JP6391513B2 - 車両用シート用発泡成形体、車両用シート用ヘッドレスト及び車両用シート用アームレスト - Google Patents
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Description
従来、特許文献1により、ヘッドレスト等といった発泡成形体が知られている。この発泡成形体においては、ステー(すなわち支柱)を内蔵した表皮を成形型内に配置し、この表皮内に発泡樹脂原料を注入し、ステーを内蔵した状態(すなわちインサートした状態)で発泡樹脂原料を発泡及び硬化させることにより発泡成形体が形成される。
従来、特許文献2により、発泡原料を注入するためのスリット開口の線上にステー用孔が設けられた構造のヘッドレストが知られている。このヘッドレストで用いられる表皮は、発泡して所定形状になった発泡後樹脂を覆う本体部分と、その本体部分から張出す張出し部分である2枚重ね部分とを有している。表皮の本体部分と表皮の張出し部分との境界部分は直角状に縫い付けられていた。
従来、特許文献3により、発泡性の樹脂を用いたヘッドレストが開示されている。このヘッドレストにおいては、折返し用の一対の突出部によって開口を形成し、この開口を通して表皮内に発泡樹脂原料を注入することによってヘッドレストが形成される。このヘッドレストにおいても、表皮の突出部と表皮の本体部との境界部分は直角形状であった。
従来、特許文献4により、発泡性の樹脂を用いたヘッドレストが開示されている。このヘッドレストにおいては、開口部を備えた環状帯部が表皮の本体部から張出している。この環状帯部の開口部を通して発泡樹脂原料が表皮の内部に注入される。このヘッドレストにおいても、表皮の張出し部と表皮の本体部との境界部分は直角形状であった。
以下、本発明に係る車両用シート用発泡成形体をその一例であるヘッドレストを例に挙げて実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は本発明に係る車両用シート用発泡成形体の一実施形態である車両用シート用ヘッドレストを示している。このヘッドレスト1は、コ字形状又はU字形状である金属製のフレーム2と、フレーム2の周りに設けられた発泡後樹脂としてのパッド3と、パッド3の全体を覆っている表皮4とを有する。
図1のヘッドレスト1は、例えば図2に工程図として示す製造方法によって製造される。この製造方法は、表皮作成工程P1と、前処理工程(すなわち、表皮組立体の作成工程)P2と、表皮組立体の成形型へのセット工程P3と、ウレタン注入工程P4と、製品取出し工程P5とを有している。
表皮作成工程P1は、図1の表皮4を作成する工程である。具体的には、まず、図3に示すように、1枚の表皮素材からそれぞれの所定形状の正面表皮材4a、右側面表皮材4b、及び左側面表皮材4cを切り出す。図1のフレーム2を挿入するための孔であるフレーム挿入用孔7及び注入ノズル挿入用孔14も切り出される。
(1)図4(b)のa点から縫いを開始する。a点は、突片4d1,4d2の端縁上又はその近傍の点である。
(2)b点まで直線縫いJ1を行う。b点は、湾曲縫い線G3が始まる位置Hから張出し部9の根元開口Kまでの間の点である。
(3)b点からc点まで直線縫いJ2を行う。c点は、張出し部9を縫い合わせるための縫い線G2の開始点である。
(4)c点から縫い線G2に従った縫いを行う。縫い線G2はほぼ直線状の縫い線である。
(5)本体部8と張出し部9との境界部分Aにおいて縫い線G2に続いてd点まで曲線縫いG3を行う。d点は正面表皮材4aの縁端上又はその近傍の点である。
(6)なお、図4ではa点とc点を別々の点として描いているが、a点とc点を同じ点としても良い。
図2の前処理工程P2においては、図5の表皮4のフレーム挿入用孔7の一方に図1のフレーム2の支柱部2a又は支柱部2bを差し入れ、さらに図7に示すように連結部2cを表皮4の内部に挿入し、その後、支柱部2a又は2bをフレーム挿入用孔7の他方から抜き出して、2本の支柱部2a及び2bが表皮4の外部にあり連結部2cが表皮4の内部にある状態にする。その後、張出し部9の根元開口Kよりもわずかに長い長さを有すると共に、開口Kに挿入可能な薄い板厚の開口整形治具10(図5参照)を、図7の開口Kに挿入する。次に、注入ノズル12の先端を表皮4の内部へ挿入する。これにより、表皮組立体13が作成される。
次に、図2の成形型へのセット工程P3において、図8(a)に示すように、表皮組立体13を発泡成形型16のキャビティ内にセットする。そして次に、図8(b)に示すように、発泡成形型16を閉じる。キャビティは所望のヘッドレストの形状に合致した凹形状となっている。
次に、図2のウレタン注入工程P4において、図8(b)に示すように、ウレタン注入機のヘッド部17を成形型へ押し付け、さらに成形型内へウレタンを注入する。さらに、ウレタンの注入が完了した後、一定時間、常温で保持する。これにより、表皮4内でウレタンが発泡及び硬化し、成形型のキャビティの形状に一致したウレタン発泡体が形成される。このウレタン発泡体の形状が所望のヘッドレストの形状である。
次に、図2の製品取出し工程P5において、図8(b)の成形型16を開き、発泡後のウレタン樹脂を内蔵した表皮組立体13を取出し、さらに注入ノズル12及び開口整形治具10を抜き取ることにより、図1に示すようなヘッドレスト1の完成品が発泡成形体として得られる。このヘッドレスト1においては、表皮4の本体部8が発泡後樹脂であるウレタン発泡体のパッド3を覆っている。そして、表皮4の張出し部9が本体部8の内部へ向けて張出している。この張出し部9は図3に示した正面表皮材4aの2つの突片4d1及び4d2を縫い線G2によって縫い合わせることによって形成されている。この張出し部9は根元開口K及び先端開口Lを有しているが、パッド3が発泡する過程において、本体部8内の張出し部9は発泡するパッド3によって上下方向から押し付けられることにより、根元開口K及び先端開口Lが自動的に閉じられる。このため、根元開口K及び先端開口Lからウレタン樹脂が漏れ出ることはない。
図10、図11及び図12は本発明に係る発泡成形体の一例であるヘッドレストの第2の実施形態の主要部を示している。図10、図11及び図12は、それぞれ、第1の実施形態における図3、図4及び図5に対応している。本実施形態では、図4(b)に示した第1の実施形態における連結部20に改変を加えている。
(1)図11(b)のa点から縫いを開始する。a点は、突片4d1,4d2の端縁上又はその近傍の点である。
(2)b点を経由してc点まで直角縫いJ3を行う。直角縫いは厳密に直角(角度90°)で縫い方向を変える場合及びほぼ角度で角度を変える場合を含む意味である。b点は、曲線形状の縫い線G3が始まる位置Hから張出し部9の根元開口Kまでの間の点である。c点は、正面表皮材4aの縁端上又はその近傍の点である。
(3)次に、c点から縫い線G3に従った縫いを行う。縫い線G3は本体部8と張出し部9との境界部分Aで曲線形状を描いている。
(4)縫い線G3に引き続いてd点まで直線状の縫い線G2に従って縫いを行う。d点は、突片4d1,4d2の端縁上又はその近傍の点である。d点はa点と同じ点であっても良い。
図13は、本発明に係る車両用シート用発泡成形体の他の実施形態であるアームレストを示している。このアームレスト51は、発泡後樹脂としてのパッド53と、パッド53の全体を覆っている表皮54とを有する。符号56はカップホルダである。
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
Claims (7)
- 発泡して所定形状になった発泡後樹脂と、当該発泡後樹脂を覆っている表皮と、を有する車両用シート用発泡成形体において、
前記表皮は、前記発泡後樹脂を覆っている本体部と、当該本体部から張出している張出し部とを有しており、
前記本体部及び前記張出し部は互いに対向する又は隣接する表皮材を縫い合わせることによって形成されており、
前記本体部と前記張出し部との境界部分は曲線形状に縫い合わされており、
前記曲線形状の縫い線の外側の近傍に、互いに対向する表皮材を連結している連結部が設けられており、
前記連結部は前記曲線形状の縫い線に連続する縫い線によって形成されている
ことを特徴とする車両用シート用発泡成形体。 - 前記連結部は前記曲線形状の縫い線に連続する直線状の縫い線によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用シート用発泡成形体。
- 前記連結部は前記曲線形状の縫い線に連続する直角形状の縫い線によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用シート用発泡成形体。
- 前記連結部は、前記張出し部の開口に挿入される部材に接触する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の車両用シート用発泡成形体。
- 前記表皮は1層の柔軟な材料によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両用シート用発泡成形体。
- 発泡して所定形状になった発泡後樹脂と、当該発泡後樹脂を覆っている表皮と、を有しており、着座者の頭部を受ける車両用シート用ヘッドレストにおいて、
前記表皮は、前記発泡後樹脂を覆っている本体部と、当該本体部から張出している張出し部とを有しており、
前記本体部及び前記張出し部は互いに対向する又は隣接する表皮材を縫い合わせることによって形成されており、
前記本体部と前記張出し部との境界部分は曲線形状の縫い線によって縫い合わされており、
前記曲線形状の縫い線の外側の近傍に、互いに対向する表皮材を連結している連結部が設けられており、
前記連結部は前記曲線形状の縫い線に連続する縫い線によって形成されている
ことを特徴とする車両用シート用ヘッドレスト。 - 発泡して所定形状になった発泡後樹脂と、当該発泡後樹脂を覆っている表皮と、を有しており、着座者の腕を受ける車両用シート用アームレストにおいて、
前記表皮は、前記発泡後樹脂を覆っている本体部と、当該本体部から張出している張出し部とを有しており、
前記本体部及び前記張出し部は互いに対向する又は隣接する表皮材を縫い合わせることによって形成されており、
前記本体部と前記張出し部との境界部分は曲線形状の縫い線によって縫い合わされており、
前記曲線形状の縫い線の外側の近傍に、互いに対向する表皮材を連結している連結部が設けられており、
前記連結部は前記曲線形状の縫い線に連続する縫い線によって形成されている
ことを特徴とする車両用シート用アームレスト。
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