JP6388985B2 - 間質性膀胱炎の治療 - Google Patents

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Description

本発明は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)の治療または予防における抗NGF抗体の使用に関する。
間質性膀胱炎(IC)とは、骨盤痛などの疼痛、および尿意の回数/切迫の増加などの下部尿路症状(LUTS)の症状によって特徴づけられている、原因不明の慢性膀胱疾患である。より最近では、この用語は、ICと共に有痛性膀胱症候群(PBS)(MacDiarmid SAら、Rev Urol 2007、9(1):9〜16)または膀胱痛症候群(BPS)(van der Merveら、European Urology 53(2008)60〜67が含まれるように、すなわち、この症状の複合を総称するためにIC/PBS/BPSと発展している。
IC/PBS/BPSの有病率は、67〜230人/100,000人の女性が臨床的に確認された疾患に罹患しているとして変動するが、数値は、一般的には子宮内膜症、再発性尿路感染症、過活動膀胱または外陰部痛としての過小診断または誤診断が原因で、これよりも高い可能性がある(Forrest J Bら、Clinical Courier 2006、24(3):1〜8)。ICは生活の質に顕著な影響を与え、旅行、家族関係、および雇用に影響を与え(Slade Dら、Urol 1997、49(5A補遺):10〜3)、また、鬱症状に関連している(Rothrock N Eら、J Urol 2002、167:1763〜1767)。
ICに向けられた治療の、良好に行われたプラセボ比較のランダム化された治験がいくつか存在し、治療は多くの場合、多様式の試行錯誤手法からなり、これは、183種の異なる種類の治療を報告している間質性膀胱炎データベース研究における患者の1つの総説から明白である(Rovner Eら、J Urol 2000、56:940〜5)。
単一の病因学は同定されておらず、これは、上皮細胞機能不全、C−神経線維の活性化、および肥満細胞の増殖の自己永続性のプロセスを引き起こし、組織の損傷、瘢痕および線維症の悪化をもたらす、いくつかの泌尿器傷害を有する多因子のプロセスである可能性が高い。炎症からのC線維の反復刺激、および膀胱中の感覚神経のアップレギュレーションは、最終的には永久の変更(集中化)をもたらし、その結果、痛覚異常過敏、慢性膀胱痛および排尿機能不全がもたらされる(Forrest J Bら、Clinical Courier 2006、24(3):1〜8)。
ICの根本的な原因について意見の一致には達していないが、既存のデータから、3つの病態生理学的な機構が示唆されている可能性があるという推測がもたらされている:上皮機能不全、肥満細胞活性化、および神経因性炎症(Nazif Oら、Urol 2007、69(補遺4A):24〜33)。
現在利用可能な治療の有害作用または限定された有効性がない、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群の疼痛および/または下部尿路症状の新規の有効な治療を提供する必要性が持続して存在する。
組換えヒト抗NGF(神経成長因子)抗体を間質性膀胱炎に罹患している患者で試験したことが報告されている(Dimitrakovら、J.Urology.第171(4)巻、補遺、363(2004))。研究の目的は、「顕著な神経損傷および神経因性疼痛の構成要素を有し、数々の以前の治療が成功しなかったIC患者群における」有効性および安全性を評価することであったが、尿中神経損傷マーカーレベルを用いて、神経損傷に対する効果しか報告されていない。状態の疼痛および/または下部尿路症状の治療における有効性は報告されていないことに注意することが重要である。
抗NGF抗体E3は、関節リウマチ痛、骨関節炎疼痛および手術後疼痛を含めた疼痛の治療において有用であることが、以前に報告されている(たとえばWO2004/058184を参照)。しかし、間質性膀胱炎の病因学および状態の機構の理解が乏しいことを考慮すると、抗体E3などの抗NGF抗体を、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)の治療に使用できるとは容易に予測できない。
本発明の一態様では、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を治療または予防する方法であって、有効量の抗NGF拮抗抗体を投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、
(a)約2nM以下のKでNGFと結合し、
(b)約100pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害し(ただし、IC50は約15pMのヒトNGFの存在下で測定する)、および/または
(c)約10pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(ただし、IC50は約1.5pMのNGFの存在下で測定する)。
間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛は、下腹部(骨盤)痛、膀胱痛、恥骨上痛、膣痛、陰茎、精巣、陰嚢および会陰の疼痛、尿道痛、性交疼痛、膀胱が満たされるにつれて増加し得る疼痛、圧力または不快感を含む。
下部尿路症状は3つの群の泌尿器症状を含み、これらは、貯蔵(刺激性)、排尿(閉塞性)および排尿後の症状として定義し得る。貯蔵症状は、切迫、頻発、夜間多尿、切迫尿失禁および緊張性尿失禁を含み、これは、過活動膀胱(OAB)および良性前立腺肥大(BPH)と関連している場合がある。排尿症状は、躊躇、流れの不良、間欠性、いきみおよび排尿障害を含む。排尿後症状は、終末時滴下、排尿後滴下および残尿感を含む。
過活動膀胱(OAB)とは、緊迫性尿失禁を伴ったまたは伴わない、通常は頻発および夜間多尿を伴った切迫として定義される[Abramsら、Neurourology and Urodynamics 21:167〜178(2002)]。男性および女性のOABの有病率は同様であり、米国の集団の約16%がこの状態を患っている[Stewartら、Prevalence of Overactive Bladder in the United States:Results from the NOBLE Program、第2回国際失禁会議(the 2nd International Consultation on Incontinence)に提出されたアブストラクト、2001年7月、フランスParis]。
用語ウェットOABおよびドライOABとは、それぞれ尿失禁を伴ったまたは伴わないOAB患者を説明している。以前は、OABの主症状は尿失禁であると考えられていた。しかし、新しい用語の出現に伴って、これは、失禁者ではない多数の罹患者(すなわちドライOAB患者)にとって明らかに無意味である。したがって、Libermanら[Health Related Quality of Life Among Adults with Symptoms of Overactive Bladder:Results From A US Community−Based Survey、Urology 57(6)、1044〜1050、2001]の2001年の研究は、米国集団の団体に基づいたサンプルの生活の質に対する、すべてのOAB症状の影響を調査した。この研究は、実証可能な尿損失を全く伴わないOABを患っている個体は、対照と比較して生活の質が損なわれていることを実証している。
BPHとは、急性尿貯留、再発性尿路感染症、膀胱結石および腎臓機能不全などの合併症をもたらす可能性がある、慢性的な進行性疾患である。男性におけるBPHに関連するLUTSの有病率および平均重篤度は、年齢に伴って増加する。
BPHは前立腺の体積の増加をもたらし、それにより尿道および膀胱の流出閉塞ならびに膀胱機能の二次的変化がもたらされる。この効果は、貯蔵(刺激性)および排尿(閉塞性)の症状のどちらによっても顕在化される。
本発明によれば、抗NGF拮抗抗体は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を阻害または遮断することができることが示されている。一部の実施形態では、疼痛および/または下部尿路症状は、抗NGF拮抗抗体を投与した後の約24時間以内に緩和される。一部の実施形態では、疼痛および/または下部尿路症状は、抗NGF拮抗抗体を投与した後の約4日間以内に緩和される。一部の実施形態では、疼痛および/または下部尿路症状は、個体における状態の改善の指標が観察される前、またはその非存在下で緩和される。
本発明のさらなる態様では、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を治療または予防する方法であって、
(a)配列番号3に示されるCDR1領域、
(b)配列番号4に示されるCDR2領域、および
(c)配列番号5に示されるCDR3領域
を含む重鎖可変領域を含む、有効量の抗NGF拮抗抗体を投与することを含む方法を提供する。
本発明のさらなる態様では、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を治療または予防する方法であって、
(a)配列番号6に示されるCDR1領域、
(b)配列番号7に示されるCDR2領域、および
(c)配列番号8に示されるCDR3領域
を含む軽鎖可変領域を含む、有効量の抗NGF拮抗抗体を投与することを含む方法を提供する。
抗NGF拮抗抗体は、
(a)配列番号3に示されるCDR1領域、
(b)配列番号4に示されるCDR2領域、および
(c)配列番号5に示されるCDR3領域
を含む重鎖可変領域をさらに含み得る。
抗NGF拮抗抗体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでいてよく、抗体は、NGFと特異的に結合する。
抗NGF抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域は、1つまたは複数の対応するフレームワーク突然変異を含み得る。一態様では、フレームワーク突然変異は、ヒトフレームワーク残基を相補的なネズミフレームワーク残基で置き換え得る。突然変異は、重鎖可変領域中に置換V71Kを含み得る。
抗NGF拮抗抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み得る、および/または配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。
抗NGF拮抗抗体は、配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含む抗体であり得る。抗NGF拮抗抗体は、配列番号16および17に示されるアミノ酸配列を含む抗体であり得る。
抗NGF拮抗抗体は、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖を含んでいてよく、抗体は、NGFと特異的に結合する。
抗NGF拮抗抗体は、本明細書中に定義するように、NGFが抗NGF拮抗抗体と結合することについて競合してもよい。抗NGF拮抗抗体は、NGFが抗体と結合することについて競合してもよく、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
抗NGF拮抗抗体は、ヒト化されたものであり得る。抗体は、ヒトおよびげっ歯類のNGFと特異的に結合する抗体E3であり得る。抗体E3は、その内容の全体が参考として本明細書中に組み込まれているWO2004/058184に記載されている。E3の重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および2に示されている(WO2004/058184の図1Aおよび1B)。抗体E3のCDR部分(コチア(Chothia)およびカバット(Kabat)CDRが含まれる)は、WO2004/058184の図1Aおよび1Bに図式的に示されている。E3重鎖および軽鎖、ならびに個々の拡張したCDRのアミノ酸配列も以下に示す(以下の「抗体配列」を参照)。抗体E3は、NGFを隔絶し、その受容体との相互作用を防止することにおいて非常に強力である。E3およびそのネズミ前駆抗体911は、関節炎、癌性疼痛および手術後疼痛を含めた病理学的疼痛の非臨床的動物モデルにおいて、有効な鎮痛剤であることが示されている。
別の態様では、抗体は、抗体E3の断片または領域(本明細書中で「E3」と互換性があるように呼ばれる)を含む。一実施形態では、断片は、WO2004/058184の図1Bおよび本明細書中の配列番号17に示される抗体E3の軽鎖である。別の実施形態では、断片は、WO2004/058184の図1Aおよび本明細書中の配列番号16に示される抗体E3の重鎖である。さらに別の実施形態では、断片は、抗体E3の軽鎖および/または重鎖からの1つまたは複数の可変領域を含有する。さらに別の実施形態では、断片は、WO2004/058184の図1Aおよび1Bならびに本明細書中のそれぞれ配列番号17および16に示される、抗体E3の軽鎖および/または重鎖からの1つまたは複数のCDRを含有する。
別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA−4893またはATCC番号PTA−4894の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖を含む。別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖を含む。別の態様では、抗体は、(a)ATCC番号PTA−4894またはATCC番号PTA−4893の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖、および(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖を含む(本明細書中では、利便上、寄託した宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドは、ATCC番号PTA−4894、PTA−4893およびPTA−4895の寄託番号を有すると呼ぶ)。別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA−4894またはATCC番号PTA−4893の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖の軽鎖可変領域を含む。別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖の重鎖可変領域を含む。別の態様では、抗体は、(a)ATCC番号PTA−4894またはATCC番号PTA−4893の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖の軽鎖可変領域、および(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖の重鎖可変領域を含む。さらに別の態様では、抗体は、(a)ATCC番号PTA−4894の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチド、および/または(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖によってコードされている1つまたは複数のCDRを含む。
一部の実施形態では、抗体は、IgG2サブクラスのものであり得る、完全長の抗体であり得る。抗体は、ヒト重鎖IgG2a定常領域を含み得る。一部の実施形態では、抗体は、ヒト軽鎖κ定常領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、免疫学的に不活性である、たとえば、補体媒介性の溶解を始動しない、または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を刺激しない定常領域などの、改変された定常領域を含む。他の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613〜2624、PCT WO9958572に記載のように改変する。抗体は、以下の突然変異:A330P331からS330S331を含むヒト重鎖IgG2a定常領域を含み得る(アミノ酸の番号づけは野生型IgG2a配列を参考とする)。
一部の実施形態では、抗体は、FabもしくはFab’2断片などの抗体断片、または単鎖抗体であり得る。
別の態様では、抗体は、a)配列番号1〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示される抗体E3の1つまたは複数のCDR、b)配列番号1および5(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖からのCDR H3、c)配列番号2および8(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖からのCDR L3、d)配列番号2、6〜8(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖からの3個のCDR、e)配列番号1、3〜5(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖からの3個のCDR、ならびにf)配列番号1〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示される抗体E3の、軽鎖からの3個のCDRおよび重鎖からの3個のCDRのうちの、任意の1つまたは複数を含む。別の態様では、抗体は、a)配列番号1〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示される抗体E3に由来する1つもしくは複数(1、2、3、4、5、もしくは6)個のCDR、b)配列番号1および5(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖からのCDR H3に由来するCDR、ならびに/またはc)配列番号2および8(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖からのCDR L3に由来するCDRのうちの、任意の1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、CDRは、カバットCDR、コチアCDR、またはカバットおよびコチアCDRの組合せであり得る(本明細書中で「拡張」または「組合せ」CDRと呼ぶ)。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書中に記載のCDR立体配置(組合せ、変異体などが含まれる)のうちの任意のものを含む。
一態様では、抗体は、I34がS、L、V、AまたはIであり、N35がN、TまたはSで置換されている、配列番号9を含む重鎖可変領域を含む。本明細書中では、利便上、このコンテキストまたはアミノ酸に言及した「置換されている」または「である」とは、所定の位置におけるアミノ酸の選択肢をいう。明らかなように、置換または選択肢は、本明細書中の配列番号に記載したアミノ酸であり得る。
別の態様では、抗体は、M50がM、I、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10を含む重鎖可変領域を含む。
別の態様では、抗体は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11を含む重鎖可変領域を含む。
別の態様では、抗体は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11を含む重鎖可変領域を含む。
別の態様では、抗体は、G98がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、G99がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11を含む重鎖可変領域を含む。
別の態様では、抗体は、S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12を含む軽鎖可変領域を含む。
別の態様では、抗体は、I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13を含む軽鎖可変領域を含む。
別の態様では、抗体は、S91がSまたはEであり、K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14を含む軽鎖可変領域を含む。
別の態様では、抗体は、S91がSまたはEであり、K92が任意のアミノ酸であり、T93が任意のアミノ酸であり、Y96がYまたはRである、配列番号14を含む軽鎖可変領域を含む。
一態様では、抗体は、I34がS、L、V、AまたはIであり、N35がN、TまたはSである、配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、M50がM、I、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、G98がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、G99がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、S91がSまたはEであり、K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、S91がSまたはEであり、K92が任意のアミノ酸であり、T93が任意のアミノ酸であり、Y96がYまたはRである、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
別の態様では、抗体は、I34がS、L、V、AまたはIであり、N35がN、TまたはSである、配列番号9のCDR1領域、M50がM、I、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10のCDR2領域、およびY100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11のCDR3領域を含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11のCDR3領域を含む。他の実施形態では、重鎖可変領域は、G98がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、G99がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11のCDR3領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体軽鎖可変領域をさらに含む。
別の態様では、抗体は、S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12のCDR1領域、I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13のCDR2領域、およびS91がSまたはEであり、K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14のCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、S91がSまたはEであり、K92が任意のアミノ酸であり、T93が任意のアミノ酸であり、Y96がYまたはRである、配列番号14のCDR3領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体重鎖をさらに含む。
別の態様では、抗体は、(a)I34がS、L、V、AまたはIであり、N35がN、TまたはSである、配列番号9のCDR1領域、M50がM、I、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10のCDR2領域、およびY100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11のCDR3領域を含む重鎖可変領域、ならびに(b)S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12のCDR1領域、I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13のCDR2領域、およびS91がSまたはEであり、K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14のCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、S91がSまたはEであり、K92が任意のアミノ酸であり、T93が任意のアミノ酸であり、Y96がYまたはRである、配列番号14のCDR3領域を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11のCDR3領域を含む。他の実施形態では、重鎖可変領域は、G98がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、G99がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11のCDR3領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体軽鎖をさらに含む。
別の態様では、抗体は、I34がS、L、V、AまたはIであり、N35がN、TまたはSである、配列番号9に示されるアミノ酸配列、M50がM、I、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10に示されるアミノ酸配列、およびY100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ポリペプチドは、G98がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、G99がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体軽鎖可変領域をさらに含む。
別の態様では、抗体は、S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12に示されるアミノ酸配列、I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13に示されるアミノ酸配列、およびS91がSまたはEであり、K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、S91がSまたはEであり、K92が任意のアミノ酸であり、T93が任意のアミノ酸であり、Y96がYまたはRである、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体重鎖可変領域をさらに含む。
別の態様では、抗体は、(a)I34がS、L、V、AまたはIであり、N35がN、TまたはSである、配列番号9に示されるアミノ酸配列、M50がM、I、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10に示されるアミノ酸配列、およびY100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11に示されるアミノ酸配列、ならびに(b)S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12に示されるアミノ酸配列、I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13に示されるアミノ酸配列、およびS91がSまたはEであり、K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、S91がSまたはEであり、K92が任意のアミノ酸であり、T93が任意のアミノ酸であり、Y96がYまたはRである、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、ポリペプチドは、G98がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、G99がG、S、A、C、V、N、DまたはTであり、Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がS、A、C、G、D、N、TまたはGであり、Y110が任意のアミノ酸である、配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗体軽鎖可変領域をさらに含む。
別の態様では、抗体は、(a)I34がS、L、V、AまたはIであり、N35がN、TまたはSで置換されている、配列番号9のCDR1領域、(b)M50がI、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10のCDR2領域、および(c)Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11のCDR3領域を含む重鎖可変領域を含み、抗体はNGFと結合する。
別の態様では、抗体は、(a)S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12のCDR1領域、(b)I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13のCDR2領域、および(c)K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14のCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含み、抗体はNGFと結合する。
別の態様では、抗体は、(a)(i)I34がS、L、V、AまたはIで置換されており、N35がN、TまたはSで置換されている、配列番号9のCDR1領域、(ii)M50がI、G、Q、SまたはLであり、A62がAまたはSであり、L63がLまたはVである、配列番号10のCDR2領域、および(iii)Y100がY、LまたはRであり、Y101がYまたはWであり、G103がG、AまたはSであり、T104がTまたはSであり、S105がS、AまたはTであり、Y106がY、R、TまたはMであり、Y107がYまたはFであり、F108がFまたはWであり、D109がD、NまたはGであり、Y110がY、K、S、RまたはTである、配列番号11のCDR3領域を含む重鎖可変領域、ならびに(b)(i)S26がSまたはFであり、D28がD、S、AまたはYであり、H32がH、NまたはQである、配列番号12のCDR1領域、(ii)I51がI、T、VまたはAであり、S56がSまたはTである、配列番号13のCDR2領域、および(iii)S91がSまたはEであり、K92がK、H、RまたはSであり、Y96がYまたはRである、配列番号14のCDR3領域を含む軽鎖可変領域を含み、抗体はNGFと結合する。
別段に注記しない限りは、1つの位置でのアミノ酸の選択肢(たとえば置換)は、任意の他の位置でのアミノ酸の選択とは独立して選択される。
一部の実施形態では、抗体は、本明細書中に記載のCDR立体配置(組合せ、変形などが含まれる)のうちの任意のものを含む。
本明細書中の説明から明らかなように、本明細書中で使用する可変領域の番号づけは、連続的な番号づけである。当業者は、いくつかの抗体番号づけ系が存在すること(カバットおよびコチアの番号づけなど)、ならびに、どのようにして連続的な番号づけをカバット番号づけまたはコチア番号づけなどの別の番号づけ系へと変換するかを、容易に理解するであろう。
別の態様では、抗体は、配列番号46または50から選択されるアミノ酸配列(CDR3配列など)を含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号3、4、5、6、7および8に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号9、10、11、12、13、14および15に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。
別の態様では、抗体は、(a)配列番号28および/または29、(b)配列番号30および/または31、(c)配列番号32および/または33、(d)配列番号34および/または35、(e)配列番号36および/または37、(f)配列番号38および/または39、ならびに(g)配列番号40および41から選択されるアミノ酸配列(CDRH1および/またはCDR H2領域などのCDR領域など)を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号28、30、32、34、36、38および40から選択されるアミノ酸配列(CDR H1領域など)を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号29、31、33、35、37、39および41から選択されるアミノ酸配列(CDR H2領域など)を含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号3、4、5、6、7および8に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号9、10、11、12、13、14および15に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。
別の態様では、抗体は、(a)配列番号18および/または19、(b)配列番号20および/または21、ならびに(c)配列番号22および/または23から選択されるアミノ酸配列(CDRL1および/またはCDR L2領域などのCDR領域など)を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号18、20および22から選択されるアミノ酸配列(CDR L1領域など)を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号19、21および23から選択されるアミノ酸配列(CDR L2領域など)を含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号3、4、5、6、7、8に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号9、10、11、12、13、14および15に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。
別の態様では、抗体は、(a)配列番号51および/または52、(b)配列番号55および/または56、(c)配列番号57および/または58、(c)配列番号59および/または60、(d)配列番号61および/または62、(e)配列番号63および/または64から選択されるアミノ酸配列(CDRL3および/またはCDR H3領域などのCDR領域など)を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号51、55、57、59、61および63から選択されるアミノ酸配列(CDR L3領域など)を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号52、56、58、60、62および64から選択されるアミノ酸配列(CDR H3領域など)を含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号18、19、30および31のうちの1つまたは複数に示されるアミノ酸配列をさらに含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号3、4、5、6、7および8に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。さらに他の実施形態では、抗体は、配列番号9、10、11、12、13、14および15に示されるアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をさらに含む。
別の態様では、抗体は、
(a)
(i)配列番号30のCDR1領域、
(ii)配列番号31の配列を含むCDR2領域、
(iii)配列番号11、56、58、60、62および64からなる群から選択されるCDR3領域
を含む重鎖可変領域、ならびに
(b)
(i)配列番号18のCDR1領域、
(ii)配列番号19のCDR2領域、
(iii)配列番号14、55、57、59、61および63からなる群から選択されるCDR3領域
を含む軽鎖可変領域
を含み得る。
別の態様では、抗体は、配列番号61、63、18、19、30および31に示されるアミノ酸配列(CDR領域など)のうちの1つまたは複数を含む。
別の態様では、抗体は、WO2005019266(抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6が含まれる)またはWO2006131951(抗体Hu−αD11が含まれる)に記載されている抗体などの、当分野で知られている抗NGF抗体から選択され得る。抗体は、NGF、特にヒトNGF上の、WO2005019266(抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6が含まれる)もしくはWO2006131951(抗体Hu−αD11が含まれる)に記載されている抗体、または本明細書中に定義した抗体などの、当分野で知られている抗NGF抗体と同じエピトープと結合し得る、および/または、NGFとの結合についてそのような抗体と競合し得る。
一部の実施形態では、本明細書中に記載の抗NGF抗体のうちの任意のものの重鎖のC末端リシンが切断される。様々な事例で、抗NGF抗体の重鎖および軽鎖には、シグナル配列が含まれていてもよい。
一態様では、抗体は、高い親和性でNGF(ヒトNGFなど)と結合する抗NGF拮抗抗体である。一部の実施形態では、高い親和性とは、(a)約2nM以下のK(約1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pMもしくはそれより低いもののうちの任意のものなど)、および/もしくは約6×10−5−1よりも遅いkoff)でNGFと結合すること、および/または(b)およそ200pM、150pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pM、10pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(減少および/もしくは遮断する)こと、および/または(c)およそ50pM、40pM、30pM、10pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(減少および/もしくは遮断する)こと、および/または(d)およそ150pM、125pM、100pM、80pM、60pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存性の生存を阻害する(減少および/もしくは遮断する)こと、および/または(e)およそ30pM、25pM、20pM、15pM、10pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存性の生存を阻害する(減少および/もしくは遮断する)こと、および/または(f)および/またはtrkA受容体よりも高い親和性でNGFと結合することである。
別の態様では、抗体は、(a)約2nM以下のK(約1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pMもしくはそれより低いもののうちの任意のものなど)、および/もしくは約6×10−5−1よりも遅いkoff)でNGF(ヒトNGFなど)と結合し、および/または(b)およそ200pM、150pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pM、10pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害し、および/または(c)およそ50pM、40pM、30pM、10pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害し、および/またはtrkA受容体よりも高い親和性でNGFと結合する。一部の実施形態では、抗体は、(a)約2nM以下のKでNGFと結合し、および/または(b)約100pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害し(ただし、IC50は約15pMのNGFの存在下で測定する)、および/または(c)約10pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(ただし、IC50は約1.5pMのNGFの存在下で測定する)(ただし、IC50は約15pMのNGFの存在下で測定する)。一部の実施形態では、抗体は、(a)約100pM以下のKでNGFと結合し、および/または(b)約20pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害し(ただし、IC50は約15pMのNGFの存在下で測定する)、および/または(c)約2pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(ただし、IC50は約1.5pMのNGFの存在下で測定する)。
一部の実施形態では、上記抗体は単離されている。一部の実施形態では、抗体は実質的に精製されている。さらに他の実施形態では、抗体は親和性成熟している。一部の実施形態では、抗体は、ヒトフレームワーク配列を含む。さらに他の実施形態では、抗体は、1つまたは複数の非ヒトフレームワーク残基を含む。一部の実施形態では、抗体は、2nM以下のKでNGF(ヒトNGFなど)と結合する。一部の実施形態では、抗体は、非ヒトアミノ酸配列(たとえば可変領域配列、たとえばCDR配列、たとえばフレームワーク配列)と比較して、1つまたは複数(2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、またはそれより多くなど)のヒトアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、抗体は、親ポリペプチドアミノ酸配列(たとえば抗体911のアミノ酸配列、たとえば配列番号9〜14のうちの任意の1つまたは複数)と比較して、少なくとも1個、少なくとも2個、またはそれより多く、たとえば、少なくとも3個、4個、5個、6個、またはそれより多くのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、抗体の結合親和性は、親抗体(Mab911など)の親和性と比較して変更されている(一部の実施形態では増加している)。さらに他の実施形態では、抗体の結合親和性は、NGF(ヒトNGFなど)に対するtrkA受容体の結合親和性よりも低い。一部の実施形態では、抗体はヒト抗体である。他の実施形態では、抗体はヒト化抗体である。さらに他の実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗体は親和性成熟した抗体である。
本発明は、上記実施形態の抗体のうちの任意のものをコードしているポリヌクレオチドを含む、ポリヌクレオチド(単離したポリヌクレオチドが含まれる)を利用する。
別の態様では、本発明は、抗体E3の断片または領域(本明細書中で「E3」と互換性があるように呼ばれる)をコードしているポリヌクレオチドを含む、単離したポリヌクレオチドを提供する。一実施形態では、断片は、WO2004/058184の図1Bに示される抗体E3の軽鎖である。別の実施形態では、断片は、WO2004/058184の図1Aに示される抗体E3の重鎖である。さらに別の実施形態では、断片は、抗体E3の軽鎖および/または重鎖からの1つまたは複数の可変領域を含有する。さらに別の実施形態では、断片は、WO2004/058184の図1Aおよび1Bに示される抗体E3の軽鎖および/または重鎖からの1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含有する。
別の態様では、本発明は、抗体E3をコードしているポリヌクレオチドを含む、単離したポリヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、WO2004/058184の図2および3に示されるポリヌクレオチドの一方または双方を含む。
別の態様では、本発明は、ATCC番号PTA−4893またはATCC番号PTA−4894の寄託番号を有するE3軽鎖をコードしている単離したポリヌクレオチドを利用する。別の態様では、本発明は、ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するE3重鎖をコードしている単離したポリヌクレオチドである。さらに別の態様では、単離したポリヌクレオチドは、(a)ATCC番号PTA−4893またはPTA−4894の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている可変領域および(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている可変領域を含む。別の態様では、単離したポリヌクレオチドは、(a)ATCC番号PTA−4893もしくはPTA−4894の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている1つもしくは複数のCDR、および/または(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている1つもしくは複数のCDRを含む。
別の態様では、本発明は、本明細書中に記載の抗体(抗体断片が含まれる)またはポリペプチドのうちの任意のものをコードしているポリヌクレオチドを利用する。
別の態様では、本発明は、本明細書中に開示したポリヌクレオチドのうちの任意のものを含むベクター(発現およびクローニングベクターが含まれる)ならびに宿主細胞を利用する。
別の態様では、本発明は、E3軽鎖をコードしているポリヌクレオチドおよびE3重鎖をコードしているポリヌクレオチドを含む宿主細胞を利用し、E3軽鎖をコードしているポリヌクレオチドはATCC番号PTA−4893および/またはATCC番号PTA−4894の寄託番号を有し、E3重鎖をコードしているポリヌクレオチドはATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する。一部の実施形態では、宿主細胞は、(a)ATCC番号PTA−4893もしくはPTA−4894の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている可変領域および/または(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている可変領域を含むポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、(a)ATCC番号PTA−4893もしくはPTA−4894の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている1つもしくは複数のCDR、および/または(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている1つもしくは複数のCDRをコードしているポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。
別の態様では、本発明は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)の治療または予防において使用するための抗NGF拮抗抗体を提供する。抗NGF拮抗抗体は、本明細書中に記載したとおりであり得る。
本発明の別の態様は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を治療または予防するための医薬品の製造における抗NGF拮抗抗体の使用を提供する。抗NGF拮抗抗体は、本明細書中に記載したとおりであり得る。
別の態様では、本発明は、抗体E3または抗体E3の断片と、薬学的に許容できる賦形剤とを含む医薬組成物などの、本明細書中に記載のポリペプチド(抗体E3などの抗体が含まれる)、ポリヌクレオチドまたはベクターのうちの任意のものを含む、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)の治療または予防において使用するための医薬組成物である。
別の態様では、本発明は、本明細書中に記載の組成物のうちの任意の1つまたは複数を含むキットおよび組成物を提供する。これらのキットは、一般に適切なパッケージング中にあり、適切な指示と共に提供し、本明細書中に記載の方法のうちの任意のものに有用である。
また、本発明は、医薬品としての使用および/または医薬品の製造における使用のコンテキストにかかわらず、本明細書中に記載の任意の使用について記載した組成物およびキットのうちの任意のものも提供する。
本発明のそれぞれの態様の好ましい特長は、必要な変更を加えて、それぞれの他の態様に同様に適用される。
本明細書中に開示した本発明は、治療上有効な量の抗NGF拮抗抗体を投与することによる、個体において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を治療または予防する方法を提供する。
また、本明細書中に開示した本発明は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)の治療または予防において使用するための抗NGF拮抗抗体も提供する。さらに、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を治療または予防するための医薬品の製造における抗NGF拮抗抗体の使用を提供する。
本明細書中に開示した本発明は、高い親和性でNGF(ヒトNGFなど)と結合する抗NGF拮抗抗体の使用を提供する。一部の実施形態では、本発明は、NGFと結合するヒト化抗体E3を利用する。また、本発明は、NGFと結合するE3ポリペプチド(抗体が含まれる)、ならびにE3抗体および/またはポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドも利用する。さらに、本発明は、NGFと結合するE3に由来する抗体およびポリペプチドの使用を提供する。
一般技術
本発明の実施では、別段に指定しない限りは、当分野の技術範囲内にある、分子生物学(組換え技術が含まれる)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の慣用技術を用いる。そのような技術は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984)、Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993〜1998)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach(D.Catty.編、IRL Press、1988〜1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995);ならびにCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVitaら編、J.B.Lippincott Company、1993)などの文献中に完全に記載されている。
定義
「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的と特異的結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書中で使用する場合、この用語には、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、dAbなど)、単鎖抗体(ScFv)、その突然変異体、キメラ抗体、ダイアボディ、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された立体配置も包含される。抗体には、IgG、IgA、もしくはIgMなどの任意のクラス(またはそのサブクラス)の抗体が含まれ、抗体は、いずれかの特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを様々なクラスに割り当てることができる。5つの主要な免疫グロブリンのクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2へとさらに分類し得る。様々な免疫グロブリンのクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。様々な免疫グロブリンのクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は周知である。
抗体の「可変領域」とは、単独または組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域をいう。重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ、超可変領域としても知られる3個相補性決定領域(CDR)によって接続された4個のフレームワーク領域(FR)からなる。それぞれの鎖中のCDRは、FRによって近接して一緒に保たれ、他方の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための技術は少なくとも2つ存在する:(1)種間配列可変性に基づいた手法(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、(第5版、1991、National Institutes of Health、メリーランド州Bethesda))、および(2)抗原−抗体の複合体の結晶学的研究に基づいた手法(Chothiaら、(1989)Nature 342:877;Al−lazikaniら(1997)J.Molec.Biol.273:927〜948))。本明細書中で使用するCDRとは、どちらかの手法または両方の手法の組合せによって定義されたCDRをいい得る。
抗体の「定常領域」とは、単独または組み合わせた、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域をいう。
「Fv」とは、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含有する抗体断片である。2本鎖Fv種では、この領域は、密に非共有的会合した1つの重鎖および1つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。単鎖Fv種では、1つの重鎖および1つの軽鎖の可変ドメインは、軽鎖および重鎖が2本鎖Fv種に類似の二量体構造で会合することができるように、柔軟なペプチドリンカーによって共有結合されることができる。それぞれの可変ドメインの3個のCDRが相互作用して、VH−VL二量体の表面上の抗原結合特異性が定義されるのは、この立体配置においてである。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3個のCDRのみを含むFvの半分)さえも、一般に結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
また、Fab断片は、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステインを含めた、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。F(ab)2断片とは、ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片である。
単鎖抗体(scFc)とは、VLおよびVH領域が対合し、それらが単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーを介して一価分子を形成する抗体である(Birdら、Science、242:423〜426(1988)およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:5879〜5883(1988))。
ダイアボディとは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインが別の鎖の相補的ドメインと対合することを強いて、2つの抗原結合部位が作製される、二価の二重特異性抗体である。
抗体は1つまたは複数の結合部位を有することができる。複数の結合部位が存在する場合、結合部位は、互いに同一であり得るか、または異なり得る。たとえば、天然に存在する免疫グロブリンは2つの同一の結合部位を有し、単鎖抗体またはFab断片は1つの結合部位を有する一方で、「二重特異性」または「二官能性」抗体(ダイアボディ)は2つの異なる結合部位を有する。
「単離した抗体」とは、(1)そのネイティブ状態でそれに付随する、他の天然で会合している抗体を含めた、天然で会合している構成要素と会合していない、(2)同じ種由来の他のタンパク質を含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、または(4)天然に存在しない抗体である。
「モノクローナル抗体」とは同種抗体集団をいい、モノクローナル抗体は、抗原の選択的結合に関与する(天然に存在するおよび天然に存在しない)アミノ酸からなる。モノクローナル抗体の集団は特異性が高く、単一の抗原部位に向けられている。用語「モノクローナル抗体」には、インタクトなモノクローナル抗体および完全長モノクローナル抗体だけでなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)、Fvなど)、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ならびに所要の特異性の抗原認識部位および抗原と結合する能力を含む、免疫グロブリン分子の任意の他の改変された立体配置も包含される。抗体の供給源またはそれを作製する様式(たとえば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによる)に関して、限定的であることを意図しない。
本明細書中で使用する「ヒト抗体」とは、ヒトによって産生される抗体のそれに対応するアミノ酸配列を有する抗体、および/または当分野で知られているもしくは本明細書中に開示した、ヒト抗体を作製する技術のうちの任意のものを用いて作製した抗体を意味する。このヒト抗体の定義には、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体が含まれる。そのような例の1つは、ネズミ軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当分野で知られている様々な技術を用いて産生することができる。一実施形態では、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現するファージライブラリから選択される(Vaughanら、1996、Nature Biotechnology、14:309〜314;Sheetsら、1998、PNAS,(USA)95:6157〜6162;HoogenboomおよびWinter、1991、J.Mol.Biol.、227:381;Marksら、1991、J.Mol.Biol.、222:581)。また、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座位を、トランスジェニック動物、たとえば、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に失活させられたマウス内に導入することによっても作製することができる。この手法は、米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、および第5,661,016号に記載されている。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に向けられた抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化することによって調製し得る(そのようなBリンパ球は、個体から回収するか、またはin vitroで免疫化し得る)。たとえば、Coleら、Monolonal Antibodies and Caner Therapy、Alan R.Liss、77ページ(1985);Boernerら、1991、J.Immunol.、147(1):86〜95、および米国特許第5,750,373号を参照されたい。
「キメラ抗体」とは、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの一部分が、特定の種に由来するまたは特定のクラスに属する抗体中の対応する配列に相同的である一方で、鎖の残りのセグメントが、別の種中の対応する配列に相同的である抗体をいう。典型的には、これらのキメラ抗体中では、軽鎖および重鎖の両方の可変領域が1つの哺乳動物種に由来する抗体の可変領域を模倣する一方で、定常部分は別の種に由来する抗体中の配列に相同的である。そのようなキメラ形態の1つの明らかな利点は、たとえば、容易に入手可能な非ヒト宿主生物由来のハイブリドーマまたはB細胞をたとえばヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせて用いて、可変領域を現在知られている供給源から好都合に誘導できることである。可変領域は、調製の容易性という利点を有し、特異性がその供給源によって影響を受けない一方で、定常領域はヒトであるため、抗体を注射した場合に、ヒト対象から免疫応答を誘発する可能性が非ヒト源由来の定常領域よりも低い。しかし、この定義はこの具体的な例に限定されない。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、貪食、細胞表面受容体(たとえばB細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが含まれる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合ドメイン(たとえば抗体可変ドメイン)と組み合わさることが必要であり、そのような抗体エフェクター機能を評価するための当分野で知られている様々なアッセイを用いて評価することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然に見つかるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によってネイティブ配列Fc領域のそれとは異なるアミノ酸配列を含むが、それでもネイティブ配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持する。好ましくは、変異体Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、たとえば、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域中に約1〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書中の変異体Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくはそれと少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくはそれと少なくとも約95%の配列同一性を保有する。
本明細書中で使用する「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」および「ADCC」とは、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞毒性細胞(たとえば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が標的細胞上の結合された抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介性反応をいう。目的分子のADCC活性は、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載のものなどの、in vitro ADCCアッセイを用いて評価することができる。そのようなアッセイの有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびNK細胞が含まれる。あるいは、またはそれに加えて、目的分子のADCC活性は、in vivoで、たとえば、Clynesら、1998、PNAS(USA)、95:652〜656に開示されているものなどの動物モデルにおいて評価し得る。
本明細書中で使用する「Fc受容体」および「FcR」とは、抗体のFc領域と結合する受容体を説明している。好ましいFcRは、ネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)と結合するものであり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシングされた形態が含まれる。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれ、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる同様のアミノ酸配列を有する。FcRは、RavetchおよびKinet、1991、Ann.Rev.Immunol.、9:457〜92;Capelら、1994、Immunomethods、4:25〜34、ならびにde Haasら、1995、J.Lab.Clin.Med.、126:330〜41に総説されている。また、「FcR」には、母性IgGを胎児に移行することを担っている新生児受容体FcRnも含まれる(Guyerら、1976、J.Immunol.、117:587、およびKimら、1994、J.Immunol.、24:249)。
「補体依存性細胞傷害」および「CDC」とは、補体の存在下における標的の溶解をいう。補体の活性化経路は、補体系の第1の構成要素(C1q)と同族抗原と複合体形成した分子(たとえば抗体)との結合によって開始される。補体の活性化を評価するために、たとえば、Gazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)に記載されているCDCアッセイを行い得る。
本明細書中で使用する場合、用語「E3」、「3E」、および「抗体E3」とは互換性があるように使用し、それぞれ配列番号1および配列番号2(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示される重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む抗体をいう。抗体E3のCDR部分(コチアおよびカバットCDRが含まれる)は、WO2004/058184の図1Aおよび1Bに図式的に示されている。WO2004/058184の図2および3は、それぞれ、それぞれ図1Aおよび1Bに示される重鎖および軽鎖可変領域を含む重鎖および軽鎖をコードしているポリヌクレオチドを示す。E3の作製および特徴づけは、その内容の全体が本明細書中に参考として組み込まれているWO2004/058184の実施例中に記載されている。それだけには限定されないが、NGFと結合してNGF生物活性および/またはNGFシグナル伝達によって媒介される下流経路(複数可)を阻害する能力、ならびにマウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存性の生存を阻害する能力を含めた、様々な生物学的機能がE3に関連づけられている。本明細書中で記載するように、本発明で使用する抗体は、これらの特徴のうちの任意の1つまたは複数を有し得る。一部の実施形態では、用語「E3」とは、(a)ATCC番号PTA−4893またはATCC番号PTA−4894の寄託番号を有する、E3軽鎖をコードしているポリヌクレオチド、および(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する、E3重鎖をコードしているポリヌクレオチドによってコードされている免疫グロブリンをいう。
本明細書中で使用する、抗体の「免疫特異的」結合とは、抗体の抗原を合わせる部位とその抗体によって認識される特異的抗原との間に起こる抗原特異的結合の相互作用をいう(すなわち、抗体は、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいてタンパク質と反応し、非関連のタンパク質とは検出可能に反応しない)。
抗体またはポリペプチドと「特異的に結合する」、または「優先的に結合する」(本明細書中で互換性があるように使用する)エピトープとは、当分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を決定するための方法も当分野で周知である。分子は、それが別の細胞または物質よりも特定の細胞または物質と、より頻繁に、より迅速に、より長く持続しておよび/またはより高い親和性で反応または会合する場合に、「特異的結合」または「優先的結合」を示すといわれる。抗体は、それが他の物質よりも高い親和性で、結合力で、より容易に、および/またはより長く持続して結合する場合に、標的と「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。たとえば、NGFエピトープと特異的または優先的に結合する抗体とは、それが他のNGFエピトープまたは非NGFエピトープと結合するよりも、より高い親和性で、結合力で、より容易に、および/またはより長く持続して、このエピトープと結合する抗体である。また、この定義を読むことによって、たとえば、第1の標的と特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的と特異的または優先的に結合しても、しなくてもよいことも理解されよう。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」とは、必ずしも排他的な結合を必要としない(ただし、含まれることができる)。一般に、必ずではないが、結合への言及は、優先的な結合を意味する。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」とは、本明細書中で互換性があるように使用し、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。ポリマーは、直鎖状または分枝状であってよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。また、この用語には、自然に、または中断、たとえば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、たとえば標識構成要素とのコンジュゲーションによって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含される。また、この定義には、たとえば、アミノ酸の1つまたは複数の類似体(たとえば非天然アミノ酸などが含まれる)、および当分野で知られている他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。本発明のポリペプチドは抗体に基づいているため、ポリペプチドは、単鎖または会合した鎖として存在できることを理解されたい。
「ポリヌクレオチド」、または「核酸」とは、本明細書中で互換性があるように使用し、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいい、DNAおよびRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはその類似体、またはDNAまたはRNAポリメラーゼによってポリマー内に取り込まれることができる任意の物質であることができる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびその類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合は、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーのアセンブリの前または後に与え得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、重合後に、標識構成要素とのコンジュゲーションなどによってさらに修飾し得る。他の種類の修飾には、たとえば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つまたは複数の類似体での置換、ヌクレオチド間修飾、たとえば、非荷電連結(たとえば、ホスホン酸メチル、リン酸トリエステル、ホスホアミデート、カバメートなど)および荷電連結(たとえば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するものなど、たとえばタンパク質(たとえば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply−L−リシンなど)などのペンダント部分を含有するもの、介入物(たとえば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート剤(たとえば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された連結(たとえばαアノマー核酸など)を含有するもの、ならびにポリヌクレオチドの非修飾形態が含まれる。さらに、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちの任意のものを、たとえば、ホスホン酸基、リン酸基によって置き換える、標準の保護基によって保護する、もしくは活性化してさらなるヌクレオチドとの追加の連結を調製する、または固体支持体とコンジュゲートし得る。5’および3’末端のOHは、リン酸化するか、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャップ基部分で置換することができる。また、他のヒドロキシルも標準の保護基へと誘導体化することができる。また、ポリヌクレオチドは、たとえば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環糖類似体、α−アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環状類似体およびメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体を含めた、一般に当分野で知られているリボースまたはデオキシリボース糖の類似体形態も含有することができる。1つまたは複数のリン酸ジエステル連結を、代替の連結基によって置き換え得る。これらの代替の連結基には、それだけには限定されないが、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、’’(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール」)[式中、それぞれのRまたはR’は、独立して、H、またはエーテル(−O−)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジルを含有していてもよい、置換もしくは未置換のアルキル(1〜20個のC)である]によって置き換えられている実施形態が含まれる。ポリヌクレオチド中のすべての連結が同一である必要はない。前述の説明は、RNAおよびDNAを含めた本明細書中で言及するすべてのポリヌクレオチドに適用される。
用語「同一性」とは、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の%「同一性」をいう。%同一性は、一般に、配列を最適な比較目的のためにアラインメントし(たとえば、第2の配列との最良アラインメントのために第1の配列中にギャップを導入することができる)、アミノ酸残基またはヌクレオチドを対応する位置で比較することによって決定する。「最良アラインメント」とは、最も高い%同一性をもたらす、2つの配列のアラインメントである。%同一性は、配列内の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの数を比較することによって決定する(すなわち、%同一性=同一の位置の数/位置の合計数×100)。
2つの配列間の%同一性の決定は、当業者に知られている数学アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列を比較するための数学アルゴリズムの例は、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5877に記載のように改変した、KarlinおよびAltschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264〜2268のアルゴリズムである。Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410のNBLASTおよびXBLASTプログラムがそのようなアルゴリズムを組み込んでいる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行って、本発明の核酸分子に相同的なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行って、本発明のタンパク質分子に相同的なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためのギャップ付きアラインメントを得るためには、Altschulら、(1997)Nucliec Acids Res.25:3389〜3402に記載のようにギャップ付きBLASTを利用することができる。あるいは、PSI−Blastを用いて、分子間の遠い関係性を検出する反復検索を行うことができる(同上)。BLAST、ギャップ付きBLAST、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(たとえば、XBLASTおよびNBLAST)の初期設定パラメータを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用される数学アルゴリズムの別の例は、MyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)が、そのようなアルゴリズムを組み込んでいる。当分野で知られている配列解析の他のアルゴリズムには、TorellisおよびRobotti(1994)Comput.Appl.Biosci.、10:3〜5に記載されているADVANCEおよびADAM、ならびにPearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444〜8に記載されているFASTAが含まれる。FASTA内で、ktupとは、検索の感度および速度を設定する制御オプションである。
本明細書中で使用する場合、用語「神経成長因子」および「NGF」とは、神経成長因子およびNGFの生物活性の少なくとも一部を保持するその変異体をいう。本明細書中で使用するNGFには、ネイティブ配列NGFの、ヒト、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、またはウシ亜科動物を含めたすべての哺乳動物種が含まれる。
「NGF受容体」とは、NGFによって結合または活性化されるポリペプチドをいう。NGF受容体には、それだけには限定されないが、ヒト、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、霊長類、またはウシ亜科動物を含めた、任意の哺乳動物種のTrkA受容体およびp75受容体が含まれる。
本明細書中で使用する「抗NGF拮抗抗体」(「抗NGF抗体」と互換性があるように呼ばれる)とは、NGFと結合して、NGFシグナル伝達によって媒介されるNGF生物活性および/または下流経路を阻害することができる抗体をいう。抗NGF拮抗抗体には、受容体結合および/またはNGFに対する細胞応答の誘発などのNGFシグナル伝達によって媒介される下流経路を含めた、NGF生物活性を遮断、拮抗、抑制または減少する(顕著なものが含まれる)抗体が包含される。本発明の目的のために、用語「抗NGF拮抗抗体」には、既に同定した用語、主題、ならびに機能状態および特徴のすべてが包含され、NGF自体、NGF生物活性(それだけには限定されないが、手術後疼痛の任意の側面を媒介するその能力が含まれる)、または生物活性の結果が、任意の有意な度合で実質的に無効化、減少、または中和されることが明確に理解される。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、NGFと結合して、NGFの二量体化および/またはNGF受容体(p75および/またはtrkAなど)との結合を防止する。他の実施形態では、抗NGF抗体は、NGFと結合して、trkA受容体の二量体化および/またはtrkAの自己リン酸化を防止する。抗NGF拮抗抗体の例を本明細書中に提供する。
NGFの「生物活性」とは、一般に、NGF受容体と結合するおよび/またはNGF受容体シグナル伝達経路を活性化する能力をいう。それだけには限定されないが、生物活性には、以下のうちの任意の1つまたは複数が含まれる:NGF受容体(p75および/またはtrkAなど)と結合する能力、trkA受容体の二量体化および/または自己リン酸化を促進する能力、NGF受容体シグナル伝達経路を活性化する能力、細胞の分化、増殖、生存、成長および細胞の生理学の他の変化[(末梢および中枢ニューロンを含めたニューロンの場合は)神経形態学の変化、シナプス形成、シナプス機能、神経伝達物質および/または神経ペプチドの放出ならびに損傷後の再生が含まれる]を促進する能力、マウスE13.5三叉神経ニューロンの生存を促進する能力、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を媒介する能力。
本明細書中で使用する「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち、汚染物質を含まない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、より好ましくは少なくとも98%純粋、より好ましくは少なくとも99%純粋な物質をいう。
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチド挿入物を取り込ませるためのベクターのレシピエントとなることができる、またはそうであった、個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には単一の宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は、天然、偶発的、または意図的な突然変異が原因で必ずしも元の親細胞と(形態学またはゲノムDNA補体性において)完全に同一でない場合がある。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチドを用いてin vivoで形質移入した細胞が含まれる。
本明細書中で使用する「治療」とは、有益または所望の臨床的結果を得るための手法である。本発明の目的のために、有益または所望の臨床的結果には、それだけには限定されないが、以下のうちの1つまたは複数が含まれる:間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の任意の側面の改善または軽減。本発明の目的のために、有益または所望の臨床的結果には、それだけには限定されないが、以下のうちの1つまたは複数が含まれる:重篤度の軽減、疼痛の任意の側面を含めた、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の軽減(疼痛の持続期間の短縮、疼痛感受性または感覚の減少など)。
薬物、化合物、または医薬組成物の「有効量」とは、疼痛感覚の軽減または減少などの臨床的結果を含めた、有益または所望の結果をもたらすために十分な量である。有効量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的のために、有効量の薬物、化合物、または医薬組成物とは、強度を治療、寛解、減少させる、ならびに/または間質性膀胱炎および/もしくは有痛性膀胱症候群および/もしくは膀胱痛症候群に関連する疼痛もしくは下部尿路症状を予防するために十分な量である。一部の実施形態では、「有効量」は、静止時の疼痛(静止時疼痛)もしくは力学的に誘発される疼痛(動作後の疼痛が含まれる)、または両方を減少する場合があり、有痛性刺激の前、その間またはその後に投与し得る。臨床的コンテキストで理解されるように、有効量の薬物、化合物、または医薬組成物は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成される場合もされない場合もあり得る。したがって、「有効量」は、1つまたは複数の治療剤を投与するコンテキストにおいて検討される場合があり、1つまたは複数の他の薬剤と併せて望ましい結果が達成され得るまたは達成される場合は、単一の薬剤を有効量で与えることを検討し得る。
間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の「発生率の減少」とは、重篤度(たとえばオピエートを含めた、この状態に一般に使用される他の薬物および/もしくは治療の必要性および/もしくは量(たとえば曝露)の減少が含まれることができる)、持続期間、ならびに/または頻度(たとえば、個体における時間疼痛(time pain)の遅延もしくは増加が含まれる)の減少のうちの、任意のものを意味する。当業者には理解されるように、個体は、治療に対するその応答に関して異なる場合があり、したがって、たとえば、「個体において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の発生率を減少させる方法」とは、そのような投与が、その特定の個体においてそのような発生率の減少を引き起こし得る合理的な予測に基づいて、抗NGF拮抗抗体を投与することを反映する。
間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を「寛解させること」とは、抗NGF拮抗抗体を投与しないことと比較した、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の1つまたは複数の症状の軽減または改善を意味する。また、「寛解させること」には、症状の持続期間の短縮または減少も含まれる。
間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を「緩和させること」とは、個体または個体集団において疼痛および/または下部尿路症状の1つまたは複数の望ましくない臨床徴候の程度の軽減を意味する。
本明細書中で使用する、疼痛の発生を「遅延させること」とは、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の進行を延期させる、妨害する、減速する、遅らせる、安定化させる、および/または後回しにすることを意味する。この遅延は、疾患の経歴および/または治療する個体に応じて、様々な長さの時間であることができる。当業者には明らかであるように、十分または顕著な遅延は、事実上、個体が疼痛を発生しないという点で、予防を包含することができる。症状の発生を「遅延する」方法とは、方法を使用しない場合と比較して、所定のタイムフレーム内で症状を発生する確率を減少させる、および/または所定のタイムフレーム内での症状の程度を減少させる方法である。そのような比較は、典型的には、統計的に有意な数の対象を用いた臨床研究に基づく。
本明細書中で使用する「疼痛」とは、急性および慢性の疼痛を含めた任意の病因学の疼痛、ならびに炎症性の構成要素を有する任意の疼痛をいう。本明細書中で使用する「疼痛」には、痛覚および疼痛の感覚が含まれ、疼痛は、疼痛スコアおよび当分野で周知の他の方法を用いて客観的および主観的に評価することができる。疼痛は、当分野で周知のように、一次または二次疼痛であることができる。
本明細書中で使用する「間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛」とは、下腹部(骨盤)痛、膀胱痛、恥骨上痛、膣痛、陰茎、精巣、陰嚢および会陰の疼痛、尿道痛、性交疼痛、膀胱が満たされるにつれて増加し得る疼痛、圧力または不快感をいう。
本明細書中で使用する「間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する下部尿路症状」とは、3つの群の泌尿器症状をいい、これらは、貯蔵(刺激性)、排尿(閉塞性)および排尿後の症状として定義し得る。貯蔵症状は、切迫、頻発、夜間多尿、切迫尿失禁および緊張性尿失禁を含み、これは、過活動膀胱(OAB)および良性前立腺肥大(BPH)と関連している場合がある。排尿症状は、躊躇、流れの不良、間欠性、いきみおよび排尿障害を含む。排尿後症状は、終末時滴下、排尿後滴下および残尿感を含む。
「過活動膀胱(OAB)」とは、緊迫性尿失禁を伴ったまたは伴わない、通常は頻発および夜間多尿を伴った切迫として定義される[Abramsら、Neurourology and Urodynamics 21:167〜178(2002)]。男性および女性のOABの有病率は同様であり、米国の集団の約16%がこの状態を患っている[Stewartら、Prevalence of Overactive Bladder in the United States:Results from the NOBLE Program、第2回国際失禁会議(the 2nd International Consultation on Incontinence)に提出されたアブストラクト、2001年7月、フランスParis]。
用語ウェットOABおよびドライOABとは、それぞれ尿失禁を伴ったまたは伴わないOAB患者を説明している。以前は、OABの主症状は尿失禁であると考えられていた。しかし、新しい用語の出現に伴って、これは、失禁者ではない多数の罹患者(すなわちドライOAB患者)にとって明らかに無意味である。したがって、Libermanら[Health Related Quality of Life Among Adults with Symptoms of Overactive Bladder:Results From A US Community−Based Survey、Urology 57(6)、1044〜1050、2001]の2001年の研究は、米国集団の団体に基づいたサンプルの生活の質に対する、すべてのOAB症状の影響を調査した。この研究は、実証可能な尿損失を全く伴わないOABを患っている個体は、対照と比較して生活の質が損なわれていることを実証している。
「BPH」とは、急性尿貯留、再発性尿路感染症、膀胱結石および腎臓機能不全などの合併症をもたらす可能性がある、慢性的な進行性疾患である。男性におけるBPHに関連するLUTSの有病率および平均重篤度は、年齢に伴って増加する。BPHは前立腺の体積の増加をもたらし、それにより尿道および膀胱の流出閉塞ならびに膀胱機能の二次的変化がもたらされる。この効果は、貯蔵(刺激性)および排尿(閉塞性)の症状のどちらによっても顕在化される。
「生体試料」には、個体から得られた様々な試料種が包含され、診断または監視アッセイで使用することができる。この定義には、血液および生物学的起源の他の液体試料、生検標本またはそれに由来する組織培養物もしくは細胞、およびその子孫などの、固体組織試料が包含される。また、この定義には、その獲得後に、試薬を用いた処理、可溶化、またはタンパク質もしくはポリヌクレオチドなどの特定の構成要素の濃縮、または、切片作製目的のための半固体または固体のマトリックス中への包埋などによる、任意の方法で操作した試料が含まれる。用語「生体試料」には臨床的試料が包含され、培養中の細胞、細胞上清、細胞溶解液、血清、血漿、生体液、および組織試料も含まれる。
「個体」または「対象」とは、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、それだけには限定されないが、家畜(ウシなど)、スポーツ動物、ペット(ネコ、イヌおよびウマなど)、霊長類、マウスならびにラットが含まれる。
本明細書中で使用する「ベクター」とは、1つまたは複数の目的の遺伝子または配列を宿主細胞内に送達し、好ましくは発現させることができる構築体を意味する。ベクターの例には、それだけには限定されないが、ウイルスベクター、裸DNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、陽イオン性凝縮剤と会合したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム内にカプセル封入したDNAまたはRNA発現ベクター、および産生細胞などの特定の真核細胞が含まれる。
本明細書中で使用する「発現制御配列」とは、核酸の転写を指示する核酸配列を意味する。発現制御配列は、構成的もしくは誘導性プロモーターなどのプロモーター、またはエンハンサーであることができる。発現制御配列は、転写する核酸配列と作動可能に連結している。
本明細書中で使用する「薬学的に許容できる担体」には、活性成分と組み合わせた場合に、成分が生物活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非反応性である、任意の物質が含まれる。例には、それだけには限定されないが、リン酸緩衝溶液などの標準の医薬担体、水、油/水乳濁液などの乳濁液、および様々な種類の湿潤剤のうちの任意のものが含まれる。エアロゾルまたは非経口投与用の好ましい希釈剤は、リン酸緩衝溶液または正常(0.9%)生理食塩水である。そのような担体を含む組成物は、周知の慣用方法によって配合する(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州Easton、1990、およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy第20版Mack Publishing、2000を参照)。
本明細書中で使用する用語「Koff」とは、抗体−抗原の相互作用から抗体が解離するオフ速度定数をいうことを意図する。本明細書中で使用する用語「Kon」とは、特定の抗体−抗原の相互作用のオン速度または会合速度をいうことを意図する。本明細書中で使用する用語「K」とは、Koff対Konの比から得られ、モル濃度(M)として表現する、抗体−抗原の相互作用の解離定数をいうことを意図する。抗体のK値は、当分野で十分に確立された方法を用いて決定することができる。抗体のKを決定するための一方法は、表面プラズモン共鳴を用いることによる、典型的にはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを用いることによる。
間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を治療または予防するために抗NGF拮抗抗体を使用する方法
本発明は、ヒトおよび非ヒトの両方の哺乳動物を含めた、個体において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を治療または予防する方法を提供する。したがって、一態様では、本発明は、有効量の抗NGF拮抗抗体を投与することを含む、個体において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を治療または予防する方法を提供する。適切な抗NGF拮抗抗体は本明細書中に記載されている。
別の態様では、本発明は、個体において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の発症、発生または進行の発生率を減少する、寛解させる、抑制する、緩和させる、および/または遅延させる方法を提供する。したがって、一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に罹患している個体において、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状が発生する前に投与する。
抗NGF拮抗抗体は、任意の適切な経路によって個体に投与し得る。様々な投与経路の例は、本明細書中に記載されている。
一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、15週間に1回、20週間に1回、25週間に1回、または26週間に1回投与する。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、または6カ月に1回投与する。
下部尿路症状からの鎮痛または緩和は、緩和の経時変化によって特徴づけられ得る。したがって、一部の実施形態では、緩和は、抗NGF拮抗抗体を投与した後の約24時間以内に観察される。他の実施形態では、緩和は、抗NGF拮抗抗体を投与した後の約36、48、60、72時間または4日間以内に観察される。一部の実施形態では、疼痛および/もしくは下部尿路症状の頻度および/もしくは強度が減弱する、ならびに/または疾患に罹患している者の生活の質が増加する。一部の実施形態では、鎮痛は、抗NGF拮抗抗体の単一の用量の後に、少なくとも約7日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約28日間、少なくとも約35日間、少なくとも約42日間、少なくとも約49日間、少なくとも約56日間、少なくとも約63日間、少なくとも約70日間、少なくとも約77日間、少なくとも約84日間、少なくとも約180日間、またはそれよりも長い期間の間もたらされる。
下部尿路症状からの鎮痛または緩和は、疼痛数値化スケール(NRS)の変化、オリアリー−サント間質性膀胱炎症状指標(ICSI)の変化、オリアリー−サント間質性膀胱炎問題指数(ICPI)の変化、骨盤痛および切迫/頻発(PUF)症状のスコアの変化ならびに/または排尿頻度、夜間頻度、失禁発症頻度、1回の排尿あたり排尿される平均体積、平均の間質性膀胱炎疼痛重篤度、尿意切迫発症、平均睡眠障害スコア、平均の性行為痛に関連する疼痛のスコア、全体応答評価、開存性報告治療(patent reporting treatment)影響評価、治療失敗、バイオマーカー、安全性エンドポイントおよび/もしくは薬物動態学測度を含めた排尿変数の変化によって特徴づけられ得る。バイオマーカーには、とりわけ、NGF、糖タンパク質−51(GP−51)、抗増殖因子(APF)およびHB−表皮成長因子(HB−EGF)が含まれ得る。
本発明の方法で使用するための例示的な抗NGF抗体(間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状に関連して)は抗NGF拮抗抗体であり、これは受容体結合および/またはNGFに対する細胞応答の誘発などのNGFシグナル伝達によって媒介される下流経路を含めたNGF生物活性を遮断、抑制または減少する(顕著なものが含まれる)、任意の抗体をいう。用語「拮抗剤」は、生物学的作用のいかなる特定の機構も暗示するものではなく、異なる様々かつ化学的に多様な組成物によって達成することができる、NGFとのすべての可能な薬理学的、生理的、および生化学的な相互作用ならびにその結果が明確に含まれかつ包含されるとみなされる。本発明の目的のために、用語「拮抗剤」には、既に同定した用語、主題、ならびに機能状態および特徴のすべてが包含され、NGF自体、NGF生物活性(それだけには限定されないが、疼痛の任意の側面を媒介するその能力が含まれる)、または生物活性の結果が、任意の有意な度合で実質的に無効化、減少、または中和されることが明確に理解される。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はNGFと結合する(物理的に相互作用する)、NGF受容体(TrkA受容体および/もしくはp75受容体など)と結合する、ならびに/または下流のNGF受容体シグナル伝達を減少させる(妨げるおよび/もしくは遮断する)。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はNGF(hNGFなど)と結合し、関連ニューロトロフィン、たとえばNT−3、NT4/5、および/またはBDNFなどと顕著に結合しない。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、有害な免疫応答に関連していない。さらに他の実施形態では、抗NGF抗体はヒト化されている(本明細書中に記載の抗体E3など)。一部の実施形態では、抗NGF抗体は抗体E3である(本明細書中に記載)。他の実施形態では、抗NGF抗体は、抗体E3の1つまたは複数のCDRを含む(E3からの1個、2個、3個、4個、5個、または一部の実施形態では、6個すべてのCDRなど)。他の実施形態では、抗体はヒトである。さらに他の実施形態では、抗NGF抗体は、配列番号1(WO2004/058184の図1A)に示される重鎖可変領域のアミノ酸配列および/または配列番号2(WO2004/058184の図1B)に示される軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態では、抗体は、免疫学的に不活性である、たとえば、補体媒介性の溶解を始動しない、または抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を刺激しない定常領域などの、改変された定常領域を含む。他の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613〜2624、PCT WO9958752に記載のように改変する。
本発明の方法で使用するための抗体は、以下の特徴のうちの任意のもの(1つまたは複数)によって特徴づけられる:(a)NGFと結合する能力、(b)NGFシグナル伝達によって媒介されるNGF生物活性および/または下流経路を減少および/または阻害する能力、(c)マウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存性の生存を減少および/または阻害する能力、(d)NT3、NT4/5、および/またはBDNFに対するすべての顕著な交差反応性の非存在、(e)間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を治療および/または予防する能力、(f)NGFのクリアランスを増加する能力、(g)たとえば、キナーゼ受容体活性化アッセイ(KIRA)(米国特許第6,027,927号を参照)を用いて検出される、trkA受容体の活性化を減少または阻害する能力。
本発明の目的のために、抗体は、NGFシグナル伝達機能によって媒介されるNGFおよび/または下流経路を阻害する様式で、NGFと反応する。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はヒトNGFを認識する。さらに他の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はヒトNGFと特異的に結合する。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、NT−3、NT4/5、および/またはBDNFなどの関連ニューロトロフィンと特異的に結合しない。さらに他の実施形態では、抗NGF抗体は、NGFと結合して、NGFとそのTrkAおよび/もしくはp75受容体との結合をin vivoで有効に阻害することができる、ならびに/またはNGFがそのTrkAおよび/またはp75受容体を活性化することを有効に阻害することができる。さらに他の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はモノクローナル抗体である。さらに他の実施形態では、抗NGF抗体はヒト化されている(本明細書中に記載の抗体E3など)。一部の実施形態では、抗NGF抗体はヒトである。たとえば、抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6を記載しているWO2005/019266を参照されたい。一実施形態では、抗体は、ヒトNGF上の1つまたは複数のエピトープを認識するヒト抗体である。別の実施形態では、抗体は、ヒトNGF上の1つまたは複数のエピトープを認識するマウスまたはラット抗体である。別の実施形態では、抗体は、霊長類、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、およびウシ亜科動物からなる群から選択されるNGF上の1つまたは複数のエピトープを認識する。さらなる実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、以下のうちの任意の1つまたは複数から選択される抗体と本質的に同じNGFエピトープと結合する:MAb911、MAb912およびMAb938(Hongoら、Hybridoma 19:215〜227(2000)参照)、本明細書中に定義した抗体(抗体E3など)、ならびに/またはWO20050019266(抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6が含まれる)もしくはWO2006131951(抗体Hu−αD11が含まれる)に記載の抗体。他の実施形態では、抗体は、Mab911と同じエピトープと結合する。別の実施形態では、抗体は、免疫学的に不活性な(たとえば、補体媒介性の溶解または抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)を始動しない)定常領域を含む。ADCC活性は、米国特許第5,500,362号に開示されている方法を用いて評価することができる。一部の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613〜2624、PCT WO9958752に記載のように改変する。
一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、抗体「E3」と呼ばれるヒト化マウス抗NGFモノクローナル抗体、本明細書中に記載のE3関連抗体のうちの任意のもの、または任意のその断片である。
親ネズミ抗NGFモノクローナル抗体911と比較して高い親和性および遅い解離速度でヒトNGFと結合する抗体E3の結合特性を、以下に要約する。E3は、親マウス抗体911よりも約50倍高い結合親和性でヒトNGFと結合する。
また、E3抗体および関連抗体は、その内容が本明細書中に参考として組み込まれているWO2004/058184の実施例2および3に記載されているin vitroアッセイによって評価して、ヒトNGFを拮抗する強力な能力も示す。たとえば、抗体E3は、マウスE13三叉神経ニューロンのNGF依存性の生存を、15pMのヒトNGFの存在下では約21pMのIC50、および1.5pMのヒトNGFの存在下では約1.2pMで拮抗する。
したがって、別の態様では、本発明の抗体およびポリペプチドは、(h)低い解離速度でヒトNGFとの高い親和性結合(一部の実施形態では、約2nM以下のK、および/または約6×10−5s−1よりも遅いkoff)および/または(i)マウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存性の生存を、約15pMのNGF(一部の実施形態ではヒトNGF)では約100pM以下のIC50、および/もしくは約1.5pMのNGFでは約20pM以下のIC50で阻害(遮断)する能力によって、さらに同定および特徴づけられ得る。
本発明に有用な抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ヒト抗体、ならびに、抗体のグリコシル化変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、および共有的に修飾された抗体を含めた、所要の特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された立体配置が包含される場合がある。抗体は、ネズミ、ラット、ヒト、または任意の他の起源(キメラもしくはヒト化抗体が含まれる)であり得る。
一部の実施形態では、本発明は、ATCC番号PTA−4893またはATCC番号PTA−4894の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖を含む抗体を利用する。別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖を含む。また、本発明は、E3および均等な抗体断片(たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、Fcなど)、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ならびに所要の特異性の抗原(NGF)認識部位を含むE3の任意の他の改変された立体配置の、様々な配合物も利用する。E3の抗体およびポリペプチド断片(抗体であってもなくてもよい)、ならびにE3のポリペプチド断片を含むポリペプチドを含めた、E3の均等な抗体は、上述の基準のうちの任意のもの(1つまたは複数)によって同定および特徴づけられる。
したがって、本発明は、以下のうちの任意のもの、または以下のうちの任意のものを含む組成物(医薬組成物が含まれる)を利用する:(a)抗体E3、(b)抗体E3の断片もしくは領域、(c)配列番号17(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖、(c)配列番号16(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖、(d)抗体E3の軽鎖および/もしくは重鎖からの1つもしくは複数の可変領域、(e)配列番号3〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示される抗体E3の1つもしくは複数のCDR(1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個のCDR)、(f)配列番号5(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖からのCDR H3、(g)配列番号8(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖からのCDR L3、(h)配列番号6〜8(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖からの3個のCDR、(i)配列番号3〜5(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖からの3個のCDR、(j)配列番号3〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示される抗体E3の、軽鎖からの3個のCDRおよび重鎖からの3個のCDR、ならびに(k)(b)〜(j)のうちの任意の1つを含む抗体。
抗体E3のCDR部分(コチアおよびカバットCDRが含まれる)は、WO2004/058184の図1Aおよび1Bに図式的に示されており)、以下のアミノ酸配列からなる:
(a)重鎖CDR1(「CDR H1」)GFSLIGYDLN(配列番号3)、
(b)重鎖CDR2(「CDR H2」)IIWGDGTTDYNSAVKS(配列番号4)、
(c)重鎖CDR3(「CDR H3」)GGYWYATSYYFDY(配列番号5)、
(d)軽鎖CDR1(「CDR L1」)RASQSISNNLN(配列番号6)、
(e)軽鎖CDR2(「CDR L2」)YTSRFHS(配列番号7)、および
(f)軽鎖CDR3(「CDR L3」)QQEHTLPYT(配列番号8)。
CDR領域の決定は、十分に当分野の技術範囲内にある。一部の実施形態では、CDRは、カバットおよびコチアCDRの組合せであることができる(「組合せCDR」または「拡張CDR」とも呼ばれる)ことを理解されたい。一部の実施形態では、CDRはカバットCDRを含む。他の実施形態では、CDRはコチアCDRである。
一部の実施形態では、抗体は、E3の少なくとも1個のCDR、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個のCDRに実質的に相同的な少なくとも1つのCDRを含む(または、一部の実施形態では、E3の6個すべてのCDRに実質的に相同的、もしくはE3に由来する)。他の実施形態には、E3の少なくとも2個、3個、4個、5個もしくは6個のCDRに実質的に相同的な、少なくとも2個、3個、4個、5個、もしくは6個のCDRを有する抗体、またはE3に由来する抗体が含まれる。本発明の目的のために、結合特異性および/または全体的な活性(疼痛またはE13.5マウス三叉神経ニューロンのNGF依存性の生存の阻害の治療および/または予防に関する場合がある)は一般に保持されるが、活性の程度はE3と比較して変動し得る(より高いまたは低い場合がある)ことを理解されたい。
一部の実施形態では、抗体は、以下のうちの任意のものを有するE3のアミノ酸配列を含み得る:E3の配列の少なくとも5個の連続したアミノ酸、少なくとも8個の連続したアミノ酸、少なくとも約10個の連続したアミノ酸、少なくとも約15個の連続したアミノ酸、少なくとも約20個の連続したアミノ酸、少なくとも約25個の連続したアミノ酸、少なくとも約30個の連続したアミノ酸であり、アミノ酸のうちの少なくとも3個がE3からの可変領域であるもの。Mab911の拡張CDR配列は、WO2004/058184の図1Aおよび1B、ならびに本明細書中の配列番号9〜14に示されている。一実施形態では、可変領域は、E3の軽鎖からのものである。別の実施形態では、可変領域は、E3の重鎖からのものである。別の実施形態では、5個(以上)の連続したアミノ酸は、配列番号3〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示されるE3の相補性決定領域(CDR)からのものである。
別の実施形態では、抗体は、以下のうちの任意のものを有するE3のアミノ酸配列を含む:E3の配列の少なくとも5個の連続したアミノ酸、少なくとも8個の連続したアミノ酸、少なくとも約10個の連続したアミノ酸、少なくとも約15個の連続したアミノ酸、少なくとも約20個の連続したアミノ酸、少なくとも約25個の連続したアミノ酸、少なくとも約30個の連続したアミノ酸であり、E3配列は、アミノ酸残基CDRH1のL29、CDRH2のI50、CDRH3のW101、および/もしくはCDRH3のA103、ならびに/またはアミノ酸残基CDRL1のS28、CDRL1のN32、CDRL2のT51、CDRL3の91Eおよび/もしくはCDRL3のH92のうちの、任意の1つまたは複数を含む。
明らかなように、本開示全体にわたって、可変領域中のアミノ酸残基を指すために連続的なアミノ酸の番号づけスキームを使用する(すなわち、それぞれの可変領域中のアミノ酸残基は順々に番号づけされている)。当分野で周知のように、カバットおよび/またはコチア番号づけ系は、E3抗体とE3変異体(またはE3変異体であると疑われるポリペプチド)などの2つの抗体またはポリペプチドを比較する場合に有用である。たとえば、E3と別のポリペプチドとの間の比較を行う際に使用するために、所望する場合は、連続的な番号づけをコチアおよび/またはカバットの番号づけにどのように変換するかは、当分野で周知である。WO2004/058184の図23は、連続的なコチアおよびカバットの番号づけを用いて番号づけしたE3の可変領域を示す。さらに、比較を容易にするために、一般に、フレームワーク残基は、一般に、必ずではないがほぼ同数の残基を有することを理解されたい。しかし、CDRの大きさは変動し得る(すなわち、1つまたは複数のアミノ酸残基の挿入および/または欠失を有することが可能である)。E3抗体と候補E3変異体とを比較する場合(たとえば、それをアラインメントする抗体E3よりも、配列が長い候補配列からのCDR領域の場合)は、以下のステップに従い得る(ただし他の方法も当分野で知られている)。候補抗体配列をE3抗体重鎖および軽鎖可変領域とアラインメントする。アラインメントは手動で、または一般的に認められているコンピュータプログラムを用いたコンピュータによって行い得る。アラインメントは、ほとんどのFab配列に共通の一部のアミノ酸残基を用いて容易になり得る。たとえば、軽鎖および重鎖は、それぞれ、典型的には2つのシステインを有し、これらは、しばしば保存された位置に見つかる。候補の変異抗体のアミノ酸配列は、より長い(すなわち、挿入されたアミノ酸残基を有する)またはより短い(欠失したアミノ酸残基を有する)場合があることを理解されたい。追加の残基の挿入を示すために、接尾記号を残基数に付け加えてもよく、たとえば、残基34abcである。たとえば、たとえば残基33および35についてE3配列とアラインメントするが、残基35とアラインメントするためにその間に残基が存在しない候補配列では、残基35は、単純に、残基に割り当てられない。別の手法では、異なる長さのCDRを比較する場合は、比較を、構造的に均等な(たとえば、抗原−抗体の複合体中の同じ位置の)アミノ酸の間で行い得ることが一般に周知である。たとえば、コチア番号づけ(Al−Lazikaniら、上記)は、一般に(すべての事例ではないが)、挿入および欠失を構造的に正しい位置に配置する。また、構造的均等性は、X線結晶構造解析または二重突然変異体サイクル分析を用いて推定または実証してもよい(Ponsら、(1999)Prot.Sci.8:958〜968を参照)。
NGF(hNGFなど)に対する抗NGF抗体の結合親和性は、Kとして、約0.10〜約0.80nM、約0.15〜約0.75nMおよび約0.18〜約0.72nMであることができる。一部の実施形態では、Kは、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pM、または約40pMよりも高い。一実施形態では、Kは、約2pM〜22pMである。他の実施形態では、Kは、約10nM以下、約5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約150pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pM、約30pM、約10pM、約5pMである。一部の実施形態では、Kは約10nMである。他の実施形態では、Kは約10nM以下である。他の実施形態では、Kは約0.1nMまたは約0.07nMである。他の実施形態では、Kは、約0.1nM以下または約0.07nM以下である。他の実施形態では、Kは、約10nM、約5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約150pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pM、約30pM、約10pMから約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、または約40pMのうちの任意のもののうちの、任意のものである。一部の実施形態では、Kは、約10nM、約5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約150pM、約100pM、約90pM、約80pM、約70pM、約60pM、約50pM、約40pM、約30pM、約10pMのうちの任意のものである。さらに他の実施形態では、Kは、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pM、または約40pMよりも高い。
NGFに対する抗体の結合親和性は、当分野で周知の方法を用いて決定することができる。NGFに対する抗体の結合親和性を決定する一方法は、抗体の単官能性Fab断片の結合親和性を測定することによる。単官能性Fab断片を得るために、抗体(たとえばIgG)をパパインで切断するか、または組換えによって発現させることができる。抗体の抗NGF Fab断片の親和性は、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore,INC、ニュージャージー州Piscaway)によって決定することができる。CM5チップは、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイニドヒドロクロリド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて、供給者の指示に従って活性化させることができる。ヒトNGF(または任意の他のNGF)を10mMの酢酸ナトリウム、pH4.0中で希釈することができ、活性化したチップ上に0.005mg/mLの濃度で注入した。個々のチップチャネルにわたって可変の流時間を用いて、2つの範囲の抗原密度を達成することができる:詳細な動力学的研究用には100〜200応答単位(RU)およびスクリーニングアッセイ用には500〜600RU。チップをエタノールアミンでブロッキングすることができる。再生研究により、Pierce溶出緩衝液(製品番号21004、Pierce Biotechnology、Rockford IL)および4MのNaClの混合物(2:1)が、結合したFabを有効に除去する一方で、チップ上のhNGFの活性が200回の注射にわたって保持されることが示されている。HBS−EP緩衝液(0.01MのHEPES、pH7.4、0.15のNaCl、3mMのEDTA、0.005%の界面活性剤P29)をBIAcoreアッセイのランニング緩衝液として使用する。精製したFab試料の段階希釈(0.1〜10×推定K)を1分間、100μL/分で注入し、2時間までの解離時間を許容する。Fabタンパク質の濃度を、標準として既知の濃度のFab(アミノ酸分析によって決定)を用いたELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動によって決定する。動力学的会合速度(kon)および解離速度(koff)が、BIAevaluationプログラムを用いて、データを1:1のラングミュア結合モデル(Karlsson,R.Roos,H.Fagerstam,L.Petersson,B.(1994).Methods Enzymology 6.99〜110)に当てはめることによって同時に得られる。平衡解離定数(K)値をkoff/konとして計算する。このプロトコルは、ヒトNGF、別の脊椎動物(一部の実施形態では哺乳動物)のNGF(マウスNGF、ラットNGF、霊長類NGFなど)を含めた任意のNGFに対する抗体の結合親和性の決定に使用するため、関連ニューロトロフィンNT3、NT4/5、および/またはBDNFなどの他のニューロトロフィンで使用するために適している。
一部の実施形態では、抗体はヒトNGFと結合し、別の脊椎動物種(一部の実施形態では哺乳動物)からのNGFとは顕著に結合しない。一部の実施形態では、抗体は、ヒトNGFおよび別の脊椎動物種(一部の実施形態では哺乳動物)からの1つまたは複数のNGFと結合する。さらに他の実施形態では、抗体は、NGFと結合し、他のニューロトロフィン(関連ニューロトロフィン、NT3、NT4/5、および/またはBDNFなど)と顕著に交差反応しない。一部の実施形態では、抗体は、NGFおよび少なくとも1つの他のニューロトロフィンと結合する。一部の実施形態では、抗体は、ウマまたはイヌなどのNGFの哺乳動物種と結合するが、別の哺乳動物種からのNGFと顕著に結合しない。
エピトープは連続的または非連続的であることができる。一実施形態では、抗体は、その内容の全体が本明細書中に参考として組み込まれている、Hongoら、Hybridoma、19:215〜227(2000)に記載のMAb911、MAb912、およびMAb938、本明細書中に定義した抗体(抗体E3など)および/またはWO2005019266(抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6が含まれる)もしくはWO2006131951(抗体Hu−αD11が含まれる)に記載の抗体からなる群から選択される抗体と本質的に同じヒトNGFエピトープと結合する。別の実施形態では、抗体は、MAb911と本質的に同じhNGFエピトープと結合する。さらに別の実施形態では、抗体は、MAb909と本質的に同じエピトープと結合する。Hongoら、上記。たとえば、エピトープは、hNGFの可変領域1(アミノ酸23〜35)内の残基K32、K34およびE35、hNGFの可変領域4(アミノ酸81〜88)内の残基F79およびT81、可変領域4内の残基H84およびK88、hNGFの可変領域5(アミノ酸94〜98)とhNGFのC末端(アミノ酸111〜118)との間の残基R103、hNGFのプレ可変領域1(アミノ酸10〜23)内の残基E11、hNGFの可変領域2(アミノ酸40〜49)とhNGFの可変領域3(アミノ酸59〜66)との間のY52、hNGFのC末端内の残基L112およびS113、hNGFの可変領域3内の残基R59およびR69、またはhNGFのプレ可変領域1内の残基V18、V20、およびG23のうちの、1つまたは複数を含み得る。さらに、エピトープは、hNGFの可変領域1、可変領域3、可変領域4、可変領域5、N末端領域、および/またはC末端のうちの1つまたは複数を含むことができる。さらに別の実施形態では、抗体は、hNGFの残基R103の溶媒接近性を顕著に減少させる。上述のエピトープはヒトNGFに関するが、当業者は、ヒトNGFの構造を他の種のNGFとアラインメントして、これらのエピトープの可能性のある対応物を同定できることを理解されたい。
一部の実施形態では、本発明で使用するための抗体は、マウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を、およそ200pM、150pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pM、10pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)で阻害(減少および/または遮断)し得る。一部の実施形態では、本発明の抗体またはペプチドは、マウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を、およそ50pM、40pM、30pM、10pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)で阻害(減少および/または遮断)し得る。一部の実施形態では、本発明の抗体またはペプチドは、マウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存性の生存を、およそ150pM、125pM、100pM、80pM、60pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)で阻害(減少および/または遮断)し得る。一部の実施形態では、抗体は、マウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存性の生存を、およそ30pM、25pM、20pM、15pM、10pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、もしくはそれより低いもののうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)で阻害(減少および/または遮断)し得る。マウスE13三叉神経ニューロンのNGF依存性の生存を測定する方法は当分野で知られており、たとえば、WO2004/058184の実施例2に記載されている)。
抗NGF拮抗抗体の同定
本発明で使用するための抗NGF拮抗抗体は、NGF生物活性の減少、寛解、または中和が検出および/または測定される、当分野で知られている方法を用いて同定または特徴づけることができる。PCT WO04/065560に記載されている方法を使用することができる。別の方法、たとえば、米国特許第5,766,863号および第5,891,650号に記載のキナーゼ受容体活性化(KIRA)アッセイを用いて、抗NGF剤を同定することができる。このELISA型アッセイは、受容体タンパク質チロシンキナーゼ(本明細書中で以降「rPTK」)、たとえばTrkA受容体のキナーゼドメインの自己リン酸化を測定することによる、キナーゼ活性化の定性的または定量的な測定、ならびに選択したrPTK、たとえばTrkAの潜在的な拮抗剤の同定および特徴づけに適している。アッセイの第1の段階は、キナーゼ受容体、たとえばTrkA受容体のキナーゼドメインのリン酸化を含み、受容体は、真核細胞の細胞膜中に存在する。
受容体は、内在性受容体もしくは受容体をコードしている核酸であってよいか、または受容体構築体を細胞内に形質転換させてもよい。典型的には、細胞が固相に接着するように、第1の固相(たとえば第1のアッセイプレートのウェル)を、そのような細胞(通常は哺乳動物細胞系)の実質的に同種の集団でコーティングする。多くの場合、細胞は接着性であり、したがって第1の固相に自然に接着する。「受容体構築体」を用いる場合、これは、通常、キナーゼ受容体とフラグポリペプチドとの融合体を含む。フラグポリペプチドは、アッセイのELISA部分において捕捉剤、多くの場合は捕捉抗体によって認識される。その後、チロシンキナーゼ受容体(たとえばTrkA受容体)がNGFおよび分析物に曝露されるように(またはそれと接触するように)、候補NGF拮抗剤(抗NGF拮抗抗体が含まれる)などの分析物を、NGFと一緒に、接着性細胞を有するウェルに加える。このアッセイにより、そのリガンドNGFによるTrkAの活性化を阻害する拮抗剤(抗体が含まれる)の同定が可能となる。NGFおよび分析物への曝露に続いて、溶解緩衝液(その中に可溶化洗剤を有する)および穏やかな動揺を用いて接着性細胞を可溶化して、細胞溶解液を放出させ、これは、細胞溶解液の濃縮または清澄の必要性なしにアッセイのELISA部分に直接供することができる。
その後、このようにして調製した細胞溶解液は、アッセイのELISA段階に供する準備ができている。ELISA段階の第1のステップとして、第2の固相(通常はELISAマイクロタイタープレートのウェル)を、チロシンキナーゼ受容体と、または受容体構築体の場合はフラグポリペプチドと特異的に結合する、捕捉剤(多くの場合は捕捉抗体)でコーティングする。第2の固相のコーティングは、捕捉剤が第2の固相に接着するように実施する。捕捉剤は一般にモノクローナル抗体であるが、本明細書中の実施例に記載するように、ポリクローナル抗体も使用し得る。その後、受容体または受容体構築体が第2の固相に接着する(またはその中に捕捉される)ように、得られた細胞溶解液を接着性捕捉剤に曝露するまたはそれと接触させる。その後、結合していない細胞溶解液を除去し、捕捉された受容体または受容体構築体を残すために、洗浄ステップを実施する。その後、接着性または捕捉された受容体または受容体構築体を、チロシンキナーゼ受容体中のリン酸化されたチロシン残基を同定する抗ホスホチロシン抗体に曝露するまたはそれと接触させる。一実施形態では、抗ホスホチロシン抗体を、非放射性有色試薬の色変化を触媒する酵素とコンジュゲートさせる(直接または間接的に)。したがって、受容体のリン酸化は、続く試薬の色変化によって測定することができる。酵素は、抗ホスホチロシン抗体と直接結合することができるか、またはコンジュゲート分子(たとえばビオチン)を抗ホスホチロシン抗体とコンジュゲートさせ、続いて、酵素を、コンジュゲート分子を介して抗ホスホチロシン抗体と結合させることができる。最後に、抗ホスホチロシン抗体と捕捉された受容体または受容体構築体との結合を、たとえば有色試薬の色変化によって測定する。
また、抗NGF拮抗抗体は、候補剤をNGFと共にインキュベートし、以下のうちの任意の1つまたは複数の特徴を監視することによっても同定することができる:(a)NGFと結合して、NGFシグナル伝達機能によって媒介されるNGF生物活性または下流経路を阻害すること、(b)NGF受容体活性化(TrkAの二量体化および/または自己リン酸化が含まれる)を阻害、遮断または減少すること、(c)NGFのクリアランスを増加すること、(d)間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の任意の側面を治療または予防すること、(e)NGFの合成、産生または放出を阻害(減少)すること。一部の実施形態では、NGF拮抗剤(たとえば抗NGF拮抗抗体)は、候補剤をNGFと共にインキュベートし、結合および/または付随するNGFの生物活性の減少もしくは中和を監視することによって同定する。結合アッセイは、精製したNGFポリペプチドを用いて行うか、またはNGFポリペプチドを自然に発現する、もしくは発現するように形質移入した細胞を用いて行い得る。一実施形態では、結合アッセイは、NGF結合について既知の抗NGF拮抗抗体と競合する候補剤(抗体など)の能力を評価する、競合的結合アッセイである。アッセイは、ELISA様式を含めた様々な様式で行い得る。他の実施形態では、NGF拮抗剤(抗NGF拮抗抗体など)は、候補剤をNGFと共にインキュベートし、結合ならびに付随するtrkA受容体の二量体化および/または自己リン酸化の阻害を監視することによって同定する。
初期の同定の後、候補抗NGF拮抗抗体の活性は、標的の生物活性を試験することが知られているバイオアッセイによってさらに確認および洗練することができる。あるいは、バイオアッセイは、候補を直接スクリーニングするために使用することができる。たとえば、NGFは、応答性細胞のいくつかの形態学的に認識可能な変化を促進する。これらには、それだけには限定されないが、PC12細胞の分化の促進およびこれらの細胞からの神経突起の成長の増強(Greeneら、Proc Natl Acad Sci U S A.73(7):2424〜8、1976)、応答性の感覚および交感神経節の外植片からの神経突起の成長の促進(Levi−Montalcini,R.およびAngeletti,P.Nerve growth factor.Physiol.Rev.48:534〜569、1968)ならびに胚性後根神経節、三叉神経節、または交感神経節ニューロンなどのNGF依存性ニューロンの生存の促進(たとえば、ChunおよびPatterson、Dev.Biol.75:705〜711、(1977);BuchmanおよびDavies、Development 118:989〜1001(1993)が含まれる。したがって、NGF生物活性の阻害のアッセイは、NGF応答性細胞をNGFおよび候補NGF拮抗剤(抗NGF拮抗抗体が含まれる)などの分析物と共に培養することを伴う。適切な時間後、細胞応答をアッセイする(細胞分化、神経突起の成長または細胞生存)。
また、NGFの生物活性を遮断または中和する候補NGF拮抗抗体の能力は、Hongoら、Hybridoma 19:215〜227(2000)に記載されているように、候補剤が胚性ラット後根神経節生存バイオアッセイにおいて、NGFに媒介される生存を阻害する能力を監視することによって、評価することができる。
本発明で使用するための抗体は、当分野で知られている手順によって作製することができ、その一部はWO2004/058184の実施例に例示されている。抗体は、抗体のタンパク質分解もしくは他の分解によって、WO2004/058184に記載のように組換え方法によって(すなわち、単一もしくは融合ポリペプチド)または化学合成によって産生することができる。抗体のポリペプチド、特に約50個までのアミノ酸のより短いポリペプチドは、化学合成によって好都合に作製される。化学合成の方法は当分野で知られており、市販されている。たとえば、E3抗体は、固相方法を用いた自動ポリペプチド合成器によって産生することができる。米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、および第6,331,415号も参照されたい。また、キメラまたはハイブリッド抗体は、in vitroで、架橋結合剤を含むものを含めた既知の合成タンパク質化学の方法を用いて調製し得る。たとえば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成することによって構築し得る。この目的のための適切な試薬の例には、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデートが含まれる。
別の代替方法では、抗体は、当分野で周知の手順を用いて、組換えによって作製することができる。一実施形態では、抗体E3の可変および軽鎖領域をコードしている配列を含むポリヌクレオチドを、宿主細胞(たとえばCHO細胞)中での発現または増殖のためのベクター内にクローニングする。別の実施形態では、WO2004/058184の図2および3に示されるポリヌクレオチド配列を、発現または増殖のための1つまたは複数のベクター内にクローニングする。目的抗体をコードしている配列を、宿主細胞中のベクター中に維持してよく、その後、宿主細胞を拡大して将来使用するために凍結することができる。ベクター(発現ベクターが含まれる)および宿主細胞は、本明細書中にさらに記載されている。抗体を植物または乳中で組換え発現させる方法が開示されている。たとえば、Peetersら、(2001)Vaccine 19:2756;Lonberg,N.およびD.Huszar(1995)Int.Rev.Immunol 13:65、ならびにPollockら、(1999)J Immunol Methods 231:147を参照されたい。抗体誘導体、たとえば、ヒト化、単鎖などを作製する方法は、当分野で知られている。
また、本発明には、E3などの本発明の抗体の単鎖可変領域断片(「scFv」)も包含される。単鎖可変領域断片は、短い連結ペプチドを用いることによって軽鎖および/または重鎖の可変領域を連結させることによって作製する。Birdら、(1988)Science 242:423〜426。連結ペプチドの例は、一方の可変領域のカルボキシ末端と他方の可変領域のアミノ末端との間の約3.5nmを架橋する、(GGGGS)3(配列番号15)である。他の配列のリンカーが設計および使用されている(Birdら、(1988))。立ち返って、リンカーは、薬物の付着または固体支持体への付着などの、追加の機能のために修飾することができる。単鎖変異体は、組換えまたは合成によって産生することができる。scFvの合成産生には、自動合成器を使用することができる。scFvの組換え産生には、scFvをコードしているポリヌクレオチドを含有する適切なプラスミドを、酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物細胞などの真核、または大腸菌(E.coli)などの原核のどちらかである、適切な宿主細胞内に導入することができる。目的のscFvをコードしているポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーションなどのルーチン操作によって作製することができる。生じるscFvは、当分野で知られている標準のタンパク質精製技術を用いて単離することができる。
また、ダイアボディなどの、単鎖抗体の他の形態も包含される。ダイアボディとは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現されるが、同一鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインが別の鎖の相補的ドメインと対合することを強いて、2つの抗原結合部位が作製される、二価の二重特異性抗体である(たとえば、Holliger,P.ら、(1993)Proc.Natl.Acad Sci.USA 90:6444〜6448;Poljak,R.J.ら、(1994)Structure 2:1121〜1123を参照)。
抗体は、二重特異性抗体、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体であり得る。二重特異性抗体は、本明細書中に開示した抗体を用いて調製することができる。二重特異性抗体を作製する方法は当分野で知られている(たとえば、Sureshら、1986、Methods in Enzymology 121:210を参照)。従来より、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づいていた(MillsteinおよびCuello、1983、Nature 305、537〜539)。
二重特異性抗体を作製する一手法によれば、所望の結合特異性(抗体−抗原の組合せ部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとである。融合体の少なくとも1つ中に存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体、および所望する場合は免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別々の発現ベクター内に挿入し、適切な宿主生物内に同時形質移入する。これにより、構築体中で使用する3つのポリペプチド鎖の不等な比が最適な収率をもたらす実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互割合の調節において高い柔軟性がもたらされる。しかし、等しい比の少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高い収率をもたらす場合、または比が特に有意でない場合は、2つまたは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクター内に挿入することが可能である。
一手法では、二重特異性抗体は、一方のアーム中の第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性をもたらす)からなる。免疫グロブリン軽鎖が二重特異性分子の半分にしか存在しないこの不斉構造は、所望の二重特異性化合物を所望しない免疫グロブリン鎖の組合せから分離することを容易にする。この手法は、1994年3月3日に公開のPCT公開WO94/04690に記載されている。
2つの共有結合された抗体を含むヘテロコンジュゲート抗体も、本発明の範囲内にある。そのような抗体は、免疫系細胞を所望しない細胞に標的化するため(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染症を治療するため(PCT公開出願WO91/00360およびWO92/200373、EP03089)に使用されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋結合方法を用いて作製し得る。適切な架橋結合剤および技術は当分野で周知であり、米国特許第4,676,980号に記載されている。
抗体は、たとえば、当分野で知られている、および本明細書中に記載のヒト化抗体であり得る。
本発明には、その特性に顕著な影響が与えられない機能的に均等な抗体および増強または減少した活性を有する変異体を含めた、抗体E3への修飾が包含される。ポリペプチドの修飾は当分野でルーチン的な実施であり、実施例中にさらに例示されている。修飾されたポリペプチドの例には、アミノ酸残基の置換(保存的置換が含まれる)、機能的活性を顕著に有害変化させないアミノ酸の1つもしくは複数の欠失もしくは付加、または化学類似体の使用を有するポリペプチドが含まれる。
本明細書中で使用するポリペプチド「変異体」とは、ポリペプチドの免疫反応性が実質的に減弱しないように、ネイティブタンパク質から1つまたは複数の置換、欠失、付加および/または挿入により異なるポリペプチドである。言い換えれば、抗原と特異的に結合する変異体の能力は、ネイティブタンパク質と比較して増強されているもしくは変化していないか、またはネイティブタンパク質と比較して50%以下、好ましくは20%以下が減弱していてもよい。ポリペプチド変異体は、好ましくは、同定したポリペプチドに対して少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を示す(本明細書中に記載のように決定)。
抗体のアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変化を抗体DNA内に導入することによって、またはペプチド合成によって調製し得る。そのような変異体には、たとえば、本明細書中に記載の配列番号1または2のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはそれ内への挿入、および/またはその置換が含まれる。欠失、挿入、および置換の任意の組合せを行って最終構築体に達するが、ただし、最終構築体は所望の特徴を保有する。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数または位置の変更などの、抗体の翻訳後プロセスも変更し得る。
突然変異誘発または修飾の好ましい位置である、抗体の特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、「アラニンスキャン突然変異誘発」と呼ばれ、CunninghamおよびWells、1989、Science、244:1081〜1085によって記載されている。残基または標的残基群を同定し(たとえば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)、中性または負荷電のアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えて、アミノ酸と抗原との相互作用をもたらす。その後、さらなるまたは他の変異体を置換部位に、またはその代わりに導入することによって、置換に対して機能感受性を実証するこれらのアミノ酸位置を洗練する。したがって、アミノ酸配列の変異を導入する部位は事前に決定されているが、突然変異自体の性質は事前に決定される必要はない。たとえば、所定の部位での突然変異の性能を分析するために、alaスキャンまたはランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域において実施し、発現された抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。また、本明細書中に記載のライブラリスキャン突然変異誘発を、突然変異誘発または修飾に適した抗体中の位置を同定するために使用し得る。
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から数百個以上の残基を含有するポリペプチドの範囲の長さのアミノおよび/またはカルボキシル末端の融合物、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグと融合した抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、抗体の血清半減期を増加させる酵素またはポリペプチドの抗体のNまたはC末端との融合体が含まれる。
置換変異体は、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が取り除かれ、様々な残基がその代わりに挿入されている。置換突然変異誘発の最も興味深い部位には超可変領域が含まれるが、FRの変更も企図される。保存的置換は、表1に「保存的置換」の見出しの下に示す。そのような置換が生物活性の変化をもたらす場合は、表1中に「例示的な置換」と示す、またはアミノ酸クラスに関して以下に詳述する、より多大な変化を導入して、その産物をスクリーニングし得る。
抗体の生物学的特性の相当な改変は、(a)置換領域中のポリペプチド主鎖の構造、たとえば、シートもしくはヘリックスコンホメーションとして、(b)標的部位での分子の荷電もしくは疎水性、または(c)側鎖のかさの維持に対するその効果が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいてグループに分けられている:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg、
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro、および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスで交換することによって行われる。
また、抗体の正しいコンホメーションの保持に関与していない任意のシステイン残基も、分子の酸化安定性を改善させ、異常な架橋結合を防止するために、一般にセリンで置換し得る。逆に、システイン結合(複数可)を、特に抗体がFv断片などの抗体断片である場合に、その安定性を改善させるために、抗体に付加し得る。
アミノ酸修飾は、1つまたは複数のアミノ酸の変更または修飾から、可変領域などの領域の完全な再設計の範囲であることができる。可変領域の変化は、結合親和性および/または特異性を変更する場合がある。一部の実施形態では、1〜5個以下の保存的アミノ酸置換をCDRドメイン内に行う。他の実施形態では、1〜3以下の保存的アミノ酸置換をCDR3ドメイン内に行う。さらに他の実施形態では、CDRドメインはCDRH3および/またはCDR L3である。
また、修飾には、グリコシル化および非グリコシル化ポリペプチド、ならびに、たとえば、様々な糖を用いたグリコシル化、アセチル化、およびリン酸化などの他の翻訳後修飾を有するポリペプチドも含まれる。抗体は、その定常領域中の保存された位置でグリコシル化される(JefferisおよびLund、1997、Chem.Immunol.65:111〜128;WrightおよびMorrison、1997、TibTECH 15:26〜32)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boydら、1996、Mol.Immunol.32:1311〜1318;WittweおよびHoward、1990、Biochem.29:4175〜4180)、ならびに、糖タンパク質のコンホメーションおよび提示された三次元表面に影響を与える場合がある、糖タンパク質の部分間の分子内相互作用(HefferisおよびLund、上記、WyssおよびWagner、1996、Current Opin.Biotech.7:409〜416)に影響を与える。また、オリゴ糖は、所定の糖タンパク質を特定の認識構造に基づいて特定の分子に標的化させる役割を果たし得る。また、抗体のグリコシル化は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)に影響を与えることも報告されている。特に、β(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)、二分GlcNAcのグリコシルトランスフェラーゼ触媒形態テトラサイクリン制御性の発現を有するCHO細胞は、改善したADCC活性を有することが報告されている(Umanaら、1999、Mature Biotech.17:176〜180)。
抗体のグリコシル化は、典型的にはN−連結またはO−連結のどちらかである。N−連結とは、炭水化物部分とアスパラギン残基側鎖との付着をいう。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン[式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である]が、炭水化物部分とアスパラギン側鎖との酵素的付着の認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のどちらかが存在することにより、潜在的なグリコシル化部位が生じる。O−連結グリコシル化とは、糖であるN−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つとヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンとの付着をいうが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも使用し得る。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、上述のトリペプチド配列のうちの1つまたは複数が含有されるようにアミノ酸配列を変更することによって、好都合に達成される(N−連結グリコシル化部位)。また、変更は、1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基を元の抗体の配列に付加することによって、またはそれで置換することによっても行い得る(O−連結グリコシル化部位)。
また、抗体のグリコシル化パターンは、基底にあるヌクレオチド配列を変更せずに変更し得る。グリコシル化は、抗体を発現させるために使用する宿主細胞に大きく依存する。潜在的な治療剤として組換え糖タンパク質、たとえば抗体を発現させるために使用する細胞種は、ネイティブ細胞であることが稀であるため、抗体のグリコシル化パターンの変動が予測できる(たとえばHseら、1997、J.Biol.Chem.272:9062〜9070を参照)。
宿主細胞の選択肢に加えて、抗体の組換え産生中にグリコシル化に影響を与える要素には、成長様式、培地配合、培養密度、酸素化、pH、精製スキームなどが含まれる。特定の宿主生物で達成されるグリコシル化パターンを変更するために、オリゴ糖の産生に関与する特定の酵素の導入または過剰発現を含めた、様々な方法が提案されている(米国特許第5,047,335号、第5,510,261号および第5,278,299号)。グリコシル化、または特定の種類のグリコシル化は、糖タンパク質から、たとえばエンドグリコシダーゼH(Endo H)を用いて、酵素的に除去することができる。さらに、特定の種類の多糖類のプロセッシングが欠損しているように、組換え宿主細胞を遺伝子操作することができる。これらおよび類似の技術が当分野で周知である。
他の修飾方法には、それだけには限定されないが、酵素的手段、酸化的置換およびキレート化を含めた、当分野で知られているカップリング技術の使用が含まれる。修飾は、たとえば、免疫アッセイ用の標識の付着に使用することができる。E3ポリペプチドの修飾は、当分野で確立された手順を用いて行い、その一部が以下および実施例中に記載されている、当分野で知られている標準アッセイを用いてスクリーニングすることができる。
他の抗体修飾には、1999年11月18日に公開のPCT公開WO99/58572に記載のように改変された抗体が含まれる。これらの抗体は、標的分子に向けられた結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常ドメインの全部または一部に実質的に相同的なアミノ酸配列を有するエフェクタードメインを含む。これらの抗体は、顕著な補体依存性の溶解、または標的の細胞媒介性破壊を始動させずに、標的分子と結合することができる。一部の実施形態では、エフェクタードメインは、FcRnおよび/またはFcγRIIbと特異的に結合することができる。これらは、典型的には、2つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖CH2ドメインに由来するキメラドメインに基づく。この様式で改変された抗体は、慣用の抗体治療に対する炎症性および他の有害な反応を回避するために、慢性抗体治療での使用に特に適している。
また、本発明は、本発明の抗体またはポリペプチドからの1つまたは複数の断片または領域を含む融合タンパク質も利用する。一実施形態では、配列番号2(WO2004/058184の図1B)に示される可変軽鎖領域の少なくとも10個の連続したアミノ酸および/または配列番号1(WO2004/058184の図1A)に示される可変重鎖領域の少なくとも10個のアミノ酸を含む融合ポリペプチドを提供する。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号1および2(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示されるE3の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、E3の1つまたは複数のCDRを含む。さらに他の実施形態では、融合ポリペプチドは、抗体E3のCDR H3および/またはCDR L3を含む。別の実施形態では、融合ポリペプチドは、アミノ酸残基CDRH1のL29、CDRH2のI50、CDRH3のW101、および/もしくはCDRH3のA103、ならびに/またはアミノ酸残基CDRL1のS28、CDRL1のN32、CDRL2のT51、CDRL3の91Eおよび/もしくはCDRL3のH92のうちの、任意の1つまたは複数を含む。本発明の目的のために、E3融合タンパク質は、1つまたは複数のE3抗体およびネイティブ分子中では付着していない別のアミノ酸配列、たとえば、異種配列または別の領域からの相同配列を含有する。例示的な異種配列には、それだけには限定されないが、FLAGタグまたは6Hisタグなどの「タグ」が含まれる。タグは当分野で周知である。
E3融合ポリペプチドは、当分野で知られている方法、たとえば、合成または組換えによって作製することができる。典型的には、E3融合タンパク質は、本明細書中に記載の組換え方法を用いてそれらをコードしているポリヌクレオチドを調製および発現させることによって作製するが、たとえば化学合成を含めた当分野で知られている他の手段によって調製してもよい。
NGFとの結合、NGF生物活性の減少または阻害、E13.5マウス三叉神経ニューロンのNGF誘発性の生存の減少および/または遮断などの、本発明の抗体およびポリペプチドの能力は、当分野で知られている方法を用いて試験してもよい、その一部は、WO2004/058184の実施例、特にWO2004/058184の実施例2および3に記載されている。
また、本発明は、抗体E3を含む組成物(医薬組成物が含まれる)およびキット、ならびに、本開示によって明らかとなるように、本明細書中に記載の抗体および/またはポリペプチドのうちの任意のものまたはすべても利用する。そのような組成物およびキットは、個体における間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する1つまたは複数の疼痛および/または下部尿路症状の治療および/または予防で使用するためであり得る。
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
また、本発明は、本発明の抗体およびポリペプチド(WO2004058184の図1Aおよび1Bに示される軽鎖および重鎖可変領域のポリペプチド配列を含む抗体が含まれる)をコードしている単離したポリヌクレオチド、ならびに本発明の方法で使用するためのポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞も提供する。
したがって、ポリヌクレオチド(または医薬組成物を含めた組成物)は、以下のうちの任意のものをコードしているポリヌクレオチドを含み得る:(a)抗体E3、(b)抗体E3の断片もしくは領域、(c)配列番号17(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖、(d)配列番号16(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖、(e)抗体E3の軽鎖および/もしくは重鎖からの1つもしくは複数の可変領域、(f)配列番号3〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1B)に示される抗体E3の1つもしくは複数のCDR(1個、2個、3個、4個、5個もしくは6個のCDR)、(g)配列番号5(WO2004/058184の図1Aに示される抗体E3の重鎖からのCDR H3、(h)配列番号8(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖からのCDR L3、(i)配列番号6〜8(WO2004/058184の図1B)に示される抗体E3の軽鎖からの3個のCDR、(j)配列番号3〜5(WO2004/058184の図1A)に示される抗体E3の重鎖からの3個のCDR、(k)配列番号3〜8(WO2004/058184の図1Aおよび1Bに示される抗体E3の軽鎖からの3個のCDRおよび重鎖からの3個のCDR、または(l)(b)〜(k)のうちの任意のものを含む抗体。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号76および77(WO2004/058184の図2および3)に示されるポリヌクレオチドの一方または両方を含む。
別の態様では、本発明は、ATCC番号PTA−4893またはATCC番号PTA−4894の寄託番号を有するE3軽鎖をコードしている単離したポリヌクレオチドを利用する。別の態様では、本発明は、ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するE3重鎖をコードしている単離したポリヌクレオチドを利用する。さらに別の態様では、本発明は、(a)ATCC番号PTA−4894の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている可変領域、および(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている可変領域を含む、単離したポリヌクレオチドを利用する。別の態様では、本発明は、(a)ATCC番号PTA−4894の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている1つもしくは複数のCDR、および/または(b)ATCC番号PTA−4895の寄託番号を有するポリヌクレオチド中にコードされている1つもしくは複数のCDRを含む、単離したポリヌクレオチドを利用する。ATCC寄託番号PTA−4893、PTA−4894およびPTA−4895の下の寄託は、その内容の全体が本明細書中に組み込まれているWO2004/058184に記載されている。
本明細書中に記載の抗体(抗体断片が含まれる)およびポリペプチドのうちの任意のものをコードしているポリヌクレオチドは、当分野で知られている手順によって作製することができる。
別の態様では、本発明は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の治療または予防に使用するための、本発明のポリヌクレオチドのうちの任意のものを含む、組成物(医薬組成物など)を提供する。一部の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載のE3抗体をコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。他の実施形態では、組成物は、本明細書中に記載の抗体またはポリペプチドのうちの任意のものをコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。さらに他の実施形態では、組成物は、WO2004/058184の図2および3に示されるポリヌクレオチドの一方または両方を含む。発現ベクター、およびポリヌクレオチド組成物の投与を、本明細書中にさらに記載する。
別の態様では、本発明は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を治療または予防する方法で使用するための、本明細書中に記載のポリヌクレオチドのうちの任意のものを作製する方法を提供する。
任意のそのような配列に相補的なポリヌクレオチドも、本発明によって包含されている。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コードもしくはアンチセンス)または二本鎖であってよく、また、DNA(ゲノム、cDNAもしくは合成)またはRNA分子であってよい。RNA分子には、イントロンを含有し、1対1の様式でDNA分子に対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有しないmRNA分子が含まれる。必要ではないが、追加のコードまたは非コード配列が本発明のポリヌクレオチド内に存在していてもよく、また、必要ではないが、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持物質と連結していてもよい。
ポリヌクレオチドは、ネイティブ配列(すなわち、抗体もしくはその一部分をコードしている内在性配列)を含んでいてもよく、またはそのような配列の変異体を含んでいてもよい。ポリヌクレオチド変異体は、ネイティブ免疫反応性分子と比較してコードされているポリペプチドの免疫反応性が減弱しないように、1つまたは複数の置換、付加、欠失および/または挿入を含有する。コードされているポリペプチド免疫反応性に対する効果は、一般に、本明細書中に記載のように評価し得る。変異体は、好ましくは、ネイティブ抗体またはその一部分をコードしているポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を示す。
2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が、以下に記載のように最大一致についてアラインメントした場合に同じである場合に、「同一」であるといわれる。2つの配列間の比較は、典型的には、比較ウィンドウにわたって配列を比較して、配列類似度の局所的な領域を同定および比較することによって行う。本明細書中で使用する「比較ウィンドウ」とは、少なくとも約20個の連続した位置、通常は30〜約75個、40〜約50個のセグメントをいい、2つの配列を最適にアラインメントした後に、配列を同じ数の連続した位置の参照配列と比較し得る。
比較のための配列の最適なアラインメントは、生物情報学ソフトウェアのLasergeneスイート(DNASTAR,Inc.、Madison,WI)中のMegalignプログラムを用いて、初期設定パラメータを使用して実施し得る。このプログラムは、以下の参考文献中に記載されているいくつかのアラインメントスキームを具体化している:Dayhoff,M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins − Matrices for deteting distant relationships.Dayhoff,M.O.(編)Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、ワシントンDC 第5巻、補遺3、345〜358ページ;Hein J.、1990、Unified Approach to Alighnment and Phylogenes 626〜645ページ Methods in Enzymology 第183巻、Academic Press,Inc.、カリフォルニア州San Diego;Higgins,D.G.およびSharp,P.M.、1989、CABIOS 5:151〜153;Myers,E.W.およびMuller W.、1988、CABIOS 4:11〜17;Robinson,E.D.、1971、Comb.Theor.11:105;Santou,N.、Nes,M.、1987、Mol.Biol.Evol.4:406〜425;Sneath,P.H.A.およびSokal,R.R.、1973、Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、カリフォルニア州San Francisco、Wilbur,W.J.およびLipman,D.J.、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:726〜730。
好ましくは、「配列同一性のパーセンテージ」は、2つの最適にアラインメントした配列を、少なくとも20個の位置の比較ウィンドウにわたって比較することによって決定し、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントのための参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20%以下、通常は5〜15%、または10〜12%の付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を決定することで、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を参照配列中の位置の合計数(すなわち、ウィンドウの大きさ)で除算し、結果に100を乗算して、配列同一性のパーセンテージを得ることによって、計算する。
また、またはそれに代わって、変異体は、ネイティブ遺伝子、またはその一部分もしくは補体に実質的に相同的であり得る。そのようなポリヌクレオチド変異体は、中等度にストリンジェントな条件下で、ネイティブ抗体(または相補的配列)をコードしている天然に存在するDNA配列とハイブリダイズすることができる。
適切な「中等度にストリンジェントな条件」には、5×SSC、0.5%のSDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液で事前に洗浄すること、50℃〜65℃、5×SSCで終夜ハイブリダイズさせること、続いて、0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCのそれぞれを用いて、65℃で20分間、2回洗浄することが含まれる。
本明細書中で使用する「高度にストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー条件」とは、(1)洗浄に低イオン強度および高温、たとえば、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウム、50℃を用いること、(2)ハイブリダイゼーション中に、ホルムアミド、たとえば50%(v/v)のホルムアミドなどの変性剤を、0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%のフィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.5、および750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムと共に、42℃で用いること、または(3)50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハート溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%のSDS、および10%の硫酸デキストランを42℃で用い、42℃、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%のホルムアミド、55℃で洗浄し、続いて、EDTAを含有する0.1×SSC、55℃からなる高ストリンジェンシーの洗浄を行うことである。当業者には、プローブの長さなどの要素に適合するために、必要に応じて温度、イオン強度などを調節する方法が理解されよう。
当業者には、遺伝暗号の縮重の結果、本明細書中に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が多く存在することが理解されよう。これらのポリヌクレオチドの一部は、任意のネイティブ遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性しか保有しない。それでも、コドン使用頻度の差異によって変動するポリヌクレオチドは、本発明によって具体的に企図される。さらに、本明細書中に提供するポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子が、本発明の範囲内にある。対立遺伝子とは、1つまたは複数の突然変異、たとえば、ヌクレオチドの欠失、付加および/または置換の結果として変更されている内在性遺伝子である。生じるmRNAおよびタンパク質は、必ずではないが、変更された構造または機能を有し得る。対立遺伝子は、標準技術(ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータ塩基配列の比較など)を用いて同定し得る。
本発明で使用するためのポリヌクレオチドは、化学合成、組換え方法、またはPCRを用いて得ることができる。化学的ポリヌクレオチド合成方法は当分野で周知であり、本明細書中で詳述する必要はない。当業者は、本明細書中に提供する配列および市販のDNA合成器を使用して、所望のDNA配列を産生することができる。
組換え方法を用いてポリヌクレオチドを調製するためには、所望の配列を含むポリヌクレオチドを適切なベクター内に挿入することができ、立ち代って、ベクターは、本明細書中でさらに記載するように、複製および増幅のために、適切な宿主細胞内に導入することができる。ポリヌクレオチドは、当分野で知られている任意の手段によって宿主細胞内に挿入し得る。細胞は、直接の取り込み、エンドサイトーシス、形質移入、F−接合または電気穿孔によって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって、形質転換させる。導入された後、外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター(プラスミドなど)として、または宿主細胞ゲノム内に組み込まれて、細胞内に維持されることができる。そのようにして増幅したポリヌクレオチドは、当分野で周知の方法によって宿主細胞から単離することができる。たとえば、Sambrookら、(1989)を参照。
あるいは、PCRは、DNA配列の再現を可能にする。PCR技術は当分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、第4,800,159号、第4,754,065号および第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston(1994)に記載されている。
RNAは、単離したDNAを適切なベクター中で使用して、それを適切な宿主細胞内に挿入することによって得ることができる。細胞が複製されてDNAがRNAへと転写される際、RNAを、たとえばSambrookら、(1989)に記載されているように、当業者に周知の方法を用いて単離することができる。
適切なクローニングベクターは、標準技術に従って構築するか、または当分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択し得る。選択されるクローニングベクターは、使用を意図する宿主細胞に応じて変化し得るが、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一の標的を保有する場合があり、および/またはベクターを含有するクローンの選択に使用することができるマーカーの遺伝子を保有する場合がある。適切な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、たとえば、pUC18、pUC19、Bluescript(たとえばpBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28などのシャトルベクターが含まれる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、BioRad、Strategene、およびInvitrogenなどの販売業者から入手可能である。
発現ベクターは、一般に、本発明によるポリヌクレオチドを含有する複製可能なポリヌクレオチド構築体である。発現ベクターは、宿主細胞中で、エピソームとして、または染色体DNAの組み込まれた部分として複製可能でなければならないことが暗示される。適切な発現ベクターには、それだけには限定されないが、プラスミド、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レトロウイルスを含めたウイルスベクター、コスミド、およびPCT公開WO87/04462に開示されている発現ベクターが含まれる。ベクター構成要素には、一般に、それだけには限定されないが、以下のうちの1つまたは複数が含まれ得る:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、適切な転写性制御要素(プロモーター、エンハンサーおよびターミネーターなど)。発現(すなわち翻訳)には、リボソーム結合部位、翻訳開始部位、およびストップコドンなどの、1つまたは複数の翻訳制御要素も通常は必要である。
目的のポリヌクレオチドを含有するベクターは、電気穿孔、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、または他の物質を用いた形質移入、微粒子銃、リポフェクション、および感染(たとえば、ベクターがワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)を含めた、いくつかの適切な手段のうちの任意のものによって、宿主細胞内に導入することができる。ベクターまたはポリヌクレオチドの導入の選択肢は、多くの場合宿主細胞の特長に依存する。
また、本発明は、本明細書中に記載のポリヌクレオチドのうちの任意のものを含む宿主細胞も利用する。異種DNAを過剰発現することができる任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードしている遺伝子を単離する目的に使用することができる。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例には、それだけには限定されないが、COS、HeLa、およびCHO細胞が含まれる。PCT公開WO87/04462も参照されたい。適切な非哺乳動物宿主細胞には、原核生物(大腸菌(E.coli)または枯草菌(B.subtillis)など)および酵母(出芽酵母(S.cerevisae)、分裂酵母(S.pombe)またはケー・ラクチス(K.lactis))が含まれる。好ましくは、宿主細胞は、存在する場合は、宿主細胞中の対応する目的の内在性抗体またはタンパク質よりも約5倍高い、より好ましくは10倍高い、さらにより好ましくは20倍高いレベルで、cDNAを発現する。NGFに対する特異的結合について宿主細胞をスクリーニングすることは、免疫アッセイまたはFACSによって達成される。目的の抗体またはタンパク質を過剰発現する細胞を同定することができる。
本発明の方法で使用するための組成物
本発明の方法で使用するための組成物(間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状に関連して)は、有効量の抗NGF拮抗抗体を含み、一部の実施形態では、薬学的に許容できる賦形剤をさらに含む。そのような組成物、およびどのように配合するかの例も、本明細書中に記載されている。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はNGFと結合し、関連ニューロトロフィン(NT3、NT4/5、および/またはBDNFなど)と顕著に交差反応しない。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、有害な免疫応答に関連していない。他の実施形態では、抗NGF抗体はヒトNGFを認識する。一部の実施形態では、抗NGF抗体はヒトである。さらに他の実施形態では、抗NGF抗体はヒト化されている(本明細書中に記載の抗体E3など)。さらに他の実施形態では、抗NGF抗体は、抗体媒介性溶解またはADCCなどの、所望しないまたは望ましくない免疫応答を始動しない定常領域を含む。他の実施形態では、抗NGF抗体は、抗体E3の1つまたは複数のCDR(E3の1個、2個、3個、4個、5個、または一部の実施形態では6個すべてのCDRなど)を含む。
組成物は複数のNGF拮抗剤を含むことができることを理解されたい。たとえば、組成物は、NGF拮抗剤のクラスの複数のメンバー(たとえば、NGFの様々なエピトープを認識する抗NGF抗体の混合物)、ならびに様々なNGF拮抗剤のクラスのメンバー(たとえば、抗NGF抗体およびNGF阻害化合物)を含むことができる。他の例示的な組成物は、同じエピトープ(複数可)、NGFの様々なエピトープと結合する抗NGF抗体の様々な種、または様々なNGF阻害化合物を認識する、複数の抗NGF抗体を含む。
本発明中で使用する組成物は、薬学的に許容できる担体、賦形剤、または安定化剤(Remington:The Science and Practice of Pharmacy第20版(2000)Lippincott Williams and Wilkins、K.E.Hoover編.)を、凍結乾燥配合物または水溶液の形態で、さらに含むことができる。薬学的に許容できる賦形剤は、本明細書中にさらに記載されている。
また、抗NGF拮抗抗体およびその組成物は、薬剤の有効性を増強および/または補完する役割を果たす他の薬剤、たとえば、疼痛および/または下部尿路症状の治療または予防に使用する薬剤と併せて使用することもできる。抗NGF拮抗抗体は、そのような薬剤のうちの1つまたは複数と、同時に、逐次的にまたは別々に組み合わせて投与し得る。
抗NGF抗体は、1つもしくは複数の他の薬物と組み合わせて(またはその任意の組合せとして)投与し得る。抗NGF抗体は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状(LUTS)を治療するために、別の薬理学的に活性のある化合物、または2つ以上の他の薬理学的に活性のある化合物と、有用に組み合わせ得る。たとえば、上記定義した抗NGF抗体は、以下から選択される1つまたは複数の薬剤と組み合わせて、同時に、逐次的にまたは別々に投与し得る:
・オピオイド鎮痛剤、たとえば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペンタゾシン、
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、たとえば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンまたはゾメピラック、
・バルビツレート鎮痛剤、たとえば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラールまたはチオペンタール、
・鎮痛作用を有するベンゾジアゼピン、たとえば、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムまたはトリアゾラム、
・鎮痛作用を有するH拮抗剤、たとえば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニルアミンまたはクロルシクリジン、
・鎮痛剤、たとえば、グルテチミド、メプロバメート、メタカロンまたはジクロラルフェナゾン、
・骨格筋弛緩剤、たとえば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールまたはオルフレナジン、
・NMDA受容体拮抗剤、たとえば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)またはその代謝物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニーネ、シス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231(MorphiDex(登録商標)、モルヒネおよびデキストロメトルファンの組合せ配合物)、トピラメート、ネラメキサンまたはペルジンフォテル[NR2B拮抗剤、たとえば、イフェンプロジル、トラキソプロジルもしくは(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンが含まれる]、
・α−アドレナリン作動剤、たとえば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメタトミジン、モダフィニル、テラゾシン、インドラミン、アルフゾシン、シロドシンまたは4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタン−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン、プラゾシン
・三環系抗鬱剤、たとえば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン、
・抗痙攣剤、たとえば、カルバマゼピン、ラモトリギン、トピラトメートまたはバルプロエート、
・タキキニン(NK)拮抗剤、特にNK−3、NK−2またはNK−1拮抗剤、たとえば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]−ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタントまたは3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニルピペリジン(2S,3S)、
・ムスカリン性拮抗剤、たとえば、オキシブチニン、トルテロジン、フェソテロジン、5−ヒドロキシメチルトルテロジン、プロピベリン、塩化トロスピウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリンおよびイプラトロピウム、
・COX−2選択的阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、またはルミラコキシブ、
・コールタール鎮痛剤、特にアセトアミノフェン/パラセタモール、
・神経遮断剤、たとえば、ドロペリドール、クロルプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプリド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン、パリンドール、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント、Miraxion(登録商標)またはサリゾタン、
・バニロイド受容体作用剤(たとえばレシンフェラトキシン)または拮抗剤(たとえばカプサゼピン)、
・β−アドレナリン作動性、たとえばプロプラノロール、
・局所麻酔剤、たとえばメキシレチン、
・コルチコステロイド、たとえばデキサメタゾン、
・5−HT受容体作用剤または拮抗剤(たとえばピゾチフェン)、特に5−HT1B/1D作用剤、たとえば、エレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンまたはリザトリプタン、
・5−HT2A受容体拮抗剤、たとえば、R(+)−α−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907)、
・コリン作動性(ニコチン性)鎮痛剤、たとえば、イスプロニクリン(TC−1734)、(E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−594)またはニコチン、
・Tramadol(商標)、
・PDE−5阻害剤、たとえば、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351またはタダラフィル)、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド;
・α−2−δリガンド、たとえば、ガバペンチン、プレガバリン、3−メチルガバペンチン、(1α,3α,5α)(3−アミノ−メチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)−プロリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプト−6−イル]酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−ヘプタン酸および(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチルオクタン酸、
・カンナビノイド、
・代謝型グルタミン酸サブタイプ1受容体(mGluR1)拮抗剤、
・セロトニン再取り込み阻害剤、たとえば、セルトラリン、セルトラリン代謝物デスメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンデスメチル代謝物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝物デスメチルシタロプラム、エシタロプラム、d,l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イホキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミンおよびトラゾドン、
・ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害剤、たとえば、マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオン代謝物ヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシンおよびビロキサジン(Vivalan(登録商標))、特に選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、たとえばレボキセチン、特に(S,S)−レボキセチン、
・二重セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、たとえば、ベンラファクシン、ベンラファクシン代謝物O−デスメチルベンラファクシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプランおよびイミプラミン、
・誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤、たとえば、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)−アミノ]エチル]−4,4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボキサミジン、またはグアニジノエチルジスルフィド、
・アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、たとえばドネペジル、
・プロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)拮抗剤、たとえば、N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)−カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミドまたは4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸、
・ロイコトリエンB4拮抗剤、たとえば、1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)またはDPC−11870、
・5−リポキシゲナーゼ阻害剤、たとえば、ジロートン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)、または2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル),1,4−ベンゾキノン(CV−6504)、
・ナトリウムチャネル遮断剤、たとえば、リドカイン、またはブピビカイン
・5−HT3拮抗剤、たとえばオンダンセトロン、
・グリコサミノグリカン層置き換え剤および抗炎症剤、たとえばペントサンポリ硫酸(Elmiron(商標))、
・β−3作用剤、たとえば、YM−178(ミラベグロンもしくは2−アミノ−N−[4−[2−[[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アミノ]エチル]フェニル]−4−チアゾールアセトアミド)、ソラベグロン、KUC−7483(リトベグロンもしくは2−[4−[2−[[(1S,2R)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−2,5−ジメチルフェノキシ]−酢酸)またはAK−134、
・抗ヒスタミン剤、たとえばヒドロキシジン、
・H−拮抗剤、たとえば、シメチジン、またはラニチジン
・硝酸銀、
・ステロイド、
・ドキソルビシン、
・コンドロイチン硫酸、
・クロモグリク酸二ナトリウム、
・オキシクロロセン(Clorpactin−(商標))、および
・免疫抑制剤、たとえばシクロスポリン
ならびにその薬学的に許容できる塩および溶媒和物。
抗NGF拮抗抗体の投与
抗NGF拮抗抗体は、任意の適切な経路によって個体に投与することができる(間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状のため)。当業者には、本明細書中に記載の例は、限定することを意図するものではなく、利用可能な技術の例示であることが明らかであろう。したがって、一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、静脈内投与、たとえば、ボーラスとしてもしくは一定期間をかけた持続注入によって、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、舌下、滑液内、ガス注入によって、くも膜下腔内、経口、吸入経皮または局所的経路によってなどの、既知の方法に従って個体に投与する。投与は、全身性、たとえば静脈内投与、または局所であることができる。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含めた液体配合物用の市販の噴霧器が投与に有用である。液体配合物は直接噴霧することができ、凍結乾燥粉末は再構成後に噴霧することができる。あるいは、抗NGF拮抗抗体は、炭化フッ素配合物および定量吸入器を用いてエアロゾル化するか、または凍結乾燥および粉砕した散剤として吸入することができる。
一実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、部位特異的または標的化した局所送達技術によって投与する。部位特異的または標的化した局所送達技術の例には、抗NGF拮抗抗体の様々な移植可能なデポー源またはインフュージョンカテーテル、留置カテーテル、もしくは針カテーテルなどの局所送達カテーテル、合成移植片、外膜ラップ、シャントおよびステントまたは他の移植可能な装置、部位特異的担体、直接注射、または直接塗布が含まれる。たとえば、PCT公開WO00/53211および米国特許第5,981,568号を参照されたい。
E3などの抗体またはその断片(たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、たとえば、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、および所要の特異性の抗原NGF認識部位を含む任意の他の改変された立体配置の様々な配合物を、投与に使用し得る。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はニートで投与し得る。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体および薬学的に許容できる賦形剤は、様々な配合物中にあり得る。薬学的に許容できる賦形剤は、当分野で知られており、薬理学的に有効な物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。たとえば、賦形剤は、形もしくは稠度を与えるか、または希釈剤として作用することができる。適切な賦形剤には、それだけには限定されないが、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変化させるための塩、カプセル封入剤、緩衝液、および皮膚浸透賦活剤が含まれる。非経口および非経口でない薬物送達のための賦形剤ならびに配合物は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy第20版Mack Publishing(2000)に記載されている。
一部の実施形態では、これらの薬剤は、注射による投与(たとえば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)のために配合する。したがって、これらの薬剤は、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液などの薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせることができる。具体的な投薬レジメン、すなわち、用量、タイミングおよび反復は、具体的な個体およびその個体の病歴に依存する。
抗NGF抗体は、注射(たとえば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)によるものを含めた、任意の適切な方法を用いて投与することができる。また、抗NGF抗体は、本明細書中に記載のように、吸入または他の投与形態(たとえば、経口、粘膜、舌下)によって投与することもできる。一般に、抗NGF抗体の投与には、初期の候補用量は約2mg/kgであることができる。
好ましい実施形態では、投与する抗体の濃度は、約0.1〜約200mg/mlの範囲であることができる。好ましくは、抗体の濃度は、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、約40mg/ml、約41mg/ml、約42mg/ml、約43mg/ml、約44mg/ml、約45mg/ml、約46mg/ml、約47mg/ml、約48mg/ml、約49mg/ml、約50mg/ml、約51mg/ml、約52mg/ml、約53mg/ml、約54mg/ml、約55mg/ml、約56mg/ml、約57mg/ml、約58mg/ml、約59mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/mlまたは約110mg/mlである。最も好ましくは、抗体の濃度は、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約22mg/mlおよび約50mg/mlを含む群から選択される。
一部の実施形態では、抗NGF抗体の投与パターンは、1週間に1回、2週間、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、8週間毎、9週間毎、10週間毎、15週間毎、20週間毎、25週間毎、またはそれよりも長い間に1回の用量の投与を含む。一部の実施形態では、抗体は、1カ月毎、2カ月毎、3カ月毎、4カ月毎、5カ月毎、6カ月毎、またはそれよりも長い間に1回投与する。最も好ましくは、抗NGF抗体は、8週間に1回投与する。この治療の進行は、慣用技術およびアッセイによって監視し得る。投薬レジメン(使用するNGF拮抗剤(複数可)が含まれる)は経時的に変動する場合がある。
一部の実施形態では、用量の体積は、約20ml、約15ml、約10ml、約5ml、約2.5ml、約1.5ml、約1.0ml、約0.75ml、約0.5ml、約0.25mlまたは約0.01ml以下である。一部の実施形態では、用量の体積は、約20ml、約19ml、約18ml、約17ml、約16ml、約15ml、約14ml、約13ml、約12ml、約11ml、約10ml、約9ml、約8ml、約7ml、約6ml、約5ml、約4ml、約3ml、約2mlまたは約1mlである。あるいは、約20.5ml、約19.5ml、約18.5ml、約17.5ml、約16.5ml、約15.5ml、約14.5ml、約13.5ml、約12.5ml、約11.5ml、約10.5ml、約9.5ml、約8.5ml、約7.5ml、約6.5ml、約5.5ml、約4.5ml、約3.5ml、約2.5ml、約1.5ml、または約0.5である。あるいは、約900μl、約800μl、約700μl、約600μl、約500μl、約400μl、約300μl、約200μl、または約100μl、あるいは、約950μl、約850μl、約750μl、約650μl、約550μl、約450μl、約350μl、約250μl、約150μl、または約50μlである。最も好ましくは、用量の体積は約2.5ml以下である。
好ましい実施形態によれば、用量は、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、または約110mg以下の抗体を含有する。最も好ましくは、用量は、約50mg以下の抗体を含有する。
好ましい実施形態によれば、用量は、約1μg/kg、約10μg/kg、約20μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約200μg/kg、約500μg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、または約11mg/kg(用量を投与する哺乳動物の体重)である抗体の量を含有する。
数日間以上にわたる繰り返し投与には、状態に応じて、症状の所望の抑制が起こるまで、または疼痛を減少させる十分な治療レベルが達成されるまで、治療を持続する。一実施形態では、投薬レジメンは、約2mg/kgの初期用量、続いて、約1mg/kgの抗NGF抗体の週1回の維持量、または続いて約1mg/kgの隔週の維持量を投与することを含み得る。しかし、従事者が達成することを望む薬物動態学的崩壊のパターンに応じて、他の投薬レジメンが有用であり得る。たとえば、一部の実施形態では、1週間に1〜4回の投薬が企図される。さらに低頻度の投薬を使用し得る。
本発明の目的のために、抗NGF拮抗抗体の適切な用量は、用いた抗体(またはその組成物)、治療する疼痛または下部尿路症状の種類および重篤度、薬剤を予防または治療目的のどちらで投与するか、以前の治療、患者の病歴および薬剤に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存する。典型的には、臨床家は、所望の結果がもたらされる用量に達するまで、抗NGF拮抗抗体を投与する。用量および/または頻度は、治療の経過中に変動する場合がある。
半減期などの経験的な検討事項が、一般に用量の決定に寄与する。たとえば、ヒト化抗体または完全にヒトの抗体などのヒト免疫系と適合性のある抗体を、抗体の半減期を延長するため、および宿主の免疫系によって攻撃されることを防止するために使用し得る。投与の頻度は、治療の経過中に決定および調節してよく、必ずではないが、一般に、疼痛の治療および/または抑制および/または寛解および/または遅延に基づく。あるいは、抗NGF拮抗抗体の持続的な連続放出配合物が適切であり得る。持続放出を達成するための様々な配合物および装置が当分野で知られている。
一部の個体では、複数の用量が必要であり得る。投与の頻度は、治療の経過中に決定および調節し得る。たとえば、投与の頻度は、治療する疼痛および/または下部尿路症状の種類および重篤度、薬剤を予防または治療目的のどちらで投与するか、以前の治療、患者の病歴および薬剤に対する応答、ならびに担当医の裁量に基づいて、決定または調節し得る。典型的には、臨床家は、所望の結果がもたらされる用量に達するまで、抗NGF拮抗抗体(E3など)を投与する。一部の例では、E3抗体の持続的な連続放出配合物が適切であり得る。持続放出を達成するための様々な配合物および装置が当分野で知られている。
一実施形態では、抗NGF拮抗抗体の用量は、NGF拮抗剤の1回または複数回の投与を与えた個体において、経験的に決定し得る。個体に漸増する用量の抗NGF拮抗抗体を与える。抗NGF拮抗抗体の有効性を評価するために、疼痛数値化スケール(NRS)の変化、オリアリー−サント間質性膀胱炎症状指標(ICSI)の変化、オリアリー−サント間質性膀胱炎問題指数(ICPI)の変化、骨盤痛および切迫/頻発(PUF)症状のスコアの変化ならびに/または排尿頻度、夜間頻度、失禁発症頻度、1回の排尿あたり排尿される平均体積、平均の間質性膀胱炎疼痛重篤度、尿意切迫発症、平均睡眠障害スコア、平均の性行為痛に関連する疼痛のスコア、全体応答評価、開存性報告治療影響評価、治療失敗、バイオマーカー、安全性エンドポイントおよび/もしくは薬物動態学測度を含めた排尿変数の変化などの、疼痛または下部尿路症状の指標に従い得る。バイオマーカーには、とりわけ、NGF、糖タンパク質−51(GP−51)、抗増殖因子(APF)およびHB−表皮成長因子(HB−EGF)が含まれ得る。
本発明の方法による抗NGF拮抗抗体の投与は、たとえば、レシピエントの生理的条件、投与の目的が治療的または予防的のどちらであるか、および当業者に知られている他の要素に応じて、連続的または断続的であることができる。抗NGF拮抗抗体の投与は、事前に選択した期間にわたって本質的に連続的であってよく、または、一連の間隔を空けた用量、たとえば、間質性膀胱炎および/もしくは有痛性膀胱症候群および/もしくは膀胱痛症候群に関連する疼痛および/もしくは下部尿路症状が発生する前、その間、もしくはその後、間質性膀胱炎および/もしくは有痛性膀胱症候群および/もしくは膀胱痛症候群に関連する疼痛および/もしくは下部尿路症状を発生する前、その間、その前および後、その間および後、その前およびその間、またはその前、その間、および後のいずれかであってよい。
本発明に従って使用する抗NGF拮抗抗体の治療用配合物は、所望の度合の純度を有する抗体を、任意選択の薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定化剤と(Remington、The Science and Practice of Pharmacy第20版Mack Publishing(2000))、凍結乾燥配合物または水溶液の形態で混合することによって、貯蔵用に調製する。一部の実施形態では、複数の抗NGF拮抗抗体が存在し得る。少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つの異なる、またはそれより多くの抗NGF拮抗抗体が存在することができる。一般に、これらの抗NGF拮抗抗体は、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有する。また、NGF拮抗剤は、薬剤の有効性を増強および/または補完する役割を果たす他の薬剤と併せて使用することもできる。
薬学的に許容できる担体には、生理的に適合性のある任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。典型的には、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮投与(たとえば、注射またはインフュージョンによる)に適している。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、抗体、その抗原結合部分、免疫コンジュゲート、または二重特異性分子を、物質中にコーティングして、化合物を失活させ得る酸の作用および他の天然の条件から化合物を保護する。
許容できる担体、賦形剤、または安定化剤は、用いる用量および濃度でレシピエントに対して無毒性であり、アミノ酸緩衝液を含めたリン酸、クエン酸、酢酸および他の有機酸などの緩衝液、塩化ナトリウムなどの塩、アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤、保存料(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レソルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾールなど)、低分子量(約10個以下の残基)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含めた、単糖、二糖、および他の炭水化物、EDTAなどのキレート化剤、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属錯体(たとえばZn−タンパク質複合体)、ならびに/またはポリソルベート、Tween(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含み得る。
特定の実施形態では、本開示の抗体は、中性形態(双性イオン性形態が含まれる)または正もしくは負に荷電した種として存在し得る。一部の例では、抗体は、対イオンと複合体形成して、薬学的に許容できる塩を形成し得る。したがって、本開示の医薬化合物には、1つまたは複数の薬学的に許容できる塩が含まれ得る。
「薬学的に許容できる塩」とは、親化合物(たとえば抗体)の所望の生物活性を保持しており、望ましくない毒性効果を与えない塩をいう(たとえば、Berge,S.M.ら、(1977)J.Pharm.Sci.66:1〜19を参照)。たとえば、用語「薬学的に許容できる塩」には、1つまたは複数の抗体および1つまたは複数の対イオンを含む複合体が含まれ、対イオンは、薬学的に許容できる無機および有機の酸および塩基に由来する。
そのような塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リンなどの無毒性の無機酸に由来するもの、ならびに脂肪族のモノおよびジカルボン酸、フェニル置換のアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族、芳香族スルホン酸などの無毒性の有機酸に由来するものが含まれる。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属に由来するもの、ならびにN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの無毒性の有機アミンに由来するものが含まれる。
さらに、薬学的に許容できる無機塩基には金属イオンが含まれる。金属イオンには、それだけには限定されないが、適切なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩および他の生理的に許容できる金属イオンが含まれる。無機塩基に由来する塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、コバルト、ニッケル、モリブデン、バナジウム、マンガン、クロム、セレン、スズ、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ルビジウム、ナトリウム、および亜鉛、ならびにそれらの通常の原子価のものが含まれる。
本開示の抗体の薬学的に許容できる酸付加塩は、それだけには限定されないが、ギ酸、酢酸、アセトアミド安息香酸、アジピン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、プロピオン酸、安息香酸、ショウノウ酸、炭酸、シクラミン酸、デヒドロコール酸、マロン酸、エデト酸、エチル硫酸、フェンジゾ酸、メタリン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、タンニン酸、クエン酸、硝酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、葉酸、フマル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リシン、イソクエン酸、トリフルオロ酢酸、パモン酸、プロピオン酸、アントラニル酸、メシル酸、オロト酸、シュウ酸、オキサロ酢酸、オレイン酸、ステアリン酸、サリチル酸、アミノサリチル酸、ケイ酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ニコチン酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、ホスホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、アンモニウム、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、硫酸、硝酸、亜硝酸、硫酸モノメチルエステル、シクロヘキシルアミノスルホン酸、β−ヒドロキシ酪酸、グリシン、グリシルグリシン、グルタミン酸、カコジル酸、ジアミノヘキサン酸、ショウノウスルホン酸、グルコン酸、チオシアン酸、オキソグルタル酸、ピリドキサル5−リン酸、クロロフェノキシ酢酸、ウンデカン酸、N−アセチル−L−アスパラギン酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸を含めた酸から調製することができる。
薬学的に許容できる有機塩基には、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジベンジルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、プロカイン、環状アミン、第四級アンモニウム陽イオン、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クレミゾール、2−エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタンジアミン、ブチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、エチルグルカミン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イミダゾール、イソプロピルアミン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、ピリドキシン、ネオジム、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルアミン、タウリン、コラート、6−アミノ−2−メチル−2−ヘプタノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、脂肪族のモノおよびジカルボン酸、フェニル置換のアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、ストロンチウム、トリシン、ヒドラジン、フェニルシクロヘキシルアミン、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−トリス(ヒドロキシメチル)メタン、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、1,3−ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン、4−モルホリンプロパンスルホン酸、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸、2−[(2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]エタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、4−(N−モルホリノ)ブタンスルホン酸、3−(N,N−ビス[2−ヒドロキシエチル]アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)二水和物、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−4−アミノブタンスルホン酸、N−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸、4−(シクロヘキシルアミノ)−1−ブタンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、およびトロメタモールが含まれる。
他の配合物には、それだけには限定されないが、リポソームなどの担体を含めた、当分野で知られている適切な送達形態が含まれる。たとえば、Mahatoら、(1997)Pharm.Res.14:853〜859を参照されたい。リポソーム調製物には、それだけには限定されないが、サイトフェクチン、多重膜小胞および単層ベシクルが含まれる。
抗NGF拮抗抗体を含有するリポソームは、Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688(1985)、Hwangら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 77:4030(1980)、ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されているものなどの、当分野で知られている方法によって調製する。増強した循環時間を有するリポソームが米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発方法によって作製することができる。リポソームは、定義された孔径のフィルターを通して押し出して、所望の直径を有するリポソームが得られる。
また、活性成分を、たとえば、コアセルベーション技術または界面重合、たとえば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタシレート)マイクロカプセルによって、コロイド状薬物送達系(たとえば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロ乳濁液中で調製した、マイクロカプセル中に捕捉させてもよい。そのような技術は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy第20版Mack Publishing(2000)に開示されている。
持続放出調製物を調製し得る。持続放出調製物の適切な例には、拮抗剤(抗体など)を含有する固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、マトリックスは、成形した物品の形態、たとえば、フィルム、またはマイクロカプセルである。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(たとえば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、または’ポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸と7エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、たとえばLUPRONDEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸のコポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)、酢酸スクロースイソブチレート、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
in vivo投与で使用する配合物は、無菌的でなければならない。これは、たとえば、無菌的な濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
治療用抗NGF拮抗抗体の組成物は、一般に、無菌的なアクセス口を有する容器、たとえば、静脈内溶液バッグまたは皮下注射針で穿孔可能なストッパーを有するバイアル内に入れる。
治療用組成物は、当分野で知られている医療装置を用いて投与することができる。たとえば、本開示の治療用組成物は、米国特許第5,399,163号、第5,383,851号、第5,312,335号、第5,064,413号、第4,941,880号、第4,790,824号、または第4,596,556号に開示されている装置などの、無針皮下注射装置を用いて投与することができる。本開示において有用な周知の移植片およびモジュールの例には、医薬品を制御された速度で分注するための移植可能な微小注入ポンプを開示している米国特許第4,487,603号、皮膚を介して医薬品を投与するための治療用装置を開示している米国特許第4,486,194号、正確なインフュージョン速度で医薬品を送達するための医薬品注入ポンプを開示している米国特許第4,447,233号、連続的な薬物送達のための可変流の移植可能なインフュージョン装置を開示している米国特許第4,447,224号、複数チャンバ区画を有する浸透圧薬物送達系を開示している米国特許第4,439,196号、および浸透圧薬物送達系を開示している米国特許第4,475,196号が含まれる。多くの他のそのような移植片、送達系、およびモジュールが当業者に知られている。
本発明による組成物は、経口、非経口もしくは直腸投与用、または吸入もしくはガス注入による投与用の、錠剤、丸薬、カプセル、散剤、顆粒、溶液もしくは懸濁液、または坐薬などの単位剤形であり得る。
錠剤などの固体組成物の調製には、主要な活性成分を、医薬担体、たとえば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガムなどの慣用の錠剤形成成分、および他の医薬希釈剤、たとえば水と混合して、本発明の化合物、または無毒性の薬学的に許容できるその塩の同種混合物を含有する、固体の予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を同種と言及する場合、組成物が、錠剤、丸薬およびカプセルなどの均等に有効な単位剤形へと容易に分割され得るように、活性成分が組成物全体にわたって均一に分散されていることを意味する。その後、この固体の予備処方組成物を、0.1〜約500mgの本発明の活性成分を含有する上述の種類の単位剤形へと分割する。新規組成物の錠剤または丸薬を、コーティングまたは他の様式で配合して、持続的な作用の利点を与える剤形を提供することができる。たとえば、錠剤または丸薬は、内部投薬構成要素および外部投薬構成要素を含むことができ、後者は前者上のエンベロープの形である。2つの構成要素は、胃内での崩壊に耐え、内部構成要素が未変化で十二指腸内に通されるまたはその放出が遅延されることを可能にする役割を果たす、腸溶層によって隔てることができる。様々な物質をそのような腸溶層またはコーティングに使用することができ、そのような物質には、いくつかのポリマー酸ならびにポリマー酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの物質との混合物が含まれる。
適切な界面活性剤には、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(たとえば、Tween(商標)20、40、60、80または85)および他のソルビタン(たとえば、Span(商標)20、40、60、80または85)などの非イオン性剤が含まれる。界面活性剤を有する組成物は、0.05〜5%の界面活性剤を好都合に含み、0.1〜2.5%であることができる。必要な場合は、他の成分、たとえば、マンニトールまたは他の薬学的に許容できるビヒクルを加え得ることが理解されよう。
適切な乳濁液は、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)などの市販の脂肪乳濁液を用いて調製し得る。活性成分は、事前に混合した乳濁組成物中に溶解するか、または油(たとえば、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油もしくはアーモンド油)ならびにリン脂質(たとえば、卵リン脂質、ダイズリン脂質もしくはダイズレシチン)および水と混合した際に形成される乳濁液に溶解してよい。乳濁液の等張性を調節するために、他の成分、たとえば、グリセロールまたはグルコースを加え得ることが理解されよう。適切な乳濁液は、典型的には20%までの油、たとえば5〜20%を含有する。脂肪乳濁液は、0.1〜1.0.lm、特に0.1〜0.5.lmの脂肪の液滴を含み、5.5〜8.0の範囲のpHを有することができる。
乳濁組成物は、抗NGF抗体)をIntralipid(商標)またはその構成要素(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合することによって調製したものであることができる。
吸入またはガス注入用の組成物には、薬学的に許容できる水性もしくは有機の溶媒、またはその混合物中の溶液および懸濁液、ならびに散剤が含まれる。液体または固体の組成物は、上述の適切な薬学的に許容できる賦形剤を含有し得る。一部の実施形態では、組成物は、局所または全身性の効果のために、経口または経鼻の呼吸器経路によって投与される。好ましくは無菌的な薬学的に許容できる溶媒中にある組成物は、気体を使用することによって噴霧し得る。噴霧した溶液は、噴霧装置から直接呼吸するか、または噴霧装置をフェイスマスク、テントもしくは間欠的陽圧呼吸器に接続し得る。溶液、懸濁液または散剤の組成物は、好ましくは経口または経鼻で、配合物を適切な様式で送達する装置から投与し得る。
治療の有効性は、当分野で周知の方法によって評価することができる。
また、本発明の抗体またはポリペプチド(抗体E3など)のうちの任意のものをコードしているポリヌクレオチドを、所望の細胞における本発明の抗体またはポリペプチド(抗体E3など)のうちの任意のものの送達および発現に使用し得る。発現ベクターを用いてE3抗体またはポリペプチドの発現を指示できることが明らかであろう。発現ベクターは、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、くも膜下腔内、脳室内、経口、経腸、非経口、鼻腔内、経皮、舌下、または吸入によってなどの、当分野で知られている任意の手段によって投与することができる。たとえば、発現ベクターの投与には、注射、経口投与、粒子銃またはカテーテル投与、および外用投与を含めた、局所または全身の投与が含まれる。当業者は、外因性タンパク質の発現をin vivoで得るための発現ベクターの投与に精通している。たとえば、米国特許第6,436,908号、第6,413,942号、および第6,376,471号を参照されたい。
本発明の抗体またはポリペプチド(抗体E3など)のうちの任意のものをコードしているポリヌクレオチドを含む治療用組成物の標的送達も使用することができる。受容体媒介性DNA送達技術は、たとえば、Findeisら、Trends Biotechnol.(1993)11:202;Chiouら、Gene Therapeutics:Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J.A.Wolff編)(1994);Wuら、J.Biol.Chem.(1988)263:621;Wuら、J.Biol.Chem.(1994)269:542;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1990)87:3655;Wuら、J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含有する治療用組成物は、遺伝子治療プロトコルにおける局所投与では、約100ng〜約200mgのDNAの範囲で投与する。また、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgのDNAの濃度範囲も、遺伝子治療プロトコル中に使用することができる。本発明の治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを用いて送達することができる。遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスまたは非ウイルス起源であることができる(一般に、Jolly、Cancer Gene Therapy(1994)1:51;Kimura、Human Gene Therapy(1994)5:845;Connelly、Human Gene Therapy(1995)1:185、およびKaplitt、Nature Genetics(1994)6:148を参照)。そのようなコード配列の発現は、内在性哺乳動物または異種のプロモーターを用いて誘導することができる。コード配列の発現は、構成的であるか、または制御されていることができる。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞中の発現のためのウイルス系ベクターは、当分野で周知である。例示的なウイルス系ビヒクルには、それだけには限定されないが、組換えレトロウイルス(たとえば、PCT公開WO90/07936、WO94/03622、WO93/25698、WO93/25234、WO93/11230、WO93/10218、WO91/02805、米国特許第5,219,740号、第4,777,127号、英国特許第2,200,651号、および欧州特許第0345242号を参照)、アルファウイルス(alphavirus)系ベクター(たとえば、シンドビスウイルス(Sindbis virus)ベクター、セムリキ森林ウイルス(Semlike forest virus)(ATCC VR−67、ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373、ATCC VR−1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)(ATCC VR−923、ATCC VR−1250、ATCC VR1249、ATCC VR−532))、ならびにアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター(たとえば、PCT公開WO94/12649、WO93/03769、WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984およびWO95/00655を参照)が含まれる。Curiel、Hum.Gene Ther.(1992)3:147に記載の、死滅させたアデノウイルスと連結したDNAの投与も用いることができる。
また、それだけには限定されないが、死滅させたアデノウイルス単独と連結したまたは連結していないポリカチオン凝縮DNA(たとえば、Curiel、Hum.Gene Ther.(1992)3:147を参照)、リガンドと連結したDNA(たとえば、Wu、J.Biol.Chem.(1989)264:16985を参照)、真核細胞送達ビヒクル細胞(たとえば、米国特許第5,814,482号、PCT公開WO95/07994、WO96/17072、WO95/30763、およびWO97/42338を参照)および核荷電中和または細胞膜との融合を含めた、非ウイルス送達ビヒクルおよび方法を用いることもできる。裸DNAも用いることができる。例示的な裸DNA導入方法は、PCT公開WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用することができるリポソームは、米国特許第5,422,120号、PCT公開WO95/13796、WO94/23697、WO91/14445、および欧州特許第0524968号に記載されている。さらなる手法は、Philip、Mol.Cell Biol.(1994)14:2411およびWoffendin、Proc.Natl.Acad.Sci.(1994)91:1581に記載されている。
診断方法および使用
また、本明細書中に記載の抗体は、変更されたまたは異常なNGF発現(一部の実施形態では、増加または減少したNGF発現(正常の試料と比較して)、および/または、通常はNGF発現を欠く組織および/もしくは細胞における発現の存在、または通常はNGF発現を保有する組織もしくは細胞におけるNGF発現の非存在などの、不適切な発現)に関連する、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状の検出、診断および監視にも使用し得る。一部の実施形態では、NGF発現は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状に罹患していると疑われる個体からの試料中で検出される。
したがって、一部の実施形態では、本発明は、変更されたまたは異常なNGF発現に罹患していると疑われる個体の検体(試料)を本発明の抗体またはポリペプチドと接触させること、およびNGFのレベルが対照または比較検体のそれと異なるかどうかを決定することを含む方法を提供する。
他の実施形態では、本発明は、個体の検体(試料)を接触させること、およびNGF発現のレベルを決定することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、個体は、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状に罹患していると疑われる。
診断用途のためには、抗体は、典型的には、それだけには限定されないが、放射性同位体、蛍光標識、および様々な酵素−基質の標識を含めた検出可能な部分で標識する。標識を抗体とコンジュゲートさせる方法は当分野で知られている。本発明の他の実施形態では、本発明の抗体は標識されている必要はなく、その存在は、本発明の抗体と結合する標識した抗体を用いて検出することができる。
本発明の抗体は、競合的結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイなどの、任意の既知のアッセイ方法で用い得る。Zola、Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques、147〜158ページ(CRC Press,Inc.1987)。
また、抗体は、in vivoイメージングなどのin vivo診断アッセイでも使用し得る。一般に、免疫シンチオグラフィーを用いて目的の細胞または組織の位置決定ができるように、抗体を放射性核種(111In、99Tc、14C、131I、125I、または3Hなど)で標識する。
また、抗体は、当分野で周知の技術に従って、病態における染色試薬としても使用し得る。
本明細書中に記載のすべての方法に関して、抗NGF拮抗抗体への言及には、これらの薬剤のうちの1つまたは複数を含む組成物も含まれる。これらの組成物は、当分野で周知の、緩衝液を含めた薬学的に許容できる賦形剤などの適切な賦形剤をさらに含み得る。本発明は、単独で、または他の慣用の治療方法と組み合わせて使用することができる。
検出および/または治療で使用するための抗NGF拮抗抗体を含むキット
また、本発明は、検出および/または治療で使用するための抗体を含むキットも提供する。したがって、一部の実施形態では、キットは抗体E3を含む。一部の実施形態では、キットは、本明細書中に記載の任意の抗体またはポリペプチドを含む。他の態様では、キットは、たとえば、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状に罹患している個体を治療するためを含めた、本明細書中に記載の方法のうちの任意のものに使用し得る。本発明のキットは適切なパッケージング中にあり、緩衝液および本明細書中に記載の方法のうちの任意のものにおける抗体の使用説明書などの、追加の構成要素を任意選択で提供し得る。一部の実施形態では、キットには、疼痛または下部尿路症状を治療するための指示書が含まれる。一部の実施形態では、キットは、本明細書中に記載の抗NGF拮抗抗体ならびに個体において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および/または下部尿路症状を治療および/または予防するための指示書を含む。実施形態の一部では、抗NGF拮抗抗体は抗体E3である。
別の態様では、本発明は、本明細書中に記載のE3ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含むキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、本明細書中に記載の方法のうちの任意のものにおけるポリヌクレオチドの使用説明書をさらに含む。
以下の実施例は、本発明を例示するために提供するが、限定するものではない。WO2004/058184中の実施例を、本発明で使用するための抗体を例示するために参照する。WO2004/058184の内容全体が参考として本明細書中に組み込まれている。
(実施例1)
マウス拮抗抗NGF抗体911のヒト化および親和性成熟
A.一般方法
以下の一般方法を本実施例中で使用した。
ライブラリの作製
ライブラリは、Kayら、(1996)、Phage display of peptides and proteins:a laboratory manual、San Diego、Academic Press(277〜291ページを参照)に記載のように、変性オリゴヌクレオチドを用いたPCRカセット突然変異誘発によって作製した。ドーピングコドンNNKを用い、1つのアミノ酸位置をランダム化して20個の可能なアミノ酸を含めた。特定の特性を有するアミノ酸のサブセットのみが含まれるように1つのアミノ酸位置をランダム化するために、Balintら、(1993)Gene 137(1):109〜18)に記載のようにドーピングコドンを用いた。Innisら、(1990)PCR protocols:A guide to methods and applications(177〜183ページを参照)に記載のように、組換えPCRを用いて部位特異的突然変異誘発を行った。
スモールスケールのFab調製
96ウェルプレート中でのスモールスケールの発現を、Fabライブラリをスクリーニングするために最適化した。Fabライブラリで形質転換させた大腸菌(E.coli)から開始して、コロニーを選択して、マスタープレート(寒天LB+アンピシリン(50μg/ml)+2%のグルコース)および作業プレート(2ml/ウェル、96ウェル/プレート、1.5mLのLBを含有+アンピシリン(50μg/ml)+2%のグルコース)の両方に接種した。どちらのプレートも30℃で8〜12時間成長させた。マスタープレートを4℃で保管し、作業プレートからの細胞を5000rpmでペレット化し、1mLのLB+アンピシリン(50μg/ml)+1mMのIPTGに再懸濁させて、Fabの発現を誘発した。細胞を、30℃で5時間の発現時間の後に遠心分離によって収集し、その後、500μLの緩衝液HBS−EP(100mMのHEPES緩衝液、pH7.4、150mMのNaCl、0.005%のP20、3mMのEDTA)に再懸濁させた。HBS−EPに再懸濁させた細胞の溶解は、凍結(−80℃)、その後、37℃で解凍の1回のサイクルによって達成した。細胞溶解液を5000rpmで30分間遠心分離して、細胞細片を、Fabを含有する上清から分離した。その後、上清をBIAcoreプラズモン共鳴装置内に注入して、それぞれのFabの親和性の情報が得られた。Fabを発現するクローンをマスタープレートから救出して、DNAの配列決定ならびに以下に記載のラージスケールのFab産生および詳細な特徴づけを行った。
ラージスケールのFab調製
詳細な動力学的パラメータを得るために、Fabを大培養物から発現および精製した。200mLのLB+アンピシリン(50μg/ml)+2%のグルコースを含有するエルレンマイヤーフラスコに、選択したFab発現大腸菌(E.coli)クローンからの5mLの終夜培養物を接種した。1.0のOD550nmが得られるまでクローンを30℃でインキュベーションし、その後、培地を200mlのLB+アンピシリン(50μg/ml)+1mMのIPTGで置き換えることによって誘発させた。30℃で5時間の発現時間の後、細胞を遠心分離によってペレット化し、その後、10mLのPBS(pH8)に再懸濁させた。細胞の溶解液は、凍結/解凍(それぞれ−80℃および37℃)の2回のサイクルによって得られた。細胞溶解液の上清を、PBS、pH8で平衡化したNi−NTAスーパーフローセファロース(Qiagen、カリフォルニア州Valencia)カラム上に載せ、その後、5倍カラム体積のPBS、pH8で洗浄した。個々のFabが、PBS(pH8)+300mMのイミダゾールを含む異なる画分中で溶出された。Fabを含有する画分をプールし、PBS中で透析し、その後、ELISAによって定量した後に親和性の特徴づけを行った。
完全抗体の調製
完全抗体の発現には、重鎖および軽鎖可変領域を2つの哺乳動物発現ベクター(軽鎖にはEb.911.E3またはEb.pur.911.3E、重鎖にはDb.911.3E、本明細書中に記載されている)中でクローニングし、一過性発現のためにリポフェクテミンを用いてHEK293細胞内に形質移入した。抗体は、タンパク質Aを使用して、標準方法を用いて精製した。
Biacoreアッセイ
抗NGF Fabおよびモノクローナル抗体の親和性は、BIAcore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(BIAcore,INC、ニュージャージー州Piscaway)を用いて決定した。CM5チップを、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイニドヒドロクロリド(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて、供給者の指示に従って活性化させた。ヒトNGFを10mMの酢酸ナトリウム、pH4.0中で希釈し、活性化したチップ上に0.005mg/mLの濃度で注入した。個々のチップチャネルにわたって可変の流時間を用いて、2つの範囲の抗原密度が達成された:詳細な動力学的研究用には100〜200応答単位(RU)およびスクリーニングアッセイ用には500〜600RU。チップをエタノールアミンでブロッキングした。再生研究により、Pierce溶出緩衝液(製品番号21004、Pierce Biotechnology、Rockford,IL)および4MのNaClの混合物(2:1)が、結合したFabを有効に除去した一方で、チップ上のhNGFの活性が200回の注射にわたって保持されることが示された。HBS−EP緩衝液(0.01MのHEPES、pH7.4、0.15のNaCl、3mMのEDTA、0.005%の界面活性剤P29)をすべてのBIAcoreアッセイのランニング緩衝液として使用した。
スクリーニングアッセイ
スクリーニングBIAcoreアッセイを最適化して、ライブラリからのFabクローンの親和性を決定した。小培養物の溶解液の上清を50μl/分で2分間注入した。10〜15分間の解離時間を用いて、BIAevaluationソフトウェアを使用して単一指数の解離速度(koff)を決定した。ライブラリの作製に使用した鋳型(クローン8L2−6D5、koff 1×10−3−1)と同じ範囲のkoff速度を示した試料を確認のために注入し、45分間までの解離時間を許容して、より良好なkoff値が得られた。改善した(より遅い)koff値を示すクローンをラージスケールで発現させ、完全な動力学的パラメータ、konおよびkoffを精製したタンパク質で決定した。このアッセイは、約2倍以上の親和性の差異を検出することができた。
親和性決定アッセイ
精製したFab試料の段階希釈(0.1〜10×推定K)を1分間、100μL/分で注入し、2時間までの解離時間を許容した。Fabタンパク質の濃度を、標準として既知の濃度のFab(アミノ酸分析によって決定)を用いたELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動によって決定した。動力学的会合速度(kon)および解離速度(koff)が、BIAevaluationプログラムを用いて、データを1:1のラングミュア結合モデル(Karlsson,R.Roos,H.Fagerstam,L.Petersson,B.(1994).Methods Enzymology 6.99〜110)に当てはめることによって同時に得られた。平衡解離定数(K)値はkoff/konとして計算した。
B.マウス拮抗抗NGF抗体911のヒト化および親和性成熟
マウス拮抗抗NGF抗体、911(Hongoら、(2000)Hybridoma 19(3):215〜227を参照)をヒト化および親和性成熟のために選択した。Mab911は、ヒトおよびラットのNGFと高い親和性で結合し、ニューロトロフィンNT3、NT4/5またはBDNFと顕著な交差反応性を示さない。Hongo、同上を参照されたい。パパインで切断したマウスMab911のFab断片の親和性は、上述のようにBIAcore分析を用いて決定した。マウスMab911のパパインで切断したFab断片は、約10nMのKでヒトNGFと結合した。
ヒト化および親和性成熟は、以下のようにいくつかのステップで実施した。
(1)CDR移植した鋳型の調製。抗体911の軽鎖拡張CDR(すなわち、カバットおよびコチアCDR領域の両方が含まれる)を、JK2を有するヒト生殖系列アクセプター配列O8内に移植し、抗体911の重鎖拡張CDRを、JH4を有するヒト生殖系列アクセプター配列VH4−59内に移植した。ヒト生殖系列アクセプター配列のアミノ酸配列は、WO2004/058184の図1Aおよび1Bに示されている。アミノ酸の番号づけは連続的である。上述のタンパク質フレームワークを用いて、ネズミCDRを有するヒトフレームワークをコードしている合成遺伝子のDNA配列を設計した。これらのヒト化した重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれhVHおよびhVLと呼ぶ。コドンを、大腸菌(E.coli)およびハムスターでの使用について最適化した。それぞれの鎖について2つの短いフランキングプライマーでhVLおよびhVHの完全長を延長するいくつかの重複するオリゴヌクレオチド(69〜90個の塩基の長さ)を用いて、Prodromouら、(1992)Protein Eng5(8):827〜9に本質的に記載されているように、繰り返しPCRによって2つの遺伝子を別々に合成した。正しい長さの生じるDNA断片をゲル精製し、その後、大腸菌(E.coli)バイシストロン性発現プラスミド(アンピシリン耐性)内にクローニングした。抗体の発現は、Barbas(2001)Phage display:a laboratory manual、ニューヨーク州Cold Spring Harbor、Cold Spring Harbor Laboratory Press(ベクターpComb3X、2.10ページを参照)に記載のものに類似のIPTG誘導性lacZプロモーターの制御下であったが、しかし、改変には、以下の追加のドメインの付加および発現が含まれていた:ヒトκ軽鎖定常ドメイン(GenBank受託番号CAA09181を参照)およびIgG2aヒト免疫グロブリンのCHI定常ドメイン(GenBank受託番号P01859)。
8L2−4D5と呼ばれる、CDR移植した抗体の可変領域のアミノ酸配列(「鋳型」とも呼ばれる)は、WO2004/058184の図1Aおよび1Bにも示されている。8L2−4D5の親和性は上述のようにBIAcore分析を用いて決定した。8L2−4D5は、約38nMのMKでヒトNGFと結合した。
(2)フレームワーク配列内への点突然変異の導入。Innisら、(1995)PCR strategies、San Diego、Academic Pressに記載のように、組換えPCR部位特異的突然変異誘発を用いてV71K置換をCDR移植した重鎖内に導入した。この置換により、ヒトフレームワーク残基が対応するマウスフレームワーク残基で置き換えられた。生じる抗体は8L2−6D5と呼ばれ、8L2−6D5の重鎖可変領域のアミノ酸配列はWO2004/058184の図1Aに示されている。8L2−6D5の親和性は、上述のようにBIAcore分析を用いて決定した。8L2−6D5のFab断片は、約15nMのKdでヒトNGFと結合した。8L2−6D5を親和性成熟の鋳型として選択した。
(3)CDR L1、L2、H1およびH2のヒト化および親和性成熟。CDR L1、L2、H1およびH2を、ヒト化および親和性成熟に供した。コチアカノニカル構造に基づいてCDRの構造に必須でないCDR L1、L2、H1、およびH2中のアミノ酸位置を同定し(Al−Lazikaniら(1997)J.Mol.Biol.273(4):927〜48を参照)、以下のようにランダム化に供した。Balintら、(1993)Gene 137(1):109〜18)に記載のドーピングコドンを用いて、Kayら、(1996)、Phage display of peptides and proteins:a laboratory manual、San Diego、Academic Pressに記載のように、変性オリゴヌクレオチドを用いたPCRカセット突然変異誘発を使用して、表2に示す軽鎖突然変異または重鎖突然変異、ならびに移植した(マウス)CDR L3またはCDR H3をそれぞれ含有する2つのライブラリを調製した。一般に、アミノ酸残基は、抗体911の軽鎖および重鎖アミノ酸配列とヒト生殖系列抗体配列とのアラインメントに基づいて、ヒト抗体中でより一般的な残基へと変更した。野生型(未置換の)アミノ酸残基もライブラリ中で提示したが、ただし、CDR H2の残基50であるメチオニンは例外とした(野生型メチオニンはライブラリ中に提示させなかった)。メチオニン残基は酸化を受けやすく、したがって、その残基と置き換えることで、生じる抗体の安定性が改善されることが予測された。上述のように、FabのライブラリをベクターpComb3X+ヒトCH1およびCκ領域内にクローニングした。
表2:
1.重鎖H1/H2ライブラリ:
CDR−H1
I34をF、L、V、S、P、T、A、またはIに変化させた
N35をN、T、S、またはYに変化させた
CDR−H2
M50を20個の天然のアミノ酸すべてに変化させた
A62をAまたはSに変化させた
L63をLまたはVに変化させた
2.軽鎖L1/L2ライブラリ
CDR−L1
S26をS、A、V、またはFに変化させた
D28をD、A、S、またはYに変化させた
H32をH、N、K、D、E、Q、またはYに変化させた
CDR−L2
Y50をY、D、A、またはSに変化させた
I51をI、T、A、またはVに変化させた
F54をFまたはLに変化させた
S56をSおよびTに変化させた
親和性スクリーニング実験には、それぞれのライブラリを、対応するCDR移植した軽鎖または重鎖とさらに対合させ(たとえば、H1/H2ライブラリをCDR移植した軽鎖と対合させた)、抗体を発現させ、個々のクローンのヒトNGFに対する親和性を、BIACORE 表面プラズモン共鳴(SPR)システム(BIAcore,Inc.ニュージャージー州Piscataway)を用いて、製造者の指示に従い、かつ上述のようにスクリーニングした。koff、konおよびKを決定した。一般に親和性の最大の変動はkoff速度に見られるため、また、さらに、koff速度は抗体濃度とは独立しているため、koff速度に基づいて抗体クローンをランクづけした。
結合したクローンの配列を決定し、結合したクローンの配列を表3に示す。
以下の置換を含有するCDRが結合を保持していた:
CDR−H1
I34:S、L、V、IおよびAが結合した。
N35:N、TおよびSが結合した。
CDR−H2
M50:M、I、G、Q、S、Lが結合した。
A62:AおよびSが結合した。
L63:LおよびVが結合した。
CDR−L1
S26:S、およびFが結合した。
D28:D、S、A、Yが結合した。
H32:H、N、Qが結合した。
CDR−L2
Y50:Yが結合した。
I51:I、T、V、Aが結合した。
F54:Fが結合した
S56:SおよびTが結合した
以下の置換を含有するCDRを一般に結合親和性に基づいて選択し、H19−L129と呼ぶ単一のクローンへと組み合わせた:
CDR−H1:I34L、N35N(変化なし)
CDR−H2:M50I、A62A(変化なし)、L63V
CDR−L1:S26S(変化なし)、D28S、H32N
CDR−L2:Y50Y(変化なし)、I51T、F54F(変化なし)、S56S(変化なし)
これらの突然変異を、移植したH3およびL3 CDRも含まれるH19−L129と呼ばれる単一のクローン内に一緒に合わせた(HおよびL鎖をPCRによって増幅し、PCR産物およびベクター(pRN8)を制限酵素で切断し、3つの断片のライゲーションを行うことによる)。H19−L129の重鎖および軽鎖可変領域の配列はWO2004/058184の図1Aおよび1Bに示されており、表4はCDR L1、L2、H1およびH2のアミノ酸配列を示す。H19−L129は、本明細書中に記載のようにBIAcore分析を用いて決定して、約1nMのKDでNGFと結合した。
(4)H3およびL3 CDRの親和性成熟。H3およびL3 CDRの親和性成熟は、2つのステップで実施した。第1に、「ライブラリスキャン突然変異誘発」と呼ばれるプロセスで、突然変異がヒトNGFに対する結合親和性の増加をもたらすアミノ酸位置を同定するために、H3およびL3中のそれぞれのアミノ酸残基を個々にプレスクリーニングした。ライブラリスキャン突然変異誘発(「小ライブラリランダム化分析」とも呼ばれる)の結果に基づいて、H3およびL3中のアミノ酸位置のサブセットを親和性成熟ライブラリの調製用に選択し、本明細書中に記載のようにBIAcore分析を用いて、親和性成熟ライブラリをヒトNGFに対する親和性についてスクリーニングした。これらの技術を一般に適用できることが理解されよう。
(a)ライブラリスキャン突然変異誘発
H3およびL3 CDR中のそれぞれのアミノ酸位置を、ヒトNGFに対する結合親和性の増加をもたらした置換について個々にプレスクリーニングした。改善した結合、同じ結合、悪化した結合または結合なしをもたらした、任意の所定の位置におけるアミノ酸置換の頻度により、多くの異なるアミノ酸(20個のアミノ酸すべてが含まれる)へと変化させることができるCDR中の位置、および変化させることができない、またはいくつかのアミノ酸へとしか変化させることができないCDR中の位置に関する情報が提供された。増加した結合親和性をもたらしたアミノ酸置換も同定した。このスクリーニングの結果に基づいて、CDR H3およびL3中のアミノ酸位置のサブセットが親和性成熟ライブラリの調製用に選択された。
L3およびH3 CDRのそれぞれのアミノ酸を1つずつ20個のアミノ酸すべてへとランダム化された個々のFabライブラリを調製し、それぞれが、それぞれのアミノ酸位置で20個のアミノ酸の可能性の複雑度を有する、いくつかの(軽鎖に5個のライブラリおよび重鎖に13個のライブラリ)小さなライブラリがもたらされた。すべての場合で、ネイティブ(すなわち未変化の)アミノ酸をライブラリ中に提示させた。ライブラリは、Kayら、(1996)、Phage display of Peptides and Proteins:a laboratory manual、San Diego、Academic Pressに記載のように、20個の可能なアミノ酸が含まれるように1つのアミノ酸位置をランダム化するためにドーピングコドンNNKを用いて、変性オリゴヌクレオチドを用いたPCRカセット突然変異誘発によって調製した。CDR移植した抗体の親和性がより低い場合に、スクリーニング中にH3およびL3突然変異体の親和性の差異のより容易な検出が可能となるため、8L2−6D5(フレームワーク突然変異V71Kを有するCDR移植した抗体)がライブラリ構築の鋳型として役割を果たした。したがって、ライブラリのそれぞれのメンバーが、1つのアミノ酸置換、および5個の移植したCDRを有するCDR3(H3またはL3)を含有していた。
それぞれの小ライブラリからの20〜80個のクローンを、本明細書中に記載のようにBIAcore分析を用いてスクリーニングした。試料を、BIAcoreチップの1つのチャネルにおいてNGFに対する結合親和性について、および重鎖のC末端でのhisタグを検出するために、センサーチップの別のチャネルにおいてペンタhisタグ抗体との結合によってFabの存在について、BIAcoreによって同時に分析した。分類にkoffを用いて、タンパク質を発現したクローンを、同じ親和性、悪化した親和性、より良好な親和性または結合なしを有するとして分類した。この分析の結果を表5に示す。
改善した親和性を有するすべてのクローンの配列を決定し、増加した親和性がもたらされたアミノ酸置換の頻度および同一性が明らかとなった。さらに、置換が必ずしも結合親和性を増加しなかったにもかかわらず、所定の位置で許容されたアミノ酸配列の置換を確認するために、8l2−6D5クローンに類似の親和性を保持していたいくつかのクローンをそれぞれのライブラリから選択した。この分析の結果を表6に要約する。
いくつかの突然変異が増加した結合親和性をもたらした。少なくとも以下の突然変異が、8L2−6D5鋳型と比較して顕著に増加した結合親和性をもたらした:(H_Y101W(CDR配列GGYWYGTSYYFDY(配列番号46))、H_S105A(CDR配列GGYYYGTAYYFDY(配列番号47))、H_S105T(CDR配列GGYYYGTTYYFDY(配列番号48))、H_G103A(CDR配列GGYYYATSYYFDY(配列番号49)、およびL_S91E(CDR配列QQEKTLPYT(配列番号50))。
この実験の結果を用いて、親和性成熟ライブラリを作製するためのアミノ酸位置の選択を導いた。
また、この実験により、表5に示すように、改善した結合、同じ結合、悪化した結合または結合なしをもたらした任意の所定の位置でのアミノ酸置換の頻度に関する情報も提供された。この情報により、多くの異なるアミノ酸(20個のアミノ酸すべてが含まれる)へと変化させることができるCDR中のアミノ酸位置、およびいくつかのアミノ酸または非常にわずかなアミノ酸へと変化させることができる(一部の実施形態では、変化させることができるアミノ酸がない)CDR中の位置の同定が可能となった。また、これらの結果により、結合親和性を増加させたアミノ酸置換も実証された。
(b)親和性成熟
次に、小ライブラリランダム化分析(上記)の結果を用いて、H3およびL3 CDRの親和性成熟のためのH3およびL3ライブラリを作製するための残基を選択した。CDR H3の残基Y101およびG103ならびにCDR L3の残基S91およびK92を、H3およびL3 CDRの親和性成熟のためのH3およびL3ライブラリを作製するために選択した。
このライブラリでは、H3およびL3中の突然変異を、CDR移植したクローン8L2−6D5中で同時に、ならびにH19−L129の背景で別々に組み合わせ、80個の異なるクローンの多様性を有していた。表7は、置換用に選択されたアミノ酸残基およびそれぞれの位置で置換されたアミノ酸を示す。
表7.置換用に選択されたH3およびL3中のアミノ酸残基およびそれぞれの位置で置換されたアミノ酸
CDR−H3:
Y101をYおよびWに変化させた、C.(1つの変性オリゴヌクレオチド中でのコドンTRSの使用は、コドンCも生じたため、Cは含めなかったことに注記されたい)。
G103をA、P、Sに変化させた
CDR−L3:
S91をEに変化させた。
K92を20個のアミノ酸すべてに変化させた。A、R、K、およびHが結合した。
それぞれのポリペプチドをFabとして発現させ、96個の個々のクローンのヒトNGFに対する親和性を、それぞれのライブラリについて、BIACORE分析を用いて、製造者の指示に従い、かつ上述のようにスクリーニングした。この分析の結果を表8に示す。
結合親和性に基づいて、最良のクローンE3(「3E」と互換性があるように呼ばれる)および3Cを、さらなる特徴づけのために選択した。E3は、以下のCDR置換、すなわち、CDR−H3:Y101W、G103A、およびCDR−L3:S91E、K92Hを含んでおり、これらを、以下のL1、L2、H1およびH2突然変異も含まれる単一のクローン内へと合わせた:
CDR−H1:I34L、
CDR−H2:M50I、L63V、
CDR−L1:D28S、H32N、
CDR−L2:I51T。
E3の重鎖および軽鎖可変領域の配列は、配列番号1および2に示されている(WO2004/058184の図1Aおよび1Bも参照)。3Cは、以下のCDR置換、すなわち、CDR−L3:S91E、K92R、CDRH3:Y101W、G103Aを含んでおり、これらを、クローン3Eについて記載したL1、L2、H1およびH2突然変異も含まれる単一のクローン内へと合わせた。
3Eおよび3Cの配列をFabおよび完全抗体を産生させるための哺乳動物発現ベクター内にクローニングし、HEK293細胞中で発現させ、Ni−NTAまたはタンパク質Aクロマトグラフィーを用いて精製した。純粋なタンパク質をアミノ酸分析によって正確に定量した。
ヒトNGFに対するFab E3および3Cの結合親和性を、製造者の指示に従い、かつ上述のように、BIAcore分析を用いて測定したが、ただし、再結合効果を防止するために100RU NGFをチップ上で用いた。手短に述べると、抗体(Fab)のいくつかの濃度を、2分間、それ上に100RUの固定したヒトNGFを有するCM5チップ上に注入し、1800秒間解離させた。マウス抗体911(Fab)を対照として分析した。データは、製造者の指示に従って、BIAevaluationソフトウェアを用いて分析した。抗体E3および911の分析の結果は、WO2004/058184の図9および10に示されている。E3は、約0.07nMのKD(ならびに約6.0e5M−1s−1のkon、および約4.2e−5s−1のkoff)でヒトNGFと結合した。3Cは、約0.35nMのKD(約1.4E−5のkoff)でヒトNGFと結合した。対照的に、マウス抗体911は、3.7nMのKD、8.4×10−5−1のkoffおよび2.2×10Ms−1のkonでNGFと結合した。
抗体E3(3Eと互換性があるように呼ばれる)を、高い結合親和性に基づいたさらなる分析のために選択した。NGFとNGF受容体trkAおよびp75との相互作用を防止するE3の能力を試験するために、2.5nMのヒトNGFを事前に混合し、1時間、0〜50nMの抗体E3(Fab)と共にインキュベーションした。インキュベーション後、試料を10ul/分で、260RUのp75(チャネル2)および600RUのtrkA(チャネル3)を含有するBIAcore CM5チップ上に注入し、%結合を決定した。この分析の結果は、WO2004/058184の図11に示されている。Fab E3の増加した濃度が、減少したシグナル(RUで測定した)によって示されるように、NGFとp75およびtrkAのどちらとの相互作用も遮断し、Fab E3が、ヒトNGFとtrkAおよびp75のどちらとの相互作用も遮断することが示される。抗体E3(Fab)の濃度がNGFの濃度に等しい場合(約2.5nMのNGF濃度)、NGF結合は観察されなかった(0のシグナルによって示される)。NGFの濃度が抗体3Eの濃度に等しい場合に0%のNGF−受容体結合が起こったことにより、2.5nMのNGFが、NGFに対するE3のkDよりも少なくとも10倍高く、平衡状態であることが示唆された。
(実施例2)
マウスE13.5三叉神経ニューロンの生存アッセイを用いた、抗NGF抗体のNGF遮断能力の評価
NGF活性を遮断するFab E3または完全抗体E3の能力を、マウスE13.5三叉神経ニューロンのNGF依存性の生存をin vitroで阻害する抗体の能力を測定することによって評価した。三叉神経節は、顔面領域を神経支配する皮膚感覚ニューロンからなる。マウスE13.5三叉神経ニューロンの生存は、これらのニューロンの生存を支持するためにNGFが必要であるため、抗NGF拮抗抗体のNGF遮断活性を評価するための高感度のアッセイである。たとえば、飽和濃度のNGFでは、生存は48時間の培養中に100%に近い。対照的に、NGFが存在しない場合は、5%以下のニューロンしか48時間で生存しない。
生存アッセイは以下のように実施した:交配期を合わせた(time−mated)妊娠したSwiss Webster雌マウスをCO2吸入によって安楽死させた。子宮角を取り出し、胚期E13.5の胚を抽出し、断頭した。電解により鋭利にしたタングステン針を用いて三叉神経節を解剖した。その後、神経節をトリプシン処理し、物理的に分離し、ポリ−L−オルニチンおよびラミニンでコーティングした96ウェルプレート中の定義された無血清培地に、200〜300個の細胞/ウェルの密度で植えた。
抗NGF Fabまたは抗体の遮断活性は、三叉神経ニューロンに、様々な用量の抗NGF抗体Mab911(Fab)、8L2−6D5、H19−L129、E3および3C、ならびに0.4ng/ml(約15pM、この濃度は生存のためのNGFの飽和濃度を表す)および0.04ng/ml(約1.5pMまで、この濃度はIC50近い)の濃度のヒトまたはラットNGFを加えることによって評価した。48時間培養した後、細胞を、以下のようにBiomek FX液体処理(liquid handling)ワークステーション(Beckman Coulter)上で行う自動免疫細胞化学プロトコルに供した:4%のホルムアルデヒド、5%のスクロース、およびPBSを用いた固定、0.3%のPBS中のTriton X−100を用いた透過処理)、5%の正常ヤギ血清、0.11%のPBS中のBSAを用いた非特異的結合部位の遮断、ならびにニューロンを検出するための一次および二次抗体との逐次的なインキュベーション。一次抗体は、確立された神経の表現型マーカーであるタンパク質遺伝子産物89.5(PGP9.5、Chemicon)に対する、ウサギポリクローナル抗体であった。二次抗体は、Alexa Fluor488ヤギ抗ウサギ(Molecular Probes)、および培養物中に存在するすべての細胞の核を標識するための核色素Hoechst 33342(Molecular Probes)であった。画像収集および画像分析はDiscovery−I/GenII Imager(Universal Imaging Corporation)上で行った。画像はAlexa Fluor488およびHoechst33342の2つの波長で自動的に取得し、核染色はウェルのすべてに存在するため、核染色を、Imagerの画像に基づいた自動フォーカスシステムの参照点として使用した。1個のウェルあたり画像処理された適切な対象および部位数を選択して、それぞれのウェルの全表面をカバーした。自動画像分析は、抗PGP9.5抗体を用いたその特異的染色に基づいて、48時間の培養の後にそれぞれのウェル中に存在するニューロンの数を計数するように設定した。画像の注意深い閾値化ならびに形態学および蛍光強度に基づいた選択性フィルターの適用により、1個のウェルあたりのニューロンの正確な計数がもたらされた。
この実験の結果により、Fab E3がNGF活性を高い親和性で遮断したことが実証された。結果は、WO2004/058184の図4〜6および表9に示されている。
WO2004/058184の図4は、様々な濃度のヒトおよびラットNGFの存在下における、E13.5ニューロンのNGF依存性の生存を示すグラフである。
WO2004/058184の図5は、0.04ng/mlのヒトNGF(約1.5pM、下部パネルに示される)または0.4ng/mlのヒトNGF(約15pM、上部パネルに示される)のどちらかの存在下における、様々なFabのNGF遮断効果を比較するグラフである。1.5pMのNGFは、NGFのEC50に近く、生存を促進した一方で、15pMは、飽和濃度のNGFを表した。様々な濃度のFab E3、ネズミ911 Fab、ならびにFab H19−L129およびFab 8L2−6D5におけるE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存を、上述のように評価した。IC50(pM)をそれぞれのNGF濃度でそれぞれのFabについて計算し、表9に示す。Fab E3はヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存を強力に遮断し、15pMのヒトNGFの存在下では約21pMのIC50であり、1.5pMのヒトNGFの存在下では約1.2pMのIC50であった。Fab 3CおよびH19−L129も、ヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存を強力に遮断した。図6は、0.04ng/mlのラットNGF(約1.5pM、下部パネルに示す)または0.4ng/mlのラットNGF(約15pM、上部パネルに示す)のどちらかの存在下における、様々なFabのNGF遮断効果を比較するグラフである。1.5pMのNGFはEC50に近い一方で、15pMは飽和濃度のNGFを表した。様々な濃度のFab E3、ネズミFab911、ならびにFab H19−L129および8L2−6D5におけるE13.5マウス三叉神経ニューロンの生存を、上述のように評価した。EC50(pM)をそれぞれのNGF濃度でそれぞれのFabについて計算し、表9に示す。Fab E3はヒトNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存を強力に遮断し、15pMのラットNGFの存在下では約31.6pMのIC50であり、1.5pMのラットNGFの存在下では約1.3pMのIC50であった。Fab 3CおよびH19−L129も、ラットNGF依存性の三叉神経ニューロンの生存を強力に遮断した。
異なる実験で、本発明者らは、ヒトNGFの0.4ng/mlの飽和濃度の存在における)、完全抗体E3およびFab 3Eの、E13.5ニューロンのNGF依存性の生存を阻害する能力を比較した。分析の結果は、WO2004/058184の図10に示されている。完全抗体E3およびFab 3Eは、全抗体およびFabの濃度をNGF結合部位の数に正規化した場合に(Fabは1つの結合部位を有し、全抗体は2つの結合部位を有する)、同様のレベルのNGF依存性の生存の阻害を示した。これらの結果により、完全抗体とNGF二量体との結合による結合力効果が存在しないことが実証された。
別の実験で、本発明者らは、様々な濃度(20、4、0.8、0.16、0.032、0.0064、0.00128、および0.0nM)の抗体E3、抗体911、およびtrkA受容体イムノアドヒーシン(免疫グロブリンFcドメイン、CH2−CH3と融合したNGF受容体trkAの細胞外ドメインからなる)の、0.4ng/ml(飽和条件)の存在下における、E13.5ニューロンのNGF依存性の生存を阻害する能力を比較した。これらの結果は、WO2004/058184の図11に示されている。これらの結果により、抗体E3が、抗体911またはtrkAイムノアドヒーシンのどちらかよりも良好にNGFを遮断したことが実証された。
(実施例3)
マウス三叉神経および節状神経ニューロンの生存アッセイを用いた、抗NGF抗体E3の特異性の評価
NGF活性を特異的に遮断する抗体E3の能力は、飽和濃度のNGF、NGF関連ニューロトロフィンNT3、またはNGF非関連の神経栄養因子、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)の存在下において、マウスE17/18三叉神経ニューロンの生存をin vitroで阻害する抗体の能力を測定することによって評価した。マウスE17/18三叉神経ニューロンの生存は、E13.5TGニューロンの生存を支持するために必要なNGFのレベルよりも、これらのニューロンの生存を支持するために高濃度のNGFが必要であるため、抗NGF拮抗抗体のNGF遮断活性を評価するための高感度のアッセイである。また、これらのニューロンの生存はNT3またはMSPによっても支持され、したがって、これらのニューロンの生存も、抗NGF拮抗抗体がNT3またはMSPも遮断したかどうかを評価するための高感度なアッセイである。
また、NGF活性を特異的に遮断する抗体E3の能力は、飽和濃度のBDNFまたはNT4/5の存在下における、マウス節状神経E17ニューロンの生存を阻害する抗体の能力を測定することによっても評価した。節状神経ニューロンの生存はBDNFまたはNT4/5によって支持され、したがって、これらのニューロンの生存も、抗NGF拮抗抗体のBDNFまたはNT4/5遮断能力を評価するための高感度なアッセイである。
生存アッセイは以下のように実施した:交配期を合わせた妊娠したSwiss Webster雌マウスをCO2吸入によって安楽死させた。子宮角を取り出し、胚(胚性日17または18)を抽出し、断頭した。三叉神経および節状神経節を解剖し、清浄にした。その後、神経節をトリプシン処理し、物理的に分離し、ポリ−L−オルニチンおよびラミニンでコーティングした4ウェルプレート(Greiner)中の定義された無血清培地に、100〜300個の細胞/ウェルの密度で植えた。
E17/18三叉神経ニューロンを、加えた神経栄養因子なしに(陰性対照)または飽和濃度のヒトNGF(400pMおよび15pM)(陽性対照)、NT3(400pM)、もしくはMSP(600pM)の存在下で成長させた。様々な濃度のE3および911 Fabならびに完全抗体が含まれる2つ組の培養物を設定した。Fabおよび完全抗体の濃度を、結合部位1個あたりで示した(たとえば、完全抗体は2つの結合部位を含有する一方で、Fabは1つの結合部位を含有する)。
E17節状神経ニューロンを、加えた神経栄養因子を存在させずに(陰性対照)、または飽和濃度のBDNF(400pM)(陽性対照)もしくはNT4/5(400pM)もしくはNGF非関連の成長因子ILF(インターロイキン阻害因子)と共に成長させた。この実験の目的は抗体の特異性を試験することであったため、高濃度のニューロトロフィンを使用した。様々な、ここでも抗体E3および911を加えたおよび加えないものが含まれる、2つ組の培養物を設定した。48時間の培養の後、それぞれの条件下でそれぞれのウェル中に生存するニューロンの合計数を、位相差顕微鏡を用いた手動の計数によって確認した。
これらの実験の結果により、E3および911抗体が、E18三叉神経ニューロンに対するNGFの生存促進効果を完全に遮断したことが実証された。対照的に、E3および911抗体は、NT3もしくはMSPによって促進された三叉神経ニューロンの生存、またはBDNFもしくはNT4/5もしくはLIFによって促進された節状神経ニューロンの生存に影響を与えなかった。これらの結果により、NGF遮断の有効濃度よりも1000倍〜10,000倍高い濃度で、これらの抗体と他のNGF関連ニューロトロフィン(NT3、NT4/5、BDNF)との間に相互作用が検出されなかったため、抗体E3が、NGFに対する選択的特異性を保有していたことが実証された。さらに、これらの結果により、抗体またはFab E3を加えた際に、NGFを添加したNGF依存性のニューロンの培養物で見られた神経細胞死は、これらの抗体とNGFとの間の特異的相互作用が原因であり、全身性の毒性効果が原因ではないことが実証された。マウス抗NGF拮抗抗体911も試験し、同様の結果が観察された。高濃度のニューロトロフィンを使用したことが原因で、抗体E3および911はどちらもその滴定条件に非常に近く、これらの抗体のNGFに対する結合親和性の差異は、これらの条件下であまり明確でなくなるため、同様のレベルでNGFと結合することが予測されたことに注意されたい。
これらの実験の結果は、WO2004/058184の図12、13、14、および15に示されている。データは、それぞれの実験の陽性対照(たとえば、それぞれ、飽和NGF濃度の存在下で成長させた三叉神経ニューロンの100%生存、および飽和BDNF濃度の存在下で成長させた節状神経ニューロンの100%生存)で見られる生存と比較した、48時間の培養の後の平均の%生存(±標準誤差、それぞれのデータ点でn=3)を示した。WO2004/058184の図12〜13は、抗NGF拮抗抗体E3またはFab E3が、NT3およびMSPによって促進された生存を、200nMと高い抗体濃度でも阻害しなかったことを示すグラフである。対照的に、20nMの抗体E3またはFab 3EおよびFab911は、NGF誘発性の生存を完全に遮断した。マウス抗NGF拮抗抗体911も試験し、同様の結果が観察された。具体的には、WO2004/058184の図12は、加えたニューロトロフィンが存在しない(「対照」と呼ばれる)、400pMのNGF(「NGF−400pMと呼ばれる)、10nMのNT3(「NT3−10nMと呼ばれる)または600pMのMSP(「MSP−600pMと呼ばれる)の存在下における、様々な濃度(20nM、2nM、または0.2nM)のE3Fab(図中で「3E」と呼ばれる)およびマウス抗体911Fabの、E18三叉神経ニューロンの生存に対する効果の比較を示すグラフである。WO2004/058184の図13は、E17三叉神経ニューロンの生存に対する、加えたニューロトロフィンが存在しない(「因子なし」と呼ばれる)、400pMのNGF(「NGF−400pMと呼ばれる)、10nMのNT3(「NT3−10nMと呼ばれる)または600pMのMSP(「MSP−600pMと呼ばれる)の存在下における、様々な濃度(200nMおよび80nM)のE3Fabおよび完全抗体ならびにマウス抗体911の完全抗体およびFabの効果の比較を示すグラフである。
WO2004/058184の図14〜15は、抗NGF拮抗抗体E3またはFab E3が、BDNF、NT4/5またはLIFによって促進されたE17節状神経ニューロンの生存を阻害しなかったことを示すグラフである。マウス抗NGF拮抗抗体911も試験し、同様の結果が観察された。具体的には、WO2004/058184の図14は、加えたニューロトロフィンが存在しない(「因子なし」と呼ばれる)、400pMのBDNF(「BDNF−400pMと呼ばれる)、400pMのNT4/5(「NT4/5−400pMと呼ばれる)、または2.5nMのLIF(「LIP−2.5nMと呼ばれる)の存在下における、様々な濃度(200nMまたは80nM)の完全抗体E3(「図中の3E」と呼ばれる)、Fab E3、完全抗体911、またはFab911の効果の、E17節状神経ニューロンの生存に対する比較を示すグラフである。WO2004/058184の図15は、加えたニューロトロフィンが存在しない(「対照」と呼ばれる)、400pMのBDNF(「BDNF−400pMと呼ばれる)、400pMのNT4/5(「NT4/5−400pMと呼ばれる)、または2.5nMのLIF(「LIP−2.5nMと呼ばれる)の存在下における、様々な濃度(200nM、20nM、2nM)のFab E3(「図中の3E」と呼ばれる)、またはFab911の、E17節状神経ニューロンの生存に対する効果の比較を示すグラフである。
(実施例4)
哺乳動物発現ベクターの調製および哺乳動物細胞における抗体E3の発現
哺乳動物細胞における抗体E3の発現に使用するために、3つの哺乳動物発現ベクターを設計および構築した。
ベクターDb.911.3Eとは、E3抗体の重鎖可変領域およびヒトIgG2a定常領域を含む発現ベクターであり、重鎖の一過性または安定な発現に適している。Db.911.3Eは、以下の領域に対応するヌクレオチド配列からなる:ネズミサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612)、合成イントロン(ヌクレオチド619〜1507)、DHFRコード領域(ヌクレオチド707〜1267)、ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1525〜1602)、抗体3E重鎖可変領域(ヌクレオチド1603〜1965)、A330P331からS330S331の突然変異を含有するヒト重鎖IgG2a定常領域(アミノ酸の番号づけは野生型IgG2a配列を参考とする、Eur.J.Immunol.(1999)29:2613〜2624を参照)、SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2974〜3217)、SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド3218〜3463)、ファージf1領域(ヌクレオチド3551〜4006)およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド4443〜5300)。Db.911.3Eは、2003年1月8日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−4895が割り当てられている。
ベクターEb.911.3Eとは、E3抗体の軽鎖可変領域およびヒトκ鎖定常領域を含む発現ベクターであり、軽鎖の一過性の発現に適している。Eb.911.3Eは、以下の領域に対応するヌクレオチド配列からなる:ネズミサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612)、ヒトEF−1イントロン(ヌクレオチド619〜1142)、ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1173〜1150)、抗体E3軽鎖可変領域(ヌクレオチド1251〜1571)、ヒトκ鎖定常領域(ヌクレオチド1572〜1892)、SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド1910〜2153)、SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド2154〜2399)、ファージf1領域(ヌクレオチド2487〜2942)およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド3379〜4236)。Eb.911.3Eは、2003年1月8日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−4893が割り当てられている。
ベクターEb.pur.911.3Eとは、E3抗体の軽鎖可変領域およびヒトκ定常領域を含む発現ベクターであり、軽鎖の安定な発現に適している。Eb.pur.911.3Eは、以下の領域に対応するヌクレオチド配列からなる:ネズミサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612)、ヒトEF−1イントロン(ヌクレオチド619〜1758)、pac遺伝子(プロマイシンR)コード領域(ヌクレオチド739〜1235)、ヒトhsp70 5’UTR 領域(ヌクレオチド1771〜1973)、ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1985〜2062)、抗体E3軽鎖可変領域(ヌクレオチド2063〜2383)、ヒトκ鎖定常領域(ヌクレオチド2384〜2704)、SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2722〜2965)、SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド2966〜3211)、ファージf1領域(ヌクレオチド3299〜3654)およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド4191〜5048)。Eb.pur.911.E3は、2003年1月8日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−4894が割り当てられている。
一過性の細胞発現は、以下のように行った:150mmの皿中のCHOおよびHEK293T細胞を、25ugのそれぞれのプラスミド(すなわち、重鎖を含有する1つのプラスミドおよび軽鎖を含有する1つのプラスミド)を用いて、一過的に同時形質移入した。DNAを、100ulのリポフェクタミン2000(Invitrogen)と、製造者の指示に従って混合した。DNA−脂質の複合体を、血清または抗生物質を含まないDMEM/F12培地中で、5時間、細胞と接触させた。このインキュベーション後、発現のために、培地を、添加剤を全く含まないOpti−MEM(Invitrogen)に2日間変えた。抗体を含有する細胞上清を、4回まで、その後に培地を交換して順次収集した。上清は、MapSelectタンパク質A樹脂(Amersham biosciences 17−5199−02)を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。抗体を、0.3Mのグリシン、0.6MのNaCl緩衝液、pH8中でタンパク質A樹脂と結合させ、その後、0.1Mのクエン酸緩衝液、pH3で溶出させた。抗体を含有する画分を、1Mのトリス緩衝液、pH8.0ですぐに中和し、その後、抗体画分をPBS中で透析および濃縮した。
(実施例5)
臨床研究
間質性膀胱炎の臨床的診断を有する患者を抗NGF拮抗抗体E3で治療して、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱および/または膀胱痛症候群に関連する1つまたは複数の疼痛および下部尿路症状の治療における、抗NGF抗体である抗体E3の安全性および有効性を確認する。治療する患者は、治療前のスクリーニングにおいて、少なくとも16の骨盤痛および切迫/頻発(PUF−Parsonsら、Urology 2002、60:573〜578))スコアならびに少なくとも8のオリアリー−サント間質性膀胱炎症状指標(ICSI−O’Learyら、Urology 1997、49(補遺5A):58〜63)スコアによって定義される中等度から重篤な間質性膀胱炎に罹患している。他の組み入れ基準も満たされているべきである。すべての組み入れ基準を満たさない、または1つもしくは複数の除外基準を満たす患者は、スクリーニング失敗とみなされ、研究にランダム化しない。
間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛および下部尿路症状の治療における、プラセボと比較した、インフュージョンによる単一用量の抗体の有効性を評価する。E3抗体を200μg/kgの用量で患者に静脈内投与する。有効性に加えて、他の測度のなかで、とりわけ、プラセボと比較した治療の効果の規模、抗体を用いた治療に対する、間質性膀胱炎に対するバイオマーカーの応答、および治療応答速度を評価する。バイオマーカーには、とりわけ、NGF、糖タンパク質−51(GP−51)、抗増殖因子(APF)およびHB−表皮成長因子(HB−EGF)が含まれる。
一次エンドポイントを、単一用量のE3抗体を静脈点滴した6週間後に分析する。投薬後2、10および16週間での評価が二次エンドポイントとして含まれる。一次エンドポイントは、11点の疼痛数値化スケール(NCS)の変化である。オリアリー−サント間質性膀胱炎症状指標(ICSI)スコアを二次エンドポイントとして用いる。他の二次エンドポイントには、オリアリー−サント間質性膀胱炎問題指数(ICPI−O’Learyら、Urology 1997、49(補遺5A):58〜63)、ICSI+ICPI、骨盤痛および切迫/頻発(PUF)、平均の毎日の疼痛、また、排尿頻度、夜間頻度、失禁発症頻度、1回の排尿あたり排尿される平均体積、平均の間質性膀胱炎疼痛重篤度、尿意切迫発症、平均睡眠障害スコア、平均の性行為痛に関連する疼痛のスコア、全体応答評価、開存性報告治療影響評価、治療失敗、バイオマーカー、安全性エンドポイントおよび/または薬物動態学測度を含めた、研究期間中に患者が記録した排尿日誌変数が含まれる。バイオマーカーには、とりわけ、NGF、糖タンパク質−51(GP−51)、抗増殖因子(APF)およびHB−表皮成長因子(HB−EGF)が含まれ得る。
以下のデータは、間質性膀胱炎/有痛性膀胱症候群/膀胱痛症候群(IC/PBS/BPS)に罹患している患者におけるE3抗体の安全性および有効性を評価するための、上記プロトコルを利用した継続中の臨床治験の暫定分析から誘導したものである。24人の患者からのデータを暫定分析に使用した。疼痛のNRSおよびICSIスコアのどちらでも、明らかな改善(減少)が見られる。E3抗体を受けている患者において観察された改善は、プラセボを受けている患者で見られるものよりも大きい。これらのデータは、E3抗体が、IC/PBS/BPSに関連する疼痛および他の下部尿路症状(LUTS)の治療において有効であり得るという事実の支援を提供する。しかし、最終的な研究結果を評価する必要がある。
疼痛は、11点(0〜10)の数値化スケール(NRS)を用いて評価した。このスケールは妥当性確認されており、疼痛の緩和に向けられた治療の評価において幅広く使用されている。
間質性膀胱炎症状指標(ICSI)は、全体的なIC症状の重篤度を評価し、スコアは0〜20の範囲である。これは、IC/PBS/BPSに関連する疼痛およびLUTSに関する4つの質問に基づく。これらには、過去4週間にわたる日中および夜間の頻尿、尿意切迫、および膀胱痛の重篤度の測度が含まれる。
生物材料の寄託
以下の材料は、American Type Culture Collection、米国バージニア州Manassas、10801 University Boulevard(ATCC)に寄託されている:
これらの寄託に関する詳細は、その内容の全体が本明細書中に参考として組み込まれているWO2004058184に見つけることができる。
抗体配列
重鎖可変領域(カバットCDRは下線付き、コチアCDRは太字かつ斜体である)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLIGYDLNWIRQPPGKGLEWIGIIWGDGTTDYNSAVKSRVTISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGGYWYATSYYFDYWGQGTLVTVS(配列番号1)
軽鎖可変領域(カバットCDRは下線付き、コチアCDRは太字かつ斜体である)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISNNLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSRFHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQEHTLPYTFGQGTKLEIKRT(配列番号2)
E3重鎖拡張CDR
E3軽鎖拡張CDR
マウスモノクローナル抗体911拡張CDR
911重鎖拡張CDR
911軽鎖拡張CDR
E3重鎖アミノ酸配列(完全)
3E軽鎖アミノ酸配列(完全抗体)
3E重鎖ヌクレオチド配列(完全抗体)
3E重鎖可変ドメインヌクレオチド配列
3E軽鎖ヌクレオチド配列(完全抗体)
3E軽鎖可変ドメインヌクレオチド配列
本明細書中に記載の上記配列および他の配列は、添付の配列表に示す。
添付の配列表において配列番号1〜8、15〜68、70〜72、74〜77によって識別される配列は、フリーテキストの「合成構築体」を有する。
本明細書中に記載の実施例および実施形態は例示目的のみであり、それに鑑みた様々な変形または変化が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲内に含まれるべきであることを、理解されよう。
ATCC PTA−4893
ATCC PTA−4894
ATCC PTA−4895

Claims (7)

  1. 対象において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する下部尿路症状の治療または予防のための医薬組成物であって、以下の(b)の抗NGF拮抗抗体を含む、医薬組成物。
    (b)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体とヒトNGFとの結合について競合する抗体であって、NGF依存性ニューロンの生存を阻害する抗体。
  2. 間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する下部尿路症状が、貯蔵(刺激性)、排尿(閉塞性)または排尿後症状を含む群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 貯蔵症状が切迫、頻発、夜間多尿、切迫尿失禁および緊張性尿失禁を含み、過活動膀胱(OAB)および良性前立腺肥大(BPH)と関連している場合がある、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 排尿症状が、躊躇、流れの不良、間欠性、いきみおよび排尿障害を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
  5. 排尿後症状が、終末時滴下、排尿後滴下および残尿感を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
  6. 間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する下部尿路症状の治療または予防に使用するための、有効量の抗NGF拮抗抗体と対象に有効量の抗体を投与するための指示書とを含むキットであって、抗NGF拮抗抗体が以下の(b)である、キット。
    (b)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体とヒトNGFとの結合について競合する抗体であって、NGF依存性ニューロンの生存を阻害する抗体。
  7. 対象において間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する下部尿路症状を治療または予防するための医薬品の製造における抗NGF拮抗抗体の使用であって、抗NGF拮抗抗体が以下の(b)である、使用。
    (b)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号2のアミノ酸配列を含
    む軽鎖可変領域を含む抗体とヒトNGFとの結合について競合する抗体であって、NGF
    依存性ニューロンの生存を阻害する抗体。
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