JP6384861B2 - ハロモナス菌を用いた3−ヒドロキシ酪酸の製造方法 - Google Patents
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Description
3−ヒドロキシ酪酸は、母乳に著量含まれていることが知られており、低グルコース濃度となった場合に脂肪酸などから誘導されることが知られている。そして、3−ヒドロキシ酪酸の代謝速度は比較的早いことが知られており、3−ヒドロキシ酪酸のメチルエステルは、健康食品等、中でもアスリートに適したサプリメントとして有用であると期待されている。
〔項1〕下記の工程(1)〜(3)を含む、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法:
(1)ハロモナス属に属する好塩菌を、有機炭素源及び無機塩を含有する培地中で好気培養する工程1、
(2)培養液のpH7.0以上に調整及び維持し、培養液中に3−ヒロドキシ酪酸又はその塩を産生させる工程2、及び
(3)工程2で得られる培養液中から、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する工程3。
〔項2〕工程1の後であって、工程2の前に、窒素源、金属塩、及びホウ酸塩からなる群より選択される少なくとも一つを添加する工程を含む、上記項1に記載の製造方法。
〔項3〕窒素源が、硝酸塩、亜硝酸塩、尿素、及びアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも一つである、上記項2に記載の製造方法。
〔項4〕工程2におけるpHの調整及び維持を行う時期が、培養液の乾燥菌体重量が15g/L以上となる時期である、上記項1〜項3の何れか1項に記載の製造方法。
〔項5〕工程2において調整及び維持する培養液のpHが、7.5以上である上記項1〜項4の何れか1項に記載の製造方法。
〔項6〕工程2における培養液のpHの調整及び維持を、水酸化物、炭酸塩、及び炭酸水素塩からなる群より選択される少なくとも1種を用いて行う、上記項1〜項5の何れか1項に記載の製造方法。
〔項7〕工程3にて得られる培養液1L当たり、0.2g以上の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩が含まれることを特徴とする上記項1〜項6の何れか1項に記載の方法。
〔項8〕前記好塩菌がハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)KM−1株(FERM BP−10995)である、上記項1〜項7のいずれか1項に記載の方法。
(2)培養液のpH7以上に調整及び維持し、培養液中に3−ヒロドキシ酪酸又はその塩を産生させる工程2、及び
(3)工程2で得られる培養液から、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する工程3。
本発明に係る3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法における工程1は、ハロモナス属に属する好塩菌を、有機炭素源及び無機塩を含有する培地中で好気培養する工程である。
本発明の製造方法工程1にて用いる好塩菌は、下記の(i)又は(ii)のいずれかによって示されるハロモナス属に属する好塩菌を用いればよい。
(i)無機塩と単一若しくは複数の有機炭素源を含む培地にて好気的に増殖し、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を菌体外の培地中に生産させることを特徴とする好塩菌。
(ii)無機塩と単一若しくは複数の有機炭素源を含む培地にて好気的に増殖し、PHBを自らの菌体内にて蓄積した後、pHを調整することで、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を菌体外の培養液に分泌産生することを特徴とする好塩菌。
工程1にて用いる培地は、無機塩と及び有機炭素源を含有する。培地のpHは特に限定されないが、上述した好塩菌の生育条件を満たすpHであることが好ましく、具体的にはpH5〜12程度にすればよい。より好ましくはpH8.8〜12の培地である。アルカリ性の培地を用いれば、他の菌のコンタミネーションをより効果的に防止することができ、また分泌された3−ヒドロキシ酪酸がクロトン酸へ変化するのを抑制するので好ましい。
工程1における上述のハロモナス属に属する好塩菌の培養は、好気培養を採用する。工程1における好気培養は、当該菌体が増殖し、且つ、該菌体内にPHBが著量蓄積するような条件となる好気培養である限り、特に限定はされない。
本発明に係る3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法における工程2は、培養液のpH7.0以上に調整及び維持し、培養液中に3−ヒロドキシ酪酸又はその塩を産生させる工程である。
本発明に係る3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法における工程3は、上記工程2で得られた培養液中から、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する工程である。ここで、回収とは培養液中に3−ヒドロキシ酪酸又はその塩が存在している時に上述の工程2の培養を停止し、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を含む培養液と、上記好塩菌体を分離すればよい。
培養液中に分泌された3−ヒドロキシ酪酸又はその塩が、当該好塩菌体内に再度取り込まれて利用される傾向となり、培養液中の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩が減少し、最終的には培養液からこれらが消失してしまう。
(A)ハロモナス属に属する好塩菌を、有機炭素源及び無機塩を含有する培地中で好気培養する工程A、
(B)窒素源、金属塩、及びホウ酸塩からなる群より選択される少なくとも1つを添加する工程B、
(C)培養液のpH7以上に調整及び維持し、培養液中に3−ヒロドキシ酪酸又はその塩を産生させる工程C、及び
(D)工程Cで得られる培養液中から、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する工程D。
本実施例における培養液にて生産される3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の測定は、非特許文献3に記載されたポリヒドロキシアルカノエート(PHAs)分析の手法を応用した以下の方法にて行った。
本実施例における菌体内に蓄積されたPHBの蓄積量の測定は、非特許文献1に記載の手法を適宜採用した以下に示す方法で行った。
ハロモナス属に属する好塩菌(ハロモナス・エスピーKM−1株を、プレート培養より、16.5mm径の試験管に5mlの上記SOT5改培地に炭素源として上述のグルコースではなく、1w/v%グルコースを加えて、37℃で1晩振盪培養した。
製造例1
プレ培養した各種ハロモナス属に属する好塩菌体0.2mlを、100ml容の三角フラスコに入れた上記SOT改5培地20mlに混合して植菌し、シリコセンをした。これを、33℃で撹拌速度を200rpmとなる条件にて振盪培養し、24時間後から、およそ12時間おきに培養液を0.5mlずつ回収して、上清中の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の量を測定した。
Claims (9)
- 下記の工程(1)〜(3)を含む、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法:
(1)PHBを産生するハロモナス属に属する好塩菌を、有機炭素源及び無機塩を含有する培地中で好気培養する工程1、
(2)工程1の後に、工程1の通気条件を変更することなく培養液のpHを7.0以上に調整及び維持し、培養液中に3−ヒロドキシ酪酸又はその塩を産生させる工程2、及び
(3)工程2で得られる培養液中から、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する工程3。 - 下記の工程(1)〜(3)を含む、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩の製造方法:
(1)ハロモナス属に属する好塩菌を、有機炭素源及び無機塩を含有する培地中で好気培養する工程1、
(2)工程1の後に、工程1の通気条件を変更することなく培養液のpHを7.0以上に調整及び維持し、培養液中に3−ヒロドキシ酪酸又はその塩を産生させる工程2、及び
(3)工程2で得られる培養液中から、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を回収する工程3
(前記ハロモナス属に属する好塩菌は、下記の(i)又は(ii)の何れかに示す好塩菌である;
(i)無機塩と単一若しくは複数の有機炭素源を含む培地にて好気的に増殖し、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を菌体外の培地中に生産させることを特徴とする好塩菌。
(ii)無機塩と単一若しくは複数の有機炭素源を含む培地にて好気的に増殖し、PHBを自らの菌体内にて蓄積した後、pHを調整することで、3−ヒドロキシ酪酸又はその塩を菌体外の培養液に分泌産生することを特徴とする好塩菌。)。 - 工程1の後であって、工程2の前に、窒素源、金属塩、及びホウ酸塩からなる群より選択される少なくとも一つを添加する工程を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 窒素源が、硝酸塩、亜硝酸塩、尿素、及びアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項3に記載の製造方法。
- 工程2におけるpHの調整及び維持を行う時期が、培養液の乾燥菌体重量が15g/L以上となる時期である、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
- 工程2において培養液のpHを、7.5以上に調整及び維持する請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
- 工程2における培養液のpHの調整及び維持を、水酸化物、炭酸塩、及び炭酸水素塩からなる群より選択される少なくとも1種を用いて行う、請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
- 工程3にて得られる培養液1L当たり、0.2g以上の3−ヒドロキシ酪酸又はその塩が含まれることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
- 前記好塩菌がハロモナス・エスピー(Halomonas sp.)KM−1株(FERM BP−10995)である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
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