坂道発進の補助においてショックを招きにくく円滑に行わせることを可能にするという目的を、自動車の坂道発進でのブレーキ操作部の操作を補助する坂道発進補助システムであって、自動車の駆動源からトランス・ミッションへの駆動力伝達をクラッチ・アクチュエータにより締結調整可能な発進クラッチと、駆動源を操作するアクセル・ペダルのアクセル操作を検出するアクセル・センサと、自動車を制動するブレーキを作動させるブレーキ操作部の操作を検出するブレーキ・センサと、前記ブレーキ・センサにより前記ブレーキ操作部の操作の解除が検出され前記アクセル・センサにより前記アクセル操作がないと検出され又は前記アクセル操作が設定値以下であると検出されたとき前記クラッチ・アクチュエータを制御して前記発進クラッチの締結力を調整しストール・トルクを発生させる制御部とを備え、前記トランス・ミッションは、駆動力を伝達しながら切り替え可能な噛合いクラッチをシフト指示信号により切り替えるシフト・アクチュエータを備え、前記噛合いクラッチは、前記駆動力を伝達する駆動力伝達軸に軸方向移動可能に複数備えられ軸方向の両サイドに2速以上はなれて前記変速ギヤがそれぞれ配置され各両サイドの何れかの変速ギヤと選択的に噛み合って前記駆動力伝達軸に結合させるクラッチ・リングを備え、前記シフト・アクチュエータは、前記クラッチ・リングの前記変速ギヤに対する選択的な噛み合いを切り替え、前記複数段の変速ギヤの下段と上段との変速ギヤに前記何れか一対のクラッチ・リングが各別に同時噛合いしたとき前記下段と上段との変速ギヤに噛合い方向と噛合い解除方向との異なる方向の軸力を各別に生じさせるガイド部を前記各クラッチ・リングと前記駆動力伝達軸との間に備え、前記ガイド部は、前記クラッチ・リングをコースト噛合い位置よりも噛合い離脱側へ移動した離脱待機の位置とする駆動斜面を前記噛合いクラッチの正の駆動トルク伝達側に備え、前記ブレーキ・センサにより前記ブレーキ操作の解除が検出されているときに坂道での車両の自然後退を検出する後退検出部を備え、前記制御部は、前記後退検出部の検出に応じて前記発進クラッチの締結力を調整しストール・トルクを発生させることにより実現した。
[坂道発進補助システム]
図1は、坂道発進補助システムのブロック図、図2は、坂道発進補助システムの構成図である。
本発明を実現する図1、図2の実施例の坂道発進補助システム1001は、自動車の坂道発進でのブレーキ操作部の操作を補助するものである。この坂道発進補助システム1001に適用するトランス・ミッション1003は、駆動力を伝達しながら噛合いクラッチの切り替えにより変速する、いわゆるシームレス・シフトである。このトランス・ミッション1003と発進クラッチ1005とを制御部としてのコントローラ1007によって制御するものである。
トランス・ミッション1003は、具体的構成は後述するが、噛合いクラッチ47、49、51を備え、シフト・アクチュエータ1009により切り替えられるようになっている。シフト・アクチュエータ1009は、例えば、電動モータによって構成され、コントローラ1007の出力ポート側に図示しない駆動回路を介して接続されている。
発進クラッチ1005は、クラッチ・アクチュエータ1011により締結調整可能となっている。
この発進クラッチ1005は、エンジン1013のクランク・シャフト1015とトランス・ミッション1003のメイン・シャフト3との間に設けられ、エンジン1013の出力をトランス・ミッション1003へ断続可能に伝達する。
発進クラッチ1005は、一対の摩擦部材1019a、1019bがスプリング(図示せず。)により締結される。スプリングは、内径側に可動スリーブ(図示せず。)が結合され、可動スリーブが固定スリーブ(図示せず。)に対して軸方向移動調整される構成となっている。
固定スリーブ側には、ソレノイドで構成されたクラッチ・アクチュエータ1011が設けられ、クラッチ・アクチュエータ1011への通電制御により可動スリーブをスプリングの付勢力に抗して軸方向移動させようになっている。クラッチ・アクチュエータ1011は、コントローラ1007の出力ポート側に図示しない駆動回路を介して接続されている。
なお、図示上、クラッチ・アクチュエータ1011は、発進クラッチ1005側から離れているが、クラッチ・アクチュエータ1011は、発進クラッチ1005側に構成されているものである。
また、発進クラッチ1005は、電気的に制御する油圧アクチュエータ等により締結制御する構成にすることもできる。
コントローラ1007の出力ポートには、その他ブザー1026が接続されている。
コントローラ1007は、例えばマイクロ・コンピュータにより構成され、CPU、ROM、RAMなどを備えている。コントローラ1007の入力ポートには、アクセル・センサ1025、ブレーキ・センサ1027が接続され、車速センサ1029、シフト指示検出センサ1031、エンジン回転数センサ1033が接続されている。
アクセル・センサ1025は、エンジン1013を操作するアクセル・ペダル1035のアクセル操作を検出し、アクセル開度をコントローラ1007に入力する。ブレーキ・センサ1027は、自動車を制動するブレーキを作動させるブレーキ操作部であるブレーキ・ペダル1037の操作を検出し、コントローラ1007に入力する。なお、ブレーキ操作部としては、パーキング・ブレーキを作動させるパーキング・ブレーキ・レバーを加え、或いはパーキング・ブレーキ・レバーに代えることもできる。
車速センサ1029は、自動車の車速を検出してコントローラ1007に入力する。コントローラ1007は、入力された車速が負であるか否かにより自動車の後退を判断する。すなわち、車速センサ1029及びコントローラ1007は、本実施例においてブレーキ・センサ1027によりブレーキ・ペダル1037の踏み込み操作の解除が検出されているときに坂道での自動車の自然後退を車速<0により検出する後退検出部を構成する。
そして、コントローラ1007は、ブレーキ・センサ1027によりブレーキ・ペダル1033の操作の解除が検出されアクセル・センサ1025によりアクセル・ペダル1035のアクセル操作がないと検出されたときクラッチ・アクチュエータ1011を制御して発進クラッチ1005の締結力を調整しストール・トルクを発生させる。
なお、アクセル・ペダル1035のアクセル操作が設定値以下であると検出されたときクラッチ・アクチュエータ1011を制御して発進クラッチ1005の締結力を調整しストール・トルクを発生させる構成にすることもできる。アクセル操作が設定値以下とは、ブレーキ・ペダル1037の踏み込みからアクセル・ペダル1035ヘの踏み変えの初期の僅かな操作領域である。
また、本実施例では、坂道で自動車の自然後退が車速<0により検出されると、コントローラ1007は、その検出に応じて発進クラッチ1005の締結力を調整しストール・トルクを発生させる。
したがって、坂道でブレーキ・ペダル1037を踏み込んで停車している状態からブレーキ・ペダル1037の踏み込みを止めてアクセル・ペダル1035に踏み変えるまでの間、ストール・トルクを発生させ、自動車の後退を抑制し、アクセル・ペダル1035ヘの踏み変えに余裕を持たせることができる。
このとき、コントローラ1007は、内蔵するカウンタによりストール・トルク発生から設定時間経過により警報のための信号を出力する。この出力によりブザー1026が警報音を発生し、運転者に知らせることができる。運転者は、この警報音を聞くことにより、直ちにアクセル・ペダル1035でアクセル操作をし、走行状態へ移行させることができる。
したがって、ストール・トルクのまま乾式クラッチである発進クラッチ1005が長時間滑る状態を防止することができる。
ブザー1026が警報音を発するときは、コントローラ1007が制御バルブを制御して一旦ブレーキ圧を保持させ、ストール・トルクを解除することもでき、ストール・トルクのまま発進クラッチ1005が滑ることをより確実に抑制できる。一旦保持されたブレーキ圧は、走行のためのアクセル操作で解除させることができ、円滑な走行に移行することができる。
さらに、コントローラ1007は、アクセル・センサ1025が検出するアクセル操作に応じてクラッチ・アクチュエータ1011を制御しストール・トルクを発生させる制御状態から発進クラッチ1005の締結力を増加させ、100%の締結状態とする。
したがって、アクセル操作による走行を円滑に行わせることができる。
シフト指示検出センサ1031は、手動又は自動によるシフト指示の信号を検出してコントローラ1007に入力するものである。
シフト指示検出センサ1031は、例えば、シフト・レバーのマニュアルモードでの操作によりシフト・アップ又はシフト・ダウンが行われたとき、その操作信号を検出してシフト・レバーの操作信号としてコントローラ1007に入力する。
自動によるシフト指示信号は、コントローラ1007に入力されるエンジン回転数、アクセル開度、車速に基づくものであり、エンジン回転数センサ1033、アクセル・センサ1025、車速センサ1029からのエンジン回転数検出信号、アクセル開度検出信号、車速検出信号の入力に基づき適切な変速段が算出され、指示することになる。
なお、変速を手動又は自動に切り換えて行わせることができる態様の、手動又は自動での何れかのみによる変速の切り換えを行える態様の何れにも構成することができる。
そして、コントローラ1007にシフト指示信号が入力されると、コントローラ1007は、クラッチ・アクチュエータ1011の制御により発信クラッチ1005の締結力を徐々に低下させる。この低下によりセンサにより入力されている発進クラッチ1005の入出力回転速度に差が生じた時点でシフト・アクチュエータ1009により噛合いクラッチ47、49、51の選択的な切り替えを行わせる。
噛合いクラッチ47、49、51の選択的な切り替えが完了すると、クラッチ・アクチュエータ1011により発進クラッチ1005が100%の締結結合が行われる。
[変速制御及び発進クラッチ制御]
図3は、坂道発進補助システムのフローチャートである。
図3のフローチャートは、例えばエンジン1013が始動し、ブレーキ・ペダル1037が踏み込まれていることで実行される。
ステップS1(以下、ステップSを端に「S」と略称する。)では、「ブレーキ圧保持?」の判断処理により、ストール・トルク時にブレーキ圧が保持されたか否かの判断が行われる。初回はブレーキ圧の保持は無く(NO)、S2に移行する。
S2では、「アクセル開度、ブレーキ操作、車速読み込み」の処理により、アクセル・ペダル1035のアクセル操作によるアクセル開度、ブレーキ・ペダル1037の踏み込みによるブレーキ操作、車速センサ1029による車速の読み込みが行われ、S3に移行する。
S3では、「ブレーキ操作解除?」の判断処理により、ブレーキ・ペダル1037の踏み込みが解除されたか否かが判断され、解除されていなければ(NO)、S2へ戻り、解除されれば(YES)、S4に移行する。
S4では、「アクセル開度ゼロ?」の判断処理により、アクセル・ペダル1035のアクセル操作が無く、アクセル開度がゼロであれば(YES)、S5に移行し、アクセル・ペダル1035のアクセル操作が有れば(YES)、S10に移行する。
S5では、「車速<0?」の判断処理により、車速<0であれば自動車が坂道で自然後退すると判断し(YES)、S6に移行し、車速=0であり、坂道でブレーキ・ペダル1035が解除されてはいるが自動車は後退せず停車している状態であると判断され(NO)、坂道発進補助システムの処理は終了する。車速<0は、閾値を設定して判断し、運転者の実感としては、ほとんど後退しない程度のものにするのが好ましい。
S6では、「クラッチ・アクチュエータを制御してスト-ク・トルク発生」の処理により、コントローラ1007がクラッチ・アクチュエータ1007に駆動信号を出力し、発進クラッチ1005を僅かに締結して坂道において車速=0とするようなストーク・トルクを発生させる。このため、坂道発進において、ブレーキ・ペダル1037の踏み込みからアクセル・ペダル1035のアクセル操作に移行するまで、自動車をほぼ停止状態に安定させることができる。
S7では、「設定時間経過?」の判断処理により、コントローラ1007は、内蔵するカウンタによりストール・トルク発生からの設定時間経過を判断し、経過していれば(YES)、S8に移行し、経過していなければ(NO)、S6に戻る。
S8では、「アクセル開度が設定値以上か?」の判断処理により、ストール・トルク発生後にアクセル・ペダル1035のアクセル操作で坂道発進走行したか否かが判断され、設定値以上であれば(YES)、S10に移行し、設定値を下回れば(N0)、ストール・トルクのまま停車しているので、S9に移行する。
S9では、「警報用信号出力、ブレーキ圧保持、ストーク・トルク解除」の処理により、コントローラ1007が、警報用信号を出力してブザー1026で警報音を発生させ、同時に制御バルブ(図示せず)へ駆動信号を出力してブレーキ圧を保持させ、クラッチ・アクチュエータ1007への駆動信号を停止してストーク・トルクを解除し、処理はリターンする。
S1では、「ブレーキ圧保持?」の判断処理が再度行われ、S9からリターンするとブレーキ圧が保持されているので(YES)、S11に移行する。
S11では、「アクセル開度が設定値以上?」の判断処理が行われ、この時点でアクセル・ペダル1035のアクセル操作が行われたか否かが判断される。アクセル開度が設定値以上ではないと判断されれば(NO)、ブレーキ圧が保持されたまま坂道に停車している状態であるとし、処理はリターンする。アクセル開度が設定値以上であると判断されれば(YES)、坂道発進走行すると判断し、S12に移行する。
S12では、「ブレーキ圧解除」の処理により、制御バルブに信号が出力され、保持されていたブレーキ圧の解除が行われ、S10に移行する。
S10では、S4、S8、S12の何れかからの移行により「クラッチ100%結合」の処理が行われ、アクセル開度に応じた坂道発進走行を行わせる。
[シームレス・シフト]
ここで、トランス・ミション1003のシームレス・シフトの構造及び作用を説明する。
トランス・ミション1003は、駆動力伝達軸であるメイン・シャフト3及びカウンタ・シャフト5に相対回転自在に支持された複数段の変速ギヤの各噛合いクラッチが駆動力伝達状態下で選択的に切り替えられて前記発進クラッチからの伝達出力を変速出力するものである。
このトランス・ミション1003の噛合いクラッチ47、49、51は、メイン・シャフト3に軸方向移動可能に複数備えられ軸方向の両サイドに2速以上はなれて変速ギヤとして2速ギヤ21と5速ギヤ27、4速ギヤ25と6速ギヤ29が配置され、カウンタ・シャフト5に同1速ギヤ19と3速ギヤ23が配置され、各両サイドの何れかの変速ギヤと選択的に噛み合って駆動出力軸に結合させるクラッチ・リング59、61、63を備えている。
シフト・アクチュエータ1009は、クラッチ・リング59、61、63の変速ギヤに対する選択的な噛み合いを切り替えている。
下段と上段との変速ギヤに何れか一対のクラッチ・リング59、61、63が各別に同時噛合いしたとき下段と上段との変速ギヤに噛合い方向と噛合い解除方向との異なる方向の軸力を各別に生じさせるガイド部Gを各クラッチ・リング59、61、63と駆動力伝達軸との間に設けている。
以下、具体的に説明する。
図4は、ミッション・ケースをほぼ省略したトランス・ミッションの一部切欠き構成図、図5は、トランス・ミションの要部拡大断面図である。
図4、図5のように、トランス・ミション1003は、駆動力伝達軸としてメイン・シャフト3及びカウンタ・シャフト5、アイドラ・シャフト7を備えている。これらメイン・シャフト3及びカウンタ・シャフト5は、軸受9、11、13、15等によりミッション・ケース17に回転自在に支持されている。アイドラ・シャフト7は、ミッション・ケース17側に固定されている。
メイン・シャフト3とカウンタ・シャフト5とには、複数段の変速ギヤとして1速ギヤ19、2速ギヤ21、3速ギヤ23、4速ギヤ25、5速ギヤ27、6速ギヤ29が固定または相対回転自在に支持されている。
カウンタ・シャフト5上の1速ギヤ19、3速ギヤ23は、メイン・シャフト3の出力ギヤ31、33に噛合い、メイン・シャフト3上の2速ギヤ21、4速ギヤ25、5速ギヤ27、6速ギヤ29は、カウンタ・シャフト5の入力ギヤ35、37、39、41にそれぞれ噛合っている。
アイドラ・シャフト7上のリバース・アイドラ43は、軸方向移動によりメイン・シャフト3上の出力ギヤ44及びカウンタ・シャフト5上の入力ギヤ45に噛合い可能に配置されている。
1速ギヤ19、2速ギヤ21、3速ギヤ23、4速ギヤ25、5速ギヤ27、6速ギヤ
29は、複数の第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51によりメイン・シャフト3又はカウンタ・シャフト5に結合されてメイン・シャフト3からカウンタ・シャフト5へ変速出力可能となっている。
第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51は、複数段の変速ギヤの上段への変速を、複数の第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51を変更して行なうようになっている。 すなわち、複数段の変速ギヤである1速ギヤ19、2速ギヤ21、3速ギヤ23、4速ギヤ25、5速ギヤ27、6速ギヤ29は、第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51を変更して変速を行うように配列されている。
例えば1速ギヤ19から2速ギヤ21への変速は、複数の第1、第2の噛合いクラッチ47、49を変更して行なう。
第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51は、基本的には同一構造であり、クラッチ・カム・リング53、55、57、クラッチ・リング59、61、63、クラッチ・リング59、61、63及び1速ギヤ19〜6速ギヤ29の各対向面に形成されたクラッチ歯47a、47b、49a、49b、51a、51b、19a、21a、23a、25a、27a、29aを備えている。
したがって、クラッチ・リング59、61、63は、メイン・シャフト3、カウンタ・シャフト5の軸方向へ噛合い移動してクラッチ歯47a、47b、49a、49b、51a、51b、19a、21a、23a、25a、27a、29aの選択的な噛合いにより変速出力のための結合を行わせる。
第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51のクラッチ・カム・リング53、55、57には、への字状のカム溝65、67、69が形成されている。第1の噛合いクラッチ47のクラッチ・カム・リング53は、カウンタ・シャフト5に結合され、一体回転可能となっている。第2、第3の噛合いクラッチ49、51のクラッチ・カム・リング55、57は、メイン・シャフト3に結合され、一体回転可能となっている。
第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51のクラッチ・リング59、61、63は、クラッチ・カム・リング53、55、57の外周に嵌合配置され、軸方向へ移動可能となっている。クラッチ・リング59、61、63の内周には、カム突起71、73、75が形成され、カム溝65、67、69に嵌合しガイドされるようになっている。
クラッチ・リング59及びリバース・アイドラ43には、後述するシフト・フォーク77、79が嵌合する周凹条81、83が形成されている。クラッチ・リング59の外周には、さらに前記入力ギヤ45が形成されている。クラッチ・リング61、63には、後述するシフト・フォーク85、87が嵌合する周凸条89、91が形成されている。
第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51は、変速操作部93により選択的に操作されるようになっている。リバース・アイドラ43も、変速操作部93により操作されるようになっている。
変速操作部93は、ミッション・ケース17内に備えられ、複数のシフト・フォーク77、79、85、87と複数のシフト・ロッド103、105、107、109とシフト・アーム111、113、115、117とシフト・ドラム119とを備えている。
シフト・フォーク77、79、85、87は、第1〜第3の各噛合いクラッチ47、49、51毎及びリバース・アイドラ43に備えられ、各噛合いクラッチ47、49、51、リバース・アイドラ43を連動させるものである。
シフト・ロッド103、105、107、109は、各シフト・フォーク77、79、85、87を支持している。
シフト・アーム111、113、115、117は、各シフト・ロッド103、105、107、109に結合されている。
シフト・ドラム119は、シフト溝120、121、123、125を備え、このシフト溝120、121、123、125に各シフト・アーム111、113、115、117の先端突部を係合させている。
シフト・フォーク85、87側とミッション・ケース17側との間には、凹凸部127、129及びチェック部131、133が設けられている。シフト・フォーク99側とミッション・ケース17側との間にも、同一構造の、凹凸部及びチェック部が設けられているが、図示は省略する。
凹凸部127、129は、シフト・フォーク95、97に形成され、山形の位置決め凹部127a、127b、127c、129a、129b、129cを備えている。位置決め凹部127a、129aは、ニュートラル位置に対応し、位置決め凹部127b、127c、129b、129cは、コースト噛み合い位置に対応している。
チェック部131、133は、ミッション・ケース17側に支持され、チェック・ボール131a、133aをチェック・スプリング131b、133bにより付勢し、凹凸部127、129に弾性力を持って係合させている。この係合により第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51をニュートラル位置とコースト噛合い位置とへ位置決めることができる。
トランス・ミション1003の出力は、カウンタ・シャフト5の出力ギヤ135に噛合うフロント・デファレンシャル装置137から行う。
すなわち、シフト・レバーのマニュアル操作信号に基づき、或いはアクセル・ペダルの操作によるアクセル開度及び車速信号等に基づき、シフト・モータ(図示せず)によりシフト・ドラム119が回転駆動されると、シフト溝120、121、123、125のガイドにより何れかのシフト・アーム111、113、115、117を介してシフト・ロッド103、105、107、109が軸方向へ選択駆動される。
このシフト・ロッド103、105、107、109の選択駆動によりシフト・フォーク77、79、85、87の何れかを介して第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51、或いはリバース・アイドラ43が選択操作される。この選択操作により、1速ギヤ19〜6速ギヤ29、リバース・アイドラ43が選択的に動作し、シフト・アップ、シフト・ダウン、リバースのチェンジを行わせることができる。
前記変速操作部93及び第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51に、前記変速操作部93の動作により下段と上段の噛合いクラッチが2重噛合いした時、エンジンの出力トルクに係らず、機構上必然的に発生する内部循環トルクにより上段はドライブ方向のトルクが働きより深く噛み合う方向へ、下段はコースティング・トルクによりクラッチをニュートラル方向へ移動させて噛合いを解除する作用を有するガイド部Gを各段に設けている。
ガイド部Gは、前記のようにカム溝65、67、69及びカム突起71、73、75を第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51に備えている。カム溝65、67、69及びカム突起71、73、75により、第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51のコースト噛合い位置で駆動トルク及びコースティング・トルクを前記1速ギヤ19、2速ギヤ21、3速ギヤ23、4速ギヤ25、5速ギヤ27、6速ギヤ29に伝達し、コースト噛合い位置よりも噛合い離脱側へ移動した離脱待機の位置でのみコースティング方向トルクにより前記噛合いをニュートラル方向へガイドすることができる。
また、ガイド部Gは、移動力伝達機構Mを変速操作部93に備え、後述する駆動斜面Fを第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51の正の駆動トルク伝達側のみに備えている。
駆動斜面Fは、ドライブ・トルクにより第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51のクラッチ・リング59、61、63を離脱待機の位置へ移動させる移動力を発生させることができる。尚斜面Fは歯車側のクラッチ歯に設けても良く同様の機能を得ることが出来る。
図6、図7は、カム溝及びカム突起を示す展開図、図8、図9は、クラッチ・カム・リング及びクラッチ・リングの関係を示す斜視図、図10は、クラッチ・カム・リングを示す斜視図、図11は、クラッチ・リングを示す斜視図である。
図6〜図11のように、カム溝65、67、69は、クラッチ・カム・リング53、55、57の外周面に周方向等間隔で複数形成されている。このカム溝65、67、69は、ニュートラルに対応する部分を含めて軸方向の中央部にV形状部65a、67a、69aが形成され、その両側に平坦部65b、67b、69bが形成されたものである。
このため、噛み合いクラッチ47、49、51が非待機位置に位置する場合、該平坦部65b、67b、69bにカム突起71、73、75が位置するため、コースティング・トルクが作用しても、ニュートラル方向へのスラストは生ぜず、噛み合いを保つ。
カム突起71、73、75は、クラッチ・リング59、61、63の内周に周方向一定間隔で径方向に突設され、前記カム溝65、67、69にそれぞれ嵌入し、ガイドされるようになっている。
したがって、第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51のコースト噛合い位置では、カム突起71、73、75が平坦部65b、67b、69bに位置して駆動トルク及びコースティング・トルクを前記1速ギヤ19、2速ギヤ21、3速ギヤ23、4速ギヤ25、5速ギヤ27、6速ギヤ29に伝達することができる。
第1〜第3の噛合いクラッチ47、49、51の離脱待機の位置では、カム突起71、73、75がV形状部65a、67a、69aに位置するから、図6のようにコースティング方向トルクにより噛合いをニュートラル方向へガイドすることができる。
図12、図13は、シフト・フォーク、チェック部、及び噛合いクラッチとの関係を示す概略図、図14は、クラッチ・リングの要部展開図、図15は、ドグ・クラッチの噛合いを示し、(a)は、コースト噛合い位置、(b)は、待機噛合い位置を示す要部展開図である。図12〜図15は、第3の噛合いクラッチについて説明する。第1、第2の噛合いクラッチについても同様であり、重複説明は省略する。
図12〜図15のように、第3の噛合いクラッチ51は、クラッチ・リング63のクラッチ歯51a、51bと4速ギヤ25、6速ギヤ29のクラッチ歯25a、29aとが、周方向の配置において、歯幅よりも大きな相互間隔を有している。各クラッチ歯51a、51b、25a、29aの周方向噛合い面は、歯の根元が若干細くなるように傾斜形成されている。
クラッチ・リング63のクラッチ歯51a、51bの根元には、駆動トルクを受ける噛合い面に前記駆動斜面Fがそれぞれ形成されている。
したがって、第3の噛合いクラッチ51を、例えば6速ギヤ29に噛合い結合させ、駆動トルクが働くと、図15(b)のように駆動斜面Fによってクラッチ・リング63が移動する。このとき図13に示す、シフト・フォーク87の凹部129bがボール133aを押しのけ、スプリング133bは加圧されエネルギを蓄える。
この移動を許すのはシフト・アーム117のガイドに対しシフト溝125に適宜軸方向の遊びを設けているからである。この移動によりクラッチ・リング63は、図12、図15(a)のコースト噛合い位置よりも噛合い離脱側へ移動した離脱待機の位置となる。
次に駆動トルクがコースト方向に変化すると、歯は反対側に押し付けられ、図14、図15に示す斜面Fから離脱する。このため上記スプリング133bのエネルギにより凹部129b、ボール133aの作用で図15(a)に示す深い噛み合い状態となる。この状態においては、図4、図5に示すカム突起75がカム溝69の軸方向端部側の平坦部69bに位置するため、クラッチ・リング63にスラストは発生しない。
一方上段への変速が開始された場合、図4に示すシフト・ドラム119が回転しているので下段のシフト溝125の形状によりシフト・アーム117のガイドに対する上記遊びをなくしコースト・トルクが作用しも離脱位置を保持する。このとき突起75はカム溝69の平坦部69bから斜面部へ移動しているため上段ギヤの噛合いにより、下段ギヤにコースティング・トルクが負荷されると、カム溝69の斜面によりニュートラル方向へ移動するスラスト分力を得ることができる。具体的な変速アクションについては後記する。
[シフト・アップ]
図16は、シフト・アップ時トランス・ミションの4速ギヤ噛み合いを示す概略図、図17は、シフト・アップ時トランス・ミションの4速クラッチ・リングの離脱待機の位置を示す概略図、図18は、5速に変速終了時の概略図、図19は、シフト・ダウン時、4速5速がニュートラルであることを示す概略図である。
ここでは、説明を簡単にするため、4速(下段)から5速(上段)へのシフト・アップを主に説明する。他の段のシフト・アップも同様である。図中、ドライブ方向の矢印は、メイン・シャフト3を図上右から見て反時計回りに回転することを示す。
(4速→5速)
図16〜図19にシフト・アップ時の動きを示す。図16の4速のクラッチ歯25aにはドライブ・トルクが付加されているため前記したようにクラッチ・リング63は斜面Fの作用により図17のように離脱待機位置となる。つまり4速位置にあるクラッチ・リング63の突起75はカム溝69の斜面に位置することとなる。このときシフト・ドラム119の回転により5速へのシフト・アップ操作が行われると、シフト溝123が働き、シフト・アーム115、シフト・ロッド107、シフト・フォーク85を介してクラッチ・リング61が操作される。この操作によりクラッチ・リング61が5速ギヤ27に噛み合い、4速ギヤ25及び5速ギヤ27が同時噛合いとなる。
このときエンジン出力トルクの如何に係らず同時噛み合いによる機構的必然による内部循環トルクにより4速側にはコースティング・トルク、5速側にはドライブ・トルクが発生する。このトルクがカム溝69、67の斜面の作用で4速位置にあるクラッチ・リング63には図右側ニュートラル方向、5速位置のクラッチ・リング61には図右側噛み合いを深める方向のスラストが発生し、それぞれのクラッチ・リング63、61を所定の位置に移動し、図18に示すように5速へのシフト・アップを終了させる。
本発明実施例の特徴は、クラッチ・リング59、61、63が軸方向へ移動するとき、カム溝65、67、69の斜面の作用で、メイン・シャフト3またはカウンタ・シャフト5と同回転するカム・リング53、55、57に対して相対的に下段側のクラッチ・リング59、61、63は回転が遅れ、上段側のクラッチ・リング59、61、63は回転が先行する。このような状況で回転する下段と上段との歯車のクラッチ歯19a、21a、23a、25a、27a、29aの相対速度をなくしダブル噛み合いを許容すると共に、シンクロ作用を発生し変速ショックを緩和する。
[エンジンブレーキが働いているときのシフト・アップ]
エンジンブレーキが作用しているときシフト・アップすると、4速位置にあるクラッチ・リング63は待機位置に位置しない状態で変速が行われる。このときシフト・アップ操作によりクラッチ・リング61が5速ギヤ27に噛み合い、4速に更なるコースティング・トルクが働くが、4速位置のクラッチ・リング63は離脱待機位置に無いため、ニュートラル方向へのスラスト分力は発生しない。
しかし、(1)エンジンブレーキ時のコースティング・トルクは加速時のトルクに比べ絶対値が小さく、噛み合いクラッチに働く摩擦力は小さい。(2)5速位置のクラッチ・リング61はカム溝67の斜面作用で強力なスラスト分力が発生する。
このスラストが5速位置のシフト・フォーク85、シフト・ロッド107、シフト・ドラム119を経て、4速位置のシフト・ロッド109、シフト・フォーク87へと伝達され、4速位置のクラッチ・リング63を図右側のニュートラル方向へ駆動する。従って、このような場合でもシフト・アップへの支障は生じない。
またドライブ・トルクが働いている場合であっても、斜面Fがない場合、クラッチ・リング63は離脱待機位置に位置しない。しかし、この場合であっても、上記5速位置のシフト機構からの力の伝達により、強制的にニュートラル方向へクラッチ・リング63を移動できる。
このため斜面Fは本発明に必須のものではなく、変速をよりスムースにするためのものである。
また、本実施例はシフト・ドラム119のシフト溝120、121、123、125(円筒カム)によりシフト操作するが、平面カム、または各シフト・ロッドを制御された油圧や電動モータ、空気圧等で駆動しても本発明は成立する。
[シフト・ダウン 5速→4速]
減速時は加速時のような、シームレス・シフトの必要性は無い。減速は主にブレーキにより受け持たれ、エンジンからの出力は基本的に関係しないから、エンジンからの駆動トルクやエンジンブレーキトルクが途切れても問題ないためである。このため通常のマニアルトランス・ミションと同じように、まず上段の5速位置にあるクラッチ・リング61を図19に示すニュートラルに移動させ動力を遮断し、次にクラッチ・リング63を4速ギヤ25を噛み合わせることでシフト・ダウンする。
以上で、図16の噛み合い状態となる。
このように本実施例はシフト・アップとシフト・ダウンで、噛み合い移行の形態が異なることを特徴とする。これは、上段と下段のシフト・リング61、63が独立しているためと円筒カム119のシフト溝125、123の連携形状による。
[シフト・アップ 4速→5速]
以下このようにシフト・アップとシフト・ダウンとで変速形態を異ならせる機構について図20により説明する。図20は、シフト・アップ、シフト・ダウンのときのドラム溝の作動説明である。
図16に示す4速時、シフト・アーム117及びシフト・アーム115は、図20に示す位置115aおよび位置117aにある。シフト・ドラム119がシフト・アップのため図手前側へ上から下へ回転すると、シフト溝123の斜面123aによりシフト・アーム115が位置115b1から、115b2、115cへと移動する。このときダブル噛み合いが生じシフト・アーム117は、位置117b1位置からカム・リング57のカム溝69の斜面の働きで、位置117b2に自動的に移動しニュートラルとなる。更にシフト・ドラム119の回転で位置117C に移行する。以上で4速から5速へのシフト・アップは終了する。
[シフト・ダウン 5速→4速]
5速でクラッチが噛み合っているとき、シフト・フォーク117はチェック部133により図4に示すようにニュートラル位置に保持されている。シフト・ドラム119が回転し、シフト溝125がシフト・アーム117に対し、図20の位置117b2にあって軸方向の遊びがあっても、上記チェック部133によりシフト・アーム117は位置117b2においてニュートラルに保持される。
一方、シフト・アーム115は位置115cから、位置115b1に移行し4速、5速とも図19に示すようにニュートラルとなる。
更にシフト・ドラム119が回転するとシフト・フォーク117は、位置117b2から位置117aに移行しクラッチ・リング63が4速ギヤ25のクラッチ歯25aと噛み合い、図16のようにシフト・ダウンが完了する。
[作用効果]
本発明実施例は、自動車の坂道発進でのブレーキ・ペダル1037の操作を補助する坂道発進補助システム1001であって、自動車のエンジン1013からトランス・ミッション1003への駆動力伝達をクラッチ・アクチュエータ1011により締結調整可能な発進クラッチ1005と、エンジン1013を操作するアクセル・ペダル1035のアクセル操作を検出するアクセル・センサ1025と、自動車を制動するブレーキを作動させるブレーキ・ペダル1037の操作を検出するブレーキ・センサ1027と、ブレーキ・センサ1027によりブレーキ・ペダル1037の操作の解除が検出されアクセル・センサ1025によりアクセル操作がないと検出され又はアクセル操作が設定値以下であると検出されたときクラッチ・アクチュエータ1011を制御して発進クラッチ1005の締結力を調整しストール・トルクを発生させるコントローラ1007とを備えた。
このため、坂道でブレーキ・ペダル1037を踏み込んで停車している状態からブレーキ・ペダル1037の踏み込みを止めてアクセル・ペダル1035に踏み変えるまでの間、ストール・トルクを発生させてブレーキ操作を補助し、自動車の後退を抑制してアクセル・ペダル1035ヘの踏み変えに余裕を持たせることができる。
ブレーキ・センサ1027によりブレーキ操作の解除が検出されているときに坂道での車両の自然後退を検出する後退検出部として車速センサ1029及びコントローラ1007を備え、コントローラ1007は、後退検出に応じて発進クラッチ1005の締結力を調整しストール・トルクを発生させる。
このため、自動車が坂道発進するとき、ブレーキ・ペダル1037の踏み込みを解除し自動車が後退しようとするときにストール・トルクを発生させ、アクセル・ペダル1035ヘの踏み変えに余裕を持たせることができる。
コントローラ1007は、アクセル・センサ1025が検出するアクセル操作に応じてクラッチ・アクチュエータ1011を制御しストール・トルクを発生させる制御状態から発進クラッチ1005の締結力を増加させる。
このため、アクセル操作により坂道発進を円滑に行わせることができる。
コントローラ1007は、ストール・トルク発生から設定時間経過により警報のための信号を出力する。
このため、ブザー1026で警報することができ、ストール・トルクを発生させたまま坂道に停車している状況を運転者に知らせることができ、運転者に発進を促し、乾式クラッチである発進クラッチ1005の保護を行わせ、耐久性を維持することができる。
このとき、ストール・トルクを解除し、ブレーキ圧を保持させることで、発進クラッチ1005の保護をより確実に行わせることもできる。
トランス・ミッションは、駆動力を伝達しながら切り替え可能な噛合いクラッチ47、49、51をシフト指示信号により切り替えるシフト・アクチュエータ1009を備え、噛合いクラッチ47、49、51は、メイン・シャフト3に軸方向移動可能に複数備えられ軸方向の両サイドに2速以上はなれて変速ギヤ19、21、23、25、27、29がそれぞれ配置され各両サイドの何れかの変速ギヤと選択的に噛み合ってメイン・シャフト3に結合させるクラッチ・リング59、61、63を備え、シフト・アクチュエータ1009は、クラッチ・リング59、61、63の変速ギヤ(19、23)、(21、27)、(25、29)に対する選択的な噛み合いを切り替え、下段と上段との例えば変速ギヤ19、21に一対のクラッチ・リング59、61が各別に同時噛合いしたとき下段と上段との変速ギヤ19、21に噛合い方向と噛合い解除方向との異なる方向の軸力を各別に生じさせるカム溝65、67とカム突起71、73とを各クラッチ・リング59、61とメイン・シャフト3との間に設けた噛合いクラッチ47、49を備えている。噛合いクラッチ51についても同様である。
このため、駆動力を伝達しながらいわゆるシームレスでシフト・アップ、シフト・ダウンの変速ができ、マニュアル・トラスミッションをベースとしたオートマチック・トランスミッション(MAT)を達成することができる。
かかるMATにおいて、一般的なオートマチック・トランス・ミッションでは当然に発生するストール・トルクを、坂道発進の補助に限って発生させることで、乾式クラッチを用いながらMATの機能として一般的なオートマチック・トランス・ミッションに近い性能を引き出すことができる。
[その他]
本発明は、一般的なマニュアル・トランス・ミッションンにも同様に適用することができる。
後退検出部は省略することもできる。
パーキング・ブレーキの操作を補助する構成にすることもできる。