以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の光ディスク装置における光ピックアップの概略構成を示す図である。
図1において、光ピックアップ100は、青紫レーザ光を出射する青紫レーザ光源1、偏光ビームスプリッタ2、コリメートレンズ4、ミラー5、対物レンズ8、対物レンズアクチュエータ9、コリメートレンズアクチュエータ14、平板型ビームスプリッタ15、サーボ用ホログラム21、アナモフィックレンズ22、サーボ用受光素子23、RF用ホログラム31及びRF用受光素子33を備える。また、高密度光ディスク200は、多層化かつ狭トラックピッチ化された光ディスクである。
高密度光ディスク200に対して情報を記録及び/又は再生する光ピックアップ100の動作について述べる。青紫レーザ光源1から出射された青紫レーザ光は、偏光ビームスプリッタ2に入射する。偏光ビームスプリッタ2で反射された青紫レーザ光は、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ミラー5で反射されて折り曲げられる。ミラー5で反射した青紫レーザ光は、対物レンズ8によって、高密度光ディスク200の情報記録面に光スポットとして収束される。
コリメートレンズ4は、コリメートレンズアクチュエータ14によって、コリメートレンズ4の光軸方向に移動可能となっている。そのため、複数の情報記録面を有する高密度光ディスク200に対して情報を記録又は再生する時、コリメートレンズアクチュエータ14は、それぞれの情報記録面の光透過層の厚さに応じてコリメートレンズ4を移動させることにより、球面収差を補正することができる。また、コリメートレンズアクチュエータ14は、コリメートレンズ4を光軸方向に移動させることにより、青紫レーザ光源1から出射される青紫レーザ光の波長のばらつきによって発生する球面収差、及び温度の変化に伴って発生する球面収差を補正することも可能である。
高密度光ディスク200の情報記録面で反射した青紫レーザ光は、再び対物レンズ8を透過し、ミラー5で反射される。ミラー5で反射された青紫レーザ光は、コリメートレンズ4を透過した後、偏光ビームスプリッタ2及び平板型ビームスプリッタ15を透過し、サーボ用ホログラム21で透過及び回折される。サーボ用ホログラム21で透過及び回折された青紫レーザ光は、アナモフィックレンズ22を介して、サーボ用受光素子23に入射し、サーボ用受光素子23上に検出スポットを形成する。サーボ用受光素子23は、検出された青紫レーザ光を光電変換する。光電変換された信号が演算されることにより、高密度光ディスク200の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号と、高密度光ディスク200の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号とが生成される。
高密度光ディスク200の面ぶれに追従するためのフォーカス誤差信号は、アナモフィックレンズ22によって非点収差が与えられた青紫レーザ光を、サーボ用受光素子23内の4分割受光パターンで検出する、いわゆる非点収差法等を用いて生成することが可能である。
一方、高密度光ディスク200の偏心に追従するためのトラッキング誤差信号は、サーボ用ホログラム21を透過及び回折する際に生成された0次光及び1次回折光を、サーボ用受光素子23の所定の受光部で検出することで、生成される。これにより、高密度光ディスク200に形成された情報トラックの溝の位置、幅及び深さにばらつきがある場合に生じるトラッキング誤差信号の変動を抑制することができる。また、情報トラックに情報が記録され、反射率が変わることで生じるトラッキング誤差信号の変動も抑制することができる。また、記録又は再生の対象となる情報記録面とは異なる情報記録面で反射された迷光が、トラッキング誤差信号を検出する受光部に入射することを避けることもできる。
なお、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の検出は、これらの検出方法に限定されるものではなく、例えば、トラッキング誤差信号は、回折格子によって生成されたメインビームとサブビームとを用いた差動プッシュプル法(DPP法)等を用いることが可能である。
対物レンズアクチュエータ9は、複数のサスペンションワイヤで対物レンズ8を支持している。対物レンズアクチュエータ9は、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号によって、回転する高密度光ディスク200の情報トラックに光スポットが追従するよう、対物レンズ8を少なくとも2軸方向(フォーカス方向及びトラッキング方向)に駆動する。
一方、平板型ビームスプリッタ15で反射された青紫レーザ光は、RF用ホログラム31で透過及び/又は回折されて、RF用受光素子33に入射し、RF用受光素子33上に検出スポットを形成する。RF用受光素子33は、検出された青紫レーザ光を光電変換する。光電変換された信号が演算されることにより、情報信号が生成される。
図2は、本発明の実施の形態1におけるRF用ホログラムの構成を示す図である。
RF用ホログラム31は、図2に示すように高密度光ディスク200の半径方向(情報トラックの接線に対して直交する方向)に3分割されて、レーザ光の光軸を含む中央領域31Cと、中央領域31Cを挟む第1端部領域31Rと第2端部領域31Lとを有している。また、中央領域31Cの中心には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域31Cよりも相対的に透過率が小さい中央遮光部CSが形成されている。また、中央領域31C、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lの周辺には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域31C、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lよりも相対的に透過率が小さい周辺遮光部PSが形成されている。
中央遮光部CS及び周辺遮光部PSは、例えば、アルミ、クロム、黒鉛、チタン、金又は銀等の金属膜又は誘電体膜を蒸着して形成される。中央遮光部CS及び周辺遮光部PSの透過率は、ほぼゼロ%である。なお、中央遮光部CS及び周辺遮光部PSの透過率はゼロ%に近いことが望ましいが、透過率が10%以下であれば、実質的に問題ない。
なお、中央遮光部CS及び/又は周辺遮光部PSは、それぞれ入射した青紫レーザ光を所定の角度で回折させる回折構造として形成してもよい。このように、回折構造を用いて遮光部を形成する場合は、青紫レーザ光に対する遮光部の透過率がほぼゼロ%となるよう、回折構造の深さを最適化することが望ましい。なお、回折構造を用いた中央遮光部CS及び周辺遮光部PSの透過率はゼロ%に近いことが望ましいが、透過率が10%以下であれば、実質的に問題ない。
RF用ホログラム31のそれぞれの領域に入射した光束LF(破線で示す)は、透過及び/又は回折して、RF用受光素子33上の対応する受光部に入射する。
図3は、本発明の本実施の形態1におけるRF用受光素子の構成を示す図である。なお、図3において、一点鎖線の交点は、0次光(透過光)の光軸位置を示している。
RF用受光素子33は、RF用ホログラム31によって分割された複数の光束を受光し、受光した複数の光束の光量に応じた複数の信号を出力する。RF用受光素子33は、第1中央部受光部33C1、第2中央部受光部33C2、第1端部受光部33R、及び第2端部受光部33Lを備える。
中央領域31Cで回折した+1次回折光C1d及び−1次回折光C2dは、RF用受光素子33上の第1中央部受光部33C1及び第2中央部受光部33C2にそれぞれ入射する。第1端部領域31Rを透過した0次光Rt及び第2端部領域31Lを透過した0次光Ltは、RF用受光素子33上の第1端部受光部33R及び第2端部受光部33Lにそれぞれ入射する。RF用受光素子33は、各受光部33C1、33C2、33R、33Lで受光した回折光C1d、C2d、Rt、Ltの光量に応じた信号を出力する。
第1中央部受光部33C1は、信号を加算器34へ出力し、第2中央部受光部33C2は、信号を加算器34へ出力する。第1端部受光部33Rは、信号を利得制御器35へ出力し、第2端部受光部33Lは、信号を利得制御器35へ出力する。
加算器34は、第1中央部受光部33C1から出力された信号と、第2中央部受光部33C2から出力された信号とを加算し、加算した信号を利得制御器35へ出力する。
利得制御器35は、第1波形等化器(WEQ−C)35a、第2波形等化器(WEQ−R)35b及び第3波形等化器(WEQ−L)35cを備える。第1〜第3波形等化器35a〜35cは、RF用受光素子33から出力された複数の信号に対して、それぞれの信号の周波数成分に応じて異なる利得を与える。各信号は、利得制御器35の第1〜第3波形等化器35a〜35cで波形等化がなされた後、加算器36に出力される。第1波形等化器35aは、加算器34から出力された信号に対して波形等化を行う。第2波形等化器35bは、第1端部受光部33Rから出力された信号に対して波形等化を行う。第3波形等化器35cは、第2端部受光部33Lから出力された信号に対して波形等化を行う。
加算器36は、第1〜第3波形等化器35a〜35cから出力された複数の信号を加算して、情報信号として出力する。加算器36から出力された情報信号は、隣接トラックからの信号の漏れこみであるクロストークが抑制された信号である。そのため、信号処理部37は、低い誤り率で情報信号を再生する。信号処理部37は、情報信号を処理する。
なお、第1端部領域31Rを透過した0次光Rtと第2端部領域31Lを透過した0次光Ltとは、RF用受光素子33上の第1端部受光部33Rと第2端部受光部33Lとでそれぞれ分離して検出される。そのため、RF用受光素子33上の検出スポットは完全には収束させない状態、すなわち多少焦点がずれた状態であることに留意が必要である。
なお、本実施の形態における光ディスク装置(光情報装置)は、図1に示す光ピックアップ100と、加算器34と、利得制御器35と、加算器36と、信号処理部37とを備える。
図4は、高密度光ディスクから情報を再生した場合における、RF用ホログラム31の各領域の隣接トラックの光学的伝達関数(OTF)の振幅を示す図であり、図5は、高密度光ディスクから情報を再生した場合における、RF用ホログラム31の各領域の隣接トラックのOTFの位相を示す図である。
高密度光ディスクは、情報トラックのランド部とグルーブ部との両方に情報を記録可能である。また、高密度光ディスクの溝ピッチは0.48μm(ランド部とグルーブ部との間隔は0.24μm)であり、ランド部の幅とグルーブ部の幅との比率は1:1であり、溝の深さは0.03λであり、マーク幅は0.16μmである。図4及び図5では、この光ディスクを、開口数が0.85であり、レーザ光の波長λが405nmである光ディスク装置で再生した場合、遠視野における各領域の隣接トラックの光学的伝達関数(OTF)を示している。
具体的には、図2に示したRF用ホログラム31において、中央領域31Cの半径方向の幅を光束径の35%とした場合の各領域(中央領域31C、第1端部領域31R及び第2端部領域31L)について、再生トラックから0.24μmオフトラックした位置(すなわち隣接トラック上)での再生信号を計算する。そして、それぞれの再生信号をフーリエ変換することによりOTFを計算する。図4は、振幅を示し、図5は、位相を示している。
図4及び図5において、横軸は規格化周波数である。ここでは、1Tが55.87nmのマーク列を仮定し、周期55.87nmに相当する周波数で規格化した値を示す。すなわち、規格化周波数0.25は、周期4T(2Tマークと2Tスペースの繰り返し)に相当する周波数に対応する。光学系の光学カットオフの周期は、λ/(2・NA)=238.2nmであり、規格化周波数で表すと0.2345に相当する。
なお、図4の縦軸は任意の単位であり、図5の縦軸は位相である。
図4及び図5に示す隣接トラック上のOTFでは、2つの端部領域のうちの一方の第2端部領域31Lの位相が180度反転しており、他の領域とは極性が異なる。また、他方の第1端部領域31Rの振幅は、特に中域の周波数において小さいことが分かる。
ここで、クロストークキャンセルは、所定の周波数fにおいて、中央領域31Cで検出されるクロストーク成分の振幅Acと、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lで検出されるクロストーク成分の振幅の差Adとを加算することにより演算される。振幅Acの極性と差Adの極性とは異なるため、振幅Acと差Adとを加算することで、相殺することができる。
そこで、発明者らは、中央領域31Cに対し、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lのゲインを大きくする(光量の比率を大きくする)ことで、効果的に隣接トラックからのクロストークを低減することができることを見いだした。
具体的には、図4より、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lの平均的なゲインは、中央領域31Cの平均的なゲインの数倍程度にすることが望ましく、光ピックアップの光学系においては、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域31R及び第2端部領域31Lの光量ロスをできるだけ小さくすることが望ましいという新たな知見を得た。
換言すれば、利得制御器35の複数の波形等化器(第1〜第3波形等化器35a〜35c)は、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lで検出される信号のエネルギが、中央領域31Cで検出される信号のエネルギよりも大きくなるよう、波形等化することが好ましい。したがって、複数の波形等化器35a〜35cは、中央領域31Cに入射したレーザ光の光量に応じた信号のエネルギよりも、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lに入射したレーザ光の光量に応じた信号のエネルギの方が大きくなるように、RF用受光素子33から出力された複数の信号に対して利得を与える。
図2に示した、本実施の形態1のRF用ホログラム31では、中央領域31Cは、バイナリ型の単純回折格子により形成され、中央領域31Cに入射した光束から、+1次回折光C1dと−1次回折光C2dとを生成し、RF用受光素子33上の第1中央部受光部33C1と第2中央部受光部33C2とにそれぞれ入射させる。このとき、+1次回折光C1d及び−1次回折光C2dの回折効率(反射防止のARコートを含む)は、それぞれ35%(合計70%)程度である。なお、+1次回折光C1d及び−1次回折光C2dの回折効率は、実質的にはそれぞれ30%(合計60%)以上であることが好ましい。
一方、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lには回折格子が形成されておらず、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lは、入射した光束を0次光Rt、0次光Ltとして、RF用受光素子33上の第1端部受光部33R及び第2端部受光部33Lにそれぞれ入射させる。このとき、0次光Rt及び0次光Ltに対する第1端部領域31R及び第2端部領域31Lの透過率は、反射防止のARコートを考慮して97%程度である。なお、第1端部領域31R及び第2端部領域31Lの透過率は、実質的には90%以上であることが好ましく、実質的には95%以上であることがより好ましい。
したがって、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域31R及び第2端部領域31Lの光量ロスがほぼゼロであるので、高い信号対雑音強度比(S/N)の情報信号を得ることができる。
なお、情報トラックにウォブル(蛇行)が施された光ディスクに対しては、ウォブル信号に記録された情報を読み取ることで、光ディスクの任意のアドレスにアクセスし、情報を記録及び/又は再生することが可能となる。
ウォブル信号は、一般的に、光ディスクの情報記録面で反射された光束を、光ディスクの半径方向(情報トラックの直交方向)に2分割して、それぞれの差信号(プッシュプル信号)を求めることで得られる。
本実施の形態1の光ディスク装置は、RF用ホログラム31の第1端部領域31Rを透過し、RF用受光素子33上の第1端部受光部33Rに入射する0次光Rtから検出される信号と、RF用ホログラム31の第2端部領域31Lを透過し、RF用受光素子33上の第2端部受光部33Lに入射する0次光Ltから検出される信号との差信号(プッシュプル信号)を算出することで、ウォブル信号を生成するウォブル信号生成部をさらに備えてもよい。
ところで、本実施の形態の高密度光ディスク200は、多層化した光ディスクであるので、記録又は再生の対象となる情報記録面とは異なる情報記録面で反射した迷光が、RF用ホログラム31に入射する。
図6は、RF用ホログラムにおける、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側に位置する情報記録面で反射された迷光について説明するための図であり、図7は、RF用受光素子における、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側に位置する情報記録面で反射された迷光について説明するための図である。
記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、例えば40μm手前(光入射面側)に位置する情報記録面で反射した第1の他層反射迷光SL1は、図6に破線で示した形状でRF用ホログラム31に入射する。第1の他層反射迷光SL1は、記録又は再生の対象となる情報記録面で反射した光束LFよりも大きくなり、第1の他層反射迷光SL1の一部は、中央遮光部CS及び周辺遮光部PSによって遮光される。RF用ホログラム31の中央領域31Cに入射した第1の他層反射迷光SL1は、+1次回折光C11及び−1次回折光C21としてRF用受光素子33に入射する。一方、RF用ホログラム31の第1端部領域31R及び第2端部領域31Lに入射した第1の他層反射迷光SL1は、それぞれ透過光である0次光R1及び0次光L1としてRF用受光素子33に入射する。
しかしながら、図7に示すように、+1次回折光C11、−1次回折光C21、0次光R1及び0次光L1は、いずれもRF用受光素子33上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d、C2d、Rt、Ltとは重ならない。
図8は、RF用ホログラムにおける、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側とは逆の面側に位置する情報記録面で反射された迷光について説明するための図であり、図9は、RF用受光素子における、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側とは逆の面側に位置する情報記録面で反射された迷光について説明するための図である。
記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、例えば40μm奥(光入射面側とは逆の面側)に位置する情報記録面で反射した第2の他層反射迷光SL2は、図8に破線で示した形状でRF用ホログラム31に入射する。第2の他層反射迷光SL2は、記録又は再生の対象となる情報記録面で反射した光束LFよりも小さくなり、第2の他層反射迷光SL2の一部は、中央遮光部CSで遮光される。RF用ホログラム31の中央領域31Cに入射した第2の他層反射迷光SL2は、+1次回折光C12及び−1次回折光C22としてRF用受光素子33に入射する。一方、RF用ホログラム31の第1端部端部領域31R及び第2端部領域31Lに入射した第2の他層反射迷光SL2は、それぞれ透過光である0次光R2及び0次光L2としてRF用受光素子33に入射する。
しかしながら、図9に示すように、+1次回折光C12、−1次回折光C22、0次光R2及び0次光L2は、いずれもRF用受光素子33上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d、C2d、Rt、Ltとは重ならない。
本実施の形態では、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、40μm手前に位置する情報記録面で反射した第1の他層反射迷光SL1と、40μm奥に位置する情報記録面で反射した第2の他層反射迷光SL2とを例示し、RF用ホログラム31に入射した第1の他層反射迷光SL1及び第2の他層反射迷光SL2が、RF用受光素子33上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光と重ならないことを示している。しかしながら、記録又は再生の対象となる情報記録面と、他の情報記録面との間隔は、±40μmに限らず、RF用ホログラム31に入射した他の情報記録面で反射された他層反射迷光は、RF用受光素子33上において、記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光とは重ならない。
さらに、高密度光ディスクの表面で反射してRF用ホログラム31に入射した表面反射迷光も、RF用受光素子33上において、記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光とは重ならない。
したがって、本実施の形態の光ピックアップ100では、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域31R及び第2端部領域31Lでの光量ロスが非常に小さい、すなわち、光ピックアップ100は、クロストークキャンセルに適したRF用ホログラム31を備えるが、RF用ホログラム31に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、RF用受光素子33上において、記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光と重ならない。そのため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対する記録又は再生において、安定した信号検出が実現できる。
なお、本実施の形態で示したRF用ホログラム及びRF用受光素子は、図2及び図3に示す構成に限定されるものではない。
図10は、本発明の実施の形態1におけるRF用ホログラムの他の例を示す図であり、図11は、RF用受光素子における、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側に位置する情報記録面で反射された迷光と、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側とは逆の面側に位置する情報記録面で反射された迷光とについて説明するための図である。
例えば、図10に示すRF用ホログラム31’では、中央領域31C’は、+1次回折光C1d’及び−1次回折光C2d’をそれぞれ右下方向及び左上方向に回折させるバイナリ型の単純回折格子により形成される。+1次回折光C1d’及び−1次回折光C2d’は、図11に示すRF用受光素子33’上の第1中央部受光部33C1’及び第2中央部受光部33C2’にそれぞれ入射する。
図11に示すように、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、40μm手前(光入射面側)に位置する情報記録面で反射した迷光と、40μm奥(光入射面側とは逆の面側)に位置する情報記録面で反射した迷光とが、RF用受光素子33’に入射する。RF用ホログラム31’に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、RF用受光素子33’上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d’、C2d’、Rt、Ltと重ならない。そのため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、このような構成であっても、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対する記録又は再生において、安定した信号検出が実現できる。
(実施の形態2)
本実施の形態2において、実施の形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図12は、本発明の実施の形態2におけるRF用ホログラムの構成を示す図である。
本実施の形態2のRF用ホログラム41は、図12に示すように高密度光ディスク200の半径方向(情報トラックの接線に対して直交する方向)に3分割されて、レーザ光の光軸を含む中央領域41Cと、中央領域41Cを挟む第1端部領域41Rと第2端部領域41Lとを有している。また、中央領域41Cの中心には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域41Cよりも相対的に透過率が小さい中央遮光部CSが形成されている。また、中央領域41C、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lの周辺には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域41C、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lよりも相対的に透過率の小さい周辺遮光部PSが形成されている。
RF用ホログラム41のそれぞれの領域に入射した光束LF(破線で示す)は、回折して、RF用受光素子43上の対応する受光部に入射する。
図13は、本発明の本実施の形態2におけるRF用受光素子の構成を示す図である。なお、図13において、一点鎖線の交点は、0次光(透過光)の光軸位置を示している。
RF用受光素子43は、RF用ホログラム41によって分割された複数の光束を受光し、受光した複数の光束の光量に応じた複数の信号を出力する。RF用受光素子43は、中央領域41Cによって生成された+1次回折光C1d4及び−1次回折光C2d4と、第1端部領域41Rによって生成された+1次回折光Rd4と、第2端部領域41Lによって生成された+1次回折光Ld4とを受光する。RF用受光素子43は、第1中央部受光部43C1、第2中央部受光部43C2、第1端部受光部43R、及び第2端部受光部43Lを備える。
中央領域41Cで回折した+1次回折光C1d4及び−1次回折光C2d4は、RF用受光素子43上の第1中央部受光部43C1及び第2中央部受光部43C2にそれぞれ入射する。第1端部領域41Rで回折した+1次回折光Rd4及び第2端部領域41Lで回折した+1次光Ld4は、RF用受光素子43上の第1端部受光部43R及び第2端部受光部43Lにそれぞれ入射する。RF用受光素子43は、各受光部43C1、43C2、43R、43Lで受光した回折光C1d4、C2d4、Rd4、Ld4の光量に応じた信号を出力する。
第1中央部受光部43C1は、信号を加算器34へ出力し、第2中央部受光部43C2は、信号を加算器34へ出力する。第1端部受光部43Rは、信号を利得制御器35へ出力し、第2端部受光部43Lは、信号を利得制御器35へ出力する。
加算器34は、第1中央部受光部43C1から出力された信号と、第2中央部受光部43C2から出力された信号とを加算し、加算した信号を利得制御器35へ出力する。
各信号は、利得制御器35の第1〜第3波形等化器35a〜35cで波形等化がなされた後、加算器36に出力される。
加算器36から出力された情報信号は、隣接トラックからの信号の漏れこみであるクロストークが抑制された信号である。そのため、信号処理部37は、低い誤り率で情報信号を再生する。
図12に示した、本実施の形態2のRF用ホログラム41では、中央領域41Cは、バイナリ型の単純回折格子により形成され、中央領域41Cに入射した光束から、+1次回折光C1d4と−1次回折光C2d4とを生成し、RF用受光素子43上の第1中央部受光部43C1と第2中央部受光部43C2とにそれぞれ入射させる。このとき、+1次回折光C1d4及び−1次回折光C2d4の回折効率(反射防止のARコートを含む)は、それぞれ35%(合計70%)程度である。なお、+1次回折光C1d4及び−1次回折光C2d4の回折効率は、実質的にはそれぞれ30%(合計60%)以上であることが好ましい。
一方、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lは、ブレーズ型の回折格子により形成され、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lに入射した光束から、+1次光Rd4及び+1次光Ld4を生成し、RF用受光素子43上の第1端部受光部43R及び第2端部受光部43Lにそれぞれ入射させる。このとき、+1次光Rd4及び+1次光Ld4の回折効率は、反射防止のARコートを考慮して85%程度である。なお、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lの回折効率は、実質的には80%以上であることが好ましい。
したがって、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域41R及び第2端部領域41Lの光量ロスが小さいので、高い信号対雑音強度比(S/N)の情報信号を得ることができる。
また、本実施の形態2の光ディスク装置は、RF用ホログラム41の第1端部領域41Rで回折され、RF用受光素子43上の第1端部受光部43Rに入射する+1次回折光Rd4から検出される信号と、RF用ホログラム41の第2端部領域41Lで回折され、RF用受光素子43上の第2端部受光部43Lに入射する+1次回折光Ld4から検出される信号との差信号(プッシュプル信号)を算出することで、ウォブル信号を生成するウォブル信号生成部をさらに備えてもよい。
本実施の形態2のRF用ホログラム41では、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lにブレーズ型の回折格子が形成されているので、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lに入射した光束から+1次光Rd4及び+1次光Ld4を生成し、RF用受光素子43上の任意の位置に回折して入射させることができる。
したがって、第1端部領域41Rを透過した+1次光Rd4と第2端部領域41Lを透過した+1次光Ld4とを、RF用受光素子43上の第1端部受光部43Rと第2端部受光部43Lとでそれぞれ分離して検出することが可能である。したがって、RF用受光素子43上の検出スポットをほぼ収束させることが可能であり、実施の形態1のRF用受光素子33上の検出スポットのように、焦点をずらす必要はない。
このような構成とすることで、検出スポットのサイズは、RF用受光素子43の受光部サイズに対して相対的に小さくなるので、光束とRF用受光素子43との位置ずれに対するマージンが拡大し、より信頼性が高く、安定した信号検出が実現できる。
ここで、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lのブレーズ型の回折格子は、階段状(例えば8レベル)の回折格子で近似して作成してもよい。この場合、回折ピッチが小さいと、階段状の回折格子の線幅(=1レベルの幅、8レベルの回折格子の場合は回折ピッチの1/8)が非常に小さくなり、作成が困難となり、高い回折効率を得ることが困難となる。ここで、回折格子の線幅とは、階段の1レベルの幅を表し、8レベルの階段を有する回折格子の場合、線幅は回折ピッチの1/8となる。
しかしながら、図13に示すように、本実施の形態2のRF用ホログラム41の第1端部領域41R及び第2端部領域41Lに対応した第1端部受光部43R及び第2端部受光部43Lは、中央領域41Cに対応した第1中央部受光部43C1及び第2中央部受光部43C2に対して、0次光(透過光)の光軸(一点鎖線の交点)近傍に配置されている。これは、バイナリ型の単純回折格子が形成された中央領域41Cの回折角に対して、ブレーズ型の回折格子が形成された第1端部領域41R及び第2端部領域41Lの回折角は非常に小さい、すなわち第1端部領域41R及び第2端部領域41Lの回折ピッチは非常に大きいことを示している。つまり、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lに形成されるブレーズ型の回折格子の回折ピッチは、中央領域41Cに形成されるバイナリ型の回折格子の回折ピッチよりも大きい。
したがって、ブレーズ型の回折格子を階段状の回折格子で近似して作成する場合であっても、階段状の回折格子の線幅が十分に大きいので、容易に作成することができると共に、十分に高い回折効率を確保することが可能となる。故に、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域41R及び第2端部領域41Lの光量ロスが小さいので、高い信号対雑音強度比(S/N)の情報信号を得ることができる。
図14は、RF用受光素子における、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側に位置する情報記録面で反射された迷光と、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側とは逆の面側に位置する情報記録面で反射された迷光とについて説明するための図である。
なお、図14では、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、40μm手前(光入射面側)に位置する情報記録面で反射した迷光と、40μm奥(光入射面側とは逆の面側)に位置する情報記録面で反射した迷光とが、重複している。RF用ホログラム41に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、RF用受光素子43上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d4、C2d4、Rd4、Ld4と重ならない。そのため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、このような構成であっても、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対する記録又は再生において、安定した信号検出が実現できる。
図15は、本発明の実施の形態2におけるRF用ホログラムの他の例を示す図であり、図16は、RF用受光素子における、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側に位置する情報記録面で反射された迷光と、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側とは逆の面側に位置する情報記録面で反射された迷光とについて説明するための図である。
例えば、図15に示すRF用ホログラム41’では、中央領域41C’は、+1次回折光C1d4’及び−1次回折光C2d4’をそれぞれ右下方向及び左上方向に回折させるバイナリ型の単純回折格子により形成される。+1次回折光C1d4’及び−1次回折光C2d4’は、図16に示すRF用受光素子43’上の第1中央部受光部43C1’及び第2中央部受光部43C2’にそれぞれ入射する。
図16に示すように、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、40μm手前(光入射面側)に位置する情報記録面で反射した迷光と、40μm奥(光入射面側とは逆の面側)に位置する情報記録面で反射した迷光とが、重複している。RF用ホログラム41’に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、RF用受光素子43’上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d4’、C2d4’、Rd4、Ld4と重ならない。そのため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、このような構成であっても、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対する記録又は再生において、安定した信号検出が実現できる。
(実施の形態3)
本実施の形態3において、実施の形態1及び実施の形態2と共通の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図17は、本発明の実施の形態3におけるRF用ホログラムの構成を示す図である。
本実施の形態3のRF用ホログラム51は、図17に示すように高密度光ディスク200の半径方向(情報トラックの接線に対して直交する方向)に3分割されて、レーザ光の光軸を含む中央領域51Cと、中央領域51Cを挟む第1端部領域51Rと第2端部領域51Lとを有している。また、中央領域51Cの中心には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域51Cよりも相対的に透過率が小さい中央遮光部CSが形成されている。また、中央領域51C、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lの周辺には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域51C、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lよりも相対的に透過率の小さい周辺遮光部PSが形成されている。
RF用ホログラム51のそれぞれの領域に入射した光束LF(破線で示す)は、回折して、RF用受光素子53上の対応する受光部に入射する。
図18は、本発明の本実施の形態3におけるRF用受光素子の構成を示す図である。なお、図18において、一点鎖線の交点は、0次光(透過光)の光軸位置を示している。
RF用受光素子53は、RF用ホログラム51によって分割された複数の光束を受光し、受光した複数の光束の光量に応じた複数の信号を出力する。RF用受光素子53は、中央領域51Cによって生成された+1次回折光C1d5及び−1次回折光C2d5と、第1端部領域51Rによって生成された+1次回折光Rd5と、第2端部領域51Lによって生成された+1次回折光Ld5とを受光する。RF用受光素子53は、第1中央部受光部53C1、第2中央部受光部53C2、第1端部受光部53R、及び第2端部受光部53Lを備える。
中央領域51Cで回折した+1次回折光C1d5及び−1次回折光C2d5は、RF用受光素子53上の第1中央部受光部53C1及び第2中央部受光部53C2にそれぞれ入射する。第1端部領域51Rで回折した+1次回折光Rd5及び第2端部領域51Lで回折した+1次光Ld5は、RF用受光素子53上の第1端部受光部53R及び第2端部受光部53Lにそれぞれ入射する。RF用受光素子53は、各受光部53C1、53C2、53R、53Lで受光した回折光C1d5、C2d5、Rd5、Ld5の光量に応じた信号を出力する。
第1中央部受光部53C1は、信号を加算器34へ出力し、第2中央部受光部53C2は、信号を加算器34へ出力する。第1端部受光部53Rは、信号を利得制御器35へ出力し、第2端部受光部53Lは、信号を利得制御器35へ出力する。
加算器34は、第1中央部受光部53C1から出力された信号と、第2中央部受光部53C2から出力された信号とを加算し、加算した信号を利得制御器35へ出力する。
各信号は、利得制御器35の第1〜第3波形等化器35a〜35cで波形等化がなされた後、加算器36に出力される。
加算器36から出力された情報信号は、隣接トラックからの信号の漏れこみであるクロストークが抑制された信号である。そのため、信号処理部37は、低い誤り率で情報信号を再生する。
図17に示した、本実施の形態3のRF用ホログラム51では、中央領域51Cは、バイナリ型の単純回折格子により形成され、中央領域51Cに入射した光束から、+1次回折光C1d5と−1次回折光C2d5とを生成し、RF用受光素子53上の第1中央部受光部53C1と第2中央部受光部53C2とにそれぞれ入射させる。このとき、+1次回折光C1d5及び−1次回折光C2d5の回折効率(反射防止のARコートを含む)は、それぞれ35%(合計70%)程度である。なお、+1次回折光C1d5及び−1次回折光C2d5の回折効率は、実質的にはそれぞれ30%(合計60%)以上であることが好ましい。
一方、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lは、ブレーズ型の回折格子により形成され、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lに入射した光束から、+1次光Rd5及び+1次光Ld5を生成し、RF用受光素子53上の第1端部受光部53R及び第2端部受光部53Lにそれぞれ入射させる。このとき、+1次光Rd5及び+1次光Ld5の透過率は、反射防止のARコートを考慮して85%程度である。なお、第1端部受光部53R及び第2端部受光部53Lの透過率は、実質的には80%以上であることが好ましい。
したがって、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域51R及び第2端部領域51Lの光量ロスが小さいので、高い信号対雑音強度比(S/N)の情報信号を得ることができる。
また、本実施の形態3の光ディスク装置は、RF用ホログラム51の第1端部領域51Rで回折され、RF用受光素子53上の第1端部受光部53Rに入射する+1次回折光Rd5から検出される信号と、RF用ホログラム51の第2端部領域51Lで回折され、RF用受光素子53上の第2端部受光部53Lに入射する+1次回折光Ld5から検出される信号との差信号(プッシュプル信号)を算出することで、ウォブル信号を生成するウォブル信号生成部をさらに備えてもよい。
本実施の形態3のRF用ホログラム51では、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lにブレーズ型の回折格子が形成されているので、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lに入射した光束から+1次光Rd5及び+1次光Ld5を生成し、RF用受光素子53上の任意の位置に回折して入射させることができる。
さらに、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lに形成されるブレーズ型の回折格子は凸レンズのパワーを有している。
図19は、実施の形態2のRF用ホログラム41と、本実施の形態3のRF用ホログラム51との違いについて説明するための図である。なお、図を簡略化するため、中央領域で回折された+1次回折光及び−1次回折光の一方と、2つの端部領域の一方で回折された+1次光とを省略している。
図18の上方に示す実施の形態2のRF用ホログラム41において、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lに形成されるブレーズ型の回折格子は、単一ピッチであり、レンズ作用を有していない。そのため、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lで回折された+1次光Rd4及び+1次光Ld4の最良像点位置(検出スポットが最小となるRF用受光素子43の位置)と、同じくレンズ作用を有していない中央領域41Cで回折された+1次回折光C1d4及び−1次回折光C2d4の最良像点位置とは異なっている。
従って、厳密には、第1端部領域41R及び第2端部領域41Lで回折された+1次光Rd4及び+1次光Ld4と、中央領域41Cで回折された+1次回折光C1d4及び−1次回折光C2d4との両方の検出スポット径を最小とすることができない。
一方、図18の下方に示す本実施の形態3のRF用ホログラム51において、レンズ作用を有していない中央領域51Cで回折された+1次回折光C1d5及び−1次回折光C2d5の最良像点位置(検出スポットが最小となるRF用受光素子53の位置)は、実施の形態2のRF用受光素子43よりも、RF用ホログラム51側にδだけ近い。ここで、中央領域51Cで回折された+1次回折光C1d5及び−1次回折光C2d5の最良像点位置と、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lで回折された+1次光Rd5及び+1次光Ld5の最良像点位置とが一致するように、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lに形成されるブレーズ型の回折格子には、凸レンズのパワーが付与されている。
したがって、第1端部領域51Rを透過した+1次光Rd5と第2端部領域51Lを透過した+1次光Ld5とを、RF用受光素子53上の第1端部受光部53Rと第2端部受光部53Lとでそれぞれ分離して検出すると共に、RF用受光素子53上の検出スポットを完全に収束させることが可能である。
このような構成とすることで、検出スポットのサイズは、さらにRF用受光素子53の受光部サイズに対して相対的に小さくなるので、光束とRF用受光素子53との位置ずれに対するマージンが拡大し、より信頼性が高く、安定した信号検出が実現できる。
なお、図18に示すように、本実施の形態3のRF用ホログラム51の第1端部領域51R及び第2端部領域51Lに対応した第1端部受光部53R及び第2端部受光部53Lは、中央領域51Cに対応した第1中央部受光部53C1及び第2中央部受光部53C2に対して、0次光(透過光)の光軸(一点鎖線の交点)近傍に配置されている。これは、バイナリ型の単純回折格子が形成された中央領域51Cの回折角に対して、ブレーズ型の回折格子が形成された第1端部領域51R及び第2端部領域51Lの回折角は非常に小さい、すなわち第1端部領域51R及び第2端部領域51Lの回折ピッチは非常に大きいことを示している。つまり、第1端部領域51R及び第2端部領域51Lに形成されるブレーズ型の回折格子の回折ピッチは、中央領域51Cに形成されるバイナリ型の回折格子の回折ピッチよりも大きい。
したがって、ブレーズ型の回折格子を階段状の回折格子で近似して作成する場合であっても、階段状の回折格子の線幅が十分に大きいので、容易に作成することができると共に、十分に高い回折効率を確保することが可能となる。故に、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域51R及び第2端部領域51Lの光量ロスが小さいので、高い信号対雑音強度比(S/N)の情報信号を得ることができる。
図20は、RF用受光素子における、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側に位置する情報記録面で反射された迷光と、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側とは逆の面側に位置する情報記録面で反射された迷光とについて説明するための図である。
なお、図20では、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、40μm手前(光入射面側)に位置する情報記録面で反射した迷光と、40μm奥(光入射面側とは逆の面側)に位置する情報記録面で反射した迷光とが、重複している。RF用ホログラム51に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、RF用受光素子53上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d5、C2d5、Rd5、Ld5と重ならない。そのため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、このような構成であっても、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対する記録又は再生において、安定した信号検出が実現できる。
図21は、本発明の実施の形態3におけるRF用ホログラムの他の例を示す図であり、図22は、RF用受光素子における、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側に位置する情報記録面で反射された迷光と、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも光入射面側とは逆の面側に位置する情報記録面で反射された迷光とについて説明するための図である。
例えば、図21に示すRF用ホログラム51’では、中央領域51C’は、+1次回折光C1d5’及び−1次回折光C2d5’をそれぞれ右下方向及び左上方向に回折させるバイナリ型の単純回折格子により形成される。+1次回折光C1d5’及び−1次回折光C2d5’は、図22に示すRF用受光素子53’上の第1中央部受光部53C1’及び第2中央部受光部53C2’にそれぞれ入射する。
図22に示すように、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、40μm手前(光入射面側)に位置する情報記録面で反射した迷光と、40μm奥(光入射面側とは逆の面側)に位置する情報記録面で反射した迷光とが、重複している。RF用ホログラム51’に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、RF用受光素子53’上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d5’、C2d5’、Rd5、Ld5と重ならない。そのため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、このような構成であっても、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対する記録又は再生において、安定した信号検出が実現できる。
(実施の形態4)
本実施の形態4において、実施の形態1〜3と共通の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図23は、本発明の実施の形態4におけるRF用ホログラムの構成を示す図である。
本実施の形態4のRF用ホログラム61は、図23に示すように高密度光ディスク200の半径方向(情報トラックの接線に対して直交する方向)に3分割されるとともに、情報トラック接線方向にさらに3分割されて、レーザ光の光軸を含む中央領域61Cと、中央領域61Cを挟む第1端部領域61Rと第2端部領域61Lと、中央領域61C、第1端部領域61R及び第2端部領域61Lを挟む第1調整領域61U及び第2調整領域61Dとを有している。また、中央領域61Cの中心には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域61Cよりも相対的に透過率が小さい中央遮光部CSが形成されている。また、中央領域61C、第1端部領域61R、第2端部領域61L、第1調整領域61U及び第2調整領域61Dの周辺には、青紫レーザ光を透過させない、あるいは中央領域61C、第1端部領域61R、第2端部領域61L、第1調整領域61U及び第2調整領域61Dよりも相対的に透過率の小さい周辺遮光部PSが形成されている。
RF用ホログラム61は、高密度光ディスク200のいずれかの情報記録面で反射されたレーザ光を、第1調整領域61Uによって回折される光束と、第2調整領域61Dによって回折される光束とにさらに分割する。
RF用ホログラム61のそれぞれの領域に入射した光束LF(破線で示す)は、回折して、RF用受光素子63上の対応する受光部に入射する。
図24は、本発明の本実施の形態4におけるRF用受光素子の構成を示す図である。
RF用受光素子63は、RF用ホログラム61によって分割された複数の光束を受光し、受光した複数の光束の光量に応じた複数の信号を出力する。RF用受光素子63は、中央領域61Cによって生成された+1次回折光C1d6及び−1次回折光C2d6と、第1端部領域61Rによって生成された+1次回折光Rd6と、第2端部領域61Lによって生成された+1次回折光Ld6と、第1調整領域61Uによって生成された±+1次回折光の少なくとも一方と、第2調整領域61Dによって生成された±1次回折光の少なくとも一方とを受光する。RF用受光素子63は、第1中央部受光部63C1、第2中央部受光部63C2、第1端部受光部63R、第2端部受光部63L、第1調整受光部63U及び第2調整受光部63Dを備える。
中央領域61Cで回折した+1次回折光C1d6及び−1次回折光C2d6は、RF用受光素子63上の第1中央部受光部63C1及び第2中央部受光部63C2にそれぞれ入射する。第1端部領域61Rで回折した+1次回折光Rd6及び第2端部領域61Lで回折した+1次光Ld6は、RF用受光素子63上の第1端部受光部63R及び第2端部受光部63Lにそれぞれ入射する。RF用受光素子63は、各受光部63C1、63C2、63R、63Lで受光した回折光C1d6、C2d6、Rd6、Ld6の光量に応じた信号を出力する。各受光部63C1、63C2、63R、63Lから出力された信号は、実施の形態1〜3と同様に、波形等化がなされた後、加算され、低い誤り率で情報信号として再生される。
図23に示した、本実施の形態4のRF用ホログラム61では、中央領域61Cは、バイナリ型の単純回折格子により形成され、中央領域61Cに入射した光束から、+1次回折光C1d6と−1次回折光C2d6とを生成し、RF用受光素子63上の第1中央部受光部63C1と第2中央部受光部63C2にそれぞれ入射させる。このとき、+1次回折光C1d6及び−1次回折光C2d6の回折効率(反射防止のARコートを含む)は、それぞれ35%(合計70%)程度である。なお、+1次回折光C1d6及び−1次回折光C2d6の回折効率は、実質的にはそれぞれ30%(合計60%)以上であることが好ましい。
一方、第1端部領域61R及び第2端部領域61Lは、ブレーズ型の回折格子により形成され、第1端部領域61R及び第2端部領域61Lに入射した光束から、+1次光Rd6及び+1次光Ld6を生成し、RF用受光素子63上の第1端部受光部63R及び第2端部受光部63Lにそれぞれ入射させる。このとき、+1次光Rd6及び+1次光Ld6の透過率は、反射防止のARコートを考慮して85%程度である。なお、第1端部受光部63R及び第2端部受光部63Lの透過率は、実質的には80%以上であることが好ましい。
したがって、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域61R及び第2端部領域61Lの光量ロスが小さいので、高い信号対雑音強度比(S/N)の情報信号を得ることができる。
また、本実施の形態4の光ディスク装置は、RF用ホログラム61の第1端部領域61Rで回折され、RF用受光素子63上の第1端部受光部63Rに入射する+1次回折光Rd6から検出される信号と、RF用ホログラム61の第2端端部領域61Lで回折され、RF用受光素子63上の第2端部受光部63Lに入射する+1次回折光Ld6から検出される信号との差信号(プッシュプル信号)を算出することで、ウォブル信号を生成するウォブル信号生成部をさらに備えてもよい。
本実施の形態4のRF用ホログラム61では、第1端部領域61R及び第2端部領域61Lにブレーズ型の回折格子が形成されているので、第1端部領域61R及び第2端部領域61Lに入射した光束から+1次光Rd6及び+1次光Ld6を生成し、RF用受光素子63上の任意の位置に回折して入射させることができるという特徴を備えている。
さらに、実施の形態3のRF用ホログラム51と同様に、レンズ作用を有していない中央領域61Cで回折された+1次回折光C1d6及び−1次回折光C2d6の最良像点位置(検出スポットが最小となるRF用受光素子63の位置)と、第1端部領域61R及び第2端部領域61Lで回折された+1次光Rd6及び+1次光Ld6の最良像点位置とが一致するように、第1端部領域61R及び第2端部領域61Lに形成されるブレーズ型の回折格子には、凸レンズのパワーが付与されている。
したがって、第1端部領域61Rを透過した+1次光Rd6と第2端部領域61Lを透過した+1次光Ld6とを、RF用受光素子63上の第1端部受光部63Rと6第2端部受光部3Lとでそれぞれ分離して検出すると共に、RF用受光素子63上の検出スポットを完全に収束させることが可能である。そのため、光束とRF用受光素子63との位置ずれに対するマージンが拡大し、より信頼性が高く、安定した信号検出が実現できる。
第1調整領域61U及び第2調整領域61Dは、バイナリ型の単純回折格子により形成され、第1調整領域61U及び第2調整領域61Dに入射した光束から、それぞれ±1次回折光を生成し、RF用受光素子63上の第1調整受光部63U及び第2調整受光部63Dに入射させる。
なお、RF用受光素子63上の第1調整受光部63Uは、第1調整領域61Uで回折された±1次回折光の両方を受光してもよく、第1調整領域61Uで回折された±1次回折光のいずれか一方を受光してもよい。また、RF用受光素子63上の第2調整受光部63Dは、第2調整領域61Dで回折された±1次回折光の両方を受光してもよく、第2調整領域61Dで回折された±1次回折光のいずれか一方を受光してもよい。
ここで、図23に示すRF用ホログラム61に形成された中央遮光部CSは、光束LFの中心(光軸)に略一致させることで光束LFの中央部を遮光し、中央領域61Cに入射した信号光と他層反射迷光と表面反射迷光とが、RF用受光素子63上で重なって干渉することを抑制している。
そこで、光束LFとRF用ホログラム61との半径方向の相対位置は、RF用受光素子63の第1端部受光部63R及び第2端部受光部63Lに入射する+1次光Rd6及び+1次光Ld6の光量(に応じた出力)が略等しくなるように、調整することが好ましい。
一方、光束LFとRF用ホログラム61との情報トラック接線方向の相対位置は、光束LFとRF用ホログラム61とを情報トラック接線方向に意図的にずらした際に、RF用受光素子63の第1調整受光部63U及び第2調整受光部63Dに入射する±1次回折光の光量(に応じた出力)をモニタすることで、調整可能である。
図25は、本実施の形態4のRF用ホログラム61において、光束が第1調整領域61U側にずれている例を示す図であり、図26は、光束が第1調整領域61U側にずれている場合にRF用受光素子63に入射する回折光を示す図である。図27は、本実施の形態4のRF用ホログラム61において、光束が第2調整領域61D側にずれている例を示す図であり、図28は、光束が第2調整領域61D側にずれている場合にRF用受光素子63に入射する回折光を示す図である。
具体的には、図25に示すように、RF用ホログラム61に対して、光束LFが紙面の上方向(第1調整領域61U側)にずれている場合、図26に示すように、第1調整領域61Uに入射して回折した+1次回折光Uは、RF用受光素子63上の第1調整受光部63Uに入射する。光束LFとRF用ホログラム61との情報トラック接線方向の相対位置ずれが大きいほど、第1調整受光部63Uで受光される+1次回折光Uの光量は大きくなる。
一方、図27に示すように、RF用ホログラム61に対して、光束LFが紙面の下方向(第2調整領域61D側)にずれている場合、図28に示すように、第2調整領域61Dに入射して回折した+1次回折光Dは、RF用受光素子63上の第2調整受光部63Dに入射する。光束LFとRF用ホログラム61との情報トラック接線方向の相対位置ずれが大きいほど、第2調整受光部63Dで受光される+1次回折光Dの光量は大きくなる。
また、光束LFとRF用ホログラム61との情報トラック接線方向の相対位置ずれがない場合には、第1調整受光部63Uで受光される+1次回折光Uの光量と、第2調整受光部63Dで受光される+1次回折光Dの光量とはいずれもゼロとなる。
ここで、RF用ホログラム61に対して、光束LFが紙面の上方向に所定量(例えば+Xμm)ずれた場合に第1調整受光部63Uで受光される+1次回折光Uの光量と、RF用ホログラム61に対して、光束LFが紙面の下方向に所定量(例えば−Xμm)ずれた場合に第2調整受光部63Dで受光される+1次回折光Dの光量とが略等しくなるように、光束LFとRF用ホログラム61との情報トラック接線方向の相対位置が調整される。これにより、光束LFとRF用ホログラム61との情報トラック接線方向の相対位置は、より容易に調整することができる。したがって、第1調整領域61Uの回折効率と第2調整領域61Dの回折効率とは、略等しいことが好ましい。第1調整領域61Uの回折効率と第2調整領域61Dの回折効率とを略等しくするために、第1調整領域61Uに形成されるバイナリ型の単純回折格子の回折ピッチと、第2調整領域61Dに形成されるバイナリ型の単純回折格子の回折ピッチとは、略等しいことが好ましい。
なお、第1調整領域61Uで回折された±1次回折光の回折効率(反射防止のARコートを含む)は、それぞれ35%(合計70%)程度である。また、第1調整領域61Uで回折された±1次回折光の回折効率は、実質的にはそれぞれ30%(合計60%)以上であることが好ましい。
また、第2調整領域61Dで回折された±1次回折光の回折効率(反射防止のARコートを含む)は、それぞれ35%(合計70%)程度である。また、第2調整領域61Dで回折された±1次回折光の回折効率は、実質的にはそれぞれ30%(合計60%)以上であることが好ましい。
なお、図24では、記録又は再生の対象となる情報記録面よりも、40μm手前(光入射面側)に位置する情報記録面で反射した迷光と、40μm奥(光入射面側とは逆の面側)に位置する情報記録面で反射した迷光とが、重複している。第1調整領域61U及び第2調整領域61Dに入射する他層反射迷光及び表面反射迷光も含めて、RF用ホログラム61に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、RF用受光素子63上で記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光C1d6、C2d6、Rd6、Ld6と重ならない。そのため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、このような構成であっても、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスク200に対する記録又は再生において、安定した信号検出が実現できる。
図29は、本発明の実施の形態4の第1の変形例におけるRF用ホログラムの構成を示す図である。
例えば、図29に示すように、RF用ホログラム62は、高密度光ディスク200の半径方向(情報トラックの接線に対して直交する方向)に曲線により3分割されて、レーザ光の光軸を含む中央領域62Cと、中央領域62Cを挟む第1端部領域62Rと第2端部領域62Lとを有してもよい。すなわち、中央領域62Cと第1端部領域62Rとの境界線は、曲線形状であることが好ましく、中央領域62Cと第2端部領域62Lとの境界線は、曲線形状であることが好ましい。
このような構成とすることで、RF用ホログラム62に対して、光束LFが紙面の上方向又は下方向にずれた場合、中央領域62Cに入射して回折した±1次回折光の光量は小さくなり、第1端部領域62R及び第2端部領域62Lに入射して回折した+1次回折光の光量は大きくなる。
すなわち、光束LFとRF用ホログラム62との情報トラック接線方向の相対位置は、光束LFとRF用ホログラム62とを情報トラック接線方向に意図的にずらした際に、中央領域62Cによって回折された±1次回折光の光量(に応じた出力)と、第1端部領域62R及び第2端部領域62Lによって回折された+1次回折光の光量(に応じた出力)とをモニタすることで、調整可能である。この場合、図24に示した情報トラック接線方向の相対位置を調整するための第1調整受光部63U及び第2調整受光部63Dが不要となるというメリットがある。
図30は、本発明の実施の形態4の第2の変形例におけるRF用ホログラムの構成を示す図である。
例えば、図30に示すように、RF用ホログラム62’は、高密度光ディスク200の半径方向(情報トラックの接線に対して直交する方向)に曲線により3分割されるとともに、情報トラック接線方向にさらに3分割されて、レーザ光の光軸を含む中央領域62C’と、中央領域62C’を挟む第1端部領域62R’と第2端部領域62L’と、中央領域62C’、第1端部領域62R’及び第2端部領域62L’を挟む第1調整領域62U’及び第2調整領域62D’とを有してもよい。このような構成とすることで、光束LFとRF用ホログラム62’との情報トラック接線方向の相対位置をより容易に調整することができる。
なお、RF用ホログラム62(又は、RF用ホログラム62’)のような構成であっても、中央領域62C、第1端部領域62R及び第2端部領域62Lによって回折された回折光の光量に応じた出力に対して、実施の形態1〜3と同様に、波形等化がなされた後、加算され、低い誤り率で情報信号として再生されることは言うまでもない。
(実施の形態5)
図31は、本発明の実施の形態5における光ディスク装置の構成を示す概略図であり、図32は、本発明の実施の形態5における光ディスク装置の分割素子の分割構造を示す模式図である。
図31において、光ディスク装置は、青色半導体レーザユニット101、対物レンズ103、レーザーミラー104、ビームスプリッタ105、分割素子106、光検出器107、利得制御器108、増幅器108c、108r、108l、加算器109、再生信号処理部110、制御信号処理部111、対物レンズアクチュエータ112、チルト検出器114、レンズシフト検出器115、スピンドルモータ120、及びターンテーブル121を備える。
制御信号処理部111は、制御信号生成部111a、及びトラッキング切替器111bを含む。分割素子106は、中央部領域106c及び2つの端部領域106r、106lを有する。光検出器107は、3つの受光部107c、107r、107lを有する。
また、分割素子106、光検出器107、利得制御器108、増幅器108c、108r、108l、及び加算器109等から、光ディスク102の隣接トラックからのクロストークをキャンセルするクロストークキャンセラが構成されている。なお、利得制御器及び増幅器の構成は、図示の例に特に限定されず、例えば、利得制御器と、少なくとも3つの増幅器とを備える利得可変増幅回路を用いてもよい。
青色半導体レーザユニット101は、波長λの光束を出射するレーザ光源であり、青色半導体レーザユニット101から出射される光の波長λは、400nm〜415nmの波長である。例えば、本実施の形態では、青色半導体レーザユニット101は、略405nmの波長の光ビーム(光束)を出射するように構成されている。
光ディスク102は、ターンテーブル121上に装着され、スピンドルモータ120がターンテーブル121を回転させることにより、光ディスク102が回転される。また、光ディスク102は、溝状のトラックを有し、溝のランド部とグルーブ部とに情報を記録可能となっており、溝間隔をGpとしたとき、下記式を満たしている。
(Gp/2)<(1.2・λ)/(2・NA)
本実施の形態では、例えば、溝間隔Gp=0.46μmであり、Gp/2すなわちトラックピッチTp=0.23μmとなっており、Gp/2は、(1.2・λ)/(2・NA)=(1.2×0.405)/(2×0.85)=0.286μmを下回っている。
再び、図31を参照して、対物レンズ103は、青色半導体レーザユニット101から出射された光束を集光して光ディスク102上に集光スポットを形成する開口数NAの対物レンズである。例えば、本実施の形態では、略405nmの波長の光ビームを開口数0.85で集光するように、対物レンズ103を構成している。
ここで、光ディスク102のトラックピッチTpをBDのトラックピッチの0.32μmに対して0.23μmに縮小しているので、記録密度としては約2.0倍の高密度化を見込める。
青色半導体レーザユニット101から出射された光ビームは、レーザーミラー104で反射して対物レンズ103に向かう。対物レンズ103で絞られた青色の光ビームは、光ディスク102の情報記録面上の、例えば、グルーブ部G(又はランド部L)上に集光されて照射される。
そして、光ディスク102の情報記録面上で反射回折した反射光は、往路と同様に対物レンズ103を透過し、レーザーミラー104及びビームスプリッタ105を透過して分割素子106に至る。分割素子106は、ガラス面上に微細な溝が形成されて回折格子として動作するように製作された回折素子である。
図32に示すように、分割素子106は、例えば、光ディスク102のラジアル方向Rに対応した方向(光ディスク102の半径方向であってタンジェンシャル方向Tと直交する方向)に沿って3分割されて、中央部領域106cと、中央部領域106cを挟む2つの端部領域106r、106lとに分けられている。各々の領域を透過した光ビームは、各領域の回折格子により異なる方向に分離される。本実施の形態では、例えば、分割素子106のラジアル方向Rの中央部領域106cの幅Wpを、光ビームの直径の約45%としている。
その後、分離された光ビームは、光検出器107の異なる3つの受光部107c、107r、107lに各々入射される。すなわち、中央部領域106cを透過した光ビームは、光検出器107の受光部107c(中央部受光部)に、端部領域106rを透過した光ビームは、受光部107r(端部受光部)に、端部領域106lを透過した光ビームは、受光部107l(端部受光部)に、各々入射する。
光検出器107は、各受光部107c、107r、107lで受光した光量に応じた光量信号を各々出力し、各光量信号は、増幅器108c(中央部増幅器)及び増幅器108r、108l(端部増幅器)に各々入力される。増幅器108c、108r、108lは、ゲインを可変できる利得可変増幅器であり、利得制御器108は、各増幅器108c、108r、108lのゲインを制御する。すなわち、増幅器108c、108r、108lのゲインは、利得制御器108によって最適なゲインKc、Kr、Klに設定されており、各光量信号は、最適なゲインKc、Kr、Klで増幅された後、加算器109に入力される。
加算器109は、最適なゲインKc、Kr、Klで増幅された光量信号を加算して情報信号を出力する。再生信号処理部110は、情報信号を処理して再生信号RFを出力する。この結果、加算器109から出力される情報信号では、隣接トラックからのクロストークが抑制されてエラーレートが低減されているので、再生信号処理部110によって高精度な再生信号RFが再生される。
また、再生信号処理部110は、再生信号RFの評価値を生成して利得制御器108に供給する。本実施の形態では、評価値として、例えば、iMLSE(Integrated−Maximum Likelihood Sequence Estimation)を生成するものとする。iMLSEは、2値化された再生信号の品質の評価指標として用いられ、エラーレート相関の評価値である。
利得制御器108は、クロストークキャンセラの係数を最適化するために、上記のiMLSEを指標として、増幅器108c、108r、108lのゲインKc、Kr、Klを制御する。具体的には、利得制御器108は、再生信号処理部110で生成されるiMLSEの値が最小となるように、ゲインKc、Kr、Klの値を決定する。例えば、利得制御器108は、ゲインKc、Kr、Klの値を変えてiMLSEの値の計算を繰り返し、iMLSEの値が最小となるゲインKc、Kr、Klの値を選択する。
ここで、クロストークキャンセルの効果は、各増幅器108c、108r、108lに与えるゲインKc、Kr、Klの比率によって決まるので、計算の簡単化のため、利得制御器108は、ゲインKc=1とし、ゲインKr、Klの値を決定する。なお、ゲインKc、Kr、Klの値は、DC値であっても効果があるが、周波数特性を有するデジタルフィルタのタップ係数として与えると、より高い効果を得ることができる。
一方、制御信号処理部111の制御信号生成部111aは、ビームスプリッタ105によって反射された光ビームを受光してフォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号を検出し、フォーカシングエラー信号及びトラッキングエラー信号からフォーカシング制御信号FoC及びトラッキング制御信号TrCを生成する。フォーカシング制御信号FoC及びトラッキング制御信号TrCは、対物レンズアクチュエータ112に出力され、対物レンズ103のフォーカシング動作及びトラッキング動作が行われる。本実施の形態では、トラックピッチTpは0.23μmであり、光ビームの回折限界を下回るが、溝間隔Gpは0.46μmであり、十分な振幅のトラッキングエラー信号を得ることができる。
制御信号処理部111は、トラッキング切替器111bを具備しており、トラッキング切替器111bは、制御信号生成部111aが生成したトラッキング制御信号TrCを利得制御器108へ出力する。このとき、トラッキング切替器111bは、集光スポットが走査するトラックが光ディスク102のランド部Lであるか又はグルーブ部Gであるかに応じて、トラッキング制御信号TrCの極性を反転する。
また、利得制御器108は、トラッキング切替器111bからトラッキング制御信号の極性切替のタイミング情報と、集光スポットが走査するトラックがランド部Lであるか又はグルーブ部Gであるかを特定する情報とを得ることによって、ランド部Lとグルーブ部Gとの切替わりに合わせて増幅器108c、108l、108rに設定するゲインの組合せを切り替えることが可能になる。具体的には、利得制御器108は、トラッキング制御信号の極性が反転されたときに、増幅器108c、108l、108rのゲインを切替えるとともに、光ディスク102の隣接トラックからのクロストークが低減するように、増幅器108cのゲインを増幅器108l、108rの少なくとも一つのゲインより実質的に低く設定する。
したがって、ランド部Lとグルーブ部Gとで反射率が異なるが、本実施の形態では、走査トラックがランド部Lであるか又はグルーブ部Gであるかによって、走査トラックと隣接トラックとの関係が反転し、クロストークキャンセラの効果がなくなってしまうことなく、隣接トラックからの信号の漏れ込みを抑制してエラーレートを低減することができ、高精度な情報信号の記録再生を実現することができる。
また、本実施の形態に使用可能な分割素子としては、分割素子106に特に限定されず、例えば、以下の分割素子を用いることもできる。図33は、図31に示す光ディスク装置に用いられる他の分割素子の分割構成を示す模式図である。
図33に示す分割素子126は、ガラス面上に微細な溝が形成されて回折格子として動作するように製作された回折素子であり、光ディスク102のラジアル方向Rに対応した方向に3分割されており、2つの端部領域126r、126lは、ラジアル方向Rと平行な境界線で上下をカットされている。したがって、分割素子126は、中央に位置する略H字形状(光ディスク102のタンジェンシャル方向Tを水平方向として見た形状)の中央部領域126cと、中央部領域126cを挟む矩形形状(3辺が直線で1辺が円弧からなる略長方形)の2つの端部領域126r、126lとを有している。
各々の領域を透過した光ビームは、各領域の回折格子により異なる方向に分離される。分割素子126が3分割素子であるので、図31と同様に、光検出器107は、3つの受光部107l、107c、107rを具備しており、利得制御器108も、3種類の増幅器108l、108c、108rを有し各々Kl、Kc、Krのゲインを与える。
上記のように、本例では、分割素子126を図33に示すようなパターンで3分割したことにより、隣接トラックからのクロストークが集中する部位に絞ってクロストークの補正を行うので、隣接トラックからのクロストークをより詳細に補正することができる。したがって、図31の光ディスク装置と同様の効果が得られることに加えて、加算器109から出力される情報信号では、より詳細にクロストークが抑制されてエラーレートがより低減されているので、再生信号処理部110は、より高精度な再生信号RFを再生することが可能となる。
(実施の形態6)
図34は、本発明の実施の形態6における光ディスク装置の構成を示す概略図であり、図35は、本発明の実施の形態6における光ディスク装置の分割素子の分割構成を示す模式図である。
図34において、図31と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図34において、図31と異なる点は、分割素子106、光検出器107、利得制御器108、増幅器108c、108r、108l及び加算器109に替えて、分割素子119、光検出器117、利得制御器118、増幅器118c、118r1、118r2、118l1、118l2及び加算器119aを用いている点である。
分割素子119は、ガラス面上に微細な溝が形成されて回折格子として動作するように製作された回折素子である。図35に示すように、分割素子119は、光ディスク102のラジアル方向Rに対応した方向に5分割されて、中央部領域119cと、中央部領域119cを挟む2つの端部領域119r2、119l2と、2つの端部領域119r2、119l2を挟む2つの端部領域119r1、119l1とに分けられている。各々の領域を透過した光ビームは、各領域の回折格子により異なる方向に分離される。
本実施の形態では、分割素子119のラジアル方向Rの各領域の幅は、光ビームの直径を100%として、端部領域119r1の幅:端部領域119r2の幅:中央部領域119cの幅:端部領域119l2の幅:端部領域119l1の幅=16.7%:16.7%:33.3%:16.7%:16.7%となっている。
なお、上記の分割領域(中央部領域119c及び端部領域119r1、119r2、119l1、119l2)の幅は、条件によって、適宜最適な値とすることは可能である。
分割素子119が5分割素子であることに合わせて、光検出器117も、5つの受光部117r1、117r2、117c、117l2、117l1を具備しており、利得制御器118も、5種類の増幅器118r1、118r2、118c、118l2、118l1を制御し、各々にゲインKr1、Kr2、Kc、Kl2、Kl1を与える。また、加算器119aは、最適なゲインKr1、Kr2、Kc、Kl2、Kl1で増幅された光量信号を加算して情報信号を再生信号処理部110へ出力する。
上記のように、本実施の形態では、分割素子119を5分割素子としたことにより、隣接トラックからのクロストークをより詳細に補正することができる。したがって、図31の光ディスク装置と同様の効果が得られることに加えて、加算器119aから出力される情報信号では、より詳細にクロストークが抑制されてエラーレートがより低減されているので、再生信号処理部110は、より高精度な再生信号RFを再生することが可能となる。
(実施の形態7)
図36は、本発明の実施の形態7における光ディスク装置の構成を示す概略図であり、図37は、本発明の実施の形態7における光ディスク装置の分割素子の分割構成を示す模式図である。図36において、図31と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図36において、図31と異なる点は、分割素子106、光検出器107、利得制御器108、増幅器108c、108r、108l及び加算器109に替えて、分割素子136、光検出器137、利得制御器138、増幅器138c、138r、138d、138u、138l及び加算器139を用いている点である。
分割素子136は、ガラス面上に微細な溝が形成されて回折格子として動作するように製作された回折素子である。図37に示すように、分割素子136は、光ディスク102のラジアル方向Rに対応した方向に3分割され、中央部領域(中心部領域136c及び2つの端部領域136u、136d)と、中央部領域を挟む2つの端部領域136r、136lとに分けられており、且つ中央部領域がタンジェンシャル方向Tに沿って3分割され、中心部領域136cと、中心部領域136cを挟む上下2つの端部領域136u、136dとに分けられて、全部で5分割されている。各々の領域を透過した光ビームは各領域の回折格子により異なる方向に分離される。
すなわち、分割素子136は、光ディスク102のラジアル方向Rに対応した方向に3分割され、中央部領域と、2つの端部領域136r、136lとを有し、中央部領域は、光ディスクのタンジェンシャル方向Tに対応した方向に3分割され、中心部領域136cと、中心部領域136cを上下に挟む2つの端部領域136u、136dとを有している。
分割素子136が5分割素子であることに合わせて、光検出器137も、5つの受光部137r、137d、137c、137u、137lを具備しており、利得制御器138も、5種類の増幅器138r、138d、138c、138u、138lを制御し、各々にゲインKr、Kd、Kc、Ku、Klのゲインを与える。また、加算器139は、最適なゲインKr、Kd、Kc、Ku、Klで増幅された光量信号を加算して情報信号を再生信号処理部110へ出力する。
上記のように、光検出器137は、中心部領域136cの光ビームを受光する受光部137cと、4つの端部領域136r、136d、136u、136lの光ビームを受光する4つの受光部137r、137d、137u、137lとを有し、受光した各光ビームの光量に応じた光量信号を出力する。増幅器138cは、受光部137cからの光量信号を受けてゲインKcで増幅した中央部増幅信号を出力し、増幅器138r、138lは、受光部137r、138lからの光量信号を受けてゲインKr、Klで増幅した端部増幅信号を出力し、増幅器138d、138uは、受光部137d、137uからの光量信号を受けてゲインKd、Kuで増幅した中央端部増幅信号を出力する。
加算器139は、増幅器138r、138d、138c、138u、138lからの増幅信号を加算して情報信号を出力し、利得制御器138は、トラッキング制御信号の極性が反転されたときに、増幅器138r、138d、138c、138u、138lのゲインKr、Kd、Kc、Ku、Klを切替えるとともに、光ディスク102の隣接トラックからのクロストークが低減するように、増幅器138cのゲインKcを増幅器138r、138d、138u、138lのゲインKr、Kd、Ku、Klのうち少なくとも一つのゲインより実質的に低く設定する。
上記のように、本実施の形態では、分割素子136を図37に示すようなパターンで5分割したことにより、隣接トラックからのクロストークが集中する部位に絞ってクロストークの補正を行うので、隣接トラックからのクロストークをより詳細に補正することができる。
したがって、図31の光ディスク装置と同様の効果が得られることに加えて、加算器139から出力される情報信号では、より詳細にクロストークが抑制されてエラーレートがより低減されているので、再生信号処理部110は、より高精度な再生信号RFを再生することが可能となる。
(実施の形態8)
図38は、本発明の実施の形態8における光ディスク装置の構成を示す概略図であり、図39は、本発明の実施の形態8における光ディスク装置の分割素子の分割構成を示す模式図である。図38において、図31と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図38において、図31と異なる点は、分割素子106、光検出器107、利得制御器108、増幅器108c、108r、108l及び加算器109に替えて、分割素子146、光検出器147、利得制御器148、増幅器148t、148cr、148cl、148r及び加算器149を用いている点であり、光検出器147からの光量信号を基に情報信号を得るために、光検出器147から独立に出力する数を変更した点である。
分割素子146は、ガラスや樹脂などの面上に微細な溝を形成するなどして回折格子として動作するように製作された回折素子である。図39に示すように、分割素子146は、光ディスク102のラジアル方向R(トラック延伸方向と直角方向)に対応した方向に4分割され、中央部領域は、分割中央部領域146crと分割中央部領域146clとに2分割されている。
中央部領域(分割中央部領域146cr、146cl)をラジアル方向Rに挟んで両端部に2つの領域(ラジアル方向端部領域146r)があるように見えるが、ラジアル方向端部領域146rは、同じ受光部上に回折光を導くよう設計された同一の回折領域である。さらに、タンジェンシャル方向Tの片方のみにタンジェンシャル方向端部領域146tを設ける。
すなわち、分割素子146は、光ディスク102のタンジェンシャル方向Tに対応した方向に2分割され、分割領域と、タンジェンシャル方向端部領域146tとを含む。分割領域は、光ディスク102のラジアル方向Rに対応した方向に4分割され、分割素子146の中央部領域は、分割領域の中央部に位置する2つの分割中央部領域146cr、146cl含む。分割素子146の端部領域は、分割中央部領域146cr、146を挟む2つのラジアル方向端部領域146rと、タンジェンシャル方向端部領域146tとを含む。各々の領域を透過した光ビームは、各領域の回折格子により異なる方向に回折される。
また、図39中の円は、理想的な状態での光ビームの有効径を表し、分割素子146の各領域のハッチングは、光ビームの有効径内のみ示したが、各領域の分割線は、光ビームの有効径を表す円を通り越して延伸させている。したがって、有効径の変化、レンズシフト、及び装置の組み立て誤差等があっても、光ビームは回折される。なお、上記の各実施の形態では、分割線の延伸を省略して示さなかったが、図39と同様に、各領域の分割線を延伸させるようにしてもよく、後述する他の実施の形態も同様である。
本実施の形態では、分割素子146の分割数は、回折領域の種類としては、4分割であるので、光検出器147も、上記の4つの受光部(分割中央部領域146cr、146cl、端部受光部147r、147t)を具備しており、光検出器147は、中央部受光部として、2つの分割中央部領域146cr、146clを透過した光ビームを受光する2つの分割中央部受光部147cr、147clを含み、端部受光部として、2つのラジアル方向端部領域146rを透過した光ビームを受光する端部受光部147rと、タンジェンシャル方向端部領域146tを透過した光ビームを受光する端部受光部147tとを含む。
利得制御器148も、4種類の増幅器148t、148cr、148cl、148rを有し、各々にゲインKt、Kcr、Kcl、Krを与える。また、加算器149は、最適なゲインKt、Kcr、Kcl、Krで増幅された光量信号を加算して情報信号を再生信号処理部110へ出力する。
ここで、図37に示す実施の形態7の分割素子136でも、タンジェンシャル方向Tに回折領域を設けることによって、再生信号の品質をより良好にする効果がある。さらに、本実施の形態の分割素子146では、ほぼ光軸付近を通る分割線によって中央領域を分割することによって、対物レンズ103が光ディスク102の溝状のトラックTrに追従してラジアル方向R(トラック溝延伸方向と直角方向)に動いた場合などのストレスに対する性能劣化を防止し、マージンを確保することができるという効果がある。
(実施の形態9)
近年、青紫半導体レーザの実用化に伴い、CD(Compact Disc)及びDVDと同じサイズで、高密度及び大容量の光情報記録媒体(以下、光ディスクとも言う)であるブルーレイディスク(以下、BDとも言う)が実用化されている。BDは、波長400nm程度の青紫色光ビームを出射する青紫レーザ光源と、開口数(Numerical Aperture、以下、NAとも言う)が0.85の対物レンズとを用いて、光透過層の厚さが約0.1mmである情報記録面に対して情報を記録又は再生するための光ディスクである。
また、複数の記録層を備えたり、記録層内の記録密度を高めたりすることにより、従来の光ディスクと同じサイズでさらなる大容量化を図るとともに、当該光ディスクに対して情報を記録又は再生する光ピックアップについて検討されている。
一方、光ディスクの多層化及び記録密度の向上にあたっては、従来よりも小さな信号を、できるだけ高い品質で読み取る必要がある。例えば、光ピックアップにおいて光ディスクからの反射光を検出する光検出器は、光ディスクの再生信号(RF信号)を、高い信号対雑音強度比(S/N)で検出することが求められる。また、光ディスクの情報記録面に対するフォーカス制御、及び記録トラックに対するトラッキング制御を安定的に行うため、安定的な制御信号(サーボ信号)を得ることも求められる。
例えば、特開2002−190124号公報には、光ディスクからの反射光を第1の光路と第2の光路とに分岐し、それぞれの光路に配置された2つの光検出器を用いて、RF信号とサーボ信号とを個別に生成する構成が示されている。ここで、特開2002−190124号公報に示された、従来の光ピックアップの構成について説明する。図40は、従来の光ピックアップの構成を示す概略図である。
図40において、半導体レーザ301を出射した光ビームは、いくつかの光学素子を通過して偏光ビームスプリッタプリズム302の偏光ビームスプリッタ面302aで反射される。これにより、光ビームの進行方向が90度変換される。偏光ビームスプリッタ面302aで反射された光ビームは、更にいくつかの光学素子を経て、対物レンズ308によって光ディスク300の信号記録面上に集光され、信号が記録又は再生される。
また、光ディスク300から反射されて戻ってきた光ビームは、対物レンズ308から偏光ビームスプリッタプリズム302まで戻り、今度は偏光ビームスプリッタ面302aを透過し、ビームスプリッタプリズム303まで導かれる。そして、ビームスプリッタプリズム303によって、反射光は第1の光路と第2の光路とに分岐される。第1の光路に分岐された反射光は、第1の光回折素子304を通して第1の光検出器305に入射される。一方、第2の光路に分岐された反射光は、第2の光回折素子306を通してシリンドリカルレンズ付きの第2の光検出器307に入射される。
ここで、第1の光回折素子304及び第1の光検出器305は、光ディスク300から再生された情報信号(RF信号)を検出するとともに、DPD法(各受光信号の位相差を検出する差動位相差法)によってトラッキングエラー信号(DPD信号)を検出する。一方、第2の光回折素子306及び第2の光検出器307は、スポットサイズ法によってフォーカスエラー信号(FE信号)を検出するとともに、プッシュプル法によってトラッキングエラー信号(TE信号)を検出する。
このように、復路(光ディスクからの反射光が光検出器まで導かれる光路)において光路を分岐する構成により、サーボ系の信号とは別にRF信号を検出することができ、高周波化によるアンプノイズ等の影響を低減する上で有利な信号検出を行なうことが可能である。また、光路が分岐されているので、分岐された各光路にそれぞれ異なる光回折素子を設けることができ、プッシュプル法によりトラッキングエラー信号を生成したり、DPD法によりトラッキングエラー信号を生成したりして、異なる種類の光ディスクに対応することが可能になる。
また、特開平9−054952号公報にも、光ディスクからの反射光を第1の光路と第2の光路とに分岐し、それぞれの光路に配置された2つの光検出器を用いて、RF信号とサーボ信号とを個別に生成する構成が示されている。ここで、特開平9−054952号公報に示された、従来の光ピックアップの構成について説明する。図41は、従来の光ピックアップの構成を示す概略図である。
図41において、半導体レーザ401を出射した光は、いくつかの光学素子を通過して、グレーティング409においてトラッキング信号を生成するための0次光と±1次光とにおよそ3分割される。なお、トラッキング信号は、3ビーム法又は差動プッシュプル法により生成されるが、その詳細については省略する。3分割された光は、ビームスプリッタ402を透過し、更にいくつかの光学素子を経て、対物レンズ408によって光ディスク400の信号記録面上に集光され、信号が記録又は再生される。
また、光ディスクから反射されて戻ってきた光ビームは、対物レンズ408からビームスプリッタ402まで戻り、今度はビームスプリッタ面にて反射される。進行方向が90度変換された光ビームは、ハーフミラー403に導かれる。そして、反射光は、ハーフミラー403によって第1の光路と第2の光路とに分岐される。第1の光路に分岐された反射光は、凹レンズ410によって拡大され、スリット404を通過し、第1の光検出器405に導かれる。第2の光路に分岐された反射光は、検出レンズ406を通過し、第2の光検出器407に入射される。
ここで、第1の光路においては、凹レンズ410によって拡大された光束の内の±1次光はスリット404によって除去される。第1の光検出器405は、スリット404を透過した0次光を受光し、受光した0次光を使用してRF信号を生成する。第2の光路においては、第2の光検出器407は、マルチレンズによって導かれた0次光及び±1次光を受光し、受光した0次光及び±1次光を使用してサーボ信号を生成する。
このように、復路において光路を分岐する構成により、RF信号とサーボ信号とが、異なる光検出器で生成されるので、RF信号及びサーボ信号を高精度で得ることができる。さらに、RF信号系については、反射光が凹レンズ410で拡大され、スリット404で±1次光が排除されて0次光のみが受光されるので、機械的な変動に対してより安定した精度の高い信号を得ることができる。
また、詳細な説明は省略するが、特開昭62−234256号公報にも、復路の光路に配置したハーフミラーで光路を分岐して、再生信号とサーボ信号とを異なる光検出器で生成する例が示されている。
いずれの文献においても共通することは、復路の光路に光路分岐素子を配置して光路を分岐し、RF信号(再生信号)とサーボ信号とを別々に生成することでRF信号の性能を高めることを目的としていることである。
上記の文献に示されているように、復路の光路に光路分岐素子を配置して光路を分岐し、RF信号(再生信号)とサーボ信号とを別々に受光することでRF信号の性能を高めることができる。
しかしながら、光路を分岐する構成は、光路を分岐しない構成と比較して光量が減少するという課題がある。特に、BDの多層光ディスクに対して情報を記録又は再生する場合、BDの多層光ディスクはより奥の層まで光を到達させるため、各層の反射率を低くする必要がある。そのため、記録層からの反射光量も少なくなる。上記の文献に示されているように、復路で光路を分岐すると、多層光ディスクからの少ない反射光量はさらに減少し、RF信号のS/Nが低下して再生品質が悪くなるという課題がある。また、上記の文献においては、多層光ディスクに対して情報を記録又は再生することについては考慮されておらず、多層光ディスクに対して情報を記録又は再生するためにフォーカス制御を行っている記録層以外の記録層からの不要な反射光、いわゆる多層迷光によって再生品質が悪くなるという課題もある。
一方、1層あたりの記録密度を向上させるには、半径方向のトラック密度を高める、又はトラック接線方向の記録パターン自体の密度を高める方法が有効である。特に、トラック接線方向の記録密度を高める場合においては、よりエネルギーの小さい信号を再生する必要があることから、上記の文献のように復路で光路を分岐して、RF信号用の光検出器に到達する光量を減少させると、RF信号のS/Nが低下して再生品質が悪くなるという課題がある。また、上記の文献においては、半径方向のトラック密度を詰めた光ディスクから情報を再生する時に、走査中のトラックに隣接するトラックからの再生信号が漏れ込むことにより、再生品質が悪くなるという課題もある。
このように、従来の構成では、多層光ディスク又は記録層内の記録密度を高めた光ディスクといった、従来よりも大容量の光ディスクに対して情報を安定的に記録又は再生することができないという課題があった。
以下の実施の形態では、上記の問題を解決するためになされたもので、多層化かつ狭トラックピッチ化した記録媒体に対して情報を安定して記録又は再生することができる光情報装置及び情報処理装置を提供することを目的とするものである。
図42は、本発明の実施の形態9における光ピックアップの構成を示す概略図である。
図42を用いて多層BDから情報を再生する例について説明する。図42において、光ピックアップ50は、光ビームを出射する光源201、プリズム型ビームスプリッタ202、コリメートレンズ203、立上げミラー204、1/4波長板205、対物レンズ206、光分岐素子207、第1の回折素子208、第1の光検出器209、第2の回折素子210、検出レンズ211、第2の光検出器212、及びフロントモニタ213を備える。対物レンズ206又はコリメートレンズ203を駆動するアクチュエータ、各種光学部品を保持するホルダ類、及び光学基台等は、図の簡略化のため省略する。
光源201から出射された波長390〜420nm(代表として405nm)の略直線偏光の光ビームは、プリズム型ビームスプリッタ202に入射し、ビームスプリッタ面で反射される。反射された光ビームは、コリメートレンズ3で略平行光に変換され、立上げミラー204で反射される。反射された光ビームは、光ディスク(BD)220に略垂直な光軸に沿って進み、1/4波長板205によって直線偏光から略円偏光に変換され、対物レンズ206によって保護基板(図示せず)を介して光ディスク(BD)220の情報記録面に光スポットとして収束される。
光ディスク220の情報記録面で反射した光ビームは、再び対物レンズ206を透過し、1/4波長板205で往路とは異なる直線偏光に変換され、立上げミラー204で反射される。反射された光ビームは、コリメートレンズ3で収束光に変換され、プリズム型ビームスプリッタ202に入射する。プリズム型ビームスプリッタ202を透過した光ビームは、光分岐素子207に導かれる。
光ビームは、光分岐素子207により、光分岐素子207を反射した光ビームが進行する第1の光路と、光分岐素子207を透過した光ビームが進行する第2の光路とに分岐される。光分岐素子207を反射した光ビームは、第1の回折素子208により分割される。分割された光ビームは、第1の光検出器209で受光される。第1の光検出器209は、光ディスク220の情報信号であるRF信号を検出して出力する。
一方、光分岐素子207を透過した光ビームは、第2の回折素子210で0次回折光と1次回折光とに分割される。分割された光ビームは、検出レンズ211で非点収差を与えられ、第2の光検出器212で受光される。第2の光検出器212は、光ディスク220に対してフォーカス制御又はトラッキング制御を行うためのサーボ信号を検出して出力する。
第2の光検出器212は、光ディスク220の情報記録面で反射されたレーザ光を受光してサーボ信号を出力する。光分岐素子207は、光ディスク220の情報記録面で反射されたレーザ光を、第1の光検出器209が配置される第1の光路と、第2の光検出器212が配置される第2の光路とに分岐する。光分岐素子207により分岐され第1の光路に入射するレーザ光の光量は、光分岐素子207により分岐され第2の光路に入射するレーザ光の光量よりも大きい。第2の回折素子210は、第2の光路中に配置され、光ディスク220の情報記録面で反射されたレーザ光を複数の光束に分割する。第2の光検出器212は、第2の回折素子210で分割された複数の光束を受光してサーボ信号を出力する。
ここで、図43及び図44を用いて、サーボ信号を生成する第2の回折素子210、検出レンズ211及び第2の光検出器212について詳細に説明する。
図43は、本発明の実施の形態9における第2の光検出器212の受光領域の配置パターンの一例を示す模式図である。第2の光検出器212は、5種類の受光領域212a〜212d,212xを有しており、受光領域212xは、4分割で1組みになっている。光ディスク220に情報を記録又は再生するためのフォーカス誤差信号は、検出レンズ211によって非点収差を与えられた集光スポットを第2の光検出器212内の4分割された受光領域212xで検出する、いわゆる非点収差法等を用いて検出される。また、従来の光ピックアップでは、受光領域212xで検出された信号の総和からRF信号を生成する方式が一般的であるが、本実施の形態の光ピックアップは、この方式を使用しない構成である。
一方、トラッキング誤差信号は、第2の回折素子210を透過する際に生成された0次回折光と1次回折光とを、第2の光検出器212の所定の受光領域で受光することにより検出される。本実施の形態では、光ディスク220に形成される情報トラックの溝の位置、幅又は深さにばらつきがある場合に生じるトラッキング誤差信号の変動、及び情報トラックに情報が記録されて反射率が変わることで生じるトラッキング誤差信号の変動を抑制することが可能である。また、本実施の形態では、複数の情報記録面を有する多層の光ディスク220において、記録又は再生の対象となる情報記録面とは異なる情報記録面で反射された不要な光(多層迷光)が、トラッキング誤差信号を検出する受光領域に入射することを避けることもできる。
図44は、本発明の実施の形態9における第2の回折素子210の光束分割パターンの一例を示す模式図である。図44中の破線は、光ディスク220の情報記録面で反射された光ビームの、第2の回折素子210上での光束径を示している。第2の回折素子210は、8種類の領域210a〜210hを有しており、それぞれの領域に入射したレーザ光を0次回折光と±1次回折光とに分割する。分割された0次回折光と±1次回折光とは、第2の光検出器212で受光される。各領域210a〜210fの0次回折光は、前述のフォーカス誤差信号生成のため、受光領域212xに導かれる。領域210aによって回折された+1次回折光は、受光領域212aに導かれ、領域210bによって回折された+1次回折光は、受光領域212bに導かれ、領域210c及び210dによって回折された+1次回折光は、受光領域212cに導かれ、領域210e及び領域210fによって回折された+1次回折光は、受光領域212dに導かれる。各領域210a〜210fの−1次回折光は、第2の光検出器212内のいずれの受光領域にも導かれない。受光領域212a〜212dからの受光量に応じた出力をIA〜IDとすると、トラッキング誤差信号TEは、下記の式により算出される。
TE=(IA−IB)−k(IC−ID)
ただし、上記の式のkは任意の定数である。
領域210hは、多層光ディスクに情報を記録又は再生する時に、フォーカス制御を行っている情報記録面以外の情報記録面からの不要な反射光、いわゆる多層迷光を除去するための除去領域である。この除去領域については、本出願人が特許第4909449号明細書及び特許第5002465号明細書で詳しく説明している。多層迷光を効果的に除去するために、除去領域である領域210hは、第2の回折素子210上における、光ディスク220の情報記録面で反射された光ビームの中央近傍に配置する必要がある。各領域210a〜210fを通過する光ビームを受光領域212a〜212dに導くように第2の回折素子210及び第2の光検出器212の相対的な位置を調整し、かつ光ビームの0次回折光の光軸が4分割の受光領域212xの中心に一致するように調整すれば、必然的に除去領域である領域210hは光ビームの中央近傍に配置される。
なお、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の検出は、これらの検出方法に限定されるものではなく、詳細な説明は省略するが、例えば光源201の光ビーム出射側の近くに配置された回折格子によって生成されたメインビームとサブビームとを用いた、いわゆる3ビーム法又は差動プッシュプル法(DPP法)等が用いられてもよい。
また、第2の光検出器212の受光領域の配置パターンは、第2の光検出器212が領域212xと領域212a〜212dを備えていれば、必ずしも図43の通りの配置でなくともよい。
次に、図45及び図46を用いて、RF信号を生成する第1の回折素子208及び第1の光検出器209について詳細に説明する。図45は、本発明の実施の形態9における第1の光検出器209の受光領域の配置パターンの一例を示す模式図である。第1の光検出器209は、4つの独立した受光領域9a〜9dを有している。図46は、本発明の実施の形態9における第1の回折素子208の光束分割パターンの一例を示す模式図である。図46中の破線は、光ディスク220の情報記録面で反射された光ビームの、第1の回折素子208上での光束径を示している。
第1の回折素子208は、4種類の領域208a〜208dを有している。第1の回折素子208は、光ディスク220の半径方向に3分割され、レーザ光の光軸を含む領域208bと、領域208bを挟む領域208aと領域208cと、領域208b内に設けられた領域208dとを有している。領域208dと領域208aとの間の距離は、領域208dと領域208cとの間の距離と略等しく、領域208dは、第1の回折素子208の略中心に配置される。
それぞれの領域に入射した光ビームは、0次回折光と±1次回折光とに分割され、第1の光検出器209に導かれる。領域208aによって回折された+1次回折光は、受光領域209aに導かれ、領域208bによって回折された+1次回折光は、受光領域209bに導かれ、領域208cによって回折された+1次回折光は、受光領域209cに導かれ、領域208dによって回折された+1次回折光は、受光領域209dに導かれる。各領域の0次回折光と−1次回折光とは、いずれの受光領域にも導かれない。受光領域209a〜209cからの受光量に応じた出力をJA〜JCとすると、RF信号は、下記の式により算出される。
RF=αJA+βJB+γJC
ただし、上記の式において、RFは、RF信号を表し、α、β及びγは任意の定数を表す。
このように、光ディスク220の半径方向に3分割されたRF信号を含む光ビームを個別に受光し、前述のようにRF信号が算出されることで、再生のために走査中の情報トラックに隣接する情報トラックからのRF信号の漏れ込み(クロストーク)を低減することができる。すなわち、RF信号を含む光ビームを光ディスク220の半径方向に3分割すると、それぞれの受光領域におけるクロストーク成分の混入比率が異なるため、各受光領域の信号に重み付けをして演算することにより、クロストークを低減させることができる。これは、例えば、本出願人が特開平5−242512号公報で提案している構成例を応用している。このクロストーク信号の低減により、より光ディスク220の半径方向のトラック密度を高めることができ、光ディスクを大容量化することができる。なお、詳細な説明は省略するが、出力JA、出力JB及び出力JCの重み付け係数を周波数成分毎に変えてRF信号を算出して、RF信号の算出結果が最適になるように重み付け係数にフィードバックを行う、いわゆる波形等化処理を行うことによって、さらに再生品質を向上させることもできる。
ここで、図46に示す領域208dは、受光領域209dに導かれるが、RF信号の計算には使用されない。領域208dは、前述の図44の除去領域(領域210h)と同様に、多層迷光を低減する効果があるが、前述のように光ビームの中央近傍に配置する必要がある。以下、領域208dの位置調整方法について述べる。
まず、光ビームと第1の光検出器209との相対的な位置関係については、光ビームに対して第1の光検出器209の位置を意図的に変位させると、各受光領域に光ビームが全て入っているか、又は各受光領域から光ビームがはみ出しているかが、各受光領域の受光量に応じた出力が変化することによりわかる。したがって、光ビームがはみ出した位置座標を把握して、光ビームの中心に第1の光検出器209の位置を変位させることで、光ビームに対して第1の光検出器209の位置を精度高く調整することができる。
次に、第1の回折素子208の除去領域である領域208dを光ビームの中心近傍に配置する方法について述べる。図47〜図50は、光ビームの位置と第1の光検出器209の位置とを固定した後に、第1の回折素子208の位置を変位させた場合の、第1の回折素子208上の光ビームの位置を示す模式図である。
図47は、第1の回折素子208を光ディスク220の半径方向の左方に変位させた場合の、第1の回折素子208上の光ビームの位置を示す模式図であり、図48は、第1の回折素子208を光ディスク220の半径方向の右方に変位させた場合の、第1の回折素子208上の光ビームの位置を示す模式図であり、図49は、第1の回折素子208を光ディスク220の情報トラック接線方向の下方に変位させた場合の、第1の回折素子208上の光ビームの位置を示す模式図であり、図50は、第1の回折素子208を光ディスク220の情報トラック接線方向の上方に変位させた場合の、第1の回折素子208上の光ビームの位置を示す模式図である。
まず、図47及び図48に示すように、第1の回折素子208を光ディスク220の半径方向(図中では紙面左右方向)に変位させた場合は、領域208aと領域208cとで分割される光ビームの面積が変わることから、受光領域209aと受光領域209cとから出力される信号量が変化する。したがって、受光領域209aから出力される信号量と受光領域209cから出力される信号量とが等しくなるように、第1の回折素子208を光ディスク220の半径方向に変位させる。これにより、光ディスク220の半径方向において、第1の回折素子208の除去領域である領域208dの位置を光ビームの中央近傍に配置することができる。
次に、図49及び図50に示すように、第1の回折素子208を光ディスク220の情報トラック接線方向(図中では紙面上下方向)に変位させた場合は、光ビームが領域208dにかからない状態になると、受光領域209dから出力される信号量が減少する。したがって、第1の回折素子208を光ディスクの情報トラック接線方向に沿って上方及び下方に意図的に変位させ、受光領域209dから出力される信号量が減少する上端位置と下端位置とを検出し、上端位置と下端位置との中心に第1の回折素子208を配置する。これにより、光ディスク220の情報トラック接線方向において、第1の回折素子208の除去領域である領域208dの位置を光ビームの中央近傍に配置することができる。
以上の構成により、第1の回折素子208の除去領域を光ビームの中央近傍に配置することができる。
なお、第1の光検出器209の受光領域の配置パターンは、受光領域209a〜209dを備えていれば、必ずしも図45の通りの配置パターンでなくともよい。詳細には説明しないが、特に光ディスク220として多層光ディスクが用いられる場合は、フォーカス制御を行っている記録層以外の記録層からの不要な反射光(多層迷光)のうち、領域208dで除去できない光ビームが第1の光検出器209に到達する可能性がある。そのため、このような迷光を避ける配置パターンが有効である。
なお、第1の光検出器209及び第2の光検出器212は、光電変換を行う受光領域と、光電変換された電気信号を増幅する複数のアンプとで構成されることが望ましい。このような構成とすることで、信号のノイズ又は損失を低減することができ、光ピックアップ250の再生性能を高めることができる。本実施の形態の構成において、サーボ信号検出用の第2の光検出器212と、RF信号検出用の第1の光検出器209とを分けており、かつ第1の光検出器209の受光領域はわずか4つであり、またRF信号は、わずか3つの受光領域からの信号を用いて生成される。そのため、本実施の形態の構成は、RF信号とサーボ信号とを同一の光検出器で生成する構成と比べて、アンプの数を低減することができ、アンプノイズを低減しRF信号のS/Nを向上することができる。
ここで、光分岐素子207は、第1の光検出器209に分岐する光ビームの光量を、第2の光検出器212に分岐する光ビームの光量よりも大きくしている。例えば、図42に示す光ピックアップ250の構成例であれば、光分岐素子207の反射率をRとし、光分岐素子207の透過率をTとすると、R>Tの関係を満たす。すなわち、光ディスク220からの反射光のうち、第1の光検出器209で受光する反射光の光量をE1とし、第2の光検出器212で受光する反射光の光量をE2とすると、E1>E2の関係を満たす。
このような構成とすることで、RF信号を検出する第1の光検出器209に到達する光ビームの光量を大きくすることができ、RF信号に対して高いS/Nを確保することができる。また、第1の光検出器209の増幅アンプの増幅倍率を無理に高くする必要がないため、カットオフ周波数(利得が3dB低下する周波数)を高くすることができ、より高周波成分を含むRF信号の再生品質も高めることができる。一方、サーボ信号を検出する第2の光検出器212に到達する反射光の光量は少なくなる。しかしながら、サーボ信号にはRF信号ほど高いカットオフ周波数が必要ではないため、増幅アンプの増幅倍率を高めることができ、反射光の光量が少ない状態であっても、サーボ信号の出力は十分であり、安定的なサーボ制御が可能となる。
ここで、本実施の形態の構成において、光分岐素子207の反射率Rは約80%であり、光分岐素子207の透過率Tは約20%であることが望ましい。反射率Rを高めるほど、RF信号のS/Nは向上するが、透過率Tが小さくなりすぎると、サーボ信号を検出する第2の光検出器212のアンプの増幅倍率が高くなりすぎる。そのため、暗電流又は温度ドリフトといったオフセット成分も増幅されてしまいサーボ制御が不安定となる。そのため、少なくとも光分岐素子207の透過率Tが約20%であれば、第2の光検出器212のアンプの増幅倍率を高くしすぎる必要がなく、オフセット成分を十分に無視できるため、安定的なサーボ制御が可能となる。
なお、光ビームの集光スポットが第1の光検出器209の各受光領域上に形成されるようにしている。このような構成とすることで、従来の非点収差を与えられた最小錯乱円を受光領域で受光してRF信号を生成する場合よりも、受光領域の面積を小さくできる。そのため、情報を記録又は再生する速度を向上させるためにカットオフ周波数を高めたり、信号のノイズを低減したりすることができる。一方、各受光領域の面積は、集光スポットよりも大きいことが望ましい。このような構成により、機械的な位置誤差又は環境温度変化等による位置変位に対して強くすることができる。
なお、本実施の形態において、RF信号は、第1の回折素子208の+1次回折光のみを使用して生成されるが、さらに光の利用効率を高めるために、第1の回折素子208の回折構造をブレーズ化し、+1次回折光の回折効率を高めてもよい。または、光の利用効率を高めるために、第1の回折素子208の領域208a〜208cからの+1次回折光が導かれる受光領域とは別に、領域208a〜208cからの−1次回折光が導かれる受光領域を第1の光検出器209に独立して設け、−1次回折光を受光する受光領域からの信号を、RF信号を生成する演算に利用してもよい。また、第1の回折素子208の領域毎に選択的にブレーズ化してもよく、例えば、第1の光検出器209は、第1の回折素子208の中央の領域208bからの+1次回折光を受光する受光領域と、領域208bからの−1次回折光を受光する受光領域と、ブレーズ化された領域208aからの+1次光を受光する受光領域と、ブレーズ化された領域208cからの+1次光を受光する受光領域とを個別に備えてもよい。この場合、光利用効率を高めることができる。
以上の構成を整理すると、光分岐素子207の特性を最適化したことで、光ディスク220を多層化する又は情報トラック接線方向の記録密度を高めることによってRF信号を生成するための光検出器で検出される信号が小さくなる場合でも、RF信号のS/Nを高くすることができるため、再生性能が向上する。サーボ信号を生成するための光検出器は、検出される信号の増幅倍率を高めることにより、安定したサーボ制御が可能である。
また、RF信号の検出系において、回折素子上の除去領域が光ビームの中央近傍に配置されるように調整することにより、光ディスク220の多層化により発生する多層迷光を効果的に除去して、多層の光ディスクの再生性能を向上させることができる。また、サーボ信号の検出系においても、回折素子上に除去領域が設けられているので、安定したサーボ制御が可能である。
また、本実施の形態では、再生のために走査中の情報トラックに隣接する情報トラックからのRF信号の漏れ込み(クロストーク信号)を低減することができるので、半径方向のトラック密度を高めた光ディスク220の再生性能が向上する。
このように、本実施の形態の光ピックアップ250は、光ディスク220の多層化、情報トラック接線方向の記録密度の向上、及び半径方向のトラック密度の向上を行なっても、高い再生品質を得ることができ、安定したサーボ制御を実現することができる。そのため、光ディスク220の飛躍的な大容量化を実現することができる。
なお、図42では説明を簡単にするため、立ち上げミラー204は、光ビームを紙面内で90°方向に折り曲げているが、光ビームを紙面垂直方向に90°折り曲げてもよい。この場合、光ピックアップ250を薄型化できる。
また、対物レンズアクチュエータ(図示せず)は、複数のサスペンションワイヤによって可動部である対物レンズホルダ(図示せず)を支持する。対物レンズアクチュエータは、回転する光ディスク220の情報トラックに光スポットが追従するよう、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号によって、フォーカス方向及びトラッキング方向に対物レンズ206を駆動する。
コリメートレンズアクチュエータ(図示せず)は、例えば、ステッピングモータ等を駆動させることにより、コリメートレンズ203を光軸方向に移動させる。コリメートレンズ203の出射光が略平行光となる位置を基準位置として、コリメートレンズ203を基準位置から光源側(図42におけるプリズム型ビームスプリッタ202側)に移動させることによって、コリメートレンズ203の出射光は発散光となる。これにより、例えば、光ディスク220の保護基板が厚い場合に発生する球面収差を補正することができる。なお、保護基板が厚い場合とは、温度変化により保護基板の厚みが増加した場合、又は多層光ディスクにおける光入射面から遠く離れた記録層に対して情報を記録又は再生する場合である。
一方、コリメートレンズ203を基準位置から対物レンズ側(図42における立上げミラー204側)に移動させることによって、コリメートレンズ203の出射光は収束光となる。これにより、例えば、光ディスク220の保護基板が薄い場合に発生する球面収差を補正することができる。なお、保護基板が薄い場合とは、温度変化により保護基板の厚みが減少した場合、又は多層ディスクにおける光入射面により近い記録層に対して情報を記録又は再生する場合である。
すなわち、複数の情報記録面を備えた光ディスク220において、それぞれの情報記録面の保護基板の厚さに応じてコリメートレンズ203を移動させることにより、球面収差を補正することができる。なお、コリメートレンズ203を移動させることにより、対物レンズ206等の光学素子の温度変化によって発生する球面収差、及び光源201から出射される青紫光ビームの波長の変化によって発生する球面収差を補正することも可能である。
なお、光源201は半導体レーザであることが望ましい。このような構成とすることで、光ピックアップ250を小型化、軽量化及び低消費電力化することができる。
なお、プリズム型ビームスプリッタ202は、特定の直線偏光の反射率を高くするとともに、それと直交する直線偏光の透過率を高くした偏光分離膜を備えることが望ましい。このような構成とすることにより、1/4波長板205と組み合わせることで、光源201からの出射光すなわち往路の光ビームの反射率を最大にし、光ディスク220からの反射光すなわち復路の光ビームの透過率を最大にすることによって、光の利用効率を高めることができ、光ピックアップ250の再生性能を向上させることができ、低消費電力化を実現することができる。
なお、検出レンズ211は、一般的な非点収差法におけるフォーカス制御用の非点収差を発生させる素子である。検出レンズ211が例えばシリンドリカルレンズで構成される場合には、レンズ設計を最適化することで良好な検出スポットを得てフォーカス制御性能を向上させることができる。また、図示しないが、検出レンズ211に替えて、収束光路中に光軸に対して斜めに挿入された平行平板を備えることにより、非点収差を発生させてもよい。この場合、シリンドリカルレンズよりも素子単体の作製が容易となるためコストダウンが可能になる。また、平板素子であるため、取付け精度のマージンを拡大することができる。
なお、光ピックアップ250は、さらにフロントモニタ213を備えてもよい。フロントモニタ213は、立ち上げミラー204を透過した光ビームの一部の光量をモニタする。立ち上げミラー204の反射率及び透過率は既知(一定)であるので、光源201から出射される光ビームの光量を計算することができ、フィードバック制御することで、光源201から出射する光ビームの光量を必要に応じてリアルタイムに精度よく調整することができる。これにより、光ディスク220の記録性能又は再生性能を向上させることができる。
なお、本実施の形態において光分岐素子207で反射された光ビームが導かれる第1の光路に配置された第1の回折素子208と第1の光検出器209とによってRF信号が生成され、光分岐素子207で透過された光ビームが導かれる第2の光路に配置された第2の回折素子210と検出レンズ211と第2の光検出器212とによってサーボ信号が生成されるが、本発明は特にこれに限定されない。光分岐素子207で反射された光ビームが導かれる第1の光路に第2の回折素子210と検出レンズ211と第2の光検出器212とを配置し、光分岐素子207で透過された光ビームが導かれる第2の光路に第1の回折素子208と第1の光検出器209とを配置してもよい。その場合には、光分岐素子207の反射率をRは、透過率をTより小さくすることにより、本実施の形態9と同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態は光ディスクに限定されるものではなく、光テープ又は光カードといった、光情報記録媒体に情報を記録又は再生する光ピックアップに広く適用できる。
(実施の形態10)
本発明の別の実施の形態について説明する。図51は、本発明の実施の形態10における光ピックアップの構成を示す概略図である。
本実施の形態10において、実施の形態9と共通の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態10において、実施の形態9と異なる点は、第1の光路中に、第1の回折素子208の替わりに第3の回折素子214を備え、第1の光検出器209の替わりに第3の光検出器215を備えている点である。これら以外の構成は、全て実施の形態9と同様の構成である。
次に、図52及び図53を用いて、RF信号を生成する第3の回折素子214及び第3の光検出器215について詳細に説明する。図52は、本発明の実施の形態10における第3の光検出器215の受光領域の配置パターンの一例を示す模式図である。第3の光検出器215は、3つの独立した受光領域15a〜15cを有している。
図53は、本発明の実施の形態10における第3の回折素子214の光束分割パターンの一例を示す模式図である。図53中の破線は、光ディスク220の情報記録面で反射された光ビームの、第3の回折素子214上での光束径を示している。
第3の回折素子214は、6種類の領域214a〜214fを有している。領域214dと領域214aとの間の距離は、領域214dと領域214cとの間の距離と略等しく、領域214dと領域214eとの間の距離は、領域214dと領域214fとの間の距離と略等しい。それぞれの領域に入射した光ビームは、0次回折光と±1次回折光とに分割され、第3の光検出器215に導かれる。領域214aによって回折された+1次回折光は、受光領域215aに導かれ、領域214bによって回折された+1次回折光は、受光領域215bに導かれ、領域214cによって回折された+1次回折光は、受光領域215cに導かれる。領域214d、領域214e及び領域214fによって回折された+1次回折光は、いずれの受光領域にも導かれない。また、各領域の0次回折光と−1次回折光とは、いずれの受光領域にも導かれない。受光領域215a〜215cからの受光量に応じた出力をJA〜JCとすると、RF信号は、下記の式により算出される。
RF=αJA+βJB+γJC
ただし、上記の式において、RFは、RF信号を表し、α、β及びγは任意の定数を表す。
このように、光ディスク220の半径方向に3分割されたRF信号を含む光ビームを個別に受光し、前述のようにRF信号が算出されることで、実施の形態9と同様に、再生のために走査中の情報トラックに隣接する情報トラックからのRF信号の漏れ込み(クロストーク)を低減することができる。クロストークの低減により、より光ディスク220の半径方向のトラック密度を高めることができ、光ディスク220を大容量化できる。
ここで、図53に示す領域214dは、RF信号の計算には使用されず、実施の形態9の図44の除去領域(領域210h)と同様に、多層迷光を低減する効果があるが、前述のように光ビームの中央近傍に配置する必要がある。以下、領域214dの位置調整方法について述べる。
まず、光ビームと第3の光検出器215との相対的な位置関係については、光ビームに対して第3の光検出器215の位置を意図的に変位させると、各受光領域に光ビームが全て入っているか、又は各受光領域から光ビームがはみ出しているかが、各受光領域の受光量に応じた出力が変化することによりわかる。したがって、光ビームがはみ出した位置座標を把握して、光ビームの中心に第3の光検出器215の位置を変位させることで、光ビームに対して第3の光検出器215の位置を精度高く調整することができる。
次に、第3の回折素子214の除去領域である領域214dを光ビームの中心近傍に配置する方法について述べる。図54〜図57は、光ビームの位置と第3の光検出器215の位置とを固定した後に、第3の回折素子214の位置を変位させた場合の、第3の回折素子214上の光ビームの位置を示す模式図である。
図54は、第3の回折素子214を光ディスク220の半径方向の左方に変位させた場合の、第3の回折素子214上の光ビームの位置を示す模式図であり、図55は、第3の回折素子214を光ディスク220の半径方向の右方に変位させた場合の、第3の回折素子214上の光ビームの位置を示す模式図であり、図56は、第3の回折素子214を光ディスク220の情報トラック接線方向の下方に変位させた場合の、第3の回折素子214上の光ビームの位置を示す模式図であり、図57は、第3の回折素子214を光ディスク220の情報トラック接線方向の上方に変位させた場合の、第3の回折素子214上の光ビームの位置を示す模式図である。
まず、図54及び図55に示すように、第3の回折素子214を光ディスク220の半径方向(図中では紙面左右方向)に変位させた場合は、領域214aと領域214cとで分割される光ビームの面積が変わることから、受光領域215aと受光領域215cとから出力される信号量が変化する。したがって、受光領域215aから出力される信号量と受光領域215cから出力される信号量とが等しくなるように、第3の回折素子214を光ディスク220の半径方向に変位させる。これにより、光ディスク220の半径方向において、第3の回折素子214の除去領域である領域214dの位置を光ビームの中央近傍に配置することができる。
次に、図56及び図57に示すように、第3の回折素子214を光ディスク220の情報トラック接線方向(図中では紙面上下方向)に変位させた場合は、紙面上方向では領域214eに光ビームがかかり、紙面下方向では領域214fに光ビームがかかる。これら領域214e及び領域214fからの光ビームは、RF信号の演算には用いられないため、領域214e又は領域214fに光ビームがかかると、RF信号の信号量が減少する。したがって、第3の回折素子214を光ディスクの情報トラック接線方向に沿って上方及び下方に意図的に変位させ、RF信号の信号量が減少する上端位置と下端位置とを検出し、上端位置と下端位置との中心に第3の回折素子214を配置する。これにより、光ディスク220の情報トラック接線方向において、第3の回折素子214の除去領域である領域214dの位置を光ビームの中央近傍に配置することができる。特に、領域214dと領域214eとの間の距離又は領域214dと領域214fとの間の距離よりも、第3の回折素子214上の光ビームの光束径(直径)が大きい場合においては、本実施の形態10の構成は実施の形態9の構成よりも、第3の回折素子214の位置を調整するために変位させる量を少なくできる。そのため、光ピックアップの構成を小型化及び簡略化することができる。
なお、第3の光検出器215の受光領域の配置パターンは、受光領域215a〜215d(又は受光領域215a〜215f)を備えていれば、必ずしも図52の通りの配置パターンでなくともよい。詳細には説明しないが、特に光ディスク220として多層光ディスクが用いられる場合は、フォーカス制御を行っている記録層以外の記録層からの不要な反射光(多層迷光)のうち、領域214dで除去できない光ビームが第3の光検出器215に到達する可能性がある。そのため、このような迷光を避ける配置パターンが有効である。
また、本実施の形態では、RF信号の生成に不要である、領域214d、領域214e及び領域214fからの光ビームは、第3の光検出器215に導かれないことが好ましい。また、領域214d、領域214e及び領域214fからの光ビームは、第3の光検出器215内の受光領域が配置されていない場所に導かれることがより好ましい。この場合、第3の回折素子214の回折ピッチを緩くできるため、光ピックアップの構成を簡略化することができる。ただし、領域214d、領域214e及び領域214fから導かれる光ビームを第3の光検出器215内の受光領域が配置されていない場所で受光する場合は、前述の多層迷光も領域214d、領域214e及び領域214fによって第3の光検出器215内に導かれるため、受光領域215a〜215cは多層迷光を避けて配置する構成が有効である。
また、第3の光検出器215は、第3の回折素子214の領域214eからの光ビームを受光する受光領域215e(図示せず)と、第3の回折素子214の領域214fからの光ビームを受光する受光領域215f(図示せず)とをさらに有してもよい。このような構成にすることで、図56及び図57のように第3の回折素子214を光ディスク220の情報トラック接線方向(図中では紙面上下方向)に変位させた場合に、領域214e又は領域214fに光ビームがかかることにより、受光領域215e又は受光領域215fから出力される信号を検出できる。そのため、光ディスク220の情報トラック接線方向における第3の回折素子214の位置調整精度を高めることができる。
一方、第3の光検出器215が受光領域215e及び受光領域215fを備えない場合は、受光領域の数をわずか3つにできるため、実施の形態9よりもさらに、アンプの数を低減することができ、アンプノイズを低減し、RF信号のS/Nを向上することができる。なお、この構成の場合、除去領域である領域214dは遮光領域として光ビームを吸収又は反射してもよく、前述の効果は全て同様に得られる。なお、この構成においても、多層迷光を考慮した受光領域の配置が有効であることは、言うまでもない。
このように、実施の形態9の第1の回折素子208は分割パターンの簡略化が可能であるのに対し、本実施の形態10においては、第3の回折素子214上に、本来は不要である領域214e及び領域214fを敢えて設けることにより、より高い精度で第3の回折素子214の位置を調整することができ、位置調整に要する構成の小型化及び位置調整に要する構成の簡略化を実現することができる。また、第3の光検出器215の受光領域の数を減らすことにより、アンプノイズをさらに低減することができる。
なお、本実施の形態10においても、光ビームの集光スポットが第3の光検出器215の各受光領域上に形成されるようにしている。このような構成とすることで、従来の非点収差を与えられた最小錯乱円を受光領域で受光してRF信号を生成する場合よりも、受光領域の面積を小さくできる。そのため、情報を記録又は再生する速度を向上させるためにカットオフ周波数を高めたり、信号のノイズを低減したりすることができる。一方、各受光領域の面積は、集光スポットよりも大きいことが望ましい。このような構成により、機械的な位置誤差又は環境温度変化等による位置変位に対して強くすることができる。
なお、本実施の形態において、RF信号は、第3の回折素子214の+1次回折光のみを使用して生成されるが、さらに光の利用効率を高めるために、第3の回折素子214の回折構造をブレーズ化し、+1次回折光の回折効率を高めてもよい。または、光の利用効率を高めるために、第3の回折素子214の領域214a〜214cからの+1次回折光が導かれる受光領域とは別に、領域214a〜214cからの−1次回折光が導かれる受光領域を第3の光検出器215に独立して設け、−1次回折光を受光する受光領域からの信号を、RF信号を生成する演算に利用してもよい。また、第3の回折素子214の領域毎に選択的にブレーズ化してもよく、例えば、第3の光検出器215は、第3の回折素子214の中央の領域214bからの+1次回折光を受光する受光領域と、領域214bからの−1次回折光を受光する受光領域と、ブレーズ化された領域214aからの+1次光を受光する受光領域と、ブレーズ化された領域214cからの+1次光を受光する受光領域とを個別に備えてもよい。この場合、光利用効率を高めることができる。
以上の構成により、光ディスク220を多層化する又は情報トラック接線方向の記録密度を高めることによってRF信号を生成するための光検出器で検出される信号が小さくなる場合でも、RF信号のS/Nを高くすることができるため、再生性能が向上する。サーボ信号を生成するための光検出器は、検出される信号の増幅倍率を高めることにより、安定したサーボ制御が可能である。
また、RF信号の検出系において、回折素子上の除去領域が光ビームの中央近傍に配置されるように調整することにより、光ディスク220の多層化により発生する多層迷光を効果的に除去して、多層の光ディスクの再生性能を向上させることができる。また、サーボ信号の検出系においても、回折素子上に除去領域が設けられているので、安定したサーボ制御が可能である。
また、本実施の形態では、再生のために走査中の情報トラックに隣接する情報トラックからのRF信号の漏れ込み(クロストーク信号)を低減することができるので、半径方向のトラック密度を高めた光ディスク220の再生性能が向上する。
このように、本実施の形態の光ピックアップ250は、光ディスク220の多層化、情報トラック接線方向の記録密度の向上、及び半径方向のトラック密度の向上を行なっても、高い再生品質を得ることができ、安定したサーボ制御を実現することができる。そのため、光ディスク220の飛躍的な大容量化を実現することができる。
本実施の形態10で述べた構成以外の、実施の形態9と同じ構成については、その効果も同様に全て得られるものである。
(実施の形態11)
図58は、本発明の実施の形態11における光ディスク装置の構成を示す概略図である。
図58において、光ディスク装置260は、駆動部261、制御部262及び光ピックアップ250を備える。
駆動部261は、光情報記録媒体を駆動する。光情報記録媒体が、例えば光ディスク220である場合、駆動部261は、光ディスク220を回転駆動する。光ピックアップ250は、実施の形態9又は実施の形態10で述べたいずれかの光ピックアップである。制御部262は、駆動部261及び光ピックアップ250の駆動を制御すると共に、光ピックアップ250で光電変換されると共に演算された制御信号及び情報信号の信号処理を行う。また、制御部262は、情報信号を光ディスク装置260の外部と内部とでインタフェースさせる機能を有する。
制御部262は、光ピックアップ250から得られる制御信号を受け、制御信号に基づいて、フォーカス制御、トラッキング制御、情報再生制御及び駆動部261の回転制御を行う。また、制御部262は、情報信号から情報を再生すると共に、記録信号を光ピックアップ250へ送出する。
なお、光情報記録媒体は光ディスク220に限定されるものではなく、光テープ又は光カードであってもよい。
光ディスク装置260は、実施の形態9又は実施の形態10で述べたいずれかの光ピックアップ250を搭載しているので、本実施の形態11における光ディスク装置260は、大容量の光ディスクに情報を良好に記録又は再生することができる。
(実施の形態12)
図59は、本発明の実施の形態12におけるコンピュータの構成を示す概略図である。
図59において、コンピュータ500は、光ディスク装置510と、入力装置501と、演算装置502と、出力装置503とを備える。
光ディスク装置510は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置である。入力装置501は、キーボード、マウス又はタッチパネルなどで構成され、情報を入力する。演算装置502は、中央演算装置(CPU)などで構成され、入力装置501から入力された情報及び光ディスク装置510から読み出した情報などに基づいて演算を行う。出力装置503は、表示装置(ブラウン管又は液晶表示装置など)又はプリンタなどで構成され、演算装置502によって演算された結果などの情報を出力する。なお、表示装置は、演算装置502によって演算された結果などの情報を表示し、プリンタは、演算装置502によって演算された結果などの情報を印刷する。
コンピュータ500は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置510を備えるので、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対して情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
(実施の形態13)
図60は、本発明の実施の形態13における光ディスクプレーヤの構成を示す概略図である。
図60において、光ディスクプレーヤ600は、光ディスク装置510と、デコーダ601とを備える。光ディスク装置510は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置である。デコーダ601は、光ディスク装置510から得られる情報信号を画像情報に変換する。
なお、光ディスクプレーヤ600は、GPS(Global Positioning System)等の位置センサ及び中央演算装置(CPU)を加えることによりカーナビゲーションシステムとしても利用可能である。また、光ディスクプレーヤ600は、表示装置602を備えてもよい。表示装置602は、液晶表示装置などで構成され、デコーダ601によって変換された画像情報を表示する。
光ディスクプレーヤ600は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置510を備えるので、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対して情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
(実施の形態14)
図61は、本発明の実施の形態14における光ディスクレコーダの構成を示す概略図である。
図61において、光ディスクレコーダ700は、光ディスク装置510と、エンコーダ701とを備える。光ディスク装置510は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置である。エンコーダ701は、画像情報を光ディスク装置510によって光ディスクへ記録するための情報信号に変換する。望ましくは、光ディスクレコーダ700は、光ディスク装置510から得られる情報信号を画像情報に変換するデコーダ702をさらに備えてもよい。これにより、記録した画像を再生することも可能となる。
なお、光ディスクレコーダ700は、出力装置703を備えてもよい。出力装置703は、表示装置(ブラウン管又は液晶表示装置など)又はプリンタなどで構成され、デコーダ702によって変換された画像情報を出力する。表示装置は、デコーダ702によって変換された画像情報を表示し、プリンタは、デコーダ702によって変換された画像情報を印刷する。
光ディスクレコーダ700は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置510を備えるので、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対して情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
(実施の形態15)
図62は、本発明の実施の形態15におけるストレージサーバの構成を示す概略図である。
図62において、ストレージサーバ800は、I/O端子801と、光ディスク装置510とを備える。光ディスク装置510は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置である。I/O端子801は、外部とデータの入出力を行う。ストレージサーバ800は、大容量のデータを光ディスク装置510に保存したり、大容量のデータを光ディスク装置510から取り出したりする。
さらに、ストレージサーバ800は、複数の光ディスク装置510と、複数の光ディスク装置510にデータを振り分けるデータコントローラ802とを備えることが好ましい。これにより、さらに大容量のデータを扱うことが可能となる。
また、図示しないが、ストレージサーバ800は、入力装置、演算装置及び出力装置を備えてもよい。入力装置は、キーボード、マウス又はタッチパネルなどで構成され、選択的に情報の入力を行う。演算装置は、中央演算装置(CPU)などで構成され、入力装置から入力された情報及び光ディスク装置510から読み出した情報などに基づいて演算を行う。出力装置は、表示装置(ブラウン管又は液晶表示装置など)又はプリンタなどで構成され、演算装置によって演算された結果などの情報を出力する。なお、表示装置は、演算装置によって演算された結果などの情報を表示し、プリンタは、演算装置によって演算された結果などの情報を印刷する。
ストレージサーバ800は、実施の形態1〜8,11のいずれかの光ディスク装置510を備えるので、多層化かつ狭トラックピッチ化した高密度光ディスクに対して情報を良好に記録又は再生することができ、広い用途に適用できる。
なお、発明を実施するための形態の項において説明を行った実施例及び実施態様は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光情報装置は、複数の情報記録面を備えた記録媒体に対して情報を記録及び/又は再生する光情報装置であって、波長λのレーザ光を出射する光源と、前記光源からの前記レーザ光を、前記記録媒体の複数の情報記録面のいずれかに収束させる対物レンズと、前記記録媒体の情報記録面の情報トラック接線に対して垂直な方向に分割され、前記レーザ光の光軸を含む中央領域と、前記中央領域を挟む第1端部領域と第2端部領域とを有し、前記記録媒体のいずれかの情報記録面で反射された前記レーザ光を、前記中央領域によって回折される光束と、前記第1端部領域によって回折される光束と、前記第2端部領域によって回折される光束とに分割する光束分割素子と、前記光束分割素子によって分割された複数の光束を受光し、受光した前記複数の光束の光量に応じた複数の信号を出力する第1光検出器と、前記第1光検出器から出力された前記複数の信号に対して、それぞれの信号の周波数成分に応じて異なる利得を与える複数の波形等化器と、前記複数の波形等化器から出力された複数の信号を加算して、情報信号として出力する加算器と、前記情報信号を処理する信号処理部と、を備え、前記中央領域は、バイナリ型の回折格子により形成され、入射した前記レーザ光から±1次回折光を生成し、前記第1端部領域は、ブレーズ型の回折格子により形成され、入射した前記レーザ光から第1の+1次回折光を生成し、前記第2端部領域は、ブレーズ型の回折格子により形成され、入射した前記レーザ光から第2の+1次回折光を生成し、前記第1光検出器は、前記中央領域によって生成された±1次回折光の両方と、前記第1端部領域によって生成された第1の+1次回折光と、前記第2端部領域によって生成された第2の+1次回折光とを受光する。
この構成によれば、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域及び第2端部領域での光量ロスが非常に小さい、すなわち、クロストークキャンセルに適した光束分割素子によって、光束分割素子に入射した他層反射迷光及び表面反射迷光は、第1光検出器上において、記録又は再生の対象となる情報記録面で反射された信号光と重ならないため、信号光と迷光とは干渉しない。したがって、多層化かつ狭トラックピッチ化した記録媒体に対して情報を安定して記録又は再生することができる。
また、上記の光情報装置において、前記第1端部領域及び前記第2端部領域に形成される前記ブレーズ型の回折格子の回折ピッチは、前記中央領域に形成される前記バイナリ型の回折格子の回折ピッチよりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、ブレーズ型の回折格子を階段状の回折格子で近似して作成する場合であっても、階段状の回折格子の線幅が十分に大きいので、容易に作成することができると共に、十分に高い回折効率を確保することが可能となる。
また、上記の光情報装置において、前記中央領域に形成される前記バイナリ型の回折格子の、前記波長λにおける前記±1次回折光の回折効率は、それぞれ30%以上であり、前記第1端部領域及び前記第2端部領域に形成される前記ブレーズ型の回折格子の、前記波長λにおける前記第1及び第2の+1次回折光の回折効率は、それぞれ80%以上であることが好ましい。
この構成によれば、情報信号の振幅に対する寄与度が大きい第1端部領域及び第2端部領域の光量ロスが小さいので、高い信号対雑音強度比(S/N)の情報信号を得ることができる。
また、上記の光情報装置において、前記第1端部領域によって生成された前記第1の+1次回折光の光量に応じた信号と、前記第2端部領域によって生成された前記第2の+1次回折光の光量に応じた信号との差信号を算出することで、ウォブル信号を生成するウォブル信号生成部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、ウォブル信号が生成されるので、記録媒体の任意のアドレスにアクセスし、情報を記録及び/又は再生することができる。
また、上記の光情報装置において、前記第1端部領域及び前記第2端部領域に形成される前記ブレーズ型の回折格子は、凸レンズのパワーを備えることが好ましい。
この構成によれば、第1端部領域及び第2端部領域に形成されるブレーズ型の回折格子は、凸レンズのパワーを備えるので、中央領域で回折された±1次回折光の最良像点位置と、第1端部領域及び第2端部領域で回折された+1次光の最良像点位置とを一致させることができ、第1端部領域を透過した+1次光と第2端部領域を透過した+1次光とを、第1光検出器上の異なる受光部にでそれぞれ分離して検出することができると共に、第1光検出器上の検出スポットを完全に収束させることができる。
また、上記の光情報装置において、前記光束分割素子は、前記記録媒体の情報記録面の情報トラック接線の方向にさらに分割され、前記中央領域、前記第1端部領域及び前記第2端部領域を挟む第1調整領域と第2調整領域とをさらに有し、前記記録媒体のいずれかの情報記録面で反射された前記レーザ光を、前記第1調整領域によって回折される光束と、前記第2調整領域によって回折される光束とにさらに分割し、前記第1調整領域は、バイナリ型の回折格子により形成され、入射した前記レーザ光から±1次回折光を生成し、前記第2調整領域は、バイナリ型の回折格子により形成され、入射した前記レーザ光から±1次回折光を生成し、前記第1光検出器は、前記第1調整領域で回折された前記±1次回折光の少なくとも一方と、前記第2調整領域で回折された前記±1次回折光の少なくとも一方とを受光し、受光した光量に応じた信号を出力することが好ましい。
この構成によれば、光束と光束分割素子との情報トラック接線方向の相対位置を容易に調整することができる。
また、上記の光情報装置において、前記第1調整領域に形成される前記バイナリ型の回折格子の回折ピッチと、前記第2調整領域に形成される前記バイナリ型の回折格子の回折ピッチとは、略等しいことが好ましい。
この構成によれば、第1調整領域の回折効率と第2調整領域の回折効率とを略等しくすることができ、回折効率が略等しい第1調整領域及び第2調整領域からの回折光を用いて、光束と光束分割素子との情報トラック接線方向の相対位置を容易に調整することができる。
また、上記の光情報装置において、前記光束分割素子は、前記中央領域に、前記波長λにおける透過率が10%以下である遮光領域を有することが好ましい。
この構成によれば、波長λにおける透過率が10%以下である遮光領域を中央領域に、設けることにより、中央領域に入射した信号光と他層反射迷光と表面反射迷光とが、第1光検出器上で重なって干渉することを抑制することができる。
また、上記の光情報装置において、前記複数の波形等化器は、前記中央領域に入射した前記レーザ光の光量に応じた信号のエネルギよりも、前記第1端部領域及び前記第2端部領域に入射した前記レーザ光の光量に応じた信号のエネルギの方が大きくなるように、前記第1光検出器から出力された前記複数の信号に対して利得を与えることが好ましい。
この構成によれば、中央領域に入射したレーザ光の光量に応じた信号のエネルギよりも、第1端部領域及び第2端部領域に入射したレーザ光の光量に応じた信号のエネルギの方を大きくすることにより、効果的に隣接トラックからのクロストークを低減することができる。
また、上記の光情報装置において、前記光束分割素子は、前記記録媒体の情報記録面の情報トラック接線の方向に対応した方向に2分割され、分割領域と、接線方向端部領域とを含み、前記分割領域は、前記情報トラック接線に対して垂直な方向に4分割され、前記中央領域は、前記分割領域の中央部に位置する2つの分割中央領域を含み、前記第1端部領域は、前記2つの分割中央領域を挟む2つの半径方向端部領域のうちの一方の半径方向端部領域を含み、前記第2端部領域は、前記2つの分割中央領域を挟む2つの半径方向端部領域のうちの他方の半径方向端部領域を含むことが好ましい。
この構成によれば、ほぼ光軸付近を通る分割線によって中央領域を分割することによって、対物レンズが記録媒体の溝状のトラックに追従して半径方向に動いた場合などのストレスに対する性能劣化を防止し、マージンを確保することができる。また、情報トラック接線の方向に接線方向端部領域を設けることによって、レンズシフトに対する再生信号の品質がさらに良好になり、半径方向にも、情報トラック接線の方向にも、信号品質の改良とレンズシフトのマージンの拡大とを実現できる。さらに、領域の種類を削減しているので、再生信号処理部の規模の増大を抑えることと、再生信号の品質の改善をレンズシフトのマージン拡大を含めて達成することとを両立できる。
また、上記の光情報装置において、前記記録媒体の情報記録面で反射された前記レーザ光を受光してサーボ信号を出力する第2光検出器と、前記記録媒体の情報記録面で反射された前記レーザ光を、前記第1光検出器が配置される第1の光路と、前記第2光検出器が配置される第2の光路とに分岐する光分岐素子と、をさらに備え、前記光分岐素子により分岐され前記第1の光路に入射する前記レーザ光の光量は、前記光分岐素子により分岐され前記第2の光路に入射する前記レーザ光の光量よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、情報信号を検出する第1光検出器に到達するレーザ光の光量を大きくすることができ、情報信号に対して高いS/Nを確保することができる。また、第1光検出器の増幅アンプの増幅倍率を無理に高くする必要がないため、カットオフ周波数を高くすることができ、より高周波成分を含む情報信号の再生品質も高めることができる。また、サーボ信号を検出する第2光検出器に到達する反射光の光量は少なくなるが、サーボ信号には情報信号ほど高いカットオフ周波数が必要ではないため、増幅アンプの増幅倍率を高めることができ、反射光の光量が少ない状態であっても、サーボ信号の出力は十分であり、安定的なサーボ制御が可能となる。
また、上記の光情報装置において、前記第2の光路中に配置され、前記記録媒体の情報記録面で反射された前記レーザ光を複数の光束に分割する第2光束分割素子をさらに備え、前記第2光検出器は、前記第2光束分割素子で分割された複数の光束を受光してサーボ信号を出力することが好ましい。
この構成によれば、記録媒体に形成された情報トラックの溝の位置、幅及び深さにばらつきがある場合に生じるサーボ信号(特に、トラッキング誤差信号)の変動を抑制することができる。また、情報トラックに情報が記録され、反射率が変わることで生じるサーボ信号(特に、トラッキング誤差信号)の変動も抑制することができる。また、記録又は再生の対象となる情報記録面とは異なる情報記録面で反射された迷光が、第2光検出器に入射することを避けることもできる。
また、上記の光情報装置において、前記光分岐素子は、前記記録媒体の情報記録面で反射された前記レーザ光の略80%を前記第1の光路に分岐し、前記記録媒体の情報記録面で反射された前記レーザ光の略20%を前記第2の光路に分岐することが好ましい。
この構成によれば、レーザ光の略20%を第2の光路に分岐させることにより、第2光検出器のアンプの増幅倍率を高くしすぎる必要がなく、オフセット成分を十分に無視できるため、安定的なサーボ制御が可能となる。
本発明の他の局面に係る情報処理装置は、上記のいずれかに記載の光情報装置と、前記光情報装置に記録する情報及び/又は前記光情報装置から再生された情報を処理する情報処理部とを備える。
この構成によれば、上記のいずれかに記載の光情報装置を情報処理装置に適用することができる。