JP2001159024A - 粒子含有繊維の製造方法 - Google Patents

粒子含有繊維の製造方法

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JP2001159024A
JP2001159024A JP34074499A JP34074499A JP2001159024A JP 2001159024 A JP2001159024 A JP 2001159024A JP 34074499 A JP34074499 A JP 34074499A JP 34074499 A JP34074499 A JP 34074499A JP 2001159024 A JP2001159024 A JP 2001159024A
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particles
resin
fibers
sheath
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Takahiro Otaguro
隆浩 大田黒
Toshinobu Kashiwada
利信 柏田
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Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度等の物性の低下を生じることなく、優れ
た物性の繊維を操業性良く製造することができる粒子含
有繊維の製造方法を提供する。 【解決手段】 繊維体に粒子を含有する粒子含有繊維の
製造方法において、粒子に含有する水分量が0.2質量
%以下の粒子を溶融した樹脂に配合して紡糸することを
特徴とする粒子含有繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種機能を有する
粒子を繊維形成ポリマーに溶融混合させて、紡糸する粒
子含有繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維の中に粒子を配合させる
製造方法としては、例えば、特開平6−271682
号公報や、特開平11−61567号公報等が提案さ
れている。
【0003】上記の特開平6−271682号公報
は、ポリエステル繊維などの合成繊維に各種機能を付与
するために、押出機を用いてポリエステル組成物と炭酸
カルシウム粉体〔水分量が5質量%(以下、単に「%」
という)含有〕を混合させ、目的の機能粒子を繊維内部
に含有させる製造方法が開示されている。しかしなが
ら、この製造方法を用いて、芯鞘構造を有する繊維(芯
部/鞘部:ポリエステル/融点が異なるポリエステル)
を製造すると、鞘部の粒子含有の溶融ポリマーの物性、
すなわち、炭酸カルシウム粒子20%(水分が5%含有
する)が含有する鞘部の溶融ポリマーの物性が、芯部の
溶融ポリマーと比べ変化(例えば、ポリマー粘度が低下
する)し、紡糸時、糸の強度が著しく低下するという課
題があり、また、場合によっては、例えば、紡糸直前に
粒子を添加混合する方法においては、紡糸できないこと
が判明し、更に、粒子の添加方法として、原料モノマー
の重合終了時のポリマーに添加混合する方法や、ポリマ
ーペレットに添加混合して溶融する方法でも上記と同様
に紡糸できなくなることが判った。
【0004】また、上記の特開平11−61567号
公報に開示の製造方法では、機能性粒子を繊維形成ポリ
マーに溶融混合させ紡糸する前に、減圧化による脱水機
構を備えた押出機を用いることで、粉体に含まれる水分
が系外に除去され、製造面の操作性、繊維の強度や着色
性が改善できることが開示されている。しかしながら、
繊維に含有させる粉体(粒子)量が、5%以下と限定さ
れていることから、繊維への各種機能の付与、例えば、
研磨(磨き)効果等の各種機能が発現しにくいことが判
った。また、5%以上の粒子を繊維を形成する溶融ポリ
マーに混合(配合)すると、粒子の凝集又は再凝集が起
こり、粒子間で凝集粒子を形成して粗大粒子が発生する
という課題もあることが判った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、
繊維中に粒子を含有してなる粒子含有繊維の製造方法に
おいて、紡糸時、糸の強度が低下しないこと、並びに、
粒子の凝集を起こさないこと、特に、芯鞘構造を有する
繊維の鞘部あるいは、接合構造を有する繊維の一部又は
部分的に目的の粒子を含有させる製造方法において、操
作面で安定的に紡糸できること、すなわち、繊維の品質
を低下させないで紡糸することができる粒子含有繊維の
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の課題について鋭意検討した結果、繊維体に粒子を含有
する粒子含有繊維の製造方法において、粒子に含有する
水分量を特定した粒子を溶融した樹脂に配合して紡糸す
ることにより、上記目的の粒子含有繊維の製造方法が得
られることを見い出し、本発明を完成するに至ったので
ある。すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)に存する。 (1) 繊維に粒子を含有する粒子含有繊維の製造方法にお
いて、粒子に含有する水分量が0.2%以下の粒子を溶
融した樹脂に配合して紡糸することを特徴とする粒子含
有繊維の製造方法。 (2) 粒子分散剤を溶融した樹脂に配合して紡糸する上記
(1)記載の粒子含有繊維の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明方法は、繊維に粒子を含有する粒
子含有繊維の製造方法において、粒子に含有する水分量
が0.2%以下の粒子を溶融した樹脂に配合して紡糸す
ることを特徴とするものである。
【0008】本発明方法において、粒子を含有せしめる
繊維の形態としては、例えば、複合繊維〔芯鞘構造の鞘
部、接合構造(片方、又は一部、部分的)、中空構造、
分割構造〕又は単一繊維(単一構造、中空構造、芯鞘構
造、接合構造)が挙げられ、好ましくは、芯鞘構造、接
合構造(片方、又は一部、部分的)、単一構造、中空構
造、分割構造から選ばれるいずれかの構造を有する繊維
(複合繊維又は単一繊維)が望ましい。複合繊維として
は、好ましくは、異なる樹脂成分又は(同一樹脂でも)
軟化点が異なる樹脂成分からなり、芯鞘構造、接合構
造、または分割構造を有するものが望ましい。また、単
一繊維は、同一樹脂で、かつ同一軟化点を有する単一構
造をとるが、形態として芯鞘構造、接合構造、または中
空構造を有する形態も含むものである。複合繊維は、繊
維種(樹脂)が同一でも良いし、異なっていても良く、
また、単一繊維(樹脂)で同一融点で、かつ同一軟化点
を有するものであってもよく、特に、中空繊維は、繊維
種(樹脂)が同一の方が好ましい。また、分割繊維は、
繊維種(樹脂)が異なっている方が好ましい。芯鞘構造
と接合構造は、樹脂が同一でも良いし、異なっていても
良い。更に、単一構造を有する繊維は、単独の繊維(樹
脂)でもよいし、樹脂の混合(ミックス)による繊維で
も良いものである。更にまた、芯鞘構造を有する繊維
は、単一繊維(同一樹脂で、かつ同一軟化点を有する)
又は複合繊維(異なる樹脂成分又は軟化点の異なる樹脂
成分)であっても良く、外側に分布する粒子を含有する
繊維であれば、特に限定されない。
【0009】本発明方法において、目的(用途)によっ
て、芯鞘構造の鞘部や芯部のみに粒子を配合したり、芯
部/鞘部の両方に粒子を配合させることができる。特
に、粒子の機能を発現させるためには、芯鞘構造を有す
る鞘部又は単一繊維の外周辺に粒子を配合することが望
ましい。また、接合構造を有する繊維も同様、単一繊維
(同一樹脂で、かつ同一軟化点を有する)又は複合繊維
(異なる樹脂成分又は軟化点の異なる樹脂成分)であっ
てもよい。接合構造を有する繊椎では、一対の繊維の少
なくとも一部又は部分的に粒子を含有する繊維であれば
特に限定されない。
【0010】上記各種の構造を有する繊維等は、好まし
くは、疎水性樹脂から構成される疎水性繊維からなるも
のが望ましい。疎水性繊維の樹脂としては、例えば、ポ
リオレフイン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ
エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(ビ
ニリデン、塩化ビニリデン)、ポリアクリルニトリル、
モダクリル、ポリウレタン、アクリル、アクリル系、ポ
リスチレン、ナイロン、アセテート、ポリアルキレン並
びにこれらの組み合わせ及びこれらの共重合体からなる
樹脂が挙げられる。用いる樹脂は、上記1種又は2種以
上の樹脂から選ばれる。特に、芯鞘構造の鞘部、接合構
造(片方、又は一部、部分的)、中空構造、分割構造を
有する繊維の樹脂としては、ポリオレフイン(ポリエチ
レン、ポリプロピレン)、ポリエステル、ナイロンが好
ましい。
【0011】具体的に例示すれば、芯部と鞘部の軟化点
が150℃のポリプロピレンあるいは、芯部と鞘部の軟
化点が、130〜160℃のポリプロピレンからなる芯
鞘構造の繊維(単一繊維)、すなわち、芯部と鞘部が同
一樹脂で、かつ同一軟化点を有する単一繊維の場合、芯
部と鞘部は軟化点が同じ樹脂からなり、外側周辺に粒子
が分布する繊維が挙げられる。また、芯部と鞘部がポリ
プロピレン(軟化点150℃)とポリエチレン(軟化点
130℃)からなる異なる樹脂成分の芯鞘構造を有する
繊維(複合繊維)や、芯部と鞘部がポリプロピレン(軟
化点150℃)とポリプロピレン(軟化点130℃)か
らなる軟化点の異なる樹脂成分の芯鞘構造を有する繊維
(複合繊維)も含むものである。すなわち、芯部と鞘部
が異なる樹脂成分又は異なる樹脂成分からなる複合繊維
の場合は、芯部ポリプロピレンと鞘部ポリエチレンの組
み合わせ、あるいは、軟化点の異なるポリプロピレンや
ポリエチレンの組み合わせ等からなり、外側周辺に粒子
が分布する繊維である。また、接合構造を有する繊維も
同様で、単一繊維(同一樹脂で、かつ同一軟化点を有す
る繊維)あるいは、複合繊維(異なる樹脂成分又は異な
る樹脂成分)の一対の繊維形態が挙げられる。一対(片
方と一方)の樹脂の軟化点が、150℃のポリプロピレ
ンあるいは、軟化点が、130〜160℃のポリプロピ
レンからなる接合構造の繊維(単一繊維)、すなわち、
一対(片方と一方)の樹脂が同一樹脂で、かつ同一軟化
点を有する単一繊維の場合、一対の繊維の少なくとも一
部又は部分的に粒子が分布する繊維である。また、一対
(片方と一方)の樹脂がポリプロピレン(軟化点150
℃)とポリエチレン(軟化点130℃)からなる異なる
樹脂成分の接合構造を有する繊維(複合繊維)、更に、
一対(片方と一方)の樹脂が、ポリプロピレン(軟化点
150℃)とポリプロピレン(軟化点130℃)からな
る軟化点の異なる樹脂成分の接合構造を有する繊維(複
合繊維)も含むものである。すなわち、一対(片方と一
方)の樹脂が、異なる樹脂成分又は軟化点が異なる樹脂
成分からなる複合繊維の場合は、一対(片方と一方)の
樹脂がポリプロピレンとポリエチレンの組み合わせ、あ
るいは、軟化点の異なるポリプロピレンとポリエチレン
の組み合わせ等からなり、一対の繊維の少なくとも一部
又は部分的に粒子が分布する繊維である。
【0012】また、上記芯鞘構造を有する複合繊維とし
ては、好ましくは、芯部は、ポリエステル、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリアミド等の各種合成樹脂繊維
が使用され、鞘部の合成樹脂繊維には、芯部と同一の樹
脂で同一の融点からなる繊維あるいは芯部の合成樹脂の
融点より少なくとも20℃以下の融点からなる繊維であ
るものが望ましい。芯部と鞘部の合成樹脂繊維は、同系
列のものが望ましいが、親和性があれば、異なる合成樹
脂繊維の組み合わせでも良い。例えば、複合繊維が、ポ
リエステルの場合、軟化点(融点)が240℃以上のポ
リエステルを芯成分又は接合構造の一方の成分とし、軟
化点が100〜170℃のポリエステルを鞘成分成分と
した複合繊維、あるいは、軟化点が160℃のポリプロ
ピレンを芯成分とし、軟化点が同一の160℃のポリプ
ロピレンを鞘成分とした複合繊維等が挙げられる。特
に、ポリエステル繊維、ポリオレフイン繊維(ポリエチ
レン繊維、ポリプロピレン繊維)、ポリアミド繊維の組
み合わせからなる複合繊維が望ましい。
【0013】本発明方法において、粒子を含有する繊維
の形態としては、例えば、芯鞘型複合繊維(同心円型、
偏心型)や、接合型(サイドバイサイド型)複合繊維、
中空繊維、分割繊維が挙げられる。その他、立体捲縮を
発現しやすい繊維を使用すれば、低密度のシート体(不
織布)等を容易に製造することが可能となる。上記繊維
形態〔芯鞘構造、2種繊維の接合構造〕の組み合わせと
して、例えば、ポリエステル繊維/ナイロン繊維、ポリ
エステル繊維/ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維
/アクリル繊維、ポリエステル繊維/ポリエチレン繊
維、ポリエチレン繊維/ポリプロピレン繊維、ポリエチ
レン繊維/アクリル繊維、ポリエチレン繊維/ナイロン
繊維、ポリプロビレン繊維/アクリル繊維、ポリプロピ
レン繊維/ナイロン繊維が挙げられる。特に、芯鞘構
造、接合構造及び分割構造では、ポリエステル繊維/ポ
リプロピレン繊維、ポリエステル繊維/ポリエチレン繊
維、ポリエチレン繊維/ポリプロピレン繊維、あるい
は、ポリエステル繊維/ポリエステル繊維、ポリエチレ
ン繊維/ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維/ポリ
プロピレン繊維が好ましい。中空構造では、ポリエステ
ル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維が挙げ
られるが、好ましくは、ポリプロピレン繊維が望まし
い。
【0014】本発明方法において、芯鞘型複合繊維(同
心円型、偏心型)には、上述の如く、芯部及び鞘部に用
いる繊維種(樹脂)が異なる成分〔同一繊維(樹脂)で
も融点が異なる〕又は同一の繊維でもその融点が同一の
繊維も、この複合繊維に含むものである。また、接合型
複合繊維についても同様に、接合する繊維種が同一でも
よいし、異なっても良い。また、同一繊維で融点が同一
又は異なるものも含むものである(例えば、サイドバイ
サイド型(sidebyside type)又はbimetal type等)。
【0015】本発明方法において、粒子含有繊維の繊度
(太さ)は、30デニール(d)以下の繊度が望ましい
が、特に限定されるものではない。特に、1.5デニー
ル〜20デニールの繊維が好ましい。芯鞘型複合繊維の
芯成分の繊度は、複合繊維全体の織度の1/1.5〜1
/6であることが望ましい。芯部と鞘部の樹脂質量の比
率は、40/60〜80/20の範囲が好ましい。ま
た、上記各種構造の繊維は、5〜160mmの範囲にカ
ットされることが好ましい。特に、5〜80mmの範囲
にカットされていることがより好ましい。さらに、捲縮
が付与していることが望ましい。
【0016】本発明方法では、粒子を溶融した樹脂に配
合して紡糸することにより、上記各種構造となる粒子含
有繊維が製造されるものであるが、配合する粒子に含有
する水分量は、0.2%以下とすることが必要であり、
好ましくは、水分量を0.15%以下、更に好ましく
は、0.005〜0.1%の範囲が特に望ましい。粒子
に含有する水分量が0.2%を越えるものであると、紡
糸時、糸の強度の低下や、粒子の凝集が起こりやすくな
り、繊維の品質を低下させないで紡糸することができな
くなり、特に、芯鞘構造を有する繊維の鞘部あるいは、
接合構造を有する繊維の一部又は部分的に目的の粒子を
含有させる製造方法では、操作面で安定に紡糸できず、
繊維の品質の低下を招くこととなり、好ましくない(こ
の点については更に後述する実施例等で説明する)。
【0017】本発明方法で用いる(配合する)粒子は、
水分量が0.2%以下となる粒子であれば、粒子の種類
等は、特に限定されるものではない。また、粒子の形状
も、特に限定されるものではなく、例えば、球状、フレ
ーク状、不定形などが挙げられ、好ましくは球状が望ま
しい。本発明方法で用いることができる粒子としては、
材料種別でみると、例えば、酸化金属物等の無機鉱物
系、炭粒子、木炭粒子、活性炭粒子、備長炭粒子などの
無機物系、フッ素樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、ABS
樹脂、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、尿素
樹脂などの樹脂系(ポリマービーズ)などが挙げられ、
また、用途別にみると、例えば、水酸化アルミニウム、
ゼオライト、炭酸カルシウムなどの無機物系の研磨性粒
子、フッ素樹脂粒子、シリコン樹脂粒子などの撥水性粒
子、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムなどの吸湿粒
子、備長炭や活性炭などの吸着粒子などが挙げられる。
本発明方法では、特定水分量(0.2%以下)となる上
記各種の粒子を溶融した樹脂に配合して紡糸することに
より、上記各種構造となる粒子含有繊維が製造されるこ
ととなり、また、用いる粒子が無機物系の研磨性粒子で
あれば研磨性粒子含有繊維が製造され、用いる粒子がフ
ッ素樹脂粒子、シリコン樹脂粒子などの撥水性粒子であ
れば撥水性粒子含有繊維が製造され、粒子が硫酸マグネ
シウム、塩化カルシウムなどの吸湿粒子であれば吸湿粒
子含有繊維が製造され、粒子が備長炭や活性炭などの吸
着粒子であれば、吸着粒子含有繊維が製造されることと
なる。
【0018】本発明方法で用いる好ましい粒子として
は、モース硬度が2〜9、更に好ましくは、2〜6の粒
子が望ましい。硬度が2〜9の粒子としては、例えば、
水酸化アルミニウム(モース硬度2.5)、ゼオライト
(モース硬度4.0)、炭酸カルシウム(モース硬度
3.0)、第ニリン酸カルシウム無水物(モース硬度
3.5)、第三リン酸カルシウム無水物(モース硬度
5.0)、ヒドロキシアパタイト(モース硬度5.
0)、その他、シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、合成
ケイ酸アルミニウム、複合アルミノケイ酸塩、炭酸マグ
ネシウム、ピロリン酸カルシウム、メタ燐酸ナトリウ
ム、燐酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニ
ウム、圭石、長石、タルク、蛍石、リン灰石、黄玉、ザ
クロ石、溶融ジルコニア、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ガ
ラスビーズ等が挙げられる。特に、水酸化アルミニウム
(モース硬度2.5)、ゼオライト(モース硬度4.
0)、炭酸カルシウム(モース硬度3.0)、第ニリン
酸カルシウム無水物(モース硬度3.5)、第三リン酸
カルシウム無水物(モース硬度5.0)、ヒドロキシア
パタイト(モース硬度5.0)が望ましい。
【0019】また、本発明方法において用いることがで
きる撥水性粒子としては、撥水性を付与せしめることが
できる樹脂粒子であれば特に限定されるものではない
が、好ましくは、耐薬品性、電気絶縁体、低摩擦性、耐
侯性、耐溶剤性に優れているフッ素樹脂粒子、フッ素樹
脂含有粒子、シリコン樹脂粒子、シリコン樹脂含有粒
子、ゴム粒子及び疎水化処理粒子から選ばれる1種又は
2種以上が望ましい。上記フッ素樹脂粒子、フッ素樹脂
含有粒子に用いるフッ素系樹脂としては、例えば、四フ
ッ化エチレン樹脂(PTFE:ポリテトラフルオロエチ
レン)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合
体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ET
FE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体
(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン―フッ化ビニリデン共重合
体、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレ
ン系共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリ
デン−プロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン
−プロピオン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキ
サフルオロプロピレン―プロピレン共重合体、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)―テトラフル
オロエチレン共重合体、パーフルオロ(アルキルビニル
エーテル)―テトラフルオロエチレン系共重合体フッ化
ビニル系重合体、フッ化ビニリデン系重合体、フッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ
化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン―テトラフル
オロエチレン系共重合体樹脂が挙げられる。これらの中
で、特に、四フッ化エチレン樹脂(PTFE:ポリテト
ラフルオロエチレン)からなる粒子が好ましい。このP
TFEは、広い温度範囲、耐薬品性、電気絶縁体、低摩
擦性、耐侯性、耐溶剤性が更に優れているからである。
【0020】また、フッ素系樹脂には、官能基を含有す
るフッ素樹脂も含まれる。官能基含有フッ素樹脂は、特
に限定されずに、広範囲なものが使用できる。例えば、
フルオロオレフィン及びこれと共重合可能なモノマーで
あれば何でも良い。フルオロオレフィンとしては、テト
ラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ト
リフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオ
ロプロピレン、ペンタフルオロプロピレンなどの炭素数
2又は3のフルオロオレフィンが挙げられる。また、フ
ルオロオレフィンと共重合可能なモノマーとしては、例
えば、ビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、ア
リルエーテル、カルボン酸アリルエステル、イソプロペ
ニルエーテル、カルボン酸イソプロペニルエーテル、メ
タリルエーテル、カルボン酸メタクリルエーテル、α―
オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ルなどから選ばれる1種以上のモノマーが挙げられる。
上記ビニルエーテルとして、例えば、エチルビニルエー
テル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテル、フルオロアルキル
ビニルエーテル、パーフルオロ(アルキルビニルエーテ
ル)などアルキルビニルエーテルが挙げられる。上記カ
ルボン酸ビニルエステルとしては、分岐状のアルキル基
を有するベオバー10(シェル化学製商品名)、酢酸ビ
ニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどの
脂肪酸ビニルエステル類が例示される。アリルエーテル
として、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリル
エーテルなどのアルキルアリルビニルエーテルが例示さ
れる。カルボン酸アリルエステルとして、プロピオン酸
アリル、酢酸アリルなどの脂肪酸アリルエステルが例示
される。上記イソプロペニルエーテルとしては、メチル
イソプロペニルエーテルなどのアルキルイソプロペニル
エーテルが例示される。α―オレフィンとして、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレンなどが例示される。な
お、フルオロオレフィン(モノマー)の共重合割合が少
なすぎると、撥水性が十分に発揮されないこととなるの
で、上記フルオロオレフィンと共重合可能なモノマーか
らなるフッ素樹脂では、フルオロオレフィンに基づく重
合単位が共重合体中30〜70モル%の割合、特に、4
0〜60モル%の割合である共重合体が好ましい。
【0021】更に、水酸基またはカルボキシル基を含む
フッ素樹脂も挙げられる。例えば、クロロトリフルオロ
エチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリ
デンなどの含フッ素オレフィン類と水酸基またはカルボ
キシル基を含むモノマーを共重合したものが挙げられ
る。また、これに必要に応じて、他のモノマーを共重合
させても良い。上記水酸基を含むモノマーとして、ヒド
ロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニル
エーテルなどの水酸基を有するビニルエーテル類、エチ
レングリコールモノアリルエーテルなどのアリルエーテ
ル類などが例示される。上記カルボキシル基を含むモノ
マーとして、クロトン酸、ウンデゼン酸などの不飽和酸
化合物が例示される。また、カルボキシル基は、水酸基
を有するフッ素樹脂に無水コハク酸、無水フタル酸など
を高分子反応によりハーフエステル化して、カルボン酸
基を導入したものであっても良い。また、他のモノマー
として、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニル
エーテル、ノニルビニルエーテルなどの鎖状または脂環
状のアルキルビニルエーテル、ピバリン酸ビニル、バー
サチック酸ビニル、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニル
エステル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン
類、ブチルアリルエーテルなどのアリルエーテル類など
が例示される。水酸基またはカルボキシル基を含むフッ
素樹脂は、含フッ素オレフィン類を好ましくは20〜8
0モル%、さらに30〜70モル%の割合で共重合させ
た含フッ素オレフィン系共重合体が好ましい。また、フ
ルオロオレフィン/イソブチレン共重合体と無水マレイ
ン酸/イソブチレン共重合体からなるフッ素樹脂でも良
い。
【0022】また、シリコン樹脂粒子、シリコン含有樹
脂粒子は、一般に、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、撥水
性、潤滑性などの特性を有するものである。シリコン樹
脂粒子は、シロキサン結合が、(CH3SiO3/2)で表
わせる3次元網目状に架橋した構造を有する粒子であれ
ば特に限定されず、例えば、ポリオルガノシルセスキオ
キサン(ポリメチルシルセスキオキサン)硬化物の樹脂
粒子が挙げられる。具体的には、商品名:KMP60
0、X−52−1139G、KMP110、KMP11
5、KMP597、KMP598、KMP594、KM
P595、X−52−875、KMP590、X−52
−854、X−52−821、X−52−830、X−
52−831、X−52−1034、X−52−103
3、X−52−854、X−52−1032、X−52
−1186(信越化学工業社製)のシリコーン樹脂粒子
や、商品名:トスパール105、トスパール120、ト
スパール130、トスパール145、トスパール312
0、トスパール240、トスパール2000B(東芝シ
リコーン社製)のシリコーン樹脂粒子や、商品名:トレ
フィルE―500、501、505C、506Cの50
0シリーズ、E―600、601、602、603の6
00シリーズ、E―730Sの700シリーズ、E―8
50の800シリーズ(東レ・ダウコーニング・シリコ
ーン社製)の架橋型シリコンの樹脂粒子、商品名:トレ
フィルF−100、101の100シリーズ(疎水化シ
リカパウダー)、トレフィルR−900,901,90
2,925,930の900シリーズ(シリコーンレジ
ンパウダー)〔共に東レ・ダウコーニング・シリコーン
社製〕の粒子が挙げられる。
【0023】また、シリコン含有樹脂粒子としては、例
えば、シリコーンゴム粒子などが挙げられる。このシリ
コーンゴム粒子は、直鎖状のジメチルポリシロキサンを
架橋した構造を有するシリコーンゴム粒子(シリコーン
ゴム硬化物)であり、形状は球状あるいは不定形の粒子
である。具体的には、商品名:KMP597、KMP5
98、KMP594、KMP595(信越化学工業社
製)、商品名:トレフィルE−500,E501,E6
00,E601,E603、E730S(東レ・ダウコ
ーニング・シリコーン社製)のシリコーンゴム粒子が挙
げられる。更に、球状シリコーンゴム粒子の表面をシリ
コーン樹脂で被覆したものも使用することができる。例
えば、信越化学工業社製の商品名:シリコン複合粒子
(KMP600、X−52−1139G、X−52−1
139K)、トレフィルR−900,R901,R90
2,R925,R930(東レ・ダウコーニング・シリ
コーン社製)が挙げられる。これらの粒子は、シリコン
複合粒子で、球状シリコーンゴム粒子表面を更にシリコ
ーン樹脂で被覆したものである。また、シリコーングラ
フトアクリル樹脂〔シリコーンマクロモノマー(ジメチ
ルポリシロキサン)と(メタ)アクリル酸メチルのアク
リル酸系モノマーとの共重合体(例えば、商品名:X−
22−8084、ガラス転移点:40℃、白色粉体、信
越化学工業社製〕となる非反応性グラフト樹脂も使用す
ることができる。更に、シリコーン樹脂粒子として、ト
スパール(東芝シリコーン社製)が挙げられる。例え
ば、シリコーンパウダーとして、トスパール2000B
などが挙げられる。
【0024】更にまた、疎水化処理粒子としては、例え
ば、疎水化シリカ粒子の表面を疎水化して撥水性を付与
したものが挙げられる。例えば、球状のアモルファスシ
リカ表面をシリコーン処理した合成シリカ粒子である。
具体的には、疎水化シリカ粒子〔商品名:KMP11
0、KMP105(信越化学工業社製)、商品名:トレ
フィルF−101,F−101(東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製)〕が挙げられる。また、ゴム粒子
は、天然ゴムや合成ゴムから得られるものが挙げられ
る。合成ゴム粒子として、例えば、NBR粒子(アクリ
ロニトリル・ブタジエンゴム)、IR粒子(イソプレン
ゴム)、EPT粒子又はEPDM粒子(エチレン・プロ
ピレンゴム)、SBR粒子、ハイスチレンゴム粒子、B
R(ブタジエンゴム)粒子、MBS(ブタジエン・スチ
レン・メチルメタククリレート)粒子、IIR粒子(ブ
チルゴム)が挙げられる。天然ゴム粒子としては、例え
ば、シス―1,4―ポリイソプレン(分子量が約100
0〜数百万)よりなるものが挙げられる。生ゴムは、熱
可塑性高分子であるが、加硫により3次元網目構造を有
する粒子としたものが使用できる。
【0025】これらの粒子の含有率は、繊維に対して、
0.1〜30%の範囲で、特に、0.5〜25%の範囲
が好ましい。なお、芯鞘構造を有する繊維の鞘部、接合
構造を有する繊維の場合等は、芯鞘構造の鞘部、接合構
造の一方の繊維に対して、0.1〜30%の範囲で、単
一構造の繊維に対しては該繊維に対して、0.1〜30
%の範囲で含有されることとなる。粒子の含有率が当該
繊維に対して0.1%未満であると、粒子を含有せしめ
る効果が得られず、また、30%を越えて含有しても、
粒子を含有せしめる効果は変わらないが、経済性に劣る
と共に、生産性が低下し、好ましくない。また、繊維に
含有する粒子は、上述の如く、水分量が0.2%以下で
あると共に、好ましくは、平均粒径が0.05〜30μ
mの範囲であることが望ましく、特に、平均粒径が0.
1〜20μmの範囲が特に好ましい。粒子の平均粒径が
0.05μm未満であると、性能は変わらないが、取り
扱いが困難となり、また、30μmを越えるものである
と、繊維の製法において、生産性が低下し、好ましくな
い。更に、粒子の大きさは、450メシュ以上のパス品
が好ましい。特に、700メシュ以上のパス品が望まし
い。
【0026】本発明方法で用いる上記各種等の粒子の水
分量を0.2%以下とする調整方法は、粒子の物性を損
なうことなく、水分量を0.2%以下とする方法であれ
ば、特に限定されるものではなく、例えば、100℃以
上の乾燥器により、水分を蒸発する方法、若しくは、有
機溶媒(例えば、エタノールなどの150℃以下の溶
剤)を用いて水分を除去する方法などが挙げられる。ま
た、本発明方法において、単一繊維又は複合繊維(芯鞘
構造の鞘部、接合構造、空中構造、分割構造の片方又は
一部分)等の繊維に上記各種の粒子を含有させる方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、原料モノマ
ーに添加混合後重合する方法、反応中間体に添加混合す
る方法、重合終了後に添加混合する方法、ポリマーペレ
ットに添加混合して溶融する方法、紡糸原液へ添加混合
する方法などが挙げられる。好ましくは、紡糸直前に添
加混合する方法が望ましい。また、良好な粒子の分散の
ためにモノマーに添加混合することが好ましい場合もあ
る。また、本発明方法において、複合繊維(芯鞘構造の
鞘部、接合構造、空中構造、分割構造の片方)に含有さ
せる複合化技術は、例えば、コソジュゲート紡糸技術を
利用して複合繊維の鞘部に粒子を含有する芯鞘構造又は
接合構造を有する複合繊維が作られる。
【0027】更に、本発明方法において、水分量が0.
2%以下の上記各種の粒子を溶融した樹脂に配合して紡
糸する際に、粒子分散剤を溶融した樹脂に配合して紡糸
することが好ましい。粒子分散剤を溶融した樹脂に配合
することにより、紡糸時、粒子の凝集が更に起きにくく
なり、また、操作面で安定的に紡糸できると共に、繊維
の品質を更に向上することができることとなる。粒子分
散剤としては、例えば、リン化合物、具体的には、リン
酸、亜リン酸、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モ
ノエステル、リン酸ジエステル、ホスホン酸及びこれら
の誘導体(例えば、リン酸トリメチルエステル、リン酸
トリブチルエステル)などが挙げられ、これら1種又は
2種以上を併用することができる。粒子分散剤の配合量
は、繊維種、粒子種、製法などにより変動するものであ
るが、繊維全量に含まれる含有粒子に対し、リン原子
(P)として、0.3〜5%の範囲で、特に、0.5〜
3%の範囲が好ましい。粒子分散剤の配合量が0.3%
未満であると、粒子分散剤を配合せしめる効果が得られ
ず、また、5%を越えて配合すると、粒子間の凝集粒子
を形成して粗大粒子を生じ、繊維の生産性が低下するの
で、好ましくない。また、上記の粒子分散剤の添加は、
樹脂の製造(繊維の原料となる樹脂)、すなわち、重合
反応が完了する迄の任意の段階で、あるいは重合反応完
了後から溶融混練を行う迄の段階で行うことができる。
通常、重合反応が完了する迄の段階で添加するが、場合
によっては、繊維樹脂のチップ表面にまぶして混練押出
機に供給することができる。
【0028】本発明方法において製造される粒子含有繊
維の具体的態様としては、例えば、図1(a)〜(g)
及び図2(a)〜(e)に示す態様の繊維などが挙げら
れる。具体的には、図1(a)は単一構造の繊維10内
に粒子11を含有せしめたものである。図1(b)〜
(d)は、夫々接合構造となる複合繊維の少なくとも一
部に撥水性粒子を含有せしめたものであり、図1(b)
は2種の繊維10a,10bからなる一方の繊維10a
に粒子11aを含有せしめたものであり、図1(c)は
3種の繊維10a,10b,10cからなる繊維のうち
の少なくとも一つに粒子11aを含有せしめたものであ
り、図1(d)は4種の繊維10a,10b,10c,
10dからなる繊維のうちの少なくとも一つ(本実施形
態では二繊維に)粒子11aを含有せしめたものであ
る。図1(e)は、芯鞘構造(芯部20a,鞘部20
b)からなる複合繊維の鞘部20bに粒子11aを含有
せしめたものである。
【0029】図1(f)〜(g)は、分散型複合繊維か
らなる繊維の少なくとも一部に粒子を含有せしめたもの
であり、図1(f)は放射状構造(放射状部30a,そ
れ以外の残部30b)からなる複合繊維の残部30bに
粒子11aを含有せしめたものである。図1(g)は、
多重並列構造を有する複合繊維からなる繊維の少なくと
も一部又は全体に粒子を含有せしめたものであり、具体
的には、多重並列構造(層状部40a、それ以外の残部
40b)からなる複合繊維の残部40bに粒子11aを
含有せしめたものである。
【0030】図2(a)は、分割構造を有する複合繊維
からなる繊維の少なくとも一部又は全体に粒子を含有せ
しめたものであり、具体的には、分割構造(扇形部50
a、50b)からなる複合繊維の一部50bに粒子11
aを含有せしめたものである。なお、この分割繊維は、
高圧水流によりエッジ付きの繊維に分割された後、各種
製造法により、編物、織物、シート体などの繊維物に加
工される。図2(b)〜(e)は、夫々中空構造を有す
る複合繊維からなる繊維の少なくとも一部又は全体に粒
子を含有せしめたものである。図2(b)は、中空構造
(円形部60bと空洞部60a)からなる複合繊維の一
部60bに粒子11aを含有せしめたものである。図2
(c)は、中空構造(三角部70bと空洞部70a)か
らなる複合繊維の一部70bに粒子11aを含有せしめ
たものである。図2(d)は、中空構造(四角形部80
bと空洞部80a)からなる複合繊維の一部80bに粒
子11aを含有せしめたものである。図2(e)は、中
空構造(四角形部90bと空洞部90aが4つ)からな
る複合繊椎の一部90bに粒子11aを含有せしめたも
のである。
【0031】上記図1(a)〜(g)及び図2(a)〜
(e)に示す態様の繊維の中で、好ましくは、生産性、
経済性(コスト)の点から、図1(a)の単一構造の繊
維に粒子を含有せしめたもの、図1(b)〜(d)の接
合構造の片方又は一部に粒子を含有せしめたもの、図1
(e)の芯鞘構造の鞘部に粒子を含有せしめたものが望
ましい。本発明方法において製造される粒子含有繊維
は、繊維内の少なくとも一部に特定水分量となる粒子を
配合して製造される粒子含有繊維であれば、上記図1
(a)〜(g)及び図2(a)〜(e)に示す態様の繊
維に限定されるものではなく、また、その構造、形状な
どは特に限定されるものではない。
【0032】また、本発明方法により得られた粒子含有
繊維は、織物、編物またはその繊維を使用して製造され
る不織布(例えば、研磨性不織布、撥水性不織布、吸湿
性不織布、吸着性不織布等)、並びに、これらの織物、
編物または不織布から構成されるシート体などの繊維物
に好適に使用することができ、また、これらは1種又は
2種以上を組み合わせることができる。なお、上記でい
う「繊維物」とは、本発明方法で製造された粒子含有繊
維を使用した織物、編物またはその繊維を使用して製造
される不織布、並びに、これらの織物、編物または不織
布から構成されるシート体などをいう。なお、これらの
繊維物の構造、形状は特に限定されるものでないもので
ある。
【0033】このように構成される本発明の粒子含有繊
維の製造方法では、粒子に含有する水分量が0.2%以
下の粒子を溶融した樹脂に配合して紡糸することによ
り、紡糸時、糸の強度が低下することなく、また、粒子
の凝集が生じることなく製造することができ、特に、芯
鞘構造を有する繊維の鞘部あるいは、接合構造を有する
繊維の一部又は部分的に目的の粒子を含有させる製造な
どにおいては、操作面で安定的に紡糸できると共に、繊
維の品質を低下させることなく紡糸することができるも
のとなる。本発明方法により得られる粒子含有繊維は、
用いる粒子により、研磨性粒子含有繊維、撥水性粒子含
有繊維、吸湿粒子含有繊維、吸着粒子含有繊維などが製
造されることとなる。
【0034】また、これらの粒子含有繊維は、各種用途
において応用できる。例えば、撥水性粒子を含有した繊
維であれば、コンタクトレンズ用洗浄シート、洗浄用
具、特に身体用洗浄用具(すべり性、光沢性、撥水性を
有する繊維物)、ジュータン、カーペット、レインコー
ト、袋、手袋など撥水効果を付与した織物、不織布、編
織物に利用でき、研磨性粒子を含有した繊維であれば、
洗浄シート、洗浄用具など研磨効果を付与した織物、不
織布、編織物に利用でき、吸湿性粒子を含有した繊維で
あれば、吸湿シート体、吸湿用具など吸湿効果を付与し
た織物、不織布、編織物に利用でき、更に、吸着性を使
用した繊維であれば、消臭シート体、消臭用具など吸着
効果を付与した織物、不織布、編織物に利用できるもの
となる。なお、本発明方法において、製造される繊維に
は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、
界面活性剤(アニオン、ノニオン、カチオン、両性)、
キレート剤、増粘剤(水溶性高分子)、溶剤、香料、p
H調整剤、色素、保湿剤、抗菌剤、紫外線防止剤、酸化
防止剤、帯電防止剤、顔料、染料、洪抗酸化物などを適
時配合することができる。特に、口腔内に使用する繊維
であれば、安全性が確認させた基材、剤が選定させる。
【0035】
【実施例】次に、実施例及び比較例により、本発明を更
に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0036】〔実施例1〜40及び比較例1〜24〕 (1) 実施例1〜9、29〜32及び比較例1〜4、13
〜16(芯鞘構造を有する繊維の製造方法) 下記表1又は5に示す芯部の樹脂と、鞘部となる樹脂と
を、それぞれの溶融装置に供給した。次に、溶融した鞘
部の樹脂装置に下記表1又は5に示す特定水分量を含む
粒子を下記表1又は5に示す設定量になるように供給装
置より添加混合し溶融紡糸して芯鞘構造を有する繊維
(8d×76mm)を製造した。 (2) 実施例10〜18、33〜36及び比較例5〜8、
17〜20(接合構造を有する繊維の製造方法) 下記表2又は6に示す成分の樹脂と、B成分となる樹脂
とを、それぞれの溶融装置に供給した。次に、溶融した
B成分となる樹脂の樹脂装置に下記表2又は6に示す特
定水分量を含む粒子を設定量になるように供給装置より
添加混合し溶融紡糸して接合構造を有する繊維(10d
×76mm)を製造した。
【0037】(3) 実施例19〜24、37〜38及び比
較例9〜10、21〜22(中空構造を有する繊維の製
造方法) 下記表3又は7に示す樹脂を溶融装置に供給した。次
に、溶融した樹脂装置に下記表3又は7に示す特定水分
量を含む粒子を設定量になるように供給装置より添加混
合して溶融紡糸して中空構造を有する繊維(20d×7
6mm)を製造した。 (4) 実施例25〜28、39〜40及び比較例11〜1
2、23〜24(分割構造を有する繊維の製造方法) 下記表4又は8に示すA成分の樹脂とB成分となる樹脂
とをそれぞれの溶融装置に供給した。次に、溶融したB
成分となる樹脂の樹脂装置に下記表4又は8に示す特定
水分量を含む粒子を設定量になるように供給装置より添
加混合し溶融紡糸して分割構造(16分割)を有する繊
維(10d×76mm)を製造した。
【0038】上記実施例1〜40及び比較例1〜24に
用いた粒子の水分率の測定等、並びに、製造時の操作性
(操業性)の評価、得られた各繊維の強度を下記評価方
法等により評価等した。これらの結果を下記表1〜8に
示す。
【0039】(水分率の調製及び測定方法)粒子の水分
量に関しては、乾燥器(100℃〜150℃の熱風)な
どを用いて、所定の水分量になるように調整した。添加
する粒子の水分量は、赤外線水分計FD600(Ket
t ELECTRIC LABORATORY)を用い
て測定した。条件は、110℃、30分で行った。 (操業性の評価方法)製糸(紡糸)中おける1日当たり
の糸切れ数を1錘あたり、3回未満の場合を○、3〜6
回を△、6回を越える場合を×として評価した。
【0040】(繊維の強度の評価方法)TOYO BA
LDWIN社製のテンシロンRTM−100型を用い
て、試料長15cm、引張速度0.5cm/分で測定
し、下記評価基準により評価した。 強度の評価基準: ○:ポリプロピレン(ポリエチレン)繊維と比べ強度が
同等以上。 △:ポリプロピレン(ポリエチレン)繊維と比べ強度が
少し低下。 ×:ポリプロピレン(ポリエチレン)繊維と比べ強度が
かなり低下した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】上記表1〜8の結果から明らかなように、
本発明方法の範囲となる実施例1〜40は、本発明方法
の範囲外となる比較例1〜24に比べ、製造時の操作性
を良好であり、得られた各繊維の強度も低下することな
く製造できることが判明した。実施例1〜40をみる
と、粒子に含有する水分量を0.2%以下の粒子とする
ものであれば、粒子が水酸化アルミニウム、リン酸カル
シウム、備長炭、ヒドロキシアパタイト、PTFE樹脂
粒子等の種類をとわず、目的の粒子含有繊維が製造でき
ることが判る。これに対し、比較例1〜24をみると、
粒子に含有する水分量を0.2%を越えるものである
と、製造時の操作性が低下することとなり、また、得ら
れた各繊維の強度も低下などの問題点を生じることが判
る。
【0050】〔実施例41:粒子分散剤添加の粒子含有
繊維の製造方法〕ジメチルテレフタレート100部とエ
チレングリコール70部を酢酸マンガン4水和物0.0
35部を触媒として、常法に従ってエステル交換を反応
させた後、リン酸トリメチルを、リン原子(P)が混練
しようとする所定量の水酸化アルミニウム粒子、アフロ
ン粒子(PTFE樹脂粒子)に対して2%の量となるよ
うに添加した。次いで、三酸化アンチモン0.03部を
添加し、高温高真空下で常法に従って重合反応を行っ
て、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)を得
た。次いで、粒子含有繊維(芯鞘構造、接合構造、中空
構造)の製造においては、上記作製したポリエステルを
用いて、実施例1、実施例5、実施例10、実施例1
4、実施例19、実施例31、実施例35の製造法と同
様に、溶融紡糸を行った。その結果、水酸化アルミニウ
ム粒子、アフロン粒子(PTFE樹脂粒子)は溶融樹脂
中において分散が良好であった。また、紡糸後の繊維表
面の粒子分散状況をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観
察した所、繊維表面の粒子が均一に分散し、粗大粒子の
発生がないことが判った。更に、樹脂中にリン化合物
(リン酸トリメチル)を添加することにより、未添加の
場合と比べ、繊維の製造において操作面が向上した。
【0051】
【発明の効果】本発明方法によれば、強度等の物性の低
下を生じることなく、優れた物性の繊維を操業性良く製
造することができる粒子含有繊維の製造方法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(g)は、夫々本発明の粒子含有繊維
の構造の一例を説明する概略横断面図、縦断面図であ
る。
【図2】(a)〜(e)は、夫々本発明の粒子含有繊維
の構造の他例を説明する概略横断面図、縦断面図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB31 DD02 DD03 DD05 DD19 JJ01 JJ03 KK01 KK10 MA01 MA10 4L041 AA07 BA02 BA04 BA05 BA09 BA11 BA21 BA42 BA49 CA36 CA38 CB02 CB04 CB19 CB25 DD01 DD05 DD14 DD21

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維に粒子を含有する粒子含有繊維の製
    造方法において、粒子に含有する水分量が0.2質量%
    以下の粒子を溶融した樹脂に配合して紡糸することを特
    徴とする粒子含有繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 粒子分散剤を溶融した樹脂に配合して紡
    糸する請求項1記載の粒子含有繊維の製造方法。
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