定期的な分解清掃の頻度を減少させることを可能にするという目的を、以下のように実現した。
[請求項1の発明の実施形態]
請求項1の発明は、攪拌容器の回転軸側のアームに支持される羽根取付部の一側面に掻取り用の羽根部を対向させて取り付ける掻取羽根である。
羽根取付部と羽根部との間は、羽根部を貫通する結合ピンを有して羽根部を押えず羽根取付部と羽根部との相対的なガタツキ動作を許容する結合部により結合されている。
そして、羽根取付部及び羽根部間の結合ピンに沿った方向等での相対的なガタツキ動作により呼吸動作的な相対動作が行なわれ、羽根取付部と羽根部との間と間外とで被撹拌物の移動を可能としたことで実現した。
[請求項2の発明の実施形態]
請求項2の発明は、請求項1記載の掻取羽根であって、一側面は、羽根取付部の周縁までフラットであり、羽根取付部に対向する羽根部の対向側は、羽根部の周縁までフラットである。
[請求項3の発明の実施形態]
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の掻取羽根であって、結合部は、羽根取付部と羽根部との一方側から他方側に向けて突出する結合ピンと他方側に形成された取付穴とを有し、結合ピンは、頭部を備え、取付穴は、頭部を通過させて一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作により結合ピンを嵌合させて記頭部を係合させる。
[請求項4の発明の実施形態]
請求項4の発明は、請求項3記載の掻取羽根であって、羽根部を一側面に合わせて取り付ける羽根取付板及びこの羽根取付板の他側面に配置され回転軸側のアームに支持される留め具を他方側として備えている。羽根取付板に対し羽根部を挟んで配置され結合ピンを有した羽根押え板を一方側として備えている。羽根取付板及び羽根部は、結合ピンを貫通させる貫通孔を備えている。一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作は、羽根部及び羽根取付板を挟んだ羽根押え板及び留め具間で、留め具の羽根取付板に対するスライドにより行なう。留め具の位置ずれ動作は、回転軸側への支持により戻りが規制される。
[請求項5の発明の実施形態]
請求項5の発明は、請求項3記載の掻取羽根であって、取付穴を有して羽根部を一側面に合わせて取り付ける羽根取付板を他方側として備えている。羽根取付板に対し羽根部を挟んで配置され結合ピンを有した羽根押え板を一方側として備えている。羽根部は、結合ピンを貫通させる貫通孔を備えている。一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作は、羽根部を挟んだ羽根取付板及び羽根押え板間で行なう。羽根押え板の位置ずれ動作は、羽根部が攪拌容器側に接することで戻りが規制される。
[請求項6の発明の実施形態]
請求項6の発明は、請求項3記載の掻取羽根であって、結合ピンを有して羽根部を一側面に取り付ける羽根取付板を一方側として備え、羽根取付板に対し羽根部を挟んで配置され取付穴を有した羽根押え板を他方側として備え、羽根部は、結合ピンを貫通させる貫通孔を備え、一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作は、羽根部を挟んだ羽根取付板及び羽根押え板間で行ない、羽根押え板は、位置ずれ動作の戻りを回転軸側の部材への支持により規制する位置決め部又は回転軸側の部材への対向により規制する当り部を備えている。
[請求項7の発明の実施形態]
請求項7の発明は、請求項6記載の掻取羽根であって、前記回転軸側に、取り付け用の突片部を有し、前記突片部は、結合穴を備え、前記羽根取付部は、前記突片部の結合穴に挿通された取付ピンにより前記突片部に着脱自在に支持され、前記位置決め部が支持される回転軸側の部材は前記取付ピンである又は前記当り部が対向する回転軸側の部材は前記取付ピン又は突片部である。
[請求項8の発明の実施形態]
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れか1項記載の掻取羽根であって、羽根取付部と羽根部との間に、相対的なガタツキ動作を促進する隙間を設定した。
[加熱撹拌装置の構成]
図1は、加熱撹拌装置を示し一部を切り欠いた正面図である。
本発明の掻取羽根を備える加熱攪拌装置1は、流動性のある被撹拌物の加熱撹拌に用いられ、特に、含水粉体や餡等の粉体や固体又は粘性の高い物質或いは塑性流動する物質等の加熱撹拌に用いられるものである。ただし、流動性の良い被撹拌物に適用することも可能である。また、本発明の掻取羽根は、加熱を伴わない撹拌装置に適用することもできる。
図1のように、加熱攪拌装置1は、撹拌容器3と、攪拌ユニット5と、駆動部である駆
動モータ7と、制御ボックス9と、油圧ユニット11と、配管ユニット12とを支持フレーム15に支持することによって構成されている。
前記支持フレーム15は、蓋収容部17が一体に設けられ、脚部19によってフロア21上に配置されている。脚部19は、例えばロードセル等で構成された重量センサ23が介設されており、撹拌容器3、攪拌ユニット5、駆動モータ7、制御ボックス9、油圧ユニット11、蓋収容部17等を含めた支持フレーム15上の全重量を検出する構成となっている。この重量測定によって、撹拌容器3内の食材の加熱調理による水分蒸発量等を演算し、掻取押付式加熱撹拌釜1の自動加熱撹拌等を行わせることが可能となっている。
前記撹拌容器3は、横置きの円筒部25上にホッパー部27を設けたものである。撹拌容器3は、支持フレーム15に回転可能に支持され、油圧ユニット11の油圧シリンダによって傾動回転される。撹拌容器3は、上端開口から食材等の被撹拌物が投入され、前記傾動により上端開口から加熱撹拌後の被撹拌物を排出することができるようになっている。前記上端開口には、着脱可能に割蓋が設けられる。また、下部外周には、加熱及び冷却用の流体ジャケット29を備えている。
前記円筒部25の軸心部には、回転軸として横軸型の撹拌駆動軸31が回転自在に支持されている。撹拌駆動軸31は、駆動モータ7によって回転駆動されるようになっている。撹拌駆動軸31には、所定間隔で攪拌ユニット5が取り付けられ、回転駆動によって撹拌容器3内の被撹拌物を撹拌可能としている。なお、攪拌ユニット5の詳細については後述する。
前記駆動モータ7は、撹拌駆動軸31に連動連結されている。駆動モータ7は、制御ボックス9によって制御され、所定の周期毎に正転及び正転とは逆回転の反転を繰り返すようになっている。
前記制御ボックス9は、駆動モータ7の動作の他、撹拌容器3の流体ジャケット29への蒸気の供給、油圧ユニット11の動作等を制御する。
[掻取羽根]
図2は、攪拌ユニットの取り付けを示す要部拡大側面図である。図3は、掻取羽根の取り付けを示す背面図である。図4は、掻取羽根の取り付け状態での隙間を示す断面図である。図5は、掻取羽根の一部を断面にした分解側面図である。図6は、掻取羽根の分解斜視図である。
図1〜図3のように、前記各攪拌ユニット5は、支持部としてのアーム37と、該アーム37の先端に設けられた掻取羽根39とを備えている。
前記アーム37は、基端側に設けられたクランプ部43によって撹拌駆動軸31に対して支持されている。アーム37の先端には、掻取羽根39の取付用のブラケット部45が設けられている。
クランプ部43は、撹拌駆動軸31を挟む合わせ構造のカップリングで形成されている。カップリング基部43aがアーム37の先端に固定して設けられている。カップリング蓋部43bは、カップリング基部43aに撹拌駆動軸31を挟んでボルト43cにより締結結合されている。
撹拌駆動軸31を挟んだカップリング基部43a及びカップリング蓋部43bの締結結合により撹拌駆動軸31に対する攪拌ユニット5の締結固定が行なわれている。
ブラケット部45は、アーム37から延設されている。ブラケット部45は、基部45aと壁部45bと突片部45caとを備えている。基部45aは、アーム37の先端に結合されている。ブラケット部45は、アーム37に含まれる構成である。突片部45caには、結合穴が貫通形成されている。
掻取羽根39は、撹拌容器3の内周面において正転方向aに対し、後傾となるように傾斜配置されている。つまり、掻取羽根39は、正転時に撹拌容器3の内周面に接する羽根先縁61aが先行して内周面を掻取り移動するように傾斜設定されている。
図2〜図6のように、掻取羽根39は、攪拌容器3の撹拌駆動軸31側のアーム37に支持された羽根取付部59に掻取り用の羽根部61を合わせて結合部としての結合ピン64により取り付けられたものである。
つまり、羽根取付部59と羽根部61との間は、羽根取付部59及び羽根部61間の締結力の無いことに起因した相対動作を可能とする結合部により結合された構成となっている。
結合部は、羽根取付部59と羽根部61との一方側に支持され他方側に向けて突出する結合ピン64と他方側に形成された取付穴(65aa、65ab)とを有している。本実施例では、羽根取付部59と羽根部61との一方側として、後述する羽根押え板63を備えている。
結合ピン64は、頭部64bを備えている。取付穴(65aa、65ab)は、頭部64bを通過させる挿入部65aaとこの挿入部65aaに連続し一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作により結合ピン64を嵌合させて縁部に頭部64bを係合させ得る嵌合部65abとからなる。
そして、羽根取付部59及び羽根部61間の結合ピン64に沿った呼吸動作的な相対動作、或いは結合ピン64の軸心に交差する相対動作を加えて、羽根取付部59と羽根部61との間と間外とで被撹拌物の移動を可能としている。
羽根取付部59は、羽根部61を一側面に合わせる羽根取付板67及びこの羽根取付板67の他側面に配置され回転軸31側に支持される留め具65を他方側として備えている。羽根取付板67に対し羽根部61を挟んで配置され結合ピン64を有した羽根押え板63を一方側として備えている。羽根取付板67及び羽根部61は、結合ピン64を貫通させ遊嵌させる貫通孔67a、61bを備えている。
羽根取付部59及び羽根部61側の一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作は、羽根部61及び羽根取付板67を挟んだ羽根押え板63及び留め具65間で行なう。
留め具65は、位置ずれ動作の戻りを回転軸側である取付ピン73への支持により規制する位置決め部65bを備えた。
羽根取付部59と羽根部61との間には、相対的なガタツキ動作を促進する図4で示す隙間Sを設定した。
さらに具体的に説明する。なお、この場合の上下とは、掻取羽根39が下になるように重力方向の上下に向けて見た上下を意味し、左右とは羽根部61を重力方向の上下に向けて正面から見た左右を意味する。前面とは、羽根部61の正転方向での前面を意味する。
羽根取付部59は、撹拌ユニット5のブラケット部45に取り付けられ、撹拌容器3の撹拌駆動軸31側に支持された構成となっている。羽根取付部59に対する羽根部61の取り付けには、前記結合ピン64を備えた羽根押え板63の他に前記取付穴(65aa、65ab)を備えた留め具65が用いられている。なお、羽根押え板63は、羽根部61と別体で分離可能であるが、一体的に分離不能に組み合わせることもできる。
羽根取付部59は、ステンレス、樹脂等で形成され、先端に羽根取付板67を備え、この羽根取付板67の基端側にナックル部69を備えている。羽根取付板67は、ナックル部69の両側に長く平板状に形成されている。
図6の背面方向から見て羽根取付板67は、縁部が若干弧状となる様に湾曲形成されている。羽根取付板67の湾曲形状は、羽根部61の湾曲形状に応じている。羽根取付板67は、羽根部61取り付けのため羽根部61に応じた長さを有している。
この羽根取付板67は、前面に一側面として面一の取付面67bを備えている。取付面67bは、羽根部61を対向させて取り付けるためのものであり、本実施例では、羽根取付板67の周縁までフラットである。但し、取付面67bは、フラットでない形態もあり得る。
但し、取付面67bを、前面の一部として部分的に形成することもできる。取付面67bを、貫通孔67a毎に分けて形成することもできる。取付面67bは、テフロン(登録商標)等の樹脂をコーティングすることもできる。取付面67bに対するコーティング等の表面処理により食材の滑りを助長することができる。
貫通孔67a周囲にボス部を突設し、ボス部を羽根部61側に対面させて取付面67bと羽根部61側の後述の対向面61cとの間に隙間を形成することもできる。ボス部の羽根部61側への対面は、密接、隙間を持った対向の何れでもよい。
前記羽根取付板67の貫通孔67aは、長さ方向の中央部の両側において各一対、合計4個貫通形成されている。
ナックル部69は、羽根取付板67の長さ方向の中央に一体に備えている。ナックル部69には、突部69aが形成され、取り付け用の軸穴が形成されている。ナックル部69には、スペーサーパネル71が図2のように溶着され又は接着されている。スペーサーパネル71は、金属、樹脂、セラミック、硬質ゴム、弾性を有したゴムなどにより矩形の平板状に形成され、ブラケット部45の壁部45bと共に掻取羽根39の一定範囲の揺動を設定するストッパーとなる。
羽根部61は、テフロン(登録商標)等の樹脂製であり、正転方向aの前面から見て略矩形状に形成されている。羽根部61は、ブラケット部45を介し撹拌駆動軸31の軸心に対し角度を持って設定されているから、羽根先縁61aは、撹拌容器3の内周面を設定状態で掻き取れるように若干の円弧状に形成されている。
羽根部61は、背面に対向面61cを備えている。背面の対向面61cは、羽根取付板67の取付面67bに対向させて取り付けるものである。羽根部61は、羽根取付板67との対向側の面である背面全体をフラットとし、この羽根部61の背面に面一に前記対向面61cが備えられている。
但し、背面の対向面61cを、羽根部61の背面の一部として部分的に形成することもできる。対向面61cを、貫通孔61b毎に分けて形成することもできる。貫通孔61b周囲にボス部を突設し、ボス部を羽根取付板67側に対面させて対向面61cと羽根取付板67の取付面67bとの間に隙間を形成することもできる。ボス部の羽根取付板67側への対面は、密接、隙間を持った対向の何れでもよい。
羽根部61の対向面61cは、前記取付面67bに対向して羽根取付部59の羽根取付板67に羽根部61を合わせて取り付けるためのものである。対向面61cは、羽根部61の周縁まで全体的にフラットに形成されている。但し、対向面61cは、フラットでない形態もあり得る。
羽根部61は、前面に対向面61dを備えている。前面の対向面61dは、羽根押え板63に対向させて取り付けを行わせるものである。羽根部61は、前面全体をフラットとし、この羽根部61の前面に面一に前記対向面61dが備えられている。
但し、前面の対向面61dを羽根部61の前面の一部として部分的に形成することもできる。対向面61dを、貫通孔61b毎に分けて形成することもできる。
羽根部61の背面の対向面61cは、羽根取付板67の前面の取付面67bに対向して重ねられている。羽根部61には、前記貫通孔61bが4箇所に形成されている。羽根部61の貫通孔61bは、羽根取付板67の4箇所の貫通孔67aに対向している。
羽根押え板63は、ステンレスなどで形成されている。羽根押え版63の背面には、結合ピン64が4本一体に備えられている。4本の結合ピン64は、羽根取付板67の4箇所の貫通孔67aに対応している。
羽根押え板63は、背面63bが羽根部61の前面の対向面61dに対向し羽根取付板67に対して羽根部61を位置規制するものである。羽根押え板63は、羽根部61に沿って縁部が湾曲した長板状に形成されている。羽根押え版63の背面63bに、テフロン(登録商標)等の樹脂をコーティングすることもできる。背面63bに対するコーティング等の表面処理により背面63bでの食材の滑りを助長することができる。
各結合ピン64は、羽根取付板67の取付面67bと羽根部61の対向面61cとを合わせる方向に結合するものである。
各結合ピン64は、位置的に対応する貫通孔61b及び貫通孔67aにそれぞれ挿通されている。各結合ピン64の各括れ部64aは、羽根取付部59の羽根取付板67の背面から突出している。
なお、羽根押え板63は、各結合ピン64に応じて分割し独立に形成することもできる。羽根押え板63は、羽根部61の対向面61dを押さえることができればよく、その形状は、矩形状、円板状、楕円状等、自由に設定できる。羽根押え板63を独立した各結合ピン64の基部として各結合ピン64にフランジ状に構成することもできる。
結合ピン64は、先端側に前記括れ部64aを有している。括れ部64aは、頭部64b及び基部64cを同一の外径に形成し、頭部64b及び基部64c間の軸部64dを頭部64b及び基部64cの外径よりも小径に形成して構成した。
基部64cの軸方向の寸法は、羽根取付部59及び羽根部61の合計の板厚寸法よりも大きく設定されている。この設定により、図4で示す隙間Sを設定している。この場合の隙間Sは、取付面67bと対向面61cとの間の固定した隙間でないことは勿論である。
留め具65は、結合ピン64を着脱自在の取付により支持し、この結合ピン64により羽根部61を羽根取付板67に取り付ける。
留め具65は、ステンレス、樹脂などにより形成され、左右一対備えられている。この留め具65は、対称形状に形成され、それぞれ留め具65aと位置決め部65bとを一体的に有している。
留め具65aは、羽根取付板67の長手方向で左右2箇所の貫通孔67aに渡る寸法に形成されている。留め具65aには、挿入部65aaと嵌合部65abとが形成されている。挿入部65aaは、結合ピン64の頭部64b側を貫通させるものであり、結合ピン64の外形よりも若干大きな径に形成されている。嵌合部65abは、挿入部65aaに連続して留め具65aに沿って形成されている。
嵌合部65abは、結合ピン64を移動と共に軸方向に引き付ける形状に形成されている。挿入部65aaと嵌合部65abの奥側との間には、ガイド斜面65acが形成されている。
留め具65aを挿入部65aaにおいて結合ピン64に嵌合させ、留め具65aをスライドさせて嵌合部65abが結合ピン64の括れ部64aに嵌合するとき、結合ピン64の頭部64bがガイド斜面65acを乗り上げて移動する。このため、結合ピン64が留め具65a側へ軸方向に引き付けられる。この引き付け状態で前記図4の隙間Sが形成される。
なお、隙間Sが形成される限り、ガイド斜面65acを省き、頭部64bの乗り上げ移動を無くすこともできる。組み付け時の留め具65aのスライド方向は、一対の留め具65aが相互に接近する方向であるが、取付穴(65aa、65ab)の向きを逆向き、或いは上下何れかの向きとし、スライド方向を逆方向、或いは上下何れかの方向に設定することもできる。
結合ピン64が留め具65aに固定されると、結合ピン64が羽根取付板67に支持された状態となる。羽根取付板67の取付面67bと羽根押え板63の背面63bとの間で、羽根部61が組み付けられた状態となる。この組み付け状態において、羽根取付板67の前面の取付面67bに羽根部61の背面の対向面61cが対向する。
従って、羽根部61は、結合ピン64に対しピン軸方向、回転方向に相対的な動きが可能となっている。羽根部61が移動して羽根押え板63側に寄ると、羽根取付板67の前面の取付面67bと羽根部61の背面の対向面61cとの間に図4のように隙間Sが形成される。羽根部61が逆方向に移動して羽根取付板67側に寄ると、羽根押え板63の背面63bと羽根部61の前面の対向面61dとの間に隙間が形成される。
つまり、結合ピン64は、羽根取付板67の前面の取付面67bと羽根部61の背面の対向面61cとの対向配置に締結力を付与しない設定とし、羽根取付部59及び羽根部61間の締結力の無いことに起因した相対的なガタツキ動作を可能としている。
なお、羽根部61を結合ピン64に固定的に取り付け、軸部64dの軸長を、留め具65aの板厚よりも大きく設定して隙間Sの設定をする場合は、羽根取付板67と結合ピン64との嵌合間でピン軸方向に相対的な動きを可能とする。
図4の隙間Sは、前記のように羽根部61が羽根押え板63の背面63bに接している状態のものである。これに対し、羽根部61の背面の対向面61cと羽根取付板67の前面の取付面67bとの間、羽根部61の前面の対向面61dと羽根押え板63の背面63bとの間の双方に均一或は不均一の隙間が形成されることもある。
これらの隙間は、部材各間に平均で0.55mm、最低でも平均0.2mmの隙間を設定している。さらに、部材各間に平均で1.58mm、最低でも平均0.8mmの隙間を設定してもよい。加えて、部材各間に平均で2.08mmの隙間を設定することもある。
ここに、部材各間とは、本実施例において上記したように羽根部61と羽根取付板67と羽根押え板63との間を意味する。隙間の設定は、括れ部63での軸部61cの軸長の設定、羽根部61、羽根取付板67、羽根押え板63の板厚の設定の相互作用により行わせることができる。
なお、前記隙間の大きさは、少なくとも取付面67bと対向面61cとの間の端部内外で被撹拌物の置換を行わせることができるものであればよい。従って、結合ピン64は、羽根取付板67の前面の取付面67bと羽根部61の背面の対向面61cとの対向配置に締結力を付与しない設定としている構成であれば、取付面67bと対向面61cとの間に敢えて前記のように隙間を意識的に設定しなくてもよい。
この場合でも、取付面67bと対向面61cとの間に0.1mm程度の隙間は形成されるので、この隙間において、ボルトナット等による締結構造に比較して羽根取付部59及び羽根部61間の締結力の無いことに起因した相対的なガタツキ動作を可能とする。
つまり、ナックル部69及び突片部45ca間での取付ピン73に対する位置決め部65bのピン軸方向及び径方向でのガタツキ、括れ部64aでの結合ピン64及び留め具65間のピン軸方向及び径方向でのガタツキ、羽根取付板67に対する結合ピン64のピン軸方向及び径方向でのガタツキ、羽根取付板67及び羽根押え板63間での羽根部61のピン軸方向及び径方向でのガタツキの全てにより、或いは任意の組合せにより、羽根取付板67、留め具65、羽根部61、羽根押え板61、結合ピン64間の全て、或いは任意の組合せ間に相対的なガタツキ動作を可能とする。
なお、これらの相互間のガタツキは、全てを備える必要は無く、特定箇所にガタツキを形成することで、その箇所の相対動作を可能にすることもできる。
この相対動作により、取付面67b及び対向面61c間等が接近離反、或いは密着離反を繰り返し、取付面67bと対向面61cとの間等の呼吸動作的な相対動作により端部内外で取付面67bと対向面61cとの間筒と間外等との被撹拌物の置換を行わせることができる。
この場合、隙間Sの設定は、羽根取付部59及び羽根部61間の締結力の無いことに起因した呼吸動作的な相対動作を促進するものである。
さらには結合ピン64と貫通孔61bとの間の遊嵌により取付面67b及び対向面61c間が面方向へ相対動作し、被撹拌物の置換を促進する。なお、結合ピン64と貫通孔61bとの間の遊嵌は、着脱を可能にする程度であればよく、かかる程度でも、取付面67b及び対向面61c間が面方向への相対動作は起り、前記被撹拌物の置換を呼吸動作的な相対動作により促進する。但し、結合ピン64と貫通孔61bとの間の遊嵌を、着脱を可能にする程度以上のがたで設定し、面方向の相対動作を促進させることも可能である。
ここに、取付面67bと対向面61cとの間の端部内外とは、図4において、隙間Sの上端、下端、或は羽根部61の長手方向での隙間Sの左右端における隙間S内と隙間S外とを意味する。図4では、取付面67bと対向面61cとの間の端部が断面において羽根部61の上端と中間部とに形成されている。
従って、取付面67bが羽根取付板67の前面に部分的に形成され、或いは対向面61cが羽根部61の背面に部分的に形成された場合は、部分的な取付面67bと対向面61cとの間の端部、実施例では部分的な取付面67bと対向面61cとの間に形成される隙間の端縁部内外を意味する。
なお、留め具65の位置決め部65bは、留め具65aの端部にフランジ状に一体に形成され、挿通孔65baを備えている。留め具65aと位置決め部65bとの間は、捻り形成され、位置決め部65bが留め具65aに対して略直交する形態となっている。
挿通孔65baは、ナックル部69の軸穴69bよりも大径に形成され、後述の取付ピン73に遊嵌する形態となっている。なお、挿通孔65ba及び軸穴69bを同径にすることもできる。
各留め具65の位置決め部65bは、羽根取付部59のナックル部69両側に配置されている。位置決め部65bを備えたナックル部69が、二股部45cの突片部45ca間に配置されている。この配置により、留め具65の位置決め部65bが、二股部45cとナックル部69との間に配置された構成となる。
この配置状態で、突片部45caの結合穴と位置決め部65bの挿通孔65ba及びナックル部69の軸穴69bとに取付ピン73が挿通されている。この取付ピン73により掻取羽根39がブラケット部45に着脱自在に結合されている。
従って、掻取羽根39は、アーム37に対して取付ピン73により揺動自在となっている。
取付ピン73は、一端に頭部73aが形成され、他端にロック用のタブ73bが回転可能に結合されている。タブ73bを、取付ピン73に対し直状にし、突片部45ca及び位置決め部65b、ナックル部69を貫通させ、貫通後にタブ73bを回転させて図3のようなロック状態にする。タブ73bの回転の戻りは、例えば軸周りの摩擦力により規制される。作業者が、手により、或いは工具を介してタブ73bを摩擦力に抗して回転させ、取付ピン73に対し直状にして取り外すことができる。
[掻取羽根の分解]
掻取羽根39の分解に際しては、取付ピン73のタブ73bを直状にし、頭部73a側へ引き抜く。
ナックル部69を二股部45cから離脱させ、掻取羽根39を取り外す。
掻取羽根39の各留め具65を留め具65aにおいてスライドさせ、結合ピン64の括れ部64aに対し留め具65aを嵌合部65abに沿ってスライド移動させる。
このスライド移動により留め具65aの挿入部65aaを結合ピン64の括れ部64aに合わせる。
各留め具65を結合ピン64から離脱させ、羽根押え板63の固定を解除する。
各結合ピン64を貫通孔67a及び貫通孔61bから引き抜かせ、羽根部61から羽根押え板63を離脱させる。
従って、羽根部61の支持が無くなり、羽根部61を羽根取付部59の羽根取付板67から取り外すことができる。
この取り外し状態で、羽根部61、羽根押え板63及び結合ピン64、各留め具65を容易に洗浄することができる。
洗浄後は、上記とは逆の手順により掻取羽根39を再度二股部45cに容易に取り付けることができる。
従って、ボルトをスパナで緩め、或いは締結する煩雑な作業を伴わず、掻取羽根39の分解清掃を極めて容易に行わせることができる。
[掻取り撹拌作用]
本実施例では、被撹拌物として水分を含有した粘性の高い餡製造用材料を用いている。
材料を加熱撹拌する際には、予め撹拌容器3の割蓋31を取り外し、割蓋31を蓋収容部17に収容しておく。そして、開口した撹拌容器3の上方開口から材料を投入する。このとき、重量センサ23により投入材料の投入重量が検出される。
材料投入後は、割蓋31を撹拌容器3の上方開口に再び装着し、予めインストールされたプログラムで制御ボックス9により駆動モータ7を自動的に駆動制御する。かかる制御によって、撹拌ユニット5を所定の周期毎に正転、反転させる。例えば正転を3回転行わせた後、反転を3回転行わせ、水分蒸発により材料が目的重量となるまでこれを繰り返す。ただし、正転及び反転の回転数は材料、煮詰まり状態、混合状態などに応じて任意に設定することができ、例えば正転を2回転行わせた後、反転を2回転行わせることも可能である。正転のみの駆動もあり得る。
正転及び反転を所定周期毎に繰り返すと、逆方向の回転力によって材料が撹拌ユニット5と供回りするのを抑制又は解消することができ、材料を流動させることができる。
正転時(図2の矢印a方向が正転方向)には、撹拌ユニット5の掻取羽根39によって材料の掻き取りを行うことができる。
すなわち、掻取羽根39は、反転方向b側へ後傾しているため、正転方向aにおいて、掻取羽根39の羽根部61の下面と撹拌容器3の内周面との間の掻き取り作用のための角度が鋭角をなしながら摺動回転する。
このため、掻取羽根39は、材料を撹拌容器3の内周面から離反させるように掻き取り案内流動させる。従って、材料は、撹拌容器3の内周面で加熱された部分とその内側の加熱されていない部分とが混合されて全体として加熱撹拌が行われる。
また、正転時には、材料の抵抗によって掻取羽根39の羽根部61の羽根先縁61aが撹拌容器3の内周面に押し付けられるため、掻き取りを確実に行わせることができる。
正転時には、ブラケット部45の壁部45b下端と羽根取付部59のスペーサーパネル71との間に隙間が形成される。
反転時(図2の矢印b方向が反転方向)には、撹拌ユニット5の掻取羽根39によって材料の押し付けを行うことができる。
すなわち、掻取羽根39は、背面が材料から抵抗を受け、取付ピン73の回りに回転する。この回転は、壁部45b下端と羽根取付部59のスペーサーパネル71との間の隙間が無くなるまで行なわれる。
反転方向bでは、撹拌容器3の内周面上の材料が掻取羽根39と内周面との間の楔状の形状によってガイドされ、撹拌容器3の内周面側に向けて案内流動される。
流動した材料は、掻取羽根39によってガイドされながら羽根先縁61aと撹拌容器3の内周面との間の隙間に到達し、隙間において羽根部61の羽根先縁61aと撹拌容器3の内周面との間に入り込み撹拌容器3の内周面に対して押し付けられる。
羽根先縁61aと撹拌容器3の内周面との間の隙間に応じて材料が撹拌容器3の内周面に膜状又は層状に確実に塗り付けられる。
被撹拌物を掻取羽根39で撹拌容器3の内周面に塗りつける操作により、被撹拌物中に含まれるダマ状の物質を圧壊させることができる。このダマ状の物質の圧壊効果は、羽根先縁61aと撹拌容器3の内周面との隙間、つまり壁部45b下端と羽根取付部59のスペーサーパネル71との間の隙間を調節することで変えることができる。
塗り付けられた材料は、正転掻き取り時に内周面上に残留した材料に上塗りされた状態となる。この結果、残留材料には、上塗材料から水分移動が行われると共に上塗材料への熱移動が起こり、過熱が防止される。
[実施例1の効果]
本発明の実施例は、結合ピン64は、取付面67bと対向面61cとの対向間に締結力を付与せず、取付面67b及び対向面61c間の締結力の無いことに起因した相対的なガタツキ動作、つまり結合ピン64の軸方向への呼吸動作的な相対動作を可能とした。
これにより、取付面67bと対向面61cとの間と間外とで被撹拌物の移動を可能とし、取付面67bと対向面61cとの間の端部内外で被撹拌物の置換を行わせることができる。
また、結合ピン64の貫通孔61bに対する遊嵌により結合ピン64の軸交差方向での取付面67b及び対向面61c間の滑り方向の相対的なガタツキ動作を得ることもでき、取付面67b及び対向面61c間での被撹拌物の移動を促進させる。
特に、羽根取付板67と羽根部61との対向側の各面の全体をそれぞれフラットとし、対向側の各面に取付面67bと対向面61cとを各別に備える形態とした。
さらに、結合ピン64は、羽根取付板67と羽根部61とを、取付面67bと対向面61cとを合わせる方向に結合し、羽根部61を結合ピン64に対しピン軸方向に相対的な移動を可能とするように支持して取付面67bと対向面61cとの間に相対的なガタツキ動作を促進する隙間Sを形成可能とし、呼吸動作的な相対動作を行なわせる形態とした。
従って、正転時の掻取り移動時には、掻取羽根39の羽根部61が撹拌容器3から抵抗を受けるから背面の対向面61cが羽根取付板67の前面の取付面67bに当接するように羽根部61が移動する。
正転時でも、掻取羽根39が撹拌容器3に対し掻取り摺動から外れると羽根部61が撹拌容器3から受ける抵抗はなくなり、羽根部61が羽根取付板67と羽根押え板63との間でフリーとなる。この場合、被撹拌物からの抵抗、動作振動等により羽根部61が結合ピン64の軸方向に動き得る。この動きにより対向面61cと取付面67bとの間、羽根部61の前面の対向面61dと羽根押え板63の背面63bとの間に適時隙間が形成される。
このような隙間の形成により、掻取羽根39の分解洗浄を行わなくても撹拌製造中の隙間内外での被撹拌物の置換、或いは、製造作業後の隙間内外での置換洗浄が可能であり、分解洗浄の頻度を下げることができる。
反転時には、逆方向の力作用により対向面61dと背面63bとの間、対向面61cと取付面67bとの間に適時隙間が形成される。
このように撹拌駆動時には羽根部61が結合ピン64に対しランダムに移動して前記隙間がランダムに形成され、取付面67bと対向面61cとの間等の端部内外で被撹拌物の置換が行われる。
特に、掻取羽根39が上記のように正転と反転とを繰り返す場合、羽根取付板67と羽根押え板63との間で羽根部61が揺動する。このため、揺動の度に、羽根部61と羽根押え板63との間の隙間、羽根部61と羽根取付板67との間の隙間が増減し、隙間内の物質が強制的に入れ替わる。
従って、掻取羽根39が正転、反転を繰り返す場合には効果が大きくなり、掻取羽根39の分解洗浄を行わなくても撹拌製造中の隙間内外での被撹拌物の置換、或いは、製造後の隙間内外での置換洗浄が可能であり、分解洗浄の頻度を下げることができる。
あん煉りにおいては、掻取羽根39に長時間付着したあんが熱変質するとガリと呼ばれる塊が生成する。しかし、本実施例の掻取羽根39では、羽根取付板67と羽根部61との間等への付着物が徐々に置換されるため、ガリが発生しなくなる。
ここで、羽根取付板67と羽根押え板63との間の平均隙間を2.08mmに広くした掻取羽根と、同平均隙間0.55mmの掻取羽根とを同一の加熱攪拌装置(ニーダー)にセットして硬いあん煉りを行った。
平均隙間0.55mmではガリ(あんの熱劣化した塊)が生成し、平均隙間2.08mmではガリが生成しなかった。
試験条件は以下の通りである。
黄味あんのあん煉り例
・仕込み組成
白生あん 80kg
グラニュー糖 53.3kg
水飴 4kg(Brix85%)
20%加糖卵黄 10.7kg
マーガリン 1.1kg
・操作1〜12
1.内容積300Lのニーダー(特許4881967号)に前述の掻取り羽根を装着し、白生あん27
kg・グラニュ糖全量を入れ加熱溶解する。
2.ジャケット蒸気圧0.2MPa・撹拌正転3回/逆転3回とする。速度17r/min
3.蓋をして沸騰させる。品温100℃
4.沸騰したら、生あん27kgを加える。蓋をして再び沸騰させる。
5.沸騰したら、残りの生あん26kgを加える。ジャケット蒸気圧0.1MPaに変更する。
6.蓋をしないで、質量130kgになったらジャケット蒸気を切る。回転は継続。
7.水飴を加え品温75℃迄自然冷却する。
8.ケーキミキサーに上記煉あん10kgを入れ、フック攪拌子で攪拌しているところに卵黄
を少量ずつ加えて良く混合する。
9.ニーダーが非加熱状態のところに上記卵黄を加える。
*正逆回転中ロストルの上から左右均一に投入する。
10.卵黄が均一に混合されたら、蓋をしてジャケット蒸気0.1MPaで加熱する。
11. 品温70℃になったら、蓋を取り缶内の付着したあんをヘラで掻き取る。
12.質量124kg Brix69.5%で終了。マーガリンを加え混合。
なお、以上の試験は、ガリの発生に特化したものであり、隙間0.1mmであっても隙
間内外の置換は、被撹拌物の性状に応じて行われ、効果に問題はない。
羽根取付板67の前面や羽根部61の背面に段差があり、取付面67bや対向面61cが前面と背面とに部分的に形成される場合は、取付面67bと対向面61cとの間の隙間の端部に段差を直接対向させることなく、隙間の端部と段差との間に間隔をとり、隙間の端部を開放することが肝要である。
要は、取付面67bと対向面61cとの隙間Sにおいて、隙間の端縁部が隙間外に開放され、その開放が隙間Sの両側縁で行われ、袋にならない形態がよい。両側縁での開放とは、必ずしも羽根先縁61aと上面61eとの間の方向で直線的に位置する両側縁に限らない。交差方向での両側縁、例えば上面61eと羽根部61の長手方向端部との間の方向での両側縁でもよい。
この両側縁に隙間Sを有する限り、隙間Sを被攪拌物が移動可能であり、良好な置換が促進される。
図7、図8は、本発明の実施例2を示す。図7は、掻取羽根の取り付け状態での隙間を示す断面図である。図8は、掻取羽根の分解断面図である。なお、掻取羽根の基本的な構成は、実施例1と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明し、重複した説明は省略する。
図7、図8のように、本実施例2では、結合部として締結タイプの結合ピン64Aを採用した。
結合ピン64Aは、基部64cとボルトで形成された頭部64bとからなっている。基部64cは、雌ねじ部64caを有して羽根押え板63Aに一体に形成されている。基部64cの軸長は、羽根取付板67と羽根部61との合計の板厚よりも長く形成されている。
なお、羽根押え板63Aには、上縁部63c及び下縁部63dが傾斜面に形成されている。上縁部63cは、羽根部61の平坦な上面61eに至って連続的となっている。下縁部63dは、羽根部61の前面に至り、段差を緩和している。
基部64cが羽根部61の貫通孔61b及び羽根取付板67の貫通孔67aに挿通されて羽根押え板63が羽根部61の前面の対向面61dに対向する。基部64cの先端は、羽根取付板67の背面に臨む。
頭部64aの雄ねじ部64baを、基部64cの雌ねじ部64caに螺合させて締結する。
この締結により、羽根取付板67の取付面67bと羽根押え板63Aの背面63bとの間で、羽根部61が組み付けられた状態となる。この組み付け状態において、羽根取付板67の前面の取付面67bに羽根部61の背面の対向面61cが対向する。
従って、基部64cの軸長の前記のような設定により、羽根部61は、結合ピン64Aに対しピン軸方向に相対的な移動が可能となっている。羽根部61が移動して羽根押え板63A側に寄ると、羽根取付板67の前面の取付面67bと羽根部61の背面の対向面61cとの間に図7のように隙間Sが形成される。羽根部61が逆方向に移動して羽根取付板67側に寄ると、羽根押え板63Aの背面63bと羽根部61の前面の対向面61dとの間に隙間が形成される。
つまり、結合ピン64Aは、羽根取付板67の前面の取付面67bと羽根部61の背面の対向面61cとの対向配置に締結力を付与しない設定とし、羽根取付部59及び羽根部61間の締結力が無いことに起因した相対的なガタツキ動作を可能としている。
本実施例でも、羽根部61の支持により、実施例1と同様に羽根取付板67の前面の取付面67bと羽根部61の背面の対向面61cとの間に隙間Sを形成可能とした。
その他、実施例1と同様である。
従って、本実施例においても、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
図9〜図15は、実施例3に係る。図9は、加熱撹拌装置の要部縦断面図である。図10は、掻取羽根の取り付け状態での隙間を示す断面図である。図11は、羽根アームに対する掻取羽根の結合を示す要部拡大背面図である。図12は、掻取羽根の取り付けを示す一部を断面にした分解側面図である。図13は、羽根取付部の拡大背面図である。図14は、ストッパーの拡大背面図である。図15は、掻取羽根の組上げ手順を示す図表である。
[加熱撹拌装置]
図9は、本発明実施例3に係る加熱攪拌装置の要部縦断面図である。
加熱攪拌装置101は、撹拌装置の一例であり、本発明の掻取羽根の構造を適用する縦軸型である。この加熱攪拌装置101は、流動性のある被撹拌物の加熱撹拌等に用いられ、特に、含水粉体やあん等の粉体或いは固体などの流動性の乏しい被撹拌物質、又は塑性流動する物質等の加熱撹拌に好適に用いられる。ただし、流動性の良い被撹拌物に適用してもよい。
加熱攪拌装置101は、撹拌容器として攪拌容器103を備えている。攪拌容器103は、実施例の被撹拌物としてあんなどの食材を収容し加熱するものである。
攪拌容器103は、鉄、銅、ステンレス、又は銅とステンレスの張り合わせ鋼板等の材質をもって、底面が曲面状又は半円状等に成形されている。攪拌容器103は、ガス、電気、又はその底部外周を覆う蒸気室SRに供給される蒸気などの適宜の加熱手段によって加熱可能に構成されている。
攪拌容器103の上方には、筐体カバー105によって覆われた駆動機構106が設けられている。駆動機構106は、モータMの回転駆動力を減速する減速機107を備えている。この減速機107の出力軸108に固定されたチェーンスプロケット109に無端チェーン110が掛けられ、無端チェーン110が太陽軸111のチェーンスプロケット113に噛合されている。
太陽軸111の下端部には太陽歯車115が固定され、遊星軸117の先端部に取付けた遊星歯車119と噛合されている。
遊星軸117は、太陽軸111に固定された回動ケース121に回転自在に支持されている。回転軸である攪拌駆動軸123は、遊星軸117と軸線を一致させている。この攪拌駆動軸123は、連結機構124によって取り外し自在に連結されている。攪拌駆動軸123は、斜め上方から攪拌容器103内に向けて傾斜して配設されている。具体的には、遊星軸117は、鉛直方向に対して所定の傾斜角度を持って配設されている。攪拌駆動軸123の傾斜角度は、好ましくは15〜25度だけ傾斜配置されている。
攪拌駆動軸123は、後述する第1、第2の掻取羽根125,127の羽根先縁145a、147aを攪拌容器103の内面に付勢するためのコイルスプリングが内装されている。このコイルスプリングによりベアリングやローラ等を介して摺動自在に嵌合される中空軸管123aを攪拌駆動軸123は備えている。
中空軸管123aの下端部には、二股の連結部170が備えられている。この連結部170に、羽根アーム129が連結支持されている。この羽根アーム129の連結支持は、枢支用の結合ピン130によって連結部170に対する枢支となっている。この枢支点をもって羽根アーム129は、連結部170に対してシーソーのように揺動自在となっている。
羽根アーム129は、攪拌駆動軸123における軸回り方向の回動が規制されている。従って、攪拌駆動軸123が軸回り方向に回転すると、これに連れて羽根アーム129が旋回動作するように構成されている。
[第1の掻取羽根の構造]
図10は、掻取羽根の取り付けを示す要部拡大断面図である。図11は、羽根アームに対する掻取羽根の結合を示す要部拡大背面図である。図12は、掻取羽根の取り付けを示す一部を断面にした分解側面図である。図13は、羽根取付部の拡大背面図である。図14は、ストッパーの拡大背面図である。
第1、第2の掻取羽根125,127の構造は、ほぼ同一である。但し、第1、第2の羽根部145、147の大きさの相違により第1、第2の取付金具141、143の形状は若干異なる。図10では、第1の羽根アーム133に対する第1の掻取羽根125の取り付け構造を説明し、第2の掻取羽根127の取り付け構造は、第1の掻取羽根125の取り付け構造との相違について説明し、重複した説明は省略する。
図10〜図12のように、第1の掻取羽根125は、第1の羽根部145を第1の羽根取付部149に取り付ける構造である。
第1の羽根部145は、第1の羽根アーム133の正転方向前方に鈍角となる所定の角度、例えば、95度(鉛直方向に対して5度)〜160度(鉛直方向に対して70度)、好ましくは115度(鉛直方向に対して25度)〜125度(鉛直方向に対して35度)の範囲のスクイ角βを形成するように傾斜配置されている。
第1の羽根取付部149は、第1の取付金具141の構成部材である。第1の取付金具141は、第1の羽根取付部149と第1の羽根押え板151とストッパー153とストッパーカラー155とを備えている。
前記第1の羽根取付部149は、羽根取付板156及び取付結合部としての取付軸部157が一体に形成されている。羽根取付板156は、第1の羽根取付部149と第1の羽根部145との他方側として第1の羽根取付部149に備えられている。この羽根取付板156は、第1の羽根部145を一側面に取り付けるものであり取付軸部157の軸心に対し傾斜している。この傾斜により前記スクイ角βが設定されている。
図10〜図13のように、前記羽根取付板156は、矩形板で形成されている。羽根取付板156の上縁部156aは、第1の羽根部145の取り付け状態で上縁部145bと面一の平面を形成する。但し、上縁部156a、145b相互が連続的な形態をとる限り、必ずしも平面である必要は無く、曲面などで形成することもできる。要は、上縁部156a、145b間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる形状であればよい。また、第1の羽根部145の背面に対して湾曲した連続形状に形成するなどして、上縁部156aを上縁部145bよりも下方の位置とし、又は逆の関係にすることもできる。さらに、上縁部156a、145b間に段差を許容する形態もあり得る。
なお、この場合の上下とは、第1の掻取羽根125を羽根先縁145aが下になるように重力方向の上下に向けて見た上下を意味し、左右とは第1の羽根部145を同重力方向の上下に向けて正面から見た左右を意味する。前面とは、第1の羽根部145の正転方向での前面を意味する。
羽根取付板156の下縁部156bは、斜面となっている。斜面は、第1の羽根部145に向かって下降傾斜し、第1の羽根部145の裏面に連続するような形状となっている。この斜面により羽根取付板156の下縁部156bと第1の羽根部145の背面との間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる。但し、下縁部156bは、斜面を有さない形態もあり得る。
羽根取付板156は、板厚の厚み方向に貫通した取付穴159を穴部として有している。取付穴159は、羽根取付板156の下部両側に一対が対称に配置されている。取付穴159は、挿入部159a及び嵌合部159bを備えている。嵌合部159bの外側周囲で、羽根取付板156の背面が結合ピン161の頭部161aを係合させ得る係止縁部となる。
つまり、穴部である取付穴159は、係合部である頭部161aを係合させ得る係止縁部を外側に有して羽根取付部である第1の羽根取付部149側に備えられた構成となっている。
挿入部159aは、ほぼ円形に形成され、後述する結合ピン161を挿通させる大きさを備えている。嵌合部159bは、挿入部159aよりも幅狭で前記挿入部159aに連続して形成されている。嵌合部159bは、羽根先縁145aの反対方向の上方へ延びるように形成されている。嵌合部159bの幅は、後述する結合ピン161の括れ部163を嵌合させて抜け止めを行なう程度である。嵌合部159bの上端は、結合ピン161の括れ部163の軸径に応じて半円状に形成されている。
取付穴159は、第1の羽根取付部149の背面側で嵌合部159bの外側に第1の羽根取付部149の背面で構成した係止縁部を有している。係止縁部は、嵌合部159bに嵌合する結合ピン161の頭部161aを係止可能に対向させ、頭部161aが係合し得る形態である。
つまり、本実施例では、第1の羽根取付部149と第1の羽根部145との一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作は、第1の羽根部145を挟んだ羽根取付板156及び第1の羽根押え板151間で行ない、結合ピン161を嵌合部159bに嵌合させ、頭部161aを嵌合部159bの縁部に係合させる構成となる。
第1の羽根押え板151の位置ずれ動作は、第1の羽根部145の羽根先縁145aが攪拌容器103側に接することで戻りが規制される。この位置規制は、結合ピン161の軸部161cが取付穴169の嵌合部159bで移動する範囲で行われ、結合ピン161が取付穴169から外れない程度に行なわれる。 前記取付軸部157は、前記第1のリング状部137と共に回転軸側である攪拌駆動軸123への支持を行なう構成である。取付軸部157は、第1のリング状部137に挿入嵌合されて軸周りに相対回転が可能となっている。
取付軸部157は、第1の羽根取付部149の背面で取付穴159間の中央のやや上側に配置されている。取付軸部157は、段付き状に形成され、先端部157a、中間部157b、基部157cを備えている。
前記先端部157aは、平板状に形成されている。先端部157aの両縁部は、凸部としてキー状部157aaとなっている。キー状部157aaは、キー溝状部に合うキー状に軸方向に沿った形状である。
キー状部157aaの対向配置の方向は、第1の羽根アーム133への第1の掻取羽根125の取付状態で例えば重力方向である。
第1の掻取羽根125を第1の羽根アーム133へ取り付ける際には、キー状部157aaをキー溝状部137bに合わせて嵌合させ、キー状部157aaをキー溝状部137bに沿って移動させることになる。
従って、前記取付軸部157は、外周面の軸方向端部側に前記凹部であるキー溝状部137bに嵌合しつつキー溝状部137bに沿って移動可能な凸部であるキー状部157aaを備えている。
なお、キー溝状部137b、キー状部157aaは、軸対称に形成する必要は無く、径方向の一方側のみに形成し、或いは3方、十字等に配置形成することもできる。
先端部157aは、取付軸部157の軸方向端部であるが、先端部157aをキー状部157aaの部分よりもさらに突出形成することは自由である。この意味でキー状部157aaは、取付軸部157の外周面の軸方向端部側に備えた構成となる。先端部157aを円形断面としその外周にキー状部157aaを形成することもできる。
前記中間部157bは、外周径が取付孔137aの内周径とほぼ同一に形成され、且つ相対回転が可能となっている。中間部157bの軸長は、リング状部137の軸長とほぼ同一に設定されている。
前記基部157cは、外周径が取付孔137aの内周径よりも大きく形成されている。基部157cが、第1のリング状部137の一端面に当接した状態で、キー状部157aaが第1のリング状部137の他端面に突出する。取付軸部157が第1のリング状部137に対して相対回転するとキー状部157aaが第1のリング状部137の他端面に対向し、或は密接して軸方向に係合する。
前記キー溝状部137b及びキー状部157aaを着脱機構部として取付軸部157を取付孔137aに挿通させてキー状部157aaがキー溝状部137bを通過した位置で取付軸部157を取付孔137aに対し軸回りに相対回転させキー状部157aaのキー溝状部137bに対する回転方向の位置をずらすように手動の着脱を行う構成となる。
つまり、取付受部である第1のリング状部137と取付結合部である取付軸部157との間に、取付軸部157を第1のリング状部137に手動で着脱する着脱機構部を備えた構成となる。
こうして、前記羽根取付部である第1の羽根取付部149は、前記回転軸である攪拌駆動軸123側への支持を、取付受部である第1のリング状部137及び取付結合部である取付軸部157で行なう。
前記第1の羽根部145は、前記取付穴159に対向し得る一対の貫通孔145cを有
している。貫通孔145cは、後述の結合ピン161を挿通させる大きさで形成されている。つまり、取付穴159の挿入部159aの径よりも僅かに小さな径に形成されている。なお、貫通孔145cの径は、挿入部159aよりも大きく形成することができる。この場合、貫通孔145cの部分に嵌合する結合ピン161の根元部の径は、貫通孔145cの径に応じて拡大することになる。
前記第1の羽根押え板151は、第1の羽根部145を前記羽根取付部である第1の羽根取付部149に対し挟んで取り付けるための羽根押え部材である。第1の羽根押え板151は、第1の羽根取付部149と第1の羽根部145との一方側として第1の羽根部145側に備えられている。
前記第1の羽根押え板151は、第1の羽根取付部149の羽根取付板156と同形状に形成されている。第1の羽根部145を第1の羽根押え板151及び第1の羽根取付部149により挟むことができる。但し、第1の羽根押え板151及び第1の羽根取付部149は、第1の羽根部145を挟むことができればよく、必ずしも同形状である必要はない。
第1の羽根押え板151の上縁部151a、下縁部151bは、斜面となっている。上縁部151aは、第1の羽根部145の上縁部145bに向かって傾斜し、下縁部151bは、第1の羽根部145の前面に向かって傾斜している。
上縁部151aは、第1の羽根部145の上縁部145bに達し、形状的に連続している。かかる形状により上縁部151a、145b間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる。但し、上縁部151a、145b間に段差が形成される形態もあり得る。
下縁部151bの斜面によっても第1の羽根押え板151と第1の羽根部145の前面との間の段差形状が緩和され、食材の残留を抑制できる。但し、下縁部151bは、斜面を有さない形態もあり得る。
なお、この場合の上下、左右の方向の意義については上記した通りである。
第1の羽根押え板151は、結合ピン161を一体的に備えている。結合ピン161は、貫通孔145c及び取付穴159に対応して一対備えられている。但し、結合ピン161を単一で構成することもできる。この場合、第1の羽根押え板151に代えて、基部161bにフランジ等を形成することになる。
結合ピン161は、先端側に括れ部163を有している。括れ部163は、頭部161a及び基部161bを同一の外径に形成し、頭部161a及び基部161b間の軸部161cを頭部161a及び基部161bの外径よりも小径に形成して構成した。
軸部161cの径は、嵌合部159bの幅と同等に形成されている。頭部161a及び基部161bの外径は、貫通孔145cとほぼ同径に形成され、結合ピン161を貫通孔145cに挿通できるようになっている。結合ピン161は、貫通孔145cに挿通され、第1の羽根部145から括れ部163及び頭部161aが突出する。
軸部161cの軸長は、第1の羽根取付部149の板厚寸法よりも大きく設定されている。この設定により、後述の隙間Sを設定している。
そして、結合ピン161を貫通孔145cから挿入部159aに挿通させて第1の羽根部145を第1の羽根取付部149に対し第1の羽根押え板151で挟んでいる。第1の羽根部145が第1の羽根取付部149に沿って羽根先縁145aの反対方向へ相対移動されており、結合ピン161の括れ部163が嵌合部159bに嵌合している。この嵌合により、頭部161aが嵌合部159bの外側で係止縁部に対向している。
この組み付け状態において、羽根取付板156の前面の取付面156bに第1の羽根部145の背面の対向面145dが対向する。
従って、第1の羽根部145は、結合ピン161と共に、或いは結合ピン161に対しピン軸方向に移動することで羽根取付板156に対する相対的な移動が可能となっている。第1の羽根部145が移動して第1の羽根押え板151側に寄ると、羽根取付板156の前面の取付面156cと第1の羽根部145の背面の対向面145dとの間に図10のように隙間Sが形成される。第1の羽根部145が逆方向に移動して羽根取付板156側に寄ると、第1の羽根押え板151の背面151cと第1の羽根部145の前面の対向面145eとの間に隙間が形成される。
つまり、結合ピン161は、羽根取付板156の前面の取付面156cと第1の羽根部145の背面の対向面145dとの対向配置に締結力を付与しない設定としている。
図10の隙間Sは、前記のように第1の羽根部145が第1の羽根押え板151の背面
151cに接している状態のものである。これに対し、第1の羽根部145の背面の対向面145dと羽根取付板156の前面の取付面156cとの間、第1の羽根部145の前面の対向面145eと第1の羽根押え板151の背面151cとの間の双方に均一或は不均一の隙間が形成されることもある。
これらの隙間は、部材各間に平均で0.55mm、最低でも平均0.2mmの隙間を設定している。さらに、部材各間に平均で1.58mm、最低でも平均0.8mmの隙間を設定してもよい。加えて、部材各間に平均で2.08mmの隙間を設定することもある。
ここに、部材各間とは、本実施例において上記したように第1の羽根部145と羽根取付板156と第1の羽根押え板151との間を意味する。隙間の設定は、括れ部163での軸部161cの軸長の設定、第1の羽根部145、羽根取付板156、第1の羽根押え板151の板厚の設定の相互作用により行わせることができる。
なお、前記隙間の大きさは、少なくとも取付面156cと対向面145dとの間の端部内外で被撹拌物の置換を行わせることができるものであればよい。従って、結合ピン161は、羽根取付板156の前面の取付面156cと第1の羽根部145の背面の対向面145dとの対向配置に締結力を付与しない設定としている構成であれば、取付面156cと対向面145dとの間に敢えて前記のように隙間を設定しなくとも、0.1mm程度の隙間は形成される。この0.1mm程度の隙間においても取付面156cと対向面145dとの間の隙間の端部内外で被撹拌物の置換を被攪拌物の性状に応じて行わせることがで
きる。
ここに、取付面156cと対向面145dとの間の端部内外とは、図10において、隙間Sの上端、下端、或は第1の羽根部145の長手方向での隙間Sの左右端における隙間S内と隙間S外とを意味する。
なお、図10、図12、図14のように、ストッパー153が設けられ、結合ピン161の挿入部159a側への移動を阻止している。但し、第1の羽根部145の羽根先縁145aは、攪拌容器103の内面に摺接し、下方への移動が阻止されているので、第1の羽根部145が掻取動作するとき結合ピン161の括れ部163が嵌合部159bに嵌合する状態を維持させることができる。このため、ストッパー153は、必須ではない。
前記ストッパー153は、第1の羽根取付部149の羽根取付板156と同様な形状の板材で形成されている。ストッパー153は、基部嵌合孔153aと頭部嵌合孔53bとを備えている。
基部嵌合孔153aの径は、第1の羽根取付部149の取付軸部157に対応して取付軸部157の基部157cとほぼ同径に形成されている。基部嵌合孔153aは、ストッパー153の中央に配置形成されている。頭部嵌合孔53bは、羽根取付板156の取付穴159の嵌合部159bに対応し、基部嵌合孔153aの両側でやや下方に一対形成されている。
基部嵌合孔153aは、基部157cに嵌合し、ストッパー153が羽根取付板156の背面に接合する。この接合で頭部嵌合孔53bは、嵌合部159bに嵌合している結合ピン161の頭部161aに嵌合し、頭部161aを係止する。
ストッパー153の上縁部153c、下縁部153dは、斜面となっている。下縁部153dの斜面は、羽根取付板156の下縁部156bの斜面にほぼ連続する形状となっている。かかる形状により下縁部153d、156b間に段差が形成されること無く、食材の残留を抑制できる。
前記ストッパーカラー155は、第1のリング状部137とストッパー153との間に介設される部材である。ストッパーカラー155は、円筒状であり、前端に斜面155aが形成されている。
ストッパーカラー155の内径は、取付軸部157の基部157cとほぼ同径に形成されている。ストッパーカラー155は、取付軸部157の基部157cに着脱自在に嵌合している。ストッパーカラー155は、取付軸部157に嵌合しつつ第1のリング状部137とストッパー153との間に介在し、斜面155aがストッパー153に接合する。
[組み上げ]
図15は、第1の掻取羽根125の組上げ手順を示す図表である。
図15は、側面側、背面側双方での組上げ手順をA〜Dに示した。なお、図15に無い符号は、図10等を適宜参照する。
手順Aでは、矢印1、2のように第1の羽根部145及び第1の羽根押え板151を相互に組み付け動作をさせる。
この動作により、第1の羽根部145の前面に第1の羽根押え板151を合わせ、前記のように結合ピン161を貫通孔145cに挿通させ、第1の羽根部145の背面から括れ部163を突出させる。
次いで、矢印3のように第1の羽根部145及び第1の羽根押え板151と第1の羽根取付部149とを相互に組み付け動作をさせる。
この動作により第1の羽根部145の背面に、第1の羽根取付部149の羽根取付板156の前面を合わる。この合わせにより、前記のように結合ピン161の括れ部163を羽根取付板156の取付穴159において挿入部59に挿通させ、頭部161aを挿入部59外で羽根取付板156の背面に突出させる。第1の羽根部145を第1の羽根取付部149に対し第1の羽根押え板151で挟む状態とする。
手順Bでは、矢印4のように第1の羽根部145及び第1の羽根押え板151と第1の羽根取付部149とを相互に組み付け動作をさせる。
この動作により、第1の羽根部145が第1の羽根取付部149と第1の羽根押え板151とにより挟まれた状態で、第1の羽根部145が第1の羽根取付部149に沿って羽根先縁145aの反対方向へ相対移動され、前記のように括れ部163が嵌合部159bに嵌合する。この嵌合により結合ピン161の頭部161aが嵌合部159bの外側で係止縁部に係合可能に対向する。この対向は、攪拌駆動軸123の駆動による第1の羽根部145の動作時に第1の羽根部145に働く力により維持される。
つまり、第1の羽根部145が撹拌容器103の底部を掻取り摺動するとき、撹拌駆同軸23のコイルスプリングにより撹拌容器103に向けて付勢される。この場合、羽根先縁145aが撹拌容器103の底部に当接するから反力を受ける。
この力により第1の羽根部145の下方への移動が阻止される。この移動阻止により結合ピン161が嵌合部159bに位置決められ、係止縁部に対する頭部161aの対向を維持させることができる。
従って、攪拌駆動時に第1の羽根部145が脱落することは無い。
攪拌駆動軸123の静止時においても、撹拌容器103の底部に対し第1の羽根部145が下方への移動が阻止されるから同様に係止縁部に対する頭部161aの対向を維持させることができる。
この嵌合状態では、第1の羽根部145の背面の対向面145dと第1の羽根取付部149の羽根取付板156の取付面156cとが対向し、羽根取付板156の背面で嵌合孔159b周囲の係止縁部に押え結合ピン161の頭部161aが対向する。
手順Cでは、矢印dのように取付軸部157に対しストッパー153を組み付け動作させる。
この動作により、前記のようにストッパー153の基部嵌合孔153aを取付軸部157の基部157cに嵌合させる。同時にストッパー153の頭部嵌合孔53bを嵌合部159bに嵌合している結合ピン161の頭部161aに嵌合させ、頭部161aを係止する。この状態でストッパー153が羽根取付板156の背面に接合する。
手順Dでは、矢印eのように取付軸部157に対しストッパーカラー155を組み付け動作させる。
この動作により、ストッパー153の基部嵌合孔153aを取付軸部157の基部157cに嵌合させる。
かかる第1の掻取羽根125の組上げ後、取付軸部157を第1のリング状部137に挿通させて第1の掻取羽根125を第1のアーム133に取り付ける。
この取付では、取付軸部157のキー状部157aaを取付孔137aのキー溝状部137bに合わせる。この合わせでは、第1の掻取羽根125を取付状態からほぼ90度回転させるように配置し、キー状部157aaをキー溝状部137bに対向させる。
次いで、取付軸部157を取付孔137aに挿通させてキー状部157aaがキー溝状部137bを通過するまで押し込む。
キー状部157aaがキー溝状部137bを通過した位置で取付軸部157を取付孔137aに対し軸回りに相対回転させる。
この実施例では、第1の掻取羽根125の回転位置をほぼ90度戻すことになる。
この回転の戻しにより、キー状部157aaのキー溝状部137bに対する回転方向の位置がずれる。
この位置ずれにより、第1のリング状部137の一端にストッパーカラー155の後端が対向し、キー状部157aaは、第1のリング状部137の他端に係合する。第1のリング状部137の一端とストッパーカラー155の後端との間、キー状部157aaと第1のリング状部137の他端との間は、相互に密接し、或いは多少の隙間を持って対向する。この対向により第1の掻取羽根125を第1のアーム133に相対回転可能に取り付ける。
取り付け状態で水平方向のキー溝状部137bに対してキー状部157aaは垂直方向に向き90度位置がずれる。第1のリング状部137に対する第1の掻取羽根125の揺動範囲が90度を下回っていれば、第1のリング状部137の他端に対するキー状部157aaの係合を維持することができ、第1の掻取羽根125が第1のリング状部137から脱落することはない。
第1の掻取羽根125を第1のアーム133に相対回転不能に取り付ける場合は、第1のリング状部137の他端面に回転方向のカム作用を行わせる斜面を形成し、第1の掻取羽根125を第1のアーム133に締結固定することもできる。
この場合、前記第1の掻取羽根125の回転の戻しによりキー状部157aaの端部が第1のリング状部137の他端面の斜面に回転方向で乗り上げる形態となる。
なお、第1のリング状部137の端面とストッパーカラー155の後端との間、キー状部157aaと第1のリング状部137の端面との間に、平均0.55mm、最低でも0.2mm等の隙間を設定することもできる。
[第2の掻取羽根の構造]
図9のように、前記第2の掻取羽根127の第2の羽根部147は、前記のように第1の掻取羽根125の第1の羽根部145よりも大きく形状も異なる。このため、第2の取付金具143の第2の羽根取付部及び第2の羽根押え板167が、第2の羽根部147に応じた大きさ及び形状に設定されている。
前記第2の羽根部147は、攪拌容器103の底部外周側及び側部間を掻き取るように大きさ及び形状が設定されている。第2の羽根取付部165の羽根取付板169は、第2の羽根部147の上縁部147bに沿った大きさ及び形状に形成されている。羽根取付板169は、第1の羽根取付部149の羽根取付板156に対し一側に延長され且つ上方に屈曲した大きさ形状となっている。第2の羽根取付部165の羽根取付板169の延長した部分の端部側に取付穴159が追加して設けられている。
前記第2の羽根押え板167は、第2の羽根部147を挟んで羽根取付板169に対し対称形状に形成されている。第2の羽根押え板167には、羽根取付板169の端部側に追加して設けられた取付穴159に応じて結合ピン161が追加して設けられている。
従って、第2の掻取羽根127においては、第1の掻取羽根125に比較し第2の羽根部147の追加した取付穴159及び結合ピン161での結合が上記同様に行われ、合計3か所での結合となっている。なお、取付穴159及び結合ピン161での結合は、さらに追加することもできる。
第2の掻取羽根127において、ストッパー等、その他の構造、第2のアーム135への取り付けは、第1の掻取羽根125と同様である。
従って、第2の掻取羽根127の組上げ及び第2のアーム135への取り付けは、第1の掻取羽根125とほぼ同様に行わせることができる。
そして、本実施例においても、第2の羽根部147の対向面と第2の羽根取付部165の羽根取付板169の取付面と第1の羽根押え板151の対向面との間の隙間を第1の掻取羽根125とほぼ同様に設定することができる。
[加熱攪拌装置の動作]
次に、本発明実施例に係る加熱攪拌装置の動作について説明する。
調理対象となるあんなどの食材(被撹拌物)を攪拌容器103内に投入しておき、ガス、電気、電磁誘導、蒸気等の加熱手段によって攪拌容器103を加熱しつつ、駆動制御部からの駆動制御信号(正転指令)に従ってモータMを駆動させる。
モータMを駆動により、減速機107、出力軸108、チェーンスプロケット109、無端チェーン110、チェーンスプロケット113を介してその回転駆動力が太陽軸111に伝達される。
太陽軸111の駆動力は、太陽軸111の太陽歯車115及び回転ケース21に伝達され、太陽歯車115の外周に噛合した遊星歯車119及び遊星軸117が、公転及び自転を繰り返しながら、遊星軸117の下端に連結された攪拌駆動軸123を正転方向に回転駆動する。
これにより、攪拌駆動軸123の下端部の羽根アーム129を介して第1、第2の掻取羽根125,127が図10の矢印aの正転方向に公転しながら自転も伴って攪拌容器103内を移動し、攪拌容器103内の食材を加熱下で掻取攪拌混合する。
かかる正転方向での食材の掻取攪拌混合時は、食材が第1、第2の掻取羽根125,127に沿って上方へ滑りながら移動し、第1、第2の掻取羽根125,127を乗り越える。
このとき、特許文献1の攪拌調理装置では、羽根アームが羽根部の直上に並設配置されているのに対し、実施例では、第1、第2のアーム133、35が傾斜配置されている。このため、実施例では、食材が第1、第2の掻取羽根125,127を上方へ滑りながら移動し、第1、第2の掻取羽根125,127を乗り越える挙動を円滑に行なわせることができる。
つまり、特許文献1の攪拌調理装置では、食材が掻取羽根を乗り越えようとするときに、羽根アームが乗り越えを妨げるのに対し、実施例では、第1、第2の羽根部145、147の上縁部145b、147b上の空間が開放されているから、食材の乗り越えを妨げることが抑制されている。
このため、第1、第2の掻取羽根125,127に対する食材の供回り抑制の効果も促進させることができる。
また、第1、第2の掻取羽根125,127の各々が、図10のように、正転方向前方に鈍角となる所定のスクイ角βを持っているので、食材を掻き取り上縁に向けてすくい上げながら前記食材の乗り越えを円滑に行なわせる。
一方、駆動制御部からの駆動制御信号(反転指令)に従ってモータMが反転方向に駆動されると、第1、第2の掻取羽根125,127が図10の矢印bの反転方向に公転しながら自転も伴って攪拌容器103内を移動し、攪拌容器103内の食材を加熱下で攪拌混合する。
かかる反転回動時では、スクイ角βによって、正転回動時とは逆に、第1、第2の掻取羽根125,127の反転移動に伴って食材が第1、第2の掻取羽根125,127の下縁部145a、147a下へ潜り込もうとする。
このため、中空軸管123aを介した第1、第2の掻取羽根125,127の弾接により、正転回動時に攪拌容器103の底部に薄く残存した食材の上に水分をより多く含んだ食材が擦り付けられる。この擦り付けにより残存した食材と擦り付けられた食材との間で水分の伝達が行われる。
そして、モータMを再び正転させると、反転時に擦り付けられた食材が、その下の残存食材と共に掻き取られ、攪拌容器103への焦げ付きを防止することができる。
そして、本実施例においても、かかる動作において、取付面156cと対向面145dとの間等の端部内外で被撹拌物の置換を行わせることができ、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
結合ピン161の基部161bと貫通孔145cとの遊嵌により、取付面156cと対向面145dとを滑り方向に相対にガタツキ動作を行なわせて被撹拌物の移動を促進させることができるのも上記同様である。
なお、正転時には、第1、第2の掻取羽根125,127が撹拌容器3から受ける抵抗がなくなることはない。この点で実施例1の掻取羽根39とは若干挙動は異なる。
本実施例では、公転自転駆動により第1、第2の羽根部145、147が被攪拌物からランダムな攪拌抵抗を受けるため、正転時でも取付面156cと対向面145dとの間等の隙間が変化し、同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施例では、第1、第2の羽根部145、147が第1、第2の羽根取付部149、165の羽根取付板156、169に対して上下方向に若干滑り移動可能であるから、取付面156cと対向面145dとの間等の端部内外で被撹拌物の置換を促進することができる。
図16は、実施例4に係り、羽根部と羽根取付部との一部を断面にした分解断面図である。なお、掻取羽根の基本的な構成は、実施例3と同様であり、対応する構成部分には同符号を付して説明し、重複した説明は省略する。なお、基本的な構造は、実施例3の図10等と同様であり、対応する部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。また、第1、第2の掻取羽根の相違については、実施例1と同様であり、第1の掻取羽根について説明する。
図16のように、本実施例4の第1の掻取羽根125Bは、羽根押え板を有さず、結合ピン161Bが第1の羽根部145Bと一体に設けられ、羽根部に結合ピンを備えた構成となっている。結合ピン161Bの基部161bと第1の羽根部145Bの前面及び背面とは、ほぼ面一に設定されている。結合ピン161Bの基部161bが、第1の羽根部145Bの貫通孔145cを貫通し、且つ一体に固定されている。軸部161cの軸長の設定は、実施例3と同様に行なわれている。
組上げに際しては、第1の羽根部145Bを第1の羽根取付部149に重ねるようにして結合ピン161Bを挿入部159aに挿通させる。この挿通により結合ピン161Bの頭部161aを第1の羽根取付部149の羽根取付板156から突出させ、第1の羽根部145Bを羽根取付板156に合わせる。そして、第1の羽根部145Bを羽根取付板156に沿って羽根先縁145aの反対方向へ相対移動させ結合ピン161Bを嵌合部159bに嵌合させる。
ストッパー153、ストッパーカラー155等の構造は、実施例3同様である。
そして、組み上げ状態では、羽根取付板156の前面の取付面156cと第1の羽根部145Bの背面の対向面145dとの間に図10と同様の隙間が形成される。
第2の掻取羽根についても実施例1で説明した関係において第1の掻取羽根125Bと同様である。
従って、本実施例においても、実施例3と同様な作用効果を奏することができる。しかも、部品点数が少なく、組み付け、分解、部品管理とを極めて容易とする。
図17〜図22は、実施例5に係る。図17は、掻取羽根の取付けを示す一部を断面にした要部拡大側面図である。図18は、掻取羽根の取り付けを示す正面図である。図19は、掻取羽根の一部を断面にした分解側面図である。図20は、掻取羽根の分解斜視図である。図21は、羽根押え板のスライド前の状態を示す掻取羽根の正面図である。図22は、羽根押え板のスライド後の状態をアームとの関係で示す掻取羽根の正面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。また、加熱撹拌装置については、図1を適宜参照する。
本実施例5において、羽根取付部59は、羽根部61を一側面に合わせ結合ピン64を有する羽根取付板67Bを一方側として備えている。羽根部61側は、羽根取付板67Bに対し羽根部61を挟んで配置され取付穴(65aa、65ab)を有した羽根押え板63Bを他方側として備えている。
羽根取付部59と羽根部61側との一方側及び他方側間の相対的な位置ずれ動作は、羽根部61を挟んだ羽根取付板67B及び羽根押え板63B間で行ない、羽根押え板63B
を羽根部61に対してスライドさせる。羽根押え板63Bは、スライド位置で回転軸側のブラケット部45に対向することにより位置ずれ動作の戻りを規制する当り部63fを備えている。つまり、本実施例5では、実施例1の留め具65を省略し、結合ピン64を羽根取付板67Bに固定して羽根部61側に突設し、羽根押え板63Bに取付穴(65aa、65ab)を設定した。
さらに具体的に説明する。なお、上下とは、掻取羽根39が下になるように重力方向の上下に向けて見た上下を意味し、左右とは羽根部61を重力方向の上下に向けて正面から見た左右を意味する。前面、後面とは、羽根部61の正転方向での前面、後面を意味する。
本実施例5のブラケット部45は、二股部45cの対向する一対の突片部45caが壁
部で結合されることなく分離して独立に突設されている。
羽根取付部59は、ナックル部69を備え、このナックル部69に前記羽根取付板67Bが一体に備えられている。羽根取付部59は、ナックル部69がブラケット部45の突片部45ca間に挿入配置され、取付ピン73により二股部45cにワンタッチによる着脱が自在に、且つ回転可能に支持されている。
ナックル部69には、実施例1のナックル部69(図2)の突部69aに代えて角部で構成された突部69aが形成され、突部69aに対して反対側にアール部69cが形成されている。ナックル部69の下部の前面側には、スライド規制部69dが形成され、同後面側には、傾斜部69eが形成されている。傾斜部69eは、羽根取付板67Bの後面になだらかに連続する。
羽根取付板67Bには、前記結合ピン64が一体的に設けられ、羽根部61側に向けて突出している。
羽根部61は、結合ピン64の基部64cに貫通孔61bが実施例1同様に遊嵌している。
羽根部61の前面に羽根押え板63Bが配置され、羽根押え板63Bの取付穴(65aa、65ab)が、結合ピン64に嵌合している。取付穴(65aa、65ab)の上下の向きは、実施例1とは逆に設定され、挿入部65aaが下方、嵌合部65abがブラケット45寄りの上方に配置されている。
羽根押え板63Bの上縁部中央には、上下方向の矩形の凹部63eが形成されている。凹部63eは、組み付け時にナックル部69のスライド規制部69dを逃げるものである。凹部63eの両側の上縁部は、当り部63fとして構成され、組み付け状態で当り部63fがブラケット部45の突片部45caに対向し、羽根押え板63Bの位置ずれ動作後のスライド位置の戻りがブラケット部45により規制される構成となる。当り部63fの側部には、突部63gが形成され、正面から見て突片部45caの側部に位置している。
羽根取付板67B及び羽根押え板63Bと羽根部61との間の隙間の設定は、実施例1同様に行われている。
従って、実施例1同様に、羽根取付部59と羽根部61との間は、羽根取付部59及び羽根部61間の締結力が無いことに起因した相対動作を可能とする結合部として、結合ピン64と取付穴(65aa、65ab)とにより結合され、前記相対動作により羽根取付部59と羽根部61との間と間外とで被撹拌物の移動を可能とした。
組み付けは、以下の手順で行うことができる。
まず、分解状態の羽根取付部59の羽根取付板67Bの前面に羽根部61の後面を合わせ、結合ピン64を貫通孔61bに挿通させ、羽根部61の前面に結合ピン64の頭部64b側を臨ませる。
次に、羽根押え板63Bの後面を羽根部61の前面に合わせ、取付穴の挿入部65aa
に結合ピン64の頭部64bを挿入させる。
このとき、図21のように、羽根押え板63Bは、羽根部61に対してナックル部69側にずれている状態となる。このずれは、凹部63eがナックル部69を逃げることで許容される。
図21の位置から羽根押え板63Bを羽根部61に対してスライドにより位置ずれ動作させ、取付穴の嵌合部65abを結合ピン64の括れ部64aで軸部64dに嵌合させる。
次に、図22のように、ナックル部69をブラケット部45の突片部45ca間に対向させ、ナックル部69を突片部45ca間に挿入し、ナックル部69及び突片部45caを取付ピン73により結合して掻取羽根39をアーム37側に取り付ける。
取付ピン73による取付手順は、実施例1同様である。
取付状態において、羽根取付板67Bと羽根部61と羽根押え板63Bとの上縁部は、図17のようにほぼ面一となる。
羽根押え板63Bは、組み付け後のスライド位置で回転軸側のブラケット部45の突片部45caに当り部63fが対向し、位置ずれ動作の戻りが規制される。突片部45caに対する当り部63fの対向は、実施例において若干の隙間を設定しているが、隙間が無い形態もあり得る。
実施例のスライド規制は、撹拌駆動時等に羽根押え板63Bの羽根部61に対する若干のスライドを許容する。この許容は、当り部63fが突片部45caに突き当たって結合ピン64の軸部64dが取付穴の嵌合部65abから挿入部65aa側へ外れない程度としている。
組み付け状態で掻取羽根39のアーム37に対する回転は、ナックル部69の突部69a又はアール部69cがブラケット部45の面45dに当接することで規制することができる。
そして、羽根取付板67B及び羽根押え板63Bと羽根部61との間が、結合ピン64の軸方向へ相対動作すると共に、羽根部61が結合ピン64と貫通孔61bとの遊嵌により軸交差方向へ相対動作させ得ることは実施例1と同様である。
さらに、本実施例5では、結合ピン64の軸部64dが取付穴の嵌合部65abから挿入部65aa側へ外れない程度に羽根押え板63Bが羽根部61に対してスライド動作することができ、羽根押え板63B及び羽根部61間の呼吸動作的な相対動作を促進させることができる。
掻取羽根39の分解清掃は、上記組み付けの逆の手順で行うことができ、ワンタッチによる分解により、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
[変形例]
図23〜図26は、実施例5の変形例に係る。図23は、図17に対応する掻取羽根の取付けを示す一部を断面にした要部拡大側面図である。図24は、図18に対応する掻取羽根の取り付けを示す正面図である。図25は、図19に対応する掻取羽根の一部を断面にした分解側面図である。図26は、図20に対応する掻取羽根の分解斜視図である。なお、基本的な構成は図17〜図20の説明の通りであり、対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
本変形例では、羽根押え板63Bの突部63gを取付ピン73側に延ばし、その先端をL字状に形成して当り部63gaを設け、取付ピン73に対向させた。この場合、突部63g間の当り部63fは有っても無くてもよい。当り部63fが有るときは、当り部63ga、63fが協働し、無いときは当り部63gaが単独で機能する。L字状の当り部63gaにばね性を持たせると当り部63gaが取付ピン73に当ったときに弾発力が発生し、羽根押え板63Bの動作を増幅させることができる。
取付ピン73に対する当り部63gaの対向は、隙間が有っても無くてもよい。隙間は、突部63gが羽根押え板63Bと共に取付ピン73側へ移動しても結合ピン64が取付穴の嵌合部64bから外れない程度に設定される。取付ピン73に対する当り部63gaの隙間のある対向の場合は、羽根部61に対する羽根押え板63Bの相対的なガタツキ動作の自由度を高めることができる。
従って、本変形例では、組み付け時の羽根押え板63Bの位置ずれ動作は、回転軸側である取付ピン73への当り部63gaの係合により戻りが規制される構成となる。
かかる構成により、図17〜図20の例とほぼ同様な作用効果を奏することができる。
[他の変形例]
図27〜図30は、実施例5の他の変形例に係る。図27は、図17に対応する掻取羽根の取付けを示す一部を断面にした要部拡大側面図である。図28は、図18に対応する掻取羽根の取り付けを示す正面図である。図29は、図19に対応する掻取羽根の一部を断面にした分解側面図である。図30は、図20に対応する掻取羽根の分解斜視図である。なお、基本的な構成は図17〜図20の説明の通りであり、対応する構成部分には同符号を付し、重複した説明は省略する。
本変形例では、羽根押え板63Cの突部63gを取付ピン73側に延ばし、その先端に位置決め部63gbを設けた。突部63gと位置決め部63gbとの間は、捻り形成され、位置決め部63gbが羽根押え板63Cに対して略直交する形態となっている。
位置決め部63gbは、突部63gの端部にフランジ状に一体に形成され、挿通孔63gbaを備えている。挿通孔65gbaは、ナックル部69の軸穴69bよりも大径に形成され、取付ピン73に遊嵌する形態となっている。なお、挿通孔65gba及び軸穴69bを同径にすることもできる。
各位置決め部63gbは、羽根取付部59のナックル部69両側で二股部45cの突片部45caの外側面に配置されている。
この配置状態で、突片部45caの結合穴45caaと位置決め部63gbの挿通孔65gba及びナックル部69の軸穴69bとに取付ピン73が挿通されている。この取付ピン73により掻取羽根39がブラケット部45に着脱自在に結合され、羽根押え板63Cが取付ピン73に支持されている。
この場合、突部63g間の当り部63fは有っても無くてもよい。
取付ピン73に対する挿通孔63gbaの嵌合は、隙間が有っても無くてもよい。隙間は、位置決め部63gbが羽根押え板63Cと共に取付ピン73側へ移動しても結合ピン64が取付穴の嵌合部64bから外れない程度に設定される。取付ピン73に対する結合穴45caaの隙間のある嵌合の場合は、羽根部61に対する羽根押え板63Cの相対的なガタツキ動作の自由度を高めることができる。
従って、本変形例では、組み付け時の羽根押え板63Cの位置ずれ動作は、回転軸側である取付ピン73への羽根押え板63Cの支持により戻りが規制される構成となる。
かかる構成により、図17〜図20の例とほぼ同様な作用効果を奏することができる。