JP6387604B2 - 機能性フィルムの製造方法及び機能性フィルム - Google Patents
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Description
また、前記タッチパネルには、パネル基材が、長期の連続の使用においてダメージを受けても動作、視覚に支障が生じない程度の機械的強度、及びタッチパネル全体の光透過率の向上及び透明導電層のパターンの不可視化のための反射防止機能が必要とされ、通常、前記パネル基材として、光透過性基材上にハードコート層及び反射防止層を有する光学積層体が用いられている。
さらにまた、ロール状に巻かれた光透過基材を構成するフィルム(層)の端部に微粒子が存在しない場合、あるいは存在していても、微粒子の大きさ又は数等により、耐ブロッキング性及び滑り性の効果が不十分である場合には、上述したような種々の品質低下に繋がるため、歩留まりが低下してしまうというおそれもあった。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)透明基材フィルムの少なくとも一方の面上に、当該透明基材フィルム側から二以上の透明層を順に形成する光機能性フィルムの製造方法であって、第1層目の透明層を、微粒子を含む組成物を用い形成する工程、第2層目以降の透明層を、前記第1層目の透明層の塗工領域の少なくとも端部を除く内側の領域を覆うように形成する工程を含むことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。
(2)前記端部の幅が、1〜50mmである、上記(1)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(3)前記端部が隆起した部位を有し、当該部位の算術平均粗さRa(JIS B0601−1994)が、2.0〜20.0nmである、上記(1)又は(2)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(4)前記二以上の透明層の最表面が隆起した部位を有し、当該部位の算術平均粗さRaが、0.5〜5.0nmである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
(5)前記端部の隆起した部位の算術平均粗さRaが、前記二以上の透明層の最表面が隆起した部位の算術平均粗さRaよりも大きい、上記(4)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(6)前記微粒子の平均粒子径が、微粒子を含む第1層目の透明層の厚みと該透明層より前記透明基材フィルムとは反対側に存在する透明層の厚みとの和をt(nm)とした場合、tの値に対して0.5〜3.0(倍)である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
(7)前記二以上の透明層のうち、少なくとも一組の互いに接する層の屈折率が異なる、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
(8)前記二以上の透明層が、それぞれ厚みが100nm以下である、上記(7)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(9)前記膜厚100nm以下である二以上の透明層が、相互で光学干渉機能を有する、上記(7)又は(8)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(10)前記微粒子が、無機系粒子又は有機系粒子である、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法.
(11)前記無機系粒子が、シリカ系粒子又はアルミナ系粒子である、上記(10)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(12)前記有機系粒子が、(メタ)アクリル重合体又はスチレン重合体である、上記(10)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(13)前記基材フィルムと前記第1層目の透明層との間に、さらにプライマー層を形成する工程を有する、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
(14)前記二以上の透明層が、前記微粒子を含みかつ屈折率が1.50〜1.60、厚みが0.5〜10μmの範囲にあるハードコート層、屈折率が1.60〜1.75、厚みが10〜100nmの範囲にある高屈折率層、及び屈折率が1.40〜1.55、厚みが10〜100nmの範囲にある低屈折率層を前記透明基材フィルム側からこの順に形成してなる、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
(15)前記低屈折率層の上に、さらに透明導電層を形成し、当該透明導電層の屈折率が1.9〜3.0、膜厚が15〜35nmの範囲にある、上記(14)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(16)前記透明導電層の形成を樹脂組成物コーティング法、物理蒸着法又は化学蒸着法により行う、上記(15)に記載の機能性フィルムの製造方法。
(17)透明基材フィルム上に二以上の透明層を有し、第1層目の透明層が微粒子を含み、第2層目以降のすべての透明層が、前記第1層目の微粒子を含む透明層の領域の少なくとも端部を除く内側の領域を覆っていることを特徴とする機能性フィルム。
(18)前記二以上の透明層が、前記透明基材フィルム側から順に、屈折率が1.50〜1.60、厚みが0.5〜10μmの範囲にあるハードコート層、屈折率が1.60〜1.75、厚みが10〜100nmの範囲にある高屈折率層、及び屈折率が1.40〜1.55、厚みが10〜100nmの範囲にある低屈折率層からなる、上記(17)に記載の機能性フィルム。
(19)前記低屈折率層の上に、さらに透明導電層を有し、当該透明導電層の屈折率が1.7〜3.0、厚みが15〜35nmの範囲にある、上記(18)に記載の機能性フィルム。
本発明の機能性フィルムは、以下に述べるように、透明基材フィルムの片面のみで構成されていてもよく、両面で構成されていてもよい。
透明基材フィルム上に二以上の透明層を順に形成する工程である。
図3(a)は、本発明の製造方法に用いた逐次型塗膜形成装置の一例を示す模式図である。図3(a)において、逐次型塗膜形成装置21の給紙用の巻き出しローラー22に巻かれた透明基材フィルム1を塗工部23に供給し、当該透明基材フィルム1上に、当該透明基材フィルム側から一の透明層を塗工し、塗工した一の透明層を、乾燥部24、硬化部25を経て排紙用の巻き取りローラー26に巻き取ることにより、第1層目の透明層を形成させる。また、第2層目となる透明層は、排紙用の巻き取りローラー26に巻き取られたロールを、他の逐次型塗膜形成装置の給紙用ローラー又は当該装置の給紙用の巻き出しローラー22に設置し、第1層目と同様に、第2層目となる一の透明層を形成させる。続く第3層目以降に関しても、同様の工程を経ることにより、所望の複数の透明層を有する光学積層体を形成させる。
当該機能性フィルム形成工程は、後述する第1層目の透明層形成工程1、第2層目の透明層形成工程2、第3層目の透明層形成工程3、及び第4層目以降の透明層形成工程を含む。
図3(b)は、本発明の製造方法に用いた多色インライン型塗膜形成装置の一例を示す模式図である。当該多色インライン型塗膜形成装置30は、ロールツーロール方式の塗工装置(以下1基からなる塗工装置はユニットと記載)であり、張力を付与しながら帯状の透明基材フィルム1上に、塗工液からなる塗膜を連続的に順に形成する装置である。また、多色インライン型塗膜形成装置30は、図3(b)中に示すように、第1のユニット31a、第2のユニット31b及び第3のユニット31cからなり、第1のユニット31aには巻き出しローラー32を含め、塗工部33a、乾燥部34a、硬化部35aが、第2のユニット31bには塗工部33b、乾燥部34b、硬化部35bが、第3のユニット31cには巻き取りローラー36を含め、塗工部33a、乾燥部34a、硬化部35aを備えている。
塗工用コーターとしては、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ディップコ−ター、ナイフコ−ター等の各種塗工機が挙げられる。
乾燥機としては、加熱炉、真空加熱炉、赤外線ランプヒーター等が挙げられ、熱風の対向、巡向、サイドあるいは塗面に直接吹き付ける乾燥方法がとられる。
硬化機としては、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられる。また、電子線により硬化する場合は、電子線加速器等が挙げられる。
前記ハードコート層と前記光機能層を組み合わせてもよいし、さらに透明導電層を組み合わせてもよい。
その他、二以上の透明層としては、ハードコート層、反射防止層、ニュートンリング防止層の組み合わせ、帯電防止層、ハードコート層、反射防止層の組み合わせ等が挙げられる。
透明層形成工程1は、透明基材フィルム上に第1層目の透明層を形成する工程である。図3(a)の逐次型塗膜形成装置では、巻き出しローラー22から透明基材フィルム1を送り出し、塗工部23で塗工し、続く乾燥部24で乾燥させ、さらに続く硬化部25で硬化させることにより、前記第1層目の透明層が形成される。当該工程では、形成された透明層は、巻き取りローラー26により巻取られる。
透明基材フィルムの厚みは、100〜300μmであることが好ましく、25〜250μmであることがさらに好ましく、50〜200μmであることが特に好ましい。透明基材フィルムの厚みがこの範囲内であれば、支持体として機械的強度を確保した上で、積層するフィルムの薄膜化が容易であり、また透明基材フィルムの搬送性が向上しカールやシワが生じにくくなる。
また、前記ハードコート層は、高い透明性を有するものが好ましく、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化性樹脂が用いられる。
前記光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、電離放射線硬化性樹脂組成物中の含有量は1〜10質量%が好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。
なお、ハードコート層の厚さは、断面を電子顕微鏡(SEM、TEM)等で観察することにより得られた値である。
ハードコート層との密着性の向上を主目的として、ハードコート層を形成する前に、前記透明基材フィルム上にプライマー層を形成しておいてもよい。また、このプライマー層を透明基材とハードコート層のそれぞれの屈折率の中間の屈折率とすることで、干渉縞の発生を抑制することができる。
透明層形成工程2は、透明層形成工程1で使用した逐次型塗膜形成装置又は他の逐次型塗膜形成装置を使用して、透明層形成工程1で巻取られたロールを、使用する装置の給紙用ローラーに設置し、前記第1層目の透明層上に、第2層目の透明層を形成する工程である。第2層目の透明層の形成は、第1層目の透明層同様、巻き出しローラーから透明基材フィルムを送り出し、塗工部で塗工し、続く乾燥部で乾燥させ、さらに続く硬化部で硬化させることにより、第2層目の透明層が形成される。
前記手法において、ゾルゲル法に用いる材料としては、金属アルコキシドが挙げられ、該金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合することにより高屈折率層を形成させる。金属アルコキシドとしては、機械的強度や安定性、透明導電層や基材等との密着性に優れている観点から、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド又はアルコキシシランが挙げられる。これらのなかでも、ジルコニウムアルコキシドが、屈折率の観点から好ましく用いられる。
バインダー樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を原料とする多官能ポリアクリレート系電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。これら原料のなかでも、ポリオールアクリレートやウレタンアクリレートが、柔軟性や硬度の観点から好ましく用いられる。
熱硬化型樹脂としては、メラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記高屈折率粒子の1次粒子径は5〜20nmであるものを用いる。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
透明層形成工程3は、透明層形成工程2で使用した逐次型塗膜形成装置又は他の逐次型塗膜形成装置を使用して、透明層形成工程2で巻き取られたロールを、使用する装置の給紙用ローラーに設置し、前記第2層目の透明層上に、第3層目の透明層を形成する工程である。第3層目の透明層の形成は、第2層目の透明層同様、巻き出しローラーから透明基材フィルムを送り出し、塗工部で塗工し、続く乾燥部で乾燥させ、さらに続く硬化部で硬化させることにより、第3層目の透明層が形成される。
前記手法において、ゾルゲル法に用いる材料としては、金属アルコキシドが挙げられ、該金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合することにより低屈折率層を形成させる。金属アルコキシドとしては、機械的強度や安定性、透明導電層や基材等との密着性に優れている観点から、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド又はアルコキシシランが挙げられ、屈折率の観点からアルコキシシランが好ましく用いられる。また、電離放射線硬化性樹脂としては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を原料とする多官能ポリアクリレート系電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。これら原料のなかでも、ポリオールアクリレートやウレタンアクリレートが、柔軟性や硬度の観点から好ましく用いられる。熱硬化型樹脂としては、メラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記低屈折率粒子の1次粒子径は5〜20nmであるものを用いる。上記範囲であれば、塗膜が白化することなく良好な光学干渉層を形成することができる。
なお、添加量は、所望の屈折率に合わせ、適宜調整する。
なお、最終層となる最上層の透明層は、当該透明層が形成された後、ローラーに巻き取られ、透明層形成工程が完了する。
なお、図3(b)は、光学積層体が3層構成からなる場合を想定したユニット構成であり、前記第3層目の透明層が形成された後、排紙ローラーである巻き取りローラー36に巻き取られた態様で塗膜形成が完了する。
(4)透明導電層形成工程
透明導電層形成工程は、前記透明層の最表面上に、透明導電層を形成する工程である。図1においては、透明層5上に透明導電層6を形成する工程である。前記透明層4を高屈折率層、前記透明層5を低屈折率層とした場合、該低屈折率層に接して透明導電層6を設ける。
本発明に用いる二以上の透明層のうち、透明基材フィルム上に、第1層目の透明層を形成するのに用いる当該透明層用組成物には、微粒子が含まれる。当該微粒子が透明層内に保持されることにより、当該透明層の端部はもとより、次いで順に積層される他の複数の透明層の表面に微粒子の形状に応じて隆起した部位が生成する。
微粒子の形態は、特に制限されず、一次粒子であっても、凝集体の形態であってもよく、それらが任意の割合で混在していてもよい。
無機系粒子としては、シリカ系粒子又はアルミナ系粒子からなることが好ましい。なかでも、分散安定性の観点からシリカ系粒子がより好ましい。前記シリカ系粒子としては、コロイダルシリカ等が挙げられる。前記シリカ粒子の市販品としては、例えば、CIKナノテック社製SIRMIBK15WT%−E03、SIRMIBK15WT%−E65、SIRMIBK15WT%−E68、SIRMIBK15WT%−H84等が挙げられる。なお、シリカ粒子、アルミナ粒子は、単独で使用してもよく、併用してもよい。
また、有機系粒子としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。含有される層に必要な屈折率によって、適宜選択されるが、これらの中で、光透過性、耐湿熱性、耐光性の観点から、アクリルビーズが好ましい。なお、これらの粒子は、単独で使用してもよく、併用してもよい。
なお、本発明においてシリカ粒子の平均粒子径は、対象となる透明層を有する光機能性フィルムの断面を透過型電子顕微鏡で20万倍にて撮像した画面において、無作為に10個のシリカ粒子を抽出し、各々の粒子径を算出した後、その数平均値を平均粒子径とする。各粒子の粒子径は、粒子の断面において、最も長い径と最も短い径との平均値とする。
本発明に用いる二以上の透明層は、本発明に用いた塗膜形成装置、すなわち、一色式塗工機又は多色式連続塗工機のコーター部の仕様、塗工条件を適宜調整することにより、所定の位置に、所望の塗工幅を有する透明層として形成することができる。また、前記二以上の透明層の第1層目の透明層に、当該透明層の膜厚より大きな粒子径を持つ微粒子を含ませたり、当該透明層表面付近に微粒子を存在させることで、当該透明層はもとより、当該透明層の上に配置される他の複数の透明層の表面の部位を隆起させることができる。
図5は、後述する実施例1の機能性フィルムがロール状に巻き取られた状態及び透明基材フィルム上の二以上の透明層の塗工領域の一例(第1層目の透明層に微粒子が含有)を示す模式図である。
図5において、第1層目の透明層43に微粒子が含まれ、第2層目の透明層44、第3層目の透明層45には微粒子が含まれていない。また、塗工幅の大きさは、微粒子を含む第1層目の透明層43が一番大きく、第2層目の透明層44、第3層目の透明層45の順に小さくなっている
また、端部の幅は、両端部が一番外側の領域に配置された微粒子を含む第1層目の透明層と、当該透明層以外の透明層の中で、当該透明層に最近接する端部を有する透明層とでなる領域における、両端部間の距離として定義する。図5においては、端部の幅は、微粒子を含む第1層目の透明層43の端部と当該透明層端部に最近接する第2層目の透明層44の端部との距離となる。つまり、46a、46bが端部となる。また、46cが端部以外となる。
率が1.7〜3.0、厚みが15〜35nmの範囲にあることが好ましい。また、前 記
透明導電層の形成は、樹脂組成物コーティング法、物理蒸着法又は化学蒸着法により 行
う。
本発明の機能性フィルムは、透明基材フィルム上に二以上の透明層を有し、第1層目の透明層が微粒子を含み、第2層目以降のすべての透明層が、前記第1層目の微粒子を含む透明層の領域の少なくとも端部を除く内側の領域を覆っていることを特徴とする機能性フィルムである。
前記低屈折率層の上に、さらに透明導電層がなり、好ましくは、当該透明導電層の屈折率が1.7〜3.0、厚みが15〜35nmである。
(表面形状)
非接触表面形状測定機(Zygo社製、商品名New View 6300)で測定した表面形状のデータを元に、JIS B0601:1994に準じて、機能性フィルムを構成するハードコート層及び低屈折率層の表面形状(Ra)を算出した。測定範囲は0.12mm×0.12mmとし、10箇所の測定値の平均値をRaとした。
実施例及び比較例で得られた機能性フィルムを、少なくとも両端部を含むように50mm×50mmの大きさに2枚分カットした。カットした2枚の機能性フィルムの最表面(低屈折率層側)同士を対向するようにして重ね合わせ、圧力5.0kgf/cm2、50℃の条件で30時間密着させた後、以下の基準で評価した。
○:貼り付きなし
×:貼り付きあり
一色式塗工機用い、巻き出しロールから透明基材フィルム(東洋紡績株式会社製、商品名:A4300、厚み:100μm、ロール幅:1450mm、両面にプライマ−層あり)を塗工部に送り出し、まず下記微粒子を含むハードコート層用組成物(1)を他の透明層の塗工領域の少なくとも端部を除く外側の領域に予め配置するように塗工し(端部の幅:5mm)、乾燥部で温度70℃、60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、硬化部で紫外線を積算光量が150mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、ハードコート層(厚み:2.0μm、塗工幅:1440mm、プライマー層を除き第1層目と称する)を形成した。続いて、前記ハードコート層を形成した面に、一色式塗工機を用い、下記透明層用組成物(2)を塗工し、乾燥部で温度70℃、60秒間乾燥させた後、硬化部で紫外線を積算光量が150mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、透明層(厚み:50nm、塗工幅:1430mm)を形成し、さらに、当該透明層を形成した面に、一色式塗工機を用い、下記透明層用組成物(3)を塗工し、乾燥部で温度70℃、60秒間乾燥させた後、硬化部で紫外線を積算光量が150mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、透明層(厚み:30nm、塗工幅:1430mm)を形成した光機能性フィルムとし、それらを巻き取ることにより機能性フィルムからなる巻き取りロールとした。表1に、端部及び端部以外の表面のRa(測定範囲:0.12mm×0.12mm)、また貼り付き防止性についての評価結果を示す。
なお、図4は、本発明の実施例における、端部及び端部以外の表面に隆起した部位の断面の一例を示す模式図であり、(a)が微粒子を含むハードコート層の端部表面、(b)が端部以外の、微粒子を含まない透明層(低屈折率透明層)の表面、に隆起した部位の断面の模式図である。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 50部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 2部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%)
・アクリル系樹脂微粒子含有液 1.5部
((綜研化学社製、MX−180、平均粒子径1.8μm;固形分15%(溶媒:メチルイソブチルケトン))
・メチルイソブチルケトン 60部
・シクロヘキサノン 15部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 0.7部
(BASF社製、イルガキュア127)
・シリコーン系レベリング剤 0.3部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%)
・高屈折率粒子(酸化ジルコニウム) 50部
(住友大阪セメント社製、MZ−230X、固形分32.5%)
(平均粒子径:25nm)
・メチルイソブチルケトン 500部
・シクロヘキサノン 250部
・メチルエチルケトン 500部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 5部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・光重合開始剤 1部
(BASF社製、イルガキュア127)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(大日精化工業社製、セイカビーム10−28、固形分10%)
・低屈折率粒子 17部
(日産化学工業社製、MIBK−ST、固形分30%)
(平均粒子径10〜15nm)
・メチルイソブチルケトン 1000部
・シクロヘキサノン 250部
実施例1において、端部の幅を1、10、50mmに代えた以外は、実施例1と同様にして機能性フィルムを作製した。表1に、端部及び端部以外の表面のRa(測定範囲:0.12mm×0.12mm)、また、貼り付き防止性についての評価結果を示す。
実施例1において、端部を設けない以外は、実施例1と同様にして機能性フィルムを作製した。表1に、表面のRa(測定範囲:0.12mm×0.12mm)、また貼り付き防止性についての評価結果を示す。
2,2a,2b:プライマー層
3,3a,3b:ハードコート層
4,4a,4b:透明層(高屈折率層)
5,5a,5b:透明層(低屈折率層)
6,6a,6b:導電層
10,20:機能性フィルム
12:微粒子により隆起した部位(端部)
13:微粒子により隆起した部位(端部以外)
21:逐次型塗膜形成装置
22:巻き出しローラー
23:塗工部
24:乾燥部
25:硬化部
26:巻き取りローラー
30:多色インライン型塗膜形成装置
31a:第1のユニット,31b:第2のユニット,31c:第3のユニット
32:巻き出しローラー
33a:第1の塗工部,33b:第2の塗工部,33c:第3の塗工部
34a:第1の乾燥部,34b:第2の乾燥部,34c:第3の乾燥部
35a:第1の硬化部,35b:第2の硬化部,35c:第3の硬化部
36:巻き取りローラー
41a:透明基材フィルム
41b:ロール状機能性フィルム
43:第1層目の透明層(微粒子を含む透明層)
44:第2層目の透明層
45:第3層目の透明層
46a,46b:微粒子を含む透明層の端部の塗工領域(幅)
46c:微粒子を含む透明層の端部以外の塗工領域(幅)
47:ロール芯部
Claims (14)
- 透明基材フィルムの少なくとも一方の面上に、当該透明基材フィルム側から二以上の透明層を順に形成する機能性フィルムの製造方法であって、
第1層目の透明層を、微粒子を含む組成物を用い形成する工程、
第2層目以降の透明層を、前記第1層目の透明層の塗工領域の両側の端部1〜50mmの幅を除く内側の領域を覆うように形成する工程を含み、
前記端部1〜50mmの幅の領域が隆起した部位を有し、当該部位の算術平均粗さRa 1 (JIS B0601−1994)が、2.0〜20.0nmであり、
前記二以上の透明層の最表面が隆起した部位を有し、当該部位の算術平均粗さRa 2 が、0.5〜5.0nmであり、
前記Ra 1 が前記Ra 2 よりも大きく、
前記微粒子の平均粒子径が、微粒子を含む第1層目の透明層の厚みと該透明層より前記透明基材フィルムとは反対側に存在する透明層の厚みとの和をt(nm)とした場合、tの値に対して0.5〜3.0(倍)である、ことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。 - 前記二以上の透明層のうち、少なくとも一組の互いに接する層の屈折率が異なる、請求項1に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記二以上の透明層が、それぞれ厚み100nm以下である、請求項1又は2に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記厚み100nm以下である二以上の透明層が、相互で光学干渉機能を有する、請求項3に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記微粒子が、無機系粒子又は有機系粒子である、請求項1〜4のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法.
- 前記無機系粒子が、シリカ系粒子又はアルミナ系粒子である、請求項5に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記有機系粒子が、(メタ)アクリル重合体又はスチレン重合体である、請求項5に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記基材フィルムと前記第1層目の透明層との間に、さらにプライマー層を形成する工程を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記二以上の透明層が、前記微粒子を含みかつ屈折率が1.50〜1.60、厚みが0.5〜10μmの範囲にあるハードコート層、屈折率が1.60〜1.75、厚みが10〜100nmの範囲にある高屈折率層、及び屈折率が1.40〜1.55、厚みが10〜100nmの範囲にある低屈折率層を前記透明基材フィルム側からこの順に形成してなる、請求項1〜8のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記低屈折率層の上に、さらに透明導電層を形成し、当該透明導電層の屈折率が1.7〜3.0、厚みが15〜35nmの範囲にある、請求項9に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記透明導電層の形成を樹脂組成物コーティング法、物理蒸着法又は化学蒸着法により行う、請求項10に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 透明基材フィルム上に二以上の透明層を有し、第1層目の透明層が微粒子を含み、第2層目以降のすべての透明層が、前記第1層目の微粒子を含む透明層の領域の両側の端部1〜50mmの幅を除く内側の領域を覆っている機能性フィルムであって、前記端部1〜50mmの幅の領域が隆起した部位を有し、当該部位の算術平均粗さRa 1 (JIS B0601−1994)が、2.0〜20.0nmであり、
前記二以上の透明層の最表面が隆起した部位を有し、当該部位の算術平均粗さRa 2 が、0.5〜5.0nmであり、
前記Ra 1 が前記Ra 2 よりも大きく、
前記微粒子の平均粒子径が、微粒子を含む第1層目の透明層の厚みと該透明層より前記透明基材フィルムとは反対側に存在する透明層の厚みとの和をt(nm)とした場合、tの値に対して0.5〜3.0(倍)である、ことを特徴とする機能性フィルム。 - 前記二以上の透明層が、前記透明基材フィルム側から順に、屈折率が1.50〜1.60、厚みが0.5〜10μmの範囲にあるハードコート層、屈折率が1.60〜1.75、厚みが10〜100nmの範囲にある高屈折率層、及び屈折率が1.40〜1.55、厚みが10〜100nmの範囲にある低屈折率層からなる、請求項12に記載の機能性フィルム。
- 前記低屈折率層の上に、さらに透明導電層を有し、当該透明導電層の屈折率が1.7〜3.0、厚みが15〜35nmの範囲にある、請求項13に記載の機能性フィルム。
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