JP6380732B2 - 固体酸化物型燃料電池装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池装置に関し、特に、燃料を改質するための改質器を備えた固体酸化物型燃料電池装置に関する。
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤ガス(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
固体酸化物型燃料電池装置は、燃料電池モジュール内に複数の燃料電池セル(セルチューブ)を収容しており、この燃料電池セルの内部流路には改質器を介して燃料が供給されるようになっている。改質器は、内部に配置された改質触媒を活性温度まで加熱することにより、改質器内を通過する燃料を改質することができる。
改質器を加熱する方式としては、特許文献1(特開2010−170900号公報)に記載されているようなオフガス燃焼セルバーナー方式が知られている。具体的には、オフガス燃焼セルバーナー方式では、燃料電池モジュール内において、複数の燃料電池セルからなるセル集合体の上方に改質器が配置されており、燃料電池セルの内部流路を通過し上端部から流出する燃料(オフガス)を燃焼させている。このオフガス燃焼熱により改質器を加熱することができる。
改質器における燃料の改質反応は、部分酸化改質反応(POX)、水蒸気改質反応(SR)、及び、前記2つの反応が混在したオートサーマル改質反応(ATR)がある。POX反応は、燃料と酸素とが反応して改質燃料(水素ガス)を生成する発熱反応である。一方、SR反応は、燃料と水蒸気とが反応して改質燃料(水素ガス)を生成する吸熱反応である。
特許文献1に記載された装置では、改質器においてSR反応を生じさせるように、改質器へ燃料及び水(水蒸気)を供給するようになっている。即ち、特許文献1に記載された装置は、POX反応及びATR反応させること無しに、SR反応のみを生じさせることにより起動する方式を採用している(以下、「SR起動方式」という)。
具体的には、特許文献1に記載された装置では、起動工程において、先ず、燃料が蒸発器及び改質器を通して燃料電池セルへ供給され、オフガスに点火される。これにより、改質器がオフガス燃焼熱によって加熱される。オフガスへの点火後に改質器温度が80℃〜120℃になった時点、又は、オフガスへの点火から所定時間経過後に、蒸発器への少量の水供給が開始される。蒸発器もオフガス燃焼熱によって加熱されており、水供給に伴って、蒸発器から改質器への水蒸気供給が開始される。これにより、改質器は水蒸気及び燃料を受け取り、改質器では水蒸気と燃料との反応であるSR反応が開始される。
また、特許文献1に記載された装置では、燃料電池セルの上端部から流出するオフガスへの点火により、燃料電池セルの上端部は、他の部位と比べて温度が迅速に上昇する。このため、起動工程において炭化水素を含む未改質燃料が高温状態の上端部を通過すると、燃料電池セルの上端部の内部流路において炭素析出(コーキング)が発生し易くなる。燃料電池セルの上端部で炭素析出が生じると、蓄積された炭素析出による膨張応力により燃料電池セルが破損し易くなり、製品寿命が短くなるという問題がある。
そこで、特許文献1では、起動工程中の水供給において、燃料ガス中の炭素に対する水のモル比(S/C)が厳密に制御されている。具体的には、S/Cが適正範囲よりも小さいと炭素析出を抑制する効果が不足し、逆にS/Cが適正範囲よりも大きいと蒸発器内に蒸発しない水が溜まり易くなって水蒸気の生成遅れが生じてしまう。このため、特許文献1に記載された装置では、起動工程においてS/Cを厳密に制御することにより、燃料電池セルの上端部における炭素析出の発生を防止するようにしている。
特開2010−170900号公報
しかしながら、本発明者は、特許文献1のように、オフガス点火に伴って改質器が所定温度まで上昇した時点、又は、所定時間経過後に、少量の水供給を開始するSR起動方法では、燃料電池セルの上端部の温度上昇に伴うコーキングを防止できるとしても、他の部位においてコーキングが依然として生じ、これにより製品寿命が短くなるという問題を見出した。
即ち、特許文献1においては認識されていないが、特許文献1のSR起動方式を実行しても、燃料電池セルの下端部において析出炭素が検出され、この析出炭素により燃料電池セルの燃料極(内部流路側)に微小なクラックが生じて、燃料電池セルが破損するという新たな課題を見出した。
従って、本発明は、オフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池装置において、燃料電池セルのコーキングによる破損を防止することができる固体酸化物型燃料電池装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、燃料電池モジュール内において、燃料電池セルに供給した燃料を前記燃料電池セルの上端部から流出させ、流出させたオフガスを燃焼させることにより改質器を加熱するオフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池装置であって、改質器は、燃料を改質するための触媒が配置された改質部と、改質部に近接するように配置された、水を気化させるための蒸発部とを備え、起動工程において、改質器を介して燃料を燃料電池セルに供給し、且つ、点火装置を用いて燃料電池セルの上端部から流出するオフガスに点火して、オフガスの燃焼により改質部及び蒸発部を加熱するように制御を行う制御手段を更に備え、制御手段は、起動工程において、オフガスへの点火前に、蒸発部への水供給を開始するすると共に、オフガスへの点火後に改質器内へ改質用の空気を導入しないように制御を行うことを特徴としている。
特許文献1は、起動工程におけるオフガス燃焼によって急激に温度上昇する燃料電池セルの上端部に析出炭素が発生し、起動工程を繰り返し後に、この析出炭素によって燃料電池セルが破損してしまうことを防止するものである。これに対して、本発明は、起動工程において改質器で生じた析出炭素が燃料電池セルの下端部に運搬されて蓄積し、起動工程を繰り返し後に、この析出炭素によって燃料電池セルが破損してしまうことを防止するものである。
具体的には、起動工程の実施前に行われる停止工程において、温度低下に伴って燃料電池モジュール内の圧力も低下するため、外部との圧力差の発生に起因して、燃料電池モジュール内には外部から空気が流入する。この空気流入によって、燃料電池セル、及び、燃料電池セルに燃料ガス通路を介して接続された改質器にも空気が流入してしまう。また、停止工程において、燃料電池セルモジュール内に冷却空気を強制流入させた場合も、燃料電池セル及び燃料ガス通路を介して、改質器に空気が流入してしまう。したがって、起動工程の開始時において改質器内には空気が存在する。
この状態で起動工程が開始され、改質器を介して燃料が燃料電池セルに供給されても、改質器内の空気は供給燃料の通過によって完全には除去し切れない。そして、オフガスに点火され、オフガス燃焼熱により改質器(及び蒸発器)が直接的に熱せられると、改質器内の改質触媒が局所的に温度上昇し、供給燃料と残留空気とによって起動工程の初期に部分酸化改質反応(POX)が発生する。POX反応は発熱反応であり、POX反応が発生するとその周囲で急激な温度上昇が起こり、その高温領域を燃料が通過することによりコーキングが発生してしまう。
コーキングによる析出炭素は、燃料の流れによって下流側へ運搬され、燃料電池セルの内部流路に到達すると、燃料電池セルの内側電極層(燃料極)に付着する。そして、起動工程毎にこのような析出炭素の付着が繰り返され、付着した析出炭素が熱膨張することにより、燃料電池セルの燃料極に微小なクラックを生じさせ、燃料電池セルの破損が発生する。このように、本発明者は、SR起動方式を採用していたとしても、起動工程の初期に発生する局所的なPOX反応により生じた析出炭素が原因となって、燃料電池セルが破損してしまうという新たな課題を見出した。
特許文献1に記載の装置におけるSR起動方法では、オフガス点火に伴って改質器が所定温度まで上昇した時点、又は、所定時間経過後に、少量の水供給が開始されるようになっている。したがって、オフガス点火から水供給の開始までの間は、改質器内に燃料と空気のみが存在することになり、上述のように局所的なPOX反応の発生が誘発され、POX反応による急激な温度上昇に起因して炭素析出が発生してしまう。一度、局所的なPOX反応が発生すると、急激な温度上昇により次々と局所的なPOX反応が誘発され、炭素析出が促進され、この析出炭素が燃料の流れにより運搬されて燃料電池セルの下端部に蓄積される。よって、特許文献1に記載の装置では、起動工程において燃料電池セルの上端部での炭素析出を抑制することはできても、燃料電池セルの下端部への析出炭素の蓄積を抑制することはできない。
そこで、本発明では、オフガス燃焼セルバーナー方式により、改質部及び蒸発部を加熱する固体酸化物型燃料電池装置において、起動工程の初期において、オフガス点火前から蒸発部への水供給が開始されるように構成されている。このように構成された本発明によれば、オフガス点火直後から、蒸発部により水蒸気を生成して改質部へ水蒸気を供給することができる。このため、改質部内の改質触媒が局所的に温度上昇した際には、改質部内には、燃料と残留空気に加えて水蒸気が存在する。なお、改質部内の残留空気は水蒸気の流れによっても下流側へ追い出されるため、局所的な改質触媒の温度上昇の時点では、改質部内の残留空気は更に減少している。
局所的に改質触媒が温度上昇したとき、先ず、燃料と残留空気によるPOX反応が発生し得る。これにより更なる局所的な温度上昇が生じて炭素析出される。しかしながら、本発明では、改質触媒の周囲に水蒸気が予め供給されているので、まず言えることは、残留空気によるPOX反応によって局所的な温度上昇が発生した場合であっても本件発明においては水蒸気が存在するため、局所的な高温部において水蒸気改質が誘発される方向となるため未改質な炭素そのものの発生を抑えることができる。また、局所的な高温領域において仮に未改質炭素が発生しても水蒸気と反応させて、一酸化炭素又は二酸化炭素に変化させて除去することができる。これにより、起動工程においてPOX反応が発生しても、未改質炭素が改質器から下流側の燃料電池セルへ排出されることが防止されるため、燃料電池セル内に析出炭素が蓄積することもなく、燃料電池セルの破損を防止することができる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、起動工程におけるオフガスへの点火前から点火時にかけて改質器内に空気を導入すると共に、点火前に蒸発部への水供給を開始するように制御を行う。
起動工程の初期においてオフガス点火前及び点火時に改質器内へ空気を導入することは、POX反応に起因する炭素析出に関連して好ましくないが、本発明では、オフガス点火前から蒸発器への水供給を開始しているので、上述のように起動工程の初期に改質器内で局部的にPOX反応が生じて、これに起因して炭素析出しても、析出炭素を除去して改質器から排出させないようにすることができる。本発明では、むしろ起動工程における初期に改質器内に空気を導入することにより、オフガスへの着火性を改善することができるというメリットがある。
本発明において、好ましくは、改質器の蒸発部へ水を供給する水供給ラインは、上方から下方へ延びる導入部を備え、導入部の下端部分が蒸発部の入口に接続されており、制御手段は、オフガスの点火後よりも点火前の方が水供給量が多くなるように、蒸発部への水供給を制御する。
停止工程において、蒸発部へ供給された水は蒸発し、水供給ライン内に存在していた水も蒸発により消失してしまう。水供給ライン内に水がまったく存在しないと、再起動工程において水供給ラインへの多くの量の水供給が必要になり、水の供給遅れが発生するおそれがある。
そこで、本発明では、水供給ラインが上下方向に延びる導入部を介して蒸発部に接続されるように構成している。このように構成された本発明によれば、停止工程において、水供給ラインから供給された水、及び、蒸発部からの水蒸気が凝結した水を、導入部内及び蒸発部内に溜めた状態に保持して水の完全な消失を防止できるため、起動工程において水の供給遅れを回避することが可能となる。また、本発明では、オフガス点火後よりも点火前に水供給量を多くして、点火前に迅速に水供給ラインを充填し、点火後は少量の水を供給することにより、蒸発部から改質部への水蒸気の供給を確実且つタイミング良く実行可能としている。
本発明において、好ましくは、制御手段は、オフガスの点火直後の水供給量が起動工程において最も少なくなるように水供給を制御する。
このように構成された本発明によれば、起動工程のオフガス点火直後において、蒸発部の水蒸発能力が低い期間には水供給量を少なくすることにより、蒸発部の温度上昇を妨げることなく、蒸発部から確実に水蒸気を発生させて改質部へ供給させることが可能となり、水蒸気の供給遅れを無くし起動工程において改質部から析出炭素が排出されることを効率的に抑制することができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池装置によれば、燃料電池セルのコーキングによる破損を防止することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池装置を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す正面断面図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動工程における燃料等の各供給量、及び各部の温度の一例を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動工程の初期段階における燃料等の各供給量、及び各部の温度の一例を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の停止工程における挙動の一例を模式的に時系列で表したタイムチャートである。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のケース8が内蔵されている。この密閉空間であるケース8の下方部分である発電室10には、燃料と酸化剤ガス(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図4参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2のケース8の上述した発電室10の上方には、燃焼部である燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料と残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。さらに、ケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、残余ガスの燃焼ガスにより発電用の空気を加熱し、発電用の空気を予熱する熱交換器である空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤ガスである空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する点火用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される点火用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って断面図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内のケース8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側の端部側面に純水、改質される燃料ガス、及び点火用空気を導入するための改質器導入管62が取り付けられている。
改質器導入管62は、改質器20の一端の側壁面から延びる円管であり、90゜屈曲されて概ね鉛直方向に延び、ケース8の上端面を貫通している。なお、改質器導入管62は、改質器20に水を導入する水導入管として機能している。また、改質器導入管62の上端には、T字管62aが接続されており、このT字管62aの概ね水平方向に延びる管の両側の端部には、燃料ガス及び純水を供給するための配管が夫々接続されている。水供給用配管63aはT字管62aの一方の側端から斜め上方に向けて延びている。燃料ガス供給用配管63bはT字管62aの他方の側端から水平方向に延びた後、U字型に屈曲され、水供給用配管63aと同様の方向に、概ね水平に延びている。
一方、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20a、混合部20b、改質部20cが形成され、この改質部20cには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガスは、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。また、燃料ガス供給管64の鉛直部の途中には、流路が狭められた圧力変動抑制用流路抵抗部64cが設けられ、燃料ガスの供給流路の流路抵抗が調整されている。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
一方、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。
また、図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルユニット16について説明する。図4は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図2)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に図5により燃料電池セルスタック14について説明する。図5は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16は、8本ずつ2列に並べて配置されている。
各燃料電池セルユニット16は、下端側がセラミック製の長方形の下支持板68(図2)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット16が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面と電気的に接続される空気極用接続部102bとを接続するように一体的に形成されている。また、各燃料電池セルユニット16の外側電極層92(空気極)の外表面全体には、空気極側の電極として、銀製の薄膜が形成されている。この薄膜の表面に空気極用接続部102bが接触することにより、集電体102は空気極全体と電気的に接続される。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図5では左端の奥側)に位置する燃料電池セルユニット16の空気極86には、2つの外部端子104がそれぞれ接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の内側電極端子86に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図6により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)に取り付けられたセンサ類等について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
図6に示すように、固体酸化物型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。
また、制御部110には、マイクロプロセッサ、メモリ、及びこれらを作動させるプログラム(以上、図示せず)が内蔵されており、これらにより、各センサからの入力信号に基づいて、補機ユニット4、インバータ54等が制御される。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
次に、制御部110には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
電力状態検出センサ126は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
点火用空気流量センサ130は、改質器20に供給される点火用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水流量センサ134は、改質器20に供給される純水の流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
発電室温度センサ142は、図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、燃料電池セルスタック14の近傍の温度を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セル84自体)の温度を推定するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
これらのセンサ類からの信号は、制御部110に送られ、制御部110は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、点火用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
次に、図2及び図3を参照して、固体酸化物型燃料電池1の発電運転時における燃料、発電用空気、及び排気ガスの流れを説明する。
まず、燃料は、燃料ガス供給用配管63b、T字管62a、改質器導入管62を介して改質器20の蒸発部20aに導入されると共に、純水は、水供給用配管63a、T字管62a、改質器導入管62を介して蒸発部20aに導入される。従って、供給された燃料及び水はT字管62aにおいて合流され、改質器導入管62を通って蒸発部20aに導入される。発電運転中においては、蒸発部20aは高温に加熱されているため、蒸発部20aに導入された純水は、比較的速やかに蒸発され水蒸気となる。蒸発された水蒸気及び燃料は、混合部20b内で混合され、改質器20の改質部20cに流入する。水蒸気と共に改質部20cに導入された燃料は、ここで水蒸気改質され、水素を豊富に含む燃料ガスに改質される。改質部20cにおいて改質された燃料は、燃料ガス供給管64を通って下方に下り、分散室であるマニホールド66に流入する。
マニホールド66は、燃料電池セルスタック14の下側に配置された比較的体積の大きい直方体状の空間であり、その上面に設けられた多数の穴が燃料電池セルスタック14を構成する各燃料電池セルユニット16の内側に連通している。マニホールド66に導入された燃料は、その上面に設けられた多数の穴を通って、燃料電池セルユニット16の燃料極側、即ち、燃料電池セルユニット16の内部を通って、その上端から流出する。また、燃料である水素ガスが燃料電池セルユニット16の内部を通過する際、空気極(酸化剤ガス極)である燃料電池セルユニット16の外側を通る空気中の酸素と反応して電荷が生成される。この発電に使用されずに残った残余燃料は、各燃料電池セルユニット16の上端から流出し、燃料電池セルスタック14の上方に設けられた燃焼室18内で燃焼される。
一方、酸化剤ガスである発電用の空気は、発電用の酸化剤ガス供給装置である発電用空気流量調整ユニット45によって、発電用空気導入管74を介して燃料電池モジュール2内に送り込まれる。燃料電池モジュール2内に送り込まれた空気は、発電用空気導入管74を介して空気用熱交換器22の発電用空気流路72に導入され、予熱される。予熱された空気は、各出口ポート76a(図3)を介して各連絡流路76に流出する。各連絡流路76に流入した発電用の空気は、燃料電池モジュール2の両側面に設けられた発電用空気供給路77を通って下方に流れ、多数の吹出口77aから、燃料電池セルスタック14に向けて発電室10内に噴射される。
発電室10内に噴射された空気は、燃料電池セルスタック14の空気極側(酸化剤ガス極側)である各燃料電池セルユニット16の外側面に接触し、空気中の酸素の一部が発電に利用される。また、吹出口77aを介して発電室10の下部に噴射された空気は、発電に利用されながら発電室10内を上昇する。発電室10内を上昇した空気は、各燃料電池セルユニット16の上端から流出する燃料を燃焼させる。この燃焼による燃焼熱は、燃料電池セルスタック14の上方に配置された改質器20の蒸発部20a、混合部20b及び改質部20cを加熱する。燃料が燃焼され、生成された燃焼ガスは、上方の改質器20を加熱した後、改質器20上方の開口部21aを通って整流板21の上側に流入する。整流板21の上側に流入した燃焼ガスは、整流板21によって構成された排気通路21bを通って空気用熱交換器22の入り口である連通開口8aに導かれる。連通開口8aから空気用熱交換器22に流入した燃焼ガスは、開放された各燃焼ガス配管70の端部に流入し、各燃焼ガス配管70外側の発電用空気流路72を流れる発電用空気との間で熱交換を行い、排気ガス集約室78に集約される。排気ガス集約室78に集約された排気ガスは、排気ガス排出管82を介して燃料電池モジュール2の外部に排出される。これにより、蒸発部20aにおける水の蒸発、及び改質部20cにおける吸熱反応である水蒸気改質反応が促進されると共に、空気用熱交換器22内の発電用空気が予熱される。
次に、図7及び図8を参照して、固体酸化物型燃料電池1の起動工程における制御を説明する。
図7は、起動工程における燃料等の各供給量、及び各部の温度の一例を示すタイムチャートである。図8は、起動工程の初期段階における燃料等の各供給量のタイムチャートである。なお、図7及び図8の縦軸の目盛りは温度を示しており、燃料等の各供給量は、それらの増減を概略的に示したものである。
図7及び図8に示す起動工程においては、常温の状態にある燃料電池セルスタック14の温度を、発電が可能な温度まで上昇させる。
まず、図7の時刻t0において、発電用空気、点火用空気及び水の供給が開始される(プリパージ工程)。具体的には、コントローラである制御部110が、発電用の酸化剤ガス供給装置である発電用空気流量調整ユニット45に信号を送って、これを作動させる。上述したように、発電用空気は、発電用空気導入管74を介して燃料電池モジュール2内に導入され、空気用熱交換器22、発電用空気供給路77を経て発電室10内に流入する。また、制御部110は、点火用の酸化剤ガス供給装置である点火用空気流量調整ユニット44に信号を送って、これを作動させる。燃料電池モジュール2内に導入された点火用空気は、改質器20、マニホールド66を経て、各燃料電池セルユニット16の内部に流入し、その上端から流出する。また、制御部110は、水流量調整ユニット28に信号を送って、これを作動させる。水流量調整ユニット28から圧送される純水は、水供給用配管63aを通ってT字管62aに到達する。少なくとも時刻t0から所定時間(水充填期間:t0〜t1)の間に、水流量調整ユニット28からT字管62aまでの間の水供給用配管63aが水で充填されると共に、少量の水が蒸発部20a内に配置される。なお、時刻t0においては、まだ燃料が供給されていないため、改質器20内において改質反応は発生しない。本実施形態においては、図7及び図8の時刻t0において開始される発電用空気の供給量は約50L/minであり、点火用空気の供給量は約4.8L/minであり、水の供給量は2.5cc/minである。
次いで、図7の時刻t0から所定時間後の時刻t1(図8参照)において、燃料の供給が開始され、供給された燃料への点火工程が開始される。具体的には、制御部110が、燃料供給装置である燃料流量調整ユニット38に信号を送って、これを作動させる。本実施形態においては、時刻t1において開始される燃料の供給量は約4.0L/minである。燃料電池モジュール2内に導入された燃料は、改質器20、マニホールド66を経て、各燃料電池セルユニット16の内部に流入し、その上端から流出する。なお、時刻t1においては、まだ改質器の温度が低温であるため、改質器20内において改質反応は発生しない。
点火工程においては、制御部110が、点火手段である点火装置83(図2)に信号を送り、各燃料電池セルユニット16の上端から流出する燃料に点火する。点火装置83は、燃料電池セルスタック14の上端近傍で繰り返し火花を発生させ、各燃料電池セルユニット16の上端から流出する燃料に点火する。
また、時刻t1において水供給用配管63aが水で充填されると共に、少量の水が蒸発部20a内に配置されるため、制御部110は、水の供給量を2.06cc/minに低減する。これにより、点火工程中に少量の水が改質器20へ向けて供給され始める。
図8の時刻t2において、制御部110は、燃焼室温度センサ144により、燃焼室18の温度が所定温度上昇したことにより、点火が完了したことを確認する。そして、点火工程から燃焼工程に移行する。燃焼工程では、オフガス燃焼熱によって、改質器20の昇温が図られる。
なお、本実施形態では、プリパージ工程及び点火工程中において、改質器20を介して点火用空気を燃料電池セルスタック14へ供給することにより、空気と混合されたオフガスを各燃料電池セルユニット16の上端から流出させている。予め第1ヒータ46で温められた点火用空気を適度な空燃比となるように燃料に混ぜ合わせることによって点火が容易になる。これは、燃料が着火し難い寒冷地等において、着火性を高めるために有効である。
点火工程が終了すると、制御部110は、時刻t2において、点火用空気の供給を停止する(供給量0.0L/min)。したがって、点火用空気は、点火前には改質器20を経由して流れるが、点火後には改質器20を経由して流れることはなく、改質器20内での改質反応(POX反応)のために供給されることは意図されていない。よって、他の実施形態として、点火用空気が改質器20を経由せずに、別の配管を通って燃料電池セルユニット16へ供給されるように構成してもよい。
また、時刻t2において、制御部110は、燃料の供給量を3.14L/minに低減し、発電用空気の供給量を約70L/minに増加する。なお、水の供給量は2.06cc/minに維持され、起動工程中において少なくとも点火直後から燃焼工程の間は最低値に維持される。
燃焼工程において、供給された燃料は、各燃料電池セルユニット16の上端からオフガスとして流出し、ここで燃焼される。この燃焼熱は、燃料電池セルスタック14の上方に配置された改質器20を加熱する。ここで、改質器20の上方(ケース8の上)には、蒸発室用断熱材23が配置されており、これにより、燃料の燃焼開始直後において、改質器20の温度は常温から急激に上昇する。蒸発室用断熱材23の上に配置されている空気用熱交換器22には外気が導入されているため、空気用熱交換器22は、特に燃焼開始直後においては温度が低く、冷却源となりやすい。本実施形態においては、ケース8の上面と空気用熱交換器22の底面の間に蒸発室用断熱材23が配置されていることにより、ケース8内の上部に配置された改質器20から空気用熱交換器22への熱の移動が抑制され、ケース8内の改質器20付近には熱が籠もりやすくなる。加えて、蒸発部20aの上方の、整流板21の上側の空間は、燃焼ガスの流れが遅くなる気体滞留空間21c(図2)として構成されているため、蒸発部20a付近は二重に断熱され、より急速に温度が上昇する。
このように、蒸発部20aの温度が急速に上昇することにより、オフガスの燃焼開始後短時間で水蒸気を生成することが可能になる。また、蒸発部20aには、改質用の水が少量ずつ(起動工程中における最低量)供給されているため、多量の水が蒸発部20aに貯留されている場合に比べ、わずかな熱で水を沸点まで加熱することができ、早急に水蒸気の供給を開始することができる。さらに、水流量調整ユニット28の作動開始直後から水が流入するため、水の供給遅れによる、蒸発部20aの過剰な温度上昇、及び水蒸気の供給遅れを回避することができる。
なお、本実施形態では、改質器20へ改質用の空気を供給しない構成であるため、部分酸化改質反応を積極的に発生させることは意図されていない。しかしながら、停止工程において、改質器20内に空気が導入されており、供給された燃料の流れによって、改質器20の外部へ空気を完全には除去できないため、改質器20内には残留空気が存在している。このため、燃焼工程において、改質部20c内の改質触媒がオフガス燃焼熱によって局所的に温度上昇すると、その周囲の残留空気と供給燃料とによって部分酸化改質が発生する可能性がある。この部分酸化改質反応は、次式(1)に示す発熱反応である。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
この部分酸化改質反応は発熱反応であるため、改質部20c内で部分酸化改質反応が発生すると、その周囲の温度が局部的に急上昇する。
したがって、燃焼工程において、オフガス燃焼熱による加熱に加えて、改質部20c内での局所的なPOX反応による温度上昇により、改質器20内の温度は徐々に上昇していく。
このようにして、燃焼工程中に改質器20の温度が上昇し、時刻t3において、燃焼工程から第1の水蒸気改質反応工程(SR1工程)へ移行される。このSR1工程では、蒸発部20aを経て改質部20cに流入した燃料及び水蒸気による水蒸気改質反応が発生する。この水蒸気改質反応は、次式(2)に示す吸熱反応である。
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
また、時刻t3において、第1の水蒸気改質反応工程(SR1工程)が開始されると、水の消費量が増大するため、制御部110は、燃料及び発電用空気の供給量を維持したまま、水供給量のみを3.82cc/minに増加する。
なお、図7に示すタイムチャートでは、時刻t3における改質器温度は約250℃である。この改質器温度は、改質器温度センサ148(図6)により検出されている温度であり、改質部20cの平均的な温度である。実際には、時刻t3において、改質部20cは部分的には水蒸気改質反応を発生する温度に達している。
なお、本実施形態では、起動工程において燃焼工程に続いて、SR工程(SR1工程,SR2工程及びSR3工程)が行われるように構成されている。本実施形態のSR工程は、改質用の空気を導入せずに、SR反応を発生させることを意図したものである。しかしながら、上述のように、燃焼工程において意図しないPOX反応が生じる可能性があり、SR工程のうち少なくともSR1工程においてもPOX反応が引き続き生じる可能性がある。
次に、改質器温度センサ148による検出温度が約450℃に到達すると、図7の時刻t4において、第1の水蒸気改質反応工程(SR1工程)から第2の水蒸気改質反応工程(SR2工程)に移行される。時刻t4において、発電用空気供給量が59L/minに低減され、水供給量が5.0cc/minに更に増加される。また、燃料供給量は従前の値が維持される。これにより、SR2工程では、SR1工程よりも水蒸気と炭素のモル比S/Cが増加される。
さらに、図7の時刻t5において、発電室温度センサ142による検出温度が約550℃に到達すると、第2の水蒸気改質反応工程(SR2工程)から第3の水蒸気改質反応工程(SR3工程)に移行される。これに伴い、燃料供給量が2.02L/minに低減され、発電用空気供給量が47L/minに更に低減され、水供給量が4.75cc/minに低減される。これにより、SR3工程では、SR2工程よりも水蒸気と炭素のモル比S/Cが更に増加され、水蒸気改質反応に適した値に設定される。
さらに、SR3工程を所定時間実行した後、発電室温度センサ142による検出温度が約600℃に到達すると、発電工程に移行する。発電工程においては、燃料電池セルスタック14からインバータ54(図6)に電力が取り出され、発電が開始される。また、発電工程においては、燃料電池モジュール2に対して要求される出力電力に対応して、燃料供給量、発電用空気供給量、及び水供給量が変更される。
次に、図9を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池1の停止工程について説明する。図9は本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池1において、停止工程が実行された場合の停止挙動の一例を模式的に時系列で表したタイムチャートである。
制御部110は、停止指令に基づいて、シャットダウン停止回路110aに内蔵されているプログラムに基づいて停止工程を実行する。停止指令は、ユーザにより停止スイッチが操作された場合や、設定された停止条件が満足された場合等に発生する。
停止条件の設定例としては、例えば、燃料供給源30に設けられているマイコンメータに対応するために、定期的に停止時期を設定する場合である。即ち、一般に、燃料供給源30にはマイコンメータ(図示せず)が設けられており、このマイコンメータは、約1ヶ月の間に、燃料ガスの供給が完全に停止された状態が連続して1時間程度以上存在しない場合には、ガス漏れが発生していると判断し、燃料ガスの供給を遮断させるように構成されている。このため、一般に、固体酸化物型燃料電池1は、約1ヶ月に一度という高頻度で、1時間程度以上停止させるように設定される。
停止工程の実行前(図9の時刻t101まで)は、燃料電池モジュール2は通常運転を行っており、燃料電池モジュール2内、すなわち、発電室10及び燃料電池セル84は発電運転温度帯域にある。
まず、図9の時刻t101において、制御部110が停止指令を受けるとシャットダウン停止回路110aのプログラムが起動され、シャットダウン停止回路110aは温度降下制御を実行する。この温度降下制御は、燃料電池セルスタック14からの電力の取り出しが完全に停止される前の第1の温度降下工程(時刻t101〜t102)と、電力の取り出しが停止された後の第2の温度降下工程(時刻t102〜t103)から構成されている。即ち、第1の温度降下工程である停止前処理においては、まず、燃料電池モジュール2による発電電力のインバータ54への出力が停止され、固体酸化物型燃料電池1の補機ユニット4を作動させるための微弱な電流(1A程度)の取り出しのみが継続される。このように、停止前処理中において、電力の取り出し量を制限し、微弱な電流を取り出しながら所定電力の発電を継続することにより、供給された燃料の一部が発電に使用されるため、発電に使用されずに残る余剰燃料の著しい増加が回避され、燃料電池モジュール2内の温度が低下される。
さらに、停止前処理においては、時刻t101の後、図9に太い点線で示す燃料供給量、及び細い実線で示す改質用の水の供給量が低下される。一方、太い一点鎖線で示す発電用の空気供給量は増加される。第1の温度降下工程は時刻t101の後、10分間継続される。このような第1の温度降下工程により、燃料電池モジュール2内の温度は徐々に低下していく。
時刻t101の後10分間経過した、時刻t102において、シャットダウン停止回路110aは、シャットダウン停止を実行する。シャットダウン停止が行われると、燃料流量調整ユニット38による燃料の供給、及び水流量調整ユニット28による水の供給が短時間に停止する。また、燃料電池モジュール2からの電力の取り出しも停止する。
シャットダウン停止回路110aは、時刻t102のシャットダウン停止の後、温度降下制御のうちの第2の温度降下工程を実行し、発電用空気流量調整ユニット45による発電用空気の供給を更に約2分間継続する。このような第2の温度降下工程により、燃料電池モジュール2の温度は更に低下していく。その後、図9の時刻t103において、発電用空気流量調整ユニット45が停止された後は、自然放置される。
各燃料電池セルユニット16内部の燃料極側に存在していた燃料は、第2の温度降下工程において発電用空気が空気極側へ供給されても、空気極側との圧力差に基づいて、燃料ガス流路細管98(図4)を通って空気極側に噴出される。
また、各燃料電池セルユニット16の空気極側に存在していた空気(及び燃料極側から噴出した燃料)は、空気極側の圧力(発電室10(図1)内の圧力)と大気圧との圧力差に基づいて、排気通路21b、空気用熱交換器22等を通って、燃料電池モジュール2の外部に排出される。従って、シャットダウン停止の後、各燃料電池セルユニット16の燃料極側及び空気極側の圧力は、自然に低下する。
各燃料電池セルユニット16の上端部には、流出側流路抵抗部である燃料ガス流路細管98が設けられており、排気通路21bには、縦壁21d及び下がり壁8b(図2)が設けられている。この燃料ガス流路細管98の流路抵抗は、燃料供給及び発電が停止された後の燃料極側の圧力低下が、空気極側の圧力低下よりも緩やかになるように設定されている。本実施形態の固体酸化物型燃料電池1は、これらの燃料及び排気の通路各部における流路抵抗を適切にチューニングすることにより、各燃料電池セルユニット16の燃料極側に、シャットダウン停止後も長時間に亘って燃料が残存するように構成されている。
このように、本実施形態においては、燃料流量調整ユニット38から改質器20、各燃料電池セルユニット16の燃料極を通って燃料電池モジュール2の外部へ燃料及び/又は排気ガスを導く燃料/排気ガス通路が上記のようにチューニングされている。このため、シャットダウン停止の後自然放置された場合においても、燃料極側の圧力は、空気極側の圧力よりも高い圧力を維持しながら低下し、内側電極層90(燃料極)の温度が燃料極の酸化下限温度に低下した時点においても、大気圧よりも高い圧力に維持され、燃料極が酸化されるリスクを十分に抑制することができる。
なお、本明細書において、酸化下限温度とは、燃料極の酸化が発生し得る最低の温度である。本実施形態では、内側電極層90(燃料極)がニッケルを含んでおり、ニッケルの酸化下限温度は約350℃である。
さらに、停止工程では、シャットダウン停止後、約5時間経過し、燃料電池モジュール2内の温度が所定の温度まで低下した時刻t104において、シャットダウン停止回路110aは、圧力保持制御回路110b(図6)を作動させる。本実施形態においては、燃料電池モジュール2内の温度が、所定温度である400℃程度に低下した際には、燃料電池セルユニット16の燃料極側の圧力も低下して、空気極側の圧力に近付いている。圧力保持制御回路110bは、水流量調整ユニット28に信号を送り、これを作動させる。水流量調整ユニット28が作動されることにより、改質器20の蒸発部20aに水が供給される。燃料電池モジュール2の内部は、シャットダウン停止後、約5時間程度経過した時刻t104においても、依然として400℃程度の温度であるため、蒸発部20aに供給された水は、そこで蒸発される。なお、本実施形態においては、水は間欠的に供給され、水供給量は1分間に約1mLに設定されており、この水供給量は、発電運転中における最少の水供給量よりも少ない値である。
蒸発部20a内で水が蒸発して膨張されることにより、改質器20から、燃料ガス供給管64、マニホールド66(図2)を介して各燃料電池セルユニット16に至る燃料ガス通路内部の圧力が高められる。これにより、各燃料電池セルユニット16の燃料極側の圧力の低下が抑制され、より確実に、燃料極側への空気の逆流が防止される。なお、改質器20内の蒸発部20a、混合部20b、改質部20cの流路は、何れも蛇行して形成されているため、蒸発部20a内で水の急激な蒸発が発生した場合でも、圧力上昇の影響が下流側へ伝播しにくくなっている。これにより、急激な蒸発の発生により、各燃料電池セルユニット16の内側(燃料極側)の圧力が急上昇し、内部に滞留していた燃料ガスが短時間に大量に噴出されるのを防止することができる。
また、燃料ガス供給管64の途中に設けられている圧力変動抑制用流路抵抗部64c(図2)、及び各燃料電池セルユニット16の下端に設けられている流入側流路抵抗部である燃料ガス流路細管98も、燃料極側の圧力の急激な上昇を抑制し、燃料ガスを燃料極側に長時間滞留させるように作用する。
即ち、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1おいては、燃料/排気ガス通路は、シャットダウン停止後、燃料極の温度が酸化下限温度に低下するまで、燃料電池モジュール2内の空気極側の圧力を大気圧よりも高く維持すると共に、燃料極側の圧力を空気極側の圧力よりも高く維持するように構成されている。従って、燃料/排気ガス通路は、燃料極側の圧力が空気極側の圧力に近付くまでの時間を延長する機械的圧力保持手段として機能する。
燃料電池モジュール2内の温度が内側電極層90(燃料極)の酸化下限温度まで低下すると、もはや燃料極が酸化されるおそれがなくなるので、空気が燃料電池セル84内に逆流してもよい。このため、圧力保持制御回路110bは、燃料電池モジュール2内の温度が内側電極層90(燃料極)の酸化下限温度まで低下した図9の時刻t105において、水流量調整ユニット28を停止させ、以後、燃料電池モジュール2は自然放置される。
さらに、シャットダウン停止回路110aは、燃料電池モジュール2内の温度が更に300℃まで低下した時刻t106において、点火用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45に信号を送り、これらを作動させる。これにより、改質器20、燃料ガス供給管64、マニホールド66等の燃料ガス通路、及び各燃料電池セルユニット16の内部の燃料極が空気によりパージされる。また、発電室10内の空気極側、排気通路21b、及び空気用熱交換器22等の排気ガス通路内も空気によりパージされる。このようなパージにより、燃料電池モジュール2内の空気冷却が行われ、燃料電池モジュール2内の温度は急激に低下する。また、燃料ガス通路及び燃料極をパージすることにより、これらの内部に残留していた水蒸気が結露し、燃料ガス通路及び燃料極の結露水による酸化が防止される。また、排気ガス通路内をパージすることにより、燃料極から排出された水蒸気の、排気ガス通路内における結露が防止される。また、発電室10内の空気極側をパージすることにより、燃料極側から排出された燃料ガスによる還元が防止される。
シャットダウン停止回路110aは、燃料電池モジュール2内の温度を、通常起動が可能な温度(約90℃)まで低下させると(時刻t107)、空気冷却を停止する。
次に、本実施形態のような固体酸化物型燃料電池において、コーキングにより燃料電池セルユニットの破損が発生し得るメカニズムについて説明する。
上述のように、停止工程において、時刻t106に燃料電池セルユニット16の強制冷却が実行されるため、燃料電池モジュール2内に点火用空気及び発電用空気が冷却用空気として導入される。また、起動工程において、プリパージ工程及び点火工程でも、点火用空気が導入される。このような点火用空気の導入により、改質器20内には空気が導入される。
また、発電用空気のみが冷却用空気として導入され、点火用空気が冷却用空気として導入されない場合であっても、発電用空気の導入により燃料電池モジュール2内の圧力が高まるため、燃料電池セルユニット16の内部流路,マニホールド66,燃料ガス供給管64等の燃料ガス通路を通って、改質器20内へ空気が逆流する。さらに、燃料電池モジュール2内が水の凝結温度未満に低下すると、改質器20内の水蒸気が凝結して体積が縮小するため、燃料電池モジュール2内の空気が改質器20内に吸引される。
したがって、SR起動方式を採用する固体酸化物型燃料電池において、仮に改質器への空気供給手段が無い場合であっても、停止工程中に改質器へ空気が入り込むことを回避することは困難である。
オフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池においては、再起動工程において改質器への燃料供給が開始されると、改質器内の空気の一部は燃料供給により改質器の外部へ追い出されるが、依然として改質器内に少量の空気が残留するおそれがある。そして、改質器内に空気が残留した状態で未改質のオフガスへの点火が行われると、オフガス燃焼熱によって改質器が加熱される。このとき、オフガス燃焼熱が直接的に伝達される改質器の部位は、局所的且つ迅速に昇温される。したがって、改質器の温度が全体としては、POX反応やSR反応が生じる程には高められていない場合であっても、局所的にはこれらの反応が生じ得る。ここで、残留空気及び供給燃料の存在下で、改質触媒が局所的に昇温されると、POX反応が生じ得る。このPOX反応は発熱反応であるため、POX反応が生じた近辺の温度が急激に上昇する。そして、急激に温度上昇した改質触媒の部位近辺を供給燃料が通過すると炭素析出してしまう。
改質器内で析出した炭素は、水蒸気等により燃料ガス供給通路を通って各燃料電池セルユニットの内部流路まで運搬され、各燃料電池セルユニットの下端部に蓄積される。即ち、燃料電池セルユニットの内側電極層(燃料極)は多孔質体であるから、析出炭素は、燃料極の細孔内に入り込んで蓄積される。このような析出炭素は、装置が高頻度で停止及び再起動が繰り返される間に徐々に堆積される。そして、堆積した炭素の膨張応力により、燃料極に微小なクラックが発生し、燃料電池セルユニットが破損してしまう。
このように、オフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池では、SR起動方式によって起動しても、意図しないPOX反応の発生により改質器内で炭素析出が生じ、この析出炭素が燃料電池セルユニットの下端部に蓄積されることにより、燃料電池セルユニットの破損が生じ得る。本発明者は、このようなコーキングによる燃料電池セルユニットの破損のメカニズムを新たに見出したのである。
そこで、本実施形態では、起動工程において改質器20内に空気が存在するという条件下で、意図しないPOX反応が発生し、このPOX反応による急激な温度上昇により炭素析出した場合であっても、改質部20cから析出炭素が排出されないように構成している。具体的には、本実施形態では、オフガスの点火工程前から改質器20の蒸発部20aに水を供給し、オフガスへの点火と共に所定量の水蒸気が改質部20cへ供給されるように構成されている。本実施形態では、オフガスへの点火直後に、蒸発部20aから改質部20cへの水蒸気供給が開始されるように、プリパージ工程において、水供給用配管内に水を充填させると共に、蒸発部20a内に所定量の水を予め配置させ、更に点火後に目標とする水供給量を改質器20へタイミングよく供給できるように構成されている。これにより、蒸発部20aが水を蒸発させる能力が低い点火時及び点火直後において、蒸発部20aに水が溜まり過ぎて水を蒸発できなかったり、水が不足して十分な水蒸気を発生させられなかったりすることを防止することができる。特に、オフガス点火直後は、蒸発部20aの蒸発能力が低いため、起動工程において水供給量を最小値に設定して、蒸発部20aから確実且つタイミング良く水蒸気が改質部20cへ供給されるように構成されている。
そして、本実施形態では、オフガス点火直後から蒸発部20aから改質部20cへ水蒸気が供給されるため、オフガス燃焼熱によって改質部20c内の改質触媒の温度が局所的に上昇した時点において、供給された燃料には水蒸気が混合された状態となっている。したがって、本実施形態では、オフガス点火後の燃焼工程及びSR1工程等において、改質器20内で燃料と残留空気とが反応する意図しない局所的なPOX反応の発生に起因して炭素析出が発生した場合に、POX反応が発生した高温領域で析出炭素と水蒸気とを反応させて、析出炭素を一酸化炭素及び/又は二酸化炭素に変化させることができる。これにより、仮に意図しない炭素析出が発生しても、改質部20c内で析出炭素を除去することができる。また、残留空気によるPOX反応によって局所的な温度上昇が発生した場合であっても水蒸気が存在するため、局所的な高温部において水蒸気改質が誘発される方向となるため未改質な炭素そのものの発生を抑えることができる。
これに対して、オフガス点火に伴って改質器が所定温度まで上昇した時点、又は、所定時間経過後に、水供給を開始する場合には、水供給開始前においては改質器内に燃料と空気のみが存在することになる。この状態で、改質触媒の局所的な昇温によってPOX反応が発生し、改質器内で炭素析出が発生すると、析出炭素は供給燃料によって下流側へ運搬され、燃料電池セルユニットの下端部へ蓄積される。
しかしながら、本実施形態では、オフガス点火前から蒸発部20aへの水供給が開始されているため、オフガス点火後に改質部20c内に燃料と空気のみが存在する期間が実質的に無く、水蒸気も同時に存在するため、POX反応の発生に起因する析出炭素を、水蒸気と反応させることによって効果的に除去することができる。
また、本実施形態では、燃料電池セルユニット16の上端部には、キャップである内側電極端子86が取り付けられている。このため、オフガスは、燃料電池セルユニット16から内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を介して流出され、燃料ガス流路細管98の先端部分で燃焼する。よって、オフガス燃焼熱により燃料ガス流路細管98が高温になり、この部分で起動工程において未改質燃料によるコーキングが発生したとしても、析出炭素は、燃料ガス流路細管98から燃料電池セルユニット16の外部へ排出される。これにより、析出炭素が燃料電池セルユニット16内に蓄積することを防止することができる。
また、本実施形態では、水供給用配管63aが、T字管62a及び鉛直方向に延びる改質器導入管62を介して改質器20に接続されている。停止工程において、燃料電池モジュール2内の雰囲気温度によって、改質器20の蒸発部20aに供給された水が蒸発すると、その水蒸気は改質器導入管62,T字管62a及び水供給用配管63a内を逆流しようとする。
しかしながら、改質器導入管62は下端側がケース8の内部に位置するが、上端側はケース8の外部に位置し、更にT字管62a及び水供給用配管63aは断熱材7の外部に位置している。このため、水蒸気が改質器導入管62を逆流していくと、水蒸気は改質器導入管62の上端側で凝結を開始し、T字管62a及び水供給用配管63aでは完全に凝結し液相に戻る。このとき、水供給用配管63aはT字管62aに向けて斜め下方に延びており、改質器導入管62はほぼ鉛直に延びているので、凝結により生成された水は、重力によりT字管62a及び改質器導入管62を通って再び改質器20内に導かれる。
このように、本実施形態では、停止工程において、燃料電池モジュール2内の雰囲気温度が高い間は、改質器20と水供給用配管63aとの間で、水の気化及び凝結のサイクルが繰り返され、所定量の水が改質器導入管62付近に保持され、水が水供給用配管から完全に蒸発して消失することを防止することができる。これにより、最終的に燃料電池モジュール2内の雰囲気温度が水の蒸発温度よりも低い温度に低下した際に、改質器導入管62及び改質器20内に所定量の水を保持することができる。このため、再起動工程のプリパージ工程において、水供給用配管63a等を充填するために必要な水供給量を低減することができると共に、点火工程において、オフガス点火直後の水の供給遅れを防止することができる。
1 固体酸化物型燃料電池
2 燃料電池モジュール
6 ハウジング
7 断熱材
8 ケース
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット
20 改質器
20c 改質部
20b 混合部
20a 蒸発部
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット
44 点火用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット
62 改質器導入管
62a T字管
63a 水供給用配管
63b 燃料ガス供給用配管
83 点火装置
84 燃料電池セル
86 空気極
88 燃料ガス流路
90 内側電極層
92 外側電極層
94 電解質層
98 燃料ガス流路細管
110 制御部

Claims (5)

  1. 燃料電池モジュール内において、燃料電池セルに供給した燃料を前記燃料電池セルの上端部から流出させ、流出させたオフガスを燃焼させることにより改質器を加熱するオフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池装置であって、
    前記改質器は、燃料を改質するための触媒が配置された改質部と、前記改質部に近接するように配置された、水を気化させるための蒸発部とを備え、
    起動工程において、前記改質器を介して燃料を前記燃料電池セルに供給し、且つ、点火装置を用いて前記燃料電池セルの上端部から流出する前記オフガスに点火して、前記オフガスの燃焼により前記改質部及び前記蒸発部を加熱するように制御を行う制御手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記起動工程において、前記オフガスへの点火前に、前記蒸発部への水供給を開始すると共に、前記オフガスへの点火後に前記改質器内へ改質用の空気を導入しないように制御を行うことを特徴とする固体酸化物型燃料電池装置。
  2. 前記制御手段は、前記起動工程における前記オフガスへの点火前から点火時にかけて前記改質器内に空気を導入すると共に、点火前に前記蒸発部への水供給を開始するように制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
  3. 前記改質器の蒸発部へ水を供給する水供給ラインは、上方から下方へ延びる導入部を備え、前記導入部の下端部分が前記蒸発部の入口に接続されており、
    前記制御手段は、前記オフガスの点火後よりも点火前の方が水供給量が多くなるように、前記蒸発部への水供給を制御することを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
  4. 前記制御手段は、前記オフガスの点火直後の水供給量が前記起動工程において最も少なくなるように水供給を制御することを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
  5. 燃料電池モジュール内において、内部流路を備えた燃料電池セルに供給した燃料を前記燃料電池セルの上端部から流出させ、流出させたオフガスを燃焼させるオフガス燃焼セルバーナー方式の固体酸化物型燃料電池装置であって、
    前記オフガスの燃焼によって加熱され、改質前の燃料及び水蒸気が供給される改質部と
    水を気化させ前記改質部へ水蒸気を供給する蒸発部と、
    改質後の燃料が内部に供給され、上方に配置された前記燃料電池セルに改質後の燃料を流通させるマニホールドと、
    前記改質から前記マニホールドへと改質後の燃料を供給する燃料ガス供給管と、を備え、
    さらに、起動工程において、前記改質を介して燃料を前記燃料電池セルに供給し、且つ、点火装置を用いて前記燃料電池セルの上端部から流出する前記オフガスに点火して、燃焼させた前記オフガスにより前記改質を加熱するように制御を行う制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記起動工程において、前記オフガスへの点火前に前記蒸発部への水供給を開始すると共に、前記オフガスへの点火後に前記改質部内へ改質用の空気を導入しないように制御を行うことを特徴とする固体酸化物型燃料電池装置。
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