JP6400047B2 - 金属含有酸性水溶液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属含有酸性水溶液の処理方法に関する。
銅乾式製錬では銅精鉱を熔解し、転炉、精製炉で99%以上の粗銅とした後に電解精製工程において純度99.99%以上の電気銅を生産する。近年では転炉においてリサイクル原料として電子部品由来の貴金属を含む金属屑が投入されており、銅以外の有価物は電解精製時にスライム(電解スライム)として沈殿する。
この電解スライムには金、銀、白金、パラジウムのほかにもルテニウムやロジウム、銅精鉱に含まれているセレンやテルルも同時に濃縮される。銅製錬副産物としてこれらの元素は個別に分離−回収される。
この電解スライムの処理には湿式製錬法が適用される場合が多い。例えば特許文献1には、電解スライムを塩酸−過酸化水素により処理して銀を回収し、溶解した金は溶媒抽出により回収した後に、その他の有価物を二酸化硫黄で順次還元回収する方法が開示されている。特許文献2には、同様の方法で金銀を回収した後、二酸化硫黄で有価物を還元して沈殿せしめ、セレンのみを蒸留して除去して貴金属類を濃縮する方法も開示されている。
また特許文献3には、濃縮液を亜硫酸水素ナトリウムで還元してパラジウムをセレンから分離する方法も示されている。
特開2001−316735号公報 特開2004−190134号公報 特許第5454461号公報
特許文献1及び2に示されているように、金銀を回収した後の有価物含有溶液に対しては二酸化硫黄で順次還元−分離していく方法がコストの面で最も好ましい。しかしながら、二酸化硫黄による還元では選択性が低く、貴金属類の回収率を高めるために還元時間を長くする必要があるが、同時に不純物元素の混入が増加して白金やパラジウムの純度の低下を引き起す。特に銅電解澱物処理液を対象とした場合はセレンの混入量が大きく、貴金属精製工程で再度還元回収有価物を溶解する時に酸化剤を必要以上に消費してしまう。
また、セレンの回収を意図した第二段目の二酸化硫黄還元では第一段目で回収できなかった金属類が混入し、セレンを蒸留精製する際に蒸留残渣として滞留する。蒸留残渣の量が増加すれば単位バッチあたりのセレン処理量減少や熱の逸損によりコストが上昇する。第一段目還元は溶液を加温するが、選択性を高めるために還元時の温度を低く抑えると反応時間が長期化して処理量が減少するという問題が生じる。
また、特許文献3のように亜硫酸水素ナトリウムで沈殿分離する方法では予め大部分の白金族元素を樹脂吸着により除く必要がある。
本発明は、上記問題に鑑み、パラジウムと、セレン、テルル、ルテニウム、ロジウム及び白金のいずれか一種又は二種以上とを含む金属含有酸性水溶液から、所定の貴金属類を沈殿させて効率的に回収することが可能な金属含有酸性水溶液の処理方法を提供することを課題とする。
本発明者が鋭意検討を進めた結果、パラジウムと、セレン、テルル、ルテニウム、ロジウム及び白金のいずれか一種又は二種以上とを含む金属含有酸性水溶液に対し、二酸化硫黄を吹き込んでパラジウムの濃度を所定値以下とした後に亜硫酸又は亜硫酸塩を添加して所定の貴金属類を沈殿させることで、当該貴金属類を効率的に分離することができることを見出した。
以上の知見を基礎として完成された本発明は一側面において、パラジウムと、セレンとを含む塩化浴の酸性水溶液、または、パラジウムと、セレンと、テルル、ルテニウム、ロジウム及び白金のいずれか一種又は二種以上とを含む塩化浴の酸性水溶液に対し、液温を60℃以上に調整して二酸化硫黄を吹き込んで前記酸性水溶液中のパラジウム濃度を100mg/L以下とした後、亜硫酸又は亜硫酸塩を添加して、パラジウムを含有する沈殿物を生じさせる、金属含有酸性水溶液の処理方法である。
本発明は一実施形態において、前記亜硫酸塩は水溶液として添加する。
本発明は別の一実施形態において、前記亜硫酸又は亜硫酸塩を添加する時の前記酸性水溶液の液温を60℃未満とする。
本発明は更に別の一実施形態において、前記亜硫酸又は亜硫酸塩の添加量が、前記酸性水溶液中のパラジウムに対し2〜5モル倍である。
本発明は更に別の一実施形態において、前記酸性水溶液に二酸化硫黄を吹き込んで前記パラジウム濃度を低下させる工程において、前記二酸化硫黄を吹き込む前記酸性水溶液の酸濃度が4mol/L以下である。
本発明は更に別の一実施形態において、前記二酸化硫黄は空気との混合ガスとして吹き込まれ、且つ、前記混合ガスにおける二酸化硫黄が8〜20vol%である。
本発明は更に別の一実施形態において、前記空気と混合された二酸化硫黄は銅製錬工程で生じる転炉ガスである。
本発明は更に別の一実施形態において、前記塩化浴の酸性水溶液は、非鉄金属製錬で生じる電解スライムを塩化物浴で浸出して得られた浸出後液である。
本発明によれば、パラジウムと、セレン、テルル、ルテニウム、ロジウム及び白金のいずれか一種又は二種以上とを含む金属含有酸性水溶液から、所定の貴金属類を沈殿させて効率的に回収することが可能な金属含有酸性水溶液の処理方法を提供することができる。
各種パラジウム濃度の金属含有酸性水溶液に二酸化硫黄を吹き込んだ時のパラジウム濃度の経時変化を示すグラフである。
本発明の金属含有酸性水溶液の処理方法は、パラジウムと、セレン、テルル、ルテニウム、ロジウム及び白金のいずれか一種又は二種以上とを含む酸性水溶液に、二酸化硫黄を吹き込み、パラジウムの濃度が100mg/L以下とした後、亜硫酸又は亜硫酸塩を添加して、パラジウムを含有する沈殿物を生じさせる。また、前記パラジウムを含有する沈殿物を生じさせた後、当該沈殿物を前記酸性水溶液から分離してもよい。
本発明の処理対象となる金属含有酸性水溶液は、非鉄金属精錬で生じる電解スライムを塩化物浴で浸出して得られた浸出後液等を用いることができる。このような非鉄金属製錬、とりわけ銅製錬の電解精製工程で生じる電解スライムは、カルコゲン元素及び貴金属を多く含む。一例を示すと、金を10〜30kg/t、銀を100〜250kg/t、パラジウムを1〜3kg/t、白金を200〜500g/t、セレンを5〜15wt%程度含有する。また、その他、ロジウム、テルル、ルテニウム等も含むものもある。
上記電解スライムは、一般に塩酸と過酸化水素を添加して溶解するが、銀は溶解直後に塩化物イオンと不溶性の塩化銀沈殿を形成する。酸化剤と塩素を含む溶液、例えば王水や塩素水であれば銀以外の貴金属類は溶解し、銀を塩化銀として分離できる。このとき用いる処理浴は塩化物浴であるため、溶解液(浸出貴液:pregnant leached solution、以下PLSとも言う)には金、白金、パラジウム、セレン、その他、ロジウム、テルル、ルテニウムが分配する。
当該溶解液(PLS)は、必要であれば、以下の処理を行ってもよい。すなわち、当該溶解液(PLS)を一度冷却し、鉛やアンチモンといった卑金属類の塩化物を沈殿分離する。続いて、溶媒抽出により金を有機相に分離する。このとき用いる金の抽出剤としてはジブチルカルビトール(DBC)が挙げられる。金を抽出した後のPLSは金を5〜30mg/L、パラジウムを400〜800mg/L、白金を100〜150mg/L、セレンを60〜100g/L程度、また、その他、ロジウム、テルル、ルテニウム等を含む。
例えば、このようにして得られた溶解液(PLS)を、本発明における金属含有酸性水溶液として用いることができる。
このPLSを還元すれば有価物は沈殿させて回収できるが、元素により酸化還元電位が異なるために、自ずと沈殿の順序が決まっている。初めに貴金属類、次にセレンやテルルといったカルコゲンが沈殿する。しかしながらセレン濃度が突出して高く、酸化還元電位差(V vs SHE)も隔絶している訳ではない(下記式1〜式3)。そのため分離は不完全である。
[PtCl4]2-+2e → Pt+4Cl- (0.73V vs SHE) (式1)
2SeO3 +4e → Se (0.74V vs SHE) (式2)
Pd2+ +2e → Pd (0.83V vs SHE) (式3)
二酸化硫黄を吹き込むことで、金属含有酸性水溶液の金属を還元する。二酸化硫黄は硫黄の焙焼によって容易に調製され、非鉄金属製錬においては硫化鉱を熔錬する際に大量に排出される。高濃度二酸化硫黄の大部分は硫酸として回収されるものの、転炉等で生じる低濃度の二酸化硫黄ガスは商用価値が低い。この低濃度二酸化硫黄ガスを転用するとコストの面で有利である。
低温で二酸化硫黄を通じると還元されたセレンは赤色セレンとして析出し、反応槽底部で固化し易く、その取扱いが困難になる。赤色セレンは30℃以下で水溶液を還元したときに主要生成物となり、60℃以上に加温して赤色セレンを黒色セレンに変換しておくことが一般的である(例えば臼杵、木下、今村、第1011頁、日本鉱業会誌88、1972)。
二酸化硫黄によるパラジウムの還元速度は速いわけではない。液温が低いところで二酸化硫黄を吹き込むとパラジウムの還元速度は低下する。還元反応の進行に伴い液中のパラジウム濃度は低下して還元効率は低下する。そのために加温するが、同時に混在するセレンが競争的に還元されてその混入量が増える。
ところが、本発明のようにパラジウム濃度が100mg/L以下になるまで二酸化硫黄を通じ、然る後に亜硫酸又は亜硫酸塩を添加すると、確実に液中のパラジウムを沈殿せしめることが可能である。さらにこの沈殿には白金の大部分を濃縮して含有させることができる。貴金属の濃縮効果ばかりでなく二酸化硫黄ガスの吹き込み時間の短縮によりセレンやルテニウムといった不純物元素含有量が低下する。そのため得られた沈殿は、より高純度のパラジウムや白金の精錬原料となる。
パラジウムイオンは亜硫酸イオンにより還元を受ける。二酸化硫黄ガスを吹き込んだ時は一度水と反応して亜硫酸になった後にパラジウムを還元する。二酸化硫黄の水に対する反応は溶解度の関係で温度が低いほど有利である。
ところが前述したとおり温度の低い条件ではセレンが赤色セレンとして析出し、ハンドリングに問題が生じるおそれがある。さらには白金の還元反応速度も遅くなるおそれがある。また還元前に加熱処理して液中の有機物を除く工程を有していると液温が下がるまで処理が中断してしまうおそれがある。そのため二酸化硫黄の吹き込みは液温50〜80℃で行うことが好ましい。
亜硫酸又は亜硫酸塩を添加する時の前記酸性水溶液の液温は60℃未満とするのが好ましい。このような構成により、亜硫酸イオンが二酸化硫黄に加水分解されて未反応のまま系外へ放出される量が減少し、パラジウムの還元効率が高くなるという効果が生じる。
より白金の回収率を向上させるには二酸化硫黄を液温60℃以上で吹き込む。さらに好ましくは液温70℃以上として二酸化硫黄を吹き込む。
二酸化硫黄の吹き込みはパラジウム濃度が100mg/L以下になるまで行う。二酸化硫黄ガスによる還元はパラジウム濃度が100mg/L以下では反応速度が低下する。パラジウムの還元反応が進み難いにも拘らず、二酸化硫黄を吹き込むと他の元素が還元されて沈殿物中に不純物として混入する。試薬コストの面からは二酸化硫黄吹き込みで50mg/L以下とすることがさらに好ましい。
二酸化硫黄ガスによりパラジウム濃度が100mg/L以下となったPLSには亜硫酸もしくは亜硫酸塩を添加してパラジウムを還元するが、液温が高いと亜硫酸の溶解度が低下して十分に機能しないおそれがある。亜硫酸もしくは亜硫酸塩を添加する際の液温は65℃以下に調整しておくことが好ましい。
亜硫酸塩は酸性水溶液中では二酸化硫黄に分解するが、分解前にパラジウムに配位することで還元機能を発揮すると亜硫酸と同様の効果を得ることができる。反応の効率性を考慮すると亜硫酸塩は水に溶かして水溶液として添加することが好ましい。亜硫酸塩は水溶性であればいずれでもよいが価格と取扱い易さから亜硫酸ナトリウムが最も好ましい
亜硫酸又は亜硫酸塩の添加量は、酸性水溶液のパラジウムの含有量によって決定される。亜硫酸又は亜硫酸塩の添加量は、パラジウムを沈殿させるには添加量は多ければ多いほどよい。しかしながら、過剰量の添加は他元素の沈殿を引き起こすおそれがある。そのため亜硫酸又は亜硫酸塩の添加量は、酸性水溶液中のパラジウムに対し1〜16モル倍、さらに好ましくは2〜5モル倍とすることが好ましい。
強酸性水溶液にあっては、亜硫酸は分解速度が速い。そのため酸濃度は高くない方が、反応効率が良いが、逆に酸濃度が低すぎると還元反応の選択性が低下するおそれがある。そのため、前記酸性水溶液に二酸化硫黄を吹き込んで前記パラジウム濃度を低下させる工程において、前記酸性水溶液の酸濃度が4mol/L以下であるのが好ましく、1〜4mol/Lであるのがより好ましい。
PLSの還元にあっては二酸化硫黄をガスとしてではなく、一度水に溶解して亜硫酸(還元性硫黄含有水溶液)として添加してもパラジウムを選択的に沈殿することは可能である。しかしながら二酸化硫黄ガスを水に溶解するのには大量の水が必要であることから、反応容器の大きさの制限により処理できるPLS量が減少する。
また亜硫酸イオンのみによる還元反応では沈殿−回収できる貴金属が金とパラジウムに限られる。沈殿から白金を除く場合には亜硫酸で還元する方法が有効であるが、白金族を纏めて分離回収することを目的とするには白金を別途回収する必要がある。
前記二酸化硫黄は空気との混合ガスとして吹き込まれ、且つ、前記混合ガスにおける二酸化硫黄が8〜20vol%であるのが好ましい。二酸化硫黄が8vol%未満であると反応速度が低下するという問題が生じるおそれがあり、20vol%超であると未反応のまま系外へ放出される二酸化硫黄が増加し反応効率の低下が生じるおそれがある。
また、前記空気と混合された二酸化硫黄は銅製錬工程で生じる転炉ガスであってもよい。
沈殿物はフィルタープレス等の適当な方法により固液分離され、貴金属の精錬工程へ投入される。貴金属の精錬工程においては再度塩化浴で酸化溶解され、溶媒抽出と晶析により白金族は、金、ジクロロジアンミンパラジウム(II)、塩化白金(IV)酸アンモニウムとして各種元素に分離される。従来法を適用して、還元沈殿の際にルテニウムやロジウムが混入すると特に塩化白金酸アンモニウムが汚染される。
以下に、本発明について、実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。
(例1)
銅製錬電解工程から回収された電解スライムを硫酸で処理することにより銅を除いた。次に、濃塩酸と60%過酸化水素水を添加して溶解し、固液分離してPLSを得た。PLSを6℃まで冷却して卑金属分を沈殿除去した。次に、金の抽出剤であるDBC(ジブチルカルビトール)をPLSに混合して金を抽出した。金抽出後液は100〜120℃に加熱してPLSに残留するDBCを除いた。実験にはこのDBC除去後に十分室温まで冷えたPLSを用いた。PLSの組成を表1に示す。
金抽出後のPLS100mlを分取し、20℃、45℃、55℃、65℃または75℃(表2参照)に加熱した。次に、亜硫酸水(和光純薬工業社製 特級4〜5%溶液)を3ml添加して撹拌した。別途亜硫酸ナトリウム0.3gを粉体のまま、もしくは水10mlに溶解して添加して撹拌した。次に、5Cのろ紙(東洋濾紙社製)で濾別し、濾液を希塩酸で希釈後ICP−OESで定量した。得られた各成分の濃度を表2に示す。ただし水に溶解して添加した系は体積を100mlに換算して濃度を記してある。
亜硫酸の添加はおよそ65℃以下でパラジウムの還元効果が高いことが判る。原液のパラジウム濃度が410mg/Lであるため65℃以下では室温の50%以上の還元能力を維持できている。さらには亜硫酸Naを添加する時には水に溶解して添加すると効果が高いことが判る。
(例2)
例1で使用したPLS400mlに対して空気と二酸化硫黄との混合ガス(8〜20vol%二酸化硫黄)を1.8L/分吹き込んで撹拌した。撹拌中は表3に記載の液温の温度範囲を維持した。20分後と50分後に液をサンプリングして各種元素成分を定量した。50分後に二酸化硫黄の供給を停止し、直ちに液温を維持したまま亜硫酸ナトリウム150mgを10mlの水に溶解して添加、撹拌した。室温まで放冷してろ紙で固液分離、濾液中の濃度を定量した。結果を表3に示す。一部元素に時間の経過に従い濃度が上昇するものがみられるが、水分の蒸発で濃縮したためと思われる。
白金の回収率を上げるには液温を55℃より高温にして還元するとよい。セレンの沈殿を抑制するにも液温を55℃より高温にして還元するとよい。ただし高温ではパラジウムの回収量が低下することは明白である。
例1の結果をも踏まえると液温を55℃より高温にして還元し、65℃以下の温度で亜硫酸もしくは亜硫酸イオンにより還元するとセレン含有量の低い、白金族有価金属が回収できることが判る。
(例3)
例1で使用したPLSに対して亜硫酸を添加して、各種パラジウム濃度のPLS溶液を調製した。PLS溶液500mlに対して空気と二酸化硫黄との混合ガス(8〜20vol%二酸化硫黄)を1.8L/分吹き込んで撹拌した。撹拌中は液温を70〜73℃に調節して維持した。液中パラジウム濃度の経時変化を図1に示す。
二酸化硫黄による吹き込みによる還元は直線的ではなく、その液中パラジウム濃度は対数曲線を示す。二酸化硫黄が亜硫酸へ加水分解された後にパラジウムイオンと会合することにより還元は起こる。特に反応速度が落ち込むのはパラジウムが100mg/L以下となった時であるが、濃度の低下により会合確率が減ることに由来する。このパラジウム濃度以下ではパラジウムイオンと会合する前に他の電子受容体と反応する確率が上昇してしまう、と推察される。
(例4)
二酸化硫黄により還元したPLSの上澄みを100ml分取し、所定量の亜硫酸ナトリウム(表4参照)を水10mlに溶解して添加した。添加時のPLSの液温は50℃であった。沈殿を濾別し、濾液の各種成分を定量した。結果を表4に示す。亜硫酸ナトリウムの溶解に水を使用しているので、原液と比較しやすいように100mlに換算した値を記してある。
液温が50℃であっても亜硫酸ナトリウムの添加量はパラジウムに対して1〜6モル倍で効果は認められ、より好ましくは2〜5モル倍である。さらに5モル倍以上亜硫酸イオンを添加すれば確実にパラジウムを還元−沈殿できることが判る。これは亜硫酸でも同様の効果が認められると推察される。
(例5)
従来例として例5を実施した。すなわち、例1で用いたPLS溶液を500ml分取して70℃〜74℃に加熱した。次に、空気と二酸化硫黄との混合ガス(8〜20vol%二酸化硫黄)を1.8L/分吹き込んだ。140分後パラジウム濃度が20mg/L以下に低下した時二酸化硫黄の供給を停止した。固液分離して液中の各種元素濃度をICP−OESで測定した。最終的な液量は420mlであった。また固体分は水洗した後90℃で2時間乾燥した。固体分は0.1g程度を量りとり王水に溶解した後に適当に希釈、ICP−OESで濃度を測定し固体分から回収率を求めた。
(例6)
発明例として例6を実施した。すなわち、例6として例5と同じPLSを65℃〜70℃に加熱した。次に空気と二酸化硫黄との混合ガス(8〜20vol%二酸化硫黄)を1.8L/分吹き込んだ。30分後に加熱を停止した。さらに10分後に液温が54℃に低下したので亜硫酸ナトリウム400mgを水10mlに溶解して添加した。最終的な液量は450mlであった。例5と同様に処理した。結果を表5に示す。
表5の結果からパラジウムと白金の目的とする回収率は従来の方法と遜色ないことが明らかである。またセレンとテルルの本工程における沈殿量が低下し、白金族精製工程の負荷が軽減される。
また例5と例6の反応条件を比較した時、操業時間は例6の方が短く例5の1/3程度で経済的である。反応液の保温エネルギー、電力コストやオペレーターの人件費においてメリットが大きい。
なお、ロジウムは標準酸化還元電位が500mV(水素電極)であるため塩化浴の酸性水溶液中では、パラジウムや白金の塩化物錯体よりはるかに還元を受けにくい。そのため、上記試験例(例6)の結果から、塩化浴の酸性水溶液中に、ロジウムが含有されていても、残液にそのほとんどが分配されてパラジウムや白金と分離可能であることがわかる。

Claims (8)

  1. パラジウムと、セレンとを含む塩化浴の酸性水溶液、または、
    パラジウムと、セレンと、テルル、ルテニウム、ロジウム及び白金のいずれか一種又は二種以上とを含む塩化浴の酸性水溶液に対し、
    液温を60℃以上に調整して二酸化硫黄を吹き込んで前記酸性水溶液中のパラジウム濃度を100mg/L以下とした後、亜硫酸又は亜硫酸塩を添加して、パラジウムを含有する沈殿物を生じさせる、金属含有酸性水溶液の処理方法。
  2. 前記亜硫酸塩は水溶液として添加する、請求項1に記載の金属含有酸性水溶液の処理方法。
  3. 前記亜硫酸又は亜硫酸塩を添加する時の前記酸性水溶液の液温を60℃未満とする請求項1または2に記載の金属含有酸性水溶液の処理方法。
  4. 前記亜硫酸又は亜硫酸塩の添加量が、前記酸性水溶液中のパラジウムに対し2〜5モル倍である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属含有酸性水溶液の処理方法。
  5. 前記酸性水溶液に二酸化硫黄を吹き込んで前記パラジウム濃度を低下させる工程において、前記二酸化硫黄を吹き込む前記酸性水溶液の酸濃度が4mol/L以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属含有酸性水溶液の処理方法。
  6. 前記二酸化硫黄は空気との混合ガスとして吹き込まれ、且つ、前記混合ガスにおける二酸化硫黄が8〜20vol%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属含有酸性水溶液の処理方法。
  7. 前記空気と混合された二酸化硫黄は銅製錬工程で生じる転炉ガスである請求項6に記載の金属含有酸性水溶液の処理方法。
  8. 前記塩化浴の酸性水溶液は、非鉄金属製錬で生じる電解スライムを塩化物浴で浸出して得られた浸出後液である請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属含有酸性水溶液の処理方法。
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