JP6398206B2 - 微量不純物を分析する方法、及び当該分析に用いるプラズマトーチ - Google Patents
微量不純物を分析する方法、及び当該分析に用いるプラズマトーチ Download PDFInfo
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Description
これを解決するために、プラズマガスの流量を調節することにより、プラズマ炎によりキャリアガス管先端部の黒鉛を燃焼させる方法(例えば、特許文献3参照)、脱溶媒機能を備えたプラズマトーチを使用する方法(例えば、特許文献4参照)やプラズマ炎に接する部分又はその近傍を保護具で覆う方法(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
また、特許文献4の方法では、脱溶媒機能として透過材を使用しているものの、溶媒に含まれる有機金属化合物の分解物が目詰まりを起こす恐れがあった。
また、特許文献5の方法では、改めて保護具を装着・脱着しなければならず、煩雑な操作が生じていた。
プラズマガス管と、プラズマガス管の内側に配されたキャリアガス管と、プラズマガス管の外側に配された外管とにより構成された三重管構造を有し、キャリアガス管の先端部がプラズマガス管の先端部に対して後退しているプラズマトーチであるプラズマトーチであって、
プラズマガス管の内径をR(mm)、
プラズマガス管の先端部とキャリアガス管の先端部とのプラズマガス管が延びる方向における距離L(mm)
とした場合において、
(L/R)×100
が20%〜40%であるプラズマトーチに、
前記霧化させた試料をキャリアガスとともにキャリアガス管を通じてプラズマトーチに導入して、誘導結合型プラズマ発光分析法により試料液体中の微量不純物を分析する方法によって解決される。
本発明において使用するプラズマトーチは、プラズマガス管と、プラズマガス管の内側に配されたキャリアガス管と、プラズマガス管の外側に配された外管とにより構成された三重管構造を有し、キャリアガス管の先端部がプラズマガス管の先端部に対して後退しているプラズマトーチであって、
プラズマガス管の内径をR(mm)、
プラズマガス管の先端部とキャリアガス管の先端部とのプラズマガス管が延びる方向における距離L(mm)
とした場合において、
(L/R)×100
が20%〜40%であるプラズマトーチである(図1)。
即ち、プラズマガス管の内径に対して20〜40%の長さ分だけキャリアガス管の先端部がプラズマガス管の先端部に対して下部に位置するプラズマトーチである。
本発明の分析方法は、有機金属化合物を不活性な有機溶媒で希釈した試料液体を霧化させた後、前記のプラズマトーチを備えた誘導結合型プラズマ発光分析装置を用いて、霧化させた試料をキャリアガスとともにキャリアガス管を通じてプラズマトーチに導入することによって、試料液体中の微量不純物を感度良く分析することができる。このとき、プラズマ炎の位置やキャリアガスの流速の微調整は特段必要としない。
誘導結合型プラズマ発光分析装置からプラズマトーチを取り外すことなく、プラズマガス管の内径を測定したところ14mm(R)であった。次いで、キャリアガス管の先端部が、プラズマガス管の先端部より3mm(L)下部となるように、キャリアガス管を設置した((L/R)×100=21%)。
トリメチルアルミニウム5g及びキシレン30mlを混合した後、窒素雰囲気にて、塩酸60ml中にゆるやかに滴下して、トリメチルアルミニウムを分解した。その後、分液してトリメチルアルミニウム中の微量不純物を分析するための試料液体(キシレン層)を調製した。
次いで、この試料液体を前記誘導結合型プラズマ分析装置で分析したところ、キャリアガス管の先端部には何ら付着は観られなかった。
実施例1において、プラズマトーチにおけるキャリアガス管の位置を変更せず、キャリアガス管の先端部とプラズマガス管の先端部の位置が同じ高さのプラズマトーチを用いて、実施例1と同様にトリメチルアルミニウムの分析を行った((L/R)×100=0%)。その結果、キャリアガス管先端部には黒色の不純物の付着が観られた。
当該不純物を分析した結果を以下に示す。
炭素;99.8%
ケイ素;0.2%
以上の結果より、不純物はキシレン由来の黒鉛を主成分とするものであった。また、ケイ素成分が検出されたことから、キシレン中のケイ素成分(分析対象)が分析されずに、黒鉛の発生とともに付着したと考えられる。
実施例1において、プラズマトーチにおけるプラズマガス管の内径に対するキャリアガス管の先端部の位置を2mmに変えたこと以外、実施例1と同様に分析を行った((L/R)×100=14%)。その結果、キャリアガス管の先端部には黒色の不純物の付着が僅かに観られた。
実施例1において、プラズマトーチにおけるプラズマガス管の内径に対するキャリアガス管の先端部の位置を4mmに変えたこと以外、実施例1と同様に分析を行った((L/R)×100=28%)。その結果、キャリアガス管の先端部には何ら付着は観られなかった。
実施例1において、プラズマトーチにおけるプラズマガス管の内径に対するキャリアガス管の先端部の位置を5mmに変えたこと以外、実施例1と同様に分析を行った((L/R)×100=36%)。その結果、キャリアガス管の先端部には何ら付着は観られなかった。
実施例1において、プラズマトーチにおけるプラズマガス管の内径に対するキャリアガス管の先端部の位置を6mmに変えたこと以外、実施例1と同様に分析を行った((L/R)×100=43%)。
その結果、キャリアガス管の先端部には不純物の付着はなかったものの、キャリアガス管の先端部に黒鉛が生じていた。また、霧化した試料がプラズマ炎まで十分に届かなかったため、試料液体中の微量不純物を分析が十分にできなかった(分析感度が低下した)。
実施例1において、プラズマトーチにおけるプラズマガス管の内径に対するキャリアガス管の先端部の位置と、分析対象物である有機金属化合物に変えたこと以外、実施例1と同様に分析を行った。
なお、記号、略語の意味は以下の通りである。
(記号)
○;不純物の付着なし、分析感度良好
△;不純物の僅かな付着及び/又は分析感度不良
×:不純物の付着及び分析感度不良
(略語)
TMA:トリメチルアルミニウム
TEA;トリエチルアルミニウム
TMG;トリメチルガリウム
TEG;トリエチルガリウム
TMI;トリメチルインジウム
DMZ;ジメチル亜鉛
DEZ;ジエチル亜鉛
Cp2Mg;ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム
Al錯体;トリス(t−ブチルメチルアミド)アルミニウム
また、本発明の分析により、有機金属化合物の品質管理能力が向上し、有機金属化合物を製品として出荷するのに適した態様となった。
2 キャリアガス管
Claims (7)
- 有機金属化合物を不活性な有機溶媒で希釈した試料液体を霧化させた後、
プラズマガス管と、プラズマガス管の内側に配されたキャリアガス管と、プラズマガス管の外側に配された外管とにより構成された三重管構造を有し、キャリアガス管の先端部がプラズマガス管の先端部に対して後退しているプラズマトーチであって、
プラズマガス管の内径をR(mm)、
プラズマガス管の先端部とキャリアガス管の先端部とのプラズマガス管が延びる方向における距離をL(mm)
とした場合において、
(L/R)×100
が20%〜40%であるプラズマトーチに、
前記霧化させた試料をキャリアガスとともにキャリアガス管を通じてプラズマトーチに導入して、誘導結合型プラズマ発光分析法により試料液体中の微量不純物を分析する方法。 - 有機金属化合物が、有機ガリウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機インジウム化合物、有機亜鉛化合物、有機マグネシウム化合物である、請求項1記載の微量不純物を分析する方法。
- 有機溶媒が飽和脂肪族炭化水素類、不飽和脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類又はそれらの混合溶媒である請求項1又は2記載の微量不純物を分析する方法。
- キャリアガスの流速が0.4〜0.7L/min.である請求項1〜3のいずれか1項に記載の微量不純物を分析する方法。
- 請求項1記載の分析方法に用いるプラズマトーチであって、
プラズマガス管と、プラズマガス管の内側に配されたキャリアガス管と、プラズマガス管の外側に配された外管とにより構成された三重管構造を有し、キャリアガス管の先端部がプラズマガス管の先端部に対して後退しており、
プラズマガス管の内径をR(mm)、
プラズマガス管の先端部とキャリアガス管の先端部とのプラズマガス管が延びる方向における距離をL(mm)
とした場合において、
(L/R)×100
が20%〜40%であるプラズマトーチ。 - 有機金属化合物を不活性な有機溶媒で希釈した試料液体中の微量不純物分析のための請求項5記載のプラズマトーチの使用。
- 請求項1記載の分析方法によって、有機金属化合物の品質を管理する方法。
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