JP6388112B2 - フィラー粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層プリント配線基板等に使用される樹脂に配合するために好適なフィラー粉末の製造方法に関する。
従来、熱膨張係数の調整等を目的として、樹脂中へのフィラー粉末の配合が行われている。例えば、樹脂を用いた多層プリント配線基板においては、導体層と絶縁層との熱膨張係数の違いによりクラックが発生しやすくなるため、絶縁層の熱膨張率を低下させる必要がある。そこで、樹脂中にシリカ粉末等のフィラー粉末が配合される。シリカ粉末は、物理強度や耐熱性に優れるため、フィラー粉末として広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−88303号公報
近年、フィラー粉末を含有する樹脂組成物のさらなる低熱膨張化が要求されている。シリカ粉末はある程度低い熱膨張係数を有しているものの、熱膨張係数の低減効果は未だ不十分である。そのため、シリカ粉末を樹脂に配合しても、所望の低熱膨張係数が得られにくい。あるいは、所望の低熱膨張係数を達成するために、樹脂中にシリカ粉末を多量に配合すると、粘度が上昇するため、均質性が低下したり、フィルム状に成形した際の表面平滑性に劣る傾向がある。
そこで、シリカ粉末より低い膨張特性を示すフィラー粉末を使用することが考えられる。そのようなフィラー粉末として、β−石英固溶体結晶(LiO・Al・nSiO;2<n)やβ−ユークリプタイト結晶(LiO・Al・2SiO)からなるフィラー粉末が挙げられるが、これらのフィラー粉末は基本的に破砕形状を有するため、比表面積を低減することが困難であり、樹脂に添加した場合に粘度が上昇しやすい。
以上に鑑み、本発明は、β−ユークリプタイト結晶やβ−石英固溶体結晶を含有し、比表面積の小さいフィラー粉末を容易に製造することが可能な方法を提供することを課題とする。
本発明のフィラー粉末の製造方法は、結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度以上で加熱することにより、β−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを析出させる工程を含むフィラー粉末の製造方法であって、結晶化開始温度未満から結晶化開始温度以上に昇温する際の速度を25℃/分以上とすることを特徴とする。
本発明者らは、β−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを含有するフィラー粉末として、これらの結晶を含有する結晶化ガラスを用いることを検討した。しかしながら、当該結晶化ガラスを作製するにあたり、β−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを析出する性質を有するガラス粉末を加熱した場合、ガラス粉末が軟化変形する前に結晶析出がほぼ完了してしまう傾向があり、比表面積の小さいフィラー粉末が得られにくい。そこで、本発明者等が鋭意検討した結果、結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度未満から結晶化開始温度以上に昇温する際の速度を、上記の通り高めることにより、結晶化ガラス粉末が軟化変形した後、あるいは、軟化変形しながら結晶が析出するため、表面張力により比表面積が小さいフィラー粉末が得られることを見出した。
本発明のフィラー粉末の製造方法において、結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度未満の温度で一定時間保持することにより結晶核を形成する工程を経た後、結晶化開始温度以上に加熱することが好ましい。
このようにすれば、微細な結晶が均質に析出した、所望の熱膨張特性を有するフィラー粉末が得られやすくなる。
本発明のフィラー粉末の製造方法において、結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度以上の温度で一定時間保持することにより、結晶を成長させる工程を含むことが好ましい。
このようにすれば、結晶析出量が多くなり、所望の熱膨張特性を有するフィラー粉末が得られやすくなる。
本発明のフィラー粉末の製造方法において、フィラー粉末の平均粒子径D50が5μm以下であることが好ましい。
本発明のフィラー粉末の製造方法において、フィラー粉末の比表面積が20m/g以下であることが好ましい。
本発明のフィラー粉末の製造方法において、フィラー粉末が略球状であることが好ましい。
本発明のフィラー粉末の製造方法において、フィラー粉末の30〜150℃の範囲における熱膨張係数が5×10−7/℃以下であることが好ましい。
本発明のフィラー粉末の製造方法において、フィラー粉末が、質量%で、SiO 55〜75%、Al 15〜30%、LiO 2〜10%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜5%、TiO 0〜5%、ZrO 0〜4%、P 0〜5%、及びSnO 0〜2.5%を含有することが好ましい。
本発明によれば、β−ユークリプタイト結晶やβ−石英固溶体結晶を含有する結晶化ガラスからなり、かつ比表面積の小さいフィラー粉末を容易に作製することが可能な製造方法を提供することが可能となる。
実施例3で得られたフィラー粉末について、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察を行った写真である。 比較例2で得られたフィラー粉末について、SEMにより観察を行った写真である。
本発明のフィラー粉末の製造方法は、結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度以上で加熱することにより、β−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを析出させる工程を含むフィラー粉末の製造方法であって、結晶化開始温度未満から結晶化開始温度以上に昇温する際の速度を25℃/分以上とすることを特徴とする。以下に、各構成要件ごとに詳細に説明する。
(結晶性ガラス粉末)
結晶性ガラス粉末としては、β−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを析出可能なものであれば特に限定されない。例えば、結晶性ガラス粉末は、質量%で、SiO 55〜75%、Al 15〜30%、LiO 2〜10%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜5%、TiO 0〜5%、ZrO 0〜4%、P 0〜5%、及びSnO 0〜2.5%を含有することが好ましい。以下に、このようにガラス組成範囲を限定した理由を説明する。
SiOはガラス骨格を形成するとともに、主結晶の構成成分にもなる。SiOの含有量は、好ましくは55〜75%、より好ましくは60〜75%である。SiOの含有量が少なすぎると、熱膨張係数が高くなったり、化学的耐久性が低下する傾向がある。一方、SiOの含有量が多すぎると、溶融性が低下しやすくなる。また、溶融ガラスの粘度が大きくなって、清澄や成形が困難となる傾向がある。
Alはガラス骨格を形成するとともに、主結晶の構成成分にもなる。Alの含有量は、好ましくは15〜30%、より好ましくは17〜27%である。Alの含有量が少なすぎると、熱膨張係数が高くなったり、化学的耐久性が低下する傾向がある。一方、Alの含有量が多すぎると、溶融性が低下する傾向がある。また、溶融ガラスの粘度が大きくなって、清澄や成形が困難となる傾向がある。さらに、失透しやすくなる。
LiOは主結晶の構成成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、粘度を低下させて、溶融性および成形性を向上させる成分である。LiOの含有量は、好ましくは2〜10%、より好ましくは2〜7%、さらに好ましくは2〜5%、特に好ましくは2〜4.8%である。LiOの含有量が少なすぎると、主結晶が析出しにくくなったり、溶融性が低下しやすくなる。また、粘度が大きくなって、清澄や成形が困難になる傾向がある。一方、LiOの含有量が多すぎると、失透しやすくなる。
NaO及びKOは、粘度を低下させて溶融性および成形性を向上させるための成分である。NaO及びKOの含有量は、それぞれ好ましくは0〜3%、より好ましくは0.1〜1%である。NaOまたはKOの含有量が多すぎると、失透しやすくなり、また熱膨張係数が高くなりやすい。さらに、フィラー粉末を樹脂に配合した際に、樹脂が変質するおそれがある。
MgOは熱膨張係数を調整するための成分である。MgOの含有量は、好ましくは0〜5%、より好ましくは0.1〜3%、さらに好ましくは0.3〜2%である。MgOの含有量が多すぎると、失透しやすくなり、また熱膨張係数が高くなりやすい。
ZnOは熱膨張係数を調整するための成分である。ZnOの含有量は、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜7%、さらに好ましくは0〜3%、特に好ましくは0.1〜1%である。ZnOの含有量が多すぎると、失透しやすくなる。
BaOは、粘度を低下させて溶融性および成形性を向上させるための成分である。BaOの含有量は、好ましくは0〜5%、より好ましくは0.1〜3%である。BaOの含有量が多すぎると、失透しやすくなる。
TiO及びZrOは、結晶化工程で結晶を析出させるための核形成剤として作用する成分である。TiOの含有量は、好ましくは0〜5%、より好ましくは1〜4%である。ZrOの含有量は、好ましくは0〜4%、より好ましくは0.1〜3%である。TiOまたはZrOの含有量が多すぎると、失透しやすくなる。
は分相を促進して結晶核の形成を助ける成分である。Pの含有量は、好ましくは0〜5%、より好ましくは0.1〜4%である。Pの含有量が多すぎると、溶融工程において分相しやすくなり、得られるガラスが白濁しやすくなる。
SnOは清澄剤として働く成分である。SnOの含有量は、好ましくは0〜2.5%、より好ましくは0.1〜2%である。SnOの含有量が多すぎると、色調が濃くなりすぎたり、失透しやすくなったりする。
上記成分以外にも、B、SrO、CaO等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有させることができる。
結晶性ガラス粉末の平均粒子径D50は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。また、結晶性ガラス粉末の最大粒子径D99は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。結晶性ガラス粉末の平均粒子径D50または最大粒子径D99が大きすぎると、加熱処理時において、所望の形状まで変化しにくく、十分に大きい比表面積を有するフィラー粉末が得られにくい。また、得られるフィラー粉末を樹脂中に配合してフィルム状に成形した際に、フィルム表面におけるフィラー粉末の露出が顕著になり、表面平滑性を劣化させる傾向がある。なお、結晶性ガラス粉末の平均粒子径D50の下限は特に限定されないが、現実的には0.1μm以上、さらには0.2μm以上である。
本願発明において、平均粒子径D50及び最大粒子径D99はレーザー回折法により測定された値を指す。
結晶性ガラス粉末は次のようにして製造することができる。まず、原料粉末を所定割合で調合して得られた原料バッチを溶融して溶融ガラスを得る。溶融温度は、生産性や均質性の観点から1600〜1800℃程度が好ましい。次に、溶融ガラスをフィルム形状に成形することによりバルク状結晶性ガラスを得る。得られたバルク状結晶化ガラスに対し所定の粉砕処理を施すことにより結晶性ガラス粉末が得られる。粉砕処理の際に、結晶化ガラス粉末同士の凝集を抑制するため、アルミナ粉末等を添加してもよい。
(結晶析出工程)
上記で得られた結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度以上で加熱することにより、β−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを析出させ、フィラー粉末を得ることができる。ここで、結晶化開始温度未満から結晶化開始温度以上に昇温する際の速度は25℃/分以上であり、好ましくは30℃/分以上、より好ましくは35℃/分以上、さらに好ましくは40℃/分以上である。昇温速度が低すぎると、結晶性ガラス粉末が軟化変形する前に結晶析出がほぼ完了してしまうため、比表面積の小さいフィラー粉末が得られにくい。なお、後述する結晶核形成工程及び結晶成長工程を含む場合には、結晶核形成温度から結晶成長工程までの昇温速度を上記の通り規定すればよい。
結晶化ガラス粉末を加熱する工程において、各粉末同士の凝集を抑制するため、アルミナ粉末等を添加してもよい。
結晶化開始温度はガラス組成により異なるが、上記組成範囲を有する結晶性ガラス粉末であれば、700〜1050℃、さらには750〜1000℃程度である。なお、結晶化開始温度は、DTA(示唆熱分析)にて得られるチャートにおいて、結晶化ピークの開始温度を読み取ることにより測定することができる。
なお、結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度未満の温度で一定時間保持することにより結晶核を形成する工程(結晶核形成工程)を経た後、結晶化開始温度以上に加熱することが好ましい。このようにすれば、微細な結晶が均質に析出した、所望の熱膨張特性を有するフィラー粉末が得られやすくなる。結晶核形成工程の条件は、例えば600〜800℃、1〜5時間の範囲で適宜調整することが好ましい。
また、結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度以上まで昇温した後、昇温後の温度で一定時間保持することにより、結晶を成長させることが好ましい(結晶成長工程)。このようにすれば、結晶析出量が多くなり、所望の熱膨張特性を有するフィラー粉末が得られやすくなる。結晶成長工程の条件は、例えば800〜950℃、0.5〜3時間の範囲で適宜調整することが好ましい。
(フィラー粉末)
上記の製造方法により得られたフィラー粉末は、低膨張特性を有するβ−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを含有するため、シリカ粉末と比較して低い熱膨張特性を有する。よって、樹脂中に配合する際に、比較的少ない配合量で所望の熱膨張特性を達成することが可能となる。また、β−石英固溶体やβ−ユークリプタイトの結晶粉末と異なり、本発明の製造方法は、結晶化工程において結晶性ガラス粉末を軟化変形させることにより、比表面積の小さいフィラー粉末を得ることができるという特徴がある。
フィラー粉末におけるβ−石英固溶体またはβ−ユークリプタイトの析出量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。β−石英固溶体またはβ−ユークリプタイトの析出量が少なすぎると、熱膨張係数の低減効果が得られにくくなる。β−石英固溶体またはβ−ユークリプタイトの析出量の上限は特に限定されないが、現実的には99質量%以下である。なお、β−石英固溶体及びβ−ユークリプタイトの両者を含有する場合は、合量で上記範囲を満たすことが好ましい。
フィラー粉末の平均粒子径D50は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。また、フィラー粉末の最大粒子径D99は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。フィラー粉末の平均粒子径D50または最大粒子径D99が大きすぎると、樹脂中に配合してフィルム状に成形した際に、フィルム表面におけるフィラー粉末の露出が顕著になり、表面平滑性を劣化させる傾向がある。なお、フィラー粉末の平均粒子径D50の下限は特に限定されないが、現実的には0.1μm以上、さらには0.2μm以上である。
フィラー粉末の比表面積は、好ましくは20m/g以下、より好ましくは18m/g以下、さらに好ましくは15m/g以下、特に好ましくは10m/g以下である。比表面積が大きすぎると、フィラー粉末を樹脂中に添加した際の粘度上昇が大きくなり、高濃度での配合が困難になる傾向がある。
フィラー粉末の30〜150℃の範囲における熱膨張係数は、好ましくは5×10−7/℃以下であり、より好ましくは3×10−7/℃以下であり、さらに好ましくは2×10−7/℃以下である。なお、熱膨張係数の下限については特に限定されないが、現実的には−30×10−7/℃以上、特に−25×10−7/℃以上である。
フィラー粉末の形状は特に限定されないが、略球状、略円柱状、角柱状または多面体状であることが好ましい。このようにすれば、フィラー粉末の粒子径が小さくても比表面積が小さくなるため好ましい。またその場合、樹脂中に高濃度でフィラー粉末を配合することが可能となる。なかでも形状が略球状の場合、特に真球に近いほど、比表面積が小さくなるため好ましい。
フィラー粉末は、質量%で、SiO 55〜75%、Al 15〜30%、LiO 2〜10%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜5%、TiO 0〜5%、ZrO 0〜4%、P 0〜5%、及びSnO 0〜2.5%を含有することが好ましい。また上記成分以外にも、B、SrO、CaO等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有させることができる。このようにガラス組成範囲を限定した理由は、結晶性ガラス粉末の項で説明したものと同様であるため、その記載を割愛する。
本発明の方法により製造されたフィラー粉末は、例えば樹脂中に配合され、多層プリント配線基板等として使用される。ここで、樹脂としては一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
樹脂中におけるフィラー粉末の含有量は、目標とする熱膨張係数等の特性に応じて適宜選択される。例えば、樹脂とフィラー粉末の合量に対するフィラー粉末の含有量は、好ましくは10〜95体積%、より好ましくは20〜90体積%の範囲で適宜選択される。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)結晶性ガラス粉末の作製
表1に記載のガラス組成となるように原料粉末を調合し、均一に混合した。得られた原料バッチを1600〜1800℃で均質になるまで溶融した。溶融ガラスを一対のロールに流し込み、急冷しながらフィルム状に成形し、結晶性ガラスを得た。
得られたフィルム状結晶性ガラスを、表2に記載の方法により粉砕することにより結晶性ガラス粉末を得た。表2において、「乾式粉砕」はボールミルを用いて8時間粉砕を行い、粉砕後の結晶性ガラス粉末を目開き100μmの金属製篩で分級を行った。「湿式粉砕1」は、乾式粉砕で得られた結晶性ガラス粉末に対し、ボールミルを用いて40時間粉砕を行った。「湿式粉砕2」は、湿式粉砕1で得られた結晶性ガラス粉末に対し、ボールミルを用いて185時間粉砕を行った。
(2)フィラー粉末の作成
上記で得られた結晶性ガラス粉末に対して、760〜780℃で3時間熱処理することにより結晶核を形成した後、表2に記載の速度で昇温することより結晶を析出させ、さらに870℃〜890℃で1時間熱処理して結晶を成長させることによりフィラー粉末を得た。析出結晶をXRD(X線回折)分析したところ、主結晶としてβ−石英固溶体が表1に示す割合で析出していることが確認された。なお、比較例3及び4は市販のシリカ粉末を用いた。熱膨張係数は同様の組成を有するバルク状試料を用いてTMA(熱機械分析)装置により測定した。
得られたフィラー粉末について、BET比表面積の測定を行った。結果を表2に示す。また、実施例3及び比較例2で得られたフィラー粉末について、SEMにより観察を行った写真を図1及び2に示す。
(3)樹脂成形体の作製
エポキシ樹脂(30〜150℃の温度範囲における熱膨張係数:1500×10−7/℃)に上記で得られたフィラー粉末を50体積%の割合(樹脂とフィラー粉末の合量に対する割合)で配合することにより樹脂組成物を得た。樹脂組成物の粘度をB型粘度計を用いてズリ速度1s−1、測定温度25℃、センサー種類SC4−14の条件にて測定した。結果を表2に示す。
樹脂組成物に対し硬化剤を添加して混練した後、25℃で24時間放置することにより硬化させることにより樹脂成形体を得た。樹脂成形体について、30〜150℃の温度範囲における熱膨張係数をTMA装置により測定した。結果を表2に示す。
(4)結果の考察
実施例1〜3のフィラー粉末は略球状を有しており、実施例4のフィラー粉末は多面体状(角部及び稜線部はR面取りされていた)であった。一方、比較例1及び2のフィラー粉末は破砕形状であった。ここで、実施例1及び2のフィラー粉末と比較例1のフィラー粉末は、いずれも粒子径が同じであるが、比較例1のフィラー粉末の比表面積が10m/gであるのに対し、実施例1及び2のフィラー粉末の比表面積は6m/gと小さかった。また、実施例3のフィラー粉末と比較例2のフィラー粉末は、いずれも粒子径が同じであるが、比較例2のフィラー粉末の比表面積が5m/gであるのに対し、実施例3のフィラー粉末の比表面積は3m/gと小さかった。そのため、比較例1及び2のフィラー粉末を添加した樹脂組成物は粘度が2100Pa・s以上と大きくなったが、実施例1及び3のフィラー粉末を添加した樹脂組成物は粘度が750Pa・s以下と小さくなった。
なお、実施例1〜4の樹脂成形体の熱膨張係数は715Pa・s以下であるのに対し、シリカガラスからなるフィラー粉末を使用した比較例3及び4の樹脂成形体の熱膨張係数は770Pa・s以上と大きかった。

Claims (9)

  1. 原料粉末を調合して得られた原料バッチを溶融して溶融ガラスとし、前記溶融ガラスを成形してバルク状結晶性ガラスを得る工程と、
    前記バルク状結晶性ガラスに粉砕処理を施すことにより結晶性ガラス粉末を得る工程と、
    前記結晶性ガラス粉末を結晶化開始温度以上で加熱することにより、β−石英固溶体及び/またはβ−ユークリプタイトを析出させて結晶化する工程を含
    前記結晶化開始温度未満から前記結晶化開始温度以上に昇温する際の速度を25℃/分以上とすることを特徴とするフィラー粉末の製造方法。
  2. 前記結晶性ガラス粉末を前記結晶化開始温度未満の温度で一定時間保持することにより結晶核を形成する工程を経た後、結晶化開始温度以上に加熱することを特徴とする請求項1に記載のフィラー粉末の製造方法。
  3. 前記結晶性ガラス粉末を前記結晶化開始温度以上の温度で一定時間保持することにより、結晶を成長させる工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフィラー粉末の製造方法。
  4. 前記結晶性ガラス粉末の平均粒子径D 50 が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィラー粉末の製造方法。
  5. 前記フィラー粉末の平均粒子径D50が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィラー粉末の製造方法。
  6. 前記フィラー粉末の比表面積が20m/g以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィラー粉末の製造方法。
  7. 前記フィラー粉末が略球状であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィラー粉末の製造方法。
  8. 前記フィラー粉末の30〜150℃の範囲における熱膨張係数が5×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィラー粉末の製造方法。
  9. 前記フィラー粉末が、質量%で、SiO 55〜75%、Al 15〜30%、LiO 2〜10%、NaO 0〜3%、KO 0〜3%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜5%、TiO 0〜5%、ZrO 0〜4%、P 0〜5%、及びSnO 0〜2.5%を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のフィラー粉末の製造方法。
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