JP6385694B2 - アンテナ装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の他の課題は、上記のアンテナ装置の製造方法を提供することにある。
[第1実施形態]
第1実施形態では、本発明をFM帯(76[MHz]〜108[MHz])及びAM帯(0.520[MHz]〜1.710[MHz])において使用可能な低背型のアンテナ装置に適用した場合の例を説明する。このアンテナ装置は、例えば車両ルーフに取り付けて使用されるものであり、水平面で無指向性を呈するものである。
アンテナ取付面部の厚みは約0.5[mm]、カバー接合部の厚みは約1.0[mm]である。
エレメント支持体301〜306は、誘電体ブロックなどで構成され、それぞれ対応するアンテナエレメント401〜406(これらを区別する必要がない場合はアンテナエレメント40という。)が支持されている。
各エレメント支持体30の枠体で囲まれた部分は、中空の空間となる。回路基板20から突出する回路部品は、この中空の空間に収容される。これにより、アンテナ装置全体のサイズの節約を図ることができる。枠体の外表面には、所定ピッチで溝がヘリカル状に形成されている。
各アンテナエレメント40は、それぞれ隣り合うものとの隙間を5〜10[mm]空けて配置される。つまり、全体として、22500[mm2]のアンテナ設置面部に、6つのアンテナエレメント40が並列配置される。このような面積にした理由については、後述する。
線状導体をヘリカルコイルとする場合、それぞれ隣り合う銅線(ヘリカルコイル)の巻方向は、互いに逆巻とするのが望ましい。このようにすることで、銅線に流れる電流が同相となり、そうでない場合に比べてアンテナエレメント同士の結合が抑制され、アンテナ特性の劣化が抑制される。
なお、電子回路には、適宜、帯域通過フィルタ、AGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)器などが付加される。
接地電位の面から最も離れたアンテナエレメントまでの距離、つまりアンテナエレメントの高さが低くなると、アンテナエレメントに接続されている電子回路とアンテナエレメントとの整合周波数範囲が狭帯域化することは、よく知られていることである。アンテナ利得が、上記高さの2乗に比例することも同様である。
本実施形態のアンテナ装置1では、アンテナエレメントを低背化するにつれて狭帯域化する整合周波数範囲を、天頂容量板の面積を大きくして対地容量を確保することで、広帯域化する。低背化に伴って低下するアンテナ利得については、同一信号を複数のアンテナエレメント(上記のように天頂容量板の面積を大きくしたもの)で受信し、受信した信号を増幅した後に合成することで補う。なお、合成後に増幅しても良い。これにより、低背化しても、実用的なアンテナ性能を得ることができる。以下、その理由を説明する。
但し、AM帯では天頂容量板の面積を大きくするほどアンテナ利得は向上するが、FM帯では、天頂容量板の面積が3500[mm2]辺りからアンテナ利得の向上の度合いが鈍る。このことは、車両に搭載されるアンテナ装置のように、アンテナエレメントの収容空間が限られる条件の下では、必要以上に面積を大きくするだけでは、全体として、十分なアンテナ利得を確保できるわけではないことを意味する。
これにより、FM帯におけるアンテナ利得は、−9[dB]から−3[dB]に改善することができた。このアンテナ利得は、同じ面積で、一つのアンテナエレメントを使用する場合に比べて高めることができている。すなわち、70[mm]×50[mm]の天頂容量板を有する4つのアンテナエレメント401〜404を並列設置したときの面積は、14000[mm2]である。このような面積の天頂容量板を、一つのアンテナエレメントで構成した場合、図5(a)の高さ10[mm]のグラフから明らかなように、アンテナ利得は−7.5[dB]である。したがって、同じ面積であっても、アンテナ4個使用した場合は4.5[dB]利得が高くなった。
他方、アンテナエレメントの高さを20[mm]又は30[mm]にした場合は、アンテナエレメント及び対応する増幅器の数を減らすことができる。
車両に装着される従来のFM帯及びAM帯用の低背型アンテナ装置は、アンテナエレメント等の収容スペースが限られているため、典型的には、図6に示した構成のものとなる(上述した基準アンテナも同じ)。すなわち、従来型アンテナ装置は、FM帯とAM帯とを一つのアンテナエレメント601で共用し、受信した信号を分波回路602でFM帯信号とAM帯信号とに分離した後、FM帯信号はFM増幅器603に入力し、AM帯信号はAM増幅器604に入力している。そして、FM増幅器603の出力と、AM増幅器604の出力とを出力端子605を通じて外部の電子機器へ導いている。
So/No=GSi/(GNi+Na)・・・(1)
但し、Soは出力信号、Noは出力雑音、Siは入力信号、Niは入力雑音、Naは増幅器雑音、Gは増幅利得である。
So/No=2GSi/(2GNi+√2Na) ・・・(2)
(1)式と(2)式とを比較すると、(2)式(並列接続)の方が出力S/Nが大きくなることがわかる。
そのため、例えば指向性をもつアンテナエレメントを複数方向に配置することなく、全方位からの電磁波を受信することができる。
次に、FM帯及びAM帯用のアンテナ装置としての基本構成は第1実施形態と同じで、アンテナエレメントの高さ、すなわちアンテナ設置面部から天頂容量板までの距離を第1実施形態のアンテナ装置1よりも高くした場合の実施の形態例を説明する。アンテナ装置の構成要素の名称等については、第1実施形態と同様とする。
図8(a)に示されるように、第2実施形態のアンテナ装置は、2つのFM帯用のアンテナエレメント401a,402aの間に、1つのAM帯用のアンテナエレメント403aをアンテナベース210のアンテナ設置面部に並列配置して構成される。各FM帯用のアンテナエレメント401a,402aには、それぞれ第1実施形態で説明したものと同じFM増幅器が接続されている。これらのFM増幅器の出力は合成回路で合成される。また、AM帯用のアンテナエレメント403aには、第1実施形態で説明したものと同じAM増幅器が接続されている。
図5(a)に示されるように、FM帯用のアンテナエレメント401a、402aの高さが20[mm]で天頂容量板の面積が2700[mm2]の場合、1つのアンテナエレメントでアンテナ利得が−4.5[dB]となる。したがって、この面積の天頂容量板を有するアンテナエレメントを2つ用いることで3[dB]、さらに、分波回路を使わないことで3[dB]補償され、計6[dB]補償されるため、基準アンテナ以上のアンテナ性能となる。
本実施形態においても、複数個のアンテナエレメントを使用することにより、一つのアンテナエレメントを使用する場合に比べて、アンテナ特性を高めることができることがわかる。すなわち、本実施形態のアンテナ装置2のFMアンテナでは、100[mm]×27[mm]の天頂容量板を有する2つのアンテナエレメント401a、402aを並列設置したときの面積は、5400[mm2]である。図5(a)から明らかなように、高さ20[mm]で5400[mm2]の面積の天頂容量板を有する一つのアンテナエレメントと比較すると、アンテナ利得は−3.5[dB]であるから、これに比較して、同じ面積であっても、アンテナエレメントを2個使用した場合よりも2[dB]利得が高くなった。
すなわち、図5(a),(b)を参照すると、例えばFM帯では、天頂容量板の面積を700[mm2]とすることでアンテナ利得が−4dBとなる。そのため、このサイズの天頂容量板を有するアンテナエレメントを2つ用いることで、アンテナ利得は−1[dB]となる。分波回路を削除することでさらに3[dB]のアンテナ利得が得られるので、基準アンテナと同等以上のアンテナ性能を確保しつつ、アンテナエレメントの設置スペースをより小さくすることができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。この実施形態では、セルラー方式の800[MHz]帯、すなわち、800[MHz]〜1000[MHz]の周波数で送受信できるアンテナ装置の例を説明する。アンテナ装置の構成要素の名称等については、第1実施形態と同様とする。この実施形態のアンテナ装置もまた、車両ルーフのように、導電性を有するアンテナ設置面に取り付けて使用される。
回路基板120は、エレメント支持体130の中空部に収容され、これにより、アンテナ装置全体のサイズの節約を図ることができる。
この実施形態では、基準アンテナを、13[mm]四方に巻かれた、高さ10[mm]の1つのヘリカルアンテナとした。つまり、アンテナエレメント140から天頂容量板を外したものと同じである。
一方、本実施形態のアンテナ装置101のように、13[mm]×13[mm]の天頂容量板を有する4つのアンテナエレメント1401〜1404を並列設置したときの面積は、約900[mm2]である。図13のA3から明らかなように、900[mm2]の面積の天頂容量板を有する一つのアンテナエレメントのアンテナ利得は4.0[dB]であるから、同じ面積であっても、4つに分割して使用した場合は1.4[dB]高くなった。
図14〜図16は、増幅器をアンテナ装置側に設けた場合の構成例を示す図である。アンテナ装置側で増幅するときは、図14に例示される構成の高周波回路を設ける。この高周波回路は、端子C1,C2に接続された一対の分配・合成回路RT10,RT11の間に、受信増幅器R10と送信増幅器T10とを並列に設けた回路である。
以上、3つの実施形態例を説明したが、本発明のアンテナ装置は、以下のように変形して実施することが可能である。
(1)第1実施形態では、4つのFM帯用のアンテナエレメントと、2つのAM帯用のアンテナエレメント、第2実施形態では、2つのFM帯用のアンテナエレメントと、1つのAM帯用のアンテナエレメントを並列配置した場合の例を示したが、アンテナエレメント数は、これらの数以外にしても良い。また、FM帯のアンテナエレメントだけをアンテナ設置面部に並べてアンテナ装置を構成することもできる。
次に、第1ないし第3実施形態で示したアンテナ装置の製造方法について説明する。これらのアンテナ装置は、以下の製造工程を経て製造することができる。便宜上、第1実施形態のアンテナ装置1について説明するが、第2実施形態及び第3実施形態のアンテナ装置の場合も同様となる。
(1)分割工程
アンテナベース10において、アンテナエレメントを設置することが可能なアンテナ設置面部の面積を定める。そして、この面積を、エレメント間の隙間を考慮しつつ周波数帯ごとにk分割(kは2以上の自然数)する。具体的には、図5(a),(b)に示されるアンテナ利得、アンテナエレメントの高さ及び天頂容量板の面積の相互関係と、電子回路において補償可能な利得(3[dB])とを考慮して、確保できるアンテナ設置面部の面積から分割数(k)と、分割後の天頂容量板の面積とを決定する。
分割した系統分の電子回路を実装した回路基板20をアンテナ設置面部に収容した後、分割された面積を有するk個の天頂容量板と線状導体とを、アンテナ装着面部と平行の平面上で無指向性を呈するように取り付ける。すなわち、天頂容量板をアンテナ取付面部と平行又は略平行となるように、エレメント支持体30に取り付ける。線状導体は、その一端部がアンテナ設置面部から実質的に最も離れた部位で天頂容量板と導通し、その他端部が他の線状導体の他端部と独立に電子回路に接続されるようにする。
このようにして、アンテナベース10上に、同一周波数帯の同一信号の同時受信が可能となるk個のアンテナエレメントを構成する。
最後に、アンテナベース10のカバー接合部にカバー部を接合してアンテナ装置1を完成させる。
Claims (5)
- 動作時に接地電位となる面部を有するアンテナベースと、
前記面部と平行の面上で無指向性を呈するように前記アンテナベース上に並べられ、同一信号を同時に受信又は送信するためのn個(nは2以上の自然数)のアンテナエレメントとを備えており、
前記n個のアンテナエレメントは、それぞれ、中空の枠体で支持されその両端部が前記面部から離れて配置された線状導体と、この線状導体の一端部が前記面部から実質的に最も離れた部位で前記一端部と導通し当該面部と略平行に対向する面状導体とを含み、前記線状導体の他端部が、他のアンテナエレメントの線状導体の他端部と電気的に分離され、かつ、入力された信号を他のアンテナエレメントで受信した信号と合成する電子回路の入力部に接続可能とされており、
前記線状導体は前記枠体の側面に沿ってヘリカル状に巻かれ、
前記面状導体は前記枠体のうち前記面部から実質的に最も離れた部位に接合され、
前記電子回路が前記枠体で囲まれた空間に収容されている、
アンテナ装置。 - 動作時に接地電位となる面部を有するアンテナベースと、
前記面部と平行の面上で無指向性を呈するように前記アンテナベース上に並べられ、同一信号を同時に受信又は送信するためのn個(nは2以上の自然数)のアンテナエレメントとを備えており、
前記n個のアンテナエレメントは、それぞれ、中空の枠体で支持されその両端部が前記面部から離れて配置された線状導体と、この線状導体の一端部が前記面部から実質的に最も離れた部位で前記一端部と導通し当該面部と略平行に対向する面状導体とを含み、前記線状導体の他端部が、他のアンテナエレメントの線状導体の他端部と電気的に分離され、かつ、他のアンテナエレメントからも送信される送信対象信号を分配して出力する電子回路の出力部に接続可能とされており、
前記線状導体は前記枠体の側面に沿ってヘリカル状に巻かれ、
前記面状導体は前記枠体のうち前記面部から実質的に最も離れた部位に接合され、
前記電子回路が前記枠体で囲まれた空間に収容されている、
アンテナ装置。 - 動作時に接地電位となる面部を有するアンテナベースと、
前記面部と平行の面上で無指向性を呈するように前記アンテナベース上に並べられ、第1周波数帯の同一信号を同時に受信するn個(nは2以上の自然数)の第1アンテナエレメント及び前記第1周波数帯と異なる第2周波数帯の信号を受信するm個(mは1以上の自然数)の第2アンテナエレメントとを備えており、
前記第1アンテナエレメント及び前記第2アンテナエレメントは、それぞれ、その両端部が前記面部から離れて配置された線状導体と、この線状導体の一端部が前記面部から実質的に最も離れた部位で前記一端部と導通し当該面部と略平行に対向する面状導体とを含み、前記第1アンテナエレメントの線状導体の他端部と前記第2アンテナエレメントの線状導体の他端部とが電気的に分離されている、
アンテナ装置。 - 隣り合う前記線状導体が互いに逆方向に巻かれている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。 - アンテナエレメントを設置する面部の面積をそれぞれ前記アンテナエレメントの高さと、当該面積により確保されるアンテナ利得との関係に基づいてk分割(kは2以上の自然数)する分割工程と、
それぞれ、分割された面積を有するk個の面状導体と、その一端部が前記面部から実質的に最も離れた部位で前記面状導体と導通し、その他端部が前記面部に実質的に最も近い部位で、k系統の増幅回路のうちいずれかの系統の増幅回路と電気的に接続される線状導体とを、前記面部と平行の平面上で無指向性となるように前記面部に並列配置する配置工程とを有し、
前記面部に、同一信号の受信又は送信するk個のアンテナエレメントを構成することを特徴とする、アンテナ装置の製造方法。
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