JP6399650B2 - 脂環式多官能酸無水物及び熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

脂環式多官能酸無水物及び熱硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、脂環式多官能酸無水物、該脂環式多官能酸無水物を含む硬化性樹脂組成物、及びその硬化物に関する。本発明の硬化物は、透明性、耐熱性、強靭性に優れた特性を有する。
脂環式酸無水物は、高熱安定性や透明性、良好な電気特性または耐薬品性などと共に、縮合体の形成や反応性の良さなど、架橋剤、縮合剤等として優れた性能を備えており、高分子製造原材料として広く使用されている。また脂環式酸無水物はエポキシ樹脂の硬化剤としても使用できることが知られている。
エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物は、耐熱性に優れた樹脂として、幅広い分野で利用されている。近年、該組成物はオプトエレクトロニクス関連分野における利用が注目されている。特に近年の高度情報化に伴い、膨大な情報を円滑に伝送、処理するために、従来の電気配線による信号伝送に変わり、光信号を生かした技術が開発されていく中で、光導波路、青色LED、および光半導体等の光学部品の分野においては透明性、強靭性および耐熱性に優れた硬化物を与える樹脂組成物の開発が望まれている。
エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物における脂環式酸無水物の使用例としては、例えば、特許文献1のメチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物及び特許文献2のトリシクロ環を有するテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。しかし、この化合物は二官能のため耐熱性が十分ではなく、さらに剛直な構造であることから硬くて脆い硬化物を与える。特許文献3のエステル基を有するテトラカルボン酸二無水物は強靭な硬化物を与えるが、この硬化物は二官能であることから同じく耐熱性が十分でない。また、特許文献4のイソシアヌレート化合物は三官能であるが、イソシアヌレート由来の着色により与える硬化物の透明性が十分ではない。
特開昭55−36406号公報 特開2005−320383号公報 特開2007−284414号公報 特開2012−025670号公報
本発明は、柔軟性、強靱性、耐熱性、透明性に優れる硬化物を与える脂環式多官能酸無水物、及び、該脂環式多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物を得ることを課題とする。
本発明者らは、少なくとも一分子中に3つ以上の水酸基を有する多価アルコールと核水添無水トリメリット酸ハライドとを反応させて得られる化合物が、より高い光学特性を維持しながら、柔軟性、強靱性や耐熱性を有する硬化物を与えることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)
Figure 0006399650
(式中、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、R、R、R、R、Rは水素原子、水酸基、炭素数1〜11の炭化水素基、もしくは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、Rは水酸基、もしくは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルを表す。lは0〜11、mとnはそれぞれ1〜11の整数を表す。)で表される一分子中に少なくとも3つの水酸基を含有する多価アルコール(A)と核水添無水トリメリット酸ハライドとを反応させて得られる多官能酸無水物に関する。
さらに、前記多価アルコール(A)にアルキレンオキサイド、環状エーテル、及び環状エステルからなる群より選ばれる1以上とを反応させて得られる多価アルコール(B)と核水添無水トリメリット酸ハライドとを反応させて得られる脂環式多官能酸無水物に関する。
さらに、前記多価アルコール(A)または(B)のR、Rが炭素数1〜4のヒドロキシアルキルである多価アルコールと核水添無水トリメリット酸ハライドとを反応させて得られる脂環式多官能酸無水物に関する。
さらに、一般式(1)のR、R、R、R、R、Rが炭素数1〜4のヒドロキシアルキルである前記多価アルコール(A)または該多価アルコール(A)にアルキレンオキサイド、環状エーテル、及び環状エステルからなる群より選ばれる1以上を反応させて得られる多価アルコール(B)と核水添無水トリメリット酸ハライドとを反応させて得られる脂環式多官能酸無水物に関する。
さらに、前記多価アルコール(A)がトリメチロールまたはジペンタエリスリトールである脂環式多官能酸無水物に関する。
さらに、前記多価アルコール(B)がジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物、ジペンタエリスリトールテトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加物である脂環式多官能酸無水物に関する。
さらに、前記多価アルコール(B)がペンタエリスリトール4モルエチレンオキサイド付加物、ジペンタエリスリトール6モルエチレンオキサイド付加物、ジペンタエリスリトール4モルカプロラクトン付加物である脂環式多官能酸無水物に関する。
さらに、一分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物と前記脂環式多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記一分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物が脂肪族型エポキシ樹脂、芳香族型エポキシ樹脂及び共重合型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上である、前記多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記一分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物が脂肪族型エポキシ樹脂及び芳香族型エポキシ樹脂である、前記多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記脂肪族型エポキシ樹脂が脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂である、前記多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記芳香族型エポキシ樹脂が(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)型エポキシ樹脂及びビスフェノールAエポキシ樹脂から選ばれる1種以上である、前記多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記一分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物が共重合型エポキシ樹脂である、前記多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記多価アルコール(A)、多価アルコール(B)及び核水添無水トリメリット酸ハライドに相溶しない粒子(C−1)または繊維(C−2)を含む熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記粒子(C−1)が無機粒子である前記熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記繊維(C−2)がガラス繊維である前記熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記繊維(C−2)がガラス繊維を紡糸し、さらに織製してなるガラスクロスである前記熱硬化性樹脂組成物に関する。
さらに、前記熱硬化性樹脂組成物を半硬化状態で形状を付与したプリプレグに関する。
さらに、前記熱硬化性樹脂組成物に溶剤を加えたワニスに関する。
さらに、前記熱硬化性樹脂組成物を硬化せしめた硬化物に関する。
さらに、硬化後の熱硬化性樹脂と粒子(C−1)または繊維(C−2)の光学的屈折率の差が、0.005以下である前記熱硬化性樹脂硬化物に関する。
本発明の脂環式多官能酸無水物はエポキシ樹脂の硬化剤として利用ができる。本発明の硬化物は透明性や強靱性、耐熱性に優れており、土木建築用の塗料やFRP、そして、プリント配線板・半導体分野等における塗料、レジストインキ、接着剤、シール剤、封止剤などの電気電子材料、更には高い透明性が要求されるLED封止剤や光導波路、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、携帯機器などの表示装置や太陽電池などに適している。
実施例1−1で得られた脂環式多官能酸無水物の、H-NMRスペクトルチャートである。
本発明において用いられる多価アルコール(A)とは、下記の構造を有し、少なくとも一分子中に3つ以上の水酸基を有する化合物である。
Figure 0006399650
(式中、R 、R 、R 、R 、R 、R はそれぞれ独立して、R 、R 、R 、R 、R は水素原子、水酸基、炭素数1〜11の炭化水素基、もしくは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、R は水酸基、もしくは炭素数1〜4のヒドロキシアルキルを表す。lは0〜11、mとnはそれぞれ1〜11の整数を表す。)
上記一般式(1)において、lまたはmが2以上の場合、複数存在することになるR、R、R、Rは、それぞれのR、R、R、Rが異なる置換基をとってよい。例えば、l=2の場合、4つ存在するRは4つが同一の置換基でも、一部が同一でその他が異なってもよく、すべて異なる置換基でもよい。R、R、RについてもRと同様である。
多価アルコール(A)の具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,2,4−ブタントリオール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,10−デカントリオールなどのトリオール類、1,1,2,2−エタンテトラオール、ジトリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、1,2,3,5−ペンタンテトラオール、1,2,4,5−ペンタンテトラオール、1,1,5,5−ペンタンテトラオール、1,2,5,6−ヘキサンテトラオール、1,2,7,8−オクタンテトラオール、1,2,9,10−デカンテトラオールなどのテトラオール類、ジペンタエリスリトール、ポリグリセリンなどのポリオール等が挙げられる。
これらのうち、一分子中に4〜6個の水酸基を有する多価アルコールを用いた場合に、得られる硬化物の特性が優れている。特にペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールが、硬化物の特性の良さ、材料の入手のしやすさの観点から好ましい。
本発明において多価アルコール(B)とは、多価アルコール(A)にアルキレンオキサイド、環状エーテル、及び、環状エステルからなる群より選ばれるいずれか一つ以上を付加重合させた構造を持つ化合物のことを指す。また、多価アルコール(B)は反応性や硬化物の特性を用途に応じて最適化することもできる。
多価アルコール(B)の具体例としては、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパンテトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパンカプロラクトン付加物、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールテトラヒドロフラン付加物、ペンタエリスリトールカプロラクトン付加物、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド付加物、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド付加物、ジペンタエリスリトールテトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン付加物、等が挙げられる。
、R、R、R、Rにおける炭化水素基とは炭素原子と水素原子のみから構成される原子団を指す。
炭化水素基の炭素数は1〜11が好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基等の脂肪族炭化水素基や、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基や、フェニル基、トリル基、ナフチル基、メチルナフチル基等の芳香族基、ベンジル基、ナフチルメチル基等の芳香族置換アルキル基等を挙げることができる。このうち本発明においては、本発明の硬化物の透明性が良好な点で脂肪族炭化水素基や脂環式炭化水素基が好ましく、メチル基とエチル基が強靭性と耐熱性が良好な本発明の硬化物を与える点からより好ましい。
、R、R、R、R、Rにおけるヒドロキシアルキル基とは、直鎖状、分岐状アルキル基の水素原子の1つ以上が水酸基で置換されている原子団を指す。
ヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜4が好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基及びイソブチル基の水素原子の1つ又は2つ以上が水酸基で置換されたものが挙げられる。このうち本発明においては、反応が容易な点で、水酸基が末端炭素に1つ置換されたものが好ましい。ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基が本発明の硬化物の強靭性と耐熱性が良好な点からより好ましい。
本発明において用いられるアルキレンオキサイドとは、三員環の環状エーテルを有する化合物を指す。
アルキレンオキサイドの炭素数は2〜8が好ましい。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等を挙げることができる。これらのアルキレンオキサイドは1種または必要に応じて2種以上を混合したものでも良い。中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種であると、入手し易く、安価であるため本発明において好ましい。
アルキレンオキサイドの使用量は、多価アルコール(A)の水酸基1当量に対して、通常三員環の環状エーテル0.1〜6.0当量、好ましくは、0.2〜2.0当量である。この範囲であれば得られる硬化物の耐熱性及び強靭性が良好である。
本発明において用いられる環状エーテルとは、4員環以上の環状の炭化水素の1つ以上の炭素が酸素で置換された構造を有する化合物であれば特段の限定はない。
環状エーテルは4〜6員環が好ましく、具体例としてはオキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等を挙げることができる。これらの環状エーテルは1種または必要に応じて2種以上を混合したものでも良い。中でも、テトラヒドロフランは入手し易く、安価であるため本発明において好ましい。
環状エーテルの使用量は、多価アルコール(A)の水酸基1当量に対して、環状エーテル0.1〜6.0当量、好ましくは、0.2〜2.0当量である。この範囲であれば得られる硬化物の耐熱性及び強靭性が良好である。
本発明において用いられる環状エステルとは、環状の炭化水素の中にエステル結合を含む構造を有する化合物であれば特段の限定はない。
環状エステルの炭素数は2〜6であることが好ましい。環状エステルの具体例としてはアセトラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等を挙げることができる。これらの環状エステルは1種または必要に応じて2種以上を混合したものでも良い。中でも、カプロラクトンは入手し易く、安価であるため本発明において好ましい。
環状エステルの使用量は、多価アルコール(A)の水酸基1当量に対して、環状エステル0.1〜6.0当量、好ましくは、0.2〜2.0当量である。この範囲であれば得られる硬化物の耐熱性及び強靭性が良好である。
本発明において用いられる無水核水添トリメリット酸ハライドとは、多価アルコールに酸無水物基を導入し、多官能酸無水物化合物とするために用いられる。これにより、酸無水物基の開環エステル化を伴うことなく、酸無水物基を導入することができる。
また核水添されていることから、耐熱、耐光下においても着色が少なく、その硬化物は高い光学特性を維持しながら、耐熱性、強靱性に優れる。
無水核水添トリメリット酸ハライドとしては、例えば、フッ素化物、塩素化物、臭素化物及びヨウ素化物等が挙げられ、中でも反応の容易さから塩素化物が好ましい。
本発明の脂環式多官能酸無水物の合成は、公知の手法により行うことができる。多価アルコール(A)または(B)と核水添無水トリメリット酸ハライドとの反応における試剤の添加の方法には特に制限がなく任意の添加法が採用できる。例えば、多価アルコール(A)または(B)と塩基性物質を溶媒に溶解し、これに溶媒に溶解した上記の核水添無水トリメリット酸ハライドをゆっくりと滴下する方法、あるいは、逆に必要に応じて溶媒に溶解した上記の核水添無水トリメリット酸ハライド中に多価アルコール(A)または(B)と塩基性物質の混合溶液を滴下する方法、核水添無水トリメリット酸ハライドと多価アルコール(A)または(B)の混合溶液の中へ塩基性物質を滴下する方法、さらには、多価アルコール(A)または(B)の溶液の中に核水添無水トリメリット酸ハライドの溶液と塩基性物質の溶液を同時に滴下する、などが採用可能である。
塩基性物質存在下の多価アルコール(A)または(B)と核水添無水トリメリット酸ハライドの反応では、反応の進行とともに塩基性物質が中和して生成した塩酸塩が生じる。これを濾過して除去した後、ろ液を濃縮することで、目的の脂環式多官能酸無水物の粗生成物が高収率で得られる。これを、適当な溶媒に溶解し、水洗後濃縮してから減圧乾燥すると純度の高い脂環式多官能酸無水物が得られる。さらに必要に応じて適当な溶媒で再結晶を行うことで、より純度の高い脂環式多官能酸無水物が得られる。
多価アルコール(A)または(B)の使用量は通常水酸基当量で、核水添無水トリメリット酸ハライド1に対して、0.6〜1.0、好ましくは、0.8〜1.0である。この範囲であれば多価アルコール(A)または(B)の水酸基はすべてエステル化され、核水添無水トリメリット酸ハライドが系内に余ることはない。
核水添無水トリメリット酸ハライドと多価アルコール(A)または(B)の反応において使用可能な溶媒は原料に対して不活性であれば特に限定されないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン-ビス(2−メトキシエチル)エーテル等のエーテル溶媒、ピコリン、ピリジン等の芳香族アミン溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のようなケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の様な芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のような含ハロゲン溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のようなアミド系溶媒、ヘキサメチルホスホルアミド等のような含リン溶媒、ジメチルスルホオキシド等のような含イオウ溶媒、γ-ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のようなエステル系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のような含窒素溶媒、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等の水酸基を有する芳香族系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
ここで挙げた溶媒には多価アルコール(A)から多価アルコール(B)を製造する際に用いられる環状エーテルや環状エステルが含まれているが、多価アルコール(A)に核水添無水トリメリット酸ハライドを反応させる際は、反応温度は−10℃〜80℃、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。反応温度が80℃よりも高いと多価アルコール(A)に環状エーテルや環状エステルが反応して、多価アルコール(B)が得られ、多価アルコール(A)と核水添無水トリメリット酸ハライドの反応率が低下する。反応時間は、特に制限はないが通常10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。反応は通常常圧で行われるが、必要に応じて加圧下、または減圧下でも実施することができる。
多価アルコール(A)に環状エーテルや環状エステルを反応させて多価アルコール(B)を製造する際は、反応温度は80℃〜250℃、好ましくは90℃〜220℃、より好ましくは100℃〜200℃である。反応時間は、特に制限はないが通常10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。反応は通常常圧で行われるが、必要に応じて加圧下、または減圧下でも実施することができる。
脂環式多官能酸無水物を得る反応における溶質の濃度は、通常5質量%〜50質量%、副反応の制御、沈殿の濾過工程を考慮すると好ましくは10質量%〜40質量%で行われる。10質量%以上40質量%以下の範囲で行われるのがより好ましい。
通常反応雰囲気は、窒素下で行う。反応容器は密閉型反応容器でも開放型反応容器でもよいが、反応系を不活性雰囲気に保つため、開放型の場合には不活性ガスでシールできるものを用いる。
塩基性物質は、反応の進行とともに発生する塩化水素を中和するために用いる。この際使用される塩基性物質の種類としては特に限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機の塩基性物質を用いることができる。ピリジンや、トリエチルアミンは安価に入手できる点や液体で溶解性に富むため反応操作が容易になる、という点で好ましい。また、無機の塩基性物質は安価に入手できる点で好ましい。
使用される塩基性物質の量は、特に制限はないが過剰に使用しすぎると生成物に混入したり、精製負荷が大きくなったりするので、核水添無水トリメリット酸ハライドに対して通常1.0モル倍〜30モル倍、好ましくは1.2モル倍〜20モル倍、さらに好ましくは1.5モル倍〜10モル倍が採用される。
水洗操作の際、脂環式多官能酸無水物は一部加水分解を受けて、脂環式多価カルボン酸に変化するが、これは、減圧下加熱処理をすることにより、一部加水分解して生成した脂環式多価カルボン酸を容易に脂環式多官能酸無水物に戻すことができる。この減圧下加熱処理工程の際採用される温度は80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃であり、減圧度は、10MPa以下、好ましくは1MPa以下であり、加熱時間は上限は特に制限はないが、通常は10分〜48時間、好ましくは30分〜24時間である。
こうして得られた本発明の脂環式多官能酸無水物をさらに精製することも可能である。その場合の精製方法としては、再結晶、昇華、洗浄、活性炭処理、カラムクロマトグラフィーなど任意に行うことができる。またこれら精製法を繰り返しても、組み合わせて実施することも可能である。こうして得られる本発明の脂環式多官能酸無水物の純度は例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)などの分析で得られるピークの面積比として、通常90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
脂環式多官能酸無水物の保存は、加水分解による酸無水物環の開環を防ぐために高湿を避けた低温下で保存とすることが望ましい。具体的には、シール性の良い容器で冷蔵庫にて保管すれば長期間の保存に耐える。また、脂環式多官能酸無水物に関しては吸湿を防ぐために精製後すぐに次の重合反応に使用してもよい。その際の保存期間は、通常100時間以内、好ましくは50時間以内、さらに好ましくは24時間以内である。
本発明の多官能酸無水物と硬化反応する化合物を組み合わせ、熱硬化性樹脂組成物を構成することもできる。この際、酸無水物基と熱により反応可能な官能基を有する化合物であれば特に限定はないが、特にエポキシ基を有する化合物が好適に用いられる。
この際、好適な熱硬化性樹脂組成物を得るために、酸無水物基と反応可能な官能基を1分子中に少なくとも2つ以上含む化合物を用いることが好適である。
本発明において示されるエポキシ基を有する化合物とは、1分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であればいずれを用いてもよい。以下に本発明において好適に用いられる1分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物として芳香族型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、共重合体型エポキシ樹脂について説明する。
芳香族型エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル−フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち本発明においては、耐熱性、耐光性を考慮すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)型エポキシ樹脂が好ましい。
脂肪族型エポキシ樹脂としては、脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂と脂肪族環状構造をもたないエポキシ樹脂が挙げられる。脂肪側環状構造を有するエポキシ樹脂は一分子中に少なくとも一つ以上の環状脂肪族構造を有することを特徴とする。例えばテルペンジフェノールや、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と脂肪族環構造ジエン(ジシクロペンタジエンやノルボルナジエン、ヘキサヒドロキシインデン等)との重縮合物及びこれらの変性物から誘導されるグリシジルエーテル化物、水添ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF)型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、分子内にシクロヘキシル構造を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン構造をもつエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート構造をもつエポキシ樹脂等が挙げられる。具体的には例えば、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシアルキル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等が挙げられる。
脂肪族環状構造を持たない1分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物等としては、ヘキサンジグリシジルエーテル等の直鎖または分岐アルコールから誘導されるグリシジルエーテル類が挙げられる。
共重合型エポキシ樹脂としては、不飽和二重結合とエポキシ基を併せ持つ単量体、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等といった単量体とその他の重合可能な不飽和基を有する単量体を共重合させたものを示す。その他の単量体としては特に限定はなく、上記の不飽和二重結合とエポキシ基を併せ持つ単量体と共重合が可能なものであればいずれも使用することが出来る。
例えばエチレン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル化合物類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のグリコールエーテルモノ(メタ)アクリレート類、エチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート等のグリコールエーテルモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用いる粒子(C−1)は、例えば、有機粒子としては、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリスチレン、ナイロン等を、無機粒子としては、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカおよびガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカおよび溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウムおよびホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及び窒化ケイ素等の窒化物等、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等のフッ化物を挙げることができ、分散溶媒を含有しない微粉末や溶媒に分散させたコロイド溶液として市場から入手して用いることができる。また、これらを1種または2種以上を混合して用いることが出来る。分散溶媒はメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミドなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒など、本発明の熱硬化性樹脂組成物の各成分が溶解するものを選定して用いればよい。また、寸法安定性の観点より無機粒子が好ましい。特に、汎用性や安価な点でアルミナ、シリカが好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いる繊維(C−2)は、炭素繊維、ガラス繊維、カゼイン繊維、落花生タンパク繊維、とうもろこしタンパク繊維、大豆タンパク繊維、アルギン繊維、キチン繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリロニトリル繊維、モダクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリスチレン繊維、ポリエーテルエステル繊維、ポリウレタン繊維等が挙げられる。これらを1種または2種以上を混合して用いることが出来る。中でも、汎用性の観点からガラス繊維が好ましい。また、ガラス繊維には用いた織布、不織布、編物など様々なものがあり、本発明においてはその種類に特に制限はないが、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて硬化した際に寸法安定性に優れた硬化物を得るためには、ガラスクロスが適している。本発明の熱硬化性樹脂組成物との密着性を考慮すると、ガラス繊維はシランカップリング剤により処理してあるものが好ましい。
粒子(C−1)及び繊維(C−2)は求められる性能に応じて、いずれか一方のみ使用しても、両方を使用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、他の成分を含めてもよい。これら他の成分としては無機フィラー、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用いられうる無機フィラーは、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカおよびガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカおよび溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウムおよびホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。誘電率の観点よりシリカフィラーがより好ましい。シリカフィラーとしては、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラー、気相法により合成されたシリカフィラー、溶融シリカフィラー、結晶シリカフィラーなどがある。特に、気相法により合成されたシリカフィラー、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラーが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、熱による反応を促進させるために、熱に感応して反応を促進させる、または硬化温度を調整するために、硬化触媒を添加することも一般的に行われる。これらは、上記硬化反応を促進させる効能を有するものであれば、公知一般のものが使用できる。
本発明の樹脂組成物に用いられうる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤等公知一般のものであれば制限はない。しかし、本発明の特徴を鑑みれば、無色であり、かつ、硬化時の熱や、封止後の回路基板として長期間使用した場合でも着色しにくいものを選択することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としてはモノフェノール類、ビスフェノール類、及び高分子型フェノール類などが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト類、オキサホスファフェナントレンオキサイド類等が挙げられる。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用してもよい。酸化防止剤の使用量は、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、通常0.008〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部である。また、本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いられうる光安定剤としては公知一般のものが使用でき、特に限定は無い。しかし、本発明の特徴を鑑みれば、無色であり、かつ、硬化時の熱や、長期間使用した場合でも着色しにくい材料を選択することが好ましい。
これらの代表的な例として、ヒンダードアミン類等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に用いられうる紫外線吸収剤としては公知一般のものが使用でき、特に限定は無い。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等が挙げられ、前記光安定剤と併用することも可能である。
本発明においては、経時的な着色性の低い紫外線吸収剤を用いることが好ましい。例えば、プロパン酸−2−[4−[4,6−ビス([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−3−ヒドロキシフェニル]−イソオクチルエステル(例えばチヌビン479、チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
本発明の耐光性を向上させる際は、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を共に用いる。
本発明の樹脂組成物には、透明性や硬度などの特性を損なわない範囲でブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂成分を必要に応じて添加することもできる。
本発明の樹脂組成物にはシランカップリング剤、離型剤、レベリング剤、界面活性剤、染料、顔料、有機の光拡散フィラー、希釈溶剤等も添加することができる。
本発明の樹脂組成物には公知一般の金属塩の添加をすることもできる。例えばカルボン酸金属塩(2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸などの亜鉛塩、スズ塩、ジルコニウム塩)やリン酸エステル金属塩(オクチルリン酸、ステアリルリン酸等の亜鉛塩)、アルコキシ金属塩(トリブチルアルミニウム、テトラプロピルジルコニウム等)、アセチルアセトン塩(アセチルアセトンジルコニウムキレート、アセチルアセトンチタンキレート等)等の金属化合物等が挙げられる。これらは単独或いは二種以上を用いてもよい。金属塩の添加により、本発明の耐熱性、耐光性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物において、熱による反応を促進させるために、熱に感応して反応を促進させる、または硬化温度を調整するために、硬化触媒を添加することも一般的に行われる。これらは、上記硬化反応を促進させる効能を有するものであれば、公知一般のものが使用できる。
硬化触媒としては例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシアルキルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシアルキル5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ヘキサフロロスチビンホスホニウム塩等のホスフィン類やホスホニウム化合物類、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等の有機金属化合物等が挙げられる。さらに、硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化触媒等が挙げられる。
これら硬化触媒のいずれを用いるかは、要求される特性によって適宜選択されるべきものである。硬化触媒は、本発明の樹脂組成物中の、全樹脂100質量部に対し通常0.001〜15質量部の範囲で使用される。
本発明の樹脂組成物においては使用の態様に応じて溶剤を含んでいてもよい。本発明において用いることのできる溶剤は、本発明の樹脂組成物の成分に対して不活性であれば特に限定されないが、例えば、核水添無水トリメリット酸ハライドと多価アルコール(A)または(B)の反応において使用可能な溶媒と同一のものが挙げられる。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。化合物の合成においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により原料アルコール類の消失を確認した時点で反応終了とした。なお、実施例においてTMACは無水トリメリット酸クロリドを、HTACは核水添無水トリメリット酸クロリドを、THFはテトラヒドロフランを、TMPはトリメチロールプロパンを、DPEはジペンタエリスリトールを、PE4EOはペンタエリスリトール4モルエチレンオキサイド付加物を、DE6EOはジペンタエリスリトール6モルエチレンオキサイド付加物を、DPE4Cはジペンタエリスリトール4モルカプロラクトン付加物を、MEKはメチルエチルケトンを、それぞれ示す。
合成例1:ジペンタエリスリトール4モルカプロラクトン付加物(DPE4C)の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、DPE25.43g(100mmol)にカプロラクトン45.66g(400mmol)を加え、180℃12時間撹拌し、ジペンタエリスリトール4モルカプロラクトン付加物(DPE4C)71.09gを得た。
合成例2:共重合型エポキシ樹脂の調製
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、グリシジルメタアクリレート30g、メチルメタアクリレート30g、ブチルメタアクリレート40g、溶媒としてメチルエチルケトン200g、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1gを加え、80℃、5時間重合反応を行った。
反応終了後、90℃に加熱、減圧下において溶媒を留去し共重合体型エポキシ樹脂を得た。得られた共重合体型エポキシ樹脂の分子量をGPCによるポリスチレン換算数平均分子量15,000、同重量平均分子量30,000、エポキシ当量470g/eqであった。
硬化膜についての評価方法及び評価基準は以下の通りである。
(1)ガラス転移温度(Tg):硬化した樹脂組成物のTg点を粘弾性測定システム(DMS−6000:セイコー電子工業(株)製)において、引っ張りモード、周波数1Hzにて測定した。
(2)強靭性:硬化した樹脂組成物の硬化膜の両端を手で固定し、中央部を押したときの硬化膜の状態を観察した。判定基準は以下の通りである。
◎:強く押してもひびが入らず、割れない。
○:弱く押してもひびが入らず、割れないが、強く押すとひびが入る。
△:弱く押すとひびが入り、強く押すと割れる。
×:弱く押すと割れる。
(3)透明性:樹脂組成物の硬化膜の外観を目視で観察した。
(4)黄色度:硬化した樹脂組成物の硬化膜の初期の黄色度(YI)と230℃20分間放置後の黄色度(YI)を分光光度計(U−3900H:(株)日立ハイテクノロジーズ製(黄色度はJIS K7105/JIS K7373)にて測定し、その差(黄変度:△YI)を求めた。判定基準は以下の通りである。
◎:△YIが0.4以下
○:△YIが0.5以上0.7以下
△:△YIが0.8以上1.0以下
×:△YIが1.1以上
(5)寸法安定性:硬化した樹脂組成物の線膨張係数(CTE)を粘弾性測定システム(DMA/SS−6000:セイコー電子工業(株)製)において、200℃/10minにて測定した。判定基準は以下の通りである。
◎:CTEが25ppm/K以下
○:CTEが26ppm/K以上35ppm/K以下
△:CTEが36ppm/K以上45ppm/K以下
×:CTEが46ppm/K以上
実施例1−1:脂環式多官能酸無水物の合成1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、HTAC23.34g(108mmol)に、THFを36g加えて均一溶液にした。この溶液を攪拌しながら5℃まで冷却後、多価アルコール(A)としてTMP4.44g(33mmol)にピリジン10.08g(127.5mmol)とTHF54gを加えて均一にした溶液を、液温を10℃以下に保ちながら徐々に滴下した。滴下終了後、室温で1時間攪拌し、次いで50℃まで昇温し、反応を8時間継続した。続いて、反応液を20℃まで冷却し、不溶解分であるピリジン塩酸塩をろ去した後、ろ液を濃縮した。濃縮物を酢酸エチル120mlに溶解させ、30mlの水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ去した後、ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を15mlの酢酸エチルに溶かし、トルエンで再結晶し、生成物を16.7g(収率75.2%)得た。
この生成物は、H-NMRから目的の化合物であることを確認した。
H-NMR(クロロホルム−d1,δppm):0.90−0.92(m,3H),1.48−2.49(m,23H),3.11−3.41(m,6H),4.04(s,6H)
実施例1−2:脂環式多官能酸無水物の合成2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、HTAC7.78g(36mmol)に、THFを12g加えて均一溶液にした。この溶液を攪拌しながら5℃まで冷却後、多価アルコール(A)としてDPE1.40g(5.5mmol)にピリジン3.36g(47.5mmol)とアセトン18gを加えて均一にした溶液を、液温を10℃以下に保ちながら徐々に滴下した。滴下終了後、室温で1時間攪拌し、次いで50℃まで昇温し、反応を8時間継続した。続いて、反応液を20℃まで冷却し、不溶解分であるピリジン塩酸塩をろ去した後、ろ液を濃縮した。濃縮物を酢酸エチル40mlに溶解させ、10mlの水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ去した後、ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を5mlの酢酸エチルに溶かし、トルエンで再結晶し、生成物を5.24g(収率71.3%)得た。
実施例1−3〜1−4
実施例1−2において多価アルコール(A)を表1記載の多価アルコール(B)とした他は同様にして脂環式多官能酸無水物を合成した。
Figure 0006399650
実施例1−5:脂環式多官能酸無水物の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、HTAC78.6g(363mmol)に、THFを120g加えて均一溶液にした。この溶液を攪拌しながら5℃まで冷却後、PE4EO28.5g(55mmol)にピリジン33.6g(475mmol)とTHF180gを加えて均一にした溶液を、液温を10℃以下に保ちながら徐々に滴下した。滴下終了後、室温で1時間攪拌し、次いで50℃まで昇温し、反応を8時間継続した。続いて、反応液を20℃まで冷却し、不溶解分であるピリジン塩酸塩をろ去した後、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物を酢酸エチル400mlに溶解させ、100mlの水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ去した後、ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を40mlの酢酸エチルに溶かし、トルエンで再結晶し、生成物を74.7g(収率77.1%)得た。
比較例1−1:多官能酸無水物の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、TMAC76.4g(363mmol)に、THFを120g加えて均一溶液にした。この溶液を攪拌しながら5℃まで冷却後、TMP14.8g(110mmol)にピリジン33.6g(475mmol)とTHF180gを加えて均一にした溶液を、液温を10℃以下に保ちながら徐々に滴下した。滴下終了後、室温で1時間攪拌し、次いで50℃まで昇温し、反応を8時間継続した。続いて、反応液を20℃まで冷却し、不溶解分であるピリジン塩酸塩をろ去した後、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物を酢酸エチル400mlに溶解させ、100mlの水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ去した後、ろ液を濃縮し、得られた濃縮物を40mlの酢酸エチルに溶かし、トルエンで再結晶し、生成物を54.4g(収率77.6%)得た。
実施例2−1:樹脂組成物の調製1
実施例1−1で得た脂環式多官能酸無水物を35g、脂肪族型エポキシ樹脂EHPE−3150(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、(株)ダイセル製、エポキシ当量181)を10g、芳香族型エポキシ樹脂としてNC−6300(日本化薬(株)製:(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)型エポキシ樹脂、エポキシ当量206、全塩素量550ppm)を27g、同じくRE−310S(日本化薬(株)製:液状ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量185、全塩素量500ppm)を23g、その他の成分としてオクチル酸亜鉛を0.3g、希釈溶剤であるメチルエチルケトンを41gあわせたものを70℃に加温、混合し、固形分が70質量%である樹脂組成物を得た。
実施例2−2〜2−5、比較例2−2〜2−2
実施例2−1において脂環式多官能酸無水物及びMEKを表2記載とした他は同様にして固形分が70質量%である樹脂組成物を調製した。
Figure 0006399650
注)*1 4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸
実施例2−6:樹脂組成物の調製
実施例1−3で得た脂環式多官能酸無水物10g、合成例2のグリシジルメタアクリレート共重合体50g、硬化触媒としてトリフェニルホスフィン1g、溶剤としてMEK40gをあわせたものを50℃に加温、混合し、固形分が60質量%である樹脂組成物を得た。
実施例2−7:樹脂組成物の調製
実施例1−1で得た脂環式多官能酸無水物を35g、希釈溶剤であるMEKを41gとした他は実施例2−1と同様とし、さらにコロイダルシリカのメチルエチルケトン分散液(固形分30質量%、日産化学工業(株)製オルガノシリカゾルMEK−ST;以下MEK−ST)を137g加えて、固形分が59質量%である本発明の樹脂組成物の希釈組成物を得た。
比較例2−3:樹脂組成物の調製
1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を17g、脂肪族型エポキシ樹脂EHPE−3150を10g、芳香族型エポキシ樹脂としてNC−6300を27g、RE−310SNC−6300を23g、その他の成分としてオクチル酸亜鉛を0.3g、希釈溶剤であるアセトンを33gあわせたものを50℃に加温、混合し、固形分が70質量%である樹脂組成物希釈組成物を得た。
比較例2−4:樹脂組成物の調製
水添トリメリット酸無水物を10g、合成例2のグリシジルメタアクリレート共重合体50g、硬化触媒としてトリフェニルホスフィン1g、溶剤としてMEK40gをあわせたものを50℃に加温、混合し、固形分が60質量%である樹脂組成物を得た。
実施例3−1〜5、および比較例3−1〜2:硬化物特性の評価
ガラス基板上に耐熱離型テープで40mm×25mm×1mmの型を作製し、本発明の硬化性樹脂組成物及び比較例の硬化性樹脂組成物をそれぞれ厚さ約800μmにまで注型し、80℃にて50分間乾燥した。乾燥途中で真空脱泡を1回行い、泡を除去した。その後室温まで冷却し状態を確認したところ、本発明の硬化性樹脂組成物は室温で固体であった。
続いて150℃乾燥機にて3時間硬化し、本発明の硬化物を得た。得られた硬化物についてそれぞれガラス転移点及び強靭性を測定した。
Figure 0006399650
実施例3−6〜10、および比較例3−3〜4:硬化物特性の評価
実施例2−1、2−3、2−5、2−7で得られた硬化性樹脂組成物、比較例2−1及び比較例2−2で得られた硬化性樹脂組成物にMEKを添加して固形分50質量%に調製し、ガラスクロスa(Eガラスクロス:ユニチカ(株)製IPC106タイプ:約30μm厚、平織、光学的屈折率1.561)又はガラス繊維不織布(Eガラス:約750μm厚、光学的屈折率1.560)を入れ、含浸させた。ガラスクロス又はガラス繊維不織布を引き上げた後、120℃で7分乾燥した。乾燥後のシートは固形のフィルムであった。それをさらに離型処理したPETフィルムにはさんでプレスしながら150℃にて10分処理し、半硬化させてプリプレグを得た。その後150℃乾燥機にて3時間硬化し、本発明の硬化物を得た。得られた硬化物についてそれぞれ耐熱性、強靭性、耐着色性、寸法安定性を測定した。なお、実施例3−10は実施例3−1〜5と同様にして硬化物を得た。
Figure 0006399650
以上の結果から明らかなように本発明の硬化物は、耐熱性、強靭性、黄変度(耐着色性)に優れている。実施例3の硬化物に用いられた本発明の脂環式多官能酸無水物は三官能以上の酸無水物を有し、母格となるアルコールが脂肪族で分子量も大きいことから、耐熱性と強靭性に優れると考えられる。飽和脂環を有していることから耐着色性も優れると考えられる。また、ガラスクロス等を含む実施例では寸法安定性も優れている。これに対し、比較例3−1では酸無水物が飽和脂環を有さないため耐着色性が不十分である。また、比較例3−2では用いられた多官能酸無水物は二官能であり、低分子であることから耐熱性と強靭性が劣っていると考えられる。
実施例4:透明性評価
実施例2−1、2−3で得られた硬化性樹脂組成物にMEKを添加して固形分50質量%に調製し、ガラスクロスa又はガラスクロスb(日東紡績(株)製IPC3313タイプ;約75μm厚、平織、光学的屈折率1.554)(Eガラス:約750μm厚、光学的屈折率1.560)を入れ、含浸させた。ガラスクロスa又はガラスクロスbを引き上げた後、120℃で7分乾燥した。乾燥後のシートは固形のフィルムであった。それをさらに離型処理したPETフィルムにはさんでプレスしながら150℃にて10分処理し、半硬化させてプリプレグを得た。その後150℃乾燥機にて3時間硬化し、本発明の硬化物を得た。得られた硬化物についてそれぞれ透明性を測定した。
Figure 0006399650
以上の結果から明らかなようにガラスクロスを含む本発明の硬化物の透明性は本発明の樹脂組成物の屈折率とガラスクロスとの屈折率の差異が小さい方が優れている。
本発明の脂環式多官能酸無水物及び、その硬化性樹脂組成物は、土木建築用の塗料やFRP、そして、プリント配線板・半導体分野等における塗料、レジストインキ、接着剤、シール剤、封止剤などの電気電子材料、主に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、携帯機器などの表示装置や太陽電池などに用いる硬化物に適するものである。

Claims (11)

  1. 下記式(1)
    Figure 0006399650
    (式中、R、R、R、R、R、Rはそれぞれ独立して、R、R、R、R、Rは水素原子、水酸基、炭素数1〜11の炭化水素基、もしくは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、Rは水酸基、もしくは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を表す。lは0〜11、mとnはそれぞれ1〜11の整数を表す。)で表される一分子中に少なくとも3つの水酸基を含有する多価アルコール(A)の全ての水酸基に核水添無水トリメリット酸基(核水添無水トリメリット酸ハライドからハロゲンが外れた一価の置換基)がエステル結合で置換している脂環式多官能酸無水物。
  2. 請求項1に記載の多価アルコール(A)にアルキレンオキサイド、環状エーテル、及び環状エステルからなる群より選ばれる1以上とを反応させて得られる多価アルコール(B)の全ての水酸基に核水添無水トリメリット酸基(核水添無水トリメリット酸ハライドからハロゲンが外れた一価の置換基)がエステル結合で置換している脂環式多官能酸無水物。
  3. 請求項1に記載の一般式(1)においてR、R、R、R、R、R のいずれかが炭素数1〜4のヒドロキシアルキルである多価アルコール(A)の全ての水酸基に核水添無水トリメリット酸基(核水添無水トリメリット酸ハライドからハロゲンが外れた一価の置換基)がエステル結合で置換している脂環式多官能酸無水物。
  4. 請求項3に記載の多価アルコール(A)にアルキレンオキサイド、環状エーテル、及び環状エステルからなる群より選ばれる1以上を反応させて得られる多価アルコール(B)の全ての水酸基に核水添無水トリメリット酸基(核水添無水トリメリット酸ハライドからハロゲンが外れた一価の置換基)がエステル結合で置換している脂環式多官能酸無水物。
  5. 一分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物と請求項1ないし4のいずれか一項に記載の脂環式多官能酸無水物を含む熱硬化性樹脂組成物。
  6. 多価アルコール(A)、多価アルコール(B)及び核水添無水トリメリット酸ハライドに相溶しない粒子(C−1)または繊維(C−2)をさらに含む請求項5に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 粒子(C−1)が無機粒子である請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 繊維(C−2)がガラス繊維である請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. 繊維(C−2)がガラス繊維を紡糸し、さらに織製してなるガラスクロスである請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項5ないし9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を半硬化状態で形状を付与したプリプレグ。
  11. 請求項ないし9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化せしめた硬化物。
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