBが係合される。
また、ソレノイドリレーバルブ86において、調圧入力ポート137と第1出力ポート138とがスプール132により遮断される。そのため、第1出力ポート138から油圧が出力されないので、ハイブレーキHBに油圧が供給されず、ハイブレーキHBは解放状態である。
シフトレンジがRレンジからDレンジにシフトチェンジされると、マニュアルバルブ84の後進ポート125からの後進油圧の出力が停止し、マニュアルバルブ84の前進ポート124から前進油圧が出力される。後進油圧の出力が停止すると、ソレノイドリレーバルブ86の切替ポート134への後進油圧の入力がなくなるので、ソレノイドリレーバルブ86では、スプリング133の付勢力により、スプール132が後進ポジションから前進ポジションに変位する。その結果、リバースブレーキRBへの油圧の供給がなくなり、リバースブレーキRBが解放される。そして、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに油圧が入力されて、ロークラッチLCが係合される。
<作用効果>
この構成によれば、シフトレンジがDレンジであるときには、マニュアルバルブ84の前進ポート124から前進油圧が出力され、その前進油圧がSL1ソレノイドバルブ85およびソレノイドリレーバルブ86に受け入れられる。ロークラッチLCを係合/解放させる場合、前進油圧がSL1ソレノイドバルブ85により調圧されて、その調圧された油圧がロークラッチLCに供給される。ハイブレーキHBを係合/解放させる場合、ソレノイドリレーバルブ86に受け入れられた前進油圧は、ソレノイドリレーバルブ86からSL2ソレノイドバルブ87に出力され、SL2ソレノイドバルブ87に受け入れられる。そして、前進油圧がSL2ソレノイドバルブ87により調圧されて、その調圧された油圧がSL2ソレノイドバルブ87から出力される。SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧は、ソレノイドリレーバルブ86に受け入れられ、ソレノイドリレーバルブ86からハイブレーキHBに供給される。
一方、シフトレンジがRレンジであるときには、マニュアルバルブ84の後進ポート125から後進油圧が出力され、その後進油圧がSL1ソレノイドバルブ85に受け入れられる。ソレノイドリレーバルブ86に受け入れられた後進油圧は、ソレノイドリレーバルブ86からSL2ソレノイドバルブ87に出力され、SL2ソレノイドバルブ87に受け入れられる。そして、後進油圧がSL2ソレノイドバルブ87により調圧されて、その調圧された油圧がSL2ソレノイドバルブ87から出力される。SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧は、ソレノイドリレーバルブ86に受け入れられ、ソレノイドリレーバルブ86からリバースブレーキRBに供給される。
よって、SL1ソレノイドバルブ85およびSL2ソレノイドバルブ87の2個の油圧制御バルブにより、ロークラッチLC、ハイブレーキHBおよびリバースブレーキRBの3個の係合要素に供給される油圧を個別に制御(調圧)することができる。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る油圧回路201の構成を示す回路図である。図6において、図5に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略する。
油圧回路201は、トルクコンバータ3ならびに動力分割式無段変速機4のハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCに油圧を供給する回路である。油圧回路201には、ロックアップコントロールバルブ82、ロックアップソレノイドバルブ83、マニュアルバルブ84、SL1ソレノイドバルブ85、SL2ソレノイドバルブ87およびソレノイドリレーバルブ202が含まれる。
ソレノイドリレーバルブ202は、油圧の供給先(入力先)をハイブレーキHBとリバースブレーキRBとに切り替えるためのバルブである。ソレノイドリレーバルブ202は、略円筒状の周壁を有するスリーブ211と、スリーブ211内に収容され、スリーブ211の中心線方向(軸線方向)に離間した低速ポジションと高速ポジションとの間で変位可能に設けられたスプール212と、スプール212を低速ポジションに向けて付勢するスプリング213とを備えている。
スリーブ211の周壁には、油圧が入力されるポートとして、切替ポート214、前進油圧入力ポート215、後進油圧入力ポート216および調圧入力ポート217が形成されている。切替ポート214には、ロックアップソレノイドバルブ83から出力される油圧が入力される。前進油圧入力ポート215には、マニュアルバルブ84の前進ポート124から出力される前進油圧が入力される。後進油圧入力ポート216には、マニュアルバルブ84の後進ポート125から出力される後進油圧が入力される。調圧入力ポート217には、SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧が入力される。
また、スリーブ211の周壁には、油圧を出力するためのポートとして、第1出力ポート218、第2出力ポート219および第3出力ポート220が形成されている。
ロックアップソレノイドバルブ83から油圧が出力されていない状態、つまりロックアップクラッチ15(図1参照)が解放されている状態では、ソレノイドリレーバルブ202において、スプリング213の付勢力により、スプール212が低速ポジションに位置している。この状態では、スプール212により、前進油圧入力ポート215と第3出力ポート220とが遮断され、また、調圧入力ポート217と第1出力ポート218とが遮断される。また、後進油圧入力ポート216と第3出力ポート220とがスリーブ211内の内部油路221を介して連通し、調圧入力ポート217と第2出力ポート219とがスリーブ211内の内部油路222を介して連通する。
ロックアップクラッチ15が解放されている状態で、シフトレンジがDレンジであり、動力伝達モードがベルトモードである場合、SL1ソレノイドバルブ85の電磁コイルに通電されない。そのため、マニュアルバルブ84の前進ポート124から出力される前進油圧は、SL1ソレノイドバルブ85に受け入れられる。一方、前進油圧入力ポート215と第3出力ポート220とがスプール212により遮断されているので、前進油圧は、SL2ソレノイドバルブ87には受け入れられない。したがって、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに油圧が入力されるが、SL2ソレノイドバルブ87からは油圧が出力されず、調圧入力ポート217と第2出力ポート219とが内部油路222を介して連通していても、リバースブレーキRBには油圧が入力されない。また、ハイブレーキHBにも油圧が入力されない。これにより、ハイブレーキHBおよびリバースブレーキRBが解放状態となり、ロークラッチLCが係合状態となる。
シフトレンジがDレンジからRレンジにシフトチェンジされるのは、車庫入れの際などであり、そのDレンジからRレンジにシフトチェンジされる直前の車両1は、停止しているか、または、微速で前進している状態である。そのため、DレンジからRレンジにシフトチェンジされる直前では、ロックアップクラッチ15は解放され、動力伝達モードはベルトモードである。
シフトレンジがDレンジからRレンジにシフトチェンジされると、マニュアルバルブ84の前進ポート124からの前進油圧の出力が停止し、マニュアルバルブ84の後進ポート125から後進油圧が出力される。ロックアップクラッチ15が解放されているので、スプール212は、低速ポジションに位置したままで変位しない。前進油圧の出力が停止することにより、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCへの油圧の供給が停止し、ロークラッチLCが解放状態となる。一方、後進油圧は、ソレノイドリレーバルブ202の後進油圧入力ポート216に入力される。後進油圧入力ポート216と第3出力ポート220とが内部油路221を介して連通しているので、SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルに通電されると、後進油圧入力ポート216に入力される後進油圧が内部油路221を通して第3出力ポート220から出力され、第3出力ポート220から出力される前進油圧がSL2ソレノイドバルブ87に受け入れられる。そして、SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧が制御される。SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧は、調圧入力ポート217および内部油路222を通して、第2出力ポート219から出力され、リバースブレーキRBに供給される。その結果、リバースブレーキRBが係合される。これにより、ハイブレーキHBが解放状態のまま、ロークラッチLCが解放状態となり、リバースブレーキRBが係合状態となる。
シフトレンジがRレンジからDレンジにシフトチェンジされると、マニュアルバルブ84の後進ポート125からの後進油圧の出力が停止し、マニュアルバルブ84の前進ポート124から前進油圧が出力される。ロックアップクラッチ15が解放されているので、スプール212は、低速ポジションに位置したままで変位しない。後進油圧の出力が停止すると、ソレノイドリレーバルブ202の後進油圧入力ポート216への後進油圧の入力がなくなるので、リバースブレーキRBへの油圧の供給がなくなり、リバースブレーキRBが解放される。前進油圧は、SL1ソレノイドバルブ85に受け入れられ、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに入力される。その結果、ロークラッチLCが係合される。
また、シフトレンジがDレンジであり、動力伝達モードがベルトモードである状態で、ロックアップクラッチ15が解放状態から係合状態に切り替えられる場合には、ロックアップソレノイドバルブ83から油圧が出力され、その油圧がロックアップコントロールバルブ82の信号ポート104に信号圧として入力される。そして、ロックアップソレノイドバルブ83から出力される油圧が所定値を超えてさらに増加されると、ロックアップクラッチ15が係合状態になる。
これと並行して、ロックアップソレノイドバルブ83から出力される油圧がソレノイドリレーバルブ202の切替ポート214に入力される。この切替ポート214に入力される油圧により、スプール212は、スプリング213の付勢力に抗して、低速ポジションから高速ポジションに変位する。
スプール212が高速ポジションに位置する状態では、スプール212により、後進油圧入力ポート216と第3出力ポート220とが遮断され、また、調圧入力ポート217と第2出力ポート219とが遮断される。また、前進油圧入力ポート215と第3出力ポート220とがスリーブ211内の内部油路223を介して連通し、調圧入力ポート217と第1出力ポート218とがスリーブ211内の内部油路224を介して連通する。
動力伝達モードのベルトモードからスプリットモードへの切り替えは、ロックアップクラッチ15が係合し、ソレノイドリレーバルブ202のスプール212が高速ポジションに位置する状態で行われる。その切り替えの際には、SL1ソレノイドバルブ85およびSL2ソレノイドバルブ87の各電磁コイルに通電される。SL1ソレノイドバルブ85の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに入力される油圧が制御される。また、ソレノイドリレーバルブ202の前進油圧入力ポート215に入力される前進油圧が内部油路223を通して第3出力ポート220から出力され、第3出力ポート220から出力される前進油圧がSL2ソレノイドバルブ87に受け入れられる。そして、SL2ソレノイドバルブ87の電磁コイルへの通電が制御されることにより、SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧が制御される。SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧は、調圧入力ポート217および内部油路224を通して、第1出力ポート218から出力され、ハイブレーキHBに供給される。その結果、ロークラッチLCが解放され、ハイブレーキHBが係合される。
<作用効果>
この構成によれば、ロックアップクラッチ15が解放されている状態では、ソレノイドリレーバルブ202のスプール212が低速ポジションに位置し、シフトレンジがDレンジとRレンジとに切り替えられても、スプール212が低速ポジションから移動しない。スプール212が低速ポジションに位置する状態では、前進油圧入力ポート215と第3出力ポート220とが遮断され、後進油圧入力ポート216と第3出力ポート220とが連通し、調圧入力ポート217と第2出力ポート219とが連通する。
そのため、ロックアップクラッチ15が解放された状態で、シフトレンジがDレンジである場合、マニュアルバルブ84の前進ポート124から出力される前進油圧は、ソレノイドリレーバルブ202には受け入れられず、SL1ソレノイドバルブ85に受け入れられる。そして、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに出力される油圧により、ロークラッチLCが係合/解放される。
また、ロックアップクラッチ15が解放された状態で、シフトレンジがRレンジである場合、マニュアルバルブ84の後進ポート125から出力される後進油圧は、ソレノイドリレーバルブ202に受け入れられ、第3出力ポート220からSL2ソレノイドバルブ87に出力される。SL2ソレノイドバルブ87から出力される油圧は、ソレノイドリレーバルブ202に受け入れられる。そして、ソレノイドリレーバルブ202の第2出力ポート219からリバースブレーキRBに出力される油圧により、リバースブレーキRBが係合される。
たとえば、図5に示される油圧回路81では、シフトレンジがDレンジからRレンジにシフトチェンジされる際に、ソレノイドリレーバルブ86のスプール132が前進ポジションから後進ポジションに変位することにより、ソレノイドリレーバルブ86の後進油圧入力ポート136と第3出力ポート140とが内部油路143を介して連通し、マニュアルバルブ84から後進油圧入力ポート136に入力される後進油圧が内部油路143および第3出力ポート140を介してSL2ソレノイドバルブ87に供給される。また、シフトレンジがRレンジからDレンジにシフトチェンジされる際には、ソレノイドリレーバルブ86のスプール132が後進ポジションから前進ポジションに変位することにより、ソレノイドリレーバルブ86の前進油圧入力ポート135と第3出力ポート140とが内部油路141を介して連通し、マニュアルバルブ84から前進油圧入力ポート135に入力される前進油圧が内部油路141および第3出力ポート140を介してSL2ソレノイドバルブ87に供給される。そのため、ソレノイドリレーバルブ86のスプール132の変位の完了を待った後、SL2ソレノイドバルブ87による調圧を開始しなければならない。
シフトレンジがDレンジとRレンジとに切り替えられる際には、ロックアップクラッチ15が解放されているので、油圧回路201では、ソレノイドリレーバルブ202のスプール212が低速ポジションから移動しない。そのため、シフトレンジの切替後、SL1ソレノイドバルブ85またはSL2ソレノイドバルブ87による調圧を直ちに開始することができる。
その結果、シフトレンジのDレンジとRレンジとの切り替えに対して良好な応答性で、車両1の前進と後進とを切り替えることができる。
また、SL2ソレノイドバルブ87が油圧を出力している状態で故障しても、ロックアップソレノイドバルブ83から出力される油圧により、ロックアップコントロールバルブ82のスプール102をロックアップ係合ポジションからロックアップ解放ポジションに変位させるとともに、ソレノイドリレーバルブ202のスプール212を高速ポジションから低速ポジションに変位させることができる。スプール212が低速ポジションに変位されると、ソレノイドリレーバルブ202の前進油圧入力ポート215と第3出力ポート220とが遮断され、前進油圧がソレノイドリレーバルブ202に受け入れられないので、ソレノイドリレーバルブ202からハイブレーキHBへの油圧の出力が停止する。その結果、ハイブレーキHBが解放されるので、SL1ソレノイドバルブ85からロークラッチLCに出力される油圧により、ロークラッチLCを係合させて、車両を低速で前進走行させることができる。
さらに、油圧回路201では、図5に示される油圧回路81と同様に、SL1ソレノイドバルブ85およびSL2ソレノイドバルブ87の2個の油圧制御バルブにより、ロークラッチLC、ハイブレーキHBおよびリバースブレーキRBの3個の係合要素に供給される油圧を個別に制御(調圧)することができる。
<変形例>
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、図5に示される構成では、SL1ソレノイドバルブ85から出力される油圧がロークラッチLCに入力され、ソレノイドリレーバルブ86から出力される油圧がハイブレーキHBに入力されるとした。これに代えて、SL1ソレノイドバルブ85から出力される油圧がハイブレーキHBに入力され、ソレノイドリレーバルブ86から出力される油圧がロークラッチLCに入力される構成が採用されてもよい。
ロックアップソレノイドバルブ83、SL1ソレノイドバルブ85およびSL2ソレノイドバルブ87には、リニアソレノイドバルブが用いられているとしたが、これに限らず、たとえば、デューティソレノイドバルブが用いられてもよい。
また、動力分割式無段変速機4のハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCを取り上げて、ハイブレーキHB、リバースブレーキRBおよびロークラッチLCに油圧を供給する油圧回路81,201について説明した。しかしながら、本発明に係る油圧回路は、CVTと直列に副変速機を設けた構成の変速機に、その変速機に備えられる3個の係合要素に油圧を供給する油圧回路として適用されてもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。