JP6382600B2 - 針振り機構を備えたミシン - Google Patents
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Description
このフリーモーション縫いにおいては、作業者は両手で布を動かすため、ミシンのスピード調整は足踏みコントローラで行われる。
またジグザグ(針振り)縫いの振幅(ジグザグ幅、針振り幅)の程度、即ち振幅量(振幅値)の調整はニーリフター(Knee Lifter)と呼ばれる膝で操作可能な操作手段をもって行われることが普通である。
また、逆に同じ振幅量を維持するように縫う場合もあり、このような同じ振幅を維持するようにニーリフターなどを操作するが難しい問題があった。
特にニーリフターの操作を中間部分で行う場合、例えば最大振幅が9mmのミシンで5mmのジグザグ縫いをするとき、ニーリフターを常に5mmの幅の位置に保つのが難しく、振幅量が統一されない問題がある。また振幅が徐々に広がったり或いは狭まったり、ジグザグ縫いが安定して締麗にできないなどの問題があった。
また、ニーリフターを全く操作しない状態では、直線縫いしかできず、ジグザグ縫いをすることができない、などの問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。
前記振幅範囲設定装置が、前記振幅量の最大値を設定するものであっても良いし、或いは前記振幅範囲設定装置が、前記振幅量の最小値を設定する、ものであっても良い。好適実施例においては、最大値と最小値の両方を制限するものであることが望ましい。
前記操作装置は典型的には、作業者が膝を用いて操作するニーリフターであるが、他の構成の操作装置であっても良い。
前記制御装置が、前記振幅範囲内で、前記操作装置の操作量と前記針振り機構の振幅量を線形に制御しても良いし、或いは前記操作装置の操作量に対して前記針振り機構の振幅量が一定である操作量領域を設けて制御するように構成することが可能である。
更に前記針振り機構による針振り動作の振幅量に対応して、ミシンの運転速度を制御するミシン運転速度制御装置を、備えることも可能である。
また請求項9の発明においては上記構成に加えて、布押さえ上下機構と、ミシンの針が稼働状態か停止状態かを検出する状態検出装置と、前記操作装置の操作が操作検出装置により検出された時、前記状態検出装置によりミシンの針が停止状態の時には、前記布押さえ上下機構を制御して前記操作に応じて布押さえを上下させる布押さえ制御装置と、を備えており、前記操作装置の操作が操作検出装置により検出された時、前記状態検出装置によりミシンの針が稼働状態の時には、前記針振り制御装置が針振り機構を制御して、前記操作量に応じて針振り動作を行わせる、ように構成している。
また最大、最小の振幅量を設定可能になるため、操作装置で最大量操作または最小量操作を行えば、該設定した最大、最小の振幅量で安定したジグザグ縫いを実行できる。
特に操作装置としてニーリフターを用いる場合、使用者は最小又は最大のニーリフターの操作量の位置、即ちニーリフターの回動が停止する下限位置(ゼロ位置)或いは上限位置(MAX位置)まで回動させれば、任意に設定した最大又は最小の振幅量(針振り量)で縫いを行える。そのためニーリフターの微調整をせずにジグザグ縫いの振幅が一定な縫いを行える。また、ニーリフターの下限位置(ゼロ位置)は、ニーリフターの操作を行わない位置であり、ニーリフターの操作を行うことなく設定した最小振幅量でジグザグ縫いが行える。
また請求項9の構成では、針振り機構と布押さえ上下機構の操作を同一の操作装置で兼用できるため、操作装置の削減と作業者の負担軽減の効果がある。
また前記針振り機構による針振り動作の振幅量に対応して、ミシンの運転速度を制御するミシン運転速度制御装置を備えた場合、フリーモーション縫いを行う際に作業性が格段に向上する効果がある。
図1において、制御装置1はミシン全体の制御を行っており、操作装置であるニーリフター2の操作及びその操作量が操作検出装置20により検出され、制御装置1に入力するように構成されている。
制御装置1には、更にミシンが稼働しているか或いは停止しているかの状態を検出する状態検出装置であるミシン上軸位相検出装置3からの信号が入力され、ミシン停止状態か稼働状態かを認識できるように構成されている。また、ミシンの縫い速度も検出できるようになっている。
制御装置1にはまた、布押さえ検出装置4からの信号が入力し、布押さえ上下機構8の状態、即ち布押さえ上下機構8が上がっているか下がっているかの状態を検出するように構成されている。
そして、このニーリフター2の操作量(レバー22の回動量)に応じて針振り機構7のジグザグの振幅を制御するようになっている。即ち、ニーリフター2のゼロ位置においては、最小振幅量でジグザグを行わせ、MAX位置においては最大振幅量でジグザグを行わせるように構成されている。
また前述したように制御装置1は針振り機構7を制御し、針棒上下機構61を幅方向に振って、ジグザグ縫いを実行させるようになっている。この振幅は、前記したように操作検出装置20からのニーリフター2の操作量に応じて変わるように構成されている。
この例では、ニーリフター2のゼロ位置(操作しない位置)で、1mmの振幅量でジグザグ縫いを行い、ニーリフター2のMAX位置で8mmの振幅量でジグザグ縫いを行うことになる。
なお、この実施形態では、針振り機構7が構造的に針振り可能な範囲は最大9mm(絶対最大値)であり、最小0mm(絶対最小値)である。従って、振幅範囲設定装置9で最大値と最小値を設定しない場合には、ニーリフター2により0mmから9mmまでの振幅を制御可能になっている。
また最小値を設定した場合、ニーリフター2の操作量ゼロで、制御装置1は設定した振幅量でジグザグ縫いを実行するため、操作者はニーリフター2を操作することなく、最小値でのジグザグ縫いを行える。
また、最大値を設定した場合には、ニーリフター2の操作量が最大のMAXの位置で設定した最大振幅量でジグザグ縫いを実行するため、操作者はニーリフター2の操作量を調整する必要がなく、最大操作量の位置でニーリフター2を固定すれば良いため、設定した最大振幅量で安定したジグザグ縫いを行える。
Aの例では、最小値が1mmであるから、ニーリフター2の操作量0において、1mmの振幅量でジグザグ縫いを行わせるように制御するようになっている。そこからニーリフター2の操作量に対して振幅量を線形に変化させ、ニーリフター2の操作量最大値のMAXで、最大値9mmの振幅量でジグザグ縫いを行わせるように構成されている。
B及びCの設定例でも、それぞれニーリフター2の操作量ゼロに対して2mmと3mmの振幅量でジグザグ縫いを行わせ、ニーリフター2の操作量最大値のMAXで7mmと5mmの振幅量でジグザグ縫いを行わせるように構成されている。
この構成の場合、最大値と最小値の設定値が異なっても、ニーリフター2の操作量と振幅量の関係が同じであるため、同一の操作感を得ることが出来る利点がある。
例えば、ニーリフター2の操作ゼロでの振幅量を逐次変更することができ、ニーリフター2をゼロ位置に保持したまま、振幅量の制御が可能である。また、最大値の振幅量を縫い動作中に逐次変更することにより、ニーリフター2を最大操作量のMAX位置に保持したまま、ジグザグ幅が拡大或いは縮小していくようなフリーモーション縫いを行うことが可能になる。
制御装置1には、モード切替装置10が接続しており、操作者は制御装置1のモードを切り替えることができるように構成されている。
1つのモードは通常モードであり、ニーリフター2の操作に基づいて布押さえ上下機構8の制御のみを行い、ニーリフター2の操作により布押さえ棒80を上下させ、布押さえ81の上げ下ろしだけを行うモードである。即ち制御装置1は布押さえ制御装置としてのみ機能し、このモードでは、操作者はニーリフター2を操作して布押さえ81の上げ下ろしのみを行う。
他のモードはフリーモーション縫いモードであり、ニーリフター2の操作により針振り機構7と布押さえ上下機構8を選択的に制御するモードである。即ち制御装置1は針振り制御装置としての機能と布押さえ制御装置としての機能を選択的に果たすモードである。この選択はミシン上軸位相検出装置3からの信号により制御装置1が判断して行うようになっている。
以上のように、ミシン上軸位相検出装置3からの信号によりミシンが稼働中か停止中かを判断し、それに応じてニーリフター2の操作により制御内容を変えるように構成されている。即ち、ミシンが稼働中の時は、布押さえ81を上げ下ろしすることはないから、稼働中であれば針振り機構7を制御する。またミシンが停止中の時は、針62を幅方向に振ることはないので、布押さえ上下機構8を制御するようになっている。
操作者は最初にモード切替装置10により制御装置1のモードをフリーモーション縫いモードに切り替え、次いで振幅範囲設定装置9により針62の振幅量の最小値と最大値を設定する(ステップS1)。
制御装置1は、ミシン上軸位相検出装置3からの信号によりミシン停止中であるか否か確認する(ステップS2)。停止中であれば、ニーリフター2の操作により布押さえ上下機構8のみの制御を行う(ステップS7)。
ステップS2で、ミシン停止中でなく稼働中であれば、振幅範囲設定装置9で設定された振幅量の最小値が0以上か否か確認する(ステップS3)。0以上の値であれば、ニーリフター2の操作がない状態(操作量ゼロ)で、最小値の振幅量でジグザグ動作を行わせる(ステップS4)。最小値が0であれば、ニーリフター2の操作量がゼロの場合針62の振幅量は0とし、ジグザグ動作を行わせない。
そしてニーリフター2の操作が検知されると(ステップS5)、ニーリフター2の操作により針振り機構7の制御を行い、ニーリフター2の操作量に応じて針62を振らせて縫いを行う(ステップS6)。ミシン縫い動作中に振幅範囲設定装置9により最大値を変更した場合は、該変更した最大値の振幅量に応じたジグザグ縫いを実行する。そのため、ニーリフター2の操作量を最大のMAXにしておき、最大値の振幅量でジグザグ縫いを行えば、振幅範囲設定装置9により最大値を変更しながら縫製を行うことによりジグザグ幅が徐々に広がる或いは徐々に狭まるようなジグザグ縫いも安定して行え、綺麗な縫い目を得ることができる。
また同時に振幅量に応じてミシンモータ6の速度制御を行うことも可能である。
ミシン上軸位相検出装置3からの信号によりミシンが停止したことを検知すると(ステップS2)、ステップS7に移行する。
Claims (9)
- 針振り動作を行わせる針振り機構と、
前記針振り機構による針振りの振幅量を制御するために作業者が操作する操作装置と、
該操作装置の操作とその操作量を検出する操作検出装置と、
前記針振り機構が構造的に針振り可能な絶対最大値と絶対最小値の範囲において前記操作装置の操作量に応じて前記針振り機構の振幅を制御する振幅量の範囲で作業者が必要とする振幅範囲を設定する振幅範囲設定装置と、
前記操作装置の操作が操作検出装置により検出された時、前記針振り機構を制御して、
前記操作量に応じ且つ前記振幅範囲設定装置により設定された振幅範囲内で前記針振り機構に針振り動作を行わせる針振り制御装置と、
を備えたことを特徴とするミシン。 - 前記振幅範囲設定装置が、前記振幅量の最大値を設定する、請求項1のミシン。
- 前記振幅範囲設定装置が、前記振幅量の最小値を設定する、請求項1のミシン。
- 前記振幅範囲設定装置が、針振り動作の最大振幅量と最小振幅量の両方を設定する、請求項1のミシン。
- 前記操作装置が、作業者が膝を用いて操作するニーリフターである、請求項1又は2又は3又は4のミシン。
- 前記制御装置が、前記振幅範囲内で、前記操作装置の操作量と前記針振り機構の振幅量を線形に制御する、請求項1又は2又は3又は4又は5のミシン。
- 前記制御装置が、前記振幅範囲内で、前記操作装置の操作量に対して前記針振り機構の振幅量が一定である操作量領域を設けて制御する、請求項1又は2又は3又は4又は5のミシン。
- 前記針振り機構による針振り動作の振幅量に対応して、ミシンの運転速度を制御するミシン運転速度制御装置を、更に備えた、請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7のミシン。
- 布押さえ上下機構と、
ミシンの針が稼働状態か停止状態かを検出する状態検出装置と、
前記操作装置の操作が操作検出装置により検出された時、前記状態検出装置によりミシンの針が停止状態の時には、前記布押さえ上下機構を制御して前記操作に応じて布押さえを上下させる布押さえ制御装置と、を備え、
前記操作装置の操作が操作検出装置により検出された時、前記状態検出装置によりミシンの針が稼働状態の時には、前記針振り制御装置が針振り機構を制御して、前記操作量に応じて針振り動作を行わせる、
請求項1又は2又は3又は4又は5又は6又は7のミシン。
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