JP6380072B2 - 磁気特性測定方法、磁気特性測定システム、およびプログラム - Google Patents

磁気特性測定方法、磁気特性測定システム、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、磁気特性測定方法、磁気特性測定システム、およびプログラムに関し、特に、磁気特性を測定するに際し、磁性材料を励磁するために用いて好適なものである。
電気機器に使用される電磁鋼板等の磁性材料を設計するため等の目的で、磁性材料の磁気特性(例えば、磁束密度、磁化力、および鉄損)を測定することが行われる。
このような磁気特性を測定するために、励磁コイル(1次巻線)とBコイル(2次巻線)とを磁性材料に巻き回し、励磁コイルやBコイルにおける電圧や電流の測定が行われる。
非特許文献1には、励磁コイルの両端に印加される励磁電圧の波形の修正を反復して行うフィードバック制御を行う技術が開示されている。非特許文献1では、以下の(1)式により、励磁電圧vc (j+1)を導出する。
c (j+1)=vc (j)−K×(Vc1 (j)/VB1 (j))×(vB (j)−vBr) ・・・(1)
(1)式において、vcは励磁電圧であり、vBはBコイルの誘導起電力であり、vBrは、Bコイルの目標電圧であり、Vc1は、励磁電圧vcの基本波成分であり、VB1は、Bコイルの誘導起電力のvBの基本波成分であり、Kは、フィードバック係数であり、jはフィードバック回数である。非特許文献1に記載の技術では、フィードバック回数を削減するために、フィードバック係数Kを最適化することが記載されている。
特許文献1には、励磁信号とBコイルの誘導起電力とのヒステリシス曲線をテーブルとして保持し、このテーブルからBコイルの誘導起電力に対する励磁信号を算出し、算出した励磁信号を電源(波形発生器)にセットし、Bコイルの誘導起電力の仮定値と測定値の偏差を、任意発生器の励磁信号のデータから引くことが記載されている。
特開平2−304383号公報
上野庄太郎、外4名、「単板磁気特性試験用磁束波形制御法の高速化に関する検討」、電気学会研究会資料 マグネティックス研究会(MAG−08−79)、平成20年6月5日、p.13−p.18
しかしながら、特許文献1および非特許文献1に記載の技術では、目標磁束密度が正弦波である。したがって、磁束密度の制御に要する時間を十分に抑制することが容易でなく、場合によっては、磁束密度の制御ができないことがある。
また、非特許文献1に記載の技術では、磁性材料の磁束密度および磁化力の関係が非線形であることを考慮していない。このため、磁束密度の制御に要する時間を十分に抑制することに加え、磁束密度を高精度に制御することが容易でない。
また、特許文献1に記載の技術では、励磁信号をヒステリシス曲線のパラメータとしており、また、Bコイルの誘導起電力がフィードバックされるため、磁束密度を制御するロジックが複雑になる虞がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、目標磁束密度が正弦波以外であっても、当該目標磁束密度で磁性材料を励磁することを高速に且つ高精度に実現することを目的とする。
本発明の磁気特性測定方法は、磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記磁性材料に巻き回された励磁コイルに励磁電圧を印加することによって励磁された前記磁性材料の磁束密度を導出する磁束密度導出工程と、前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報と、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度とに基づいて、前記磁性材料の磁化力を導出する磁化力導出工程と、前記磁化力導出工程により導出された前記磁性材料の磁化力と、前記磁性材料の目標磁束密度に対応する目標磁化力と、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値とに基づいて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を導出する励磁電圧修正量導出工程と、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度と、前記磁性材料の目標磁束密度とを比較した結果に基づいて、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度が収束したか否かを判定する収束判定工程と、前記励磁電圧修正量導出工程により導出された前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を用いて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新する目標励磁電圧導出工程と、前記磁性材料の磁束密度が収束していない場合に、前記目標励磁電圧導出工程により更新された前記磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記励磁コイルに励磁電圧を印加することによって前記磁性材料を励磁する励磁工程と、を有することを特徴とする。
本発明の磁気特性測定システムは、磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記磁性材料に巻き回された励磁コイルに励磁電圧を印加することによって励磁された前記磁性材料の磁束密度を導出する磁束密度導出手段と、前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報と、前記磁束密度導出手段により導出された前記磁性材料の磁束密度とに基づいて、前記磁性材料の磁化力を導出する磁化力導出手段と、前記磁化力導出手段により導出された前記磁性材料の磁化力と、前記磁性材料の目標磁束密度に対応する目標磁化力と、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値とに基づいて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を導出する励磁電圧修正量導出手段と、前記磁束密度導出手段により導出された前記磁性材料の磁束密度と、前記磁性材料の目標磁束密度とを比較した結果に基づいて、前記磁束密度導出手段により導出された前記磁性材料の磁束密度が収束したか否かを判定する収束判定手段と、前記励磁電圧修正量導出手段により導出された前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を用いて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新する目標励磁電圧導出手段と、前記磁性材料の磁束密度が収束していない場合に、前記目標励磁電圧導出手段により更新された前記磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記励磁コイルに励磁電圧を印加することによって前記磁性材料を励磁する励磁手段と、を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記磁性材料に巻き回された励磁コイルに励磁電圧を印加することによって励磁された前記磁性材料の磁束密度を導出する磁束密度導出工程と、前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報と、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度とに基づいて、前記磁性材料の磁化力を導出する磁化力導出工程と、前記磁化力導出工程により導出された前記磁性材料の磁化力と、前記磁性材料の目標磁束密度に対応する目標磁化力と、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値とに基づいて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を導出する励磁電圧修正量導出工程と、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度と、前記磁性材料の目標磁束密度とを比較した結果に基づいて、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度が収束したか否かを判定する収束判定工程と、前記励磁電圧修正量導出工程により導出された前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を用いて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新する目標励磁電圧導出工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、磁性材料の磁束密度を導出し、導出した磁束密度に対応する磁化力と、目標磁束密度に対応する磁化力と、目標励磁電圧の現在値とに基づいて、磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新する。したがって、目標磁束密度が正弦波以外であっても、当該目標磁束密度で磁性材料を励磁することを高速に且つ高精度に実現することができる。
磁気特性測定システムの構成の一例を示す図である。 リング試料の目標磁束密度の第1の例を示す図である。 磁性材料のヒステリシス曲線の一例を概念的に示す図である。 磁気特性測定装置の処理の一例を説明するフローチャートである。 目標磁束密度に対する供試材の磁束密度の誤差率と波形制御回数との関係を示す図である。 磁性材料の初磁化特性の第1の例を概念的に示す図である。 リング試料の目標磁束密度の第2の例を示す図である。 磁性材料の初磁化特性の第2の例を概念的に示す図である。 リング試料の目標磁束密度の第3の例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、磁気特性測定システムの構成の一例を示す図である。図1では、複数の電磁鋼板を積み重ねてリング状にしたリング試料Rの磁気特性を測定する場合を例に挙げて示す。ただし、軟磁性材料に代表される磁性材料であれば、磁気特性の測定対象は、リング試料Rに限定されるものではない。例えば、エプスタイン試料や単板であってもよい。
磁気特性測定システムは、励磁電源100と、励磁コイル200と、Bコイル(サーチコイル)300と、2次電圧検出部400と、磁気特性測定装置500と、を有する。
励磁電源100は、励磁電圧(交流電圧)を生成して出力する。励磁電源は、特に限定されるものではなく、公知の励磁電源で実現できる。例えば、特許文献1および非特許文献1に記載の電源や、インバータ(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)インバータ)電源を励磁電源として採用することができる。
励磁コイル200とBコイル300は、それぞれ、リング試料Rに巻き回されるコイルである。尚、励磁コイル200とBコイル300の巻き数と巻き方向は、図1に示すものに限定されない。
励磁電源100から出力された励磁電圧が励磁コイル200に印加されると(励磁コイル200に励磁電流が流れると)リング試料Rは励磁され、Bコイル300に誘導起電力が生じる。
2次電圧検出部400は、Bコイル300に生じる誘導起電力を検出するものであり、例えば交流電圧計により実現される。
尚、図1に示す磁気特性測定システムで励磁電流を検出する場合には、例えば、励磁電源100と励磁コイル200との間にシャント抵抗を直列に配置すればよい。また、励磁電圧を検出する場合には、例えば、励磁コイル200の両端の電圧を検出する電圧計を配置すればよい。
磁気特性測定装置500は、リング試料Rの磁気特性の一例として、磁束密度、磁界強度、および鉄損を測定する。磁気特性測定装置500のハードウェアは、例えば、CPU、RAM、ROM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。以下に、磁気特性測定装置500が有する機能の一例を説明する。以下の各ブロックは、例えば、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。尚、本実施形態では、磁気特性測定装置500は、予め決められたサンプリング周期Δt[sec]が経過する度に処理を行うものとする。
[目標磁束密度取得部501]
目標磁束密度取得部501は、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)[T](磁束密度の目標値と時間との関係を示す波形)を、少なくとも一周期分予め取得して記憶する。図2は、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)の一例を示す図である。図2に示す例では、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)は、正弦波と異なる波形(基本波に高調波が重畳された歪み波形)である。ただし、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)が正弦波であっても本実施形態の手法を適用することができる。
尚、(t)は時間の関数であることを表す。また、本実施形態では、tは、サンプリングタイミングを特定する変数であるものとする。サンプリングタイミングを特定する変数tは、初期値が「1」であり、サンプリング周期Δtが経過するたびに「1」が加算される。サンプリングタイミングを特定する変数tの最大値cとしては、Δt×cの値が、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)の一周期Tに相当する時間になるように設定される。具体的に説明すると、サンプリングタイミングを特定する変数tの最大値cとしては、例えば、T≧Δt×cが成り立つ範囲で可及的に大きな値が設定される。
また、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)の取得形態としては、例えば、オペレータによるユーザインターフェースの操作、外部装置からの受信、または、可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
[目標励磁電圧導出部502]
目標励磁電圧導出部502は、波形制御回数iにおける目標励磁電圧Vref,i(t)[V]を、少なくとも一周期分導出して励磁電源100に出力する。励磁電源100は、目標励磁電圧Vref,i(t)を有する励磁電圧を生成して出力する。
本実施形態では、目標励磁電圧導出部502は、目標励磁電圧Vref,i(t)[V]を一周期分出力する場合を例に挙げて説明する。また、波形制御回数iの初期値は「1」であり、目標励磁電圧導出部502から、目標励磁電圧Vref,i(t)が出力されると、波形制御回数iに「1」が加算される(インクリメントされる)ものとする。
以上のように、本実施形態では、目標励磁電圧導出部502は、目標励磁電圧Vref,i(t)[V]を一周期出力する場合を例に挙げて説明する。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はなく、例えば、目標励磁電圧導出部502は、目標励磁電圧Vref,i(t)[V]をv周期分(vは2以上の整数)導出して励磁電源100に出力してもよい。
本実施形態では、目標励磁電圧導出部502は、以下の(2)式により、最初の制御(波形制御回数i=1)における目標励磁電圧Vref,i(t)を導出する。また、目標励磁電圧導出部502は、以下の(3)式により、2回目以降の制御(波形制御回数i+1)における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を導出する。すなわち、目標励磁電圧導出部502は、目標励磁電圧(の現在値)Vref,i(t)を更新して、次回の制御における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を導出する。
Figure 0006380072
前述したように(2)式において、波形制御回数iは「1」(i=1)であり、(2)式は、最初の制御における目標励磁電圧Vref,i(t)を示す。また、Sは、リング試料Rを、その周方向(磁路)に垂直な方向に沿って切ったときの断面の一つの面積[m2]である。Nは、励磁コイル200の巻き数[回]である。Δtは、前述したようにサンプリング周期[sec]である。Bref(t)は、前述したように、リング試料Rの目標磁束密度であり、目標磁束密度取得部501により取得されるものである。tは、前述したように、サンプリングタイミングを特定する変数であり、1〜cの値をとる。t−1は、tの1つ前のサンプリングタイミングであることを表す。
波形制御回数iの初期値は「1」であるので、前述したように(3)式では、目標励磁電圧Vref,i+1(t)の波形制御回数i+1は2以上となる。すなわち、(3)式は、2回目以降の制御における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を示す。また、ΔVi+1(t)は、次回の波形制御回数i+1の制御において、今回の波形制御回数iにおける目標励磁電圧Vref,i(t)に対して修正する励磁電圧の修正量[V]である。この励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)は、後述する励磁電圧修正量導出部508で導出される。励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)の詳細については、後述する励磁電圧修正量導出部508の欄で説明する。
また、ηは、緩和係数であり、0<η<1の値をとる。緩和係数ηは、目標励磁電圧Vref,i+1(t)が収束せずに発散することを防止するためのもの係数である。すなわち、(3)式の右辺第2項(=ΔVi+1(t)×η)は、いわゆる発散防止項である。
緩和係数ηの値が大きいと、制御量が大きくなる。尚、ここでいう制御量とは、今回の波形制御回数iにおける目標励磁電圧Vref,i(t)に対して修正する励磁電圧の修正量である。したがって、後述する磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」は早く収束する。しかしながら、制御偏差が小さくなったときに大きな制御量で非線形の特性を持つ磁束密度Bi(t)の制御を行うと、波形が振動的になる。その結果、却って波形制御回数が増加することになる。尚、ここでいう制御偏差とは、後述する磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」と、目標磁束密度取得部501により取得された「リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)」との偏差である。
そこで、本実施形態では、緩和係数ηの値を、波形制御回数iが所定数増加するたびに小さくする。例えば、定率法を採用して緩和係数ηの値を定めることができる。定率法では、緩和係数ηの初期値を、波形制御回数iが所定数増加するたびに値が大きくなる係数で割ることにより、各波形制御回数iにおける緩和係数ηを定める。例えば、緩和係数ηの初期値が1であり、波形制御回数iが「1」増加するたびに値が「1」ずつ大きくなる係数を用いた場合、波形制御回数iが1、2、3、・・・における緩和係数ηは、1、1/2、1/3、・・・になる。
[磁束密度導出部503]
磁束密度導出部503は、2次電圧検出部400で検出されたBコイル300の誘導起電力から、波形制御回数iにおける各サンプリングタイミングでのBコイル300の誘導起電力V2,i(t)を抽出する。そして、磁束密度導出部503は、以下の(4)式の計算を行って、波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)[T]を(一周期分)導出する。
Figure 0006380072
(4)式における記号は、前述した通りである。
[収束判定部504]
収束判定部504は、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」と、目標磁束密度取得部501により取得された「リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)」とを比較した結果に基づいて、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」が収束したか否かを判定する。
本実施形態では、収束判定部504は、目標磁束密度取得部501により取得された「リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)」に対する、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」の誤差率(の絶対値)ε[%]を、以下の(5)式の計算を行って導出する。
Figure 0006380072
収束判定部504は、この誤差率εの導出を、一周期における全てのサンプリングタイミングで行う。そして、収束判定部504は、一周期における全てのサンプリングタイミングにおける誤差率εの算術平均値が閾値TH以下である場合に、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」は収束したと判定し、そうでない場合には、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるBコイル300の誘導起電力V2,i(t)」は収束していないと判定する。本実施形態では、閾値THは2[%]であるものとする。ただし、閾値THは2[%]に限定されない。また、収束の判定方法も前述した方法に限定されない。例えば、(5)式の分子の絶対値を外して誤差率の計算を行うようにしてもよい。
[BH関係取得部505]
BH関係取得部505は、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線(磁束密度Bと磁化力Hとの関係を示すヒステリシス曲線)を表す関数として、以下の(6)式に示す関数を予め取得して記憶する。本実施形態では、BH曲線を表す関数は、JIS C 2550−1(2011)に記載されている手法で測定された磁束密度と磁化力の値を用いて導出される。関数の導出には、例えば、公知のパラメータフィッティングまたは線形補間を用いることができる。
H(t)=f(B(t)) ・・・(6)
(6)式において、H(t)は、リング試料Rと同じ材質の磁性材料における磁化力[A/m]であり、f(B(t))は、リング試料Rと同じ材質の磁性材料の磁束密度B(t)の関数であることを表す。
本実施形態では、BH関係取得部505は、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線のうち、(前記測定で得られた範囲での)初磁化特性のみを表す関数を取得する。図3は、磁性材料のヒステリシス曲線の一例を概念的に示す図である。図3において、実線で示す部分(磁化力Hを0(ゼロ)から磁束密度Bが測定不能になるまで増加させたときの「磁束密度Bと磁化力Hとの関係」)が初磁化特性31である。本実施形態では、図3において、BH関係取得部505は、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線のうち、破線で示す部分(初磁化特性31以外の部分)の情報については取得しない。
リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線を表す関数の取得形態としては、例えば、オペレータによるユーザインターフェースの操作、外部装置からの受信、または、可搬型記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
尚、本実施形態では、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線を関数として取得する場合を例に挙げて説明する。しかしながら、BH曲線を必ずしも関数として取得する必要はなく、例えば、テーブルとして取得してもよい。
また、本実施形態では、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線(磁束密度Bと磁化力Hとの関係を示すヒステリシス曲線)を取得する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、リング試料RにおけるBH曲線を取得してもよい。
[磁化力導出部506]
磁化力導出部506は、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」を、前記(6)式に代入することにより、「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁化力Hi(t)」を導出する。この「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁化力Hi(t)」は、リング試料Rと材質が同じ磁性材料の初磁化特性において、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」に対応するものである。磁化力導出部506は、一周期における全てのサンプリングタイミングにおける磁化力Hi(t)を導出する。これにより、波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁化力Hi(t)が一周期分得られる。
[目標磁化力導出部507]
目標磁化力導出部507は、目標磁束密度取得部501により取得(記憶)された「リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)」を、前記(6)式に代入することにより、リング試料Rの目標磁化力Href(t)を導出する。この「リング試料Rの目標磁化力Href(t)」は、リング試料Rと材質が同じ磁性材料の初磁化特性において、目標磁束密度取得部501により取得(記憶)された「リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)」に対応するものである。目標磁化力導出部507は、一周期における全てのサンプリングタイミングにおける目標磁化力Href(t)を導出する。これにより、リング試料Rの目標磁化力Href(t)が一周期分得られる。
[励磁電圧修正量導出部508]
励磁電圧修正量導出部508は、収束判定部504が、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」が収束していないと判定した場合に起動する。
励磁電圧修正量導出部508は、磁化力導出部506により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁化力Hi(t)」と、目標磁化力導出部507により導出された「リング試料Rの目標磁化力Href(t)」と、「波形制御回数iにおける目標励磁電圧(今回の制御における目標励磁電圧)Vref,i(t)」とを、以下の(7)式に代入することにより、前記(3)式に示した励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)を導出する(目標励磁電圧導出部502の欄を参照)。
Figure 0006380072
前述したように、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)は、次回の波形制御回数i+1の制御において、今回の波形制御回数iにおける目標励磁電圧Vref,i(t)に対して修正する励磁電圧の修正量である。励磁電圧修正量導出部508は、一周期における全てのサンプリングタイミングにおける励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)を導出する。これにより、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)が一周期分得られる。目標励磁電圧導出部502は、このようにして導出された励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)を用いて、前記(3)式の計算を行うことにより、次回の制御(波形制御回数i+1)における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を一周期分導出する。
[鉄損導出部509]
鉄損導出部509は、収束判定部504が、磁束密度導出部503により導出された「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)」が収束したと判定した場合に起動する。
鉄損導出部509は、前記収束した「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁束密度Bi(t)、Bi(t−1)」と、「波形制御回数iにおけるリング試料Rの磁化力Hi(t)」とを、以下の(8)式に代入することにより、リング試料Rの鉄損W[W/kg]を導出する。
Figure 0006380072
(8)式において、cは、前述したように、サンプリングタイミングを特定する変数tの最大値cであり、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)の一周期Tに相当する時間が経過する際のサンプリングタイミングを特定する変数である。また、Δtは、前述したように、サンプリング周期である。
鉄損導出部509は、リング試料Rの鉄損Wを示す情報を出力する。リング試料Rの鉄損Wを示す情報の出力形態としては、例えば、コンピュータディスプレイへの表示、可搬型記憶媒体や磁気特性測定装置500の内部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信の少なくとも1つを採用することができる。
<フローチャート>
次に、図4のフローチャートを参照しながら、磁気特性測定装置500の処理の一例を説明する。尚、ここでは、図4のフローチャートが開始される前に、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)と、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線((6)式を参照)とが取得され、磁気特性測定装置500の内部に記憶されている場合を例に挙げて説明する。
まず、ステップS401において、目標磁化力導出部507は、前記(6)式に基づき、リング試料Rの目標磁化力Href(t)を(一周期分)導出する。尚、リング試料Rの目標磁化力Href(t)を、図4のフローチャートを開始する前に予め計算して記憶しておいてもよい。
次に、ステップS402において、目標励磁電圧導出部502は、波形制御回数iに初期値(=1)を設定する。
次に、ステップS403において、目標励磁電圧導出部502は、前記(2)式の計算を行って、最初の制御(波形制御回数i=1)における目標励磁電圧Vref,i(t)を(一周期分)導出する。目標励磁電圧導出部502は、導出した「最初の制御(波形制御回数i=1)における目標励磁電圧Vref,i(t)」を励磁電源100に出力する。励磁電源100は、「最初の制御(波形制御回数i=1)における目標励磁電圧Vref,i(t)」を有する励磁電圧を生成して出力する。これにより、Bコイル300に誘導起電力が発生する。
次に、ステップS404において、磁束密度導出部503は、2次電圧検出部400で検出されたBコイル300の誘導起電力から、波形制御回数iにおける各サンプリングタイミングでのBコイル300の誘導起電力V2,i(t)を抽出する。
次に、ステップS405において、磁束密度導出部503は、サンプリングタイミングを特定する変数tに初期値(=1)を設定する。これにより、最初のサンプリングタイミングが指定される。
次に、ステップS406において、磁束密度導出部503は、前記(4)式の計算を行うことにより、リング試料Rの磁束密度Bi(t)を導出する。
次に、ステップS407において、磁束密度導出部503は、サンプリングタイミングを特定する変数tが最大値cであるか否かを判定する。この判定の結果、サンプリングタイミングを特定する変数tが最大値cでない場合には、ステップS408に進む。
ステップS408に進むと、磁束密度導出部503は、サンプリングタイミングを特定する変数tに「1」を加算する。そして、ステップS405の処理に進み、磁束密度導出部503は、次のサンプリングタイミングにおけるBコイル300の誘導起電力V2,i(t)を導出する。以上のようにステップS406において、サンプリングタイミングを特定する変数tが最大値cであると判定されるまで、ステップS406〜S408の処理を繰り返し行う。
ステップS407において、サンプリングタイミングを特定する変数tが最大値cであると判定されると、ステップS409に進む。ステップS409に進むと、磁化力導出部506は、前記(6)式に基づき、リング試料Rの磁化力Hi(t)を(一周期分)導出する。
次に、ステップS410において、収束判定部504は、リング試料Rの磁束密度Bi(t)が収束したか否かを判定する。前述したように本実施形態では、リング試料Rの磁束密度Bi(t)の誤差率εが2[%]以下である場合に、リング試料Rの磁束密度Bi(t)が収束したと判定する(前記(5)式を参照)。
この判定の結果、リング試料Rの磁束密度Bi(t)が収束した場合には、ステップS411に進む。ステップS411に進むと、鉄損導出部509は、前記(8)式の計算を行うことにより、リング試料Rの鉄損Wを導出する。このとき、ステップS406、S408で最後に計算された(ステップS410でYESと判定される直前に計算された)リング試料Rの磁束密度Bi(t)、Bi(t−1)・磁化力Hi(t)を前記(8)式に代入する。そして、鉄損導出部509は、導出したリング試料Rの鉄損Wを出力する。これにより、図4のフローチャートによる処理が終了する。
一方、ステップS410において、リング試料Rの磁束密度Bi(t)が収束していないと判定されると、ステップS412に進む。ステップS412に進むと、励磁電圧修正量導出部508は、前記(7)式の計算を行うことにより、次回の制御(波形制御回数i+1)における励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)を導出する。
次に、ステップS413にいて、目標励磁電圧導出部502は、前記(3)式の計算を行うことにより、次回の制御(波形制御回数i+1)における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を導出する。すなわち、目標励磁電圧導出部502は、目標励磁電圧(の現在値)Vref,i(t)を更新して、次回の制御における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を導出する。目標励磁電圧導出部502は、導出した「次回の制御における目標励磁電圧Vref,i+1(t)」を励磁電源100に出力する。励磁電源100は、「次回の制御における目標励磁電圧Vref,i+1(t)」を有する励磁電圧を生成して出力する。これにより、更新された目標励磁電圧を有する励磁電圧に基づいてリング試料Rが励磁され、Bコイル300に誘導起電力が発生する。
次に、ステップS414において、目標励磁電圧導出部502は、波形制御回数iに「1」を加算する。そして、ステップS404に戻る。これにより、次の波形制御回数iにおける処理が行われる。
<実施例>
次に、本実施形態の実施例を説明する。
本実施例では、前述した本実施形態の手法(本手法)と、非特許文献1に記載のように磁束密度および磁化力の関係の非線形性を考慮せずに、磁束密度をフィードバックする手法(比較法)とのそれぞれにおける実験を、以下の条件で行った。
供試材:35A300のリング(外径φ=45[mm]、内径φ=35[mm]、積厚=10[mm])
励磁コイル200の巻き数=300[回]
Bコイル300の巻き数=100[回]
励磁周波数=50[Hz]
目標磁束密度Bref(t)は、図2に示したものとした。また、供試材の磁束密度Bi(t)の収束条件は、本実施形態で示した条件とした。すなわち、目標磁束密度Bref(t)に対する供試材の磁束密度Bi(t)の誤差率εが2[%]以下である場合に、供試材の磁束密度Bi(t)が収束したと判定する(前記(5)式を参照)。
図5に、目標磁束密度Bref(t)に対する供試材の磁束密度Bi(t)の誤差率εと波形制御回数との関係を示す。
図2に示すように、目標磁束密度Bref(t)では、磁束密度が大きい領域が多く、磁束密度の偏差に対する目標励磁電圧の指令値の非線形性が高い領域が続くため、磁束密度の制御が難しい。そのため、図5に示すように、比較法では、供試材の磁束密度Bi(t)が収束するまでに4回の制御が必要であった。これに対し、本手法では、2回の制御で供試材の磁束密度Bi(t)が収束した。したがって、本手法では比較法に比べ、制御回数・測定時間を半減させることができる。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、目標励磁電圧Vref,i(t)でリング試料Rを励磁した際のBコイル300の誘導起電力V2,i(t)から、リング試料Rの磁束密度Bi(t)を導出する。そして、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線を表す関数から、リング試料Rの磁束密度Bi(t)に対応する磁化力Hi(t)を導出する。また、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線を表す関数から、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)に対応する目標磁化力Href(t)を導出する。そして、磁化力Hi(t)と目標磁化力Href(t)との誤差の割合に、目標励磁電圧Vref,i(t)を乗算した値を、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)として導出する。そして、リング試料Rの目標磁束密度Bref(t)と、リング試料Rの磁束密度Bi(t)との誤差が低減するように、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)を用いて、目標励磁電圧Vref,i(t)を変更することにより、次回の制御における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を導出する。以上の計算を、リング試料Rの磁束密度Bi(t)が収束するまで行う。
このように本実施形態では、磁束密度および磁化力の関係の非線形性を考慮して、目標励磁電圧Vref,i(t)を更新する。したがって、目標磁束密度が正弦波以外であっても、当該目標磁束密度で磁性材料を励磁することを高速に且つ高精度に実現することができる。
また、本実施形態では、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線を表す関数として初磁化特性のみを用いた。したがって、リング試料Rの磁束密度Bi(t)の制御を簡略化することができる。よって、リング試料Rの磁束密度Bi(t)の制御ロジックの作成と、1回あたりの制御時間の短縮(すなわち測定時間の短縮)とを実現することができる。
また、本実施形態では、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)に緩和係数ηを乗算した値を、目標磁化力Href(t)に対する磁化力Hi(t)の誤差が低減するように、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)に対して加算する。したがって、制御の発散を防止することができる。
<変形例>
本実施形態のように、BH関係取得部505により、リング試料Rと同じ材質の磁性材料におけるBH曲線のうち、初磁化特性のみを表す情報(関数やテーブル)を取得する構成にすれば、同一の磁束密度Bに対する磁化力Hの値が1つになる。したがって、リング試料Rの磁束密度Bi(t)の制御が複雑になることを抑制することができるので好ましい。しかしながら、必ずしも初磁化特性のみを表す関数を取得する必要はない。例えば、図3に示すBH曲線のうち、破線で示す部分(初磁化特性31以外の部分)を表す情報(関数やテーブル)を取得してもよい。このようにした場合には、同一の磁束密度Bに対する磁化力Hの値が2つになる。そこで、例えば、前回のサンプリングタイミングの磁束密度Bi(t−1)を記憶し、今回のサンプリングタイミングの磁束密度Bi(t)との大小関係を比較することにより、前記2つの磁化力Hのうちの何れかを、今回のサンプリングタイミングの磁束密度Bi(t)として特定すればよい。
また、本実施形態では、前記(7)式に示すようにして、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)を導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)は、目標磁化力Href(t)と磁化力Hi(t)との誤差の割合に、目標励磁電圧Vref,i(t)を乗算した値であれば、必ずしも前記(7)式のように表す必要はない。例えば、以下の(9)式のように、励磁電圧の修正量ΔVi+1(t)を定めてもよい。このようにした場合には、(3)式の右辺の「+」は「−」になる。
Figure 0006380072
また、図4のフローチャートにおいて、ステップS410とステップS412の間に(ステップS410でNOと判定された場合に)、波形制御回数iが規定回数であるか否かを判定する処理を追加してもよい。このようにした場合には、例えば、波形制御回数iが規定回数でない場合にはステップS412に進む。一方、波形制御回数iが規定回数である場合には磁束密度Bi(t)が収束しない旨の情報を出力して図4のフローチャートによる処理を終了する。
また、本実施形態のように、緩和係数ηを導入すれば、制御の発散を確実に抑制することができるので好ましい。しかしながら、必ずしも緩和係数ηを導入する必要はない。このようにする場合、(3)式の右辺第2項のηを「1」にする(緩和係数ηの値を「1」にする)。
また、ステップS410の収束の判定のタイミングは、次回の制御(波形制御回数i+1)における目標励磁電圧Vref,i+1(t)を励磁電源100に出力する前のタイミングであれば、ステップS409の次のタイミングに限定されない。例えば、ステップS412の次のタイミングでステップS410の収束の判定を行うようにしてもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、BH関係取得部505は、BH曲線を表す関数として、測定で得られた範囲での初磁化特性の関数を取得する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、BH関係取得部505は、初磁化特性として、測定で得られた範囲に加えて、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が大きい範囲での初磁化特性を取得する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、BH関係取得部505が取得する初磁化特性が異なるだけである。したがって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付すなどして詳細な説明を省略する。
図6は、磁性材料の初磁化特性の一例を概念的に示す図である。図6に示す例では、実線の部分が、測定で得られた範囲であり、破線の部分が以下のようにして導出される部分であるものとする。以下に、図6を参照しながら、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が大きい範囲での初磁化特性を取得する方法の例を説明する。
<第1の例>
第1の例では、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの値を用いて線形外挿することにより、測定で得られた範囲よりも大きい範囲の磁束密度Bpおよび磁化力Hpの組を導出する。
本実施形態では、例えば、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの値のうち、最も大きな値(磁束密度Bqおよび磁化力Hq)と、2番目に大きな値(磁束密度Bq-1および磁化力Hq-1)とを用いて、以下の(10)式により、測定で得られた範囲よりも大きい範囲の磁束密度Bpおよび磁化力Hpの組を導出する。このようにした場合には、例えば、測定で得られた範囲よりも大きい範囲の磁束密度Bpおよび磁化力Hpの組を用いて線形補間を行うことにより、測定で得られた範囲よりも大きい範囲での初磁化特性の関数を導出する。
Figure 0006380072
<第2の例>
第2の例では、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの値のうち、(当該測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hから得られる)比透磁率が最大値となるときの磁束密度Brおよび磁化力Hr以上の値を用いて、磁束密度Bおよび磁化力Hとの関係を、以下の(11)式に近似する。
B=α×Hβ ・・・(11)
ただし、α>0、0<β<1
(11)式の近似の方法(係数α、βを導出する方法)としては、例えば、最小二乗法を採用することができる。ただし、(11)式の近似の方法は、最小二乗法に限定されるものではなく、その他の公知の方法を採用することができる。
<その他の例>
その他、測定で得られた範囲よりも大きい範囲では、磁化力Hの増加量に対する磁束密度Bの増加量の割合(傾き)が真空の透磁率μ0であるものとして、測定で得られた範囲よりも大きい範囲の磁束密度Bpおよび磁化力Hpの組を導出してもよい。
<実施例>
次に、本実施形態の実施例を説明する。
本実施例では、前述した本実施形態の第1の例、第2の例、およびその他の例の手法と、非特許文献1に記載のように磁束密度および磁化力の関係の非線形性を考慮せずに、磁束密度をフィードバックする手法(比較法)とのそれぞれにおける実験を、以下の条件で行った。
供試材:35A300のリング(外径φ=45[mm]、内径φ=35[mm]、積厚=10[mm])
励磁コイル200の巻き数=300[回]
Bコイル300の巻き数=100[回]
励磁周波数=50[Hz]
目標磁束密度Bref(t)は、図7に示すものとした。また、供試材の磁束密度Bi(t)の収束条件は、第1の実施形態で示した条件とした。すなわち、目標磁束密度Bref(t)に対する供試材Bi(t)の誤差率εが2[%]以下である場合に、供試材の磁束密度Bi(t)が収束したと判定する(前記(5)式を参照)。
表1に、各手法における、供試材の磁束密度Bi(t)が収束したときの波形制御回数iを示す。
表1において、「真空透磁率にて外挿」は、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が大きい範囲での初磁化特性を前記その他の例で導出したことを示す。「線形で外挿」は、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が大きい範囲での初磁化特性を前記第1の例で導出したことを示す。「指数関数で外挿」は、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が大きい範囲での初磁化特性を前記第2の例で導出したことを示す。「外挿なし(比較法)」は、非特許文献1に記載のように磁束密度および磁化力の関係の非線形性を考慮せずに、磁束密度をフィードバックする手法を用いたことを示す。
Figure 0006380072
本実施形態で説明した各手法を用いれば、比較法に比べ、供試材の磁束密度Bi(t)が収束するまでに要する波形制御回数iを約1/3〜1/4に低減することができる。また、前記第2の例、前記第1の例、前記その他の例の順で、供試材の磁束密度Bi(t)が収束するまでに要する波形制御回数iが低減した。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの組のうち少なくとも2つの組の値を用いて外挿を行うことにより、測定で得られた範囲よりも大きい範囲の初磁化特性の関数を導出する。したがって、目標磁束密度Bref(t)が、リング試料Rの材質では通常は使用されない高磁束密度領域を含む場合でも、当該目標磁束密度Bref(t)で磁性材料を励磁することを高速に且つ高精度に実現することができる。
<変形例>
本実施形態でも第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。例えば、前記関数の代わりにテーブルを取得してもよい。また、これらの関数やテーブルを、磁気特性測定装置500が予め取得しても、磁気特性測定装置500が導出してもよい。また、初磁化特性に加えてまたは代えて初磁化特性以外のBH曲線を用いてもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第2の実施形態では、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が大きい範囲での初磁化特性を取得する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、BH関係取得部505は、初磁化特性として、測定で得られた範囲に加えて、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が小さい範囲での初磁化特性を取得する。このように本実施形態と第1および第2の実施形態とは、BH関係取得部505が取得する初磁化特性が異なるだけである。したがって、本実施形態の説明において、第1および第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付すなどして詳細な説明を省略する。
図8は、磁性材料の初磁化特性の一例を概念的に示す図である。図8に示す例では、実線の部分が、測定で得られた範囲であり、破線の部分が以下のようにして導出される部分であるものとする。以下に、図8を参照しながら、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が小さい範囲での初磁化特性を取得する方法の例を説明する。
<第1の例>
第1の例では、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの値のうち、(当該測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hから得られる)比透磁率が最大値となるときの磁束密度Brおよび磁化力Hr以下の値を用いて、磁束密度Bおよび磁化力Hとの関係を、以下の(12)式に近似する。
B=α×Hβ ・・・(12)
ただし、α>0、β<0
(12)式の近似の方法(係数α、βを導出する方法)としては、例えば、最小二乗法を採用することができる。ただし、(12)式の近似の方法は、最小二乗法に限定されるものではなく、その他の公知の方法を採用することができる。
<その他の例>
その他、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの値と原点(磁束密度Bおよび磁化力Hとが共に0(ゼロ)の点)を用いて線形内挿(線形補間)することにより、測定で得られた範囲よりも大きい範囲の磁束密度Bpおよび磁化力Hpの組を導出してもよい。具体的には、例えば、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの値のうち、最も小さな値(磁束密度B1および磁化力H1)を用いて、以下の(13)式により、測定で得られた範囲よりも小さい範囲の磁束密度Bpおよび磁化力Hpの組を導出する。
Figure 0006380072
<実施例>
次に、本実施形態の実施例を説明する。
本実施例では、前述した本実施形態の第1の例およびその他の例の手法と、非特許文献1に記載のように磁束密度および磁化力の関係の非線形性を考慮せずに、磁束密度をフィードバックする手法(比較法)とのそれぞれにおける実験を、以下の条件で行った。
供試材:35A300のリング(外径φ=45[mm]、内径φ=35[mm]、積厚=10[mm])
励磁コイル200の巻き数=300[回]
Bコイル300の巻き数=100[回]
励磁周波数=50[Hz]
目標磁束密度Bref(t)は、図9に示すものとした。また、供試材の磁束密度Bi(t)の収束条件は、第1の実施形態で示した条件とした。すなわち、目標磁束密度Bref(t)に対する供試材Bi(t)の誤差率εが2[%]以下である場合に、供試材の磁束密度Bi(t)が収束したと判定する(前記(5)式を参照)。
表2に、各手法における、供試材の磁束密度Bi(t)が収束したときの波形制御回数iを示す。
表2において、「線形で内挿」は、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が小さい範囲での初磁化特性を前記その他の例で導出したことを示す。「指数関数で内挿」は、測定で得られた範囲よりも磁束密度および磁界が小さい範囲での初磁化特性を前記第1の例で導出したことを示す。「内挿なし(比較法)」は、非特許文献1に記載のように磁束密度および磁化力の関係の非線形性を考慮せずに、磁束密度をフィードバックする手法を用いたことを示す。
Figure 0006380072
比較法では、波形制御回数iが規定回数(本例では500回)になっても、供試材の磁束密度Bi(t)は収束しなかった。これに対し、本実施形態で説明した各手法を用いれば、供試材の磁束密度Bi(t)を収束させることができた。また、前記第1の例を用いると、前記その他の例を用いる場合に比べ、供試材の磁束密度Bi(t)が収束するまでに要する波形制御回数iを約1/2に低減させることができた。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、測定で得られた磁束密度Bおよび磁化力Hの組のうち少なくとも1つの組の値と原点とを用いて内挿を行うことにより、測定で得られた範囲よりも小さい範囲の初磁化特性の関数を導出する。したがって、励磁コイル200への励磁電圧が定格値に対して非常に小さくなり電圧制御が困難になることや、Bコイル300に発生する誘導起電力の信号が微弱になるためBコイル300に発生する誘導起電力の測定精度が低下することにより、BH曲線が得られない低磁束密度における初磁化特性を得ることができる。よって、目標磁束密度Bref(t)が、低磁束密度領域を含む場合でも、当該目標磁束密度Bref(t)で磁性材料を励磁することを高速に且つ高精度に実現することができる。
<変形例>
本実施形態でも第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。例えば、前記関数の代わりにテーブルを取得してもよい。また、これらの関数やテーブルを、磁気特性測定装置500が予め取得しても、鉄損Wの測定に際して磁気特性測定装置500が導出してもよい。また、初磁化特性に加えてまたは代えて初磁化特性以外のBH曲線を用いてもよい。
また、前述した第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて、測定で得られた範囲よりも大きい範囲と小さい範囲の双方の初磁化特性の関数やテーブルを取得してもよい。
(その他の実施形態)
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100:励磁電源、200:励磁コイル、300:Bコイル、400:2次電圧検出部、500:磁気特性測定装置、501:目標磁束密度取得部、502:目標励磁電圧導出部、503:磁束密度導出部、504:磁化力導出部、505:BH関係取得部、507:目標磁化力導出部、508:励磁電圧修正量導出部、509:鉄損導出部

Claims (9)

  1. 磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記磁性材料に巻き回された励磁コイルに励磁電圧を印加することによって励磁された前記磁性材料の磁束密度を導出する磁束密度導出工程と、
    前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報と、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度とに基づいて、前記磁性材料の磁化力を導出する磁化力導出工程と、
    前記磁化力導出工程により導出された前記磁性材料の磁化力と、前記磁性材料の目標磁束密度に対応する目標磁化力と、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値とに基づいて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を導出する励磁電圧修正量導出工程と、
    前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度と、前記磁性材料の目標磁束密度とを比較した結果に基づいて、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度が収束したか否かを判定する収束判定工程と、
    前記励磁電圧修正量導出工程により導出された前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を用いて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新する目標励磁電圧導出工程と、
    前記磁性材料の磁束密度が収束していない場合に、前記目標励磁電圧導出工程により更新された前記磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記励磁コイルに励磁電圧を印加することによって前記磁性材料を励磁する励磁工程と、を有することを特徴とする磁気特性測定方法。
  2. 前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報は、前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における初磁化特性を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の磁気特性測定方法。
  3. 前記目標励磁電圧導出工程は、前記励磁電圧修正量導出工程により導出された前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量に、0を上回り且つ1を下回る係数である緩和係数を乗算した値を用いて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気特性測定方法。
  4. 前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係であって、測定で得られた磁束密度および磁化力よりも大きい値を有する磁束密度および磁化力の関係を示す情報を導出するBH関係導出工程をさらに有し、
    前記BH関係導出工程は、前記測定で得られた磁束密度および磁化力を用いて線形外挿を行うことにより、前記測定で得られた磁束密度および磁化力よりも大きい値を有する磁束密度および磁化力の関係を示す情報を導出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気特性測定方法。
  5. 前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係であって、測定で得られた磁束密度および磁化力よりも大きい値を有する磁束密度および磁化力の関係を示す情報を導出するBH関係導出工程をさらに有し、
    前記BH関係導出工程は、前記測定で得られた磁束密度および磁化力のうち、比透磁率が最大値となるときの磁束密度および磁化力以上の磁束密度B[T]および磁化力H[A/m]を用いて、以下の(A)式における係数αおよび係数βを導出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気特性測定方法。
    B=α×Hβ ・・・(A)
    ただし、α>0、0<β<1
  6. 前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係であって、測定で得られた磁束密度および磁化力よりも小さい値を有する磁束密度および磁化力の関係を示す情報を導出するBH関係導出工程をさらに有し、
    前記BH関係導出工程は、前記測定で得られた磁束密度および磁化力のうち、比透磁率が最大値となるときの磁束密度および磁化力以下の磁束密度B[T]および磁化力H[A/m]を用いて、以下の(B)式における係数αおよび係数βを導出することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気特性測定方法。
    B=α×Hβ ・・・(B)
    ただし、α>0、β<0
  7. 前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報と、前記磁性材料の目標磁束密度とに基づいて、前記磁性材料の目標磁束密度に対応する目標磁化力を導出する目標磁化力導出工程をさらに有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の磁気特性測定方法。
  8. 磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記磁性材料に巻き回された励磁コイルに励磁電圧を印加することによって励磁された前記磁性材料の磁束密度を導出する磁束密度導出手段と、
    前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報と、前記磁束密度導出手段により導出された前記磁性材料の磁束密度とに基づいて、前記磁性材料の磁化力を導出する磁化力導出手段と、
    前記磁化力導出手段により導出された前記磁性材料の磁化力と、前記磁性材料の目標磁束密度に対応する目標磁化力と、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値とに基づいて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を導出する励磁電圧修正量導出手段と、
    前記磁束密度導出手段により導出された前記磁性材料の磁束密度と、前記磁性材料の目標磁束密度とを比較した結果に基づいて、前記磁束密度導出手段により導出された前記磁性材料の磁束密度が収束したか否かを判定する収束判定手段と、
    前記励磁電圧修正量導出手段により導出された前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を用いて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新する目標励磁電圧導出手段と、
    前記磁性材料の磁束密度が収束していない場合に、前記目標励磁電圧導出手段により更新された前記磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記励磁コイルに励磁電圧を印加することによって前記磁性材料を励磁する励磁手段と、を有することを特徴とする磁気特性測定システム。
  9. 磁性材料に対する目標励磁電圧に従って前記磁性材料に巻き回された励磁コイルに励磁電圧を印加することによって励磁された前記磁性材料の磁束密度を導出する磁束密度導出工程と、
    前記磁性材料または前記磁性材料と同じ材質の磁性材料における磁束密度および磁化力の関係を示す情報と、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度とに基づいて、前記磁性材料の磁化力を導出する磁化力導出工程と、
    前記磁化力導出工程により導出された前記磁性材料の磁化力と、前記磁性材料の目標磁束密度に対応する目標磁化力と、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値とに基づいて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を導出する励磁電圧修正量導出工程と、
    前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度と、前記磁性材料の目標磁束密度とを比較した結果に基づいて、前記磁束密度導出工程により導出された前記磁性材料の磁束密度が収束したか否かを判定する収束判定工程と、
    前記励磁電圧修正量導出工程により導出された前記磁性材料に対する目標励磁電圧の修正量を用いて、前記磁性材料に対する目標励磁電圧の現在値を更新する目標励磁電圧導出工程と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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