JP2021023851A - セレノ硫酸を含有する溶液の処理方法 - Google Patents

セレノ硫酸を含有する溶液の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストでセレノ硫酸を含有する溶液から単体セレンを沈殿分離し、それによって回収したセレンの濃度を排出基準濃度以下に下げることができるセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法を提供する。【解決手段】セレノ硫酸を含有する溶液に酸を添加してセレンを析出させ、さらに還元剤を添加してセレンを沈殿させる工程を有することを特徴とするセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。【選択図】なし

Description

本発明は、セレノ硫酸を含有する溶液の処理方法に関する。
セレンは銅製錬の副産物としてそのほとんどが生産されている。銅乾式製錬では銅精鉱を熔解し、転炉、精製炉で99%以上の粗銅とした後に電解精製工程において純度99.99%以上の電気銅を生産する。セレンは電解精製時にスライムとして沈殿する。
このスライムには貴金族類、希少金属も同時に濃縮される。銅製錬副産物としてこれらの元素は個別に分離−回収される。湿式製錬法では、一度酸に溶解して、まず金と銀を分離する。その後に、セレンは適当な還元剤を用いて単体セレンとして沈殿物として回収する(特許文献1)。
単体セレンは亜硫酸と反応し、セレノ硫酸として溶解することが知られている(非特許文献1)。上記回収沈殿に含まれる単体セレンを除けば、白金族元素やテルルの含有率が上がり、精製工程の負荷が減る。しかしながら、除いたセレノ硫酸の工業的な処理方法は確立されていない。
特開2001−316735号公報 特開平9−75954号公報
高木誠司「定性分析化学 中巻 イオン反応編」南江堂 小山和也、小林幹男、坂本宏「資源・素材‘97秋季大会要旨集」p104
セレノ硫酸溶液は、単体セレンに分解後に固液分離することで処理している。特許文献2には排水中のセレンをpH1.2以下に調整し、加温してエアレーションする方法が示されている。また、非特許文献2にはpH調整とバリウム塩による沈殿除去法が示されている。当該方法は、熱分解と平衡反応を利用する方法で、セレノ硫酸の濃度が0.3g/L以下の溶液を対象としている。そのため、セレノ硫酸濃度が高くなったとき、たとえば10g/L以上の液を対象とする時には平衡反応で排出基準以下までセレン濃度を下げることは困難である。
非特許文献2に示されているバリウム塩による亜硫酸イオン沈殿も平衡反応であり、平衡定数は小さくなるため効果は高いが、基準濃度以下までセレン濃度を低減するのは困難である。また、高濃度のセレノ硫酸溶液を対象とした時には、バリウムイオンの費用が大きくなる。さらには硫酸イオンや炭酸イオンが混在している系ではバリウムイオンが沈殿してしまうため、膨大な量の塩化バリウムが必要となる。
セレノ硫酸はその詳細な性質が知られておらず、その適切な処理には開発の余地がある。
そこで、本発明の実施形態は、低コストでセレノ硫酸を含有する溶液から単体セレンを沈殿分離し、それによって回収したセレンの濃度を排出基準濃度以下に下げることができるセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法を提供することを課題とする。
本発明の実施形態は、以下のように特定される。
(1)セレノ硫酸を含有する溶液に酸を添加してセレンを析出させ、さらに還元剤を添加してセレンを沈殿させる工程を有することを特徴とするセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(2)前記セレンを析出させる時の酸添加量が、前記セレン沈殿後の最終液のpHが0.5以下となる量であることを特徴とする(1)のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(3)前記セレノ硫酸を含有する溶液に添加する酸が、塩酸又は硫酸であり、酸投入後の前記溶液の酸濃度を1N以上に調整することを特徴とする(1)又は(2)のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(4)前記セレノ硫酸を含有する溶液を70℃以上に加温した状態で、前記酸の添加及び前記還元剤の添加を行うことで、セレンを黒色セレンとして沈殿させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかのセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(5)前記セレノ硫酸を含有する溶液を50℃以下に調整した状態で、前記酸の添加及び前記還元剤の添加を行うことで、セレンを赤色セレンとして沈殿させることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかのセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(6)前記還元剤が、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、鉄(II)塩、チオ尿素、アセトン及び卑金属からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかのセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(7)前記セレノ硫酸を含有する溶液は、セレンを0.1g/L以上含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかのセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(8)前記還元剤を添加する前に、前記セレノ硫酸を含有する溶液は、前記酸の添加により銀/塩化銀を参照電極とした酸化還元電位が200mV以上に調整されていることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかのセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(9)セレノ硫酸を含有する溶液が、銅製錬工程中の電解スライム処理工程におけるセレンを含有する液に亜硫酸ナトリウムを添加して得られる液であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかのセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
(10)前記セレノ硫酸を含有する溶液を、銅製錬工程中の電解スライム処理工程における亜セレン酸含有液から、セレンを還元回収する槽へ投入して、前記酸の添加及び前記還元剤の添加を行うことを特徴とする(1)〜(9)のいずれかのセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
本発明の実施形態によれば、低コストでセレノ硫酸を含有する溶液から単体セレンを沈殿分離し、それによって回収したセレンの濃度を排出基準濃度以下に下げることができるセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法を提供することができる。
[セレノ硫酸を含有する溶液]
非鉄金属製錬、とりわけ銅製錬の電解精製工程で生じる電解スライムはセレンを5〜15wt%程度含有する。電解スライム中のセレンの一部は単体セレンであるが、ほとんどは金属と化合物を形成している。塩酸と過酸化水素を添加してこの電解スライムを溶解するが、浸出貴液(PLS)には貴金属元素、希少金属元素、セレン、テルルが分配する。
浸出貴液(PLS)は一度冷却され、鉛やアンチモンといった卑金属類の塩化物を沈殿分離する。然る後に溶媒抽出により金を有機相に分離する。金の抽出剤はジブチルカルビトール(DBC)が広く使用されている。
金を抽出した後のPLSを還元すれば有価物は沈殿−回収できるが、元素により酸化還元電位が異なるために自ずと沈殿の順序が決定されている。すなわち、初めに白金属類、次にセレンやテルルといったカルコゲン、さらに不活性貴金属類が沈殿する。
還元剤は亜硫酸、亜硫酸塩、二酸化硫黄等の水溶性硫黄酸化物が価格と効率の面から利用され、とりわけ、二酸化硫黄は転炉ガスや硫化鉱の焙焼により大量にしかも安価に供給できるため最適である。
二酸化硫黄で金抽出後液を還元した時、まず白金族類が沈殿するがセレンが大量に混入する。含有量にもよるが重量として白金族の0.8〜2倍程度のセレンが混入する。セレンの混入を抑制するために二酸化硫黄供給量を減らすと白金族類の回収量が低下するジレンマがある。程度の差があるが他の還元剤を使用してもセレンの混入は避けられない。
白金族分離後、二酸化硫黄によりセレンを単体セレンとして還元沈殿する。このとき、セレンのみを選択的に回収するためにセレンの回収率を犠牲にして、セレン3〜5g/Lに達すると還元を停止する。回収した単体セレンは蒸留してさらに高純度セレンまで精製される。
残液に再度二酸化硫黄を供給して残セレンとテルル、その他希少金属類を回収する。ここで回収される沈殿物中のセレンはテルルの重量の0.5〜3倍と高い。
白金族類ならびにテルルと単体セレンを分離する方法として、亜硫酸イオンとセレンを反応させてセレノ硫酸として分離する方法がある。テルル、白金族は亜硫酸イオンとほとんど反応しないので残滓として溶け残る。テルルが二酸化テルルとして含まれる場合は亜硫酸イオンと接触させる前にアルカリ液で溶出すればテルルのみを回収できる。
残滓として濃縮された白金族やテルルは酸溶解してさらに精製される。予め単体セレンを分離しておくとこの酸溶解に使用する試薬量が大幅に減る。また溶解液に含まれる白金族やテルルの濃度が高くなるので工程の負荷が小さくなる。
[セレノ硫酸を含有する溶液の処理方法]
上述のようにして分離したセレノ硫酸を含有する溶液は、0.1g/L以上のセレン、典型的には数g/L〜数十g/Lのセレンを含む。このセレノ硫酸はセレンを高濃度、高純度で含む液であり、処理してセレンを回収する。排出するにしても排出基準以下までセレン濃度を低下させることが求められる。
セレノ硫酸を含有する溶液はpH8.5以上のアルカリ性を示す。アルカリ性ではセレノ硫酸は安定に存在する。これは下記式1に示す平衡により説明される。
SeSO3 2-+2H+ ⇔ H2SO3+Se ⇔ H2O+SO2+Se (式1)
まずはこの平衡を右に進行させるために酸を添加する。酸化性の酸は生成したセレンを亜セレン酸に酸化して溶解してしまう。そのため硫酸もしくは塩酸が好ましい。酸の添加量は特許文献2ではpH1.2以下に達するまでとされているが、セレンを析出させる時の酸添加量が、セレン沈殿後の最終液のpHが0.5以下となる量であるのが好ましく、さらには酸濃度1N以上に達するまで添加することが好ましい。このように、本発明のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法では、まず、酸濃度を上げてセレノ硫酸を分解して単体セレンと亜セレン酸に変える。次に、亜セレン酸を、還元剤を用いて反応させる。当該反応では、前段の亜セレン酸の分解での酸濃度が重要であり、前述のように酸濃度が最終的にpH0.5以下になっていればセレンが良好に沈殿する。
溶液の温度は高い方が良い。特許文献2でも60℃以上との記述がある。上記式1からわかるように、平衡を右に進めるには温度を上げて二酸化硫黄の溶解度を低下させるとよい。二酸化硫黄の溶解度の低下の割合は60℃を超えると大きな変化が無くなるので60℃以上とすることが好ましい。
エアレーションにより液中に溶け込んでいる二酸化硫黄を揮散させると単体セレンの沈殿効率が上がる。またエアレーションにより亜硫酸が酸化される効果もある。特に空気の供給速度は指定されない。
セレノ硫酸は酸分解のみでセレンの排出基準濃度以下まで下げる事は困難である。上記式1の平衡があるため過剰に酸を添加しなければならず、その過剰な酸の処理が必要であることと、もう一つにはセレノ硫酸分解の副反応として亜セレン酸が生じるためである。
セレノ硫酸はH2SeSO3と化学式で示され、Seは(−II)価でSは(VI)価とされるが分光学的証拠は示されていない。見方を変えるとSeとH2OがとSO2の硫黄原子上に配位結合していると見ることも出来る。
SO2分子では硫黄元素は部分的に正電荷を帯びており、酸性条件下ではセレン原子から電子を引き抜く。さらにこのセレン原子が加水分解を受ければ亜セレン酸まで酸化されることは可能である。一部のセレノ硫酸がこの副反応を起こせばセレノ硫酸の最終分解形態は単体セレンと亜セレン酸になる。
亜セレン酸を単体セレンまで還元するには上述の酸性条件下で還元剤を添加する。還元剤は二酸化硫黄、亜硫酸とその塩、ケトン、卑金属、鉄(II)塩、硫化水素、チオ尿素、チオシアン等が挙げられる。価格面では二酸化硫黄、亜硫酸とその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなど)、アセトン、硫酸鉄(II)7水和物が好ましい。
上記式1に従うとセレノ硫酸酸分解時に二酸化硫黄を生じる。この一部は亜セレン酸を還元して単体セレンを生じる。使用する還元剤の量を抑制するには還元剤の投入は酸分解後に行うことが好ましい。加えて早期に亜硫酸系の還元剤を投入すると、上記式1の平衡があるので二酸化硫黄の濃度が増え反応効率が落ちる恐れがある。
セレノ硫酸の処理は60℃以上が好ましいことは上述した。しかしながら60℃では生成したセレンが不定形セレンとなり反応槽や撹拌機に固着する恐れがある。そのため70℃以上に加温した状態で酸分解、ならびに還元剤添加を行うことが好ましい。このとき、セレンを黒色セレンとして単体セレンを回収できる。
50℃以下で酸分解、ならびに還元剤添加を行うと赤色セレンとして単体セレンを回収できる。
セレノ硫酸の酸分解はORP(酸化還元電位、参照電極Ag/AgCl)で終点を定めることができる。セレノ硫酸を含有する溶液は、酸の添加によりAg/AgClを参照電極とした酸化還元電極電位が200mV以上に調整されているのが好ましい。440mV以上を示した時、亜セレン酸が支配種になるので酸の投入はほとんど効果が無くなる。この時に還元剤を投入すれば効果的に単体セレンを沈殿できる。亜セレン酸を還元する試薬は各種金属類、亜硫酸とその塩、二酸化硫黄、硫化水素、鉄(II)塩、チオ尿素等が知られている。
還元剤の添加でもセレンの除去が不完全な時は公知の亜セレン酸沈殿方法をセレン除去方法として使用できる。具体的には鉄共沈法や金属セメンテーション、樹脂吸着法が挙げられる。
本発明の実施形態は特に銅製錬における電解精製工程で発生するスライム処理工程で生じるセレン含有物から得たセレノ硫酸を含有する溶液に好適である。すなわち、セレノ硫酸を含有する溶液が、銅製錬工程中の電解スライム処理工程におけるセレンを含有する液に亜硫酸ナトリウムを添加して得られる液であってもよい。また、セレノ硫酸を含有する溶液を、銅製錬工程中の電解スライム処理工程における亜セレン酸含有液から、セレンを還元回収する槽へ投入して、酸の添加及び還元剤の添加を行うことができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は例示目的であって発明が限定されることを意図しない。
銅製錬から回収された電解スライムに濃塩酸と60%過酸化水素水を添加して溶解し、固液分離してPLSを得た。次に、PLSを6℃まで冷却して卑金属分を沈殿除去した。次に、DBC(ジブチルカルビトール)とPLSを混合して金を抽出した。
金抽出後のPLSを70℃に加温し、銅製錬転炉排ガスを吹き込んで貴金属を還元し、固液分離して貴金属含有滓を得た。貴金属分離後液に、さらに二酸化硫黄と空気の混合ガス(5〜20vol%)を1.2L/分程度で吹き込んで、セレンを沈殿させ、固液分離した。セレン分離後液に、さらに二酸化硫黄と空気の混合ガスを吹き込んでテルル含有残滓を得た。
貴金属含有滓に等重量の亜硫酸ナトリウムを添加し、1g/LのNaOH溶液200mlを注ぎ、50℃で30分加熱した。次に、5Cのろ紙で濾過して貴金属含有滓由来セレノ硫酸含有水溶液を得た。
次に、テルル含有残滓10gにつき10g/LのNaOH溶液100mlを注ぎ20℃で30分撹拌した。濾別後に固体分を分離し、量り取ったテルル含有残滓に等重量の亜硫酸ナトリウムを添加し、1g/LのNaOH溶液200mlを注ぎ、50℃で30分加熱した。次に、5Cのろ紙で濾過してテルル含有滓由来セレノ硫酸含有水溶液を得た。
(実験例1)
上述のテルル含有滓由来セレノ硫酸含有水溶液(Se濃度24.8g/L、Te濃度6.2g/L)を300ml量分取した。ただし、一部の実験は表1のように分取量を変えた。
次に、濃硫酸を15ml添加し、さらに表1に示す添加物を所定量添加し、表1の条件を設定した。
Figure 2021023851
次に、テルル含有滓由来セレノ硫酸含有水溶液を表1に示す温度に調製し、サンプルを15分毎に取った。表1に記載のエアレーションは熱帯魚飼育用ポンプで行った。1時間後に反応を停止し、pHを測定後、濾過した。ろ紙上は水で洗浄し、さらにアセトンで洗浄した。次に、アセトンを風乾後に50℃で一晩乾燥し、重量を測定した。
採取サンプルは濾過後に2ml分取した。予め過酸化水素2mlと硝酸1mlを添加した50mlメスフラスコに入れて規正し、ICP−OESで濃度を決定した。結果を表2に示す。
Figure 2021023851
表2では、硫酸添加後に所定の温度に達した時を0分とした。すなわち矢印の始点が硫酸添加後の濃度であり、矢印の終点が反応終了時の濃度である。いずれも酸分解によりセレノ硫酸が分解したことが判る。pHは低い方がよく、最終的に0.5以下になるように酸を添加し、好ましくは0.4以下になるように酸を添加する。
条件1と条件6を比較するとエアレーションは効果があることが判る。また条件2と条件3の結果から亜セレン酸が一部還元されていることが推察される。亜セレン酸を還元するものは亜硫酸の他なく、上記式1の平衡反応に従った結果であろう。貴金属分離後液には35g/L程度のセレンが亜セレン酸として含まれている。
(実験例2)
貴金属含有滓由来セレノ硫酸含有水溶液(Se濃度15.5g/L、pH8.9、ORP−183mV)を100ml量分取した。当該セレノ硫酸含有水溶液を表3に記載の温度に調整し、表3に記載の量の硫酸を添加した。硫酸を10ml以上添加する時は表3に記載の温度に達する前に硫酸を添加し撹拌した。添加後0分でサンプルを取りさらに15分と30分にサンプルをとった。30分後に反応を終了しpHとORPを測定した。pHが0.1を下回る場合は水酸化ナトリウム液で滴定して酸濃度を決めた。サンプルは濾過後に希釈してICP−OESでセレン濃度を測定した。
Figure 2021023851
表2の結果を踏まえると、酸の濃度が1.6Nに達するとほとんどのセレノ硫酸が分解されて単体セレンを生じると予想されるが、表3の結果ではセレンが多量に残留した。この違いは液中に含まれる亜テルル酸濃度の差であり、テルル滓由来液では亜テルル酸を含んでいるものの、貴金属由来液では亜テルル酸は勿論、その他の電子受容体が存在しない。明確な反応機構は不明であるが、ルイス酸の存在量の多寡が影響を与えることが推察される。
加えて硫酸を5ml以上添加した系ではORPが440mV以上と高い。ORPが440mV以上を示した分解後液にチオ尿素を添加したところ赤色セレンを生じた。これは亜セレン酸特有の反応であり、セレノ硫酸は酸分解により亜セレン酸を生じたことが判る。
(実験例3)
貴金属含有滓由来セレノ硫酸含有水溶液(Se濃度20.5g/L、pH8.9、ORP−183mV)を200ml量分取した。当該セレノ硫酸含有水溶液に表4に示す量の酸を添加し70℃に調整した。30分後にサンプルをとった。さらに表4に示す還元剤を添加し、60分撹拌した。還元ガスは亜硫酸水に亜硫酸塩と硫酸を混合し、エアレーションで生じる二酸化硫黄と空気の混合気体のことである。終了後にサンプルは濾過し、pHとORPを測定した。希塩酸で希釈してICP−OESでセレン濃度を測定した。
Figure 2021023851
実験条件20〜23では効果的なセレンの除去が認められた。酸濃度を調製し、加熱することでセレノ硫酸のセレンは沈殿回収できるがさらに還元剤を添加することでセレン濃度を大きく減らすことが可能となる。
硫酸で酸の添加が不十分な場合においても還元剤を添加すると効果がある。しかしながら、最終的な酸濃度をpH0.5以下に調整することが効果を増進させる。
ORPで見た時、亜セレン酸の静止電位は480mVである。酸性領域で系内の支配種がセレノ硫酸イオンである時のORPは実験条件18に見られるように200mV程度である。よって還元剤を効率的に使用するにはORPは200mV以上になるまで酸を添加しておく。さらに好ましくは480mV以上にした後に還元剤を添加する。

Claims (10)

  1. セレノ硫酸を含有する溶液に酸を添加してセレンを析出させ、さらに還元剤を添加してセレンを沈殿させる工程を有することを特徴とするセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  2. 前記セレンを析出させる時の酸添加量が、前記セレン沈殿後の最終液のpHが0.5以下となる量であることを特徴とする請求項1に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  3. 前記セレノ硫酸を含有する溶液に添加する酸が、塩酸又は硫酸であり、酸投入後の前記溶液の酸濃度を1N以上に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  4. 前記セレノ硫酸を含有する溶液を70℃以上に加温した状態で、前記酸の添加及び前記還元剤の添加を行うことで、セレンを黒色セレンとして沈殿させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  5. 前記セレノ硫酸を含有する溶液を50℃以下に調整した状態で、前記酸の添加及び前記還元剤の添加を行うことで、セレンを赤色セレンとして沈殿させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  6. 前記還元剤が、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、鉄(II)塩、チオ尿素、アセトン及び卑金属からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  7. 前記セレノ硫酸を含有する溶液は、セレンを0.1g/L以上含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  8. 前記還元剤を添加する前に、前記セレノ硫酸を含有する溶液は、前記酸の添加により銀/塩化銀を参照電極とした酸化還元電位が200mV以上に調整されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  9. 前記セレノ硫酸を含有する溶液が、銅製錬工程中の電解スライム処理工程におけるセレンを含有する液に亜硫酸ナトリウムを添加して得られる液であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
  10. 前記セレノ硫酸を含有する溶液を、銅製錬工程中の電解スライム処理工程における亜セレン酸含有液から、セレンを還元回収する槽へ投入して、前記酸の添加及び前記還元剤の添加を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のセレノ硫酸を含有する溶液の処理方法。
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