JP6393343B2 - ライトゴールド色を有する金属製ファスナー部材及びそれを備えたファスナー - Google Patents

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Description

本発明は金属製ファスナー部材に関する。また、本発明は当該金属製ファスナー部材を備えたファスナーに関する。
スライドファスナーは各種物品の開閉具として周知の部品である。スライドファスナーの噛合部品であるエレメント及び止具は金属を材料として製造可能であることが知られており、特に銅合金を材料としたものは多用されている。銅合金製のファスナー部材に対するこれまでの要求特性は、白色性が高いこと、平滑性に優れていること、鍍金性が高いこと、鋳造性が高いことなどである。ファスナー用の銅合金材料としては、洋白等の銅−ニッケル−亜鉛合金、丹銅及び真鍮等の銅−亜鉛合金などがよく知られており、これらの銅合金を中心に種々の改良提案がなされている。
特開平10−18046号公報(特許文献1)においては、外面の平滑性に優れた高光沢の銅又は銅合金製務歯を有するスライドファスナー又はそのチェーンを製造できる方法を提供するため、Cu:60〜100%、Zn:0〜35%、Ni:0〜15%、及び不可避的不純物の組成を有する銅又は銅合金からなるエレメントに対して、過酸化水素、硫酸、リン酸、界面活性剤及び脂肪族アルコールを含有する酸処理液に浸漬し、エレメント外面を酸処理して平滑化することが記載されている。
特開2003−183750号公報(特許文献2)においては、白色性に優れ、ニッケルアレルギー問題がなく、連続鋳造性及び鋳造品質に優れたスライドファスナー用銅合金を提供することを目的として、一般式:CuaZnbMnc(但し、a、b、cは、質量%で、aは残部、10≦b≦20、8≦c≦15、不可避的元素を含み得る)で示される組成をもつ銅合金を提案している。
特開2003−180410号公報(特許文献3)においては、銅合金製エレメント部材に、電解鍍金と無電解鍍金とを組み合わせて行うことにより表面白色度、外観上の装飾性、光沢性の向上を図っている。使用する銅合金としては、丹銅、真鍮及び一般式:CuaZnbMncMdXe(但し、MはAl及びSnから選ばれる少なくとも一種の元素、XはSi、Ti及びCrから選ばれる少なくとも一種の元素、a,b,c,d及びeは質量%で、aは残部、0≦b≦22、7≦c≦20、0≦d≦5、0≦e≦0.3で、不可避的元素を含み得る。)で表される合金が記載されている。
特開平10−18046号公報 特開2003−183750号公報 特開2003−180410号公報
近年、ユーザーの趣向性が多様化するに伴い、金属製のファスナー部材に求められる特性も多様化しつつある中で、従来検討されてきた材料では対応できない問題が生じてきた。例えば、これまでは指輪やネックレスなどの装飾品の多くが白色系の色調を有するものが主流であるため、白色性の高い材料が望まれていたが、最近では特定の色彩をもつファスナー部材に対するニーズも増加すると予想される。例えば最近の高級鞄にはゴールド色(イエローゴールド色、ピンクゴールド色)を有する付属金具が使用される場合が多いため、同鞄に使用されるファスナーにも付属金具と同色のゴールド色を有する金属製ファスナーを使用することによりデザインの統一性を図ることができるので、そのような需要が増加することが考えられる。色彩の制御は鍍金皮膜の色彩を調整することにより行うことも可能であるが、スライドファスナーにおいては、ファスナーを操作するときに部材同士が摩擦するため、鍍金皮膜が剥離する可能性がある。鍍金皮膜が剥離すると素材の色が露出するため、意匠性を損なうという問題がある。また、変色しやすい材料だと、経年使用による変色により美観を維持できなくなる。また、鍍金液によっては高価格になってしまうものもある。一方で、実用性の観点からは、所望の色彩をもつというのみならず、ファスナー部材として実用性の高い強度及び加工性を有していることも望まれる。
本発明は上記事情を背景に創作されたものであり、ライトゴールド色という特定の色彩を有しつつ、実用性に耐える強度、耐変色性及び加工性をも兼ね備えた金属製ファスナー部材を提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような金属製ファスナー部材を備えたファスナーを提供することを別の課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、Zn及びNiを所定量配合させた銅合金が、ゴールドに類似した高級感のある色調(以下、本明細書においては「ライトゴールド色」と称する。)を発現すると共に、ファスナー部材として実用性の高い強度、耐変色性及び加工性を示すことを見出した。本発明は当該知見を基礎として完成したものである。
本発明は第一の側面において、Znを1〜30質量%及びNiを1〜11質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材である。
本発明の第一の側面に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<10、10<b*<19を満たす。
本発明は第二の側面において、Znを14〜30質量%及びNiを4〜11質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材である。
本発明の第二の側面に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<2、12<b*<19を満たす。
本発明は第三の側面において、Znを23〜27質量%及びNiを4〜8質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材である。
本発明の第三の側面に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<0、15<b*<19を満たす。
本発明は第四の側面において、Znを2〜14質量%及びNiを2〜10質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材である。
本発明の第四の側面に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、1<a*<10、10<b*<17を満たす。
本発明は第五の側面において、Znを9〜13質量%及びNiを3〜7質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材である。
本発明の第五の側面に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、1<a*<3、12<b*<15.5を満たす。
本発明は第六の側面において、Znを2〜6質量%及びNiを3〜10質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材である。
本発明の第六の側面に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、3<a*<10、10<b*<17を満たす。
本発明の第一から第六の側面に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、前記銅合金が更に、Mnを最大で0.5質量%含有する。
本発明の第一から第六の側面に係る金属製ファスナー部材は別の一実施形態において、表面の算術平均粗さRaが0.1μm以下である。
本発明の第一から第六の側面に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、ZnとNiの含有量の合計が2質量%以上36質量%以下である。
本発明の第一から第六の側面に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、母材上に鍍金皮膜を有する。
本発明の第一から第六の側面に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、前記鍍金皮膜がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<10、10<b*<19を満たす。
本発明の第一から第六の側面に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、スライドファスナー用のエレメントである。
本発明は第七の側面において、本発明に係る金属製ファスナー部材を備えるスライドファスナーである。
本発明に係る金属製ファスナー部材は、母材自体が美観に優れたライトゴールド色を示す。このため、切断加工を行った後の切断面が非切断面と同色を有するため、切断加工により意匠性を損なうことがない。また、剥離によって意匠性を損なうおそれのある鍍金処理を行う必要がなくなる。鍍金を施さなくてもCuを主成分とした比較的安価な材料でゴールド色を表現できるため、高級感のあるファスナー部材をユーザーに対して手頃な価格で提供できるようになる。更に、本発明に係る金属製ファスナー部材は、優れた強度、耐変色性及び加工性を兼ね備えた銅合金を母材としており、生産性及び耐用年数の観点からみて実用性が極めて高いといえる。
スライドファスナーの模式図である。 ファスナーテープに下止具、上止具及びエレメントを取り付ける仕方を説明する図である。
(組成)
本発明に係る金属製ファスナー部材では、所定の組成をもつ銅合金で母材を構成することにより、ゴールド色を発現することを狙いとしている。
本発明に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、Znを1〜30質量%及びNiを1〜11質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とする。当該銅合金は更にMnを最大で0.5質量%含有することもできる。銅合金の色調は原則的に組成によって定まるところ、当該組成をもつ銅合金は、JIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<10、10<b*<19を満たす色調を有することができる。なお、a*はマゼンタ−緑系の色調(+マゼンタ寄り、−は緑寄り)を示す値であり、b*は黄−青系の色調(+は黄寄り、−は青寄り)を示す値である。
本発明に係る金属製ファスナー部材は別の一実施形態において、Znを14〜30質量%及びNiを4〜11質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とする。当該銅合金は更にMnを最大で0.5質量%含有することができる。当該組成をもつ銅合金は、JIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<2、12<b*<19を満たす色調を有することができる。すなわち、当該組成範囲においては、黄味が比較的強調されたライトゴールド色(イエローゴールド色)を得ることができる。また、本発明に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、Znを23〜27質量%及びNiを4〜8質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とする。当該組成をもつ銅合金は、JIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<0、15<b*<19を満たす色調を有することができる。当該組成を採用することで、ライトゴールドの色調のみならず、材料の強度及び加工性のバランスに優れたファスナー部材が得られる。
本発明に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、Znを2〜14質量%及びNiを2〜10質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とする。当該銅合金は更にMnを最大で0.5質量%含有することができる。当該組成をもつ銅合金は、JIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、1<a*<10、10<b*<17を満たす色調を有することができる。すなわち、当該組成範囲においては、赤味が比較的強調されたライトゴールド色(ピンク又はオレンジゴールド色)を得ることができる。
本発明に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、Znを9〜13質量%及びNiを3〜7質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とする。当該銅合金は更にMnを最大で0.5質量%含有することができる。当該組成をもつ銅合金は、JIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、1<a*<3、12<b*<15.5を満たす色調を有することができる。すなわち、当該組成範囲においては、オレンジ色がより強調されたライトゴールド色(オレンジゴールド色)を得ることができる。
本発明に係る金属製ファスナー部材は更に別の一実施形態において、Znを2〜6質量%及びNiを3〜10質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とする。当該銅合金は更にMnを最大で0.5質量%含有することができる。当該組成をもつ銅合金は、JIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、3<a*<10、10<b*<17を満たす色調を有することができる。すなわち、当該組成範囲においては、ピンク色がより強調されたライトゴールド色(ピンクゴールド色)を得ることができる。
ファスナー部材を提供するという観点からは、色調のみならず、材料の強度や加工性も重要である。従って、実用性の高いファスナー部材を提供する上では、色調に加えて、各合金元素の特性を把握し、強度や加工性を考慮して合金組成を調節することが望ましい。
Znは銅への添加によりb*値よりa*値をより変化させる効果があり、Cuの色調を黄色系の色調へと変化させる。更に、Znは固溶強化により合金の機械的性質及び加工硬化特性を向上させるという効果、溶解鋳造における脱酸効果及びファスナー部材の価格を低下させるという効果がある。Znの含有量を増やすことで、コストダウンを図ることができ、高い強度を得ることができるようになる。また、溶湯の耐酸化性及び鋳造性も向上するという利点も得られる。但し、Znの含有量は、過剰になると冷間加工性を損なう。このような観点からみて、イエローゴールド色を呈する範囲においてはZnの含有量は15質量%以上であることが好ましく、19質量%以上であることがより好ましく、23質量%以上であることが更により好ましく、そして、30質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることが更により好ましい。また、オレンジゴールド色を呈する範囲においてはZnの含有量は9質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、10.5質量%以上であることが更により好ましく、そして、12.5質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、11.5質量%以下であることが更により好ましい。また、ピンクゴールド色を呈する範囲においてはZnの含有量は2.5質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、3.5質量%以上であることが更により好ましく、そして、5.5質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、4.5質量%以下であることが更により好ましい。
Niは色調の調整に重要な役割を果たす。NiはCuの色調を白色系に変化させる効果を有している。Niは酸化されにくいため、耐変色性に優れるライトゴールド色を得る観点でも有用な元素である。このような観点からみて、イエローゴールド色を呈する範囲においてはNiの含有量は4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることが更により好ましく、そして、11質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることが更により好ましい。また、オレンジゴールド色を呈する範囲においてはNiの含有量は3.5質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、4.5質量%以上であることが更により好ましく、そして、6.5質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましく、5.5質量%以下であることが更により好ましい。また、ピンクゴールド色を呈する範囲においてはNiの含有量は3.5質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、4.5質量%以上であることが更により好ましく、そして、9質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更により好ましい。
MnはNiと同様にCuの色調を白色系に変化させる効果がある。MnはNiに比べて酸化されやすく、耐変色性を低下させることから積極的に添加すべき元素ではないが、固溶強化により銅合金の機械的特性を向上させるという効果も得られ、また、溶解時の溶湯中の脱酸効果も有することから、0.5質量%までの含有量であれば許容される。Mnの含有量は好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、更により好ましくは0.1質量%以下である。
不可避的不純物というのは原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするもので、本来は不要なものであるが、微量であり、特性に影響を及ぼさないため許容されている不純物のことである。本発明において、不可避的不純物として許容される各不純物元素の含有量は一般に0.1質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以下である。
(強度と加工性)
本発明に係る金属製ファスナー部材は一実施形態において、ビッカース硬度がHv120以上220未満である。この範囲のビッカース硬度は、成形金型の寿命を確保しながら、金属製ファスナーのエレメントとして機能するのに十分な強度が得られるという点で好ましい。また、金属製ファスナーのエレメントを製造する過程では、後述するY字状の連続異形線を作製するが、金属製ファスナー部材のビッカース硬度が上記範囲にある場合、このY字状の連続異形線の横断面のビッカース硬度が平均でHv120以上220未満であるのが通常である。本発明においては、エレメントのような最終部品の形態にあるものの他、Y字状の連続異形線も金属製ファスナー部材に包含することとする。
金属製ファスナーのエレメントは、銅合金からなる丸線を冷間加工することにより、その形状が付与されている。冷間加工でエレメント形状が付与される際に、銅合金からなる丸線に加工歪が導入されて、加工硬化により材料強度が上昇し、エレメントの強度を得ることができる。エレメントの強度と加工性は、(1)銅合金からなる丸線に導入される加工歪、(2)冷間加工前の銅合金からなる丸線の結晶粒径、(3)ZnとNiの添加量によって変化する。そのため、これらの因子はエレメントの強度と加工性を得るために重要である。
銅合金からなる丸線に導入される加工歪が少なすぎると加工硬化の割合が小さくなってしまい、エレメント強度を得ることができない。逆に、加工歪が多すぎると加工性が劣ってしまい成型金型の寿命が低下し、場合によっては加工限界によりエレメントに割れが発生し、金属製ファスナーのエレメントとしての機能を損なってしまう。
最終熱処理後(エレメントの場合は、冷間圧延によるY字状の連続異形線を作製する直前の熱処理後)の銅合金からなる丸線の結晶粒径が小さすぎるとその後の冷間加工において加工硬化しやすくなり、加工性が劣ってしまい成型金型の寿命が低下し、場合によっては加工限界によりエレメントに割れが発生し、金属製ファスナーとしての機能を損なってしまう。逆に最終冷間加工前の銅合金からなる丸線の結晶粒径が大きすぎるとエレメント表面に結晶粒径による凹凸が発生してしまい、金属製ファスナーの見栄えが損なってしまう。結晶粒径は最終熱処理(再結晶焼鈍)の温度条件や時間条件によって調整可能である。最終熱処理を高温側や長時間側で行うと、結晶粒径が大きくなりやすく、熱処理を低温側や短時間側で行うと結晶粒径が小さくなりやすい。最終熱処理後の結晶粒径は好ましくは1μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、更により好ましくは30μm以上である。また、最終熱処理後の好適な結晶粒径は200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、90μm以下が更により好ましい。
なお、ここでの結晶粒径の測定方法はJIS H 0501:1986(伸銅品結晶粒径測定法)に基づく“比較法”を採用する。
ZnとNiの添加量の合計が2質量%未満であると冷間加工で圧下率70%以上の加工歪を付与してもビッカース硬度がHv120に達しないため、高いエレメント強度を得ることができない。そのため、ZnとNiの含有量の合計は2質量%以上とすることが好ましく、10質量%超とすることがより好ましい。一方、ZnとNiの添加量の合計が41質量%超になると、冷間加工で圧下率で70%以上の加工歪を付与すると局所的にビッカース硬度がHv220以上となってしまい、加工応力が増大し成型時に使用する金型寿命が低下しまい、加工性が劣る。そのため、ZnとNiの含有量の合計は41質量%以下とすることが好ましく、36質量%以下とすることがより好ましく、34.5質量%以下とすることが更により好ましい。
上記のような強度を発揮するファスナー部材を作製する上では、銅合金に導入される加工歪は圧下率で70%以上必要であり、好ましくは80%以上が最適である。当該圧下率はファスナー部材の最終圧延時の圧下率であり、例えば後述する実施例のように、300℃〜650℃の温度範囲で1h〜6hの熱処理を施した後、冷間圧延によるY字状の連続異形線を加工する際の圧下率のことである。
(表面処理)
本発明に係る金属製ファスナー部材には必要に応じて、各種の表面処理を行うことができる。例えば、平滑化処理、防錆処理、クリア塗装処理、及び鍍金処理などを行うことができる。
ファスナー部材を製造する過程で、切断、パンチ、ダイ等の機械加工を経ることで、外面に凹凸状の切断痕跡が残存するが、平滑化処理することによってこれを平滑化させることができる。平滑化処理は、金属製ファスナー部材の手触りを滑らかにし、スライドファスナー部材とした場合にはスライダーの摺動性をよくするという役割も果たす。光沢を高めて美観を向上させる効果もある。平滑化処理としては化学研磨処理が挙げられ、例えば過酸化水素及び硫酸を含有する化学研磨液を用いることができる。化学研磨処理の前後には脱脂及び/又は酸洗を適宜行ってもよい。
好ましい平滑化処理は、金属製ファスナー部材を、過酸化水素、硫酸、リン酸、界面活性剤及び脂肪族アルコールを含有する酸処理液に浸漬し、その後、水洗及び乾燥する方法である。特に、スライドファスナーエレメントなどの金属製ファスナー部材を、脱脂工程を経ることなくそのまま、過酸化水素:50〜250g/L、硫酸:10〜150g/L、リン酸:0.5〜5g/L、界面活性剤:0.01〜2g/L及び脂肪族アルコール:1〜100g/Lを含有する酸性水溶液からなる酸処理液に浸漬する方法がより好ましい。当該方法によれば、酸処理液中に浸漬するという単一の工程により、極めて短時間に平滑化処理可能である。当該方法は特開平10−018046号公報に詳細が記載されており、当該公報の全文を本明細書に援用する。
平滑化処理することで、金属製ファスナー部材の表面の算術平均粗さRaを0.1μm以下とすることができ、好ましくは0.01μm以下とすることができ、例えば0.001〜0.1μmとすることができる。本発明においては、表面の算術平均粗さRaはJIS B0601(2001)に準拠して接触式粗さ計で測定する。
平滑化処理後は、更に防錆処理(防錆工程+水洗工程+乾燥工程)を行うことが好ましい。また、防錆処理後に又は防錆処理無しで、更にクリア塗装処理(塗装工程+乾燥工程)や鍍金処理を行い、耐食性、耐候性等を向上させることができる。
防錆処理は、前記酸処理によって平滑にされた金属製ファスナー部材表面の再度の酸化物生成を防ぎ、後にクリア塗装や鍍金処理を行う場合の塗膜の密着性を良くするための工程である。防錆処理は平滑処理後、直ちにクリア塗装又は鍍金処理等の次工程を行う場合には行う必要が無く、また、その他の処理の場合でも、わずかの酸化物生成が問題にならない場合には省くことができる。
防錆工程は、公知のベンゾトリアゾール系水溶液、リン酸エステル系水溶液、又はその他の防錆液を用いて浸漬又は噴霧により行うことができる。金属製ファスナー部材の濡れ性を良くするために、界面活性剤を添加してもよい。防錆工程後の水洗工程は、防錆剤がファスナーテープに悪影響を及ぼさない場合、省くことができる。乾燥工程は、熱風又はその他の熱源により、ファスナーテープの染色堅牢度に影響を与えない150℃以下の温度で行うことが好ましい。
クリア塗装処理により、金属製ファスナー部材の耐食性を高めることができる。クリア塗装処理は、例えば、金属製ファスナー部材表面にロールコーター又はその他の方法でクリア塗料を塗布した後、塗膜を乾燥することにより実施できる。
本発明に係る金属製ファスナー部材は母材自体がライトゴールド色を示していることから、母材の色を活かす上では鍍金処理は不要であるが、耐食性向上や加飾の目的で鍍金処理を電気鍍金法(電気鍍金の前に無電解鍍金を行うことが好ましい。)の他、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の乾式鍍金等、種々の方法で行うことを妨げるものではない。
鍍金処理を母材と同色で行うと、鍍金皮膜が剥離した後も意匠性が維持できるというメリットが得られる。同色鍍金する場合、鍍金皮膜はJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<2、12<b*<19を満たすことが好ましい。また、母材のa*及びb*に対して、鍍金皮膜が±2以内のa*及びb*をそれぞれ有することがより好ましく、鍍金皮膜が±1以内のa*及びb*をそれぞれ有することが更により好ましい。同色鍍金は、鍍金皮膜の組成を母材の組成と実質的に同一にすることにより可能である。
最終工程として、摺動抵抗を軽くするためにワックス掛けをしても良い。この工程は、摺動抵抗が充分に軽い場合は、省いてもよい。
(スライドファスナー)
本発明に係る金属製ファスナー部材(エレメント、上止具及び下止具)を備えたスライドファスナーの例を図面に基づき具体的に説明する。図1は、スライドファスナーの模式図であり、図1に示すようにスライドファスナーは、一側端側に芯部2が形成された一対のファスナーテープ1とファスナーテープ1の芯部2に所定の間隔をおいてかしめ固定(装着)されたエレメント3と、エレメント3の上端及び下端でファスナーテープ1の芯部2にかしめ固定された上止具4及び下止具5と、対向する一対のエレメント3間に配され、エレメント3の噛合及び開離を行うための上下方向に摺動自在なスライダー6を備える。なお、一本のファスナーテープ1の芯部2にエレメント3が装着された状態のものをスライドファスナーストリンガーといい、一対のファスナーテープ1の芯部2に装着されたエレメント3が噛合状態となっているものをスライドファスナーチェーン7という。
また、図1に示すスライダー6は、図示されていないが断面矩形状の板状体からなる長尺体を多段階にてプレス加工を施し、所定間隔ごとに切断し、スライダー胴体を作製し、さらに必要に応じてスプリング及び引手を装着したものである。さらに、引手も断面矩形状の板状体から、所定形状ごとに打ち抜き、これをスライダー胴体にかしめ固定したものである。なお、下止具5は、蝶棒、箱棒、箱体からなる開離嵌挿具とし、スライダーの開離操作にて一対のスライドファスナーチェーンを分離できるようにしたものであっても構わない。
図2は、図1に示されるスライドファスナーのエレメント3、上止具4及び下止具5の製造方法及びファスナーテープ1の芯部2への取付けの仕方を示す図面である。図に示すようにエレメント3は、断面略Y字状からなる異形線8を所定寸法ごとに切断し、これをプレス成形することにより、係合頭部9を形成し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へ両脚部10をかしめることにより、装着される。
上止具4は、断面矩形状の矩形線11(平角線)を所定寸法ごとに切断し、曲げ加工により略断面コ字状に成形し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へかしめることにより、装着される。下止具5は、断面略X字状からなる異形線12を所定寸法ごとに切断し、その後、ファスナーテープ1の芯部2へかしめることにより、装着される。
なお、図においては、エレメント3、上下止具4、5が、同時にファスナーテープ1に装着されるようになっているが、実際は、ファスナーテープ1に連続的にエレメント3を取付け、まずファスナーチェーンを作製し、ファスナーチェーンの止具取付け領域のエレメント3を取り外し、この領域のエレメント3に近接して所定の上下止具4又は5を装着するものである。以上のようにして製造及び取付けを行うため、スライドファスナーの構成部材となるエレメント及び止具は、冷間加工性に優れた材料とする必要性がある。この点、本発明に係る金属製ファスナー部材は冷間加工性に優れており、例えば圧下率70%以上の加工が可能であるため、エレメントや上下止具の材料として好適である。
スライドファスナーは各種の物品に取着することができ、特に開閉具として機能する。スライドファスナーが取着される物品としては、特に制限はないが、例えば衣料品、鞄類、靴類及び雑貨品といった日用品の他、貯水タンク、漁網及び宇宙服といった産業用品が挙げられる。
以上、本発明に係る金属製ファスナー部材をスライドファスナー用のエレメントに適用した場合の実施形態について主に述べたが、本発明に係る金属製ファスナー部材はスライドファスナーに用途限定されるわけではない。スナップファスナーその他の金属製ファスナー用の部材としても適用可能である。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明及びその利点をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図しない。
<ファスナーチェーンの作製>
原材料として、Cu(純度99.99質量%以上)、Zn(純度99.9質量%以上)、Ni(純度99.9質量%以上)を使用して、表1に記載の試験番号に応じた各成分組成をもつようにこれら原材料を配合して連続鋳造装置内で溶解し、次いで連続鋳造により連続ワイヤを作製した。得られた連続ワイヤに減面率70%以上の伸線処理し、300℃〜650℃の温度範囲で1h〜6hの熱処理を施した。このときの各ワイヤの横断面の結晶粒径をJIS H 0501に基づく伸銅品結晶粒度試験方法で観察したところ、45〜60μmであった。その後、冷間圧延により圧下率70%以上の加工歪を付与して断面略Y字状の連続異形線を製造した。その後、切断、プレス、曲げ、かしめの各種冷間加工を施してYKK株式会社カタログ「FASTENING専科(2009年2月発行)」で規定する「5R」の大きさのエレメント形状とした後、これをポリエステル製ファスナーテープに装着してファスナーストリンガーを作成し、更に一対のファスナーストリガーの対向するエレメント同士を噛み合わせてファスナーチェーンを作製した。
<平滑化処理>
得られたファスナーチェーンに対して、30℃の酸処理液中に2分間浸漬して酸処理を行った。酸処理液としては、界面活性剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテルを1g/L、過酸化水素を80g/L、硫酸を20g/L、リン酸を0.5g/L、及びメチルアルコールを20g/L含有する酸性水溶液を使用した。次に、次工程での水洗洗浄を容易にするために、ファスナーテープに含まれた酸処理液を真空脱水により除去した。その後、水洗工程として、ファスナーチェーンに水を強力にスプレーした後、直ちに真空脱水し、続いて水に浸漬した後、直ちに真空脱水を行った。ファスナーテープに含まれた酸処理液を充分に除去するために、スプレー、脱水、浸漬、脱水からなる前記の水洗工程を3回行った。
<色調試験>
平滑化処理後のファスナーチェーンのエレメント表面に対して、ミノルタ(株)製の色彩色差計CR−300を用いて、0〜40℃、85%RH以下の条件で、JIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間におけるa*及びb*を求めた。光源はパルスキセノンランプを使用した。結果を表1に示す。色調は、−2<a*<10、10<b*<19を満たす場合を○とし、満たさない場合を×とした。
<硬度試験>
試験番号に応じた組成をもつ銅合金製の連続ワイヤを上記と同様の手順で作製後(伸線熱処理を含む)、エレメント成型に相当する圧下率70%の条件でY字状の連続異形線に加工したときの横断面のビッカース硬度(JIS 2244:2009に準拠)を複数個所で測定し、その平均値に基づいて1〜3段階で評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。2を○、3を◎とした。
1:平均ビッカース硬度がHv120未満
2:平均ビッカース硬度がHv120以上、Hv220未満
3:平均ビッカース硬度がHv220以上
<加工性試験>
試験番号に応じた組成をもつ銅合金製の連続ワイヤを上記と同様の手順で作製後、エレメント成型に相当する圧下率70%の条件で加工したときの加工性を1〜3段階で評価した。上記条件は、300℃〜650℃の温度範囲で1h〜6hの熱処理を施した後の冷間圧延によるY字状の連続異形線の製造を模擬した試験となる。熱処理によって再結晶するため歪みが一度キャンセルされるからである。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
(1)加工割れ
当該加工後にワイヤ側面に割れがないかを確認した。
(2)加工負荷
硬度が高くなると金型に負荷をかけるという観点から、上述したビッカース硬度の値を基に、圧下率70%の加工後のビッカース硬度が220Hv未満は○、220Hv以上は△とした。
<表面粗さ試験>
平滑化処理後のファスナーチェーンのエレメント表面の算術平均粗さRaをJIS B0601(2001)に準拠して接触式粗さ計で測定したところ、いずれも0.02〜0.06μmの範囲であった。
Figure 0006393343
<考察>
表1より、実施例1〜14においては、ライトゴールド色という特定の色彩を有しつつ、実用性に耐える強度及び加工性が得られた。また、データは掲載していないが、実施例1〜14に係るサンプルはNiの存在によって耐変色性についても優れていることが確認されている。一方、比較例1〜7においては、何れもライトゴールド色が得られなかった。更に、比較例1についてはZn及びNiの添加量が多すぎたことで硬くなりすぎ、比較例2についてはZn及びNiを添加しなかったことで強度が不足した。
1 ファスナーテープ
2 芯部
3 エレメント
4 上止具
5 下止具
6 スライダー
7 スライドファスナーチェーン
8 断面略Y字状の異形線
9 係合頭部
10 脚部
11 矩形線
12 断面略X字状の異形線

Claims (19)

  1. Znを1〜30質量%及びNiを1〜11質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材。
  2. 前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<10、10<b*<19を満たす請求項1に記載の金属製ファスナー部材。
  3. Znを14〜30質量%及びNiを4〜11質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材。
  4. 前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<2、12<b*<19を満たす請求項3に記載の金属製ファスナー部材。
  5. Znを23〜27質量%及びNiを4〜8質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材。
  6. 前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<0、15<b*<19を満たす請求項5に記載の金属製ファスナー部材。
  7. Znを2〜14質量%及びNiを2〜10質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材。
  8. 前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、1<a*<10、10<b*<17を満たす請求項7に記載の金属製ファスナー部材。
  9. Znを9〜13質量%及びNiを3〜7質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材。
  10. 前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、1<a*<3、12<b*<15.5を満たす請求項9に記載の金属製ファスナー部材。
  11. Znを2〜6質量%及びNiを3〜10質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成の銅合金を母材とし、ビッカース硬度がHv120以上Hv220未満の金属製ファスナー部材。
  12. 前記銅合金がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、3<a*<10、10<b*<17を満たす請求項11に記載の金属製ファスナー部材。
  13. 前記銅合金が更に、Mnを最大で0.質量%含有する請求項1〜12の何れか一項に記載の金属製ファスナー部材。
  14. 表面の算術平均粗さRaが0.1μm以下である請求項1〜13の何れか一項に記載の金属製ファスナー部材。
  15. ZnとNiの含有量の合計が2質量%以上36質量%以下である請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属製ファスナー部材。
  16. 母材上に鍍金皮膜を有する請求項1〜15のいずれか一項に記載の金属製ファスナー部材。
  17. 前記鍍金皮膜がJIS Z8781−4(2013)にて規定されるCIELAB色空間において、−2<a*<10、10<b*<19を満たす請求項16に記載の金属製ファスナー部材。
  18. スライドファスナー用のエレメントである請求項1〜17の何れか一項に記載の金属製ファスナー部材。
  19. 請求項1〜18の何れか一項に記載の金属製ファスナー部材を備えるスライドファスナー。
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