JP4795898B2 - 水平偏波無指向性アンテナ - Google Patents
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(例えば,特許文献1参照)
また,アンテナを構成する素子がダイポールアンテナから構成されているので,アンテナの基部には,上記一対の給電線路に直列給電を行わせる平衡/不平衡変換部を備えさせる必要が生じることになり,プリント基板がさらに大きくなるといった問題もあった。
一方,このように構成されたアンテナは垂直方向に長くなるので,風などの影響によってアンテナを構成する素子を被うレドームが撓ったり振動したりする。この結果,アンテナを構成するプリント基板にはそのストレスが加わることになる。ところが,従来技術の発明に示されているように,プリント基板の短辺の長さがリング状のダイポールアンテナの外径と同じか小さくなるように形成されており,長辺方向の寸法が短辺に比べて極めて長い状態を考えると,レドームが風などによって撓ったり共振して振動したりすることによって,例えばプリント基板が大きく撓んだり,振動が加わったりする状況が考えられる。そこで,アンテナの電気的特性を安定させ,且つ強度的にも信頼性を得ようとすると,プリント基板の周り等に,プリント基板を保持するための保持手段を設けることで,プリント基板の振動を抑えることはできるものの,レドーム全体が撓むことで生じるストレスには対応できなかった。そこで本願においては,こうした問題点を解決するためになされたものであり,
その目的は,簡単な構成で高性能な水平偏波無指向性アンテナを提供することを課題とする。
他の目的は,アンテナ全体の外径がスリムな水平偏波無指向性アンテナを提供することを課題とする。
他の目的は,特に風などによって発生する撓みや振動などに対する信頼性に優れた水平偏波無指向性アンテナを提供することを課題とする。
他の目的は,コストの安価な水平偏波無指向性アンテナを提供することを課題とする。
他の目的は,チルト角の最適化が簡単にできる水平偏波無指向性アンテナを提供することを課題とする。
少なくとも,中心導体と該中心導体の軸心と同心に配設された外部導体とからなる所定の長さの同軸線路と,
前記同軸線路の一端側の外部導体と接続される接地線路と同軸線路の中心導体と接続される所定の長さの給電線路を備え,前記同軸線路の軸線に略並行な平面に沿って軸線方向に配列接続されたエレメント支持部材と,
前記エレメント支持部材に形成された前記給電線路と前記接地線路間に接続され,前記同軸線路の軸線に略垂直な平面に沿って円形もしくは多角形に形成されたフォールデッドダイポールと,
から構成されるエレメント部を,垂直方向に直列に複数個接続してなることを特徴とする。
図1は本発明にかかる水平偏波無指向性アンテナの概略図面であり,(a)は正面図,(b)は背面図,(c)は上面図である。図2は本発明にかかる水平偏波無指向性アンテナの要部を拡大した斜視図である。図3は本発明にかかる水平偏波無指向性アンテナの全体の構成を示す概略図である。尚,以下に示す具体例において方向を示す場合は,同軸線路の軸線方向を上下方向とする。また,以下の実施例では本発明のアンテナはPHSの基地局アンテナに対応させた例を示すものであるが,特にPHSに限定されるものではない。
ここで更に詳しくエレメント支持部材30について説明する。図1および図2によく示されるように,プリント基板2の表面側には,プリント基板2の下方から上方にかけて形成された,同軸ケーブル5の中心導体9と接続される前記給電線路31に加え,後述のフォールデッドダイポール100をプリント基板に固着するためのランドである表側止着ランド32aが形成されている。また,プリント基板2の裏面側には,プリント基板の下方から上方にかけて形成された,同軸ケーブル5の外部導体7と接続される接地線路35に加え,前記表側止着ランド32aと対向する位置に裏側止着ランド32bが形成されている。本発明の実施例では接地線路35はプリント基板2の接地導体であり,スルーホールによって,表面側の接地導体と接続されている。また,表側止着ランド32aと裏側止着ランド32bもスルーホールで電気的に接続されている。
尚,上記説明は同軸ケーブル5間に介設するエレメント支持部材30(図には30Bで示される)について説明したものであり,最も上段に位置するエレメント支持部材30(図には30Aで示される)は,給電線路31の長さがフォールデッドダイポール100を取り付けるだけの給電線路があれば良く,図1(a)正面図に示されるように接続ランド31などのフォールデッドダイポールより上側に位置する線路はなくても良い。以下の説明でエレメント支持部材30と記載されたものは,特に明記されない限り,図に示される同軸ケーブル5間に介設するエレメント支持部材30Bについての説明である。
第2エレメント部材20も同様な構成をしており,前記第1エレメント部材10に相対向するように略半円形の下側素子21と,該下側素子21に略平行配置された略半円形の上側素子23と,下側素子21と上側素子23の一方側先端部を接続する折り返し部27が一体的に構成されている。また,下側素子21の他方側先端部22には下側素子21の先端部22を内側に折り返し形成した支持基部25が一体的に備えられている。この支持基部25にはエレメント支持部材30に向かって突設した第2のエレメント部材20の位置決め用の固着爪25aが形成されている。この固着爪25aの軸線と前記第1のエレメント部材10に形成された固着爪15aの軸線とは,第1のエレメント部材10と第2のエレメント部材をエレメント支持部材30に取り付けたときに,相互に重合しないように互い違いの位置に形成されている。さらに,上側素子23の他端側先端部24には上側素子23の先端部24を内側に折り返し形成した接続片26が備えられている。
次に第2のエレメント部材20を取り付ける。エレメント支持部材30には第2のエレメント部材20の位置決め用の位置決め孔2bが形成されているので,この位置決め孔2bに対して第2のエレメント部材20に形成された固着爪25aを挿入し,支持基部25をエレメント支持部材30の裏面に形成された接地線路35に当接させる。そして,例えば半田付け等の周知の方法で支持基部25を接地線路35に対して固着する。さらに上側素子23の他端側先端部24を折り返して形成された接続片26は,裏側止着ランド32bに対向して配置されているので,例えば半田付け等の周知の方法で接続片26を裏側止着ランド32bに固着することによって第2のエレメント部材20の取り付けが完了する。
尚,本発明の実施例ではフォールデッドダイポール100は略円形状となるように構成したが,例えば四角形状のような多角形に形成しても所望の特性が得られればよく,その形状は実施例に限定されるものではない。
プリント基板2の下方と上方には切欠部4が形成されている。この切欠部4の大きさはは同軸ケーブルの外部導体7をプリント基板2の表面側から切欠部4に対して当て付けたときに,同軸ケーブル5の中心導体9が接続ランド31a(または,接続ランド31c)にちょうど接触するように外部導体7の外径よりわずかに小さい幅で形成されている(図1(c)上面図参照)。同軸ケーブル5の先端部の加工は同軸ケーブル5の外部導体7部を切欠部4に当接させると共に,同軸ケーブル5の外部導体7および内部絶縁体8の先端部を切欠部4の底部分に当接させた時に,中心導体9が接続ランド31a(または,接続ランド31c)にちょうど接触し,外部絶縁体6がプリント基板2と重合しないような寸法に加工すればよい。
そして,切欠部4に対して同軸ケーブル5を当て付けたなら,プリント基板2の表側の切欠部4を挟んで両側に備えられた十分に広い幅を持った接地導体36に半田付け等の周知の技術でもって強固に接続することによってアンテナの基本構成であるエレメント部が完成する。
本発明の実施例ではエレメント支持部材30の水平方向の寸法は,略円形状に形成されたフォールデッドダイポール100の外径よりわずかに大きくなるような寸法に設定されている。そして,図には示されないレドームの内径をエレメント支持部材30の水平方向の寸法より僅かに大きく形成することによって,前記エレメント支持部材30の両側側辺は,組み上がったアンテナをレドームに収納するときのガイドの役目をして,フォールデッドダイポール100がレドームの内壁に接触して変形するのを防止すると共に,レドームの撓みや振動に対してレドームとフォールデッドダイポール100との適切な間隔を保つスペーサとして動作するのである。
同軸線路5の線路長は,同軸ケーブル8D−2V(波長短縮率=66%)を用いて71mm(0.45λ)である。
第1および第2のエレメント部材10,20は,下側素子・上側素子・折り返し部が共に3mmの幅であり,下側阻止と上側素子の間隔が3mmであるように折り返し形成されており,フォールデッドダイポール100としてのその直径は略25mm(0.16λ),周囲長は71.5mm(0.45λ)である略円形に形成されている。
フォールデッドダイポール100の相互の間隔はそれぞれ86mm(0.54λ)だけ離隔して取り付けられており,この条件で垂直面のチルト角が−5°であるアンテナが構成されている。
図4はPHS帯の周波数帯域である1884.5〜1919.9MHzのVSWRの値が良く判るようにこの帯域を中心として65MHz範囲にわたってVSWRの測定値が示されている。この結果によれば,下限周波数の1884.5MHzにおいてVSWR=1.27,中心周波数である1902,2MHzにおいてVSWR=1,11,上限周波数の1919.9MHzにおいてVSWR=1.12であり目標とするVSWR=1.5に対して充分にマージンを有した値が得られている。
図5の水平偏波垂直面指向性のデータによれば上記の条件に基づいたアンテナの垂直面のチルト角は周波数が1902.2MHzにおいてアンテナの下方向に丁度−5°となるように最適化され,PHS基地局アンテナとして求められているアンテナ性能の内の1つに適合している。
図6の水平偏波水平面指向性のデータによれば,上記の条件に基づいたアンテナの水平面偏差は周波数が1902.2MHzにおいて目標とする1.5dB以内に対して1.3dBであり充分に目標を満足している。
Claims (5)
- 少なくとも,中心導体と該中心導体の軸心と同心に配設された外部導体とからなる所定の長さの同軸線路と,
前記同軸線路の一端側の外部導体と接続される接地線路と同軸線路の中心導体と接続される所定の長さの給電線路を備え,前記同軸線路の軸線に略並行な平面に沿って軸線方向に配列接続されたエレメント支持部材と,
前記エレメント支持部材に形成された前記給電線路と前記接地線路間に接続され,前記同軸線路の軸線に略垂直な平面に沿って円形もしくは多角形に形成されたフォールデッドダイポールと,
から構成されるエレメント部を,垂直方向に直列に複数個接続してなることを特徴とする水平偏波無指向性アンテナ。 - 前記フォールデッドダイポールは,使用周波数の0.4から0.6波長のアンテナ長を有することを特徴とする請求項1に記載の水平偏波無指向性アンテナ。
- 前記同軸線路の軸線に略直交する方向の前記エレメント支持部材の外形寸法は前記フォールデッドダイポールの外形寸法より僅かに大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水平偏波無指向性アンテナ。
- 前記同軸線路の長さと,前記エレメント支持部材に形成された前記給電線路の長さとにより,前記給電線路の軸線方向と略直交する面に対する放射のチルト角度を最適化してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水平偏波無指向性アンテナ。
- 前記同軸線路は同軸ケーブルからなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水平偏波無指向性アンテナ。
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