JP6381094B1 - タイヤ劣化評価システム - Google Patents
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Abstract
Description
このような背景には、使用済・中古タイヤに関する定量的な測定に基づく明確な評価基準が存在していない為、使用者の独断や、点検作業員の目視による曖昧な判定基準によって、使用可能であるにも関わらず処分する場合が多いということがある。
従って、明確な品質基準と劣化評価システムを設けることによれば、使用済・中古タイヤの流通サイクルをより延ばすことが可能になると考えられる。
これまで、タイヤの品質に関する検査や摩耗の評価については、これまでいくつか特許出願がなされている。
この発明では、スキャナによりタイヤ形状を読み込み、同一タイヤの新品時形状と比較をして、差分形状を求め、その差分形状に基づいて偏摩耗データベースを検索し、偏摩耗の有無と種類を判断し、その偏摩耗を調査した後には、対応策データベースを検索することによって抽出されたタイヤ位置交換方法及びその他の対応策の指示が表示される。従って、作業者の経験や知識によらず、しかも労力を軽減することが可能である。
この発明は、タイヤをレーザー式非破壊検査機及びCCDカメラ等でそれぞれ撮像して得られる白黒濃淡基調の画像信号に基づいてタイヤの良・不良を検査するにあたり、画像信号に基づいて不良部分を検出し、不良部分をマーキングして画像信号をモニターに表示するものである。
この発明は、タイヤの側面に発生するひびを画像で検出し、その画像をグレースケール化し、その後にモノクロ2値化して、その2値化画像でギザギザ状の形状や先細りするような形状等の不連続な形状を検出し、ひびの大きさを測定して評価するものである。
この発明は、直接路面に接地することなく、タイヤの使用によって摩耗しない領域である溝部に発生するひび割れに着目し、タイヤの接地面の変位を測定しながら溝部を検出すると共に、接地面を撮影してその画像を2値化処理して、溝部におけるひび割れ箇所を特定し、ひび割れ箇所の面積と他の面積及びその比を求めてタイヤの材質に対する劣化を精度高く評価するものである。
また、特許文献2に開示される技術でも、トレッド部の摩耗によってその底部に予め埋設された異色のゴム部材を露出させるので、トレッド面の監視画像によって車両が走行中でもタイヤ摩耗を監視可能であるものの、やはり、タイヤのゴム材自身の経年劣化に伴って生じるひび割れについては測定・監視ができないという課題があった。
さらに、特許文献3に開示される技術では、被検タイヤのトップインナー間にエアーが混入している場合には、2値化された場合にその部分が白レベルになり、その部分を不良部分としてマーキングすることで不良部分の検出が容易であるものの、被検タイヤは新品のタイヤであり、使用や経年に伴うひび割れなどを生じる劣化に関する測定・評価ができないという課題があった。
特許文献4や特許文献5ではいずれもひび割れを撮影し、その画像処理でモノクロ2値化処理を行った上でひび割れの程度を評価しているが、特に、溝部に発生するひび割れは細く線状に発生していることからひび割れ部分を精度高く求めることにはある程度限界があり、さらに、タイヤの溝部を含めた表面にはタイヤの使用時に砂や小石等のゴミが付着することがあり、これがひび割れの検出の際にはノイズとなってこの点でも精度が低下してしまう原因となっていた。
上記構成のタイヤ劣化評価システムでは、変位測定部がタイヤの接地面の変位を測定して距離データを得ることでタイヤの接地面における山部と溝部の判別を可能とする作用を有する。また、撮像部がタイヤの接地面を撮影して画像データを得るという作用を有する。また、評価領域抽出部は、距離データを参照しながら接地面画像データからひび割れを検出するための評価領域を抽出するように作用する。
平滑化処理部は、タイヤ表面の付着物から生じるひび割れに対するノイズを周囲の画像に関するデータと平滑化して予め除去し、除去後のデータを平滑化処理データとして生成するように作用する。また、エッジ検出処理部は、平滑化処理画像データをエッジ処理してひび割れの境界部を明確化し、明確化したデータをエッジ処理画像データとして生成するように作用する。
平滑化処理部で実行される平滑化処理としては例えばガウシアンフィルター等が採用され得る。また、エッジ処理検出部で実行されるエッジ処理としてはキャニー法等が採用され得る。
溝部は通常の車両走行時では道路面に接触しないため、その領域にはタイヤの材質であるゴムの摩耗によらない経年劣化の現れとなるひび割れが生じる可能性が高い。従って、特にこの溝部におけるひび割れを測定するために、接地面の変位を測定しつつ、さらに接地面を撮影して、距離データと接地面画像データを取得する。そして、距離データを参照しながら接地面画像データを用いて溝部領域から評価領域を抽出し、その評価領域の範囲で接地面画像データに対し、まず、平滑化処理によってノイズ除去し、その後にエッジ検出によってひび割れを検出するのである。
溝部は道路面に接触しておらず、生じているひび割れでは光の反射率が低いためそのゴムの色が黒色として測定される。内部のゴムの色が見えているため、通常は黒色として測定される。一方、ひび割れが生じていない部分の溝は劣化による影響もあるが光の反射率が高いためにひび割れ部と比較して相対的に灰色化している。従って、本発明のタイヤ劣化評価システムでは、エッジ検出処理部が、黒色と灰色の境界部をエッジとして検出することで、内部のゴムの色が見えている箇所をひび割れとして認識するように作用するのである。
さらに、筐体はタイヤを収容し、その内部に備えられた一対のローラーはタイヤを転動させるように作用し、変位測定部と撮像部を搭載してタイヤの接地面の幅方向に走査可能なスライダーは変位測定部と撮像部をタイヤの幅方向のいずれでもデータや画像を取得可能に作用する。
なお、本願発明では、変位走査測定部等、「部」という語を含んだ構成要素を用いているが、この「部」とは「素子」や「電子回路」、あるいは「構成物のユニット」、又は「それらが集合した装置」を概念化して示したものである。
上記構成のタイヤ劣化評価システムでは、第1の発明の作用に加えて、制御部が変位測定部によって得られるタイヤの接地面との距離情報とローラーの位置情報からタイヤ径を演算するように作用し、このタイヤ径とローラーの回転情報からタイヤの転動角度を演算するように作用する。
一対のローラーの中間位置に設けられ変位測定部が搭載されたスライダーは、タイヤ径が異なるとタイヤの接地面との距離情報が変動することを利用してタイヤ径を演算可能に作用する。なお、「一対のローラーの中間」とはローラー間であればいずれの位置でもよいことを意味しており、必ずしもそれぞれのローラーから等間隔の位置を示しているものではない。
上記構成のタイヤ劣化評価システムでは、第1の発明がタイヤを筐体に収容可能に構成されるのに対し、全体を携帯可能な端末に搭載することで、タイヤに直接近接させてデータを取得するように作用する。そのほかの作用としては、第1の発明における筐体、一対のローラー、スライダー、制御部、出力部を除いた作用と同一である。
また、溝部の領域で評価領域を予め抽出し、その後にノイズ除去処理を行うので、砂や小石等のタイヤ付着物によるノイズ発生を防止することができる。したがって、劣化度合が少ない中古タイヤで生じやすいノイズによる劣化に対する過大評価を防止することが可能である。
さらに、エッジ検出処理を行っているので、接地面の溝部という直接路面に接触していない箇所に発生しているひびの部分の実体に即してひび割れを検出することができる。
平滑化処理した後にエッジ検出処理を実施して、ひび割れの境界部の全体に占める割合を演算してひび割合データを生成しているので、直接路面に設置していない溝部におけるひび割れの実体に即してそのひび割れの割合を精度高く測定することが可能である。
加えて、タイヤを筐体に収容して転動させながら測定が可能であるので、周囲の環境に左右されることなく均一なデータ取得とタイヤの劣化評価を実行することが可能である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システムのブロック図である。図2は本発明の第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システムによって実行されるタイヤ劣化評価のフロー図である。本図は、本願発明のタイヤ劣化評価システムの実行工程を表すものである。なお、図2において、Sで示す工程に関する記載を覆うようにして破線で示しているのは図1に示されるタイヤ劣化評価装置1の構成要素であり、符号を同一としている。
図1において、タイヤ劣化評価システム1は、変位走査測定部4、撮像部5、処理部3、出力部2及びデータベース群として、処理データベース6と評価データベース7から構成されている。このタイヤ劣化評価システム1は、これらの構成要素を一体にして評価者が手に取って中古タイヤの接地面の表面に近づけることで評価可能な携帯型のシステムを想定することができる。その際の出力部2としては小型のディスプレイ装置やデータ発信部として他の装置へデータを転送するようなものが考えられる。あるいは図1の構成要素が一体でなくとも変位走査測定部4と撮像部5をセンサとして分離して別体に設けて、有線又は無線でデータを処理部3に送信する場合のようなシステムとしても可能である。さらに、少なくとも変位走査測定部4及び撮像部5を内部に備える筐体内に中古タイヤを搬送してデータを取得し、そのデータをもとに処理部3で評価して結果を出力部2で出力するシステム等を想定することができる。
タイヤ劣化評価システム1の変位走査測定部4は、タイヤのいわゆるトレッドパターンが形成されている接地面に対して垂直に配置され、接地面に形成されるトレッドパターンの山部と溝部を判別可能にその凹凸を、タイヤの接地面の幅方向にセンサを走査させて計測するものである。具体的には、変位走査測定部4との間の距離データ14として測定される。従って、山部と溝部のそれぞれの距離データの差分を取れば、山部に対する溝部の深さ、あるいは溝部に対する山部の高さを得ることが可能である。すなわち、いわゆる残溝を得ることができる。変位走査測定部4として用いられるセンサとしては、レーザー光や赤外線等の電磁波や超音波を放射しその反射波を検知して測距するセンサを用いることが可能である。また、変位走査測定部4はタイヤの接地面を走査するように構成されるのでタイヤの幅に亘ってトレッドパターンの山部と溝部の判別を可能とする距離測定を行うことができる。この変位走査測定部4を用いてタイヤの接地面上における変位を測定するのがステップS1の変位測定工程である。
変位走査測定部4は距離データ14を読み出し可能に処理データベース6に格納する。
なお、本実施の形態においては変位測定部として走査可能な変位走査測定部4を採用しているが、走査しなくともタイヤの接地面の幅方向における山部の高さや溝部の深さを測定可能なものであればよく、走査可能であることは必ずしも必須ではない。
そこで、通常の使用をしても地面に接することのない接地面の溝部に発生するひび割れや亀裂に着目して、その溝部に発生するひび割れや亀裂で経年劣化を評価することにしたのである。
その溝部を正確に選択可能とするためにはトレッドパターンの山部と溝部を判別可能に変位を測定する必要がある。
撮像部5は撮影した接地面に関する接地面画像データ15を読み出し可能に処理データベース6に格納する。
処理部3の溝幅演算部8は、変位走査測定部4で得られた距離データ14を処理データベース6から読み出して、タイヤの幅方向に差分を取ることで溝幅データ16及び溝部数データ18を生成し、読み出し可能に処理データベース6に格納するものであり、その工程がステップS3の溝幅演算工程である。また、処理部3の溝深さ演算部9は、変位走査測定部4で得られた距離データ14を処理データベース6から読み出して、タイヤのトレッドパターンの山の高さ方向と谷の深さ方向に差分を取ることで、溝深さデータ17を生成し、読み出し可能に処理データベース6に格納するものであり、その工程がステップS4の溝深さ演算工程である。
なお、溝幅演算部8及び溝深さ演算部9は、距離データ14からタイヤの幅方向位置に関するデータを取得して、その位置データを含めて溝幅データ16、溝深さデータ17、溝部数データ18のそれぞれを生成するものである。
本実施の形態では、変位走査測定部4と溝幅演算部8及び溝深さ演算部9を別に設けたが、これを一体としてすべての機能を備えた変位走査測定部4としてもよい。その場合には、ステップS1とステップS3,ステップS4を併せて変位測定工程(S1)とすればよい。
なお、本実施の形態では距離データ14と接地面画像データ15を変位走査測定部4と撮像部5という別個のセンサを用いて得たが、前述のとおり、これらの2つの機能を兼ね備えた距離画像センサ等を設けて、1つのセンサから距離データ14と接地面画像データ15のデータを取得するようにしてもよい。
溝部26を選択して評価領域を抽出した状態を概念的に示すのが図3(a)中に符号Aで示す黒色の四角形の範囲であり、その四角形の範囲を抽出したのが図3(b)に示されるものである。
評価領域抽出部10は接地面画像データ15内で決定した評価領域に関するデータを評価領域画像データ19として処理データベース6に読み出し可能に格納する。
さらに、本実施の形態においては、平滑化処理部11によるノイズ除去処理工程S6の後段にエッジ検出処理部12によるひび割れ検出の工程S7が控えているので、黒色でなくとも白色でも溝部26の色との差が大きいとエッジとして検出されることから、白色の付着物によるノイズも除去する必要がある。
そこで、溝部26の平均的な色彩との差が大きな白色や黒色の砂や小石等の付着物によるノイズを排除して劣化測定・評価の精度を向上させるために、画素毎にその周辺の画素を含めた範囲で画像を平滑化することが重要となる。
平滑化処理部11によってノイズ除去された評価領域画像データ19は平滑化処理画像データ20として処理データベース6に読み出し可能に格納される。
本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1では、中古タイヤの溝部26に発生するひび割れや亀裂を検出するが、その状態は図3(a)に示されるように細長く続く線状に表れている。したがって、そのひび割れや亀裂を定量的に評価しようとすると、その際(きわ)の部分、すなわち境界部を精度よく定量的に測定し、その量に基づいて評価することが重要である。
発明者らは特許文献5に示す特許出願で溝部26のひび割れの状態の画像をモノクロ2値化して、その白画像と黒画像のデータの面積比を用いてひび割れの量的な評価を行うことを発明したが、発明者らはそれらでもまだ精度の改善の余地があることを見出して、今回の発明に至ったものである。
前述のとおり、図3(a)はタイヤの接地面を撮像部5によって撮影した接地面画像データ15を示しており、(b)は(a)中の符号Aの黒枠内で示される評価領域画像データ19の概念図であるが、この評価領域画像データ19に対して2通りで処理して比較したのが、(c)と(d)である。
(c)は特許文献5に開示される技術で評価領域画像データ19をモノクロ2値化処理した場合の画像データの概念図であり、(d)は本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1のエッジ検出処理部12によって評価領域画像データ19をエッジ処理した場合のエッジ処理画像データの概念図となっている。
図3(c)と(d)を比較すると明らかであるが、(b)の評価領域画像データ19により近似しているのは(d)である。タイヤの溝部26に発生するひび割れは、路面に接地していないため、タイヤの経年自体によるゴム材料の純粋な劣化を観測することが可能であり、その場合のひび割れや亀裂の形状は細長く連続する線状に形成されることから、これを定量的に評価するためには、その形状に即して定量化できる画像処理が必要であり、発明者らはエッジ検出による処理がひび割れの境界部を精度高く検出することから、ひび割れの定量的な評価には適していることを見出して今回の発明に至ったのである。
エッジ検出処理部12によってエッジ処理された平滑化処理画像データ20はエッジ処理画像データ21として処理データベース6に読み出し可能に格納される。
劣化評価部13は図3(d)のように得られるエッジ処理画像データ21を処理データベース6から読み出し、そのエッジ処理画像データ21から白色で表されるエッジ部分の面積と黒色で表されるその他の部分を含めた全体の面積の比率を演算し、その比率をひび割合データ22として生成し、処理データベース6に格納する。
なお、前述のとおり本発明ではひび割れの境界部に着目して、全体の面積に対するその境界部の面積の比率をひび割れデータ22として定量化し、この数値の大小でタイヤ劣化の程度を評価している。したがって、例えば亀裂に幅があって大きい場合には、その亀裂の境界部の抽出による評価が亀裂全体の評価に繋がっていないとも考えられる。しかしながら、亀裂が大きくなっている場合にはもはや劣化を評価するといった段階ではなく、タイヤを廃棄して新しいタイヤへ交換することが早急に必要なレベルであり、しかもそのような場合では目視で簡単に判断できるので、今回の発明による評価の対象外として取り扱うことが可能であり、本発明の利用に全く不都合はない。
具体的には、評価閾値データ23は予め所望に定められるランクに対するひび割合データ22の閾値を含んでおり、その閾値とひび割合データ22を比較してランクに振り分けることでひび割合データ22を評価するのである。
このように劣化評価部13によってひび割合データ22を演算する工程及びそのひび割合データ22を評価閾値データ23でランクとして評価する工程がステップS8である。
劣化評価部13によって示されるランク付けは、タイヤの劣化状態に応じてタイヤをランクに分別することができ、指標として理解が容易であるという効果を発揮する。従って、例えば中古タイヤの流通市場における価格の目安としての利用価値やタイヤ交換の目安としての利用価値が高くなり、中古タイヤの安全性や経済性を高めることが可能である。評価閾値データ23におけるそれぞれの閾値の間隔を広げたり狭めたりすることでランクを大雑把にも詳細にも所望に変更することができるので、用途に応じたランク付け、ランクの分別度合の変更が可能である。なお、ランクはA、B等のアルファベット、甲や乙、適や否等の漢字、1、2等の数字のいずれでも表現されてもよい。
処理データベース6は、処理部3によって処理された距離データ14、接地面画像データ15、溝幅データ16、溝深さデータ17、溝部数データ18、評価領域画像データ19、平滑化処理画像データ20、エッジ処理画像データ21及びひび割合データ22を読み出し可能に格納するデータベースである。
評価データベース7は、劣化評価部13によるタイヤ劣化評価に用いる評価閾値データ23と評価後の評価ランクデータ24を読み出し可能に格納するデータベースである。
以上説明したとおり、本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1によれば、タイヤの接地面の山部と溝部26を判別して、タイヤの使用による摩耗の影響を受けない溝部26におけるひび割れや亀裂を高精度で測定することが可能である。従って、経年劣化の影響で生じるひび割れや亀裂のみを測定することができ、高精度で定量的な劣化評価を実施することができる。さらに、劣化評価部13によってランク評価も可能であることは既に述べたとおりである。
図4の(a)−(e)は、それぞれ第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システムを評価するために用いられたそれぞれS、A、B、C、Dランクのタイヤの評価領域画像データ概念図である。
図4に示される画像に対するランクS−Dは出願人が一例として定めた中古タイヤの接地面の溝部26におけるひび割れの状態であり、図4に示されるそれぞれのランクのタイヤは、専門家として中古タイヤの選別に従事する者によって評価されてランク付けされたものである。
これらに示されるそれぞれのランクのタイヤに対し、試作システムを用いてひび割合データ22を求めたのが、図5に示されるものであり、これをグラフ化したものが図6である。図5の各ランクの下に記載されている数字及び図6の縦軸に記載されている数字はひび割合データ22を百分率(%)で示したものである。図6のグラフの下方に記載されている数字は図5の左端に記載されている測定箇所を示す数字と同一である。
図5に示されるとおり、ランクS−Dのそれぞれで測定回数が異なっているが、そのことについては特に目的を有しているわけではない。中央値は各ランクの測定値群における中央値であり、平均値も各ランクの測定値群における平均値である。
また、図6に示される実線は各ランクにおける測定値群の中央値を結んだものであり、点線は各ランクにおける測定値群の中央値を1次の線形式として表現したものである。
図6のグラフではランクSよりも低いランクAのひび割合データ22の百分率が低くなっている例が示されているが、実際ランクSのタイヤとランクAのタイヤの溝部を拡大してみるとランクAのタイヤの溝部の方が、ランクSのタイヤの溝部よりその溝肌面がなめらかである。元々、これらのタイヤのランクは人間の目によって評価されたもので、このようにランクSとランクAが逆転している例は人間の目と機械の目との差異を示すものである。人間はタイヤの色味や汚れ具合で判定評価が左右されるが、機械の目は安定して精度の高い測定を行うことができるということを示しているものである。すなわち、常にこのような結果となるのではなく異なるタイヤの場合では人間と機械のランク付けが同じでランクSよりもランクAのひび割合データ22の百分率が高くなっている例も多数存在している。
図5及び図6に示された結果から発明者らはタイヤ劣化評価システム1を用いて得られるひび割合データ22と専門家が選別したタイヤのランクが相関関係にあり、タイヤ劣化評価システム1によるひび割合データ22を求めることで専門家が選別したタイヤのランクS−Dに分別することが可能であることを見出したのである。
図7から明らかなとおり、本実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1では、ひび割合データ22の値が0.5以下の場合をSランクとして評価し、0.5より大きく2.0以下の場合をAランクとして評価し、以下、同様にBからDランクとして評価している。
前述のとおり、劣化評価部13はひび割合データ22を処理データベース6から読み出して、評価データベース7から読み出した図7に示される評価閾値データ23の劣化評価値幅のいずれに該当するかを判断して、該当するランクを評価ランクデータ24として生成し、評価データベース7に読み出し可能に格納するものである。
また、図7に示すランク毎の評価閾値データ23は固定されるものではなく、段落0028でも述べたとおり評価閾値データ23の間隔を広げたり狭めたりすることも可能であり、ランクを大雑把にも詳細にも所望に変更することが可能であるし、ランク自体も用途に応じて変更が可能である。
携帯型のタイヤ劣化評価システム1では、測定者が手に持って測定を実施することも想定されるので図8に示されるように正確な角度間隔で測定することは困難な可能性もあるが、等間隔で実施しなければならないということではなく、1本のタイヤで複数回測定することで精度を高めることができればよい。
もちろん、タイヤ劣化評価システム1の変位走査測定部4や撮像部5を固定しておき、タイヤ自身を一定の角度ほど自動で回転させて距離データ14や接地面画像データ15を取得するようなシステムとしてもよい。
図9は、タイヤ劣化評価システム1を用いて、中古タイヤに対し図8(b)に示される45°毎の8箇所測定を実施してその結果をまとめて示す表である。
図9において、shotとは距離データ14及び接地面画像データ15を取得した単位を意味しており、測定箇所の1−8は前述のとおり中古タイヤの周方向に沿って45°毎に選択された箇所を意味している。また、positionはタイヤの内側から距離(mm)を測定対象となっている溝部26の位置として示すものであり、sizeは溝幅(mm)を10倍して示すものであり、depthは溝深さ(mm)を10倍して示すものである。なお、8箇所の測定箇所のいずれも溝数は3であることがわかる。以上のことから、sizeが図1のシステム図では溝幅データ16に相当し、depthが同じく溝深さデータ17に相当し、溝数の3が溝部数データ18に相当する。
また、図9の劣化評価値の欄には、それぞれの溝部におけるひび割合データ22が百分率(%)で表示されている。これら8箇所におけるひび割合データ22に対する中央値は表の右下欄に記載されるとおり、2.379115であることから、タイヤ劣化評価システム1の劣化評価部13は、評価データベース7から図7に示される評価閾値データ23を読み出し、これを用いてタイヤランクをBとして評価して、図9の右下欄に表示されている。このタイヤランクは評価ランクデータ24として評価データベース7に読み出し可能に格納される。
図10(a)において、表示されている画像は、左側に接地面画像データ15を表示し、右側に評価結果を示すものであるが、符号Bで示される「B565」とは、「B」が評価ランクデータ24で、「565」は溝数が3でタイヤの内側から溝深さデータ17として5mm、6mm、5mmであることを示している。
また、符号Cで示されるのは、溝深さデータ17の5mm、6mm、5mmの傾向をグラフ化したものであり、これもタイヤの内側が左側となっている。
さらに、符号Dで示されるプロット点の集合は図9で示した劣化評価値(ひび割合データ22)を%で表現したものである。
このように溝数に併せて溝深さのデータが表示されることから、システムの利用者が評価対象となっているタイヤ溝の構造に関する具体的な情報を得ることが可能であり、また、接地面画像データ15を併せて表示することによって溝の状態を画像と測定値や評価ランクと比較しながら観察できるので、タイヤの劣化評価を目視でも行い易く、システムによる評価結果の妥当性を確認することも可能である。
タイヤ溝の配置に合わせてそのタイヤ溝毎の溝深さデータ17を示すことでタイヤのユーザーの車の乗り方や空気圧の程度等によって発生する偏摩耗の状態を把握することが可能である。
なお、本実施の形態では、溝数に併せて溝深さのデータを示したが、出力部2はこの組合せの他、少なくとも溝幅データ、溝深さデータ又は溝数データのうち、少なくともいずれか1つのデータを出力することでタイヤの接地面における溝の構造をより具体的に把握させることが可能である。
この距離データ14のうち、図中符号Gはタイヤの内側端からのタイヤの幅方向における距離を単位mmで示すものであり、符号Hはタイヤの外周円に対する法線方向、すなわちタイヤの谷高さ、溝深さの方向の距離を単位mmで示している。
この(b)に示される情報も併せて表示することで、タイヤ表面の溝状態をタイヤの幅方向全体に亘って確認することが可能であり、評価結果と相まって、より精度高くタイヤの劣化状態を把握することが可能である。
本実施に形態に係るタイヤ劣化評価システム1では、(a)及び(b)の両方の画面、すなわち、撮像部5によって取得された接地面画像データ15あるいは評価領域画像データ19と、劣化評価部13で生成されたデータの両方を出力部2として表示するので、利用者に提供される情報量も多く、タイヤ表面の状態を数値や文字等のテキスト情報と画像情報の両面から把握させることで、評価の誤認や勘違い等のリスクを低減して、ヒューマンエラーを防止することが可能なシステムを提供することが可能である。
なお、本実施の形態においては、図10(a)、(b)に示されるデータを表示することとしているが、処理データベース6や評価データベース7に格納されているその他のデータを適宜読み出して出力部2で表示や送信してもよい。
また、本実施の形態ではタイヤ溝の配置を左側をタイヤ溝の内側に対応させて表示させているが、その順序は逆でもよく、使用時や設計時の便宜によって変更してもよい。
図11(a)、(b)において、タイヤ劣化評価システム1は小径タイヤ34及び大径タイヤ35のタイヤも収容できる筐体27を備えていることを大きな特徴とする。図示しないが、図11(a)の左側からタイヤ34,35が進入し、その中央部で停止させてタイヤ劣化の評価を実施する。
筐体27内には支持床27aが備えられており、その上面をタイヤ34,35は転動するが、略中央部には上下動可能なリフター29上に設置されたスライドレール28上を、モーター30によって自在に移動可能なスライダー31が設けられており、そのスライダー31の上部には撮像部5としてのカメラ32及び変位走査測定部4としての測距センサ33が搭載されており、第1の実施の形態における撮像部5や変位走査測定部4の機能と同一である。
また、照度計39(図14参照)によって、タイヤ劣化のための測定に適切な光量を維持するために照明装置36からの光強度を測定しつつ、さらに過不足ある場合には測定に適切な光量となるように照明装置36の光強度を調整する。
これら2つのローラーに支持されるように載った小径タイヤ34と大径タイヤ35では、スライダー31上の測距センサ33からのタイヤ接地面までの距離が異なる。すなわち、大径タイヤ35はその直径が大きいので測距センサ33との距離L1は小径タイヤ34と測距センサ33との距離L2よりも長くなる。
本実施例1では、その距離L1、L2の違いからタイヤ径を演算する。具体的には、タイヤ半径をR、駆動ローラー37及びローラー38の半径をr、駆動ローラー37・ローラー38間の距離を2Lr、駆動ローラー37及びローラー38の中心と測距センサ33のエレベーションの差をh、測距センサ33で測定されるタイヤ接地面との距離をx(図12におけるL1あるいはL2に相当する。)とすると、タイヤ半径Rは式(1)で表現される。
R=(Lr2+(x−h)2−r2)/2(r−(x−h)) (1)
タイヤ半径が演算できると、図8を参照しながら説明したとおり、タイヤ劣化の測定を行うための所望の回転角に応じて駆動ローラー37を駆動させることが可能である。
シーケンサ40には画像処理CPU41の他、タイヤ34,35の接地面との距離を測定する測距センサ33、スライドレール28上でスライダー31を駆動させるモーター30、駆動ローラー37を回転させるためのモーター37a、タイヤ34,35の接地面の撮影あるいは距離(変位)の測定に十分な光量を確保するための照明装置36が接続されている。
シーケンサ40は、モーター30及びモーター37aを回転させることでタイヤ34,35を回転させて照明装置36によって光をタイヤ34,35の設置面に当てながら、測距センサ33と相まってタイヤ接地面の溝位置、溝本数、タイヤ幅、溝幅、溝深さを測定する機能を有する。測距センサ33で得られたデータはシーケンサ40内に備えられる処理データベース6に読み出し可能に格納される。
また、画像処理CPU41に対してタイヤ接地面の撮影指示信号を送出する。そして、画像処理CPU41からの接地面画像データ15を入力して処理データベース6に読み出し可能に格納する。シーケンサ40は画像処理CPU41から照度計39で得られる照度情報を入力して照明装置36の光度を調整する。
さらに、シーケンサ40は測距センサ33で得られた測定対象であるタイヤ34,35との距離xから式(1)を用いてタイヤ34,35の半径Rを演算し、その半径R及びタイヤ34,35の周方向で何箇所の測定を行うかの設定に応じて、例えば、45°毎に測定して8箇所の測定を実施する場合には、30°の回転角毎に測定と回転を8回繰り返すように制御することが可能である。その際には、シーケンサ40はモーター37aに対して正転/逆転の速度制御信号を出力し、駆動ローラー37をその回転角度毎に回転させつつ、駆動ローラー37からのパルス信号を受信してタイヤ34,35を所望の角度にて停止させる機能を発揮させることができる。また、シーケンサ40はモーター30に対してカメラ32や測距センサ33でタイヤ34,35の接地面の画像や距離(変位)がタイヤ34,35の幅方向で測定可能にスライダー31を走査させる信号を送信する。
さらに、画像処理CPU41は、図1に示される処理部3の評価領域抽出部10、平滑化処理部11、エッジ検出処理部12及び劣化評価部13の機能を備えている。
モニター42は画像処理CPU41に接続され、画像処理CPU41から接地面画像データ15、照度計39による照度の測定結果、さらにはシーケンサ40からのデータを画像処理CPU41で受信して、例えば照明装置36の光度や測距センサ33で測定されたデータを表示させてもよい。モニター42は図1の出力部2に相当し、そのほか第1の実施の形態で説明した出力部2が発揮する機能を備えるものである。
また、図1に示される処理データベース6及び評価データベース7は図14には示されていないが、画像処理CPU41に処理データベース6及び評価データベース7が備えられ、シーケンサ40には処理データベース6が備えられ、それらの間のデータのやり取りが可能なように構成されている。
図16において、タイヤ劣化評価システム1は測定前の段階で、スライドレール28上でスライダー31が所定の原点位置へ復帰させておく(ステップS1)。この動作はシーケンサ40によって自動で実行される。
その後、ステップS2はタイヤ測定ピッチ角(回転角)設定工程であるが、その測定は図15(a)において、測定員によって筐体27内に移動させられるタイヤ34,35は支持床27a上を転がり駆動ローラー37とローラー38の間で支持されるように停止させ(図15(b))、その後に実行される。具体的には、測距センサ33がタイヤ34,35の接地面との距離xを測定し、その距離xを入力したシーケンサ40が式(1)からタイヤ34,35の半径Rを演算し、その結果とタイヤ34,35の接地面の周方向測定回数に応じて駆動ローラー37の回転角(ピッチ角)を演算して設定する。
「往路」で測距センサ33によって得られるデータは図16にも示されるとおり、(1)各溝位置データ、(2)各溝幅データ、(3)タイヤ幅データ、(4)溝深さデータであり、これらは数値(デジタル)データとして得られる。測距センサ33で得られるデータはタイヤ変位(距離)データであり、これらは読み出し可能にシーケンサ40内の処理データベース6に格納される。
次に、ステップS5の「復路」ではスライダー31をシーケンサ40からモーター30に対する信号を制御して、(1)溝中央位置にて停止させ、さらに、シーケンサ40から、(2)画像処理CPU41に対して測定信号を送信する。この測定信号を受信した画像処理CPU41はカメラ32に対してタイヤ34,35の接地面の撮影を実行させる。このカメラ32による撮影で図3(a)に示されるような接地面(溝内部含む)の状態に関する画像を取得することが可能であり、したがって、図3(b)、(d)に示すように溝の内部におけるひび割れの評価に用いるための画像も取得可能である。
タイヤ34,35をタイヤ設定ピッチ角ほど回転させた後は、再びステップS3に戻り、タイヤ34,35の周面の劣化測定の設定回数未満の場合には再度ステップS4からステップS6を繰り返し、設定回数に到達した場合には終了となる。
測定回数に到達すると、シーケンサ40はタイヤ34,35を回転させるようにモーター37aに対して駆動信号を送信し、タイヤ34,35の回転の安定を待ってから、停止信号をモーター37aに対して送信することで、タイヤ34,35の慣性を利用して図15(c)に示されるとおり、筐体27内の出口に転がるように作用させる。
この後、図2に示されるステップS3及びステップS4はシーケンサ40及び測距センサ33によって実行され、図2のステップS5からステップS9は画像処理CPU41を用いて実行される。それぞれのステップで得られるデータは処理データベース6及び評価データベース7に読み出し可能に格納される。
実施例2に係るタイヤ劣化評価システムは、ハンディターミナル50にその構成を集約したものである。すなわち、図1のタイヤ劣化評価システム1がハンディターミナル50となった形態が実施例2である。
図17は、本発明の実施例2に係るタイヤ劣化評価システムの活用状態を示す概念図である。図17において、ハンディターミナル50は、その内部あるいは表面に図1に示す第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1が備える出力部2、撮像部5、処理部3、処理データベース6及び評価データベース7を備えている。なお、タイヤ劣化評価システム1の変位走査測定部4については、ハンディターミナル50内に走査機構を設けることが困難とも考えられるので、タイヤの幅の変位を測定可能な変位測定部を備えるが、走査機構を備える変位走査測定部であってもよい。
例えば、表示画面51はタイヤ劣化評価システム1における出力部2に相当する。また、ハンディターミナル50では後述するように通信網60を経由してプリンタ61に出力するので、出力部2として内部に発信装置(図示せず)をも備えている。
また、図17中符号Jとして実線で囲まれた箇所に示すハンディターミナル50の裏面には、変位測定部に相当する変位センサ57、タイヤ劣化評価システム1の撮像部5に相当する撮像センサ56が備えられている。これらの変位センサ57と撮像センサ56は、距離画像センサ等2つの機能を兼ね備えたセンサとしてもよい。
さらに、変位センサ57と撮像センサ56による測定・撮像の際に光量の不足を補うためにLED等を光源とする照明装置を備えておくと、周囲の環境によることなくタイヤ接地面の変位の測定やタイヤ接地面の溝部の撮影を行うことが可能である。
さらに、ハンディターミナル50の表面には、入力部として、操作キー52、ファンクションキー53及びテンキー54が設けられており、側面には電源スイッチ55が設けられている。
実施例2に係るハンディターミナル50は、タイヤ49から得た情報を基に劣化評価を行い、通信網60を介してプリンタ61で評価ラベル62の印刷を行い、この評価ラベル62をタイヤ49に直接貼付して、あるいはタイヤ49に付属する納品書、仕様書あるいは送り状等に貼付する等して、中古タイヤの販売の場合にはタイヤ49を出荷したり、単なる中古タイヤに関する評価の受託の場合には所有者に返却するものである。なお、通信網60は有線と無線のいずれでもよい。
まず、ハンディターミナル50の電源スイッチ55を入れてハンディターミナル50を起動し、タイヤ49に関する基本データを入力する。具体的には、タイヤ幅、リム径や扁平率等の仕様に関するタイヤ仕様データ65やタイヤメーカ名や製造年等の製造に関するタイヤ製造データ66を、テンキー54を利用して入力する。その際、テンキー54には大文字・小文字を含めた英字への変換や記号文字への変換を可能とするキーを含めておくことが望ましい。入力されたタイヤ49に関する基本データについては、別途入力データベースを設けて読み出し可能に格納されてもよい。
ハンディターミナル50では、様々なキーを備えて入力部とし、タイヤ49に関する基本データを入力することができるので、計時部を内部の処理部3に設けてもよい。計時部は測定・評価を実施している時を認識するので、タイヤ製造データ66に含まれる製造時期との差分を取り、タイヤの使用期間が演算可能である。従って、それを計時部で経年劣化データとして生成して読み出し可能に評価データベース7に格納し、劣化評価部13は、これを単なる時間経過に伴う経年劣化として評価に取り入れることが可能である。
様々なデータ入力の際には、表示画面51上に入力の様子を表示して入力ミスのないようにするとよい。
これらのセンサを用いて得られた画像を基に得られたデータを格納し、処理し、タイヤ49の劣化評価を行う。そのデータ処理方法、データ格納方法及びタイヤ劣化評価方法については、既に第1の実施の形態に係るタイヤ劣化評価システム1で説明したとおりである。
具体的に、フードはハンディターミナル50の裏面に配置されている撮像センサ56と変位センサ57の周囲に着脱可能な筒状の囲いとして、このフードはタイヤ49の接地面に当接可能な形状及び寸法とし、測定時には撮像センサ56及び変位センサ57とタイヤ49の接地面との間に所望の距離を取ることができるのと同時に垂直を担保可能とするのである。このようなフード状でなくとも棒状の構造物の一の端部にタイヤ49の接地面に対して接線方向に延設される棒状や板状の第1の構造物を備えるようにしておき、棒状の治具の他方の端部にハンディターミナル50の裏面に当接する板状の第2の構造物を備えて第1と第2の構造物とその間に所望の長さで垂直に形成される棒状の構造物とでフード状とは異なる治具として構成されてもよい。
また、フードや治具はタイヤ径やタイヤ幅に応じて個別に設けられてもよい。タイヤ種別に設けることで、タイヤ49の接地面への当接が容易になり、変位センサ57や撮像センサ56によって測定・撮像されるデータの精度が向上することが期待されるのでハンディターミナル50を用いたタイヤ劣化評価の精度も向上すると考えられる。
また、評価ラベル62には、予めテンキー54を利用して入力されたタイヤ49に関するタイヤ仕様データ65やタイヤ製造データ66も印字されている。
さらに、評価ラベル62に印刷される情報のすべてを変換したバーコード64も印刷されている。また、このバーコード64には評価ラベル62には表示されていない管理用のシリアル番号や記号等を含めてもよい。その際のシリアル番号や記号については、タイヤ49に関するタイヤ仕様データ65やタイヤ製造データ66と一緒にテンキー54を用いて入力されるとよい。
また、生成されたバーコード64は、評価データベース7の評価ランクデータ24と同様に格納されてもよいし、入力データベースに格納されてもよいし、あるいは別途バーコードデータベースを設けてその中に格納してもよい。
評価ラベル62に印刷されている情報である評価ランク63は評価データベース7から、タイヤ仕様データ65及びタイヤ製造データ66はタイヤ基本データベースから、バーコード64はバーコードデータベース等から、それぞれ発信装置によって読み出され、プリンタ61に送信される。
なお、本実施の形態においてはコードとしてバーコード64を用いて説明したが、図形や記号、文字で表現されるコードであればどのようなコードでもよく、また一次元で表現されるものの他、二次元に表現されるコードでもよい。もちろん、ハンディターミナル50はそのコードに応じたコード生成部やコード生成機能を備えるようにする。
また、本実施の形態においては評価ラベル62を印刷したが、評価ラベル62に限定するものではなく、例えばタグや荷札等ラベルに準ずるもの、あるいは納品書、仕様書、あるいは送付状等の書面に直接印刷するようにしてもよい。
さらに、本実施例では出力部2としてハンディターミナル50の外部にプリンタ61を設けて、タイヤ49の劣化評価の結果はハンディターミナル50内の発信装置から通信網60を介してプリンタ61に送信されるが、表示画面51を利用して、劣化評価を表示するようにしてもよい。あるいはプリンタ機能を備えて帯用紙等に印字するようにしてもよい。
すなわち、外部に通信網60を経由して出力部2を設けるかハンディターミナル50に出力部2を設けるかのいずれかでタイヤ劣化評価に関する出力を行うことが可能である。
また、タイヤ劣化評価と併せてタイヤに関する基本データを印刷することができるので、多数の被評価に供されるタイヤの識別性を高めることが可能である。さらに、バーコード等コードを生成して、タイヤに関する基本データや劣化評価に関する結果を含めて表現できるので、これらの情報の表示スペースを小さくすることができ、効率を高めることができる。さらに、コードを介してタイヤの管理を行うことが可能であり、管理効率も向上させることができる。
さらに、処理部3にバーコード変換部を設けて、タイヤ49に関する基本データやシリアル番号等を入力データベースから読み出し、また、タイヤ49に対する劣化評価の結果を劣化評価部13から読み出して、バーコードに変換して、これを出力部2を介してラベルやラベルに準ずるもの、あるいは書面に対して印刷物として出力するようにしてもよいし、デジタルデータとして通信網や外部装置に対して出力するようにしてもよい。また、処理部3にバーコード変換部を設けることに代えて劣化評価部13にバーコード変換機能を持たせてもよい。その場合には、劣化評価部13がタイヤ49に関する基本データ等を読み出し、また、劣化評価部13でタイヤ劣化評価を行った後、タイヤに関する基本データとタイヤ劣化評価を併せてバーコード変換を行う。
これらの入力部、バーコード変換部を設けることによって発揮される作用や効果は既にハンディターミナル50を用いて説明した内容と同様である。
Claims (3)
- タイヤの接地面の変位を測定して前記接地面の山部と溝部の判別を可能とする距離データを生成する変位測定部と、前記接地面を撮影して接地面画像データを生成する撮像部と、前記接地面画像データから前記距離データを参照して前記接地面における前記溝部の領域からひび割れを検出するための評価領域を抽出して評価領域画像データを生成する評価領域抽出部と、前記評価領域画像データに対し前記溝部の平均的な色彩との差によるノイズを平滑化処理して除去した平滑化処理画像データを生成する平滑化処理部と、前記平滑化処理画像データから前記溝部と前記ひび割れの色彩が変化する境界部をエッジとして検出するエッジ処理をすることで前記ひび割れの前記境界部を明確化したエッジ処理画像データを生成するエッジ検出処理部と、前記エッジ処理画像データの前記ひび割れの前記境界部の全体に占める割合を演算してひび割合データを生成する劣化評価部と、前記ひび割合データを出力する出力部と、前記タイヤを収容する筐体と、を有し、この筐体の内部にはタイヤを支持して転動させる一対のローラーと、前記変位測定部と前記撮像部を搭載して収容された前記タイヤの接地面の幅方向に走査可能なスライダーと、このスライダー及び前記ローラーの駆動を制御する制御部と、を備えることを特徴とするタイヤ劣化評価システム。
- 前記スライダーは前記一対のローラーの中間位置に設けられ、前記制御部は、前記変位測定部によって得られる前記タイヤの接地面との距離情報及び前記ローラーの位置情報からタイヤ径を演算し、このタイヤ径と前記ローラーの回転情報からタイヤ転動角度を演算することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ劣化評価システム。
- タイヤの接地面の変位を測定して前記接地面の山部と溝部の判別を可能とする距離データを生成する変位測定部と、前記接地面を撮影して接地面画像データを生成する撮像部と、前記接地面画像データから前記距離データを参照して前記接地面における前記溝部の領域からひび割れを検出するための評価領域を抽出して評価領域画像データを生成する評価領域抽出部と、前記評価領域画像データに対し前記溝部の平均的な色彩との差によるノイズを平滑化処理して除去した平滑化処理画像データを生成する平滑化処理部と、前記平滑化処理画像データから前記溝部と前記ひび割れの色彩が変化する境界部をエッジとして検出するエッジ処理をすることで前記ひび割れの前記境界部を明確化したエッジ処理画像データを生成するエッジ検出処理部と、前記エッジ処理画像データの前記ひび割れの前記境界部の全体に占める割合を演算してひび割合データを生成する劣化評価部と、を携帯可能な端末に搭載することを特徴とするタイヤ劣化評価システム。
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