JP6400305B2 - ポリアルキレンオキシド変性物の溶解方法 - Google Patents

ポリアルキレンオキシド変性物の溶解方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアルキレンオキシド変成物の水性媒体への溶解方法に関する。
近年、塗料、化粧品等の増粘剤として、従来のポリアクリル酸系の増粘剤に代わって、非イオン性で疎水性基の会合によって増粘するタイプのポリウレタン系増粘剤が注目を集めている。
ポリウレタン系増粘剤は、その末端に有する疎水性基の会合によって増粘することができ、非イオン性のため耐塩性にも優れる他に、新たなレオロジー特性を付与できる特長を有する。
その特性としては、末端の疎水性基の鎖長が長くなるほど増粘性が高くなることが知られている(非特許文献1)。
ポリウレタン系増粘剤としては、少なくとも1,500の分子量を有する親水性ポリエステル基で連結された3個の疎水性基を有し、かつそれらの疎水性基の少なくとも2個が末端基にあるもの(特許文献1)や、
(a)少なくとも1種の水溶性ポリエーテルポリオール、
(b)少なくとも1種の水不溶性の有機ポリイソシアネート、
(c)イソシアネートと反応性の水素原子を含む化合物と、有機モノイソシアネートとから選ばれた、少なくとも1種の一官能性の疎水性有機化合物、および
(d)少なくとも1種の多価アルコールまたは多価エーテルアルコールの反応により得られるものが知られている(特許文献2、特許文献3)。
これら従来技術により得られるウレタン系増粘剤については、前記非特許文献1に記載のごとく、末端の疎水性基の炭素数が増えるに従い、その増粘効果が大きくなる。しかしながら、分子鎖の両末端が疎水性基で修飾されているため、水との親和性が低く水和時に水溶液が白濁しやすくなる等の問題があった。
また、カチオン性界面活性剤を併用しても透明性が高い増粘液を得ることができるポリアルキレンオキシド変性物が知られているが、水への溶解性に難があり透明に溶解するのに長時間を要するという問題がある。(特許文献4)。
特開昭54−80349号公報 米国特許第4,155,892号明細書 米国特許第4,079,028号明細書 国際公開WO2014/007366号パンフレット
J. Coating Technology Vol. 64, No. 804, pp. 87-94 (1992)
本発明は、特定のポリアルキレンオキシド変性物を短時間で水性媒体へ溶解させる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリアルキレンオキシド変性物を界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解することで溶解時間を短縮できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
ポリアルキレンオキシド化合物(A)、
ポリエーテルモノアルコール(B)、および
ジイソシアネート化合物(C)
を反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物であって、
(A)が、式(II):
HO−(CHCHO)−H (II)
(式中、nは130〜680の整数を示す)で表されるポリエチレンオキシドであり、
(B)が、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダム共重合体の、一端がOH基であり、もう一端が炭素数15〜24の直鎖のアルキル基である構造を有し、かつ、当該エチレンオキシドの付加モル数をa、プロピレンオキシドの付加モル数をbとするとき、(a/b)が1〜2である、
ポリエーテルモノアルコールであり、
(C)が、式(IV):
O=C=N−R−N=C=O (IV)
(式中、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を示す)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネート化合物である、
ポリアルキレンオキシド変性物を、
界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解させることを特徴とする、
ポリアルキレンオキシド変成物の溶解方法。
項2.
前記ポリアルキレンオキシド変性物が、
式(I)
Figure 0006400305
(式中、Rは、炭素数15〜24の直鎖のアルキル基を、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を、[(OCHCHa −ran−(OCHCH(CH))]は、構成単位である(OCHCH)と(OCHCH(CH))とがランダム共重合し、それぞれの構成単位の重合度がaおよびbであることを示し、aは5〜10の整数を、bは5〜8の整数を、nは130〜680の整数を、mは1〜4の整数を示す。)
で表されるポリアルキレンオキシド変成物である、項1に記載のポリアルキレンオキシド変成物の溶解方法。
項3.
界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である項1又は2に記載のポリアルキレンオキシド変成物の溶解方法。
項4.
ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、項3に記載のポリアルキレンオキシド変成物の溶解方法。
項5.
アニオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキル硫酸塩、スルホコハク酸塩及び脂肪酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項3に記載のポリアルキレンオキシド変成物の溶解方法。
項6.
両性界面活性剤がアルキルベタイン、脂肪酸アミドベタイン及びアルキルアミンオキサイドからなる群より選択される少なくとも1種である、項3に記載のポリアルキレンオキシド変成物の溶解方法。
項7.
ポリアルキレンオキシド化合物(A)、
ポリエーテルモノアルコール(B)、および
ジイソシアネート化合物(C)
を反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物であって、
(A)が、式(II):
HO−(CHCHO)−H (II)
(式中、nは130〜680の整数を示す)で表されるポリエチレンオキシドであり、
(B)が、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダム共重合体の、一端がOH基であり、もう一端が炭素数15〜24の直鎖のアルキル基である構造を有し、かつ、当該エチレンオキシドの付加モル数をa、プロピレンオキシドの付加モル数をbとするとき、(a/b)が1〜2である、
ポリエーテルモノアルコールであり、
(C)が、式(IV):
O=C=N−R−N=C=O (IV)
(式中、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を示す)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネート化合物である、
ポリアルキレンオキシド変性物を
界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解させることを特徴とする
ポリアルキレンオキシド変成物溶解液の製造方法。
本発明の方法を利用することにより、特定のポリアルキレンオキシド変性物の水性媒体への溶解時間を短縮でき、良好な透明性及び粘性を示す水性溶液を得ることができる。
本発明は特定のポリアルキレンオキシド変性物を界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解させることを特徴とするポリアルキレンオキシド変成物の溶解方法に係る。特定のポリアルキレンオキシド変性物、界面活性剤及び水性媒体を混合することにより、前記特定のポリアルキレンオキシド変性物を前記水性媒体へ溶解させることを特徴とする、と言い換えてもよい。
本発明で用いられる特定のポリアルキレンオキシド変性物は、好ましくは下記式(I)で表される構造を有する。
Figure 0006400305
式中、Rは、炭素数15〜24の直鎖のアルキル基を、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を、[(OCHCHa −ran−(OCHCH(CH))]は、構成単位である(OCHCH)と(OCHCH(CH))とがランダム共重合し、それぞれの構成単位の重合度がaおよびbであることを示し、aは5〜10の整数を、bは5〜8の整数を、nは130〜680の整数を、mは1〜4の整数を示す。
上記特定のポリアルキレンオキシド変性物は、特定のポリアルキレンオキシド化合物(A)、特定のポリエーテルモノアルコール(B)、および特定のジイソシアネート化合物(C)を反応させて得られる。なお、以下これらの成分を単に(A)、(B)、又は(C)と表記することがある。
(A)は、式(II):
HO―(CHCHO)−H (II)
(式中、nは130〜680の整数を示す)で表されるポリエチレンオキシドである。
当該ポリエチレンオキシドの数平均分子量としては、好ましくは6,000〜30,000程度であり、より好ましくは11,000〜20,000程度である。(A)の数平均分子量が6,000以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の透明性が悪くなるおそれが少ない。また、数平均分子量が30,000以下であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液粘度が低下するおそれが少ない。
ここでの(A)の数平均分子量は、JIS K 1557−1:2007(プラスチック―ポリウレタン原料ポリオール試験方法―第1部:水酸基価の求め方)A法により求められる水酸基価Oから以下の式にて求められる。即ちポリエチレンオキシドの両末端を水酸基として、その数平均分子量は以下の式により求められる。
数平均分子量=(56,100×2)/O
(B)はエチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)のランダム共重合体の一端がOH基であり、もう一端が炭素数15〜24の直鎖のアルキル基(以下当該アルキル基をRと記載する場合がある)である構造を有するポリエーテルモノアルコールである。そして、当該エチレンオキシドの付加モル数をa、当該プロピレンオキシドの付加モル数をbとしたとき、その比(a/b)は1〜2の範囲にある。
当該ポリエーテルモノアルコールは“エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが付加モル数の比(a/b)が1〜2(好ましくは1.1〜1.5)でランダムに共重合しており、炭素数15〜24の直鎖のアルキル基を有するポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル”である、ということもできる。
(B)は、炭素数15〜24の直鎖のアルキル基をRとして、以下の式(III):
−[(OCHCHa −ran−(OCHCH(CH))]−OH
(III)
で表すことができる。
ここで[(OCHCHa −ran−(OCHCH(CH))]は、構成単位である(OCHCH)と(OCHCH(CH)とがランダム共重合していることを表す。そしてそれぞれの構成単位の重合度がaおよびbであることを表す。なお、このことから解るとおり、「ran」は[α−ran−β]との表記により、構成単位αおよびβがそれぞれ重合度iおよびjでランダム共重合していることを表す。
(B)における(a/b)は前記の通り1〜2であり、好ましくは1.1〜1.5である。当該比が1未満の場合、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水への溶解性が低下して、水溶液粘度が低下する。
また、aは5〜10の整数であることが好ましい。また、bは5〜8の整数であることが好ましい。aが5以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液粘度がより高まり得る。aが10以下であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液の透明性がより高まり得る。bが5以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液の透明性がより高まり得る。bが8以下であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液粘度がより高まり得る。
は、上記のとおり炭素数15〜24の直鎖のアルキル基であり、好ましくは炭素数16〜22の直鎖のアルキル基であり、より好ましくは炭素数16〜20の直鎖のアルキル基である。炭素数が15以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液粘度がより向上し得る。炭素数が24以下であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液の透明性がより向上し得る。
(B)は、直鎖の1価飽和アルコールに、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダム共重合体(ポリアルキレンオキシド)が付加した構造を有する。
仮にここでのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダム共重合体が、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体である場合には、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水性媒体への溶解性が低下し水溶液の透明性が悪化するため好ましくない。
(B)の数平均分子量は800〜3,000であることが好ましく、1,000〜2,500であることがより好ましい。数平均分子量が800以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液粘度がより向上し得る。数平均分子量が3,000以下であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液が界面活性剤の存在下においても粘度の低下が起こりにくい。
ここでの(B)の数平均分子量は、JIS K 1557−1:2007(プラスチック―ポリウレタン原料ポリオール試験方法―第1部:水酸基価の求め方)A法により求められる水酸基価Oから以下の式にて求められる。即ちポリエーテルモノアルコールの片末端を水酸基として、その数平均分子量は以下の式により求められる。
数平均分子量=(56,100)/O
(B)の使用量は(A)1モルに対して、1〜2モルの割合が好ましく、1.1〜2モルがより好ましく、1.5〜2モルがさらに好ましい。(B)の使用量が(A)1モルに対して1モル以上であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液粘度がより低下しにくい。(B)の使用量が(A)1モルに対して2モル以下であると、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液の透明性がより向上し得る。
(C)は式(IV):
O=C=N−R−N=C=O (IV)
で表されるジイソシアネート化合物である。Rは、メチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を示す。
(C)としては、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(HMDI)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,8−ジメチルベンゾール−2,4−ジイソシアネートおよび2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)等が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物の中でも、得られるポリアルキレンオキシド変性物の透明性が優れる観点から、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(HMDI)および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が好ましい。これらのジイソシアネート化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ジイソシアネート化合物の使用割合は、(A)と(B)の末端水酸基の合計モル数([−OH]のモル数)を1とした場合に、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数([−NCO]のモル数)が0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1であることがより好ましい。すなわち、(A)と(B)の合計末端水酸基1モルに対して、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基が0.8〜1.2モルであることが好ましく、0.9〜1.1モルであることがより好ましい。当該使用割合が、が0.8モル以上であれば、未反応のポリエーテルモノアルコールの残存量が多くなりにくく、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水溶液粘度がより低下しにくい。使用割合が1.2モル以下であれば、得られるポリアルキレンオキシド変性物の水性媒体への溶解性がより向上し得る。
なお、上の記載からわかるように、本発明に用いる特定のポリアルキレンオキシド変性物として、次のポリアルキレンオキシド変性物を用いることもでき、この場合も本願発明に包含される。
「ポリアルキレンオキシド化合物(A)、
ポリエーテルモノアルコール(B)、および
ジイソシアネート化合物(C)
を反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物であって、
(A)が、式(II):
HO−(CHCHO)−H (II)
(式中、nは130〜680の整数を示す)で表されるポリエチレンオキシドであり、
(B)が、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダム共重合体の、一端がOH基であり、もう一端が炭素数15〜24の直鎖のアルキル基である構造を有し、かつ、当該エチレンオキシドの付加モル数をa、プロピレンオキシドの付加モル数をbとするとき、(a/b)が1〜2である、
ポリエーテルモノアルコールであり、
(C)が、式(IV):
O=C=N−R−N=C=O (IV)
(式中、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を示す)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネート化合物である、
ポリアルキレンオキシド変性物」
ポリアルキレンオキシド化合物(A)とポリエーテルモノアルコール(B)とジイソシアネート化合物(C)とを反応させる方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、これらをトルエン、キシレン、又はジメチルホルムアミド等の反応溶媒に溶解あるいは分散させて反応させる方法、粉末状または固体状の各原料を均一に混合した後、所定の温度に加熱して反応させる方法等が挙げられる。工業的実施の見地からは、各原料を溶融状態で連続的に供給し多軸押出機中で混合、反応させる方法が好ましい。この場合、前記反応の温度としては、70〜210℃であることが好ましい。
また、ポリアルキレンオキシド変性物を製造する際、反応を促進させる観点から、反応系内に、触媒を添加してもよい。例えば、触媒として、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、トリエチレンジアミン等を少量添加することができる。
前記触媒の使用量は、ポリアルキレンオキシド化合物に対して、好ましくは200〜2,000質量ppm、より好ましくは500〜1,000質量ppmである。
このような方法により、上記の特定のポリアルキレンオキシド変性物を得ることができる。このような方法によれば、ポリアルキレンオキシド変性物は、通常、例えばペレット、シート、又はフィルム等の形態で得られる。これらを粉砕機等により粉砕してから、本発明に用いることが好ましい。粉砕方法は、特に限定されないが、粉砕時の発熱による融着を防ぐために冷凍粉砕することが好ましい。例えば液体窒素を用いて冷凍粉砕することができる。
粉砕されたポリアルキレンオキシド変性物の粒子の中位粒子径は、30〜600μmが好ましく、100〜500μmがより好ましい。中位粒子径が30μm以上の場合、溶解時にだまになりにくく、600μm以下の場合、水性媒体への分散に時間が好ましく短縮され得る。
なお、当該中位粒子径は、乾式篩分け法(JIS Z8815)で求められる値であり、具体的には、ポリアルキレンオキシド変性物の樹脂粉体50gを秤量し、JIS標準篩(JIS Z8801)を使用して篩分けした後に篩毎に秤量し、その結果に基づいて積算質量が50%になる値である。
また、上記方法で得られる上記特定のポリアルキレンオキシド変性物は、主に、式(I)におけるmが1、2、3又は4である構造を有する化合物の混合物であり、特にmが1の構造を有する化合物の割合が多く、通常は当該混合物全体の50モル%以上がmが1の構造を有する化合物である。これらは特に分離することなく使用できる。これらの割合は、GPCにより分離して確認される。具体的には、ポリアルキレンオキシド変性物0.5gをDMF49.5gに加熱溶解させ、以下のGPC条件にてその分子量(PEO換算)と分布を求めることで確認される。なお、PEOはポリエチレンオキシドの略であり、PEO換算とは、GPCの分子量マーカーとして各既知分子量のPEOを用いて検量線を作成し、当該検量線を用いてポリアルキレンオキシド変性物の分子量を算出することを意味する。
キャリヤー:DMF(LiBr 0.1mmol/L)
カラム :TOSOH TSKgel MultiporeHxL-M ×3本
(排除限界2000000:ポリスチレン)
ポンプ流量:0.6mL/min
本発明においては、ポリアルキレンオキシド変性物を界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解させることで溶解時間が短縮される。ポリアルキレンオキシド変性物は、粉砕され、粉体の状態で用いられることが好ましい。また、界面活性剤としては一般的なノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用される。これらの中でも、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤がより好ましい。特に、ノニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を用いて上記特定のポリアルキレンオキシド変性物を水性媒体に溶解させた場合には、より優れた増粘性が奏されるうえ、カチオン性界面活性剤を用いて溶解させた場合と遜色ない透明性が得られる。なお、界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ノニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、水性媒体に溶解、又は分散するものでありHLBが12以上であることが好ましい。例えば、ポリオキシエチレン(以下POEと略す場合がある)ラウリルエーテル、POEトリデシルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(以下POPと略す場合がある)ラウリルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPステアリルエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル;POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンジステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POEソルビットモノオレエート、POEソルビットモノステアレート、POEソルビットジステアレート等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;POEグリセリンモノオレエート、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンジステアレート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POEモノオレエート、POEモノステアレート、POEジステアレート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノラウレート、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート等のポリオキシエチレンヒマシ油誘導体;POEラウリルアミン、POEステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン;ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
このうち、水性媒体への分散性、溶解性の観点からPOEアルキルエーテル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POEアルキルアミン及びショ糖脂肪酸エステルが好適に用いられる。
アニオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEイソデシルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;POEラウリルエーテルリン酸エステル、POEトリデシルエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩;ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン;ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
上記界面活性剤の配合量はポリアルキレンオキシド変性物100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、5〜60質量部がより好ましく、10〜50質量部が更に好ましい。界面活性剤の配合量が1質量部以上であると水性媒体への溶解時間の短縮効果が好ましく奏され、100質量部以下であると増粘効果が特に好ましく奏される。
本発明の溶解方法では、ポリアルキレンオキシド変性物を水性媒体へ溶解する際、界面活性剤を共存させることにより、ポリアルキレンオキシド変性物の溶解を促進するとともに、増粘効果を高めることができる。界面活性剤を共存させる方法は特に限定されず、例えば、ポリアルキレンオキシド変性物を分散させた水性媒体に界面活性剤を添加する方法、予め界面活性剤を溶解させた水性媒体にポリアルキレンオキシド変性物を添加する方法、ポリアルキレンオキシド変性物と界面活性剤を同時に水性媒体に添加する方法等が挙げられるが、ポリアルキレンオキシド変性物と界面活性剤を同時に水性媒体に添加する方法が好ましい。
ポリアルキレンオキシド変性物と界面活性剤を同時に水性媒体に添加する方法としては、例えば、ポリアルキレンオキシド変性物と界面活性剤の粉体を予め混合しておき添加する方法、ポリアルキレンオキシド変性物と界面活性剤の溶融混合物を添加する方法、界面活性剤の存在下に重合して得られたポリアルキレンオキシド変性物を添加する方法も含まれる。
本発明に用いる水性媒体としては、水、蒸留水、脱イオン水、生理食塩水、アルコール水等が例示できる。アルコール水に使用するアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の水溶性一価アルコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの水溶性多価アルコール等を挙げることができる。アルコール水の含水率としては60重量部以上が好ましく、80重量部以上がより好ましい。
なお、本発明は、上記特定のポリアルキレンオキシド変性物を界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解させることを特徴とするポリアルキレンオキシド変成物溶解液の製造方法にも係る。当該製造方法における各種条件は、上に詳述した溶解方法と同様である。
以下に、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
[評価方法]
(1)中位粒子径
製造例で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体について、乾式篩分け法(JIS Z8815)により中位粒子径を求めた。具体的には変性物の樹脂粉体50gを秤量し、JIS標準篩(JIS Z8801)を使用して篩分けした後に篩毎に秤量し、その結果に基づいて積算質量が50%になる中位粒子径を求めた。
(2)粘度
ポリアルキレンオキシド変性物の粉体と界面活性剤を下記条件にて混合し、評価用の試料を作成した。
混合条件:500mLポリビーカーに最終的に200gスケールになるよう水を入れ、縦2.5cm、横7cmの平板羽根をセットし、400rpmで攪拌しながら、水溶性ポリアルキレンオキシド変性物2g(1質量%)と、水溶性ポリアルキレンオキシド変性物に対して1〜100質量%の界面活性剤を添加し、所要時間攪拌を行い、評価用の水溶液を得た。
得られた水溶液をB型粘度計(芝浦セムテック株式会社製 VDH2)にて25℃、ロータ6(4000mPa・s以上の場合)または、ロータ4(4000mPa・s未満の場合)で20rpmの条件で測定した。
(3)透明性
上記で得られた水溶液を1cm厚みの石英ガラスに充填した後、遠心分離機(2000rpm)により気泡を除去し、紫外―可視分光光度計(島津製作所製 UV−3150)により、425nmにおける光線透過率を測定し、透明性を評価した。透過率が高いほど、透明性に優れる。
以下製造例について記載する。製造例において、R値は(イソシアネート化合物の−NCO基のモル数/ポリアルキレンオキシド化合物及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテルの−OH基の合計モル数)を示す。
また、製造例で用いたポリエーテルモノアルコール(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテル)であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテルは、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)のランダム共重合体の一端がOH基であり、もう一端がステアリル基又はベヘニル基である構造を有する。また、「EO/PO」は、用いたポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノアルキルエーテルにおけるEOとPOの付加モル数の比を表す。
ポリアルキレンオキシド変性物の製造
製造例1
80℃に保温された攪拌機を備えた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量20000のポリエチレンオキシドを100質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテルCH3(CH2)17O−[(CH2CH2O)8-ran-(CH2CH(CH3)O)6]-H(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンSA50/50、EO/PO=8mol/6mol、Mw=1000)を10質量部およびジオクチルスズジラウレートを0.2質量部の割合で投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌して均一な混合物とした。これとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBにジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。
定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を500g/分の速度にて、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを11.9g/分の速度にて、110〜140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し(R値=1.00)、押出機中で混合して反応を行い、押出機出口からストランドを出し、ペレタイザーによりペレット化して、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたペレットを液体窒素に浸漬した後に、中位径が200μm程度になるように粉砕して粉体にした。
製造例2
80℃に保温された攪拌機を備えた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量8000のポリエチレンオキシドを100質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテルCH3(CH2)17O−[(CH2CH2O)8-ran-(CH2CH(CH3)O)6]-H(青木油脂工業株式会社製 ブラウノンSA50/50、EO/PO=8mol/6mol、Mw=1000)を25質量部およびジオクチルスズジラウレートを0.2質量部の割合で投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌して均一な混合物とした。これとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBにジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。
定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を500g/分の速度にて、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを26.2g/分の速度にて、110〜140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し(R値=1)、押出機中で混合して反応を行い、押出機出口からストランドを出し、ペレタイザーによりペレット化して、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたペレットを液体窒素に浸漬した後に、中位径が150μm程度になるように粉砕して粉体にした。
製造例3
80℃に保温された攪拌機を備えた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量20000のポリエチレンオキシドを100質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンベヘニルエーテルCH3(CH2)21O−[(CH2CH2O)13-ran-(CH2CH(CH3)O)10]-H(青木油脂工業株式会社製、EO/PO=13mol/10mol、Mw=1500)を15質量部およびジオクチルスズジラウレートを0.2質量部の割合で投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌して均一な混合物とした。これとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBにジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。
定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を500g/分の速度にて、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートを11.4g/分の速度にて、110〜140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し(R値=1)、押出機中で混合して反応を行い、押出機出口からストランドを出し、ペレタイザーによりペレット化して、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたペレットを液体窒素に浸漬した後に、中位径が300μm程度になるように粉砕して粉体にした。
実施例1
500mLポリビーカーに水197.6gを加え、縦2.5cm、横7cmの平板羽根をセットし、400rpmで攪拌しながら、製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体2g(1質量%)と、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレントリデシルエーテル(第一工業製薬株式会社製 ノイゲンTDS−80、HLB=13.3)0.4gを添加し、所要時間攪拌を行い溶解させた。
20分、40分及び60分後に得られた水溶液について、B型粘度計(芝浦セムテック株式会社製 VDH2)にて25℃、ロータ6(4000mPa・s以上の場合)で20rpmの条件で粘度を測定した。
また、得られた水溶液を1cm厚みの石英ガラスに充填した後、遠心分離機(2000rpm)により気泡を除去し、紫外―可視分光光度計(島津製作所製 UV−3150)により、425nmにおける光線透過率を測定し、透明性を評価した。結果を表1に示した。
実施例2
実施例1において、製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体に代えて、製造例2で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体を用い、ポリオキシエチレントリデシルエーテル0.4gを1.0gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。結果を表1に示した。
実施例3
実施例1において、製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体に代えて、製造例3で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体を用い、ポリオキシエチレントリデシルエーテル0.4gを0.3gに変更した以外は実施例1と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。結果を表1に示した。
比較例1
500mLポリビーカーに水198.0gを加え、縦2.5cm、横7cmの平板羽根をセットし、400rpmで攪拌しながら、製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体2g(1質量%)を添加し、所要時間攪拌を行い溶解させた。
1、2、3、4及び5時間後に得られた水溶液について、B型粘度計(芝浦セムテック株式会社製 VDH2)にて25℃、ロータ6(4000mPa・s以上の場合)で20rpmの条件で粘度を測定した。
また、得られた水溶液を1cm厚みの石英ガラスに充填した後、遠心分離機(2000rpm)により気泡を除去し、紫外―可視分光光度計(島津製作所製 UV−3150)により、425nmにおける光線透過率を測定し、透明性を評価した。結果を表1に示した。
比較例2
比較例1において、製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体に代えて、製造例2で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体を用いた以外は比較例1と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。なお、粘度測定にはロータ4(4000mPa・s未満の場合)を用いた。結果を表1に示した。
比較例3
比較例1において、製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体に代えて、製造例3で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体を用いた以外は比較例1と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。なお、粘度測定にはロータ4(4000mPa・s未満の場合)を用いた。結果を表1に示した。
実施例4
500mLポリビーカーに水197.8gを加え、縦2.5cm、横7cmの平板羽根をセットし、400rpmで攪拌しながら、製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物の粉体2g(1質量%)と、ノニオン性界面活性剤としてショ糖ラウリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社製 サーフホープSE COSME C−1216、HLB=16)0.2gを添加し、1時間攪拌を行い溶解させた。
得られた水溶液について、B型粘度計(芝浦セムテック株式会社製 VDH2)にて25℃、ロータ6(4000mPa・s以上の場合)で20rpmの条件で粘度を測定した。また、得られた水溶液を1cm厚みの石英ガラスに充填した後、遠心分離機(2000rpm)により気泡を除去し、紫外―可視分光光度計(島津製作所製 UV−3150)により、425nmにおける光線透過率を測定し、透明性を評価した。結果を表1に示した。
実施例5
実施例4において、ショ糖ラウリン酸エステル0.2gを0.4gに変更した以外は、実施例4と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。結果を表1に示した。
実施例6
実施例4において、ショ糖ラウリン酸エステル0.2gをポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王株式会社製 エマール270J)0.4gに変更した以外は、実施例4と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。結果を表1に示した。
実施例7
実施例4において、ショ糖ラウリン酸エステル0.2gをステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(花王株式会社製 コータミン86W)0.4gに変更した以外は、実施例4と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。結果を表1に示した。
実施例8
実施例4において、ショ糖ラウリン酸エステル0.2gをラウリン酸アミドプロピルベタイン(花王株式会社製 アンヒトール20AB)0.4gに変更した以外は、実施例4と同様にしてポリアルキレンオキシド変性物を溶解し、粘度、及び透明性を評価した。結果を表1に示した。
Figure 0006400305
表1に示された結果より、界面活性剤が存在しない比較例1〜3では、ポリアルキレンオキシド変性物が溶解しにくいため3時間以上攪拌しなければ80%以上の透過率が得られなかった。
これに対し、実施例1〜8では、ポリアルキレンオキシド変性物に界面活性剤を添加することにより1時間程度で十分に水に溶解し、80%以上の透過率が得られていることから、水への溶解時間を大幅に短縮できることがわかった。これは界面活性剤の可溶化力によりポリアルキレンオキシド変性物の分散性、溶解性が改善されているためと考えられた。さらに、ポリアルキレンオキシド変性物と界面活性剤の疎水性基同士の会合により水溶液粘度も向上していることが特に実施例1と比較例1の対比結果から顕著に認められた。

Claims (7)

  1. ポリアルキレンオキシド化合物(A)、
    ポリエーテルモノアルコール(B)、および
    ジイソシアネート化合物(C)
    を反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物であって、
    (A)が、式(II):
    HO−(CHCHO)−H (II)
    (式中、nは130〜680の整数を示す)で表されるポリエチレンオキシドであり、
    (B)が、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダム共重合体の、一端がOH基であり、もう一端が炭素数15〜24の直鎖のアルキル基である構造を有し、かつ、当該エチレンオキシドの付加モル数をa、プロピレンオキシドの付加モル数をbとするとき、(a/b)が1〜2である、
    ポリエーテルモノアルコールであり、
    (C)が、式(IV):
    O=C=N−R−N=C=O (IV)
    (式中、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を示す)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネート化合物である、
    ポリアルキレンオキシド変性物を、
    ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解させ粘性を向上させることを特徴とする、
    ポリアルキレンオキシド変成物溶解液の製造方法。
  2. 前記ポリアルキレンオキシド変性物が、
    式(I)
    Figure 0006400305
    (式中、Rは、炭素数15〜24の直鎖のアルキル基を、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を、[(OCHCHa −ran−(OCHCH(CH))]は、構成単位である(OCHCH)と(OCHCH(CH))とがランダム共重合し、それぞれの構成単位の重合度がaおよびbであることを示し、aは5〜10の整数を、bは5〜8の整数を、nは130〜680の整数を、mは1〜4の整数を示す。)
    で表されるポリアルキレンオキシド変成物である、請求項1に記載の方法。
  3. ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種であるか、
    アニオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキル硫酸塩、スルホコハク酸塩及び脂肪酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であるか、あるいは、
    両性界面活性剤がアルキルベタイン、脂肪酸アミドベタイン及びアルキルアミンオキサイドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ショ糖脂肪酸エステル、
    ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキル硫酸塩、スルホコハク酸塩、脂肪酸塩、
    アルキルベタイン、脂肪酸アミドベタイン、並びに、アルキルアミンオキサイドからなる群より選択される、少なくとも1種の界面活性剤である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記界面活性剤の配合量が、前記ポリアルキレンオキシド変性物100質量部に対して10〜50質量部である、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  6. ポリアルキレンオキシド化合物(A)、
    ポリエーテルモノアルコール(B)、および
    ジイソシアネート化合物(C)
    を反応させて得られるポリアルキレンオキシド変性物であって、
    (A)が、式(II):
    HO−(CHCHO)−H (II)
    (式中、nは130〜680の整数を示す)で表されるポリエチレンオキシドであり、
    (B)が、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのランダム共重合体の、一端がOH基であり、もう一端が炭素数15〜24の直鎖のアルキル基である構造を有し、かつ、当該エチレンオキシドの付加モル数をa、プロピレンオキシドの付加モル数をbとするとき、(a/b)が1〜2である、
    ポリエーテルモノアルコールであり、
    (C)が、式(IV):
    O=C=N−R−N=C=O (IV)
    (式中、Rはメチルジフェニレン基、ヘキサメチレン基、メチルジシクロヘキシレン基、3−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基、ジメチルフェニレン基またはトリレン基を示す)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のジイソシアネート化合物である、
    ポリアルキレンオキシド変性物を、
    ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤の存在下に水性媒体へ溶解させることを特徴とする、
    ポリアルキレンオキシド変成物溶解液の粘性向上方法。
  7. 前記界面活性剤の配合量が、前記ポリアルキレンオキシド変性物100質量部に対して10〜50質量部である、請求項6に記載の方法。
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