JP6400432B2 - 熱変色性筆記具 - Google Patents

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本発明は、熱変色性筆記具に関し、詳細には、軸筒の後端開口から突出する弾性材料からなる摩擦部材を有したノック体を操作することにより、軸筒内に配設した固定カムを前進させると共に当該軸筒内に配設した回転カムを回動させ、軸筒の内部に収容した筆記体のペン先が該軸筒の前端孔より突出した状態となる熱変色性筆記具に関する。
特許文献1および特許文献2には、ペン先から熱変色性インキを吐出可能な筆記体を、軸筒内に前後方向へ移動可能に収容させ、軸筒後方のノック体を前方へ押動することにより、軸筒内に配設したコイルスプリングの弾発力に抗して、筆記体のペン先を軸筒の前端孔から突出させる熱変色性筆記具が開示されている。
特許文献1の熱変色性筆記具では、ノック体を弾性材料から一体で形成して外面に摩擦部を形成しており、特許文献2の熱変色性筆記具では、ノック体の外面に弾性材料からなる摩擦部を外皮として形成している。特許文献1および特許文献2の熱変色性筆記具は、弾性材料からなるノック体の摩擦部で熱変色性インキにより紙面等に形成された筆跡を摩擦して、その際に生じる摩擦熱により前記熱変色性インキの筆跡を熱変色させるものである。
このようなことから、ノック体に摩擦部を設けた熱変色性筆記具においては、摩擦を行いやすくするために、ノック体に設けた摩擦部が摩擦時に変形したり揺れ動かないようにすることが求められている。
また特許文献2の熱変色性筆記具では、ペン先の突出状態を解除した際に、ノック体が後退する時の衝撃が、ノック体の外面に設けた弾性材料からなる係止部を、軸筒の後端内面に形成した規制部に当接させることで緩和され、衝撃によって筆記体のインキが後退してペン先より筆記体内に空気が混入してしまうことが防止できる構造となっている。
特開2011−156826号公報 特開2011−230474号公報
本発明では、ノック体に設けた弾性材料からなる摩擦部材が、摩擦時に変形したり揺れ動き難くすると共に、ペン先の突出状態を解除した際に筆記体が後退する際の衝撃を緩和することができる構造の熱変色性筆記具を得ることを目的とした。
本発明は、
「1.軸筒の後端開口から突出する弾性材料からなる摩擦部材を有したノック体を操作することにより、前記軸筒内に配設した固定カムを前進させると共に当該軸筒内に配設した回転カムを回動させ、前記軸筒の内部に収容した筆記体のペン先が該軸筒の前端孔より突出した状態となる熱変色性筆記具であって、前記回転カムを上方の小径部と下方の大径部とを有した筒状に形成し、前記固定カムの上方に前記軸筒の後端開口から突出する筒部を形成し、前記摩擦部材を前記回転カムの小径部および前記固定カムの筒部へ挿通し、前記回転カムに形成した係止部と前記摩擦部材に形成した係止受部とを係止させると共に該回転カムの大径部内に該摩擦部材の前端部を突出させ、前記筆記体の後端部を前記回転カムの大径部内に遊嵌させると共に、該筆記体の後端部を前記摩擦部材の前端部に当接させたことを特徴とする熱変色性筆記具。
2.摩擦部材の前端に複数の小突起を形成したことを特徴とする前記1項に記載の熱変色性筆記具。
3.前記ノック体が、前記摩擦部材を被覆可能なカバーを有し、前記カバーの下部を前記固定カムの上部に嵌着させた状態で、前記カバーの下部と前記固定カムに形成した段部とが当接することを特徴とした前記1項または2項に記載の熱変色性筆記具。」である。
摩擦部材を成形する弾性材料は、弾性を有する樹脂(ゴム、エラストマー)が挙げられ、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。尚、前記摩擦部材を成形する弾性材料は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)よりも、摩擦時に消しカスが生じない低摩耗性の弾性材料が好ましい。また、固定カムと回転カムは弾性材で形成された摩擦部材を支持させるために、硬質樹脂や金属など硬質材料で形成すればよい。
回転カムに形成する係止部と摩擦部材に形成する係止受部との関係は、例えば回転カムの内側面に係止凸部または係止凹部を形成し、摩擦部材の外側面に前記係止凸部と係止する係止凹部または係止凸部を形成して互いを係止させることで得ることができ、あるいは回転カムの筒部の内側面に雌螺子部を形成し、摩擦部材の外側面に雄螺子部を形成して互いを螺合することでも得ることができる。
本発明の熱変色性筆記具によれば、ノック体に設けた摩擦部材の外側面が軸筒の後端開口から突出する固定カムに形成した筒部で支持されるので、摩擦時において摩擦部材が変形したり揺れ動くことを防止し、筆記体の後端を前記摩擦部材の前端に当接させることで
ペン先の突出状態を解除した際に筆記体が後退する際の衝撃を緩和することができる。
さらに摩擦部材の前端に複数の小突起を形成することで、ペン先の突出状態を解除した際に筆記体が後退する際の衝撃をさらに緩和することができ、また筆記時に過度な筆圧が掛かった際には、摩擦部材の前端に形成した複数の小突起が変形するように筆記体が後退することで、ペン先を保護することが可能となる。
さらに摩擦部材をカバーで被覆することで、摩擦部材に触れることなくカバーを押動しての操作が可能となり、紙面等に接触する摩擦部材が汚れることを防止でき、また回転カムと共に回転してしまう摩擦部材に触れないことから、回転カムの作動を妨げることがないものとなる。
本実施例のボールペンにおける筆記体のペン先を軸筒の内部に収容した状態を示した断面図である。 本実施例のボールペンにおける筆記体のペン先を軸筒の前端開口より突出させた状態を示した断面図である。 本実施例のボールペンの要部を示した分解図である。 本実施例のボールペンで筆記を行っている状態を示した斜視図である。 本実施例のボールペンからカバーを外した状態を示す断面図である。 本実施例のボールペンで摩擦を行っている状態を示した斜視図である。
次に図面を参照しながら、本実施例の熱変色性筆記具について説明を行う。尚、本実施例では、熱変色性筆記具としてボールペンについての説明を行うが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、図中の同じ部材、同じ部品については、同じ符号としてある。図中においてペン先がある側を前方とし反対側を後方として表現する。
図1〜図3を用いて、本実施例のボールペン構造について説明を行う。
図1は本実施例のボールペンにおける筆記体のペン先を軸筒の内部に収容した状態を示した断面図である。図2は本実施例のボールペンにおける筆記体のペン先を軸筒の前端開口より突出させた状態を示した断面図である。図3は本実施例のボールペンの要部を示した分解図である。
ボールペン1は、前軸2と後軸3とを螺合して形成した軸筒4内に、レフィル5を収容してある。レフィル5は、ボールペンチップをペン先6とし、ペン先6の後方にインキ収容筒7を装着してあり、軸筒4内に配したコイルスプリング8にて後方へ弾発され、軸筒4の後端開口4aから突出した摩擦部材9を有したノック体10を前方へ押動するように操作することによって、軸筒4の前端開口4bからペン先6を出没させることができる構造である。
軸筒4の内部には、従来構造の回転カム機構が設けられており、後軸3の後端部3aの内壁面には複数のカム溝11を形成してあり、前方に山型状の凹凸部12aを形成し、外周面に前記カム溝11に係合する複数の突起12bを有した固定カム12を配設し、固定カム12の前方に、前記カム溝11に係合する複数のカム突起13aを外周面に周状に形成し、前記固定カム部12の凹凸部12aに噛合う噛合部13bを有した回転カム13を配設してあり、カム突起13aはカム溝11に係止して回転カム13はカム溝11に沿って前後に移動可能としてある。
回転カム13は下方の大径部131cと上方の小径部132cとを形成してあり、小径部132cを固定カム12の開口部12cに挿通してある。また固定カム12の後方には、軸筒4の後端開口4aから突出する筒部12dを形成してある。
本実施例のボールペン1は、図1に示した状態のノック体10を前方へ押動するように操作することで、固定カム12の前進に伴い回転カム13のカム突起13aがカム溝11の前端に移動し、固定カム12の凹凸部12aの傾斜により回転カム13のカム突起13aのカム斜面13dがカム溝11のカム斜面11aを滑り、レフィル5を介してコイルスプリング8で後方へ弾発された回転カム13のカム突起13aが複数のカム溝11間に形成された係合部11bに係合して、ペン先6を軸筒4の前端開口4bから突出させた状態で維持することができ、図2に示した状態のノック体10を再度前方へ押動するように操作することで、回転カム13のカム突起13aとカム溝11間の係合部11bの係合状態を解除して、回転カム13のカム突起13aと固定カム12の突起12bをカム溝11の後方へ後退させ、図1に示した状態のようにペン先6を軸筒4の内部に収容させることができる。
また摩擦部材9は、下方の外側面9aに係止凹部9bを形成してあり、摩擦部材9の係止凹部9bに対して回転カム13の小径部132cの内面に形成した係止凸部133cを係止させ、回転カム13の大径部131c内に摩擦部材9の前端部9cを突出させ、レフィル5の後端部5aを回転カム13の大径部131c内に遊嵌させると共に、レフィル5の後端部5aを摩擦部材9の前端部9cに当接させている。
尚、軸筒4の前端開口4bからペン先6を突出させた図2の状態から軸筒4の内部にペン先6を収容させた図1の状態になる際には、圧縮されていたコイルスプリング8が解放されることでレフィル5が勢いよく後方へ弾発されるが、前述の通り、レフィル5の後端部5aが摩擦部材9の前端部9cに当接していることから衝撃を緩和することができ、本実施例では摩擦部材9の前端部9cに複数の円筒状の小突起9dを形成してあることから、さらに衝撃を吸収することができると共に、筆記時に過度な筆圧が掛かった際には、凹凸部9dが変形するようにレフィル5が後退することでペン先6を保護することができる。
ノック体10は、摩擦部材9をカバー14で被覆しており、カバー14を固定カム12の筒部12dに嵌着させた状態で、カバー14の下部14aと固定カム12に形成した段部12eとが当接するので、ノック体10の一部であるカバー14を押動することで固定カム12を前進させることができる構造としてあり、回転カム13と共に回動してしまう摩擦部材9に触れずにノック操作を行えることから、回転カム13の作動が妨げられることはない。
また、カバー14は透明な硬質樹脂で形成しており、カバー14を透して摩擦部材9をを見ることができ、摩擦部材9をインキ収容筒7内に収容したインキ色と同じ色としたことから、摩擦部材9の色にてボールペン1の筆記色を確認することができ便利である。
図4に示すように、本実施例のボールペン1は、軸筒4の前端開口4bから突出させたペン先6で紙面100に熱変色性インキの筆跡101を形成することができた。
次に、図5および図6を用いて、本実施例のボールペンで摩擦を行う状態についての説明を行う。図5は本実施例のボールペンからカバーを外した状態を示す断面図である。
図5に示すように本実施例のボールペンは、摩擦部材9の外側面9aが固定カム12に形成した筒部12dで支持されるので、図6に示した摩擦部材9による摩擦時においても、摩擦部材9が変形したり揺れ動くことを防止することができた。
さらに、摩擦部材9にカバー14を被覆したことで、摩擦部材9に触れることなくカバー14を押動する操作が可能となり、摩擦時において紙面100に接触する摩擦部材9の汚れを防止することができた。
1…ボールペン、2…前軸、
3…後軸、3a…後端部、
4…軸筒、4a…後端開口、4b…前端開口、
5…レフィル、6…ペン先、
7…インキ収容筒、8…コイルスプリング、
9…摩擦部材、9a…外側面、9b…係止凹部、
9c…前端部、9d…小突起、
10…ノック体、
11…カム溝、11a…カム斜面、11b…係合部、
12…固定カム、12a…凹凸部、12b…突起、
12c…開口部、12d…筒部、12e…段部、
13…回転カム、13a…カム突起、13b…噛合部、
131c…大径部、132c…小径部、133c…係止凸部、
13d…カム斜面、
14…カバー、14a…下部、
100…紙面、101…筆跡。

Claims (3)

  1. 軸筒の後端開口から突出する弾性材料からなる摩擦部材を有したノック体を操作することにより、前記軸筒内に配設した固定カムを前進させると共に当該軸筒内に配設した回転カムを回動させ、前記軸筒の内部に収容した筆記体のペン先が該軸筒の前端孔より突出した状態となる熱変色性筆記具であって、前記回転カムを上方の小径部と下方の大径部とを有した筒状に形成し、前記固定カムの上方に前記軸筒の後端開口から突出する筒部を形成し、前記摩擦部材を前記回転カムの小径部および前記固定カムの筒部へ挿通し、前記回転カムに形成した係止部と前記摩擦部材に形成した係止受部とを係止させると共に該回転カムの大径部内に該摩擦部材の前端部を突出させ、前記筆記体の後端部を前記回転カムの大径部内に遊嵌させると共に、該筆記体の後端部を前記摩擦部材の前端部に当接させたことを特徴とする熱変色性筆記具。
  2. 摩擦部材の前端に複数の小突起を形成したことを特徴とする請求項1に記載の熱変色性筆記具。
  3. 前記ノック体が、前記摩擦部材を被覆可能なカバーを有し、前記カバーの下部を前記固定カムの上部に嵌着させた状態で、前記カバーの下部と前記固定カムに形成した段部とが当接することを特徴とした請求項1または2に記載の熱変色性筆記具。
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