JP6206608B1 - 電磁場解析装置、電磁場解析方法、およびプログラム - Google Patents

電磁場解析装置、電磁場解析方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 磁束密度に高調波が重畳される場合でも磁束密度および磁界強度を精度よく導出する。【解決手段】 電磁場解析装置500は、電磁場の解析対象である鉄心(コア)の磁束密度ベクトルを数値解析により導出し、導出した磁束密度ベクトルから磁束密度の大きさの最大値Bmを導出する。次に、電磁場解析装置500は、材料属性と励磁基本周波数とに対応する渦電流損係数特性を読み出し、読み出した渦電流損係数特性において、磁束密度ベクトルの最大値Bmに対応する異常渦電流損係数κを導出する。次に、電磁場解析装置500は、異常渦電流損係数κを用いて電磁鋼板の導電率σを補正した補正導電率σ´を導出し、補正導電率σ´を用いて、電磁場の解析対象である鉄心の磁束密度ベクトルおよび渦電流ベクトルを数値解析により導出する。【選択図】 図5

Description

本発明は、電磁場解析装置、電磁場解析方法、およびプログラムに関し、特に、磁性材料における電磁場を解析するために用いて好適なものである。
従来から、回転電機や変圧器等の、磁性材料を使用する電気機器における電磁場を数値解析によって計算し、その結果を、電気機器の設計や改良に役立てることが行われている。
このような数値解析を行う際に、磁性材料の磁気特性を初磁化特性とする手法がある。しかしながら、実際の磁性材料の磁気特性は、磁気ヒステリシス特性を有する。このため、複雑な励磁条件で生じる電磁場を解析するためには、磁性材料の磁気ヒステリシス特性を考慮した数値解析を行う必要がある。特に、磁性材料の磁気特性として初磁化特性を用いると、電気機器のコイルに流れる電流の値の計算値の精度が低下し、電気機器の銅損の推定や、鉄心(コア)内の磁界の推定を高精度に行うことができなくなる場合がある。
そこで、非特許文献1、2には、磁性材料の磁気ヒステリシスを考慮して電磁場の解析を行う手法として、プレイヒステリシスモデルを用いる手法が開示されている。プレイヒステリシスモデルでは、磁気ヒステリシス特性の実測データに合うように、形状関数が同定され、この形状関数を用いて、磁束密度と磁界との関係が定式化される。
しかしながら、非特許文献1、2に記載の手法では、磁気ヒステリシス特性の実測データとして、直流磁気ヒステリシス特性の実測データを使用する。交流磁界が印加された磁性材料のヒステリシス特性には、直流磁気ヒステリシス特性、古典的渦電流による磁気ヒステリシス特性、および異常渦電流による磁気ヒステリシス特性の3つが影響する。このうち、古典的渦電流による磁気ヒステリシス特性は、電磁場解析で渦電流を数値解析する過程で考慮される。このため、非特許文献1、2に記載の手法では、直流磁気ヒステリシス特性と古典的渦電流による磁気ヒステリシス特性は考慮されている。しかしながら、非特許文献1、2に記載の手法では、異常渦電流による磁気ヒステリシス特性は考慮されていない。
そこで、特許文献1には、異常渦電流による磁気ヒステリシス特性を考慮した技術が開示されている。特許文献1に記載の手法では、まず、異常渦電流損係数を古典的渦電流損に乗じた値で渦電流損を表現すると共に、渦電流損から古典的渦電流損を減じた値で異常渦電流損を表現する。この異常渦電流損に基づく磁界強度ベクトルの大きさを、直流磁気ヒステリシス特性における磁界強度ベクトルの大きさに加算した値を、補正後の磁界強度ベクトルの大きさとする。そして、磁束密度ベクトルの大きさに対応する補正後の磁界強度ベクトルの大きさを、各時間ステップにおいて導出する。そして、それら磁束密度ベクトルの大きさと補正後の磁束密度ベクトルの大きさとの関係を補正直流磁気ヒステリシス特性として作成する。そして、この補正直流磁気ヒステリシス特性を使って、プレイヒステリシスモデルを同定(構築)し、電磁場の解析に供する。
特開2016−51376号公報 特許第5472080号公報 特許第4932640号公報
阿波根 明、外1名、「等方性ベクトルプレイモデルを用いた有限要素法によるヒステリシス解析の検討」、電気学会 静止器・回転機合同研究会資料、SA‐09−67、RM−09−73、p.71−p.76、2009年 北尾 純士、外6名、「プレイモデルのヒステリシス磁界解析への適用に関する検討」、電気学会 静止器・回転機合同研究会資料、SA‐12−16、RM−12−16、p.89−p.94、2012年 電気学会技術報告書第1244号「電磁界解析による回転機の実用的性能評価技術」、電気学会産業応用部門回転機技術委員会、2012年2月 中田高義、高橋則雄著、「電気工学の有限要素法」、第2版、森北出版株式会社、1986年4月 社団法人日本塑性加工学会編、「非線形有限要素法 −線形弾性解析から塑性加工解析まで」、株式会社コロナ社、1994年12月
特許文献1に記載の技術では、磁束密度の波形が正弦波である場合には数百Hz程度の周波数帯の磁気ヒステリシス特性を精度よく計算することができる。しかしながら、特許文献1に記載の技術で補正するのは、直流磁気ヒステリシス特性のみである。従って、磁束密度に高調波が重畳された場合、電磁場解析で得られる磁束密度と磁界強度との関係の精度が低下する虞がある。例えば、ハイブリッド自動車や空調機に使用されるモータのようにインバータ電源で駆動される電気機器には、電気機器の空間高調波やインバータ高調波といった様々な高調波が磁束密度に重畳される。このような電気機器の鉄損を精度よく推定するためには、磁束密度に高調波が重畳される場合でも磁束密度および磁界強度を精度よく導出することができる技術が求められる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、磁束密度に高調波が重畳される場合でも磁束密度および磁界強度を精度よく導出することができるようにすることを目的とする。
本発明の電磁場解析装置は、高調波成分が含まれた励磁電圧によって軟磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度の一周期における大きさの最大値を取得する磁束密度取得手段と、前記磁束密度取得手段により取得された磁束密度の最大値と、前記磁性材料に対する励磁周波数の基本周波数とに基づいて、前記軟磁性材料の全渦電流損を表現する際に古典的渦電流損に乗算される係数である異常渦電流損係数を導出し、当該異常渦電流損係数と、前記磁性材料の固有抵抗率の逆数である導電率とに基づいて、補正後の導電率を導出する補正手段と、前記補正手段により補正された導電率を用いて、前記磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度ベクトルと渦電流ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づき、複数の微小領域毎に計算する電磁場解析手段と、を有することを特徴とする。
本発明の電磁場解析方法は、コンピュータが、高調波成分が含まれた励磁電圧によって軟磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度の一周期における大きさの最大値を取得する磁束密度取得工程と、前記磁束密度取得工程により取得された磁束密度の最大値と、前記磁性材料に対する励磁周波数の基本周波数とに基づいて、前記軟磁性材料の全渦電流損を表現する際に古典的渦電流損に乗算される係数である異常渦電流損係数を導出し、当該異常渦電流損係数と、前記磁性材料の固有抵抗率の逆数である導電率とに基づいて、補正後の導電率を導出する補正工程と、前記補正工程により補正された導電率を用いて、前記磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度ベクトルと渦電流ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づき、複数の微小領域毎に計算する電磁場解析工程と、を実行することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記電磁場解析装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、磁束密度に高調波が重畳される場合でも磁束密度および磁界強度を精度よく導出することができる。
IPMモータのモデルを示す図である。 励磁電圧の時間波形と磁束密度の時間波形の一例を示す図である。 リング状試料の形状の一例を示す図である。 磁気ヒステリシス特性の一例を示す図である。 電磁場解析装置の機能的な構成の第1の例を示す図である。 磁束密度の大きさの最大値の一例を示す図である。 異常渦電流損係数特性の第1の例を示す図である。 磁場解析装置の動作の一例を説明するフローチャートである。 磁気ヒステリシス特性と磁束密度の時間波形を示す図である。 PWM制御で励磁した場合の磁気ヒステリシス特性の第1の例を示す図である。 電磁場解析装置の機能的な構成の第2の例を示す図である。 初磁化特性の一例を説明する図である。 電磁場解析装置の機能的な構成の第3の例を示す図である。 異常渦電流損係数特性の第2の例を示す図である。 電磁場解析装置の機能的な構成の第4の例を示す図である。 異常渦電流損補正係数の分布の一例を示す図である。 渦電流損の分布の一例を示す図である。 PWM制御で励磁した場合の磁気ヒステリシス特性の第2の例を示す図である。
本発明の実施形態を説明する前に、まず、磁束密度に高調波成分が重畳された場合に、渦電流の計算精度を向上させる必要があることについて本発明者らが得た知見を説明する。
図1は、磁束密度の解析に用いたIPM(Interior Permanent Magnet)モータのモデルを示す図である。具体的に、図1は、IPMモータの回転軸の中心を原点0とし、原点0から径方向に伸びる2つの線であって、相互になす角度が90[°]となる2つの線でIPMモータを切ったときの、IPMモータの回転軸に垂直な方向の面を示す図である。
図1において、IPMモータは、ロータ101とステータ102とを有する。図1に示す0は、原点であり、IPMモータの回転軸の中心と一致する。x、yは、それぞれ、x軸、y軸を示す。ロータ101の半径は65[mm]、ステータ102の外径は224[mm](半径は112[mm])である。また、ここでは、IPMモータの回転数を1500[rpm](=周波数:50[Hz])、ステータ102に含まれる巻線を分布巻きとした。また、ステータコアに用いる電磁鋼板をJIS C 2552(2014年)に示されている35A300とした。尚、図1は、非特許文献3に記載のいわゆる電気学会Dモデルモータである。
図2は、励磁電圧の時間波形(図2(a))と磁束密度の時間波形(図2(b))の一例を示す図である。また、図3は、リング状試料の形状の一例を示す図である。
リング状試料300に用いる電磁鋼板を、前述した35A300の電磁鋼板とした。図3に示すように、リング状試料300の外径は45[mm]、内径は33[mm]、高さは7[mm]である。
まず、図1に示すIPMモータのモデルを用いて静磁場解析を行った結果から、図1に示す位置103のx軸方向における磁束密度の時間波形として、図2(b)に示す磁束密度204を得た。次に、リング試料300の形状に基づいて、リング試料300に磁束密度204が発生する励磁電圧を計算した。この励磁電圧が図2(a)に示す励磁電圧201である。図2(a)に示す励磁電圧202、203は、PWM(Pulse Width Modulation)制御した場合の励磁電圧であって、インバータ高調波成分を除いた場合に励磁電圧201になる励磁電圧である。励磁電圧202、203は、それぞれ、変調率が0.4、1.0の場合の励磁電圧である。ここで、変調率は、電気機器に対する目標励磁電圧のピーク値と、インバータ電源の入力である直流電圧との比で定義される。
そして、リング状試料300を励磁電圧202、203で励磁した場合の磁束密度の時間波形を測定すると共に、リング状試料300を励磁電圧201〜203で励磁した場合の磁気ヒステリシス特性を測定した。これらの測定の結果が、図2(b)に示す磁束密度205、206および図4に示す磁気ヒステリシス特性である。ここで、磁界強度は、励磁電流から推定し、磁路長は、リング状試料の外周と内周の平均値とした。尚、磁気ヒステリシス特性とは、磁束密度と磁界強度との関係である。磁気ヒステリシス特性をグラフ化するとヒステリシスループになる。
図2(b)に示す磁束密度205、206は、それぞれ、励磁電圧202、203で励磁した場合のリング状試料300の周方向の磁束密度である。図2(b)に示すように、磁束密度205、206は、PWMにおける変調率が小さくなるに伴い、搬送波の周波数に相当する高調波が重畳されるものの(磁束密度205、206は、それぞれ変調率が0.4、1.0の場合の磁束密度である)、磁束密度204と略同一の波形になる。
図4は、励磁電圧201〜203で励磁した場合の磁気ヒステリシス特性の一例を示す。図4では、x軸方向の磁気ヒステリシス特性を示す。図4において、磁気ヒステリシス特性401、402、403は、それぞれ、励磁電圧201、202、203で励磁した場合の磁気ヒステリシス特性である。図4に示すように、変調率が小さくなり磁束密度に重畳される高調波が増えるに伴い、磁気ヒステリシス特性の磁界強度の幅が大きくなることが分かる。磁気ヒステリシス特性の磁界強度の幅が大きくなることは、鉄損への渦電流損の影響が大きくなることに対応する。従って、磁束密度に重畳される高調波によって電磁鋼板に流れる渦電流損の増加が、鉄損が増加することの主要因であると考えられる。よって、磁束密度に高調波成分が重畳された場合には、渦電流の導出精度を向上させる必要がある。図4の磁気ヒステリシス特性401〜403に示すように、磁束密度に高調波成分が重畳されると、磁気ヒステリシス特性は極めて複雑になる。従って、特許文献1に記載の技術のように、直流磁気ヒステリシス特性を補正するだけでは、磁束密度に高調波成分が重畳された場合には、磁気ヒステリシス特性を精度よく導出することができない場合がある。
そこで、本発明者らは、より直接的に渦電流に影響を与える電磁鋼板の導電率σ(=電磁鋼板の固有抵抗率ρの逆数)に着目した。そして、本発明者らは、磁束密度に高調波成分が重畳される場合の異常渦電流の影響を、電磁場解析に使用する導電率σを補正することで考慮することを見出した。これにより、磁束密度に高調波成分が重畳される場合でも、磁気ヒステリシス特性を精度よく導出することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、電磁鋼板を積層した鉄心(コア)を備える電気機器における電磁場を解析する場合を例に挙げて説明する。ただし、電磁場の解析対象は、軟磁性材料(例えば強磁性材料)であれば、電磁鋼板に限定されない。また、本実施形態では、説明を簡単にするため、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θによる、磁束密度の大きさと磁界強度の大きさとの関係の変化(異方性)は無視できるほど小さいものとする(異方性を考慮する場合については、変形例として説明する)。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
図5は、電磁場解析装置の機能的な構成の一例を示す図である。電磁場解析装置500のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。
<直流磁気ヒステリシス特性入力部501>
直流磁気ヒステリシス特性入力部501は、電磁場の解析の対象となる電磁鋼板の直流磁気ヒステリシス特性のデータを入力する。直流磁気ヒステリシス特性とは、渦電流を殆ど生じさせることの無い時間的にゆっくり変化する磁束密度と磁界強度とに基づく磁気ヒステリシス特性をいう。本実施形態では、このような渦電流の影響を含むことの無い磁気ヒステリシス特性であって、メジャーループに相当する部分の磁気ヒステリシス特性を、直流磁気ヒステリシス特性とする。
直流磁気ヒステリシス特性のデータを直接測定することができる場合には、直流磁気ヒステリシス特性入力部501は、直流磁気ヒステリシス特性の測定データを入力する。また、例えば、非特許文献2に記載されているように、同一の最大磁束密度についての複数の周波数におけるヒステリシス特性の測定データから直流磁気ヒステリシス特性のデータを推定してもよい。この場合、直流磁気ヒステリシス特性入力部501は、直流磁気ヒステリシス特性の推定データを入力する。
直流磁気ヒステリシス特性入力部501は、磁束密度の複数の波高値および複数の周波数のそれぞれについて、直流磁気ヒステリシス特性のデータを入力する。磁束密度の波高値および周波数は、例えば、第1の電磁場解析部504および第2の電磁場解析部509により電磁場を解析する際の励磁条件等に応じて適宜決定することができる。
直流磁気ヒステリシス特性のデータの入力形態は、特に限定されない。例えば、電磁場解析装置500のユーザインターフェースに対するオペレータによる操作に基づく形態でも、外部装置から送信されたデータを入力する形態でも、電磁場解析装置500に電気的に接続された可搬型の記憶媒体からデータを読み出す形態でもよい。このことは、以下に説明する電磁場解析条件入力部502および磁性材料条件入力部503等、その他の入力部における入力形態についても同じである。
<電磁場解析条件入力部502>
電磁場解析条件入力部502は、電磁場解析条件を入力する。本実施形態では、有限要素法を用いて電磁場を解析する。従って、電磁場解析条件は、例えば、微小領域(メッシュ)の分割条件(分割位置の座標情報)、鉄心(コア)の形状、鉄心(コア)を励磁するときの条件(励磁条件)、および各種の初期値等である。
本実施形態では、後述する第1の電磁場解析部504は静磁場解析を行い、後述する第2の電磁場解析部509は動磁場解析(静磁場項に加えて渦電流項を考慮した解析)を行う。また、第1の電磁場解析部504は、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本波成分を励磁電圧として電磁場解析を行う。このようにすることにより、第1の電磁場解析部504は、PWMインバータ等の励磁電源を駆動することにより発生する高調波成分を無視して電磁場解析を行うことができる。即ち、励磁電圧が、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本波(正弦波)であることが、第1の電磁場解析部504における励磁条件になる。この場合、励磁周波数は、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本周波数になる。
一方、第2の電磁場解析部509は、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)を励磁電圧として電磁場解析を行う。即ち、励磁電圧が、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)であることが、第2の電磁場解析部509における励磁条件になる。電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)に高調波が含まれている場合、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の波形は、基本波に高調波が重畳された波形になる。以下の説明では、第1の電磁場解析部504による計算に必要な電磁場解析条件を必要に応じて第1の電磁場解析条件と称し、第2の電磁場解析部509による計算に必要な電磁場解析条件を必要に応じて第2の電磁場解析条件と称する。従って、電磁場解析条件入力部502から第1の電磁場解析部505、第2の電磁場解析部509には、第1の電磁場解析条件、第2の電磁場解析条件がそれぞれ出力される。尚、以上のような励磁電圧を電気機器に印加した場合の励磁電流が測定されている場合には、当該励磁電流を励磁条件としてもよい。
また、後述する異常渦電流損係数導出部507は、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本周波数を使用する。従って、電磁場解析条件入力部502から異常渦電流損係数導出部507には、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本周波数が出力される。尚、以下の説明では、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本周波数を必要に応じて励磁基本周波数と称する。ここで、励磁基本周波数は、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本周波数(基本波の一周期の逆数)に限定されない。励磁基本周波数は、電気機器に対して実際に与える励磁電流の基本周波数であってもよい。また、励磁基本周波数は、電気機器の鉄心(コア)に発生する磁束密度の基本周波数であってもよい。また、励磁は、電圧または電流による励磁でなくてもよく、例えば、外部磁界による励磁であってもよい。即ち、励磁基本周波数は、電気機器の鉄心(コア)を励磁する際の励磁周波数の基本周波数であればよい。
<磁性材料条件入力部503>
磁性材料条件入力部503は、磁性材料条件を入力する。磁性材料条件は、鉄心(コア)を構成する電磁鋼板の板厚および物性値等である。磁性材料条件には、電磁鋼板の板厚h[mm]が含まれる。磁性材料条件入力部503から第1の電磁場解析部505、第2の電磁場解析部509には、電磁鋼板の板厚h[mm]を含む磁性材料条件が出力される。ここで、後述するように第1の電磁場解析部505は静磁場解析を行う。従って、第1の電磁場解析部505では、電磁鋼板の固有抵抗率ρ[Ω・m]の逆数である導電率σ[1/Ω・m]は不要である。一方、第2の電磁場解析部509は、導電率導出部508により計算された導電率σ´[1/Ω・m]を用いる。従って、磁性材料条件入力部503から第1の電磁場解析部505および第2の電磁場解析部509に出力される磁性材料条件には、電磁鋼板の固有抵抗率ρ[Ω・m]が含まれている必要はない。尚、以下では、第1の電磁場解析部505による計算に必要な磁性材料条件を必要に応じて第1の磁性材料条件と称し、第2の電磁場解析部509による計算に必要な磁性材料条件を必要に応じて第2の磁性材料条件と称する。
また、異常渦電流損係数導出部507は、電磁鋼板の比重D[kg/m3]、板厚h[mm]および固有抵抗率ρ[Ω・m]を磁性材料条件として使用する。従って、磁性材料条件入力部503から異常渦電流損係数導出部507には、これらの情報を含む磁性材料条件が出力される。
<モデル同定部504>
モデル同定部504は、直流磁気ヒステリシス特性入力部501により入力された直流磁気ヒステリシス特性のデータに基づいて、磁束密度と磁界との関係が定式化されたモデルを同定する。
本実施形態では、かかるモデルとして、非特許文献1、2等に記載されているプレイヒステリシスモデルを利用する。より具体的には、非特許文献1に記載されている等方性ベクトルプレイヒステリシスモデルを利用する。モデル同定部504は、非特許文献1、2等に記載されているのと同様にしてプレイヒステリシスモデルを同定することができる。このように、等方性ベクトルプレイヒステリシスモデルを利用して電磁場解析を行う技術については、非特許文献1等に記載されているので、ここでは、その概略のみを説明し、詳細な説明を省略する。
等方性ベクトルプレイヒステリシスモデルでは、磁界強度ベクトルH[A/m]は、例えば、以下の(1)式、(2)式のように表される。
(1)式、(2)式において、→はベクトルであることを表す(このことは、その他の式でも同じである)。
(2)式において、pζ(|B|)は、磁束密度ベクトルB[T]に対するプレイヒステロンの値[T]である。pζ 0は、1つ前の時刻のプレイヒステロンpζの値である。max(|B−pζ 0|/ζ,1)は、|B−pζ 0|/ζと、1とのうち、大きい方の値を採用することを示す。ζは、プレイヒステロンの幅を与えるパラメータ[T]である。pζ/|pζ|は、プレイヒステロンpζの単位ベクトルである。尚、非特許文献1に記載されているように、(1)式、(2)式において、方向を一方向とすれば、スカラプレイヒステリシスモデルとなるので、(1)式、(2)式は、スカラプレイヒステリシスモデルにも適用できる。
1つ前の時刻の磁束密度ベクトルB0が、現時刻において磁束密度ベクトルBに変化したときに、1つ前の時刻のプレイヒステロンの値pζ 0の先端の点を中心とした半径ζの円内に、現時刻の時刻密度ベクトルBがある場合には、当該円は移動しない。一方、1つ前の時刻の磁束密度ベクトルB0が、現時刻において磁束密度ベクトルBに変化したときに、現時刻の時刻密度ベクトルBが、1つ前の時刻のプレイヒステロンの値pζ 0の先端の点を中心とした半径ζの円の外に位置すると、当該円の中心は、1つ前の時刻のプレイヒステロンの値pζ 0の先端の点から、現時刻の磁束密度ベクトルBの先端の点の方向に移動する。
非特許文献1に示される等方性ベクトルプレイヒステリシスモデルでは、このような性質を有するプレイヒステロンpζを用いて、磁界強度ベクトルHを(1)式のようにして表現する。
(1)式において、f(ζ,pζ(B))は、形状関数[A/(m・T)]である。この形状関数は、プレイヒステロンの幅ζと、プレイヒステロンpζ(B)の関数で表現される。プレイヒステリシスモデルを同定することは、この形状関数を同定することと同義である。
モデル同定部504は、例えば、磁束密度の波高値ごとの直流磁気ヒステリシス特性のデータ(磁界強度ベクトルの大きさと磁束密度ベクトルの大きさとの組)から、作成する磁気ヒステリシス特性(マイナーループ等)に応じて定まる複数のデータを抽出する。そして、モデル同定部504は、抽出したデータを用いて、(1)式および(2)式に基づく計算を行うことにより、プレイヒステロンpζ(B)の分布の導出と、導出したプレイヒステロンpζ(B)の分布における形状関数f(ζ,pζ(B))の同定とを行う。
以上のようにして形状関数f(ζ,pζ(B))を同定することにより、磁気ヒステリシス特性のデータから得られる磁気ヒステリシス特性よりも複雑な磁気ヒステリシス特性であって、後述する電磁場の解析に必要となる磁気ヒステリシス特性を導出することができる。この磁気ヒステリシス特性には、例えば、マイナーループを含む直流磁気ヒステリシス特性や、高調波が重畳したメジャーループを含む交流磁気ヒステリシス特性や、マイナーループを含む交流磁気ヒステリシス特性や、ベクトル磁気ヒステリシス特性等が含まれる。
<第1の電磁場解析部505>
第1の電磁場解析部505は、モデル同定部504により同定されたプレイヒステリシスモデルと、電磁場解析条件入力部502により入力された第1の電磁場解析条件と、磁性材料条件入力部503により入力された第1の磁性材料条件とに基づいて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBを計算する。ここで、第1の電磁場解析部505は、直流磁気ヒステリシス特性入力部501により入力された直流磁気ヒステリシス特性のうち、第1の電磁場解析条件に対応する直流磁気ヒステリシス特性を用いる。
本実施形態では、第1の電磁場解析部505は、マックスウェルの方程式に基づき、有限要素法を用いて、各微小領域における磁束密度ベクトルBを計算する。有限要素法により電磁場の解析を行う手法は、非特許文献3等に詳細に記載されているように、一般的な手法である。尚、各微小領域における磁束密度ベクトルBを数値解析により計算することができれば、有限要素法以外の方法(差分法等)を用いてもよい。
前述したように本実施形態では、第1の電磁場解析部505は、静磁場解析を行う。従って、磁束密度ベクトルBを計算するための基礎方程式は、一般に、以下の(3)式〜(4)式で与えられる。
(3)式〜(4)式において、μは、透磁率[H/m]であり、Aは、ベクトルポテンシャル[T・m]であり、J0は、励磁電流密度[A/m2]である。
(3)式よりベクトルポテンシャルAを求めた後、(4)式から磁束密度ベクトルBが計算される。尚、プレイヒステリシスモデルを用いた電磁場解析の方法の一例については、<第2の電磁場解析部509>の項で説明し、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<磁束密度導出部506>
磁束密度導出部506は、第1の電磁場解析部505により計算された磁束密度ベクトルBの一周期分の波形から、磁束密度の大きさを代表する値を導出する。以下の説明では、この値を必要に応じて磁束密度代表値と称する。本発明者らは、異常渦電流に大きな影響を及ぼす磁壁の移動量は、磁束密度に依存し、磁壁の移動量の最大値は、磁束密度の最大値に対応すると考えた。そこで、本実施形態では、磁束密度代表値として、磁束密度の最大値を用いる場合を例に挙げて説明する。図6は、磁束密度ベクトルBの一周期分の波形601から導出される磁束密度の最大値Bmの一例を示す図である。ただし、図6では、x軸方向の磁束密度の最大値を示す。例えば、図1に示すように、x軸およびy軸により定まる平面における電磁場解析を行う場合、磁束密度の最大値Bmは、x軸方向の磁束密度Bxの2乗とy軸方向の磁束密度Byとの和の平方根(=(Bx 2+By 21/2)の最大値となる。磁束密度導出部506は、磁束密度の最大値Bmを、第1の電磁場解析部505で用いた微小領域(メッシュ)のそれぞれにおいて導出する。
<異常渦電流損係数導出部507>
異常渦電流損係数導出部507は、異常渦電流損係数特性を予め記憶している。異常渦電流損係数特性は、異常渦電流損係数κ[−]と磁束密度ベクトルBの大きさとの関係を示す。特許文献1に記載されているように、異常渦電流損係数κは、磁性材料の全渦電流損Weを表現する際に古典的渦電流損We0に乗算される係数である(We=κ×We0)。図7は、異常渦電流損係数特性の一例を概念的に示す図である。図7に示すように、異常渦電流損係数導出部507は、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎の異常渦電流損係数特性を記憶する。材料属性は、電磁鋼板の属性のうち、異常渦電流損係数κに影響を与える属性である。本実施形態では、電磁鋼板の比重Dと板厚hと固有抵抗率ρとを組み合わせた情報である。尚、電磁場の解析の対象となる鉄心(コア)を構成する電磁鋼板が1種類である場合には、材料属性毎に異常渦電流損係数特性を用意する必要はない。ここで、異常渦電流損κは、例えば、以下の(5)式で表される。
(5)式において、Dは、電磁鋼板の比重[kg/m3]、hは、電磁鋼板の(1枚の)板厚[m]、σは、電磁鋼板の導電率[S/m]である。Keは、渦電流損スタインメッツ係数[W/kg/T2・sec2]であり、以下の(6)式で表される。
e=Ke・f2・|B|2 ・・・(6)
(6)式において、Weは、渦電流損[W/kg]であり、fは、周波数[Hz]であり、|B|は、磁束密度ベクトルBの大きさ[T]である。
渦電流損スタインメッツ係数Keは、例えば、以下のようにして得ることができる。
まず、電磁鋼板についてのB−Wデータを、例えば規格標準で定められたエプスタイン測定法や単板試験測定法等の公知の測定法による磁気測定の測定値を用いて導出することを、複数の周波数fのそれぞれにおいて行う。B−Wデータは、磁束密度ベクトルBの大きさと鉄損Wの大きさとの関係を示す曲線のデータである。
次に、大きさが同じである磁束密度ベクトルBに対応する鉄損Wの大きさをB−Wデータから抽出し、抽出した鉄損Wの大きさを、当該B−Wデータが属する周波数fで割った値である単位周波数当たりの鉄損の大きさW/fを導出する。
これにより、単位周波数当たりの鉄損の大きさW/fと周波数fとの関係を示すW/f−fデータが、磁束密度ベクトルBの大きさ毎に得られる。
次に、W/f−fデータから、最も低い周波数f(例えば50[Hz])と、それよりも高い基本波の周波数f(例えば100[Hz])とに対応する「単位周波数当たりの鉄損の大きさW/f」の値を通る直線の切片(周波数fの値が0(ゼロ)のときの単位周波数当たりの鉄損の大きさW/f)を、直流での単位周波数当たりの鉄損の大きさWh0として導出する。
次に、直流での単位周波数当たりの鉄損の大きさWh0に、W/f−fデータにおける最も低い周波数f(例えば50[Hz])を乗じて、当該周波数fにおける板状の試料のヒステリシス損Whfを導出する。
次に、以下の(7)式の周波数fとして、W/f−fデータにおける最も低い周波数f(例えば50[Hz])を代入する。また、以下の(7)式のヒステリシス損Whとして、前述したようにして導出したヒステリシス損Whfを代入する。また、以下の(7)式の磁束密度ベクトルの大きさBとして、ヒステリシス損Whfを導出する際に使用した「W/f−fデータ」が属する磁束密度ベクトルBの大きさを代入する。これにより、ある磁束密度ベクトルBの大きさであるときのヒステリシス損スタインメッツ係数Khが得られる。
h=Kh・f・B1.6 ・・・(7)
次に、以上のようにしてヒステリシス損Whを導出することを、前述したようにして導出したW/f−fデータのそれぞれについて行う。これにより、磁束密度ベクトルBの大きさが種々の値であるときのヒステリシス損スタインメッツ係数Khが得られる。尚、(5)式における「1.6」は、1以上2以下の範囲の値であるβに置き替えることができる。
次に、ヒステリシス損スタインメッツ係数Khに対応する磁束密度ベクトルBの大きさと、前述したB−Wデータとから、当該磁束密度ベクトルBの大きさに対応する鉄損Wの大きさを抽出する。前述したように、B−Wデータは、周波数f毎に存在しているので、複数の周波数fについて、鉄損Wの大きさが抽出される。
次に、当該ヒステリシス損スタインメッツ係数Khと、当該ヒステリシス損スタインメッツ係数Khに対応する磁束密度ベクトルBの大きさと、当該ヒステリシス損スタインメッツ係数Khに対応する鉄損Wの大きさと、当該鉄損Wの大きさに対応する周波数fを、前述した(6)式、(7)式、および以下の(8)式に代入する。
W=We+Wh ・・・(8)
これにより、ある磁束密度ベクトルBの大きさ、ある周波数fであるときの渦電流損スタインメッツ係数Keが得られる。即ち、磁束密度ベクトルBの大きさ、周波数fが種々の値であるときの渦電流損スタインメッツ係数Keが得られる。
そして、以上のようにして導出した渦電流損スタインメッツ係数Keと、電磁鋼板の比重D、電磁鋼板の板厚h、および電磁鋼板の導電率σとを用いて、(5)式の計算を行うことにより、異常渦電流損係数κを導出する。このような異常渦電流損係数κの導出を電磁鋼板の材料属性(電磁鋼板の比重D、板厚h、導電率σ)を異ならせて行うことにより、図7に示すように、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎の異常渦電流損係数特性が得られる。ここでは、表記および説明を簡単にするために、材料属性を一纏めとしたが、実際には、材料属性に含まれる情報(電磁鋼板の比重D、板厚h、導電率σ)毎に異常渦電流損係数特性を得るのが好ましい。
尚、材料属性A、B、C、・・・、Nおよび周波数fA、fB、fC、・・・、fNは、離散的な値である。従って、異常渦電流損係数導出部507は、材料属性A、B、C、・・・、Nおよび周波数fA、fB、fC、・・・、fN以外の材料属性および周波数における異常渦電流損係数特性を、例えば、材料属性A、B、C、・・・、Nおよび周波数fA、fB、fC、・・・、fNにおける異常渦電流損係数特性を用いた補間処理により導出することができる。
異常渦電流損係数導出部507は、以上のようにして得られる、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎の異常渦電流損係数特性を予め記憶する。尚、異常渦電流損係数導出部507は、以上のようにして異常渦電流損係数特性を導出してもよいし、外部装置等で別途導出された異常渦電流損係数特性を入力してもよい。
異常渦電流損係数導出部507は、磁性材料条件入力部503により入力された、電磁鋼板の比重D、板厚hおよび固有抵抗率ρから材料属性を導出する。異常渦電流損係数導出部507は、このようにして導出した材料属性と、電磁場解析条件入力部502により入力された励磁基本周波数とに対応する異常渦電流特性において、磁束密度導出部506により導出された磁束密度の最大値Bmに対応する異常渦電流損係数κを導出する(図7を参照)。異常渦電流損係数導出部507は、異常渦電流損係数κを、第1の電磁場解析部505で用いた微小領域(メッシュ)のそれぞれにおいて導出する。
<導電率導出部508>
導電率導出部508は、異常渦電流損係数導出部507により導出された異常渦電流損係数κと、磁性材料条件入力部503により入力された電磁鋼板の固有抵抗率ρ(=1/σ)とを用いて、電磁鋼板の導電率σを補正する。本実施形態では、導電率導出部508は、以下の(9)式により、電磁鋼板の補正後の導電率σ´を導出する。
σ´=κ×σ ・・・(9)
以下の説明では、電磁鋼板の補正後の導電率σ´を必要に応じて補正導電率σ´と称する。導電率導出部508は、補正導電率σ´を、第1の電磁場解析部505で用いた微小領域(メッシュ)のそれぞれにおいて導出する。
<第2の電磁場解析部509>
第2の電磁場解析部509は、電磁場解析条件入力部502により入力された第2の電磁場解析条件と、磁性材料条件入力部503により入力された第2の磁性材料条件と、導電率導出部508によりに導出された補正導電率σ´と、モデル同定部504により同定されたプレイヒステリシスモデルとに基づいて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。本実施形態では、第2の電磁場解析部509は、マックスウェルの方程式に基づき、有限要素法を用いて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。第1の電磁場解析部505の項で説明したように、有限要素法により電磁場の解析を行う手法は、非特許文献3等に詳細に記載されているように、一般的な手法である。また、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを数値解析により計算することができれば、有限要素法以外の方法(差分法等)を用いてもよい。尚、ここでは、第1の電磁場解析部505で用いる微小領域(メッシュ)と第2の電磁場解析部509で用いる微小領域(メッシュ)とは同じであるものとする。ただし、これらの微小領域(メッシュ)は同じでなくてもよい。例えば、第1の電磁場解析部505で用いる微小領域(メッシュ)の大きさを、第2の電磁場解析部509で用いる微小領域(メッシュ)の大きさよりも大きくしてもよい。このようにすれば、第1の電磁場解析部505の計算負荷を軽減することができる。
第2の電磁場解析部509は、動磁場解析(静磁場項に加えて渦電流項を考慮した解析)を行う。磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算するための基礎方程式は、一般に、以下の(10)式〜(13)式で与えられる。
(10)式〜(13)式において、μは、透磁率[H/m]であり、Aは、ベクトルポテンシャル[T・m]であり、σは、導電率[S/m]であり、J0は、励磁電流密度[A/m2]であり、φは、スカラーポテンシャル[V]である。
(10)式および(11)式を連立して解いて、ベクトルポテンシャルAとスカラーポテンシャルφを求めた後、(12)式および(13)式から、磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeが計算される。ここで、(10)式〜(12)式のσには、導電率導出部508によりに計算された補正導電率σ´が与えられる。
透磁率μが非線形である磁性材料における電磁場を解析する場合のベクトルポテンシャルAおよびスカラーポテンシャルφを未知変数とした解法として、ニュートンラプソン法(Newton-Raphson method)がある。本実施形態においても、ニュートンラプソン法を使用する。非特許文献1に記載されているように、ニュートンラプソン法を使用する場合、反復途中で、磁界強度ベクトルHと、微分磁気抵抗率∂H/∂Bが必要になる。
磁界強度ベクトルHは、(1)式および(2)式により計算される。
また、微分透磁率∂H/∂Bを以下の(14)式のように表すと、(1)式および(2)式より、微分透磁率∂H/∂Bは、以下の(15)式および(16)式により計算される。尚、これらの点の詳細については、非特許文献1等に記載されているので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<微小領域内ヒステリシス損導出部510>
微小領域内ヒステリシス損導出部510は、ある微小領域(メッシュ)について第2の電磁場解析部509により解析された磁束密度ベクトルBと当該磁束密度ベクトルBに対応する磁界強度ベクトルHの一周期における波形から、当該微小領域(メッシュ)における磁気ヒステリシス特性を導出する。そして、微小領域内ヒステリシス損導出部510は、以下の(17)式により、当該導出した磁気ヒステリシス特性の面積を、当該微小領域(メッシュ)におけるヒステリシス損whとして導出する。
微小領域内ヒステリシス損導出部510は、以上のような計算を、全ての微小領域(メッシュ)について行う。
<微小領域内渦電流損導出部511>
微小領域内渦電流損導出部511は、ある微小領域(メッシュ)について第2の電磁場解析部509により解析された渦電流ベクトルJeと、当該微小領域(メッシュ)の大きさと、電磁鋼板の導電率σに基づいて、以下の(18)式により、当該微小領域における渦電流損weを導出する。
(18)式において、Tは、渦電流ベクトルJeの周期である。
微小領域内渦電流損導出部511は、以上のような計算を、全ての微小領域について行う。ここで、(18)式のσには、導電率導出部508によりに計算された補正導電率σ´が与えられる。
<鉄損総和部512>
鉄損総和部512は、以下の(19)式により、同一の微小領域(メッシュ)におけるヒステリシス損whおよび渦電流損weの和を当該微小領域(メッシュ)の鉄損wとして導出する。そして、鉄損総和部512は、以下の(20)式により、全ての微小領域(メッシュ)の鉄損wの総和を、電磁場の解析対象である鉄心(コア)全体の鉄損Wとして導出する。また、鉄損総和部512は、以下の(21)式により、全ての微小領域(メッシュ)のヒステリシス損whの総和を、電磁場の解析対象である鉄心(コア)全体のヒステリシス損Whとして導出する。また、鉄損総和部512は、以下の(22)式により、全ての微小領域(メッシュ)の渦電流損weの総和を、電磁場の解析対象である鉄心(コア)全体の渦電流損Weとして導出する。
w=wh+we ・・・(19)
W=Σw ・・・(20)
h=Σwh ・・・(21)
e=Σwe ・・・(22)
<鉄損出力部513>
鉄損出力部513は、鉄損総和部512で計算された、鉄心(コア)全体の鉄損W、ヒステリシス損Wh、および渦電流損Weを出力する。鉄心(コア)全体の鉄損W、ヒステリシス損Wh、および渦電流損Weの出力形態は、特に限定されない。例えば、電磁場解析装置500の内部の記憶媒体や電磁場解析装置500に接続された可搬型の記憶媒体へ記憶する形態でも、コンピュータディスプレイへ表示する形態でも、外部装置へ送信する形態でもよい。
<動作フローチャート>
次に、図8のフローチャートを参照しながら、本実施形態の電磁場解析装置500の動作の一例を説明する。尚、図8のフローチャートが実行される前に、直流磁気ヒステリシス特性入力部501、電磁場解析条件入力部502、磁性材料条件入力部503に、電磁場解析装置500における処理で必要な情報が入力されているものとする。また、図8のフローチャートが実行される前に、異常渦電流損係数導出部507には、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎の異常渦電流係数損特性が記憶されているものとする。
ステップS801において、モデル同定部504は、直流磁気ヒステリシス特性入力部501により入力された直流磁気ヒステリシス特性のデータを用いて、形状関数f(ζ,pζ(B))を同定することにより、プレイヒステリシスモデルを同定する。
次に、ステップS802において、第1の電磁場解析部505は、モデル同定部504により同定されたプレイヒステリシスモデルと、電磁場解析条件入力部502により入力された第1の電磁場解析条件と、磁性材料条件入力部503により入力された第1の磁性材料条件とに基づいて、静磁場解析を行うことにより、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBを導出する。
次に、ステップS803において、磁束密度導出部506は、第1の電磁場解析部505により導出された磁束密度ベクトルBの一周期分の波形から、磁束密度の最大値Bmを導出する。
次に、ステップS804において、異常渦電流損係数導出部507は、磁性材料条件入力部503により入力された、電磁鋼板の比重D、板厚hおよび固有抵抗率ρから定まる材料属性と、電磁場解析条件入力部502により入力された励磁基本周波数とに対応する異常渦電流特性を読み出す。そして、異常渦電流損係数導出部507は、読み出した異常渦電流特性において、ステップS802で導出された磁束密度の最大値Bmに対応する異常渦電流損係数κを導出する。
次に、ステップS805において、導電率導出部508は、ステップS804で導出された異常渦電流損係数κと、磁性材料条件入力部503により入力された電磁鋼板の固有抵抗率ρ(=1/σ)とを用いて(9)式により補正導電率σ´を導出する。
次に、ステップS806において、第2の電磁場解析部509は、電磁場解析条件入力部502により入力された第2の電磁場解析条件と、磁性材料条件入力部503により入力された第2の磁性材料条件と、ステップS805で導出された補正導電率σ´と、ステップS801で同定されたプレイヒステリシスモデルとに基づいて、動磁場解析を行うことにより、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを導出する。
次に、ステップS807において、微小領域内ヒステリシス損導出部510は、(17)式により、各微小領域(メッシュ)におけるヒステリシス損whを導出する。
次に、ステップS808において、微小領域内渦電流損導出部511は、(18)式により、各微小領域(メッシュ)における渦電流損weを導出する。
次に、ステップS809において、鉄損総和部512は、(19)式および(20)式により、鉄心(コア)全体の鉄損Wを導出する。また、鉄損総和部512は、(21)式、(22)式により鉄損(コア)全体のヒステリシス損Wh、渦電流損Weをそれぞれ導出する。
次に、ステップS810において、鉄損出力部513は、ステップS809で導出された鉄心(コア)全体の鉄損W、ヒステリシス損Wh、および渦電流損Weを出力する。
<実施例>
図9は、磁気ヒステリシス特性(図9(a))と磁束密度の時間波形(図9(b))を示す図である。ここで、図3を参照しながら説明したリング状試料300に図9(b)に示す磁束密度が発生するようにリング状試料300を励磁させた場合の磁気ヒステリシス特性を、本実施形態の手法(発明例)、特許文献1に記載の手法(比較例)のそれぞれで導出し、実測値と比較した。
図9(b)に示すように、磁束密度に高調波が重畳されると、図9(a)に示すように、特許文献1に記載の手法(比較例)よりも本実施形態の手法(発明例)の方が実測値に近く、磁気ヒステリシス特性を精度よく導出することができることが分かる。
図10は、PWM制御で励磁した場合の磁気ヒステリシス特性を示す図である。ここでは、図2(a)に示した励磁電圧202でリング状試料300を励磁させた場合の磁気ヒステリシス特性を、本実施形態の手法(計算)で導出し、実測値と比較した。
図10に示すように、本実施形態の手法では、PWM制御で励磁することにより生じる複雑な磁気ヒステリシス特性を精度よく導出することができることが分かる。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、電磁場解析装置500は、電磁場の解析対象である鉄心(コア)の磁束密度ベクトルを数値解析により導出し、導出した磁束密度ベクトルから磁束密度の大きさの最大値Bmを導出する。次に、電磁場解析装置500は、材料属性と励磁基本周波数とに対応する渦電流損特性を読み出し、読み出した渦電流損特性において、磁束密度の最大値Bmに対応する異常渦電流損係数κを導出する。次に、電磁場解析装置500は、異常渦電流損係数κを用いて電磁鋼板の導電率σを補正した補正導電率σ´を導出し、補正導電率σ´を用いて、電磁場の解析対象である鉄心の磁束密度ベクトルおよび渦電流ベクトルを数値解析により導出する。従って、高調波の磁束密度により鉄心に誘導される異常渦電流の影響を磁気ヒステリシス特性に反映することができる。よって、磁束密度に高調波が重畳される場合でも磁束密度および磁界強度を精度よく導出することができる。
<変形例>
第1の電磁場解析部505では、磁束密度代表値(本実施形態では磁束密度の最大値)を求められればよい。従って、本実施形態のように、第1の電磁場解析部505が静磁場解析を行うようにすれば、実用上要求される計算精度を確保した上で計算時間を短くすることができるので好ましい。同様に、電気機器に対して実際に与える励磁電圧(目標励磁電圧)の基本波(正弦波)を、第1の電磁場解析部505における励磁条件とすれば、実用上要求される計算精度を確保した上で計算時間を短くすることができるので好ましい。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、第1の電磁場解析部505は、補正導電率σ´の代わりに、磁性材料条件入力部503により入力される電磁鋼板の固有抵抗率ρ[Ω・m]の逆数である導電率σを用いると共に、モデル同定部504により同定されるプレイヒステリシスモデルの代わりに、直流磁気ヒステリシス特性入力部501により入力された直流磁気ヒステリシス特性を用いて、その他は、第2の電磁場解析部509と同様にして磁束密度ベクトル(および渦電流ベクトル)を導出してもよい。尚、この場合、第1の電磁場解析部505の後の処理において、第1の電磁場解析部505により導出される渦電流ベクトルは使用されない。
また、磁束密度代表値(本実施形態では磁束密度の最大値)を電磁場解析により導出すれば、鉄心の各位置での値を導出することができるので好ましい。しかしながら、必ずしも、磁束密度代表値(本実施形態では最大値)を電磁場解析により導出しなくてもよい。例えば、解析対象の鉄心(コア)に検出コイルを巻き回し、当該鉄心(コア)を目標励磁電圧で励磁させた場合の検出コイルの誘導起電力を測定し、当該誘導起電力と検出コイルの巻回数とに基づいて磁束密度代表値を導出してもよい。
また、本実施形態では、磁束密度代表値として、磁束密度の最大値Bmを導出する。従って、磁束密度代表値として、異常渦電流に大きな影響を及ぼす磁壁の移動量の最大値に対応する値を採用することができる。よって、異常渦電流損係数κを、より高精度に導出することができるので好ましい。しかしながら、磁束密度代表値は、磁束密度の最大値Bmでなくてもよい。例えば、磁束密度代表値として、磁束密度の一周期における大きさの平均値または実効値を用いてもよい。
また、本実施形態では、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θによる、磁束密度の大きさと磁界強度の大きさとの関係の変化(異方性)が無視できるほど小さい場合を例に挙げて説明した。しかしながら、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θを考慮してもよい。この場合、異常渦電流特性は、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θ毎の特性となる。磁性材料についてのB−Wデータが、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θ毎のデータになる。従って、ヒステリシス損スタインメッツ係数Khおよび渦電流損スタインメッツ係数Keが、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θ毎の値になる。よって、異常渦電流損係数κが、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θ毎の値になる。この場合、第1の電磁場解析部505および第2の電磁場解析部509での電磁場解析においても、磁束密度ベクトルと圧延方向とのなす角度θを導出することになる。
また、本実施形態では、磁気ヒステリシス特性のデータから、磁束密度と磁界との関係が定式化されたモデルとしてプレイヒステリシスモデル(等方性ベクトルプレイヒステリシスモデル)を同定する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、かかるモデルは、プレイヒステリシスモデルに限定されない。例えば、非特許文献1、2に記載されているように、プライザッハモデル等を用いてもよい。
また、本実施形態では、磁束密度代表値(本実施形態では磁束密度の最大値)を電磁場解析により導出する際に、第1の電磁場解析部505が、モデル同定部504で同定されたプレイヒステリシスモデルを用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、第1の電磁場解析部505は、必ずしもプレイヒステリシスモデルを用いる必要はない。例えば、第1の電磁場解析部505は、プレイヒステリシスモデルに代えて、前述したプライザッハモデル等や、初磁化特性を用いてもよい(尚、初磁化特性については、第2の実施形態における図12に関する説明を参照)。この場合、図5において、モデル同定部504から第1の電磁場解析部505に向かう矢印線は不要になり、その代わりに、電磁場の解析の対象となる電磁鋼板の初磁化特性を入力する初磁化特性入力部が追加される。尚、この初磁化特性入力部は、第2の実施形態で説明する初磁化特性入力部1101と同じ機能を有する。また、第1の電磁場解析部505は、第2の実施形態で説明する第2の電磁場解析部1102と同じ機能を有する。
また、本実施形態では、相互に積み重なって構成された複数枚の電磁鋼板を解析の対象とする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、解析の対象は、このようなものに限定されない。例えば、1枚の電磁鋼板を解析の対象としてもよい。例えば、磁気シールドにおいては、1枚の電磁鋼板が解析の対象となることがある。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、第2の電磁場解析部509は、モデル同定部504により同定されたプレイヒステリシスモデルを用いて電磁場解析を行う場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、プレイヒステリシスモデルの代わりに初磁化特性を用いて電磁場解析を行い、当該電磁場解析の結果から得られる磁束密度ベクトルと、プレイヒステリシスモデルとを用いてヒステリシス損を導出する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、第2の電磁場解析部において初磁化特性を用いる点と、ヒステリシス損の導出にプレイヒステリシスモデルを用いる点とが主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図10に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
図11は、電磁場解析装置の機能的な構成の一例を示す図である。電磁場解析装置1100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。
<初磁化特性入力部1101>
初磁化特性入力部1101は、電磁場の解析対象の鉄心(コア)を構成する電磁鋼板の初磁化特性のデータを入力する。
図12は、初磁化特性の一例を説明する図である。尚、図12において、Bは磁束密度であり、Hは磁界強度である。
初磁化特性は、初磁化曲線とも称されるものであり、図12において、点0と点aとを始点・終点とする曲線をいう。即ち、磁性材料が磁化されていない状態から磁束密度の飽和が(最初に)生じるまでの、磁束密度と磁界強度との関係が初磁化特性となる。
初磁化特性は、例えば、電磁場の解析の対象となる電磁鋼板と同種の試験片を用いて、規格標準で定められたエプスタイン測定法や単板試験測定法等の公知の測定法による磁気測定を行うことにより得ることができる。初磁化特性入力部1101は、磁束密度の複数の波高値および複数の周波数のそれぞれについて、初磁化特性のデータを入力する。磁束密度の波高値および周波数は、例えば、電磁場を解析する際の励磁条件等に応じて適宜決定することができる。
<第2の電磁場解析部1102>
第2の電磁場解析部1102は、電磁場解析条件入力部502により入力された第2の電磁場解析条件と、磁性材料条件入力部503により入力された第2の磁性材料条件と、導電率導出部508によりに導出された補正導電率σ´と、初磁化特性入力部1101により入力された初磁化特性とに基づいて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。本実施形態でも、第1の実施形態の第2の電磁場解析部509と同様に、マックスウェルの方程式に基づき、有限要素法を用いて、各微小領域における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。尚、各微小領域における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算することができれば、有限要素法以外の方法(差分法等)を用いてもよい。
また、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、透磁率μが非線形である磁性材料における電磁場を解析する場合のベクトルポテンシャルAおよびスカラーポテンシャルφを未知変数とした解法として、ニュートンラプソン法(Newton-Raphson method)を使用する。第1の実施形態では、第2の電磁場解析部509は、磁界強度ベクトルHと、微分磁気抵抗率∂H/∂Bとをプレイモデルに基づき導出する。これに対し、本実施形態では、第2の電磁場解析部1102は、磁界強度ベクトルHと、微分磁気抵抗率∂H/∂Bとを、初磁化特性入力部1101により入力された初磁化特性から導出する。この点が、第1の実施形態の第2の電磁場解析部509と異なる。
<微小領域内ヒステリシス損導出部1103>
微小領域内ヒステリシス損導出部1103は、ある微小領域(メッシュ)について第2の電磁場解析部1102により解析された磁束密度ベクトルBと当該磁束密度ベクトルBに対応する磁界強度ベクトルHの一周期における波形から、当該微小領域(メッシュ)における磁気ヒステリシス特性を導出する。そして、微小領域内ヒステリシス損導出部1103は、第1の実施形態で説明した(17)式により、当該導出した磁気ヒステリシス特性の面積を、当該微小領域(メッシュ)におけるヒステリシス損whとして計算する。
この際、微小領域内ヒステリシス損導出部1103は、ある微小領域(メッシュ)について第2の電磁場解析部1102により導出された磁束密度ベクトルBを、モデル同定部504で同定されたモデルである(1)式および(2)式に代入することにより、当該磁束密度ベクトルBに対応する磁界強度ベクトルHを導出する。
微小領域内ヒステリシス損導出部1103は、以上のような計算を、全ての微小領域(メッシュ)について行う。
尚、初磁化特性が電磁場解析装置1100に入力されているものとすると、本実施形態の電磁場解析装置1100の動作の一例を説明するフローチャートは、例えば、図8のステップS806において、第2の電磁場解析部1102が前述した処理を行い、ステップS807において、微小領域内ヒステリシス損導出部1103が前述した処理を行うことにより実現することができる。従って、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、電磁場解析装置1100は、プレイヒステリシスモデルを用いずに初磁化特性を用いて、電磁場の解析対象である鉄心(コア)の磁束密度ベクトルおよび渦電流ベクトルを数値解析により導出する。そして、電磁場解析装置1100は、当該磁束密度ベクトルとプレイヒステリシスモデルとに基づいて、当該磁束密度ベクトルBに対応する磁界強度ベクトルHを導出する。従って、第1の実施形態で説明した効果に加え、第2の電磁場解析部1102における反復計算の収束を、実用上要求される計算精度を確保した上で早めることができる。例えば、磁束密度の変化に対し磁界強度の変化が大きくなるような場合には、反復計算の収束がしづらくなる傾向があるので、本実施形態の手法を適用すると、計算時間の短縮の効果が大きくなる。
尚、本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第1の実施形態では、解析対象の鉄心(コア)に応力が印加されていない状態である場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、解析対象の鉄心(コア)に応力が印加される場合について説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、解析対象の鉄心(コア)に応力が印加される点が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図10に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。また、本実施形態では、解析対象の鉄心(コア)が、図1に示すステータ102のステータコアであり、焼嵌めを行うことによりステータコアを固定してステータコアに応力が印加される場合を例に挙げて説明する。
図13は、電磁場解析装置の機能的な構成の一例を示す図である。電磁場解析装置1300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。
<直流磁気ヒステリシス特性入力部1301>
直流磁気ヒステリシス特性入力部1301は、電磁場の解析の対象となる電磁鋼板の直流磁気ヒステリシス特性のデータを入力する。第1の実施形態の直流磁気ヒステリシス特性入力部501は、応力が印加されていない電磁鋼板に対する直流ヒステリシス特性の測定データまたは推定データを入力する。これに対し、本実施形態の直流磁気ヒステリシス特性入力部1301は、応力が印加された状態の電磁鋼板に対する直流ヒステリシス特性の測定データまたは推定データを入力する。即ち、直流磁気ヒステリシス特性入力部1301は、磁束密度の複数の波高値、複数の周波数、および、複数の応力の大きさそれぞれについて、直流磁気ヒステリシス特性のデータを入力する。磁束密度の波高値および周波数は、例えば、電磁場を解析する際の励磁条件等に応じて適宜決定することができる。応力の大きさは、例えば、応力を解析する際の焼嵌めの条件等に応じて適宜決定することができる。応力の大きさは、応力ベクトルの大きさ(長さ)であっても、応力ベクトルの各軸方向の成分の大きさ(長さ)であってもよい。
<磁性材料条件入力部1302>
磁性材料条件入力部1302は、磁性材料条件を入力する。磁性材料条件入力部1302により入力される磁性材料条件には、第1の実施形態で説明した磁性材料条件入力部503により入力される磁性材料条件に加え、応力解析部1304による計算に必要な磁性材料条件が含まれる。具体的に、応力解析部1304による計算に必要な磁性材料条件には、例えば、電磁鋼板のヤング率やポアソン比などの物性値が含まれる。尚、以下の説明では、応力解析部1304による計算に必要な磁性材料条件を必要に応じて第3の磁性材料条件と称する。
<応力解析条件入力部1303>
応力解析条件入力部1303は、応力解析条件を入力する。本実施形態では、焼嵌めを行うことによりステータコアを固定してステータコアに応力が印加されるものとする。従って、応力解析条件は、例えば、焼嵌めシェルの厚み、焼嵌めシェルのヤング率、および焼嵌め時の温度等である。
<応力解析部1304>
応力解析部1304は、磁性材料条件入力部1302により入力された第3の磁性材料条件と、応力解析条件入力部1303により入力された応力解析条件とに基づいて、各微小領域(メッシュ)における応力ベクトルを計算する。本実施形態では、解析対象が、ステータコアであるので、焼嵌めによりステータコアに加わる応力を計算することになる。そこで、本実施形態では、応力解析部1304は、第3の磁性材料条件と、応力解析条件とを入力し、有限要素法を用いて、焼嵌め後のステータコアの各微小領域(メッシュ)に印加される応力を計算する。有限要素法により応力の解析を行う手法は、非特許文献5等に記載されているように、一般的な手法である。尚、各微小領域(メッシュ)における応力ベクトルを数値解析により計算することができれば、有限要素法以外の方法(差分法等)を用いてもよい。
応力解析部1304は、第1の電磁場解析部505で用いられた各微小領域(メッシュ)と、応力解析部1304で用いた各微小領域(メッシュ)とが異なる場合、第1の電磁場解析部505で用いられる各微小領域(メッシュ)における応力ベクトルを導出する。例えば、応力解析部1304は、前述したようにして導出した各微小領域(メッシュ)における応力ベクトルを用いた補間処理を行うことにより、第1の電磁場解析部505で用いられた各微小領域(メッシュ)における応力ベクトルを導出する。
<異常渦電流損係数導出部1305>
異常渦電流損係数導出部1305は、異常渦電流損係数特性を予め記憶している。第1の実施形態の異常渦電流損係数導出部507の項で説明したように、異常渦電流損係数特性は、異常渦電流損係数κ[−]と磁束密度ベクトルBの大きさとの関係を示す。図14は、異常渦電流損係数特性の一例を概念的に示す図である。
図14に示すように、異常渦電流損係数導出部1305は、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎、応力の大きさsA、sB、sC、・・・、sN毎の異常渦電流損係数特性を記憶する。第1の実施形態では、電磁鋼板に応力を印加せずに、公知の測定法を用いて、B−Wデータを導出する。これに対し、本実施形態では、磁性材料に一定の応力をかけた状態で、公知の測定法を用いて、B−Wデータを導出する。これにより、応力s毎のB−Wデータが得られる。これら応力s毎のB−Wデータのそれぞれを用いて、第1の実施形態の異常渦電流損係数導出部507で説明した手法で異常渦電流損係数κを導出することにより、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎、応力の大きさsA、sB、sC、・・・、sN毎の異常渦電流損係数特性が得られる。
異常渦電流損係数導出部1305は、以上のようにして得られる、電磁鋼板の材料属性A、B、C、・・・、N毎、周波数fA、fB、fC、・・・、fN毎、応力の大きさsA、sB、sC、・・・、sN毎の異常渦電流損係数特性を予め記憶する。尚、異常渦電流損係数導出部1305は、以上のようにして異常渦電流損係数特性を導出してもよいし、外部装置等で別途導出された異常渦電流損係数特性を入力してもよい。尚、第1の実施形態の異常渦電流損係数導出部507の項で説明したように、異常渦電流損係数導出部1305は、例えば、補間処理を行うことにより、全ての材料属性、全ての周波数、および全ての応力の大きさにおける異常渦電流損係数特性を導出することができる。
異常渦電流損係数導出部1305は、磁性材料条件入力部1302により入力された、電磁鋼板の比重D、板厚hおよび固有抵抗率ρから材料属性を導出する。異常渦電流損係数導出部1305は、このようにして導出した材料属性と、電磁場解析条件入力部502により入力された励磁基本周波数と、応力解析部1304により導出された応力ベクトルとに対応する異常渦電流損係数特性において、磁束密度導出部506により導出された磁束密度の最大値Bmに対応する異常渦電流損係数κを導出する。
<モデル同定部1306>
モデル同定部1306は、直流磁気ヒステリシス特性入力部1301により入力された直流磁気ヒステリシス特性のデータに基づいて、磁束密度と磁界との関係が定式化されたモデルを同定する。本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、かかるモデルとして、プレイヒステリシスモデルを利用する。本実施形態では、直流磁気ヒステリシス特性入力部1301により入力される直流磁気ヒステリシス特性のデータは、複数の応力の大きさs毎に得られる。本実施形態のモデル同定部1306は、磁束密度の波高値ごとの直流磁気ヒステリシス特性のデータを用いて、プレイヒステロンpζ(B)の分布の導出と、形状関数f(ζ,pζ(B))の同定とを、これら複数の応力の大きさsのそれぞれについて行う。これにより、応力の大きさs毎のプレイヒステリシスモデルが同定される。
<第2の電磁場解析部1307>
第2の電磁場解析部1307は、電磁場解析条件入力部502により入力された第2の電磁場解析条件と、磁性材料条件入力部1302により入力された第2の磁性材料条件と、導電率導出部508によりに導出された補正導電率σ´と、応力解析部1304により導出された各微小領域(メッシュ)における応力ベクトルと、モデル同定部1306により同定されたプレイヒステリシスモデルとに基づいて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。
本実施形態でも第1の実施形態の第2の電磁場解析部509と同様に、第2の電磁場解析部1307は、マックスウェルの方程式に基づき、有限要素法を用いて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。ただし、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを数値解析により計算することができれば、有限要素法以外の方法(差分法等)を用いてもよい。
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ニュートンラプソン法を使用する。この場合、第2の電磁場解析部1307は、ある微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを導出する際の反復途中で、当該微小領域(メッシュ)における応力ベクトルに対応するプレイヒステリシスモデルを用いる。
尚、本実施形態の電磁場解析装置1300の動作の一例を説明するフローチャートは、例えば、ステップS804の前の何れかのタイミング(例えばステップS801の前のタイミング)で、応力解析部1304が前述した処理を行い、ステップS801において、モデル同定部1306が前述した処理を行い、ステップS804において、異常渦電流損係数導出部1305が前述した処理を行い、ステップS806において、第2の電磁場解析部1307が前述した処理を行うことにより実現することができる。従って、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、電磁場解析装置1300は、電磁場の解析対象である鉄心(コア)の磁束密度ベクトルを数値解析により導出し、導出した磁束密度ベクトルから磁束密度の最大値Bmを導出する。次に、電磁場解析装置1300は、材料属性と、励磁基本周波数と、応力解析部1304により導出された応力ベクトルに対応する渦電流損係数特性を読み出し、読み出した渦電流損係数特性において、磁束密度の最大値Bmに対応する異常渦電流損係数κを導出する。次いで、電磁場解析装置500は、異常渦電流損係数κを用いて電磁鋼板の導電率σを補正した補正導電率σ´を導出し、補正導電率σ´と、応力解析部1304により導出された応力ベクトルに対応するプレイヒステリシスモデルとを用いて、電磁場の解析対象である鉄心の磁束密度ベクトルおよび渦電流ベクトルを数値解析により導出する。従って、第1の実施形態で説明した効果に加え、電磁場の解析対象である鉄心に応力が印加される場合であっても、磁束密度および磁界強度を精度よく導出することができる。
尚、応力が印加されている状態の磁性材料における電磁場の解析方法は、前述した方法に限定されない。例えば、特許文献2、3等に記載されている公知の技術で実現することができる。
また、本実施形態のように応力ベクトルを応力解析により導出すれば、鉄心の各位置での値を導出することができるので好ましい。しかしながら、必ずしも鉄心の応力ベクトルを応力解析により導出しなくてもよい。歪みゲージを用いて鉄心の応力の大きさを測定してもよい。
また、本実施形態においても第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態の構成を変形して、応力が印加されている状態の鉄心(コア)の鉄損等を導出する場合を例に挙げて説明した。これに対し本実施形態では、第2の実施形態の構成を変形して、応力が印加されている状態の鉄心(コア)の鉄損等を導出する場合について説明する。従って、本実施形態の説明において、第1〜第3の実施形態と同一の部分については、図1〜図14に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。本実施形態でも、第3の実施形態と同様に、解析対象の鉄心(コア)が、図1に示すステータ102のステータコアであり、焼嵌めを行うことによりステータコアに応力を印加する場合を例に挙げて説明する。
図15は、電磁場解析装置の機能的な構成の一例を示す図である。電磁場解析装置1300のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置や、専用のハードウェアを用いることにより実現することができる。
<初磁化特性入力部1501>
初磁化特性入力部1501は、電磁場の解析対象の鉄心(コア)を構成する電磁鋼板の初磁化特性のデータを入力する。第2の実施形態では、初磁化特性入力部1101は、応力が印加されていない電磁鋼板に対する磁気測定の結果から得られる初磁化特性を入力する。これに対し、本実施形態の初磁化特性入力部1501は、応力が印加されている状態の電磁鋼板に対する磁気測定の結果から得られる初磁化特性を入力する。即ち、初磁化特性入力部1501は、磁束密度の複数の波高値、複数の周波数、および、複数の応力の大きさのそれぞれについて、直流磁気ヒステリシス特性のデータを入力する。磁束密度の波高値および周波数は、例えば、電磁場を解析する際の励磁条件等に応じて適宜決定することができる。応力の大きさは、例えば、応力を解析する際の焼嵌めの条件等に応じて適宜決定することができる。
<第2の電磁場解析部1502>
第2の電磁場解析部1502は、電磁場解析条件入力部502により入力された第2の電磁場解析条件と、磁性材料条件入力部1302により入力された第2の磁性材料条件と、導電率導出部508によりに導出された補正導電率σ´と、応力解析部1304により導出された各微小領域(メッシュ)における応力ベクトルと、初磁化特性入力部1501により入力された初磁化特性とに基づいて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。
本実施形態でも、第2の実施形態の第2の電磁場解析部1102と同様に、第2の電磁場解析部1502は、マックスウェルの方程式に基づき、有限要素法を用いて、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算する。ただし、各微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを計算することができれば、有限要素法以外の方法(差分法等)を用いてもよい。
また、本実施形態でも、第1〜第3の実施形態と同様に、ニュートンラプソン法を使用する。そこで、第2の電磁場解析部1502は、ある微小領域(メッシュ)における磁束密度ベクトルBと渦電流ベクトルJeを導出する際の反復途中で、当該微小領域(メッシュ)における応力ベクトルに対応する初磁化特性を用いる。
<微小領域内ヒステリシス損導出部1503>
微小領域内ヒステリシス損導出部1503は、ある微小領域(メッシュ)について第2の電磁場解析部1502により解析された磁束密度ベクトルBと当該磁束密度ベクトルBに対応する磁界強度ベクトルHの一周期における波形から、当該微小領域(メッシュ)における磁気ヒステリシス特性を導出する。そして、微小領域内ヒステリシス損導出部1503は、第1の実施形態で説明した(17)式により、当該導出した磁気ヒステリシス特性の面積を、当該微小領域におけるヒステリシス損whとして計算する。
この際、微小領域内ヒステリシス損導出部1503は、ある微小領域(メッシュ)について第2の電磁場解析部1502により解析された磁束密度ベクトルBを、モデル同定部1306で同定されたモデルのうち、当該微小領域(メッシュ)における応力ベクトルに対応するモデルである(1)式および(2)式に代入することにより、当該磁束密度ベクトルBに対応する磁界強度ベクトルHを導出する。
尚、初磁化特性が電磁場解析装置1100に入力されているものとすると、本実施形態の電磁場解析装置1500の動作の一例を説明するフローチャートは、例えば、ステップS804の前の何れかのタイミング(例えばステップS801の前のタイミング)で、応力解析部1304が第3の実施形態で説明した処理を行い、ステップS801において、モデル同定部1306が第3の実施形態で説明した処理を行い、ステップS804において、異常渦電流損係数導出部1305が第3の実施形態で説明した処理を行い、ステップS806において、第2の電磁場解析部1502が前述した処理を行い、ステップS807において、微小領域内ヒステリシス損導出部1503が前述した処理を行うことにより実現することができる。従って、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<まとめ>
以上のように本実施形態では、電磁場解析装置1500は、電磁場の解析対象である鉄心(コア)の磁束密度ベクトルを数値解析により導出し、導出した磁束密度ベクトルから磁束密度の最大値Bmを導出する。次に、電磁場解析装置1300は、材料属性と、励磁基本周波数と、応力解析部1304により導出された応力ベクトルに対応する渦電流損係数特性を読み出し、読み出した渦電流損係数特性において、磁束密度の最大値Bmに対応する異常渦電流損係数κを導出する。電磁場解析装置500は、異常渦電流損係数κを用いて電磁鋼板の導電率σを補正した補正導電率σ´を導出し、補正導電率σ´と、応力解析部1304により導出された応力ベクトルに対応する初磁化特性とを用いて、電磁場の解析対象である鉄心の磁束密度ベクトルおよび渦電流ベクトルを数値解析により導出する。そして、電磁場解析装置1100は、当該磁束密度ベクトルと、当該応力ベクトルに対応するプレイヒステリシスモデルとに基づいて、当該磁束密度ベクトルに対応する磁界強度ベクトルを導出する。従って、第1、第2の実施形態で説明した効果に加え、電磁場の解析対象である鉄心に応力が印加される場合であっても、磁束密度および磁界強度を精度よく導出することができる。
尚、本実施形態においても、第1〜第3の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
<実施例>
図16は、ステータコアにおける異常渦電流損補正係数kの分布の一例を示す図である。図17は、ステータコアにおける渦電流損の分布の一例を示す図である。図16(a)、図17(a)は、焼嵌めをしていない場合(応力が印加されていない場合)の結果であり、第2の実施形態の手法で解析を行った結果を示す。図16(b)、図17(b)は、焼嵌めを行った場合(応力が印加されている場合)の結果であり、第4の実施形態の手法で解析を行った結果を示す。尚、ステータコアは、図1に示したIPMモータのモデルである。また、PWM制御により基本周波数50[Hz]の正弦波電圧がモータコイルに印加されるように励磁条件を定めた。図16(a)、図17(a)は、同じ条件で電磁場解析を行った結果であり、図16(b)、図17(b)は、同じ条件で電磁場解析を行った結果である。図16(a)、図17(a)を得るための条件と、図16(b)、図17(b)を得るための条件とでは、ステータコアに印加される応力の条件が異なり、その他の条件は同じである。図16、図17に示すように、ステータコアのコアバックでは、応力の作用により異常渦電流および渦電流損が増加することが分かる。
図18は、PWM制御で励磁した場合の磁気ヒステリシス特性の一例を示す図である。ここでは、JIS C 2556に規定される単板磁気試験器(単板試験測定法)に35A300の電磁鋼板をセットし、応力を印加しない状態で当該電磁鋼板をPWM制御で励磁した場合と、50[MPa]の圧縮応力を印加した状態で当該電磁鋼板をPWM制御で励磁した場合とのそれぞれの場合の磁気ヒステリシス特性を、それぞれ、第2の実施形態の手法、第4の実施形態の手法で解析(計算)し、実測値と比較した。図18(a)は、応力が印加されていない場合を示し、図18(b)は、50[MPa]の圧縮応力が印加されている場合を示す。図18(a)を得るための条件と、図18(b)を得るための条件とでは、ステータコアに印加される応力の条件が異なり、その他の条件は同じである。
図18に示すように、前述した実施形態の手法を用いれば、応力が印加される場合であっても、PWM制御で励磁することにより生じる複雑な磁気ヒステリシス特性を精度よく導出することができることが分かる。また、応力を印加しない場合、鉄損の実測値は2.31[W/kg]、計算値は2.34[W/kg]であった。50[MPa]の圧縮応力が印加された場合、鉄損の実測値は4.07[W/kg]、計算値は4.38[W/kg]であった。このように、前述した実施形態の手法を用いれば、応力を印加した場合としない場合の何れの場合でも実測値に近い鉄損を得ることができることが分かる。
(その他の実施形態)
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項と前述した実施形態との関係の一例を説明する。請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例等で説明した通りである。
磁束密度取得手段は、例えば、第1の電磁場解析部505を用いることにより実現される。
補正手段は、例えば、異常渦電流損係数導出部507、1305および導電率導出部508を用いることにより実現される。
電磁場解析手段は、例えば、第2の電磁場解析部509、1102、1307、1502を用いることにより実現される。
応力取得手段は、例えば、応力解析部1304を用いることにより実現される。
500、1100、1300、1500:電磁場解析装置、501、1301:直流磁気ヒステリシス特性入力部、502:電磁場解析条件入力部、503、1302:磁性材料条件入力部、504、1306:モデル同定部、505:第1の電磁場解析部、506:磁束密度導出部、507、1305:異常渦電流損係数導出部、508:導電率導出部、509、1102、1307、1502:第2の電磁場解析部、510、1103、1503:微小領域内ヒステリシス損導出部、511:微小領域内渦電流損導出部、512:鉄損総和部、513:鉄損出力部、1101、1501:初磁化特性入力部、1303:応力解析条件入力部、1304:応力解析部

Claims (10)

  1. 高調波成分が含まれた励磁電圧によって軟磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度の一周期における大きさの最大値を取得する磁束密度取得手段と、
    前記磁束密度取得手段により取得された磁束密度の最大値と、前記磁性材料に対する励磁周波数の基本周波数とに基づいて、前記軟磁性材料の全渦電流損を表現する際に古典的渦電流損に乗算される係数である異常渦電流損係数を導出し、当該異常渦電流損係数と、前記磁性材料の固有抵抗率の逆数である導電率とに基づいて、補正後の導電率を導出する補正手段と、
    前記補正手段により補正された導電率を用いて、前記磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度ベクトルと渦電流ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づき、複数の微小領域毎に計算する電磁場解析手段と、
    を有することを特徴とする電磁場解析装置。
  2. 前記磁束密度取得手段は、前記磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づく静磁場解析を行うことにより、複数の微小領域毎に計算することを特徴とする請求項1に記載の電磁場解析装置。
  3. 前記磁束密度取得手段は、前記基本周波数を励磁周波数として前記磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づき、複数の微小領域毎に計算することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁場解析装置。
  4. 前記磁性材料に発生する応力の大きさを取得する応力取得手段を更に有し、
    前記補正手段は、前記磁束密度取得手段により取得された磁束密度の最大値と、前記応力取得手段により取得された磁性材料に発生する応力の大きさと、前記基本周波数とに基づいて、前記磁性材料の固有抵抗率の逆数である導電率を補正することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電磁場解析装置。
  5. 前記補正手段は、前記磁束密度取得手段により取得された磁束密度の最大値と、前記応力取得手段により取得された磁性材料に発生する応力の大きさと、前記基本周波数とに基づいて、前記磁性材料の全渦電流損を表現する際に古典的渦電流損に乗算される係数である異常渦電流損係数を導出し、当該異常渦電流損係数と、前記磁性材料の固有抵抗率の逆数である導電率とに基づいて、補正後の導電率を導出することを特徴とする請求項に記載の電磁場解析装置。
  6. 前記応力取得手段は、前記磁性材料に発生する応力ベクトルを、複数の微小領域毎に計算することを特徴とする請求項またはに記載の電磁場解析装置。
  7. ヒステリシス損を前記複数の微小領域毎に導出するヒステリシス損導出手段を更に有し、
    前記電磁場解析手段は、前記補正手段により補正された導電率を用いて、前記軟磁性材料が励磁されたときに当該軟磁性材料に発生する磁束密度ベクトル、磁界強度ベクトル、および渦電流ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づき、前記複数の微小領域毎に計算し、
    前記ヒステリシス損導出手段は、前記電磁場解析手段により導出された磁束密度ベクトルと当該磁束密度ベクトルに対応する磁界強度ベクトルの一周期における波形に基づいて、ヒステリシス損を前記複数の微小領域毎に導出することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電磁場解析装置。
  8. 前記電磁場解析手段により導出された渦電流ベクトルと、前記補正手段により補正された導電率とに基づいて、渦電流損を前記複数の微小領域毎に導出する渦電流損導出手段を更に有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の電磁場解析装置。
  9. コンピュータが、高調波成分が含まれた励磁電圧によって軟磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度の一周期における大きさの最大値を取得する磁束密度取得工程と、
    前記磁束密度取得工程により取得された磁束密度の最大値と、前記磁性材料に対する励磁周波数の基本周波数とに基づいて、前記軟磁性材料の全渦電流損を表現する際に古典的渦電流損に乗算される係数である異常渦電流損係数を導出し、当該異常渦電流損係数と、前記磁性材料の固有抵抗率の逆数である導電率とに基づいて、補正後の導電率を導出する補正工程と、
    前記補正工程により補正された導電率を用いて、前記磁性材料が励磁されたときに当該磁性材料に発生する磁束密度ベクトルと渦電流ベクトルを、マックスウェルの方程式に基づき、複数の微小領域毎に計算する電磁場解析工程と、を実行することを特徴とする電磁場解析方法。
  10. 請求項1〜8の何れか1項に記載の電磁場解析装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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