JP7177142B2 - InP量子ドットの製造方法 - Google Patents
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Description
カドミウムフリーの量子ドットの一つとしてInP(インジウムリン)が挙げられる。InPの製造においては、そのリン成分としてホスフィン、アミノホスフィン化合物、シリルホスフィン化合物等が原料として用いられることが多い(例えば、特許文献1~3)。
これらのうち、シリルホスフィン化合物を原料として用いる場合、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン等の三級ホスフィンを用いる方法がいくつか提案されている(例えば特許文献4~6)。
しかしながら、従来の三級シリルホスフィン化合物を用いたInP量子ドットの製造方法においては、得られるInP量子ドットの粒径分布が大きく、発光ピークの半値全幅(Full Width at Half Maximum、以下FWHMともいう)が大きい問題が存在した。
InPは、リン化インジウム(indium(III)phosphide)ともいい、化合物半導体である。InP量子ドットは、In及びPを含有し、量子閉じ込め効果(quantumconfinement effect)を有する半導体ナノ粒子を指す。量子閉じ込め効果とは、物質の大きさがボーア半径程度となると、その中の電子が自由に運動できなくなり、このような状態においては電子のエネルギーが任意でなく特定の値しか取り得なくなることである。量子ドット(半導体ナノ粒子)の粒径は、一般的に数nm~数十nmの範囲にある。本明細書において、InP量子ドットにおけるInPとはIn及びPを含むことを意味し、In及びPがモル比1:1であることまで要しない。InP量子ドットは量子閉じ込め効果を利用して単電子トランジスタ、テレポーテーション、レーザー、太陽電池、量子コンピュータなどへの応用が期待されている。また、InP量子ドットは、蛍光体として用いることが提案されており、バイオマーカー、発光ダイオードなどへ応用が提案されている。また、InP量子ドットは、In及びPからなる量子ドットである場合、UV-VISにおける極大吸収波長が450~550nmであることが好ましく、460~540nmであることがより好ましい。UV-VIS測定時におけるサンプル液中のIn量及びP量は、サンプル液100gに対して、リン原子及びインジウム原子でそれぞれ0.01mmol~1mmolの範囲であることが好ましく、0.02mmol~0.3mmolの範囲であることがより好ましい。
元素Mとしては、Be、Mg、Zn、B、Al、Ga、S、Se及びNの群から選ばれる少なくとも一種であることが、量子収率向上の観点から好ましい。元素Mを含むInP量子ドットの代表例としては、例えば、InGaP、InZnP、InAlP、InGaAlP、InNP等が挙げられる。
Rで表される炭素数6以上10以下のアリール基としては、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、iso-プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、iso-ブチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、トリメチルフェニル基等が挙げられる。
これらのアルキル基及びアリール基は1又は2以上の置換基を有していてもよく、アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基等が挙げられ、アリール基の置換基としては、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基等が挙げられる。アリール基がアルキル基やアルコキシ基で置換されていた場合、アリール基の炭素数に、これらアルキル基やアルコキシ基の炭素数を含めることとする。
例えば、更に式(1)のシリルホスフィン化合物は、式(3)で表される化合物の含有量が0.1モル%以下であることが好ましく、0.08モル%以下であることがより好ましく、0.05モル%以下であることが特に好ましい。
比誘電率が4以下である溶媒と、塩基性化合物と、シリル化剤と、ホスフィンとを混合してシリルホスフィン化合物を含む溶液を得る第一工程、シリルホスフィン化合物を含む溶液から溶媒を除去してシリルホスフィン化合物の濃縮液を得る第二工程、及び、シリルホスフィン化合物の濃縮液を蒸留することによりシリルホスフィン化合物を得る第三工程、を有するシリルホスフィン化合物の製造方法。
(Rは式(1)と同じであり、Xはフルオロスルホン酸基、フルオロアルカンスルホン酸基、アルカンスルホン酸基及び過塩素酸基から選ばれる少なくとも1種である。)
比誘電率とは、その物質の誘電率の真空の誘電率に対する比をいう。一般に溶媒の極性が大きくなるに従い比誘電率は大きくなる。本実施態様における溶媒の比誘電率として"化学便覧 基礎編 改訂5版"(社団法人日本化学会編、平成16年2月20日出版、II-620~II-622頁)記載の値を用いることができる。
これらの中でも、とりわけ、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、トルイジン、ピリジン及びピペリジンから選ばれる1種又は2種以上を用いると、効率的に反応が進む点から好ましい。
以上の第一工程によりシリルホスフィン化合物を含む溶液を得る。
具体的には、第一工程(好ましくは前記の熟成処理を含む工程)で得られた式(1)のシリルホスフィン化合物を含む溶液を静置することにより、式(1)のシリルホスフィン化合物を含む層と、HBA +X-を含む層とを分離させ、分液により後者を除去することで、HBA +X-を除去することができる。なお、静置時間は0.5時間以上48時間以下が好ましく、1時間以上24時間以下がより好ましい。分液は不活性雰囲気下で行われることが好ましい。
第二工程における溶媒の除去方法としては、式(1)のシリルホスフィン化合物を含む溶液を、目的とするシリルホスフィン化合物がほとんど残留する条件下に減圧下に加熱して溶媒を蒸発させる方法が挙げられる。この処理は例えばロータリーエバポレーター等、溶媒を除去するための任意の蒸留器で行うことができる。第二工程において式(1)のシリルホスフィン化合物を含む溶液を減圧下に加熱する際の液温は、効率的に溶媒除去する観点及び、シリルホスフィン化合物の分解や変質を防止する観点から、最高液温が20℃以上140℃以下であることが好ましく、25℃以上90℃以下であることがより好ましい。同様の観点から、減圧時の圧力(最低圧力)は、絶対圧基準で2kPa以上20kPa以下が好ましく、5kPa以上10kPa以下がより好ましい。濃縮は不活性雰囲気下で行われることが好ましい。
次いで、第二工程で得られた濃縮液を蒸留する第三工程を行う。蒸留の条件は、シリルホスフィン化合物が気化する条件であり、蒸留温度(塔頂温度)が50℃以上であることが、目的化合物の分離性に優れる点で好ましい。蒸留温度は150℃以下であることが、目的化合物の分解抑制や品質維持の点で好ましい。これらの点から、蒸留温度は、50℃以上150℃以下であることが好ましく、70℃以上120℃以下であることがより好ましい。
このような条件とするために、例えば、溶媒は、減圧下又は真空条件下で加熱しながら、脱気及び脱水した後に、窒素ガス雰囲気下、シリルホスフィン化合物と混合するとともに気密な容器に充填する。
これらの処理により、不純物が十分に低減されたシリルホスフィン化合物の分散液を容易に得ることができる。
シリルホスフィン化合物の分散液中、シリルホスフィン化合物の割合は、3質量%以上50質量%以下が好ましく、8質量%以上30質量%以下がより好ましい。
なお、上記製造方法を採用せずに、式(2)の化合物量が上記上限以下に低減した式(1)のシリルホスフィン化合物を入手してもよい。
以上の工程により、InP量子ドット材料を含む反応液が得られる。
被覆化合物原料としては、Zn等の金属の場合は、その有機カルボン酸塩、特に炭素数12以上18以下の長鎖脂肪酸塩を用いることが粒径制御や粒径分布制御、量子収率向上の点で好ましい。また、硫黄源としては、ドデカンチオール等の炭素数8以上18以下の長鎖アルカンチオールが好ましく挙げられ、セレン源としてはトリオクチルホスフィンセレニド等の炭素数4以上12以下のトリアルキルホスフィンセレニド化合物が挙げられる。これらの被覆化合物原料は、そのままInP量子ドット材料を含む反応液に混合してもよく、予め溶媒に溶解してからInP量子ドット材料を含む反応液と混合してもよい。予め溶媒に溶解してから混合する場合、この溶媒としては、リン源、インジウム源及び元素M源の反応に用いる溶媒として上記で挙げたものと同様のものを用いることができる。被覆化合物原料を溶解させる溶媒と、InP量子ドット材料を含む反応液中の溶媒は、同じものを用いてもよく、異なっていてもよい。
被覆化合物原料の使用量は、例えば、被覆化合物として亜鉛等の金属を用いる場合、InP量子ドット材料を含む反応液中のインジウム1molに対して0.5~50molが好ましく、1~10molがより好ましい。硫黄源やセレン源としては、上記の金属量に対応する量を使用することが好ましい。
反応容器に脱気及び脱水済みのトルエン(質量基準で水分量20ppm以下)189.8kgを仕込んだのち、トリエチルアミン82kgとトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル149.5kgを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、液温を30℃に調整した。
ホスフィンガスを反応容器内に3時間かけて7.4kg仕込み、液温を35℃に調整した後、4時間の熟成を行った。
得られた反応溶液424.9kgは二層に分離しており、上層を用いるために12時間静置後、下層を分液した。上層は、低沸分を取り除くために濃縮缶により、減圧下、最終的な圧力が絶対圧基準で6.3KPa、液温が70℃となるまで濃縮して60.1kgの濃縮液を得た。第二工程後のシリルホスフィン化合物を含む溶液におけるシリルホスフィン化合物の量は、第二工程の開始時点の前記溶液におけるシリルホスフィン化合物の量に対する減少割合が3.2質量%であった。
得られた濃縮液を0.5kPaの減圧下、塔頂温度85℃で蒸留し、初留分を除去後、本留分を49.3kg回収し、回収物を得た。第三工程後、シリルホスフィン化合物を気化した後の蒸留残液におけるシリルホスフィン化合物の量は、第三工程の開始時点のシリルホスフィン化合物を含む溶液におけるシリルホスフィン化合物の量に対する減少割合が93質量%であった。
下記条件の31P-NMRによる分析により、回収物(液体)がトリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMSP)であることを確認し、その純度、前記式(2)、(3)、(5)、(6)及び(7)のそれぞれで表される化合物(いずれもRはメチル)の含量を測定した。結果を下記表1に示す。
またガスクロマトグラフィー分析によりトリス(トリメチルシリル)ホスフィン中の式(4)で表される化合物(Rはメチル)の含量を測定した。結果を下記表1に示す。
31P-NMRの測定条件:
測定する試料を重ベンゼンに20質量%となるように溶解した。得られた溶液を、日本電子株式会社製JNM-ECA500で下記条件にて測定した。
観測周波数:202.4MHz、パルス:45度、捕捉時間:5秒、積算回数:256回、測定温度:22℃、標準物質:85質量%リン酸
式(1)、式(2)、(3)、(5)、(6)及び(7)のそれぞれで表される化合物に由来するピーク面積を求めた。式(1)、(2)、(3)、(5)、(6)及び(7)の化合物の量は、検出したピーク総面積を100%として、それに対するピークの比率を計算する面積百分率法により求めた。
ガスクロマトグラフィーの測定条件:
測定試料を不活性ガス雰囲気下でセプタムキャップ付きの容器に小分けし、シリンジで測定試料0.2μLをガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、「GC-2010」)に打ち込み、下記条件にて測定した。
・カラム:Agilent J&W社製、「DB1」(内径0.25mm、長さ30m)
・インジェクション温度:250℃、ディテクタ温度:300℃
・検出器:FID、キャリアガス:He(100kPa圧)
・スプリット比:1:100
・昇温条件:50℃×3分間維持→昇温速度10℃/分で200℃まで昇温→昇温速度50℃/分で300℃まで昇温→300℃×10分間維持
式(4)の化合物の量は、検出したピーク総面積を100%として、それに対するピークの比率を計算する面積百分率法により求めた。
反応容器に脱気及び脱水済みのジエチルエーテル(質量基準で水分量10ppm以下)156.9gを仕込んだのち、トリエチルアミン82gとトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル149.5gを仕込み、反応容器内を窒素置換した後、液温を30℃に調整した。
ホスフィンガスを反応容器内に3時間かけて7.4g仕込み、液温を35℃に調整した後、4時間の熟成を行った。
得られた反応溶液424.9gは二層に分離しており、上層を用いるために12時間静置後、下層を分液した。上層は、低沸分を取り除くために濃縮缶により、減圧下、最終的な圧力が2.2kPa、液温が70℃となるまで濃縮して59.1gの濃縮液を得た。
得られた濃縮液を0.5kPaの減圧下、塔頂温度85℃で蒸留し、初留分を除去後、本留分を49.9g回収した。
前記条件の31P-NMRによる分析により、回収物におけるトリス(トリメチルシリル)ホスフィンの純度を測定した。結果を表1に示す。また製造例1と同様に式(2)~(7)の化合物の含量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例1)
(InP量子ドットの合成)
ミリスチン酸インジウム0.375mmolを、1-オクタデセン17.8gに加えて、減圧下、撹拌しながら120℃に加熱して90分間脱気した。脱気後、70℃まで冷却してミリスチン酸インジウムの1-オクタデセン溶液を得た。これとは別に、製造例1で得られたトリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMSP)0.25mmolを、1-オクタデセン0.6gに加えてTMSPの1-オクタデセン溶液を得た。得られたTMSPの1-オクタデセン溶液を70℃まで加熱した後、ミリスチン酸インジウムの1-オクタデセン溶液に加えて、撹拌しながら300℃まで昇温後2分間保持して、InP量子ドットを含む赤色の液を得た。
(InP/ZnSe/ZnS量子ドットの合成)
ミリスチン酸亜鉛4.5mmolを、1-オクタデセン18.6gに加えて減圧下、撹拌しながら120℃に加熱して90分間脱気して、ミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液を得た。得られたミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液のうち、2.2mlを260℃に加熱してInP量子ドットを含む液に加え、更に加熱して300℃にて10分間撹拌した後、トリオクチルホスフィンセレニド0.75mmolを加えて、撹拌しながら300℃で15分間保持した。得られた液に対し、再度、上記のミリスチン酸亜鉛溶液2.2mlを260℃に加熱して添加し、300℃にて10分間撹拌した後、トリオクチルホスフィンセレニド0.75mmolを加えて、撹拌しながら300℃で15分保持した。得られた液に、ミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液15.4mlを300℃に加熱して加え、210℃まで冷却した後、30分間撹拌した。さらに、得られた液に1-ドデカンチオール12.5mmolを加えて、260℃に昇温後撹拌しながら2時間保持した。室温まで冷却後、遠心分離により不純物を除去して、上澄み液にコアにInP、シェルにZnSe及びZnSとなるInP/ZnSe/ZnS量子ドットの1-オクタデセン分散液を得た。この分散液にアセトンを加えて撹拌後、遠心分離によりInP/ZnSe/ZnS量子ドットを沈殿物として回収した。回収したInP/ZnSe/ZnS量子ドットを、ヘキサンに懸濁して精製InP/ZnSe/ZnS量子ドットのヘキサン分散液を得た。得られたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM(Full Width at Half Maximum)値を以下の方法で測定した。その結果を表2に示す。
分光蛍光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製、F-7000)にて、励起波長450nm、測定波長400~800nmの測定条件で、得られたヘキサン分散液を測定した。
比較製造例1で得られたTMSPを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で行った。得られたInP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値を測定した。その結果を表2に示す。
(InZnP量子ドットの合成)
ミリスチン酸インジウム2.4mmolと、ミリスチン酸亜鉛1.6mmolを、1-オクタデセン63.4gに加えて、減圧下、撹拌しながら110℃に加熱して90分間脱気した。脱気後、300℃に昇温して、ミリスチン酸インジウムとミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液を得た。これとは別に、製造例1で得られたトリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMSP)1.0mmolを、1-オクタデセン2.25gに加えてTMSPの1-オクタデセン溶液を得た。得られたTMSPの1-オクタデセン溶液(室温)を、ミリスチン酸インジウムとミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液に加えて、撹拌しながら300℃で30分間保持して、InZnP量子ドットを含む濃赤色の液を得た。
(InZnP/ZnSe/ZnS量子ドットの合成)
InZnP量子ドットを含む液を220℃として、トリオクチルホスフィンセレニド22.0mmolを加えた後、260℃に加熱した。これとは別に、ミリスチン酸亜鉛12.0mmolを、1-オクタデセン49.2gに加えてミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液を得た。得られたミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液の4分の1と、ドデカンチオール30.0mmolを、InZnP量子ドットを含む液に加えて撹拌しながら260℃で1時間保持した。得られた液に対し、上記のミリスチン酸亜鉛溶液の4分の1及びドデカンチオール30.0mmolを添加し、撹拌しながら260℃で1時間保持する操作を更に3回繰り返して室温まで冷却した。その後、遠心分離により不純物を除去して、上澄み液にコアにInZnP、シェルにZnSe/ZnSとなるInZnP/ZnSe/ZnS量子ドットの1-オクタデセン分散液を得た。この分散液にアセトンを加えて撹拌後、遠心分離によりInZnP/ZnSe/ZnS量子ドットを沈殿物として回収した。回収したInZnP/ZnSe/ZnS量子ドットを、ヘキサンに懸濁して精製InZnP/ZnSe/ZnS量子ドットのヘキサン分散液を得た。得られたInZnP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値を測定した。その結果を表2に示す。
比較製造例1で得られたTMSPを用いたこと以外は、実施例2と同じ方法で行った。得られたInZnP/ZnSe/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値を測定した。その結果を表2に示す。
(InZnP/GaP量子ドットの合成)
ミリスチン酸インジウム1.5mmolと、ミリスチン酸亜鉛3.0mmolを、1-オクタデセン69.0gに加えて、減圧下、撹拌しながら110℃に加熱して90分間脱気した。脱気後、塩化ガリウム0.4mmolを加えた後、300℃に昇温して、ミリスチン酸インジウムと、ミリスチン酸亜鉛と、塩化ガリウムの1-オクタデセン溶液を得た。これとは別に、製造例1で得られたトリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMSP)1.0mmolを、1-オクタデセン2.25gに加えてTMSPの1-オクタデセン溶液を得た。得られたTMSPの1-オクタデセン溶液を、ミリスチン酸インジウムと、ミリスチン酸亜鉛と、塩化ガリウムの1-オクタデセン溶液に加えて、撹拌しながら300℃で20分間保持して、InZnP/GaP量子ドットを含む橙色の液を得た。
(InZnP/GaP/ZnS量子ドットの合成)
ミリスチン酸亜鉛9.0mmolを、1-オクタデセン50.5gに加えて減圧下、撹拌しながら120℃に加熱して90分間脱気して、ミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液を得た。得られたミリスチン酸亜鉛の1-オクタデセン溶液16ml(120℃)と、ドデカンチオール4.0mmol(室温)を、230℃としたInZnP/GaP量子ドットを含む液に加えて、撹拌しながら230℃で1時間保持した。得られた液に対し、上記のミリスチン酸亜鉛溶液16ml及びドデカンチオール4.0mmolを添加し、撹拌しながら230℃で1時間保持する操作を更に4回繰り返して室温まで冷却後、遠心分離により不純物を除去して、上澄み液にコアにInZnP/GaP、シェルにZnSとなるInZnP/GaP/ZnS量子ドットの1-オクタデセン分散液を得た。この分散液にアセトンを加えて撹拌後、遠心分離によりInZnP/GaP/ZnS量子ドットを沈殿物として回収した。回収したInZnP/GaP/ZnS量子ドットを、ヘキサンに懸濁して精製InZnP/GaP/ZnS量子ドットのヘキサン分散液を得た。得られたInZnP/GaP/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値を測定した。その結果を表2に示す。
比較製造例1で得られたTMSPを用いたこと以外は、実施例3と同じ方法で行った。得られたInZnP/GaP/ZnS量子ドットの極大蛍光波長、FWHM値を測定した。その結果を表2に示す。
Claims (5)
- リン源とインジウム源からInP量子ドットを製造する方法であって、前記リン源として、下記一般式(2)で表される化合物の含有量が0.3モル%以下であり、下記一般式(3)で表される化合物の含有量が0.1モル%以下であり、下記一般式(4)で表される化合物の含有量が0.5モル%以下であり、下記一般式(5)で表される化合物の含有量が0.05モル%以下であり、下記一般式(6)で表される化合物の含有量が0.05モル%以下であり、下記一般式(7)で表される化合物の含有量が0.2モル%以下であり、下記一般式(1)で表されるシリルホスフィン化合物を99.0モル%以上含有する組成物を用い、前記インジウム源として、酢酸インジウム、ラウリル酸インジウム、ミリスチン酸インジウム、パルミチン酸インジウム、ステアリン酸インジウム及びオレイン酸インジウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いる、InP量子ドットの製造方法。
(Rはそれぞれ独立に、炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数6以上10以下のアリール基である。)
(Rは一般式(1)と同じである。)
(Rは一般式(1)と同じである。)
(Rは一般式(1)と同じである。)
(Rは一般式(1)と同じである。)
(Rは一般式(1)と同じである。)
(Rは一般式(1)と同じである。) - リン源とインジウム源との反応を250℃以上350℃以下の温度で行う請求項1に記載のInP量子ドットの製造方法。
- リン源とインジウム源との反応を、有機溶媒中で行う請求項1又は2に記載のInP量子ドットの製造方法。
- リン源とインジウム源以外の元素源M(Mは、Be、Mg、Zn、B、Al、Ga、S、Se及びNの群から選ばれる少なくとも一種)を加えて、InとPとMの複合量子ドットを得る請求項1~3の何れか一項に記載のInP量子ドットの製造方法。
- 請求項1~4の何れか一項に記載の製造方法で得られたInP量子ドットをコアとし、このコアにInP以外の被覆化合物を被覆させる、コアシェル構造の量子ドットの製造方法。
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