JP6384133B2 - ポリオレフィン系繊維及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、産業資材用、建造物や自動車などの内装用、医療・衛生用、衣料用などに用いられる高強度、高弾性率のポリオレフィン系繊維及びその製造方法に関する。
ポリオレフィン系繊維は、撥水性、非吸水性に優れ、低比重で低熱伝導性のため軽くて暖かく、また耐薬品性に優れているなどの特性を有していることから、産業資材用、建造物や自動車などの内装用、医療・衛生用、衣料用などに広く用いられている。そして前記ポリオレフィン系繊維には、更に強度や弾性率などの機械的特性を向上させることが求められている。
ポリオレフィン系繊維の弾性率を高める方法としては、例えばタルクのような結晶核剤を添加する方法が広く知られている。特許文献1には、複合材料用強化繊維として使用されるポリオレフィン繊維において、マトリックス樹脂との接合性を向上させるために炭素数が10以上の脂肪酸の金属塩を添加しているが、この脂肪酸の金属塩を添加することにより、ポリオレフィン系繊維の弾性率をも高める効果を有していることが開示されている。
しかしながら、これらタルクや脂肪酸の金属塩、あるいは準結晶機能性高分子を添加して弾性率を高める方法は、非吸水性、低比重、耐薬品性などといったポリオレフィン樹脂の特性を損なう恐れがある。
ところで、ポリオレフィン樹脂は廉価で物理的特性に優れているため、一般的な樹脂成形の分野においても汎用されている。しかしながら、ポリオレフィン樹脂は溶融粘度が低いため、射出成形やブロー成形において、樹脂のドローダウンが問題となっている。また、ABS樹脂などと比べて剛性が低いといった欠点もある。かかる不具合を解決するために、樹脂成形の分野では、例えば特許文献2や特許文献3には、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性ポリオレフィンにポリテトラフルオロエチレンを混合して、ポリオレフィン樹脂の成形加工性を向上させていることが開示されている。
このポリオレフィン樹脂の溶融粘度が低いという特性により、繊維の紡糸においてもドローダウンが生じるといった不都合がある。かかる紡糸時のドローダウンを防止するため、例えば特許文献4にはポリテトラフルオロエチレンとアルキル基の炭素数が5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマーとからなる混合粉体を、繊維形態のポリオレフィン中に均一に分散して存在させることが開示されている。しかし強度や弾性率などの機械的特性を目標とする値まで高めることは不可能であった。
さらに特許文献5にはフッ素系ポリマー粉体と有機重合体粉体との混合粉体をポリオレフィン系樹脂に配合して溶融混合し、ドラフト比が20以上の条件で溶融紡糸する技術が開示されている。得られたポリオレフィン系繊維は、フィブリル状のフッ素系ポリマーを0.001〜5質量%含み、引張弾性率が2.0GPaまで向上するが、依然として機械的特性の向上が望まれている。
特開平7−243119号公報 特開平5−214184号公報 特開平6−306212号公報 特開2000−303252号公報 特開2002−220729号公報
本発明の目的は、高引張強度及び高引張弾性率であるポリオレフィン系繊維とその製造方法を提供することである。
本発明のポリオレフィン系繊維は、ポリオレフィン系ポリマー100質量部に対してフッ素系ポリマーを0.01質量部〜10質量部を含み、引張強度が0.65GPa〜1.6GPaである。
本発明のポリオレフィン系繊維は、前記フッ素系ポリマーがフィブリル状であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン系繊維は、前記フッ素系ポリマーのフィブリル状のフィブリル径が0.1nm〜50nmであることが好ましい。
本発明のポリオレフィン系繊維は、引張弾性率が12.2GPa〜20GPa以下であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン系繊維は、前記フッ素系ポリマーがポリテトラフルオロエチレンであり、前記ポリオレフィン系ポリマーはポリプロピレンを80質量%以上含むことが好ましい。
本発明のポリオレフィン系繊維の製造方法は、ポリオレフィン系ポリマー100質量部に対してフッ素系ポリマーを0.01質量部〜10質量部を配合して溶融混合すること、溶融紡糸して延伸倍率が16倍〜30倍で延伸すること、を含んでなるポリオレフィン系繊維の製造方法である。
本発明のポリオレフィン系繊維の製造方法は、繊維の巻き取り速度Aと吐出孔部での溶融ポリマーの平均吐出線速度Bの比(A/B)が1.5〜100であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン系繊維の製造方法は、前記フッ素系ポリマーは、有機重合体の体100質量部とフッ素ポリマーの体20質量部〜300質量部とからなる混合体にして、ポリオレフィン系ポリマーに配合することが好ましい。
本発明のポリオレフィン系繊維の製造方法は、前記延伸温度が、100℃〜190℃であることが好ましい。
本発明によれば、高引張強度かつ高弾性率のポリオレフィン系繊維を得ることができる。加えて高延伸可能であることから、高生産が可能である。
かかるポリオレフィン系繊維は、後述する本発明の製造方法により好適に得ることができる。
以下に本発明のポリオレフィン系繊維及びその製造方法について詳しく説明する。
<ポリオレフィン系繊維>
本発明で得られるポリオレフィン系繊維はポリオレフィン系ポリマー100重量部に対してフッ素系ポリマーを0.01質量部〜10重量部含むことを特徴とする。
本発明のポリオレフィン系繊維は、ポリオレフィン系ポリマー100質量部に対して、フッ素系ポリマーの含有量を0.01質量部〜10質量部の範囲に設定することが重要である。フッ素系ポリマーの含有量が0.01質量部以上であれば、強度、弾性率の向上効果が十分であるので好ましい。また、フッ素系ポリマーの含有量が10質量部以下であれば、フッ素系ポリマーの分散性が良好であり、紡糸性の低下が少ない。前記観点から、フッ素系ポリマーの含有量は0.1質量部〜8質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がさらに好ましい。
本発明のポリオレフィン系繊維は、引張強度が0.65GPa〜1.6GPaであり。引張弾性率が12.2GPa〜20GPaである。ポリオレフィン系繊維の引張強度が0.65GPa以上であれば、産業資材用途に好適に用いることができる。
本発明のポリオレフィン系繊維は、繊維中のフッ素系ポリマーがフィブリル状であることが好ましい。フィブリル状とは、繊維形態であり、フィブリル径(繊維軸方向に垂直な断面の径)がナノメートルからマイクロメートルのオーダーのものを言う。
前記フィブリル状は、できるだけ細く、本数が多い方が好ましい。フィブリル径が細く、本数を多くすることによって隣り合うフィブリルの隙間が狭くなり、ポリオレフィンの3次元的な結晶成長を抑制することができるものと考えられる。すなわち、ポリオレフィンの結晶化が促進されて結晶化度が高くなり、かつフッ素系ポリマーのフィブリルに沿ってポリオレフィンの結晶が成長して結晶配向度が向上するために、得られた繊維の引張弾性率が向上すると考えられる。
本発明においては、フッ素系ポリマーのフィブリル状のフィブリル径が0.1nm〜50nmが好ましい。50nm以下であればフッ素系ポリマーの分散性の点で好ましい。より好ましくは30nm以下であり、さらに好ましくは15nm以下である。
本発明のポリオレフィン系繊維は、フィブリル状のフッ素系ポリマー同士が会合することなく、均一にポリオレフィン系樹脂に分散されていることが重要であり、適切に分散されているものは、繊維の引張弾性率が4.0GPa以上となる。
さらに本発明のポリオレフィン系繊維では、フィブリル状のフッ素ポリマーが含有することで高延伸することが可能となる。高延伸することで得られたポリオレフィン系繊維の引張強度は0.65GPa以上、引張弾性率は12.2GPa以上にできる。
本発明に使用されるフッ素系ポリマーとしては、フィブリル状になり得るものであれば特に制限はなく、例えばポリテトラフルオロエチレンを代表例として挙げることができる。
ポリテトラフルオロエチレンは、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を公知の方法で重合させて得られるものである。またポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどの含フッ素オレフィンやパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートなどの含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを含むこともできる。
これらの中でも、フッ素系ポリマーはポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどが挙げることができる。その中でも分子中にフッ素の数が多くフィブリル状になり易いポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
前記共重合成分は、フィブリル化の観点から、共重合体に対して10質量%以下であることが好ましい。
本発明におけるポリオレフィンとしては、一般的に繊維用に用いられているようなポリオレフィンであれば特に制限はない。例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテンなどのホモポリマー、コポリマー或いはその変性体が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。特に繊維賦形上好ましいものとして、ポリプロピレン、ポリエチレンを主成分とするものが挙げられる。ポリプロピレンは80重量%以上であることが好ましい。
また、前記フッ素系ポリマーが繊維軸方向に配列していることが好ましい。紡糸の際には、フィブリル状のフッ素系ポリマーはポリオレフィン樹脂の中で容易に吐出方向に配列するので、結果的にポリオレフィンの結晶配向度も向上することになる。
さらに本発明の繊維には、必要に応じて公知の滑剤、加工助剤、耐衝撃改質剤、 充填剤、離型剤、発泡剤、顔料、紫外線吸収剤、防曇剤、抗菌剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃化剤などが加えられていてもよい。
<製造方法>
本発明のポリオレフィン系繊維の製造方法としては、ポリオレフィン系ポリマー100質量部に対してフッ素系ポリマーを0.01質量部〜10質量部を配合して溶融混合して溶融樹脂を得ること、前記溶融樹脂を溶融紡糸して未延伸糸を得ること、未延伸糸を延伸倍率が16倍〜30倍で延伸することを特徴とする。
前記フッ素系ポリマーをポリオレフィン系樹脂配合する場合は、前記フッ素系ポリマーと有機重合体とが混合された紛体を用いることが好ましい。
前記フッ素系ポリマーに有機重合体を混合すると、有機重合体は前記ポリオレフィン系樹脂と親和性が高く、フッ素系ポリマーをポリオレフィン系樹脂の中に均一に分散させやすくなり好ましい。
前記フッ素系ポリマーと混合調整される前記有機重合体としては、特に制限されるものではないが、前記有機重合体として前記ポリオレフィン系樹脂と親和性の高い重合体を用いることを特徴としている。前記有機重合体として前記ポリオレフィン系樹脂と親和性が高いものを採用する場合には、ポリオレフィン系樹脂に配合する際の分散性が向上するため好ましい。
前記有機重合体を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、p−又はo−メチルスチレン、p−又はo−クロルスチレン、p−又はo−メトキシスチレンなどのスチレン系単量体、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのカルボン酸ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエンなどのジエン系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独で或いは2種以上混合して用いることができる。
これらの単量体の中でポリオレフィン系樹脂との親和性の観点から好ましいものとして、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、オレフィン系単量体を挙げることができる。特に好ましいものとして炭素数5個以上の長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン、オレフィン系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を20質量%以上含有する単量体を挙げることができる。
前記混合紛体は前記有機重合体100質量部に対して前記フッ素ポリマーは20質量部〜300質量部含むことが好ましい。
前記混合紛体が、前記有機重合体100質量部に対して前記フッ素ポリマーが20質量部以上であれば、繊維物性発現の点で好ましく、300質量部以下であれば、フッ素系ポリマーの分散性の点で好ましい。より好ましくは25質量部〜250質量部であり、さらに好ましくは30質量部〜200質量部である。
ポリオレフィン樹脂に分散させる際のフッ素系ポリマー微粒子の粒径は0.05〜1.0μmであることが好ましい。フッ素系ポリマー微粒子の粒径が0.05μm以上であれば、フィブリル化の点で好ましく、1.0μm以下であれば、フッ素系ポリマーの分散性の点で好ましい。より好ましくは0.1μm〜1.0μmであり、さらに好ましくは0.2μm〜1.0μmである。
フッ素系ポリマー含有混合粉体中には、フッ素系ポリマーがなるべく均一に微粒子で分散していることが好ましく、たとえば次のような方法で製造するのが好ましい。すなわち、粒子径が0.05μm〜1.0μmのフッ素系ポリマー微粒子の水性分散液と有機重合体粒子の水性分散液とを混合して、凝固又はスプレードライする方法により得られる。
或いは、粒子径が0.05μm〜1.0μmのフッ素系ポリマー微粒子の水性分散液存在下で有機重合体を構成する単量体を重合したのち、凝固又はスプレードライする方法によっても得られる。または、フッ素系ポリマー微粒子の水性分散液と有機重合体粒子の水性分散液とを混合した分散液中で、さらにエチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合したのち、凝固又はスプレードライする方法も用いることができる。
このような水性分散液を用いて得られるフッ素系ポリマーと有機重合体とを含む混合粉体は、いずれの方法によってもフッ素系ポリマー微粒子の周囲を有機重合体が取り囲んで複合化した形態をとっており、且つ、フッ素系ポリマーが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないためにポリオレフィン系樹脂に対する分散性が極めて優れている。
本発明の繊維は、例えば、結晶性のポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂に、フッ素系ポリマーの粉体と有機重合体の粉体とを含む混合粉体を混合調整した混合粉体を添加し溶融押出機などで溶融混練してポリオレフィン樹脂に分散させた後、そのまま溶融紡糸することによって得ることができる。
或いは、フッ素系ポリマーの粉体と有機重合体の粉体とを含む混合粉体を少量のポリオレフィン樹脂に溶融混合して、一旦フッ素系ポリマーの含有量が高いマスターバッチ、又はマスターペレットを製造し、これを紡糸の際に更に多量のポリオレフィン樹脂と混合するようにしてもよい。
フッ素系ポリマーを上述したような微細なフィブリル状にするためには、フッ素系ポリマーの粉体と有機重合体の粉体とを含むフッ素系ポリマー含有混合粉体を用いるのが効果的である。
有機重合体を含んでいると、フッ素系ポリマーの分散性が向上するため、微細なフィブリル状になり易い。
フッ素系ポリマーを微細なフィブリル状にするためには、ポリオレフィン樹脂に、フッ素系ポリマーを均一に分散させた後に、フッ素系ポリマーに混練機等で十分なせん断力を与えることが必要である。
フィブリル径が0.1nm〜50nmになるように、せん断力の大きさ、せん断力を与える時間等を適宜調整すれば良い。
紡糸方法としては、一般的なポリオレフィン樹脂の溶融紡糸が用いられる。一般的な溶融紡糸の温度条件では、フッ素系ポリマーは溶融せずに軟化した状態となっている場合もあるが、このような軟化した状態であっても、混練過程やノズルの吐出孔を通過するときのせん断力によりフッ素系ポリマーは容フィブリル状となる。
本発明において、得られる繊維のポリオレフィンポリマーの結晶配向度を高めて強度、弾性率の向上効果を得るには、上述したように、微細なフィブリル状に分散させたフッ素系ポリマーを繊維軸方向に配列させることが必要である。
本発明のポリオレフィン系繊維の製造方法は、微細なフィブリル状に分散させたフッ素系ポリマーを繊維軸方向に配列させるために、溶融紡糸した未延伸糸を高倍率で延伸することが重要であり、延伸倍率が16倍以上30倍以下で延伸することが好ましい。
延伸倍率は16倍以上であれば、高強度高弾性率化の点で好ましく、30倍以下であれば、延伸安定性の点で好ましい。延伸倍率は、より好ましくは16倍〜28倍であり、さらに好ましくは16倍〜25倍である。
前記延伸する際は、未延伸糸の温度を高める方が延伸しやすいため、熱風炉または熱プレートを用いて未延伸糸を加熱することが好ましく、前記延伸する際の雰囲気温度又は熱プレートの温度は、100℃〜190℃であることが好ましい。
前記延伸温度が、100℃以上であれば、延伸性の点で好ましく、190℃以下であれば、溶融破断しない点で好ましい。延伸温度は、より好ましくは100℃〜180℃であり、さらに好ましくは100℃〜170℃である。
また、ポリオレフィンの結晶配向度に関しては、ノズルの吐出孔から吐出した溶融樹脂の伸長変形度の影響も大きい。ノズルの吐出孔から吐出した溶融樹脂の伸長変形度は、繊維の巻き取り速度Aと吐出孔部での溶融ポリマーの平均吐出線速度Bの比(A/B)であるドラフト比で表される。
ドラフト比は、1.5〜100が好ましい。ドラフト比が100以下であれば、後の延伸工程で十分な延伸性が確保できる。ドラフト比はより好ましくは11〜50であり、さらに好ましくは15〜30である。
以上のように未延伸糸を高倍率で延伸することで、高引張強度および高引張弾性率のポリオレフィン系繊維を製造することができる。
延伸倍率とは、未延伸糸を延伸した際の供給ローラーと巻取ローラーの周速の比から求める。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお以下に述べる実施例は本発明における最良の実施形態の一例であるものの、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
(引張強度、引張弾性率)
引張強度、引張弾性率の測定は、島津製作所社製オートグラフを用いて行った。試験長は20mm、引張速度は20mm/minの条件で測定した。試験回数は5回とし、その平均値を求めた。
(フィブリル径)
得られた繊維を電子顕微鏡用のエポキシ樹脂で包埋し、ミクロトームを用いて約80nmの厚さの切片を切り出して透過型電子顕微鏡で観察し、30,000倍に焼き付けした写真上で50本のフィブリルの直径を計測して平均値を求めた。なお、比較例でフィブリルの本数が少ない場合には、10本のフィブリルの直径を計測して平均値を求めた。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製Y2000GV)とフッ素系ポリマー含有混合紛体(三菱レイヨン社製A−3000)とを表1に示す質量比で混合し、その混合物を2軸混練押出機に導入し、200℃、600rpmで20分間溶融混練してストランドを得た。得られたストランドをペレタイザー用いてペレット状に切断した。得られたペレットを溶融紡糸装置に投入して直径0.8mmのノズルから押出し、紡糸温度とドラフト比は表1に示した通りで紡糸し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を熱チューブ中で表1に示した延伸倍率、温度で延伸して、単繊維繊度が7dtexのポリプロピレン系繊維を得た。前記ポリプロピレン系繊維の引張強度は1.01GPa、引張弾性率は12.5GPaだった。
また、フィブリル径は約8nmであった。
(実施例2〜6)
実施例で得た未延伸糸を、表1に示した延伸倍率、温度で延伸した以外は、実施例1と同じ条件でポリプロピレン系繊維を得た。得られたポリプロピレン系繊維の引張強度、引張弾性率の結果は表1に示す。
(実施例7)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製FY−4)とフッ素系ポリマー含有混合紛体(三菱レイヨン社製A−3000)とを、ポリプロピレン樹脂とフッ素系ポリマーとが表1に示した質量比になるように混合し、その混合物を2軸混練押出機に導入し、250℃、30rpmで10分間溶融混練して、溶融樹脂とし、連続して直径0.75mmのノズルの吐出孔から前記溶融樹脂を押出して繊維状にし、表1に記載のドラフト比で紡糸し未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を熱風炉中で表1に示した延伸倍率、温度で延伸して、単繊維繊度が85dtexのポリプロピレン系繊維を得た。前記ポリプロピレン系繊維の引張強度は0.88GPa、引張弾性率は12.7GPaだった。
(実施例8)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製FY−4)とフッ素系ポリマー含有混合紛体(三菱レイヨン社製A−3750)と、さらにフッ素系ポリマーとしてクレハ社製PVDF(KF−850)とを表1に示す質量比で混合した以外は、実施例7と同じ条件で製造し、単繊維繊度160dtexのポリプロピレン系繊維を得た。得られたポリプロピレン系繊維の物性は表1に示した通りである。
(実施例9)
延伸倍率を表1に記載通りにした以外は、実施例8と同様にし、単繊維繊度136dtexのポリプロピレン系繊維を得た。得られたポリプロピレン系繊維の物性は表1に示した通りである。
(比較例1〜3)
比較例1〜3ではポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製FY−4)のみの溶融混練と押出をおこなった。220℃、100rpmで10分間溶融混練して、連続して直径0.75mmのノズルの吐出孔から押出して未延伸糸を得た。紡糸温度とドラフト比は表1に示した通りである。得られた未延伸糸を100℃の熱風炉中で表1に示した延伸倍率で延伸して、最終的なポリプロピレン繊維を得た。最終的なポリプロピレン繊維の物性は表1に示した通りである。

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系ポリマー100質量部に対してフッ素系ポリマーを0.01質量部〜10質量部を含み、引張強度が0.65GPa〜1.6GPaであり、前記フッ素系ポリマーがフィブリル状であるポリオレフィン系繊維。
  2. 前記フッ素系ポリマーのフィブリル状のフィブリル径が0.1nm〜50nmである請求項1に記載のポリオレフィン系繊維。
  3. 引張弾性率が12.2GPa〜20GPaである請求項1又は2に記載のポリオレフィン系繊維。
  4. 前記フッ素系ポリマーがポリテトラフルオロエチレンであり、前記ポリオレフィン系ポリマーがポリプロピレンを80質量%以上含む請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系繊維。
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